JP4668402B2 - 感熱性粘着材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、常温では非粘着性であるが加熱により活性化して粘着性を発現し、その後加熱源を取り去った後でも長時間粘着性が持続する感熱性粘着材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
感熱性粘着材料は、「接着便覧」第12版、第131〜135頁(昭和55年、高分子・刊行会発行)に具体的な実例が記載されているように、基本的には熱可塑性樹脂と国体可塑剤及び粘着付与剤を含有している。
【0003】
上記熱可塑性樹脂は粘着力・接着力の根源となるものであり、また上記固体可塑剤は、常温では固体であるため樹脂に可塑性を与えないが、加熱することにより溶融して上記熱可塑性樹脂を膨潤あるいは軟化させて粘着性を発現させる。更に上記粘着付与剤は粘着性を向上させる働きをする。また、上記固体可塑剤は加熱により溶融した後はゆっくりと結晶化するため、加熱用熱源を取り除いた後も粘着性を長時間持続する。
【0004】
しかし、従来の感熱性粘着材料は、剥離紙を有し常時粘着性を有する粘着材料に比して粘着性発現後の粘着力が十分ではなかった。例えば、特開平7−3239号公報には、可塑剤を内包したマイクロカプセル(コアと、これを内包するシェルとからなる)と、熱可塑性樹脂とを含有してなる感熱性粘着材料が記載されている。この感熱性粘着材料は、加圧あるいは加熱により、マイクロカプセルのコアである可塑剤が液体可塑剤の場合には液体のままで、また固体可塑剤の場合には溶融した後に、それぞれシェル外に流出して前記熱可塑性樹脂を可塑化させることにより粘着力を発現するように構成されている。
【0005】
しかしながら、上記感熱性粘着材料では、上記可塑剤がシェル外に十分に流出しないため、粘着性が必ずしも十分ではないという不具合がある。すなわち、マイクロカプセルシェル自身は軟化、溶融することがないため、必ずしも満足しうる粘着力を発現することができない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明の目的は、従来の感熱性粘着材料にみられる欠点を克服し、各種の被着体に対する粘着力が優れた感熱性粘着材料を提供することにある。即ち本発明は、固体又は液体可塑剤を内包するマイクロカプセルを用いた感熱性粘着材料において、感熱性粘着材料を加熱して上記可塑剤をシェル外に流出させる際に、シェルが粘着性阻害の要因とならないようにすることにより粘着性を向上させた感熱性粘着材料を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため、本発明の請求項1に係る感熱性粘着材料は、可塑剤を内包するマイクロカプセルと、樹脂とを主成分とした感熱性粘着剤からなる感熱性粘着層が支持体上に設けてあり、前記マイクロカプセルのシェル(マイクロカプセルシェル)が熱可塑性樹脂で形成され、かつ、加熱によりマイクロカプセルシェル内の可塑剤が流出後、前記樹脂のみならずマイクロカプセルシェル(前記熱可塑性樹脂)も可塑化することを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る感熱性粘着材料は、請求項1において、可塑剤が常温で液状のものであることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る感熱性粘着材料は、請求項1または2においてマイクロカプセルシェルを形成する熱可塑性樹脂のTgが0℃以下であることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る感熱性粘着材料は、請求項1,2または3において、感熱性粘着層を形成する感熱性粘着剤が、粘着付与剤を含有することを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る感熱性粘着材料は、請求項1,2,3または4において、感熱性粘着層と支持体の間に、中空粒子を主成分とするアンダー層が設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明では、マイクロカプセルのシェルのTgを0℃以下にすることで、熱印加後の可塑剤流出後のシェルの可塑化作用を、よりいっそう高めることが可能である。言い換えれば、熱印加により発現する粘着性をいっそう向上させることができる。
【0013】
本発明におけるマイクロカプセルのコアである可塑剤としては固体可塑剤、液体可塑剤のいずれも使用することができる。固体可塑剤の場合、加熱により溶融・軟化し、シェル外へ流出する。このように液状でシェル外に流出する点で固体可塑剤は液体可塑剤と同様である。ところが、固体可塑剤は一旦溶融流出した後固まり易く、粘着性が低下すること、液体可塑剤は保有時に、マイクロカプセルシェルを軟化させ易い点で問題がある。
【0014】
これに対し本発明者は、液体可塑剤であっても、保存時にシェルの軟化が少ない材料との組み合わせを発見し、本発明に至った。また、感熱性粘着層を形成する感熱性粘着剤に粘着付与剤を含有させることで、より高度な粘着性を持つ感熱性粘着材料を提供することが可能になった。さらには、感熱性粘着層と支持体との間に、中空粒子を主成分とするアンダー層を設けることで、サーマルヘッドから供給される熱エネルギーを高効率に利用することができ、少ないエネルギーで十分な粘着力の発現が可能となった。
【0015】
本発明の感熱性粘着材料では、上記熱可塑樹脂として、以下に例示する高分子樹脂を使用することができる。例えば天然ゴムラテックス、グラフト共重合天然ゴムラテックス、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸エステル、合成ゴム、酢酸ビニル−アクリル酸2−エチルへキシル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、ビニルピロリドン−スチレン共重合体、ビニルピロドリン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリル−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリル共重合体等の高分子樹脂が挙げられる。
【0016】
本発明で使用できる可塑剤としては、フタル酸フェニル、フタル酸ジシクロへキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ−2−エチルへキシル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジへブチル、フタル酸ジオクチル、安息香酸スクロース、二安息香酸エチレングリコール、三安息香酸トリメチロールエタン、四安息香酸ジ−2−エチルへキシル、アジビン酸ジブチル、アジビン酸ジ−2−エチルへキシル、アジビン酸ジ−n−へキシル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
本発明で使用する粘着付与剤としては、ロジン誘導体(ロジン、重合ロジン、水添ロジンまたはそれらのグリセリン、ペンタエリストール等のエステル、樹脂酸ダイマー等)、テルベン樹脂系、フェノール樹脂系等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
本発明の感熱性ディレードタック粘着剤においては、上記成分以外に、ブロッキング防止のために酸化チタン、アルミナ、コロイダルシリカ、カオリン、タルク等の無機物やパラフィン、天然ワックス、合成ワックス、天然油脂、ポリスチレン粉体等の有機物を、更に必要に応じて分散剤や消泡剤、増粘剤をそれぞれ使用することができる。
【0019】
【実施例】
次に本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。なお、以下に示す部及び%はいずれも重量基準である。
<実施例1>
〔フタル酸ジオクチル内包マイクロカプセルエマルジョン[A液]の生成〕
In−Situ重合法によりフタル酸ジオクチル20部と、スチレン−アクリル共重合体(Tg=24℃)10部とからなるマイクロカプセルを、ポリビニルアルコール8%水溶液250部中に均一分散し、フタル酸ジオクチル内包マイクロカプセルエマルジョン[A液]を生成した。
【0020】
〔感熱性粘着剤液[B液]の生成〕
メタクリル酸メチルグラフト共重合天然ゴムラテックス分散液(50%)
(メタクリル酸メチル/天然ゴム=40/100) 50部
[A液] 800部
上記組成からなる感熱性粘着剤分散液[B液]を、80g/m2 の片面コート紙の裏面に乾燥後重量40g/m2 となるように塗布乾燥し、実施例1の感熱性粘着材料を得た。
なお、本実施例において「可塑剤」はフタル酸ジオクチル、「マイクロカプセルシェル」はスチレン−アクリル共重合体であり、「樹脂」はメタクリル酸メチル/天然ゴムである。
【0021】
<実施例2>
実施例1のフタル酸ジオクチル内包マイクロカプセルエマルジョン[A液]を形成するTg=24℃のスチレン−アクリル共重合体を、Tg=−5℃のスチレン−アクリル共重合体に替えた以外は同様にして、実施例2の感熱性粘着材料を得た。
【0022】
<実施例3>
実施例2の感熱性粘着剤液に、粘着付与剤としてロジンエステル分散液(50%:軟化点=100℃)35部を加えた以外は同様にして、実施例3の感熱性粘着材料を得た。
【0023】
<実施例4>
〔アンダー液[C液]の生成〕
中空粒子エマルジョン(中空率50%、固形分25%) 4.0部
スチレン−ブタジエンラテックス(固形分50%) 0.4部
ポリビニルアルコール(固形分10%水溶液) 1.0部
水 1.1部
上記組成からなるアンダー液[C液]を80g/m2 の片面コート紙の裏面に乾燥後重量3.O g/m2 となるように塗布、乾燥した。さらにその上に実施例3の感熱性粘着剤液を乾燥後重量40g/m2 となるように塗布乾燥し、実施例4の感熱性粘着材料を得た。
【0024】
<比較例1>
実施例1のフタル酸ジオクチル内包マイクロカプセルエマルジョン[A液]を形成するTg=24℃のスチレン−アクリル共重合体をメラミン樹脂(熱硬化性樹脂)に替えた以外は同様にして、比較例1の感熱性粘着材料を得た。
【0025】
以上のようにして得られた感熱性粘着材料に関して、(1)感熱性粘着層の活性化に伴う粘着力、感熱性粘着層側の面とその裏面(粘着剤塗布面と反対側の面)とを接触させたときのブロッキング性について、以下の試験を行なった。
【0026】
<粘着性>
感熱性粘着材料(感熱性粘着シート)を大倉電気製の感熱印字装置TH−PMDを用いて、ヘッド条件0.54mJ/dot、印字スピード4ms/line、プラテン圧6kgf/lineの条件にて感熱性ディレードタック粘着層を熱活性化させ、常温環境(20℃・65%)の環境で被着体(塩ビラップ)に貼り付けてその粘着力を以下のようなランクで評価した。
<ランク>
◎: 非常に粘着力が強く剥離時に紙が破れた
○: 強く粘着した
△: 粘着した
×: やや粘着した
【0027】
<ブロッキング性>
同一サンプルの感熱性ディレードタック粘着層側の面とその裏面とを接着させ、圧力2kgf/cm2 、50℃・Dry条件下で24時間試験した後、室温で放置後サンプルを剥し、その時のブロッキング性を以下のようなランクで評価した。
<ランク>
◎: ブロッキング発生なし(剥離音なし)
○: ブロッキング発生なし(剥離音あり)
△: 若干ブロッキング発生
以上の結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
Figure 0004668402
【0029】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように本発明によれば、被着体に対する粘着力が強く、かつ、耐ブロッキング性にも優れた感熱性粘着材料を提供することができる。

Claims (5)

  1. シェル内にコアとして可塑剤を内包してなるマイクロカプセルと、樹脂とを主成分とした感熱性粘着剤からなる感熱性粘着層が支持体上に設けてあり、前記マイクロカプセルシェルが熱可塑性樹脂で形成され、かつ、加熱によりマイクロカプセルシェル内の可塑剤が流出後、前記樹脂のみならずマイクロカプセルシェルも可塑化することを特徴とする感熱性粘着材料。
  2. 可塑剤が常温で液状のものであることを特徴とする請求項1に記載の感熱性粘着材料。
  3. マイクロカプセルシェルを形成する熱可塑性樹脂のTgが0℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の感熱性粘着材料。
  4. 感熱性粘着層を形成する感熱性粘着剤が、粘着付与剤を含有することを特徴とする請求項1,2または3に記載の感熱性粘着材料。
  5. 感熱性粘着層と支持体の間に、中空粒子を主成分とするアンダー層が設けられていることを特徴とする請求項1,2,3または4に記載の感熱性粘着材料。
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