JP4665295B2 - 制震壁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、事務所用のビル、集合住宅、戸建住宅の建物の壁、特にこれらの建物に加わる地震や風、交通振動等の振動を減衰させる制震壁に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
制震壁として、下梁及び上梁と、上部に開口を有して、下部で下梁に固定された箱体と、この箱体に対して隙間をもって当該箱体内に配されており、上部で上梁に固定された抵抗板と、箱体と当該箱体内に配された抵抗板との間の隙間に充填された粘性体とを具備し、地震や風、交通振動等の振動に際して、下梁に対する上梁の相対的水平変位に基づく箱体と抵抗板との間の同じく相対的水平変位において箱体内に収容された粘性体に粘性剪断変形を生じさせて、この粘性剪断変形による減衰力により地震や風、交通振動等の振動を減衰させるものが提案されている。
【0003】
斯かる制震壁においては、箱体及び抵抗板を夫々下梁及び上梁の夫々に固定しているが、地震等に起因する下梁及び上梁を介する箱体と抵抗板との間の相対的水平変位に際しては、箱体及び抵抗板には大きな水平力と曲げモーメントとが加わり、この水平力と曲げモーメントとに基づく剪断力と引っ張り、圧縮力とに耐え得るために、通常、多数のボルトと相当の厚みの固定用の鋼板とを用いて下梁及び上梁の夫々に箱体及び抵抗板の夫々を固定するようになっており、この固定構造により大きなスペースが占有されることになり、箱体及び抵抗板の設置空間が多分に制限される上に、制震壁で囲まれる部屋の大きさが限定されることになる。特に、箱体及び抵抗板の横方向の端部には、曲げモーメントに基づく引っ張り、圧縮力が特に集中して生じるために、その強度が十分でないとここで局部座屈が生じる虞があり、この局部座屈を防止する点からも固定構造が大きくなり、減衰機能を発揮する箱体及び抵抗板の設置空間が制限される一方、抵抗板の面積が小さくなることから制振壁の能力が低下し、また、大きな固定構造の面外方向の張り出しで、制震壁で囲まれる部屋が小さくなる虞がある。
【0004】
箱体及び抵抗板を夫々下梁及び上梁の夫々に固定する固定構造としては、特開平10−46865号公報に記載されているようなものが提案されているが、この提案の固定構造によれば、箱体下部を密閉する鋼板を強固に溶接固定することが困難であって、特に面外方向の繰り返し応力により箱体下部から粘性体が漏出する虞を有し、しかも、箱体自体又は箱体及び抵抗板からなる組み合わせ体自体、更にはこれらと固定手段との組み合わせ体自体を自立構造とすることが困難であり、これらの運搬、保管、設置作業における取り扱いが面倒となる上に、安全性に特別の配慮が必要となる虞がある。
【0005】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、箱体下部の密閉を確実に強固に得ることができ、面外方向の繰り返し応力によっても箱体下部の密閉状態を維持できて、而して、粘性体の漏出の虞をなくし得、しかも、十分な耐力をもって下梁等の下支持手段に強固に固定でき、加えて、面外方向幅(厚み)を小さくできて壁厚を狭くできる結果、広い部屋を提供できる上に、箱体自体、箱体及び抵抗板からなる組み合わせ体自体、これらと固定手段との組み合わせ体自体を自立構造とすることができる制震壁を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の態様の制震壁は、建物壁における下支持手段及び上支持手段と、上部に開口を有すると共に下部に底壁板を有し、当該底壁板で下支持手段に下部固定手段を介して固定された少なくとも一つの箱体と、この箱体に対して隙間をもって当該箱体内に配されており、上部で上支持手段に上部固定手段を介して固定された抵抗板と、箱体と当該箱体内に配された抵抗板との間の隙間に充填された粘性体とを具備しており、ここで、下部固定手段は、箱体の底壁板に固着された第一のガセットプレートと、この第一のガセットプレートに対して略同一鉛直面内に配されると共に、下支持手段に固着された第二のガセットプレートと、第一及び第二のガセットプレートの夫々に対面して配された下部スプライスプレート手段と、下部スプライスプレート手段を第一及び第二のガセットプレートの夫々に共締めする高力ボルトとを具備している。
【0007】
第一の態様の制震壁によれば、箱体が底壁板を有し、この底壁板に第一のガセットプレートが固着されているために、底壁板により箱体下部の密閉を確実に強固に得ることができ、面外方向の繰り返し応力によっても箱体下部の密閉状態を確実に維持できて、而して、粘性体の漏出の虞をなくし得、しかも、箱体自体又は箱体及び抵抗板からなる組み合わせ体自体を自立構造とすることができ、加えて、底壁板に固着された第一のガセットプレートと下支持手段に固着された第二のガセットプレートとが下部スプライスプレート手段と共に高力ボルトにより共締めされるために、底壁板を介して箱体を十分な耐力をもって下支持手段に強固に固定でき、加えて、面外方向幅(厚み)を小さくできて壁厚を狭くできる結果、広い部屋を提供できる。
【0008】
本発明の第二の態様の制震壁は、第一の態様の制震壁において、下部スプライスプレート手段は、高力ボルトにより第一及び第二のガセットプレートの夫々に少なくとも一面摩擦接合されて共締めされている。
【0009】
第二の態様の制震壁によれば、高力ボルトと少なくとも一面摩擦接合とにより、箱体を下支持手段に極めて強固に固定でき、地震等に際する箱体と抵抗板との間の相対的水平変位において、箱体及び抵抗板に大きな水平力と曲げモーメントとが加わっても、それに基づく剪断力と引っ張り力とに十分な耐力を確保できる。
【0010】
本発明の第三の態様の制震壁では、第一又は第二の態様の制震壁において、下部スプライスプレート手段は、高力ボルトにより第一及び第二のガセットプレートの夫々に二面摩擦接合されて共締めされている。
【0011】
本発明の制震壁では、下部スプライスプレート手段は、第一及び第二のガセットプレートの夫々に対して一面摩擦接合されていてもよいのであるが、本発明の第三の態様のように、二面摩擦接合されて共締めされていると、箱体を下支持手段に極めて強固に固定でき、地震等に際する箱体と抵抗板との間の相対的水平変位において、箱体及び抵抗板に大きな水平力と曲げモーメントとが加わっても、それに基づく剪断力と引っ張り力とに十分耐えることができ、しかも、高力ボルトの本数を半減しても一面摩擦接合と同等若しくはそれ以上の強固な固定を実現でき、而して、大幅な作業工数の低減及びコストダウンを図ることができる上に、コンパクトな固定構造にできる結果、与えられた階高の中で、箱体及び抵抗板の夫々のための設置空間を大きくできて、大きな箱体及び抵抗板を用いることができ、而して制震性能をより高めることができる。
【0012】
本発明における下部スプライスプレート手段は、第一及び第二のガセットプレートの夫々に対して一面摩擦接合を行う場合には、第一及び第二のガセットプレートの夫々の一方の面に配されたスプライスプレートを具備していればよいのであるが、本発明の第四の態様のように、第一及び第二のガセットプレートの夫々を間にして挟持する少なくとも一対のスプライスプレートを具備し、斯かる一対のスプライスプレートを、高力ボルトにより第一及び第二のガセットプレートの夫々に挟圧させると、二面摩擦接合を得ることができ、而して、二面摩擦接合により上記の効果を好ましく得ることができる。
【0013】
また本発明における下部スプライスプレート手段が、その第五の態様のように、第一及び第二のガセットプレートの夫々に対面する面に高摩擦面を有した高摩擦鋼板からなるスプライスプレートを具備して構成されていると、高摩擦面の作用により箱体をより極めて強固に下支持手段に固定できる。
【0014】
更に本発明における下部スプライスプレート手段が、その第六の態様のように、互いに離間して横方向に配列された複数枚のスプライスプレートを具備して構成され、斯かる複数枚のスプライスプレートにおいて、水平方向両端のスプライスプレートが、主として箱体の鉛直面内の曲げモーメントに抗し、水平方向両端のスプライスプレートの間に配されたスプライスプレートが、主として箱体の水平方向力に抗するように、夫々構成されると、地震等に際する箱体と抵抗板との間の相対的水平変位において、箱体及び抵抗板に加わる大きな水平力と曲げモーメントとに基づく剪断力と引っ張り力とに対する耐力を分担して確保でき、而して、箱体を下支持手段によりより強固に固定できる。
【0015】
高摩擦鋼板としては、種々のものを用いることができ、例えば、特開昭51−52628号公報、特開平11−147153号公報、特開平11−151543号公報、特開平11−151544号公報、特開平11−247831号公報等に記載されているような表面、特に接合面に凹凸を形成した鋼板を好ましい例として挙げることができるが、本発明の第七の態様のように、主として鉛直方向力に対して高摩擦抵抗を発現する高摩擦面を有した高摩擦鋼板から水平方向両端のスプライスプレートを構成し、主として水平方向力に対して高摩擦抵抗を発現する高摩擦面を有した高摩擦鋼板から水平方向両端のスプライスプレートの間に配されたスプライスプレートを構成すると、箱体及び抵抗板に加わる大きな水平力と曲げモーメントとに対する耐力を分担して効率よく確保でき、斯かる水平方向両端のスプライスプレートとしては、本発明の第八の態様のように、鉛直方向に配列されていると共に、各々が水平方向に伸びた複数の凹凸からなる高摩擦面を有した高摩擦鋼板からなるものを、水平方向両端のスプライスプレートの間に配されたスプライスプレートとしては、同じく本発明の第八の態様のように、水平方向に配列されていると共に、各々が鉛直方向に伸びた複数の凹凸からなる高摩擦面を有した高摩擦鋼板からなるものを用いることにより、低コストでもって水平力と曲げモーメントとに対する耐力を効率よく好ましく確保できる。
【0016】
本発明の第九の態様の制震壁では、上記のいずれかの態様の制震壁において、下部固定手段は、箱体の底壁板と第一のガセットプレートとの水平方向両端に固着されていると共に、第一のガセットプレートの鉛直方向長よりも長い鉛直方向長を有した一対の側端上フランジプレートを具備している。
【0017】
第九の態様の制震壁によれば、制震壁の組み立て途中において、箱体と第一のガセットプレートと一対の側端上フランジプレートとの組み合わせ体を、一対の側端上フランジプレートを脚として一時的に垂直に立てておくこと、すなわち自立させることができ、制震壁の組み立てが極めて容易になる。
【0018】
本発明の第十の態様の制震壁では、上記の第九の態様の制震壁において、下部固定手段は、第二のガセットプレートの水平方向両端に固着されていると共に、第二のガセットプレートの鉛直方向長よりも長い鉛直方向長を有した一対の側端下フランジプレートを具備しており、側端上フランジプレートの下端面は、対応の側端下フランジプレートの上端面に当接している。
【0019】
斯かる第十の態様の制震壁によれば、側端上フランジプレートの下端面と対応の側端下フランジプレートの上端面とを互いに当接させているので、この当接部位でも箱体及び抵抗板に加わる大きな曲げモーメントに対する耐力を得ることができ、しかも、第一のガセットプレートの下端面と第二のガセットプレートの上端面との当接を回避でき、スプライスプレートを介する第一及び第二のガセットプレートの相互の支持を安定して得ることができる。
【0020】
なお、側端上フランジプレートと側端下フランジプレートとに代えて又はこれらと共に、箱体の底壁板の水平方向両端間において、箱体の底壁板と第一のガセットプレートとに固着させて少なくとも一個の上補強リブプレートを配する一方、第二のガセットプレートの水平方向両端間において、上補強リブプレートに対応させて且つ第二のガセットプレート及び下支持手段の上端フランジプレートに固着させて少なくとも一個の下補強リブプレートを配し、これら上下補強リブプレートを、第九及び第十一の態様のように側端上フランジプレート及び側端下フランジプレートと同様に構成してもよい。
【0021】
本発明の第十の態様の制震壁における下部固定手段は、その第十一の態様のように、側端上フランジプレートから側端下フランジプレートまで延在する側端スプライスプレート手段と、側端スプライスプレート手段を側端上フランジプレート及び側端下フランジプレートの夫々に共締めする高力ボルトとを具備していてもよく、ここで、側端スプライスプレート手段は、その第十二の態様のように、側端上フランジプレート及び側端下フランジプレートの夫々に対面する面に高摩擦面を有した高摩擦鋼板からなる側端スプライスプレートを具備していてもよい。
【0022】
第十一の態様の制震壁によれば、箱体の底壁板の水平方向両端間においても、箱体及び抵抗板に加わる大きな曲げモーメントに起因する引っ張り力に対して更に十分な耐力を確保でき、而して、箱体を下支持手段により強固に固定でき、第十二の態様の制震壁によれば、これら耐力確保を少ない高力ボルトで行うことができる。
【0023】
本発明の第十から第十二のいずれかの態様の制震壁では、好ましくは、その第十三の態様のように、下支持手段が、上端フランジプレートを有した下大梁を具備し、側端下フランジプレートが上端フランジプレートに固着されている。
【0024】
第十三の態様のように制震壁を構成することにより、側端下フランジプレートをより強固に下支持手段に固定でき、曲げモーメントに対する耐力をより確実に得ることができる。
【0025】
なお、第十から第十二のいずれかの態様の制震壁においても、側端スプライスプレート手段は、側端上フランジプレート及び側端下フランジプレートに対して一面摩擦接合、好ましくは、二面摩擦接合できるように、少なくとも一枚、好ましくは三枚又は四枚の側端スプライスプレートを具備している。
【0026】
本発明の第十四の態様の制震壁では、第一から第十三のいずれかの態様の制震壁において、上支持手段は下端フランジプレートを具備しており、抵抗板は幅広の抵抗板本体を有しており、上部固定手段は、上支持手段の下端フランジプレートに固着されていると共に、抵抗板本体と略同一鉛直平面内に配された上梁側ガセットプレートと、抵抗板本体の上部からなる抵抗板側ガセットプレートと、上梁側ガセットプレート及び抵抗板側ガセットプレートの夫々に対面して配された上部スプライスプレート手段と、この上部スプライスプレート手段を上梁側ガセットプレート及び抵抗板側ガセットプレートの夫々に共締めする上部固定用の高力ボルトとを具備している。
【0027】
第十四の態様の制震壁によれば、上梁側ガセットプレートと抵抗板側ガセットプレートとを上部スプライスプレート手段と共に高力ボルトにより共締めし、而して抵抗板本体の上部を上部支持手段に連結しているために、抵抗板を上部支持手段にしっかりと固定できる上に、抵抗板本体の上部を抵抗板側ガセットプレートとして用いるために、施工工数を削減でき、コストの低減を図り得る。
【0028】
本発明の第十五の制震壁では、第一から第十三のいずれかの態様の制震壁において、上支持手段は下端フランジプレートを具備しており、抵抗板は幅広の抵抗板本体と、この抵抗板本体の上端に固着された抵抗板フランジプレートとを具備しており、上部固定手段は、上支持手段の下端フランジプレートに固着された上梁側ガセットプレートと、この上梁側ガセットプレートと略同一鉛直平面内に配されていると共に、抵抗板フランジプレートに固着された抵抗板側ガセットプレートと、上梁側ガセットプレート及び抵抗板側ガセットプレートの夫々に対面して配された上部スプライスプレート手段と、この上部スプライスプレート手段を上梁側ガセットプレート及び抵抗板側ガセットプレートの夫々に共締めする上部固定用の高力ボルトとを具備している。
【0029】
第十五の態様の制震壁によれば、上記の第十四の態様の制震壁と同様に、上梁側ガセットプレートと抵抗板側ガセットプレートとを上部スプライスプレート手段と共に高力ボルトにより共締めし、而して抵抗板本体の上部を上部支持手段に連結しているために、抵抗板を上部支持手段にしっかりと固定できる。
【0030】
本発明の第十六の態様の制震壁では、第十四又は第十五の態様の制震壁において、上部スプライスプレート手段は、高摩擦面が上梁側ガセットプレート及び抵抗板側ガセットプレートの夫々に接触して配されている高摩擦鋼板からなる少なくとも一対の上部スプライスプレートを具備しており、この一対の上部スプライスプレートは、上梁側ガセットプレート及び抵抗板側ガセットプレートを間にして高力ボルトにより共締めされており、その高摩擦面が上梁側ガセットプレート及び抵抗板側ガセットプレートに接触して配されている。
【0031】
第十六の態様の制震壁によれば、高摩擦鋼板からなる少なくとも一対の上部スプライスプレートにより抵抗板側ガセットプレートを二面摩擦接合をもって上梁側ガセットプレートに連結できる結果、抵抗板を上部支持手段によりしっかりと固定できる上に、耐力確保を少ない高力ボルトで行うことができる。
【0032】
本発明の第十七の態様の制震壁では、第十四から第十六のいずれかの態様の制震壁において、上部スプライスプレートは、水平方向に並置されていると共に、夫々上梁側ガセットプレートと抵抗板側ガセットプレートとをその両側面から挟持した複数枚の上部スプライスプレートを具備しており、上部スプライスプレートは、上梁側ガセットプレート及び抵抗板側ガセットプレートに高力ボルトにより共締めされており、その高摩擦面が上梁側ガセットプレート及び抵抗板側ガセットプレートに接触して配されている。
【0033】
第十七の態様の制震壁によれば、水平方向に並置された複数対の上部スプライスプレートにより抵抗板側ガセットプレートを二面摩擦接合をもって上梁側ガセットプレートに連結できる結果、抵抗板を上部支持手段によりしっかりと固定できる上に、耐力確保を少ない高力ボルトで行うことができる。
【0034】
更に本発明の制震壁における上部固定手段の上部スプライスプレート手段は、第二から第八の態様の制震壁の下部スプライスプレート手段と同様に、その第十八から第二十四の態様のように、高力ボルトにより上梁側ガセットプレート及び抵抗板側ガセットプレートの夫々に少なくとも一面摩擦接合されて共締めされていても、また、高力ボルトにより上梁側ガセットプレート及び抵抗板側ガセットプレートの夫々に二面摩擦接合されて共締めされていても、或いは上梁側ガセットプレート及び抵抗板側ガセットプレートの夫々を間にして挟持する少なくとも一対の上部スプライスプレートを具備して、この一対の上部スプライスプレートが、高力ボルトにより上梁側ガセットプレート及び抵抗板側ガセットプレートの夫々を挟圧していても、更に上梁側ガセットプレート及び抵抗板側ガセットプレートの夫々に対面する面に高摩擦面を有した高摩擦鋼板からなる上部スプライスプレートを具備していても、また、互いに離間して横方向に配列された複数枚の上部スプライスプレートを具備して、水平方向両端の上部スプライスプレートが、主として抵抗板の鉛直面内の曲げモーメントに抗し、水平方向両端の上部スプライスプレートの間に配された上部スプライスプレートが、主として抵抗板の水平方向力に抗するように、夫々構成されていても、ここで、水平方向両端の上部スプライスプレートが主として鉛直方向力に対して高摩擦抵抗を発現する高摩擦面を有した高摩擦鋼板からなり、水平方向両端の上部スプライスプレートの間に配された上部スプライスプレートが、主として水平方向力に対して高摩擦抵抗を発現する高摩擦面を有した高摩擦鋼板からなっていてもよく、また、水平方向両端の上部スプライスプレートが、鉛直方向に配列されていると共に、各々が水平方向に伸びた複数の凹凸からなる高摩擦面を有した高摩擦鋼板からなり、水平方向両端の上部スプライスプレートの間に配された上部スプライスプレートが、水平方向に配列されていると共に、各々が鉛直方向に伸びた複数の凹凸からなる高摩擦面を有した高摩擦鋼板からなっていてもよく、斯かる構成により第二から第八の態様の制震壁と同様の効果を抵抗板側に対して奏し得る。
【0035】
本発明においては、製作、施工誤差などを吸収するために、ガセットプレート及びフランジプレートとスプライスプレートとの間に必要に応じてフィラープレートを介在させてもよく、この場合、フィラープレートを、両面(接合面)が高摩擦面となっている高摩擦鋼板から構成するのが好ましい。また、高力ボルトが挿通されると共に当該高力ボルトにより共締めされる各プレートの貫通孔を、相手プレートとの位置決めを調節できるように、高力ボルトに対して若干クリアランスをもった径を有して形成されるのが好ましい。
【0036】
本発明の制震壁を適用し得る建物として、事務所用のビル、集合住宅、戸建住宅を好ましい例として挙げることができるが、特にこれに限定されない。
【0037】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を、図に示す好ましい例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例に何等限定されないのである。
【0038】
図1から図10において、本例の制震壁1は、建物の一対の柱間に形成されており、建物壁における下支持手段4及び上支持手段5と、上部に開口6を有すると共に下部に底壁板21を有していると共に、当該底壁板21で下支持手段4に下部固定手段7を介して固定された箱体8と、箱体8に対して隙間9をもって当該箱体8内に配されていると共に、上部で上支持手段5に上部固定手段10を介して固定された抵抗板11と、箱体8と当該箱体8内に配された抵抗板11との間の隙間9に充填された粘性体12とを具備している。
【0039】
箱体8は、水平方向であって面内方向(横方向)において互いに対向して配された一対の狭幅側壁板15及び16と、狭幅側壁板15及び16を橋絡して当該狭幅側壁板15及び16に溶接固着されていると共に、水平方向であって面外方向に互いに対向して配された一対の幅広側壁板17及び18と、狭幅側壁板15及び16を橋絡して、当該狭幅側壁板15及び16並びに幅広側壁板17及び18の上端に溶接固着されたL型鋼からなる開口形成部材19及び20と、狭幅側壁板15及び16並びに幅広側壁板17及び18の下端に溶接固着された底壁板21と、狭幅側壁板15及び16を橋絡し、狭幅側壁板15及び16並びに幅広側壁板17及び18に溶接固着されていると共に、鉛直方向(縦方向)に所定間隔をもって配されて、当該幅広側壁板17及び18の夫々を補強した溝型鋼からなる複数の補強部材22と、幅広側壁板17及び18間の所定間隔を保持する複数の間隔保持手段23と、底壁板21並びに幅広側壁板17及び18に溶接固着されていると共に、水平方向に所定間隔をもって配された複数の補強リブプレート24とを一体的に具備している。
【0040】
間隔保持手段23の夫々は、特に図5に詳細に示すように、幅広側壁板17及び18を貫通したボルト31と、ボルト31に螺着されたナット32と、ボルト31が挿通されて幅広側壁板17及び18との間に配された円筒カラー33とを具備しており、円筒カラー33によって幅広側壁板17及び18間の所定間隔を保持するようになっている。
【0041】
抵抗板11は、幅広の抵抗板本体35と、抵抗板本体35の箱体8外に位置した上端に溶接固着された抵抗板フランジプレート34と、箱体8の幅広側壁板17及び18と抵抗板本体35との間の所定の隙間9を保持する複数個の隙間保持手段38とを具備しており、幅広側壁板17及び18に対して抵抗板本体35が相対的に移動できるように、円筒カラー33の夫々を取り囲んで抵抗板本体35には、長円形の貫通孔39が穿孔されている。
【0042】
隙間保持手段38の夫々は、特に図6に示すように、抵抗板本体35を貫通して当該抵抗板本体35に取り付けられた両鍔40及び41付き隙間保持部材42からなり、隙間保持部材42は、鍔40及び41において幅広側壁板17及び18に摺動自在に接触して、抵抗板本体35と幅広側壁板17及び18との間の隙間9を保持している。
【0043】
箱体8又は箱体8及び抵抗板11からなる組み合わせ体45では、箱体8が底壁板21を具備して形成されているために、自立構造となり、これらの運搬、保管、設置作業における取り扱いが容易となり、安全性に極めてすぐれたものとなる。
【0044】
下支持手段4は、補強リブプレート51と、補強リブプレート51が溶接固着されたH型鋼からなって、建物の所定階の床側の下大梁52とを具備しており、下大梁52は、上端フランジプレート54を有している。
【0045】
上支持手段5は、補強リブプレート46と、補強リブプレート46が溶接固着されたH型鋼からなって、建物の所定階の天井側の上大梁47とを具備しており、上大梁47は、下端フランジプレート48を有している。
【0046】
下部固定手段7は、箱体8の底壁板21に溶接固着されたガセットプレート25と、ガセットプレート25に対して略同一鉛直面内に配されると共に、下支持手段4の上端フランジプレート54に溶接固着されたガセットプレート26と、ガセットプレート25及び26の夫々に対面して配された下部スプライスプレート手段27と、下部スプライスプレート手段27をガセットプレート25及び26の夫々に摩擦接合させて共締めする複数個の高力ボルト28と、箱体8の底壁板21とガセットプレート25との水平方向両端に溶接固着されていると共に、ガセットプレート25の鉛直方向長L1よりも長い鉛直方向長L2を有した一対の側端上フランジプレート29及び30と、ガセットプレート26の水平方向両端及び上端フランジプレート54に溶接固着されていると共に、ガセットプレート26の鉛直方向長L3よりも長い鉛直方向長L4を有した一対の側端下フランジプレート36及び37と、底壁板21の水平方向両端間において、底壁板21及びガセットプレート25に溶接固着された複数個の上補強リブプレート53と、ガセットプレート26の水平方向両端間において、上補強リブプレート53に対応させて且つガセットプレート26及び上端フランジプレート54に溶接固着された複数個の下補強リブプレート55とを具備している。
【0047】
下部スプライスプレート手段27は、ガセットプレート25及び26の夫々を間にしてこれらを挟持する少なくとも一対、本例では三対のスプライスプレート56、57及び58を具備しており、各対のスプライスプレート56、57及び58は、ガセットプレート25及び26の夫々の面43及び44に対面する面に高摩擦面59及び60を有した高摩擦鋼板からなり、高力ボルト28によりガセットプレート25及び26の夫々を挟圧して当該ガセットプレート25及び26の夫々に二面摩擦接合されて共締めされている。
【0048】
三対のスプライスプレート56、57及び58は、互いに離間して横方向に配列されており、水平方向両端のスプライスプレート56及び58は、主として箱体8の鉛直面内の曲げモーメントに抗するように、主として鉛直方向力に対して高摩擦抵抗を発現する高摩擦面59を有した高摩擦鋼板、具体的には、図7に示すように、鉛直方向に配列されていると共に、各々が水平方向に伸びた複数の凹凸61からなる高摩擦面59を有した高摩擦鋼板62からなり、水平方向両端のスプライスプレート56及び58の間に配された一対のスプライスプレート57は、主として箱体8の水平方向力に抗するように、主として水平方向力に対して高摩擦抵抗を発現する高摩擦面60を有した高摩擦鋼板、具体的には、図8に示すように、水平方向に配列されていると共に、各々が鉛直方向に伸びた複数の凹凸63からなる高摩擦面60を有した高摩擦鋼板64からなる。
【0049】
側端上フランジプレート29及び30の夫々の下端面67は、対応の側端下フランジプレート36及び37の上端面68に当接しており、ガセットプレート25及び26の互いに対面する下端面69及び上端面70間並びに上補強リブプレート53及び下補強リブプレート55の互いに対面する下端面及び上端面間には、隙間72が形成されるようになっている。
【0050】
下部固定手段7においては、高摩擦面59及び60を介して夫々高力ボルト28によりガセットプレート25及び26とスプライスプレート56、57及び58とを相互に二面高摩擦接合させているために、高力ボルト28による剪断耐力を増大でき、高力ボルト28の個数を低減できる。
【0051】
なお、ガセットプレート25及び26とスプライスプレート56、57及び58との間のいずれかに適宜高摩擦鋼板からなるフィラープレート(はさみ板)を介在させて、製造、施工誤差を吸収、補正するようにしてもよく、高力ボルト28が挿通されるスプライスプレート56、57及び58の貫通孔は、当該スプライスプレート56、57及び58に共締めされるガセットプレート25及び26に対して位置決め調節できるように、高力ボルト28に対して若干クリアランスをもった径を有して形成されていてもよい。斯かる貫通孔の形状としては、長孔が好ましいが、必ずしもこれに限定されない。また、位置決め調節のために、高力ボルト28に対して若干クリアランスをもった径を有した斯かる貫通孔を、スプライスプレート56、57及び58に穿孔する代わりに又はそれと共に、ガセットプレート25及び26に穿孔してもよいのは勿論である。
【0052】
上部固定手段10は、上支持手段5の下端フランジプレート48に溶接固着された上梁側ガセットプレート111と、上梁側ガセットプレート111と略同一鉛直平面内に配されていると共に、抵抗板フランジプレート34に溶接固着された抵抗板側ガセットプレート112と、上梁側ガセットプレート111及び抵抗板側ガセットプレート112の夫々に対面して配された上部スプライスプレート手段110と、上部スプライスプレート手段110を上梁側ガセットプレート111及び抵抗板側ガセットプレート112の夫々に摩擦接合させて共締めする複数個の高力ボルト117と、上梁側ガセットプレート111の水平方向両端間において、上梁側ガセットプレート111及び下端フランジプレート48の夫々に溶接固着された複数の補強リブプレート120と、上梁側ガセットプレート111の水平方向両端及び下端フランジプレート48に夫々溶接固着された一対の側端上フランジプレート121及び122と、抵抗板側ガセットプレート112及び抵抗板フランジプレート34の水平方向両端に夫々溶接固着された一対の側端下フランジプレート236及び237と、抵抗板側ガセットプレート112の水平方向両端間において、抵抗板側ガセットプレート112及び抵抗板フランジプレート34に夫々溶接固着された複数の補強リブプレート123とを具備している。
【0053】
上部スプライスプレート手段110は、上梁側ガセットプレート111及び抵抗板側ガセットプレート112の夫々を間にしてこれらを挟持する少なくとも一対、本例では三対のスプライスプレート114、115及び116を具備しており、各対のスプライスプレート114、115及び116は、上梁側ガセットプレート111及び抵抗板側ガセットプレート112の夫々の面126及び127に対面する面に高摩擦面125及び128を有した高摩擦鋼板からなり、高力ボルト117により上梁側ガセットプレート111及び抵抗板側ガセットプレート112の夫々を挟圧して当該上梁側ガセットプレート111及び抵抗板側ガセットプレート112の夫々に二面摩擦接合されて共締めされている。
【0054】
スプライスプレート56、57及び58の夫々と同様に形成された三対のスプライスプレート114、115及び116は、互いに離間して横方向に配列されており、水平方向両端のスプライスプレート114及び116は、主として抵抗板本体35の鉛直面内の曲げモーメントに抗するように、主として鉛直方向力に対して高摩擦抵抗を発現する高摩擦面125を有した高摩擦鋼板、具体的には、図7に示すように、複数の凹凸61からなる高摩擦面125を有した高摩擦鋼板62からなり、水平方向両端のスプライスプレート114及び116の間に配された一対のスプライスプレート115は、主として抵抗板本体35の水平方向力に抗するように、主として水平方向力に対して高摩擦抵抗を発現する高摩擦面128を有した高摩擦鋼板、具体的には、図8に示すように、複数の凹凸63からなる高摩擦面128を有した高摩擦鋼板64からなる。
【0055】
本例では、上梁側ガセットプレート111及び抵抗板側ガセットプレート112、側端上フランジプレート121及び122並びに側端下フランジプレート236及び237、補強リブプレート120及び123の互いに対面する下端面及び上端面間には、隙間129が形成されるようになっているが、下部固定手段7と同様に、側端上フランジプレート121及び122の下端面と側端下フランジプレート236及び237とを互いに当接させて、上部固定手段10を構成してもよい。
【0056】
上部固定手段10においても、上梁側ガセットプレート111と抵抗板側ガセットプレート112とを、高摩擦面を介して夫々高力ボルト117により二面高摩擦接合させているために、高力ボルト117による剪断耐力を増大でき、高力ボルト117の個数を低減できる。
【0057】
以上の制震壁1は、地震や風、交通振動等の振動に際して、箱体8と抵抗板11との間の相対的水平変位において箱体8内に収容された粘性体12に粘性剪断変形を生じさせて、この粘性剪断変形による減衰力により地震や風、交通振動等の振動を減衰させる。
【0058】
制震壁1では、箱体8が底壁板21を有し、底壁板21にガセットプレートが固着されているために、底壁板21により箱体8下部の密閉を確実に得ることができ、しかも、底壁板21とガセットプレートとの溶接による固着を強固にできる結果、面外方向の繰り返し応力によっても箱体8下部の密閉状態を確実に維持できて、而して、粘性体12の漏出の虞をなくし得、しかも、箱体8自体又は箱体8及び抵抗板11からなる組み合わせ体45自体を自立構造とすることができ、加えて、底壁板21に固着されたガセットプレート25と下支持手段4に固着されたガセットプレート26とが下部スプライスプレート手段27と共に高力ボルト28により共締めされるために、底壁板21を介して箱体8を十分な耐力をもって下支持手段4に強固に固定でき、加えて、面外方向幅(厚み)を小さくできて壁厚を狭くできる結果、広い部屋を提供できる。
【0059】
また、制震壁1では、高力ボルト28と二面摩擦接合とにより、箱体8を下支持手段4に極めて強固に固定でき、地震等に際する箱体8と抵抗板11との間の相対的水平変位において、箱体8及び抵抗板11に大きな水平力と曲げモーメントとが加わっても、それに基づく剪断力と引っ張り力とに十分な耐力を確保できる上に、高力ボルト28の本数を半減しても一面摩擦接合と同等若しくはそれ以上の強固な固定を実現でき、而して、大幅な作業工数の低減及びコストダウンを図ることができる上に、コンパクトな固定構造にできる結果、与えられた階高の中で、箱体8及び抵抗板11の夫々のための設置空間を大きくできて、大きな箱体及び抵抗板を用いることができ、而して制震性能をより高めることができる。
【0060】
更に制震壁1では、主として鉛直方向力に対して高摩擦抵抗を発現する高摩擦面59を有した高摩擦鋼板62から水平方向両端のスプライスプレート56及び58を構成し、主として水平方向力に対して高摩擦抵抗を発現する高摩擦面60を有した高摩擦鋼板64からスプライスプレート57を構成しているために、箱体8及び抵抗板11に加わる大きな水平力と曲げモーメントとに対する耐力を分担して効率よく且つ低コストでもって確保できる。
【0061】
加えて制震壁1では、その組み立て途中において、箱体8とガセットプレート25と側端上フランジプレート29及び30との組み合わせ体を、側端上フランジプレート29及び30を脚として一時的に垂直に立ておくこと、すなわち自立させることができ、組み立てが極めて容易になり、また、側端上フランジプレート29及び30の下端面67と対応の側端下フランジプレート36及び37の上端面68とを互いに当接させているので、この当接部位でも箱体8及び抵抗板11に加わる大きな曲げモーメントに対する耐力を得ることができ、しかも、ガセットプレート25の下端面69とガセットプレート26の上端面70との当接を回避でき、スプライスプレート56、57及び58を介するガセットプレート25及び26の相互の支持を安定して得ることができる。
【0062】
その上、制震壁1では、面外方向の多少の撓みを許容できるために、柔構造の建物に影響を与えることなしに、制震作用を効果的に発揮することができる。
【0063】
図1から図10に示す制震壁1では、抵抗板本体35と抵抗板本体35の上端に溶接固着された抵抗板フランジプレート34とを具備して抵抗板11を構成し、抵抗板本体35とは別体の抵抗板側ガセットプレート112を抵抗板フランジプレート34に溶接固着して上部固定手段10を構成したが、これに代えて、抵抗板フランジプレート34を省くと共に、上部が三対のスプライスプレート114、115及び116に挟まれるような抵抗板本体35を用いて、斯かる抵抗板本体35の上部を抵抗板側ガセットプレートとして上部固定手段10を構成してもよい。この場合、上部固定手段10の上梁側ガセットプレート111を抵抗板本体35と略同一鉛直平面内に配し、抵抗板本体35の上部からなる抵抗板側ガセットプレートと上梁側ガセットプレート111とを、スプライスプレート114、115及び116で挟んで、これらを高力ボルト117により共締めして二面摩擦接合させるとよい。また、抵抗板本体35の上部を抵抗板側ガセットプレートとして用いる場合、斯かる抵抗板本体35の上部からなる抵抗板側ガセットプレートに側端下フランジプレート236及び237並びに補強リブプレート123を溶接固着してもよいが、これら、特に補強リブプレート123を省いてもよい。
【0064】
なお、図11及び図12に示すように、側端上フランジプレート29から側端下フランジプレート36まで延在する側端スプライスプレート手段201と、側端スプライスプレート手段201を側端上フランジプレート29及び側端下フランジプレート36の夫々に共締めする高力ボルト202と、図示しないが、側端上フランジプレート30から側端下フランジプレート37まで延在する側端スプライスプレート手段201と同様の側端スプライスプレート手段と、この側端スプライスプレート手段を側端上フランジプレート30及び側端下フランジプレート37の夫々に共締めする高力ボルトとを更に具備して下部固定手段7を構成してもよく、この場合、側端スプライスプレート手段201は、側端上フランジプレート29及び側端下フランジプレート36の夫々に対面する面に高摩擦面203を有した高摩擦鋼板からなる側端スプライスプレート204を具備しており、側端上フランジプレート30及び側端下フランジプレート37側の側端スプライスプレート手段もまた、同様に、側端上フランジプレート30及び側端下フランジプレート37の夫々に対面する面に高摩擦面を有した高摩擦鋼板からなる側端スプライスプレートを具備している。
【0065】
図11及び図12に示す下部固定手段7を具備した制震壁1では、箱体8の底壁板21の水平方向両端間においても、箱体8及び抵抗板11に加わる大きな曲げモーメントに起因する引っ張り力に対して更に十分な耐力を確保でき、而して、箱体8を下支持手段4により強固に固定でき、しかも、これら耐力確保を少ない個数の高力ボルトで行うことができる。
【0066】
なお、図11及び図12に示す構成を更に具備した下部固定手段7では、側端スプライスプレート手段201を、一面摩擦接合を行わせるように一枚の側端スプライスプレート204で構成したが、これに代えて二面摩擦接合を行わせるように、側端上フランジプレート29及び側端下フランジプレート36を挟んで配される三枚又は四枚の側端スプライスプレートを具備して側端スプライスプレート手段201を構成してもよく、更に、図11及び図12に示す下部固定手段7と同様の構成を、上部固定手段10の側端上フランジプレート121及び122並びに側端下フランジプレート236及び237に関しても適用してもよい。
【0067】
また、制震壁1においては、一枚の幅広の抵抗板本体35を具備して抵抗板11を構成したが、これに代えて、複数枚、例えば図13に示すように、互いに隙間をもって対峙した二枚の幅広の抵抗板本体135及び136を具備して抵抗板11を構成してもよく、この場合には、抵抗板本体135及び136間の隙間に、当該抵抗板本体135及び136に対して隙間138をもって配されていると共に、底壁板21に固着された中間板137を更に具備して箱体8を構成し、抵抗板本体135及び136をその上端で抵抗板フランジプレート34に溶接固着して抵抗体11を構成し、中間板137と抵抗板本体135及び136との間の隙間138にも粘性体12を充填して、制震壁1を構成するとよい。
【0068】
図13に示す制震壁1では、上記の効果を同等に得ることができる上に、更に制震性能をより高めることができる。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、箱体下部の密閉を確実に強固に得ることができ、面外方向の繰り返し応力によっても箱体下部の密閉状態を維持できて、而して、粘性体の漏出の虞をなくし得、しかも、十分な耐力をもって下梁等の下支持手段に強固に固定でき、加えて、面外方向幅(厚み)を小さくできて壁厚を狭くできる結果、広い部屋を提供できる上に、箱体自体又は箱体及び抵抗板からなる組み合わせ体自体を自立構造とすることができる制震壁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施の形態の一例を示す正面図である。
【図2】図1に示すII−II線矢視断面図である。
【図3】(a)は、図1に示すIII−III線矢視断面、(b)は、図1に示す例の左側面図である。
【図4】図3の(a)の一部省略拡大説明図である。
【図5】図1に示す例のV−V線矢視断面図である。
【図6】図1に示すVI−VI線矢視断面図である。
【図7】(a)は、図1に示すスプライスプレートに用いられる高摩擦鋼板の説明図であり、(b)は、(a)に示す高摩擦鋼鈑の側面図である。
【図8】(a)は、図1に示すスプライスプレートに用いられる高摩擦鋼板の説明図であり、(b)は、(a)に示す高摩擦鋼鈑の底面図である。
【図9】図1に示す一部拡大説明図である。
【図10】図9に示すX−X線矢視断面図である
【図11】本発明の好ましい実施の形態の更に他の例を示す一部説明図である。
【図12】図11に示すXII−XII線矢視断面図である。
【図13】本発明の好ましい実施の形態の更に他の例を示す一部説明図である。
【符号の説明】
1 制震壁
4 下支持手段
5 上支持手段
6 開口
7 下部固定手段
8 箱体
9 隙間
11 抵抗板
12 粘性体
21 底壁板
25、26 ガセットプレート
27 下部スプライスプレート手段
28 高力ボルト

Claims (4)

  1. 建物壁における下支持手段及び上支持手段と、上部に開口を有すると共に下部に底壁板を有し、当該底壁板で下支持手段に下部固定手段を介して固定された少なくとも一つの箱体と、この箱体に対して隙間をもって当該箱体内に配されており、上部で上支持手段に上部固定手段を介して固定された抵抗板と、箱体と当該箱体内に配された抵抗板との間の隙間に充填された粘性体とを具備しており、下部固定手段は、箱体の底壁板に固着された第一のガセットプレートと、この第一のガセットプレートに対して略同一鉛直面内に配されると共に、下支持手段に固着された第二のガセットプレートと、第一及び第二のガセットプレートの夫々に対面して配された下部スプライスプレート手段と、下部スプライスプレート手段を第一及び第二のガセットプレートの夫々に共締めする高力ボルトとを具備しており、上端面で箱体の底壁に固着された第一のガセットプレートの下端面は、下端面で下支持手段に固着された第二のガセットプレートの上端面に隙間をもって対面しており、下部スプライスプレート手段は、水平方向の一端に配された第一の一対のスプライスプレートと、水平方向の他端に配された第二の一対のスプライスプレートと、水平方向において第一及び第二の一対のスプライスプレートの間に配された第三の一対のスプライスプレートとを有すると共に互いに離間して水平方向に配列された複数対のスプライスプレートを具備しており、第一及び第二の一対のスプライスプレートのうちの各スプライスプレートは、主として鉛直方向力に対して高摩擦抵抗を発現するように、鉛直方向に配列されていると共に各々水平方向に伸びた複数の凹凸からなる高摩擦面を有した高摩擦鋼板からなり、第三の一対のスプライスプレートのうちの各スプライスプレートは、主として水平方向力に対して高摩擦抵抗を発現するように、水平方向に配列されていると共に各々鉛直方向に伸びた複数の凹凸からなる高摩擦面を有した高摩擦鋼板からなり、下部スプライスプレート手段は、高摩擦面を互いに対面させた第一、第二及び第三の各対のスプライスプレートが第一及び第二のガセットプレートの夫々を挟圧するようにして、高力ボルトにより第一及び第二のガセットプレートの夫々に二面摩擦接合されて共締めされてなる制震壁。
  2. 下部固定手段は、箱体の底壁板と第一のガセットプレートとの水平方向両端に固着されていると共に、第一のガセットプレートの鉛直方向長よりも長い鉛直方向長を有した一対の側端上フランジプレートを具備している請求項1に記載の制震壁。
  3. 上支持手段は下端フランジプレートを具備しており、抵抗板は幅広の抵抗板本体を有しており、上部固定手段は、上支持手段の下端フランジプレートに固着されていると共に、抵抗板本体と略同一鉛直平面内に配された上梁側ガセットプレートと、抵抗板本体の上部からなる抵抗板側ガセットプレートと、上梁側ガセットプレート及び抵抗板側ガセットプレートの夫々に対面して配された上部スプライスプレート手段と、この上部スプライスプレート手段を上梁側ガセットプレート及び抵抗板側ガセットプレートの夫々に共締めする上部固定用の高力ボルトとを具備している請求項1又は2に記載の制震壁。
  4. 上支持手段は下端フランジプレートを具備しており、抵抗板は幅広の抵抗板本体と、この抵抗板本体の上端に固着された抵抗板フランジプレートとを具備しており、上部固定手段は、上支持手段の下端フランジプレートに固着された上梁側ガセットプレートと、この上梁側ガセットプレートと略同一鉛直平面内に配されていると共に、抵抗板フランジプレートに固着された抵抗板側ガセットプレートと、上梁側ガセットプレート及び抵抗板側ガセットプレートの夫々に対面して配された上部スプライスプレート手段と、この上部スプライスプレート手段を上梁側ガセットプレート及び抵抗板側ガセットプレートの夫々に共締めする上部固定用の高力ボルトとを具備している請求項1又は2に記載の制震壁。
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