JP3864362B2 - 粘弾性壁の設置構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄筋コンクリート造の既存建物に対して粘弾性壁を設置する場合に適用する粘弾性壁の設置構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、図3に示すように、建物に制振ダンパーとして設置する粘弾性壁Aが開発され、実用化されている。これは、柱1と梁2との間に壁として設置されるもので、複数枚の積層された鋼板3と、それらの間に介在する粘弾性体4からなるものである。図示例のものは、下側の梁2aに固定されて立ち上がる2枚の外鋼板3aと、上側の梁2bに固定されて立ち下がる1枚の内鋼板3bとの間に粘弾性体4を挟み込み、その粘弾性体4により外鋼板3aと内鋼板3bとを接着した構成とされている。このような構成の粘弾性壁Aでは、地震時に建物が層間変位した際に双方の鋼板3a,3bが面内で相対変位し、その際に生じる粘弾性体4の粘性抵抗力によって振動エネルギーを吸収して建物の振動を減衰させるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、既存建物の耐震性を向上させるために上記のような粘弾性壁Aを既存建物に設置しようとする場合、既存建物が鉄骨造の場合には図3に示しているように各鋼板3a,3bを上下の梁(鉄骨梁)2a,2bに対してボルト締結あるいは溶接により接合することで支障なく設置できるが、設置対象の既存建物が鉄筋コンクリート(RC)造の場合には、既存RC梁に対して鋼板3a,3bを強固に接合することは必ずしも容易ではないし、通常は既存RC梁自体を補強する必要も生じる。
【0004】
上記事情に鑑み、本発明は、RC造の既存建物に粘弾性壁を設置するに際して、既存RC梁の補強とそれへの粘弾性壁の接合を合理的に行い得る有効な構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、鋼板の間に粘弾性体を接着状態で挟み込んでなる粘弾性壁を鉄筋コンクリート造の既存建物の上下の梁の間に設置するための構造であって、前記上下の梁のそれぞれに補強構造体を装着してそれら補強構造体に対して前記各鋼板を接合することとし、前記補強構造体は、前記梁のほぼ全長にわたる長さとされかつ幅寸法が梁幅よりも大きい補強材を該梁の上部および下部にそれぞれ配設するとともに、それら補強材どうしを連結する締結具を該梁の両側部に添わせかつ該梁に連なるスラブを貫通せしめて配設して、該締結具により双方の補強材の両側部どうしを緊結することで、それら補強材により該梁を上下から挟持して補強する構成とし、前記補強構造体は、前記梁の上部に配設される上部補強材として帯鋼を用いるとともに、前記梁の下部に配設される下部補強材としてH形鋼を用いて、前記締結具の上下両端部をそれぞれ前記帯鋼の両側部と前記H形鋼の上フランジの両側部に対して定着してなり、該補強構造体における上部補強材としての前記帯鋼の上面、および下部補強材としての前記H形鋼の下フランジの下面に対して、前記粘弾性壁の各鋼板の下部および上部をそれぞれ接合する構成としたものである。前記締結具としてはPC鋼棒を用いることが好適である。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1および図2は本発明の実施形態を示すものである。本実施形態は、既存のRC造建物における上下の梁(RC梁)10a,10bの間に、図3に示した構成の粘弾性壁Aを設置する場合に適用したもので、上下の梁10a,10bのそれぞれに補強構造体11a,11bを装着し、それら補強構造体11a,11bに対して粘弾性壁Aの各鋼板3a,3bを接合するようにしたものである。
【0007】
補強構造体11a,11bは、梁10a,10bの上部に配設される上部補強材12と、梁10a,10bの下部に配設される下部補強材13と、それらを緊結する締結具14からなる。上部補強材12は厚肉の帯鋼からなり、下部補強材13はH形鋼からなるもので、それらはいずれも梁10a、10bのほぼ全長にわたる長さとされかつ幅寸法が梁幅よりもやや大きくされている。締結具14は梁10a,10bに連なるスラブ15を貫通してそれら梁10a、10bの両側部に添って所定間隔で多数配設され、上部補強材12と下部補強材13の両側部どうし、すなわち上部補強材12としての帯鋼の両側部と下部補強材13としてのH形鋼の上フランジの両側部どうしを緊結している。この締結具14としてはPC鋼棒が用いられ、それら締結具14の両端をナット16により各補強材12,13に対して定着することで補強材12,13により梁10a,10bを上下から強固に挟持したものとなっている。
【0008】
そして、下側の梁10aに装着した補強構造体11aの上部補強材12としての帯鋼の上面に対して粘弾性壁Aの外鋼板3aの下端部を溶接して接合し、上側の梁10bに装着した補強構造体11bの下部補強材13としてのH形鋼の下フランジの下面に対して粘弾性壁Aの内鋼板3bの上端部をボルト締結あるいは溶接により接合し、これによりそれら梁10a,10bの間に粘弾性壁Aが設置されている。なお、各補強構造体11a,11bにおける下部補強材13であるH形鋼の高さ寸法は、梁下寸法と粘弾性壁Aの高さ寸法に応じて適宜調節すれば良い。
【0009】
上記の設置構造によれば、PC鋼棒からなる締結具14により上下の補強材12,13を緊結する構成の補強構造体11a,11bによって各梁10a,10bに対する補強効果が得られるとともに、それら補強構造体11a,11bの補強材12,13に対して粘弾性壁Aの各鋼板3a,3bを支障なくしかも容易に接合することができるので、きわめて合理的である。
【0010】
なお、締結具14としては所望の緊結力が確保できればPC鋼棒以外のものも採用可能であるし、その所要本数は所望の緊結力が得られるように設定すれば良い。
【0011】
【発明の効果】
本発明によれば、粘弾性壁を接合するべき既存のRC梁に対して補強構造体を装着し、それら補強構造体に対して粘弾性壁の各鋼板を接合するので、粘弾性壁の各鋼板を補強構造体を介して梁に対して強固にかつ支障なく接合することができることはもとより、補強構造体は梁の上下に配した補強材を締結具により緊結する構成であるので、この補強構造体による梁に対する補強効果が併せて得られるから、きわめて合理的である。
特に、補強構造体における上部補強材および下部補強材として帯鋼およびH形鋼を用いて、それら帯鋼の両側部とH形鋼の上フランジの両側部どうしを締結具により緊結する構成により、それら帯鋼とH形鋼と締結具により梁全体を取り囲む状態で補強するので十分な補強効果が確保できるばかりでなく、帯鋼の上面やH形鋼の下フランジの下面に対する粘弾性壁の各鋼板の接合も何等支障なくしかも容易に行うことができる。
さらに、下部補強材としてH形鋼を用いたことにより、そのH形鋼の高さ寸法を梁下寸法と粘弾性壁の高さ寸法に応じて自由に調節することができる利点もある。
また、締結具としてPC鋼棒を用いれば自ずと十分な緊結力を確保し得て補強効果に優れる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態を示す側断面図である。
【図2】 同、正面図である。
【図3】 鉄骨造建物に対する粘弾性壁の設置構造の例を示す図である。
【符号の説明】
A 粘弾性壁
3a、3b 鋼板
4 粘弾性体
10a,10b 梁
11a,11b 補強構造体
12 上部補強材(帯鋼)
13 下部補強材(H形鋼)
14 締結具
15 スラブ
Claims (2)
- 鋼板の間に粘弾性体を接着状態で挟み込んでなる粘弾性壁を鉄筋コンクリート造の既存建物の上下の梁の間に設置するための構造であって、
前記上下の梁のそれぞれに補強構造体を装着してそれら補強構造体に対して前記各鋼板を接合することとし、
前記補強構造体は、前記梁のほぼ全長にわたる長さとされかつ幅寸法が梁幅よりも大きい補強材を該梁の上部および下部にそれぞれ配設するとともに、それら補強材どうしを連結する締結具を該梁の両側部に添わせかつ該梁に連なるスラブを貫通せしめて配設して、該締結具により双方の補強材の両側部どうしを緊結することで、それら補強材により該梁を上下から挟持して補強する構成とし、
前記補強構造体は、前記梁の上部に配設される上部補強材として帯鋼を用いるとともに、前記梁の下部に配設される下部補強材としてH形鋼を用いて、前記締結具の上下両端部をそれぞれ前記帯鋼の両側部と前記H形鋼の上フランジの両側部に対して定着してなり、
該補強構造体における上部補強材としての前記帯鋼の上面、および下部補強材としての前記H形鋼の下フランジの下面に対して、前記粘弾性壁の各鋼板の下部および上部をそれぞれ接合してなることを特徴とする粘弾性壁の設置構造。 - 前記締結具としてPC鋼棒を用いることを特徴とする請求項1記載の粘弾性壁の設置構造。
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