JP5275545B2 - 耐震壁およびその構築方法 - Google Patents

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Description

本発明は、軽量でありながら十分な耐震強度を発揮させることが可能であるとともに、居ながらで施工することが可能な耐震壁およびその構築方法に関する。
既存建築物を耐震補強する耐震壁に、エレメントやブロックなどの要素を用いるようにしたものとして、特許文献1や特許文献2が知られている。
特許文献1は、構造物を構成する柱と梁で囲まれた空間部に、複数個の矩形状の耐震エレメントを配置する。耐震エレメントはFRPからなり、平面部とフランジ部を有する。フランジ部に設けられたボルトナットにより、耐震エレメントは互いに隣接して結合され、全体として耐震壁を構成する。
特許文献2は、鉄製の短い角筒体からなる多数のブロックを、左側及び右側の既存柱と上側及び下側の既存梁とで囲まれる空間内に、各ブロックの端面が略面一になるように、積み重ねて仕切りをつくり、ブロック内にはモルタル、コンクリート等の充填材を充填し、この仕切りを構成する多数のブロックの既存柱及び既存梁に面する部分を既存柱及び既存梁に接合し、かつ隣接する多数のブロックの互いに対面する部分同士をボルトナットで互いに接合して耐力壁とする。
特開平7−150655号公報 特開平11−71907号公報
特許文献1にあっては、平面部をフランジ部で取り囲んだ矩形状のFRP製エレメントをボルトナットで縦横に配列して耐震壁を構成するため、ボルトナット部分でFRP製エレメント相互の結合が壊れ易いことが懸念され、地震時等に柱および梁に作用する水平応力に対して十分な耐震強度を確保するのが困難であった。また、特許文献2では、鉄製の角筒体からなる多数のブロックをボルトナットで縦横に結合し、その後この角筒体のブロック内方にモルタル、コンクリート等の充填材を充填するようにしているため、既存柱・梁で囲まれる空間内の鉄量およびコンクリート量が多くて、構造物の重量増加を招くとともに、またブロック内への充填材の充填作業が煩雑であるという課題があった。
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、軽量でありながら十分な耐震強度を発揮させることが可能であるとともに、居ながらで施工することが可能な耐震壁およびその構築方法を提供することを目的とする。
本発明にかかる耐震壁は、柱と梁で区画される開口部分に構築される耐震壁であって、プレキャストコンクリート製パネルと、X字状に形成され、上記パネル内部に設けられる鋼板製ブレースエレメントとを備えると共に、上記開口部分に縦横に複数配設され、上記パネルにはその四隅に凹み部を形成し、上記ブレースエレメントを、隣接する他のパネルのブレースエレメントと接合するための接合部は、上記パネルの上記凹み部から突出させる形態で、該ブレースエレメントの端部を該パネルから露出させることによって形成し、水平力に対して強度を確保するために、上記パネルが、当該パネルの上記凹み部から突出する上記接合部を有する上記ブレースエレメントの座屈を防止し、該ブレースエレメントが圧縮力・引張力双方を負担する壁ユニットと、ベース部と該ベース部から折り曲げられたブラケット部とから断面L字形状に形成され、横方向に隣接する上記壁ユニット同士を接合するために、該ブラケット部が、隣接する該壁ユニットの上記凹み部に跨がる大きさで形成されて、それらの上記接合部を表裏から挟み込んで当該接合部を介して締結されるように、かつ、該壁ユニットを上記開口部分の上記梁へ接合する際の幅広な接合面を形成するために、該ベース部が並設されるように、該梁と該壁ユニットとの間に一対で配置される第1接合金物と、上記壁ユニットが突き合わされる箇所に用いられ、これら壁ユニットの上記凹み部にわたる大きさで形成されてそれらの上記接合部を表裏から挟み込んで一対で配設されて、当該接合部を介して締結されることで該壁ユニットを互いに接合する平板状の第2接合金物と、これら壁ユニットと上記柱との間及び上記ベース部と上記梁との間に充填される接着材とからなることを特徴とする。
前記ブレースエレメントは、X字状を形成する一方の斜材に対し、他方の斜材が異なる強度で形成され、前記壁ユニットは、同じ強度の斜材同士が互いに接合されるように配列されることを特徴とする。
前記パネルには、ワイヤーメッシュが埋設されていることを特徴とする。
前記パネルは、普通コンクリートに比べて軽量のコンクリートで形成されることを特徴とする。
前記ブレースエレメントは、前記パネルを形成するコンクリート中に埋設されて当該パネルと一体成形されることを特徴とする。
前記ブレースエレメントは、コンクリートに定着される定着部を有することを特徴とする。
前記パネルは、互いに重ね合わされて接合される一対のプレキャストコンクリート製パネルピースから構成され、前記ブレースエレメントは、これらパネルピース間に挟み込んで設けられることを特徴とする。
本発明にかかる耐震壁の構築方法は、柱と梁で区画される開口部分に構築される耐震壁であって、柱と梁で区画される開口部分に上記の耐震壁を構築する方法であって、前記開口部分に縦横に前記壁ユニットを配設する工程と、上記壁ユニットの前記接合部同士を前記第1接合金物及び第2接合金物で互いに接合する工程と、これら壁ユニットと上記柱との間及び上記ベース部と上記梁との間に接着材を充填する工程とを備えることを特徴とする。
本発明にかかる耐震壁およびその構築方法にあっては、軽量でありながら十分な耐震強度を発揮させることができるとともに、居ながらで施工することができる。具体的には、壁ユニットを、鋼板製ブレースエレメントとプレキャストコンクリート製パネルとを複合させて構成し、さらに、パネルに形成した凹み部から突出させる形態で、ブレースエレメントの端部をパネルから露出させることによって接合部を形成し、パネルでブレースエレメントの座屈を防止し、ブレースエレメントに圧縮力・引張力双方を負担させて、水平力に対する強度を確保するようにしていて、パネルのコンクリートによって鋼板製のブレースエレメントの座屈が防止されて、当該ブレースエレメントによって圧縮力・引張力双方を負担させて、軽量でありながら、水平力に対して十分に有効な強度を確保することができる。すなわち、地震等により耐震壁に水平応力が作用すると、ブレースエレメントには圧縮応力および引張応力が発生し、この際パネルは、圧縮応力によってブレースエレメントが座屈されるのを防止することができる。そして、壁ユニットが鋼板製ブレースエレメントとコンクリートパネルの複合構成であって、当該ブレースエレメントによって相当の強度が得られることから、パネルを構成するコンクリートとしては、発泡コンクリートや軽量コンクリートなどの普通コンクリートに比べて軽量のコンクリートを採用することができる。ブレースエレメントが埋設されるパネルなので、パネルを形成するコンクリートとしてはブレースエレメントの座屈を防止できればよく、パネル厚さを薄くすることができて、コストダウンを達成することができる。また、壁ユニットは、軽量であることから、施工性を向上できるともに、建物への重量負担を軽減することができる。さらに、一対のベース部が並設され、これらベース部により、壁ユニットを開口部分の梁へ接合する際の幅広な接合面を形成できる。そしてこれにより、壁ユニットを薄く形成しても、壁ユニットの厚さ設定とは別に、第1接合金物によって梁に対する広範な接着面を形成することが可能であり、これにより壁ユニットの梁に対する十分な接合強度を確保することができる。また、第1接合金物のベース部と梁との間に接着材を充填し、当該第1接合金物を介して梁に壁ユニットを接合することにより、第1接合金物が梁からの水平方向のせん断力を受けるようにしていて、第1接合金物が受けたせん断力を、ブラケット部を介して、壁ユニットのブレースエレメントの端部(接合部)に直接伝達することができる。
以下に、本発明にかかる耐震壁およびその構築方法の好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。本実施形態にかかる耐震壁に用いられる壁ユニット1は基本的には、図1および図2に示すように、柱2と梁3で区画される開口部分4に複数配設されて耐震壁5を構成する壁ユニットであって、プレキャストコンクリート製パネル6と、X字状に形成され、パネル6内部に設けられる鋼板製ブレースエレメント7とを備え、パネル6にはその四隅に凹み部11を形成し、ブレースエレメント7を、隣接する他のパネル6のブレースエレメント7と接合するための接合部8は、パネル6の凹み部11から突出させる形態で、ブレースエレメント7の端部をパネル6から露出させることによって形成し、水平力に対して強度を確保するために、パネル6が、当該パネル6の凹み部11から突出する接合部8を有するブレースエレメント7の座屈を防止し、ブレースエレメント7が圧縮力・引張力双方を負担する構成を備える。また、本実施形態にかかる耐震壁5は、柱2と梁3で区画される開口部分4に構築される耐震壁であって、開口部分4に縦横に配設される上記壁ユニット1と、壁ユニット1の接合部8を互いに接合する接合金物9,10と、これら壁ユニット1と柱2や梁3との間に充填される接着材Zとからなる。本実施形態にあっては、壁ユニット1相互間にも接着材Zが充填されるようになっている。
図2には、壁ユニット1が示されている。図2(a)は壁ユニット1の正面図、図2(b)は図2(a)中、A−A線矢視断面図、図2(c)は図2(a)中、B−B線矢視断面図、図2(d)は図2(a)中、C−C線矢視断面図である。壁ユニット1は主に、矩形平板状のプレキャストコンクリート製パネル6と、パネル6内部に設けられる鋼板製ブレースエレメント7と、ブレースエレメント7を、他のパネル6のブレースエレメント7と接合するための接合部8とを備えて構成される。パネル6には、その四隅に凹み部11が形成される。
ブレースエレメント7は、矩形平板状のパネル6の対角線方向に沿って、帯状の斜材7aをX字状に組んで形成される。X字状に組むにあたっては、2通りの方法を採用することができる。一つは、パネル6の対角線方向に沿って凹み部11に達する長さの2枚の長尺な帯状斜材7aを用意し、これらの板面を重ね合わせて溶接接合する。もう一つは図示するように、パネル6の対角線方向に沿って凹み部11に達する長さの1枚の長尺な帯状斜材7aと、この長尺な帯状斜材7aを挟む配置で当該帯状斜材7aの側縁からそれぞれパネル6の対角線方向に沿って凹み部11まで達する2枚の短尺な帯状斜材7aを用意し、各短尺な帯状斜材7aを長尺な帯状斜材7aの側縁に溶接接合する。後者の場合には、ブレースエレメント7は平坦に形成される。
接合部8は、各凹み部11に露出されるブレースエレメント7の端部で形成される。従って、各壁ユニット1には、四隅に4箇所の接合部8が形成される。接合部8における隣接するパネル6のブレースエレメント7との接合は、溶接接合など様々な接合方法を採用することができる。本実施形態にあっては、高力ボルトを用いた接合の例が示されている。ブレースエレメント7には、帯状斜材7aの適宜箇所に、パネル6のコンクリートに定着される定着部12が設けられる。本実施形態にあっては、定着部12は、帯状斜材7aに形成したボルト孔にボルト・ナットを締結することにより、その表裏面に突出する突起として構成されている。
このように構成されるブレースエレメント7は、その端部が凹み部11から突出される形態で、パネル6を形成するコンクリート中に埋設されて当該パネル6と一体化される。ブレースエレメント7は、パネル6の厚さ方向中央に位置させて埋設される。また、パネル6内には、ブレースエレメント7を挟み込んで、一対の補強用のワイヤーメッシュ13が埋設される。
このような壁ユニット1は、工場や現場などで予め製造される。壁ユニット1の製造については、例えば壁ユニット1を横向きに寝かせて横打ちで形成する場合には、図示しない型枠内に順次、型枠の底部から浮かせて一方のワイヤーメッシュ13を配設し、次いで、型枠底部から支持して、当該ワイヤーメッシュ13上方のパネル6の厚さ方向ほぼ中央に位置させて、定着部12を有するブレースエレメント7を配設し、その後、ブレースエレメント7から浮かせて他方のワイヤーメッシュ13を配設するとともに、凹み部11を形成する位置に箱抜き型枠を設け、この状態で型枠内にコンクリートを打設することで、ブレースエレメント7を一体に備えるプレキャストコンクリート製パネル6を形成するようにする。
これにより、定着部12がコンクリートに定着した状態で、ブレースエレメント7がコンクリート中に一体的に埋設され、また、コンクリートはワイヤーメッシュ13で補強された壁ユニット1が製造される。壁ユニット1の製造は、もちろん縦打ちであってもよい。
壁ユニット1は、図3に示すようにして製造してもよい。図3(a)は壁ユニット1の正面図、図3(b)は壁ユニット1の組み立て状態を示す側断面図、図3(c)は図3(a)中、D−D線矢視断面図である。この壁ユニット1では、パネル6は、互いに重ね合わされて接合される一対のプレキャストコンクリート製パネルピース6a,6bで形成される。各パネルピース6a,6bは、おおよそパネル6厚さの半分の厚さで形成される。これらパネルピース6a,6bには、ブレースエレメント7を避けた適宜位置に、複数のボルト挿通孔14が形成される。またいずれか一方のパネルピース6aには、ボルト挿通孔14の形成位置に対応させて、ブレースエレメント7の厚さ相当の突起15が形成される。そして、ブレースエレメント7を挟み込んでこれらパネルピース6a,6bを重ね合わせ、ボルト挿通孔14に挿通したボルト16に螺合させたナット17でパネル6a,6b同士を締結する。壁ユニット1は、このように組み立て式としてもよいことはもちろんである。
壁ユニット1が鋼板製ブレースエレメント7とコンクリートパネル6の複合構成であって、当該ブレースエレメント7によって相当の強度が得られることから、パネル6を構成するコンクリートとしては、発泡コンクリートや軽量コンクリートなどの普通コンクリートに比べて軽量のコンクリートを採用することができる。しかしながら、普通コンクリートや高強度コンクリートを用いてもよいことはもちろんである。
さらに、これら壁ユニット1を結合する第1接合金物9の一例が図4に示されている。この第1接合金物9は、図1および図2に示すように、横方向に隣接する壁ユニット1同士を接合するために使用される。第1接合金物9は、壁ユニット1二枚分の長さ寸法を有するベース部9aと、ベース部9aから折り曲げられた2つのブラケット部9bとから構成され、ベース部9aとブラケット部9bの折り曲げ部分で断面L字形状に形成される。2つのブラケット部9bは、ベース部9aの両端それぞれから等距離であって、1枚の壁ユニット1の凹み部11間寸法の間隔を隔てて設けられ、隣接する2枚の壁ユニット1の凹み部11に跨る大きさで形成される。
第1接合金物9は、そのブラケット部9bでブレースエレメント7端部の接合部8をその表裏から挟み込むように、一対配設され、接合部8を介してこれら一対のブラケット部9b同士がボルト・ナットで締結されることで、横方向に隣接する壁ユニット1が互いに結合される。また一対のブラケット部9b同士の締結により、一対のベース部9aが並設され、これらベース部9aにより、壁ユニット1を開口部分4の柱2や梁3へ接合する際の幅広な接合面が形成される。開口部分4の隅角部に配設される各壁ユニット1に対しては、壁ユニット1の半分の長さのベース部の一端にブラケット部が形成された短尺な第1接合金物が用いられる。従って、開口部分4を構成する梁3と壁ユニット1との間には、第1接合金物9が配置される。他方、柱2と壁ユニット1とは、互いに当接される。
4枚の壁ユニット1が突き合わされる箇所については、4つの凹み部11にわたる大きさの平板状の第2接合金物10として用いられる。この第2接合金物10が接合部8をその表裏から挟み込むように一対配設され、接合部8を介してこれら一対の第2接合金物10同士がボルト・ナットで締結されることで、4枚の隣接する壁ユニット1が互いに結合される。
次に、本実施形態にかかる耐震壁5の構築方法について説明すると、柱2と梁3で区画される開口部分4に耐震壁5を構築する方法であって、上記壁ユニット1を用い、開口部分4に縦横に壁ユニット1を配設する工程と、壁ユニット1の接合部8同士を接合金物9,10で互いに接合する工程と、これら壁ユニット1と柱2や梁3との間に無収縮モルタルやエポキシ樹脂などの接着材Zを充填する工程とを備える。本実施形態では、壁ユニット1相互間にも接着材Zが充填される。
耐震壁5を構築するにあたっては、工場や現場等で別途予め製造した壁ユニット1を搬入するとともに、各種接合金物9,10を搬入する。そして例えば、開口部分4の下側梁3上面に沿って、第1接合金物9を敷き詰め、その上に、壁ユニット1を建て込む。そしてこれら壁ユニット1を第1接合金物9に接合することで、壁ユニット1同士を接合する。このような作業を、梁3に沿って開口部分4の横方向に繰り返すとともに、柱2に沿って開口部分4の高さ方向に壁ユニット1を建て込むことで、第2接合金物10を用いつつ、開口部分4に壁ユニット1を縦横方向に配列して耐震壁5を構築する。また、第1接合金物9のベース部9aと梁3との間に接着材Zを充填し、当該第1接合金物9を介して梁3に壁ユニット1を接合する。他方、柱2と壁ユニット1との間にも接着材Zを充填することで、柱2に対しては壁ユニット1を直付けする。さらに、壁ユニット1相互間にも接着材Zを充填する。これにより開口部分4に耐震壁5を構築することができる。
このように壁ユニット1を配列すると、斜め方向に隣接する壁ユニット1同士の鋼板製ブレースエレメント7が第2接合金物10を介して一連に連結されて、開口部分4内に柱2および梁3間にわたって、多数のブレース構造を構築することができる。
以上説明した本実施形態にかかる耐震壁5およびその構築方法にあっては、壁ユニット1を、鋼板製であって肉厚の薄いブレースエレメント7とプレキャストコンクリート製パネル6とを複合させて構成したので、背景技術のようなFRP製エレメント単体や鉄製角筒体内にコンクリート等を充填するものに比べて、十分な強度を確保しつつ鉄量やコンクリート量を減らすことができるとともに、コンクリートによって鋼板製のブレースエレメント7の座屈が防止されて、当該ブレースエレメント7によって圧縮力・引張力双方を負担させて、軽量でありながら、水平力に対して十分に有効な強度を確保することができる。
本実施形態にあっては、壁ユニット1相互間に接着材Zを充填するようにしているが、充填しなくてもよい。壁ユニット1相互間に接着材Zを充填しない場合には、耐震壁5に作用する水平応力をブレースエレメント7で負担する構成となる。この場合、地震等により耐震壁5に水平応力が作用すると、ブレースエレメント7には圧縮応力および引張応力が発生し、この際パネル6は、圧縮応力によってブレースエレメント7が座屈されるのを防止する役割を果たす。
本実施形態のように、壁ユニット1相互間に接着材Zを充填した場合には、耐震壁5を構成する複数の壁ユニット1が一体化され、耐震壁5に作用する水平応力を、ブレースエレメント7およびパネル6で負担する構成となる。この場合には、パネル6に、圧縮応力によるブレースエレメント7の座屈を防止する役割だけでなく、耐震壁5に作用する圧縮力も負担させることができることから、壁ユニット1相互間に接着材Zを充填しない場合に比べて、有利となる。
そして本実施形態にかかる壁ユニット1は、軽量であることから、施工性を向上できるともに、建物への重量負担を軽減することができる。また、接合部8を備えて、隣接する壁ユニット1と結合して開口部分4に配設するようにしたので、壁ユニット1単体の大きさを小さくすることができ、可搬性に富むとともに、施工性を向上することができる。
また、パネル6内にワイヤーメッシュ13を埋設したので、コンクリートのひび割れを抑制して、壁ユニット1単体の強度を向上することができる。ブレースエレメント7が埋設されるパネル6なので、パネル6を形成するコンクリートとしてはブレースエレメント7の座屈を防止できればよく、パネル6厚さを薄くすることができて、コストダウンを達成することができる。ブレースエレメント7をパネル6中に一体的に埋設して形成したので、現場に搬入すれば直ちに設置施工することができ、施工性を向上することができる。ブレースエレメント7に定着部12を設けたので、ブレースエレメント7とパネル6間での応力伝達作用を適切に確保することができるとともに、壁ユニット1の剛性が上がり、耐震壁5の耐震性能を向上させることができる。
本実施形態にあっては、ブレースエレメント7に定着部12を設けて、ブレースエレメント7とパネル6間での応力伝達作用を確保する構成としているが、耐震壁5に作用する水平応力を主としてブレースエレメント7に負担させる場合、あるいは耐震壁5に作用する水平応力によりパネル6とブレースエレメント7との間にせん断作用が生じ当該定着部12によってパネル6の破壊が想定される場合には、定着部12を省略してもよい。定着部12を設けない場合には、ブレースエレメント7に絶縁材を塗布するなどの適切な絶縁手段によって、ブレースエレメント7とパネル6との間を縁切りするとさらによい。
他方、パネル6を一対のプレキャストコンクリート製パネルピース6a,6bで構成し、ブレースエレメント7をこれらパネルピース6a,6b間に挟み込む組み立て式とすれば、現場への壁ユニット1の搬入を軽量な各部品ごとに行うことができて、搬入操作性を向上することができ、既設の建物であっても、エレベータなどを利用して手軽に運搬することができる。
また、耐震壁5およびその構築方法にあっては、壁ユニット1同士はボルト・ナットで締結する一方で、壁ユニット1と開口部分4の柱2や梁3との間は、接着材Zを充填して接合するだけでよいので、騒音や振動、粉塵発生が少なく、居ながらで耐震壁5を施工することができる。また、壁ユニット1を薄く形成しても、壁ユニット1の厚さ設定とは別に、第1接合金物9によって梁3に対する広範な接着面を形成することが可能であり、これにより壁ユニット1の梁3に対する十分な接合強度を確保することができる。
図5には、上記実施形態の変形例が示されている。この変形例にあっては、ブレースエレメント7に関し、X字状を形成する一方の斜材7aに対し、他方の斜材7aが異なる強度で形成される。そして、壁ユニット1は、同じ強度の斜材7a同士が接合部8を介して一方向に一連に接合されるように、開口部分4内に配列される。図示例にあっては、左上隅の壁ユニット(図中、Xで示す)の一対の斜材7aのうち、右下がりの斜材(図中、Yで示す)が、左下がりのものよりも高強度の鋼板材で形成され、当該壁ユニット1の右斜め下の壁ユニット(図中、X1で示す)にあっては、当該斜材Yと結合される右下がりの斜材(図中、Y1で示す)が、斜材Yと同じ高強度の鋼板材で形成され、上梁3から下梁3にわたる一連の高強度なブレース構造が構成されている。図示例にあっては、高強度なブレース構造がW字状に形成されている。
このような異強度の斜材7aは、壁ユニット1同士の結合によって互いに連結される形態で、開口部分4に必要な強度に応じて適用すればよく、X字状であってもよい。このようにすることで、壁ユニット1で耐震壁5を構築しつつ、適宜箇所に、特別に強力なブレース作用を確保することができる。斜材7aの強度を変える手段としては、部材の厚さや幅などの断面形状、材質など、様々な方法を採用することができる。このような変形例にあっても、上記実施形態と同様な作用・効果を奏することはもちろんである。
本発明にかかる耐震壁およびその構築方法の好適な一実施形態を示す柱・梁架構の開口部分の正面図である。 図1に示した壁ユニットを説明するための説明図である。 図2に示した壁ユニットの変形例を説明するための説明図である。 図1に示した耐震壁に用いられる第1接合金物の正面図である。 図1の耐震壁およびその構築方法の実施形態の変形例を示す柱・梁架構の開口部分の正面図である。
1 壁ユニット
2 柱
3 梁
4 開口部分
5 耐震壁
6 プレキャストコンクリート製パネル
6a,6b プレキャストコンクリート製パネルピース
7 鋼板製ブレースエレメント
7a 斜材
8 接合部
9,10 接合金物
12 定着部
13 ワイヤーメッシュ
Z 接着材

Claims (8)

  1. 柱と梁で区画される開口部分に構築される耐震壁であって、
    プレキャストコンクリート製パネルと、X字状に形成され、上記パネル内部に設けられる鋼板製ブレースエレメントとを備えると共に、上記開口部分に縦横に複数配設され、上記パネルにはその四隅に凹み部を形成し、上記ブレースエレメントを、隣接する他のパネルのブレースエレメントと接合するための接合部は、上記パネルの上記凹み部から突出させる形態で、該ブレースエレメントの端部を該パネルから露出させることによって形成し、水平力に対して強度を確保するために、上記パネルが、当該パネルの上記凹み部から突出する上記接合部を有する上記ブレースエレメントの座屈を防止し、該ブレースエレメントが圧縮力・引張力双方を負担する壁ユニットと、
    ベース部と該ベース部から折り曲げられたブラケット部とから断面L字形状に形成され、横方向に隣接する上記壁ユニット同士を接合するために、該ブラケット部が、隣接する該壁ユニットの上記凹み部に跨がる大きさで形成されて、それらの上記接合部を表裏から挟み込んで当該接合部を介して締結されるように、かつ、該壁ユニットを上記開口部分の上記梁へ接合する際の幅広な接合面を形成するために、該ベース部が並設されるように、該梁と該壁ユニットとの間に一対で配置される第1接合金物と、
    上記壁ユニットが突き合わされる箇所に用いられ、これら壁ユニットの上記凹み部にわたる大きさで形成されてそれらの上記接合部を表裏から挟み込んで一対で配設されて、当該接合部を介して締結されることで該壁ユニットを互いに接合する平板状の第2接合金物と、
    これら壁ユニットと上記柱との間及び上記ベース部と上記梁との間に充填される接着材とからなることを特徴とする耐震壁。
  2. 前記ブレースエレメントは、X字状を形成する一方の斜材に対し、他方の斜材が異なる強度で形成され、前記壁ユニットは、同じ強度の斜材同士が互いに接合されるように配列されることを特徴とする請求項1に記載の耐震壁。
  3. 前記パネルには、ワイヤーメッシュが埋設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の耐震壁
  4. 前記パネルは、普通コンクリートに比べて軽量のコンクリートで形成されることを特徴とする請求項1〜3いずれかの項に記載の耐震壁
  5. 前記ブレースエレメントは、前記パネルを形成するコンクリート中に埋設されて当該パネルと一体成形されることを特徴とする請求項1〜4いずれかの項に記載の耐震壁
  6. 前記ブレースエレメントは、コンクリートに定着される定着部を有することを特徴とする請求項1〜5いずれかの項に記載の耐震壁
  7. 前記パネルは、互いに重ね合わされて接合される一対のプレキャストコンクリート製パネルピースから構成され、前記ブレースエレメントは、これらパネルピース間に挟み込んで設けられることを特徴とする請求項1〜4いずれかの項に記載の耐震壁
  8. 柱と梁で区画される開口部分に請求項1〜7いずれかの項に記載の耐震壁を構築する方法であって、
    前記開口部分に縦横に前記壁ユニットを配設する工程と、
    上記壁ユニットの前記接合部同士を前記第1接合金物及び第2接合金物で互いに接合する工程と、
    これら壁ユニットと上記柱との間及び上記ベース部と上記梁との間に接着材を充填する工程とを備えることを特徴とする耐震壁の構築方法。
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