JP4651788B2 - カウルパネル・フロントバルクヘッド構造 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等車両のフロントガラスの前方に配置されボンネット後端部を支持するカウルトップガーニッシュと該カウルトップガーニッシュを取着するフロントバルクヘッドを備えるカウルパネル・フロントバルクヘッド構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車等車両のフロントガラスの前方に配置されボンネット後端部を支持して雨水の樋部材を構成するカウルパネルすなわちカウルトップガーニッシュは、第1従来例として示す図10のような構造をしている。図10に示すものは特許第2976528号公報に開示されたもので、これを簡単に説明すると第1の部材109と第2の部材111とカウルトップパネル105とで閉断面構造を形成し、第1の部材109によりウインドウシールドパネル101を支持した構造により、ウインドウシールドパネル101に衝撃力がかかった場合、前記閉断面構造が変形することで、衝撃エネルギーを効率よく吸収することができる。
【0003】
この際、特に前記第2の部材111が略U字形を呈していることから、変形が容易に行われ、急激な衝撃荷重の発生が防止される。さらに、より大きな衝撃力がウインドウシールドパネル101に加わった場合は、第1の部材109と第2の部材111の差込み部113、被差込み部111cによる係合が外れ、第1の部材109の変形を促進するため、この点でもピーク荷重の発生を防止できる。加えて、正面衝突によりカウルボックス103が変形した場合、差込み部113、被差込み部111cが外れ、ウインドウシールドパネル101と第2の部材111との接着が維持されて、カウルボックス103の変形に起因したウインドウシールドの変形を招くことがなく、安全性を向上させることができる。
【0004】
このようなウインドウシールドパネル101への上方からの衝撃は歩行者との衝突事故が発生した場合に加わるものであり、前記第1の部材109の変形の促進は、歩行者に与える衝撃力を軽減する上からも不可欠な構成となっている。
しかしながら、前記第1従来例のものでは、ウインドウシールドパネル101すなわちフロントガラスに対して歩行者からの衝撃力が加わった場合であり、婦女子等の体格のやや小さな歩行者等の頭部からの衝撃は、通常、ボンネットの後部に加えられることが多い。
【0005】
このため、このような衝撃が加えられる場合には、第2従来例として示す図11のような構造のものが採用されている。これは「’98〜’99ニューテクノロジー・オブ・ザ・イヤー(自動車工学5月号臨時増刊Vol48、No7第23〜30頁)」に収録された(株)本田技術研究所による論文「歩行者傷害軽減ボディ」に紹介されたもので、フロントガラス31の前方に配置されボンネット35後端部をシール部材39を介して支持するカウルトップガーニッシュ32と該カウルトップガーニッシュ32を取着するフロントバルクヘッド34を備える。シール部材39を含めて支持部は比較的変形し易く構成され、カウルトップガーニッシュ32のフロントパネルは樹脂製とされる。フロントバルクヘッド34の後部に接続されるダッシュボードアッパ40は折れ易い構造をしており、傷害値を低下できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のカウルパネル・フロントバルクヘッド構造では、ボンネット35の後部に加わる歩行者の頭部等からの衝撃を吸収するためにフロントバルクヘッド34の縦壁を短くして、カウルトップガーニッシュ32のフロントパネルを長くし変形し易い低剛性部材にて構成することによって、ボンネット35に対する保持力が低下し、通常走行時にボンネット35とカウルトップガーニッシュ32間のシール性の低下やボンネット35の振動が発生し易くなる虞れが生じる他、カウルトップガーニッシュ32のフロントパネル下端部とフロントバルクヘッド34の上端部との間の接続部については、カウル内の雨水がエンジンルーム内に侵入するのを防止するため、スポンジ等の防水手段を介設する必要があった。
【0007】
そこで本発明は、このような従来のカウルパネル・フロントバルクヘッド構造の課題を解決して、剛性に優れて、走行中のボンネット振動等の虞れがなく、簡素な構造ながら確実に歩行者への傷害値を低減させることができるカウルパネル・フロントバルクヘッド構造を提供することを目的とする。
【0008】
このため本発明は、フロントガラスの前方に配置され、該フロントガラスとボンネット後端部との間を閉塞するカウルトップガーニッシュと該カウルトップガーニッシュを取着するフロントバルクヘッドを備えるカウルパネル・フロントバルクヘッド構造であって、前記カウルトップガーニッシュの前部を形成するフロントパネルの下端部を下方に延長して二又フランジに形成させたカウルパネル・フロントバルクヘッド構造において、前記二又フランジの他方(前方)を前記フロントバルクヘッドの上面フランジに沿って取り付けるとともに、前記二又フランジの一方(後方)を、前記ボンネット後端部の支持方向に傾斜させ、前記フロントバルクヘッドにおける、上面フランジの付け根部分下方面は、前記二又フランジの一方に沿うように、前記ボンネット後端部の支持方向に傾斜した面としたことを特徴とするものである。また本発明は、フロントガラスの前方に配置され、該フロントガラスとボンネット後端部との間を閉塞するカウルトップガーニッシュと該カウルトップガーニッシュを取着するフロントバルクヘッドを備えるカウルパネル・フロントバルクヘッド構造であって、前記カウルトップガーニッシュの前部を形成するフロントパネルの下端部を下方に延長し、二又フランジに形成させた構造において、前記カウルトップガーニッシュにおけるフロントパネルから二又フランジの一方の裏面にかけてリブを形成するとともに、前記一方のフランジを前記フロントバルクヘッドの起立壁面に沿うように当接させ、他方のフランジを前記フロントバルクヘッドの上面に対して締結したことを特徴とする。また本発明は、前記二又フランジの一方を前記ボンネット後端部の支持方向に傾斜させたことを特徴とするものである。また本発明は、前記二又フランジの他方の付け根部分にノッチを形成したことを特徴とするものである。また本発明は、前記二又フランジの他方およびこれを支持するフロントバルクヘッド上面をフロントガラス延長面と略平行に構成したことを特徴とするもので、通常走行中は比較的高い剛性にてボンネットの後端部との間のシール部材の押圧を確実にするとともに、万一、歩行者による所定値以上の衝撃をボンネットの後部に受けた場合には、カウルトップガーニッシュにおけるフロントパネルの下端部がフロントバルクヘッド上面に対して離脱して、歩行者への傷害値を低減することが可能となる他、ボンネットの許容変位量を大きくすることができる。
【0009】
【実施の形態】
以下、本発明のカウルパネル・フロントバルクヘッド構造の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明のカウルパネル・フロントバルクヘッド構造の第1実施の形態を示し、要部断面図およびフロントバルクヘッドへのカウルパネルの取付部の平面図である。
本発明は、フロントガラス1の下端縁をシール部材11を介して装着して前方に配置され、ボンネット5の後端部にシール部材9を押圧するとともに、フロントガラス1とボンネットの間を閉塞するカウルトップガーニッシュ2と、該カウルトップガーニッシュ2を取着するフロントバルクヘッド4を備えるカウルパネル・フロントバルクヘッド構造において、前記カウルトップガーニッシュ2におけるフロントパネル3の下端部6をフロントバルクヘッド4の上面8に対して所定値以上の力の作用時に離脱可能に構成されたことを特徴とする。
【0010】
本実施の形態では、フロントパネル3の下端部6とフロントバルクヘッド4の上面8とはクリップ7により所定の締結力により取り付けられるもので、フロントパネル3の下端部6側には、フロントパネル3の下部後方への脱落を可能とする切欠き10が形成されている。なお、ボンネット5上面を後方に流れる雨水やフロントガラス1を落下してきた雨水はカウルトップガーニッシュ2に穿設された多数の雨水抜孔19から樋部材を構成するカウル内を通って車体側部から排水される。符号15は後述するところの補強用のリブを示す。
【0011】
このように構成されたことにより、万一の衝突により歩行者の頭部がボンネット5の後部に衝撃を与えた場合には、支持部であるシール部材9を経て伝達された衝撃力により、フロントバルクヘッド4の上面8からカウルトップガーニッシュ2におけるフロントパネル3の下端部6がクリップ7による締結力から開放されて下部後方へ容易に脱落し、歩行者への傷害を最小限に留めることができる。
したがって、カウルトップガーニッシュ2およびそのフロントパネル3の剛性を何ら犠牲にすることなく(高い剛性のままで)歩行者からの衝撃を和らげて傷害値を低減させることができるので、高い剛性のフロントパネル3によりボンネット5後端部に対してシール部材9を確実に支持して、走行中の振動を抑制するとともに音漏れや漏水等の虞れもない。
【0012】
図2は本発明のカウルパネル・フロントバルクヘッド構造の第2実施の形態を示し、図2(A)は要部断面図、図2(B)および図2(C)はフロントバルクヘッドからのカウルトップガーニッシュにおけるフロントパネルの脱落過程を示す図である。
本実施の形態では、図2(A)に示すように、カウルトップガーニッシュ2におけるフロントパネル3の下端部を二又フランジ6−1、6−2に形成するとともに、フロントバルクヘッド4の上面8を前記二又フランジ6−1、6−2に整合する形状に形成したことを特徴とする。
前記二又フランジは、フロントバルクヘッド4の上面8に取り付けられる取付フランジ6−2と、フロントバルクヘッド4の起立壁面に沿うシールフランジ6−1に分岐され、取付フランジ6−2の前端部は折曲端部12とされてフロントバルクヘッド4の上面8と取付フランジ6−2との締結力すなわち脱落強度を補助する。
【0013】
本実施の形態では、二又フランジの採用によりフロントバルクヘッド4の上面8に対してカウルトップガーニッシュ2におけるフロントパネル3の下端部が安定して高い剛性にて保持されるので、通常の走行時にボンネット5を確実に支持して、走行中の振動等の虞れもない。
かくして、図2(B)に示すように、矢印のようなボンネット5からの衝撃を受けると、クリップ等によるフロントバルクヘッド4の上面8への取付フランジ6−2の締結が解かれて、図2(C)に示すようにカウルトップガーニッシュ2が下部後方へ脱して、歩行者への傷害を最小限に留めることができる。
前記二又フランジの一方のシールフランジ6−1はフロントバルクヘッド4の起立壁面に沿って延設されているため、樋部材を構成するカウル内を流れる雨水がエンジンルーム内に侵入することを防止するシール部材として作用するばかりでなく、フロントパネル3の脱落が前記起立壁面に沿ってガイドされて円滑になされる。
【0014】
図3は本発明のカウルパネル・フロントバルクヘッド構造の第3実施の形態を示し、図3(A)は要部断面図、図3(B)はフロントバルクヘッドからのカウルトップガーニッシュにおけるフロントパネルの脱落過程図、図3(C)は荷重分布図である。
本実施の形態では、図3(A)に示すように、二又フランジの一方のシールフランジ6−1を前記ボンネット5後端部の支持方向(シール部材9と略平行)に傾斜させたことを特徴とする。したがって、図3(C)のように、フロントバルクヘッド4の上面8の対応する部分は傾斜面13に形成され、通常走行時には、ボンネット5の荷重はやや広角に形成された二又フランジ6−1、6−2によって安定して確実に保持される。
万一の衝突により歩行者の頭部がボンネット5の後部に衝撃を与えた場合には、支持部であるシール部材9を経て伝達された衝撃力により、クリップ等によるフロントバルクヘッド4の上面8への取付フランジ6−2の締結が解かれる際に、シールフランジ6−1と傾斜面13との間の摩擦力による衝撃緩和力も適度に作用して、図3(B)に示すように適切に脱落する。しかも、シールフランジ6−1はボンネット5後端部の支持方向に沿っているので、剛性高く強度を大きくすることができる。
【0015】
図4は本発明のカウルパネル・フロントバルクヘッド構造の第4実施の形態を示し、要部断面図である。
本実施の形態では、カウルトップガーニッシュ2におけるフロントパネル3から二又フランジの一方であるシールフランジ6−1の裏面にかけてリブ15を形成したことを特徴とする。
このように構成したので、フロントパネル3からシールフランジ6−1の裏面にかけての剛性をアップすることができて、通常走行時のボンネット5の保持力を確実に高めることを可能にする。
【0016】
図5は本発明のカウルパネル・フロントバルクヘッド構造の第5実施の形態を示し、図5(A)は要部断面図、図5(B)は艤装工程図、図5(C)は荷重分布図である。
本実施の形態では、二又フランジの他方である取付フランジ6−2およびこれを支持するフロントバルクヘッド4の上面8をフロントガラス1の延長面と略平行に構成したことを特徴とする。
このように構成したことにより、図5(B)に示すように、カウルトップガーニッシュ2をフロントガラス1とフロントバルクヘッド4との間に装着して艤装する際に、矢印のようにフロントガラス1の延長方向に取り付けることが容易となり、作業が楽になる他、カウルトップガーニッシュ2の溝部20にてフロントガラス1の下縁を保持するように構成することができるので、従来のようなクリップを廃止することができる。また、図5(C)に示すように、通常走行時にはシール部材を、ボンネット5の荷重に対して略直角に形成された二又フランジ6−1、6−2によって安定して確実に保持することもできる。
【0017】
図6は本発明のカウルパネル・フロントバルクヘッド構造の第6実施の形態を示し、図6(A)〜(C)は各変形例の要部断面図、図6(D)はフロントパネルの脱落状態図である。
本実施の形態では、前記二又フランジの他方である取付フランジ6−2の付け根にノッチ16を形成したことを特徴とする。図6(A)のものは図2の実施の形態のものに、図6(B)のものは図3、4の実施の形態のものに、図6(C)のものは図5の実施の形態のものにそれぞれ適用したものである。
このように構成したことにより、図6(D)に示すように、フロントバルクヘッド4の上面8と傾斜面13に対して確実且つ高い剛性にて保持される一対の取付フランジ6−2およびシールフランジ6−1のひとつである取付フランジ6−2側に形成されたノッチの存在により、歩行者の頭部等からの衝撃を受けて曲がり易くなり、傷害値を適宜選定して低下制御させることが可能となる。
【0018】
図7は本発明のカウルパネル・フロントバルクヘッド構造の第7実施の形態を示し、図7(A)は要部断面およびフロントバルクヘッドへのカウルパネルの取付部の平面図、図7(B)はフロントパネルの脱落状態図である。
本実施の形態では、クリップ7止め等(ビス止めでもよい)による前記フロントバルクヘッド4上面への二又フランジの他方6−2の取付部に切欠き10を形成したことを特徴とする。
このように構成したことにより、図7(B)に示すように、歩行者の頭部等からの衝撃を受けたカウルトップガーニッシュ2のフロントパネル3が、何ら破壊されることなくクリップ7止め等による摩擦締結から開放されて矢印のように脱落することが許容される。
【0019】
図8は本発明のカウルパネル・フロントバルクヘッド構造の第8実施の形態を示し、要部断面図およびフロントバルクヘッドの上面の斜視図である。
本実施の形態では、前記二又フランジの他方である取付フランジ6−2とフロントバルクヘッド4の上面8との取付部が一体ピン17と長孔18により構成されたことを特徴とする。
このように構成したことにより、取付フランジ6−2に一体に設けられた一体ピン17を、フロントバルクヘッド4の上面8に穿設された長孔18に締り嵌め等により所定の摩擦力にて取り付ける等により、歩行者の頭部等からの衝撃を受けたカウルトップガーニッシュ2のフロントパネル3が、何ら破壊されることなく一体ピン17による摩擦締結等から開放されて長孔18の範囲内を移動して衝撃を和らげることができる。
【0020】
図9は本発明のカウルパネル・フロントバルクヘッド構造の第9実施の形態を示し、要部断面図およびフロントバルクヘッドの上面の斜視図である。
本実施の形態では、クリップ止めあるいは一体ピン17を設けたフロントパネル3を支持するフロントバルクヘッド4の上面13の取付部に切欠き21を形成したことを特徴とする。
このように構成したことにより、フロントバルクヘッド4の上面13が前述した実施の形態のものと逆向きに構成された場合に、該上面13に形成された切欠き21の存在によって、歩行者の頭部等からの衝撃を受けたカウルトップガーニッシュ2のフロントパネル3およびフロントバルクヘッド4の上面13が、何ら破壊されることなくクリップ7止めあるいは一体ピン17等による摩擦締結から開放されて脱落することが許容される。
【0021】
以上、本発明の各実施の形態について説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内で、カウルトップガーニッシュの形状、形式および材質およびそのフロントガラスへの装着形態ならびにシール部材によるボンネットの支持形態、フロントバルクヘッドの形状、形式およびそのカウルトップガーニッシュとの取着形態(クリップ、取付ビス、一体ピンによる切欠きや長孔との摩擦等による取付形態に限らず、接触面間での微細凹凸面の形成等)、カウルトップガーニッシュにおけるフロントパネル下部の二又フランジの各傾斜角度、フランジにおけるノッチの形状、位置等については適宜選定できるものである。
【0022】
【発明の効果】
以上詳細に述べてきたように、本発明によれば、フロントガラスの前方に配置され、該フロントガラスとボンネット後端部との間を閉塞するカウルトップガーニッシュと該カウルトップガーニッシュを取着するフロントバルクヘッドを備えるカウルパネル・フロントバルクヘッド構造であって、前記カウルトップガーニッシュの前部を形成するフロントパネルの下端部を下方に延長して二又フランジに形成させたカウルパネル・フロントバルクヘッド構造において、前記二又フランジの他方(前方)を前記フロントバルクヘッドの上面フランジに沿って取り付けるとともに、前記二又フランジの一方(後方)を、前記ボンネット後端部の支持方向に傾斜させ、前記フロントバルクヘッドにおける、上面フランジの付け根部分下方面は、前記二又フランジの一方に沿うように、前記ボンネット後端部の支持方向に傾斜した面としたことにより、万一の衝突による歩行者の頭部によってボンネットの後部に所定値以上の衝撃力が加わった場合には、支持部を経て伝達された衝撃力により、カウルトップガーニッシュにおけるフロントパネルの下端部がフロントバルクヘッドの上面の取付部から容易に脱落し、歩行者への傷害を最小限に留めることができる上、カウルトップガーニッシュおよびそのフロントパネルの剛性を何ら犠牲にすることなく歩行者からの衝撃を和らげて傷害値を低減させることができるので、高い剛性のフロントパネルによりシール部材をボンネットに対して確実に支持して、走行中の振動を抑制するとともに、音漏れや漏水等の虞れもない。
しかも、二又フランジの採用によりフロントバルクヘッドの上面に対しフロントパネルの下端部を安定して高い剛性にて保持でき、通常の走行時にボンネットに対してシール部材を確実に支持して、走行中の振動等を抑制することができる。
その上、二又フランジの一方のシールフランジはフロントバルクヘッドの起立壁面に沿って延設されているため、樋部材を構成するカウル内を流れる雨水がエンジンルーム内に侵入することを防止するシール部材として作用するばかりでなく、フロントパネルの脱落が円滑になされる。
さらに、通常走行時には、ボンネットの荷重はやや広角に形成された二又フランジによって安定して確実に保持されるとともに、ボンネット後端部の支持方向に沿ったフランジ部分を、剛性高く強度を大きくすることができる。
【0023】
削除
【0024】
また、フロントガラスの前方に配置され、該フロントガラスとボンネット後端部との間を閉塞するカウルトップガーニッシュと該カウルトップガーニッシュを取着するフロントバルクヘッドを備えるカウルパネル・フロントバルクヘッド構造であって、前記カウルトップガーニッシュの前部を形成するフロントパネルの下端部を下方に延長し、二又フランジに形成させた構造において、前記カウルトップガーニッシュにおけるフロントパネルから二又フランジの一方の裏面にかけてリブを形成するとともに、前記一方のフランジを前記フロントバルクヘッドの起立壁面に沿うように当接させ、他方のフランジを前記フロントバルクヘッドの上面に対して締結した場合は、フロントパネルから二又フランジの一方の裏面にかけての剛性をアップすることができて、通常走行時のボンネットに対するシール部材の保持力をさらに確実に高めることを可能にする。
さらに、前記二又フランジの一方を前記ボンネット後端部の支持方向に傾斜させた場合は、通常走行時には、ボンネットの荷重はやや広角に形成された二又フランジによって安定して確実に保持されるとともに、ボンネット後端部の支持方向に沿ったフランジ部分を、剛性高く強度を大きくすることができる。
【0025】
さらにまた、前記二又フランジの他方の付け根部分にノッチを形成した場合は、二又フランジの他方が歩行者の頭部等からの衝撃を受けて曲がり易くなり、傷害値を適宜選定して低下制御させることが可能となる。
また、前記二又フランジの他方およびこれを支持するフロントバルクヘッド上面をフロントガラス延長面と略平行に構成した場合は、カウルトップガーニッシュをフロントガラスとフロントバルクヘッドとの間に装着して艤装する際に、フロントガラスの延長方向に取り付けることが容易となり、作業が楽になる。
このように、本発明によれば、剛性に優れて、走行中のボンネット振動を抑制するとともに、音漏れや漏水等の虞れがなく、簡素な構造ながら確実に歩行者への傷害値を低減させることができるカウルパネル・フロントバルクヘッド構造が提供される。
【0026】
削除
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカウルパネル・フロントバルクヘッド構造の第1実施の形態を示し、要部断面図およびフロントバルクヘッドへのカウルパネルの取付部の平面図である。
【図2】本発明のカウルパネル・フロントバルクヘッド構造の第2実施の形態を示す図である。
【図3】本発明のカウルパネル・フロントバルクヘッド構造の第3実施の形態を示す図である。
【図4】本発明のカウルパネル・フロントバルクヘッド構造の第4実施の形態を示す図である。
【図5】本発明のカウルパネル・フロントバルクヘッド構造の第5実施の形態を示す図である。
【図6】本発明のカウルパネル・フロントバルクヘッド構造の第6実施の形態を示す図である。
【図7】本発明のカウルパネル・フロントバルクヘッド構造の第7実施の形態を示す図である。
【図8】本発明のカウルパネル・フロントバルクヘッド構造の第8実施の形態を示す図である。
【図9】本発明のカウルパネル・フロントバルクヘッド構造の第9実施の形態を示ず図である。
【図10】第1従来例のカウルパネル・フロントバルクヘッド構造の断面図である。
【図11】第2従来例のカウルパネル・フロントバルクヘッド構造の断面図である。
【符号の説明】
1 フロントガラス
2 カウルトップガーニッシュ
3 フロントパネル
4 フロントバルクヘッド
5 ボンネット
6 二又フランジ
6−1 シールフランジ(一方)
6−2 取付フランジ(他方)
7 クリップ
8 バルクヘッド上面
9 シール部材
10 切欠き
11 シール部材
12 折曲端部
13 傾斜面
15 リブ
16 ノッチ
17 一体ピン
18 長孔
19 雨水抜孔
20 溝部
21 切欠き
Claims (5)
- フロントガラスの前方に配置され、該フロントガラスとボンネット後端部との間を閉塞するカウルトップガーニッシュと該カウルトップガーニッシュを取着するフロントバルクヘッドを備えるカウルパネル・フロントバルクヘッド構造であって、前記カウルトップガーニッシュの前部を形成するフロントパネルの下端部を下方に延長して二又フランジに形成させたカウルパネル・フロントバルクヘッド構造において、前記二又フランジの他方(前方)を前記フロントバルクヘッドの上面フランジに沿って取り付けるとともに、前記二又フランジの一方(後方)を、前記ボンネット後端部の支持方向に傾斜させ、前記フロントバルクヘッドにおける、上面フランジの付け根部分下方面は、前記二又フランジの一方に沿うように、前記ボンネット後端部の支持方向に傾斜した面としたことを特徴とするカウルパネル・フロントバルクヘッド構造。
- フロントガラスの前方に配置され、該フロントガラスとボンネット後端部との間を閉塞するカウルトップガーニッシュと該カウルトップガーニッシュを取着するフロントバルクヘッドを備えるカウルパネル・フロントバルクヘッド構造であって、前記カウルトップガーニッシュの前部を形成するフロントパネルの下端部を下方に延長し、二又フランジに形成させた構造において、前記カウルトップガーニッシュにおけるフロントパネルから二又フランジの一方の裏面にかけてリブを形成するとともに、前記一方のフランジを前記フロントバルクヘッドの起立壁面に沿うように当接させ、他方のフランジを前記フロントバルクヘッドの上面に対して締結したことを特徴とするカウルパネル・フロントバルクヘッド構造。
- 前記二又フランジの一方を前記ボンネット後端部の支持方向に傾斜させたことを特徴とする請求項2に記載のカウルパネル・フロントバルクヘッド構造。
- 前記二又フランジの他方の付け根部分にノッチを形成したことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のカウルパネル・フロントバルクヘッド構造。
- 前記二又フランジの他方およびこれを支持するフロントバルクヘッド上面をフロントガラス延長面と略平行に構成したことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のカウルパネル・フロントバルクヘッド構造。
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