JP4634769B2 - 美白効果向上剤、その製造方法、それを用いた美白剤組成物及びそれを含有する皮膚外用剤 - Google Patents

美白効果向上剤、その製造方法、それを用いた美白剤組成物及びそれを含有する皮膚外用剤 Download PDF

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Description

本発明は、それ自体は美白作用をほとんど示さないか、或いは示してもわずかであって実用には供し得ないものであるが、美白剤と併用したときに、美白剤の美白効果を著しく向上させる作用を有する美白効果向上剤、その製造方法、それを用いた美白剤組成物及びそれを含有する皮膚外用剤に関するものである。
これまで、黒い地肌を白くしたり、日焼けによる黒色化を回復させるための種々の美白剤が知られている。例えば、広く現在使用されている美白作用有効成分であるアスコルビン酸及びその誘導体並びにそれらの塩、α−アルブチン、β−アルブチン、エラグ酸、グラブリジン、アスタキサンチン、ハイドロキノンがある。また、アロエと、アオサ科、オゴノリ科、テングサ科、ミリン科、コンブ科、アイヌワカメ科、ホンダワラ科、ヒバマタ科、フノリ科、ヒトエグサ科、ミル科、ウシケノリ科、スギノリ科、カギノリ科、イバラノリ科、ナガマツモ科、モヅク科、ダービリア科、レッソニア科又はダルス科に属する海藻の抽出物から選択される海藻のエキスとを含有する日焼けによる皮膚のダメージを回復するための皮膚外用剤組成物(特許文献1参照)、ヤナギノリ、ムカデノリ、トサカノリ、オオオゴノリ、クロノリ、マツノリ、イシノハナ、カイメンソウ及びイソノハナの中から選ばれる海藻の抽出物を有効成分とする美白化粧料(特許文献2参照)、褐藻類、紅藻類、緑藻類から選ばれる1種以上の海藻の抽出物を有効成分とするメラニン生成抑制剤(特許文献3参照)、ムカデノリ、フダラク、オゴノリ、ヒラキントキ、ツノマタ、オオバツノマタ、ウチワツノマタ及びホソバノトサカモドキよりなる群より選ばれた少なくとも1種の海藻抽出物を有効成分とするメラニン生成抑制剤(特許文献4参照)、紅藻類の海藻にアルカリ処理を施した海藻抽出物を含有するメラニン生成抑制剤(特許文献5参照)などがこれまでに提案されている。
しかしながら、これまでの美白剤は、一般に作用が弱いため、長期間にわたって使用しないと、その効果が発揮されないし、また、短期間で効果を発揮させようと強力なものを用いると、皮膚の損傷をもたらすという問題があった。
したがって、穏やかに作用し、かつ急速に効果が発揮される美白剤組成物の出現が要望されていた。
特開平11−116458号公報(特許請求の範囲その他) 特開2000−212025号公報(特許請求の範囲その他) 特開2001−139419号公報(特許請求の範囲その他) 特開2001−302491号公報(特許請求の範囲その他) 特開2001−302492号公報(特許請求の範囲その他)
本発明は、このような事情のもとで、それ自体は美白作用を有しないか、又は有していてもわずかであって単独では美白剤として実用に供すことはできないが、これまで使用されている美白剤に配合すると、その美白剤の美白効果を著しく向上させることができる美白効果向上剤を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、美白剤の美白効果を向上させることについて、種々研究を重ねた結果、オゴノリ属紅藻類(Gracilaria sp.)から、特定の条件下で抽出された赤血球凝集素が、凝集活性が高く認識糖鎖選択性が高い上に、イオン強度により凝集活性を制御し、熱処理によって糖結合性が消失せず、認識糖鎖選択性に優れ、かつ細胞性免疫能力賦活などの自己免疫増強活性を有すること、更にこの新規な自己免疫増強剤は、それ自体は美白作用を示さないが、これを美白剤に配合すると、美白剤の美白効果を著しく向上しうることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、オゴノリ属紅藻類(Gracilaria sp.)からの塩類水溶液による液状抽出物を有効成分とする美白効果向上剤、その製造方法、それを用いた美白剤組成物及び美白剤組成物を含有した皮膚外用剤を提供するものである。
本発明の美白効果向上剤においては、オゴノリ属紅藻類(Gracilaria sp.)を塩類水溶液により抽出した液状抽出物が用いられる。
この液状抽出物としては、オゴノリ属紅藻類を塩類水溶液により抽出し、得られた抽出液に、先ず最終濃度20〜40%飽和濃度になるまで硫酸アンモニウムを加えて第1段目の塩析を行い、沈殿した夾雑物を除去したのち、さらにその抽出液に最終濃度60〜80%飽和濃度になるまで硫酸アンモニウムを加えて第2段目の塩析を行い、沈殿として得た(1)「粗活性画分(沈殿)」、又は粗活性画分を沈殿として分取し、沈殿を適当な溶媒で溶解することにより得た液状の(2)「粗活性画分(液状)」、又はさらに、所望に応じ、100℃、1〜10分間の熱処理によって夾雑タンパク質を除去した(3)「粗活性画分(熱処理済み)」、又はさらにゲル濾過クロマトグラフィーにより分子量100,000以上の画分を分画したのち、この画分をクロマトグラフィーにより分離、精製した精製画分が用いられる。
上記の硫酸アンモニウムの飽和濃度は、「グリーン及びヒューズ(Green,A.A.& Hughes,W.L.)著(1955)「メソッズ・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology)、第1巻、第67〜90ページ」に記載されている[結晶硫酸アンモニウムの添加量と濃度(%飽和)との関係に関する表]に基づいて、規定されるものである。
この際用いる塩類水溶液としては、例えば生理食塩水や、リン酸塩緩衝液、トリス塩酸緩衝液あるいはこれらに塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、2−メルカプトエタノール及びジチオスレイトールから選ばれる少なくとも一種を添加した液などがあり、特に、リン酸塩緩衝液、トリス塩酸緩衝液あるいはこれらに塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸亜鉛及び2−メルカプトエタノールから選ばれる少なくとも1種を添加した液が好ましい。
上記で得た液状体は、糖を主成分とする赤血球凝集素を含んでいる。このような糖としては、糖を構成している単糖の中のガラクトースの割合が70〜100質量%、特に90〜100質量%のものが好ましい。本発明の有効成分として上記液状体を用いる場合、糖のほかに糖の質量に対してタンパク質の質量が0.4以下であるタンパク質を含んでいてもよい。
なお、糖の定量は、標準試料としてガラクトースを用いて、フェノール硫酸法によって行い、タンパク質の定量は、標準試料としてウシ血清アルブミンを用いて、ローリー(Lowry)法によって行う。
この際の原料としては、オゴノリ属紅藻類が用いられるが、特にオゴノリ(Gracilaria verrucosa)、ツルシラモ(Gracilaria chorda)、それらの亜種が好ましい。本発明においてオゴノリ属紅藻類(Gracilaria sp.)には、(1)オゴノリ属海藻(Gracilaria sp.)に分類される海藻、あるいは、(2)Gracilariopsis sp.に分類される海藻、あるいは、(3)Gracilariopsis sp.に過去に分類された海藻を含む。
例えば、日本産海藻では、オゴノリ属紅藻類(Gracilaria sp.)には、「新日本海藻誌日本産海藻類総覧、吉田忠生著、内田老鶴圃発行、1998年」においてオゴノリ目(Gracilariales:グラシラリアレス)オゴノリ科(Gracilariaceae:グラシラリアシー)に分類されている海藻が含まれている。
これらの紅藻類は、寒海にも存在するが特に暖海に多く、わが国ではほとんどすべての海岸地帯に分布しており、寒天の増量物や刺身のつまなどに用いられている。
上記の方法を好適に行うには、上記の紅藻類原料に(イ)水溶性画分の抽出工程、(ロ)粗活性画分の分取工程、及び、必要に応じて、(ハ)凝集素の精製工程を順次施す。
前記各工程について、さらに詳細に説明すると、まず(イ)工程においては、原料の紅藻類に塩類含有水溶液、例えば、生理食塩水や、リン酸塩緩衝液、トリス塩酸緩衝液あるいはこれらに塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、2−メルカプトエタノール及びジチオスレイトールから選ばれる少なくとも一種を添加した液、好ましくは、リン酸塩緩衝液、トリス塩酸緩衝液、例えばトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸緩衝液あるいはこれらに塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸亜鉛及び2−メルカプトエタノールから選ばれる少なくとも1種を添加した液を加えてホモゲナイズしたのち、遠心分離処理し、上澄である粗抽出液を得る。
次に(ロ)工程においては、前記(イ)工程で得られた抽出液に、まず最終濃度20〜40%飽和濃度になるまで硫酸アンモニウムを加えて1段目の塩析を行い、生成した沈殿を遠心分離処理により除去する。この操作で色素などの夾雑物が沈殿画分として除去される。次いで、遠心分離処理で得た上澄に最終濃度60〜80%飽和濃度になるまで硫酸アンモニウムを加えて2段目の塩析を行い、生成した沈殿を遠心分離処理により分別したのち、この沈殿画分を塩化ナトリウム含有リン酸緩衝液などの緩衝液で再溶解し、所望に応じ、塩化ナトリウム含有リン酸緩衝液などの緩衝液に対する透析等により精製して粗活性画分を得る。この粗活性画分は、そのまま本発明の美白効果向上剤として用いることができる。
(ロ)工程においては最後に、粗活性画分を100℃、1〜10分間熱処理し沈殿した夾雑タンパク質を除去することにより、熱処理済みの粗活性画分を得る。この熱処理済みの粗活性画分は、そのまま本発明の美白効果向上剤として用いることができる。
この熱処理済みの粗活性画分については、所望に応じ、さらに(ハ)工程を行うことができる。(ハ)工程においては、前記(ロ)工程で得られた熱処理済みの粗活性画分を、ゲル濾過クロマトグラフィーにより分子量10万以上の画分を分画し、さらにクロマトグラフィーにより成分を分離し、精製赤血球凝集素を得る。この際、最終段階で使用するクロマトグラフィーとしては、イオン交換クロマトグラフィー又はゲル濾過クロマトグラフィーまたは疎水性相互作用クロマトグラフィーあるいはそれらの組合せを用いるのが有利である。
ここでいう、分子量10万以上の画分とは、ゲル濾過クロマトグラフィーにおいて、球状タンパク質を標準分子量物質として用いて、溶出画分の分子量を算出した結果が10万以上の分子量に相当する画分をいう。
上記の精製画分・精製標品の0.1ミリリットルをTSKゲル G3000 PWXLカラムに添加し、ゲル濾過クロマトグラフィーにかけ、ゲル濾過クロマトグラフィーカラムから0.1ミリリットルずつ溶出画分を集める。この際、標準分子量物質として、チログロブリン(分子量669,000)、フェリチン(分子量440,000)、ウシ血清アルブミン(分子量67,000)、オボアルブミン(分子量43,000)を用いる。その結果、マイトジェン能をもつ赤血球凝集素の溶出した画分(赤血球凝集活性の画分)を示す凝集活性を有するピークの頂点は分子量5.64×105に相当することが分かった。
本発明の美白効果向上剤は、美白剤すなわち美白作用をもつ植物抽出物に対し、通常10:1ないし1:1の割合で配合する。これにより美白剤の美白効果は著しく向上する。上記配合割合は必ずしもこの範囲に限定されることはなく、必要に応じこれよりも少なくしてもよいし、また増加してもよい。
本発明の美白効果向上剤として用いる有効成分はさらに次に示す事項によって特徴付けられる。
(1)プロナーゼ処理したヒツジ赤血球を凝集させる性質を有し、かつこの凝集活性が単糖類又は二糖類では阻害されないが、フェツイン又はアシアロフェツインで阻害されること、
(2)ウサギ赤血球に対する凝集活性がイオン強度により変化すること、
(3)細胞性免疫能力賦活活性を有すること、
(4)100℃、10分間の熱処理後も糖鎖結合活性を有すること、
(5)ヒトリンパ球を幼若化する活性を有すること、
(6)トリチウムラベルしたチミジンの細胞核への取り込みを促進させること。
本発明の美白効果向上剤は、海藻特に紅藻類由来の新規なものであって、イオン強度により凝集活性が制御でき、認識糖鎖選択性に優れ、細胞性免疫能力賦活など自己免疫増強活性を有し、100℃、10分間の熱処理後も糖結合活性を有するという利点がある。更にこのものは美白剤に対し配合することにより、美白剤の美白効果を向上させる。
次に、本発明の美白効果向上剤を配合した美白剤組成物で用いる美白剤としては、これまで美白剤として知られている美白作用を有する成分の中から任意に選んで用いることができる。このような成分として、例えばアスコルビン酸及びその誘導体並びにそれらの塩、α−アルブチン、β−アルブチン、エラグ酸、グラブリジン、アスタキサンチン、ハイドロキノンを挙げることができる。さらに美白作用を有する植物抽出物としては、チロシナーゼ活性阻害剤であるパシャンベ、カンゾウ、アロエ、ソウハクヒ、クジン、シモツケ、トウキ、ベニバナ、紅茶、ユキノシタ、クチナシ、ウコン、茶、ハマメリス、セイヨウネズ、シャクヤク、センキュウ、ユーカリ、メラニン生成阻害剤であるパシャンベ、フトモモ、サンザシ、茶、ユキノシタ、マロニエ、ローズマリー、セイヨウボダイジュ、オトギリソウ、サンショウ、ユーカリ、チョウジ、セージを挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
この美白剤組成物には、さらにエラスターゼ活性阻害剤、コラゲナーゼ活性阻害剤、ヒアルロン酸産生促進及びコラーゲン産生促進剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の皮膚機能改善剤、及び/又はSOD様活性剤及びDPPHラジカル消去剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の抗酸化剤を含有させることができる。
上記のエラスターゼ活性阻害剤としては、ショウキョウ、フトモモ、クジン、パシャンベ、ホホバ葉、イリス、サンヤク、ワレモコウ、アシタバ、ベニバナ、スギナ、オオバナサルスベリ、センキュウ、ヤグルマギク、エイジツ、ニンジン、トウキンセンカ、ローマカミツレ、シモツケソウ、サンキライ、チョウジ、チンピ、ソウハクヒ、サンシシ、ジオウ、アルニカ、センコツ、ショウブ根、モモ葉、キョウニン、メリロート、ユーカリ、ラベンダー、クマザサ、ホオウ、ゼニアオイ、ゲンノショウコ、ブドウ葉、トウヒ、サイシン、ハッカ、ホップ、ローズマリー、エイジツ、シソ、メリッサ、パセリ、キキョウ、紅茶、サンザシ、ハス葉、フキタンポポ、オトギリソウ、ツボクサ、センブリ、コンフリー及びカンゾウからなる群より選ばれる少なくとも1種の植物の抽出物、上記のコラゲナーゼ活性阻害剤としては、例えばヨウバイヒ、シラカバ、セイヨウボダイジュ、ケイヒ、ワレモコウ、オトギリソウ、フトモモ、マロニエ、パシャンベ、ダイオウ、シモツケソウ、紅茶、ハマメリス、ユーカリ、ゴバイシ、アセンヤク、オオバナサルスベリ、ホホバ葉、ビワ葉、ゲンノショウコ、ボタン、オウレン、ハス葉、ユキノシタ、チョウトウコウ、ブドウ葉、サンザシ、ガイヨウ、ハイビスカス、トチュウ、茶、キナ、ヘンナ、イチョウ、シソ、サンキライ、タイム、セージ、オウバク、オクラ、アルニカ、ホップ及びオウゴンからなる群より選ばれる少なくとも1種の植物の抽出物を、上記のヒアルロン酸産生促進剤としては、例えばブクリョウ、エイジツ、サイシン、ゲンノショウコ、キナ、フキタンポポ、アガリスク、チョウトウコウ、ベニバナ、シコン、ツボクサ、トウキンセンカ、キョウニン、セージ、シラカバ、ジオウ、ハッカ、カラスムギ、ローマカミツレ、オトギリソウ及びヤグルマギクからなる群より選ばれる少なくとも1種の植物の抽出物を、上記のコラーゲン産生促進剤としては、例えばコンフリー、ローマカミツレ、紅茶、サンザシ、ハス葉、クロレラ、ガイヨウ、クマザサ、ゴボウ、クジン、サイシン、ビワ葉、シソ、クワ葉、タイム、オプリア・ストレプタカンサ、トウヒ、オドリコソウ、ワレモコウ、アイブライト、チンピ、ゼニアオイ、ショウキョウ、カミツレ、セイヨウネズ、センブリ、ジオウ、ローズマリー及びセージからなる群より選ばれる少なくとも1種の植物の抽出物をそれぞれ挙げることができる。
また、上記のSOD様活性剤としては、例えばフトモモ、パシャンベ、ヨウバイヒ、ゴバイシ、チョウジ、ホホバ葉、ワレモコウ、マロニエ、シモツケソウ、茶、シラカバ、アセンヤク、メリッサ、オオバナサルスベリ、ケイヒ、紅茶、ゲンノショコ、タイム、ユーカリ、セイヨウボダイジュ、ダイオウ、セージ、ガイヨウ、ハマメリス、ローズマリー、ユキノシタ、ラベンダー、オトギリソウソ、トチュウ、ビワ葉、チョウトウコウ、シソ、ボタンピ、カワラヨモギ、サンショウ、セイヨウノコギリソウ、キナ、アルニカ、ハス葉、オウゴン及びビデンスピローサからなる群より選ばれる少なくとも1種の植物の抽出物を、上記のDPPHラジカル消去剤としては、例えばゴバイシ、パシャンベ、シモツケソウ、ヨウバイヒ、ワレモコウ、茶、フトモモ、チョウジ、メリッサ、シラカバ、バナバ、ユーカリ、ローズマリー、ダイオウ、ケイヒ、ハマメリス、ゲンノショウコ、アセンヤク、紅茶、オトギリソウ、セージ、マロニエ、セイヨウボダイジュ、タイム、ボタンピ、シソ、ガイヨウ、ユキノシタ、チョウトウコウ、ヘンナ、サンショウ、ブドウ葉、センコツ、ハス葉、ラベンダー、キナ、トチュウ、セイヨウノコギリソウ、アイブライト、アルニカ、ハッカ及びビワ葉からなる群より選ばれる少なくとも1種の植物の抽出物をそれぞれ挙げることができる。
本発明の美白剤組成物を配合してなる皮膚外用剤には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、医薬品、医薬部外品、化粧品などに使用される成分や添加剤を併用することができる。これらの添加成分の具体例を示すと次のとおりである。
界面活性剤としては、例えばセッケン用素地、脂肪酸セッケン、高級アルキル硫酸エステル、アルキルエーテル硫酸エステル塩、N−アシルサルコシン酸、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、リン酸エステル塩、スルホコハク酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、N−アシルグルタミン酸塩、高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩、硫酸化油、POEアルキルエーテルカルボン酸塩、POEアルキルアリルエーテルカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸塩、N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、カゼインナトリウム等のアニオン界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルイソキノニウム塩、ジアルキルモルホニウム塩、POEアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等のカチオン界面活性剤。イミダゾリン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤等の両性界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体等の親油性非イオン界面活性剤。POEソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビット脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POEアルキルフェニルエーテル、POE・POPアルキルエーテル、テトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物、POE硬化ヒマシ油誘導体、POEミツロウ・ラノリン誘導体、アルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル等の親水性非イオン界面活性剤などを挙げることができる。
また、油類としては、例えばアボカド油、オリーブ油、ゴマ油、ツバキ油、月見草油、タートル油、マカデミアンナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、ナタネ油、卵黄油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、キリ油、ホホバ油、カカオ脂、ヤシ油、馬油、パーム油、パーム核油、牛脂、羊脂、豚脂、ラノリン、鯨ロウ、ミツロウ、カルナウバロウ、モクロウ、キャンデリラロウ、スクワラン等の動植物油及びその硬化油。流動パラフィン、ワセリン等の鉱物油。トリパルミチン酸グリセリン等の合成トリグリセリンを挙げることができる。
高級脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、イソステアリン酸、ウンデシン酸、トール酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸などがある。高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール、ホホバアルコール、ラノリンアルコール、バチルアルコール、2−デシルテトラテセシノール、コレステロール、フィトステロール、イソステアリルアルコール等がある。合成エステルとしては、例えば、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、オレンイ酸デシル、ジメチルオクタン酸、乳酸セチル、乳酸ミリスチル等がある。シリコーンとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、デカメチルシクロポリシロキサン等の環状ポリシロキサン、シリコーン樹脂等の三次元網目構造のものを挙げることができる。
保湿剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、アテロコラーゲン、尿素、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dlピロリドンカルボン酸塩、可溶性コラーゲン、等のほか、各種動植物抽出物、酵母抽出物などを挙げることができる。
紫外線吸収剤としては、例えばパラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸誘導体等の安息香酸系紫外線吸収剤、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、アミルサシリレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤、オクチルシンナメート等の桂皮酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、4−メチルベンジリデンカンファー、3−ベンジリデンカンファー、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾールなどを挙げることができる。
ビタミン類としては、例えば、ビタミン油、レチノール等のビタミンA類、リボフラビン等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩等のビタミンB6類、L−アスコルビン酸等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム等のパントテン酸類、エルゴカルシフェノール等のビタミンD類、ニコチン酸アミド等のニコチン酸類、酢酸トコフェノール等のビタミンE類、ビタミンP、ビオチンなどを挙げることができる。
天然水溶性高分子としては、例えば、アラビアガム、トラガントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード、アルゲコロイド、デンプン、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン、コラーゲン、カゼイン、ヒアルロン酸、アルブミン、ゼラチンなどがある。半合成水溶性高分子としては、例えば、メチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース系高分子、カルボキシメチルデンプン等のデンプン系高分子、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸系高分子等がある。合成水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール2000等のポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等の共重合高分子系、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマーなどを挙げることができる。
粉末成分としては、例えば、タルク、カオリン、雲母、セリサイト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、シリカ、硫酸バリウム、焼セッコウ、フッ素アパタイト、セラミックパウダー等の無機粉末、ナイロン粉末、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、セルロース粉末等の有機粉末などがある。色素剤としては、二酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、コバルトバイオレツト等の無機顔料、赤色201号、赤色3号、黄色205号、黄色4号等の有機顔料、クロロフィル、リボフラビン、β−カロチン等の天然色素、ベニバナ、ウコン等の植物抽出物色素等がある。防腐剤としては、安息香酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、デヒドロ酢酸塩、パラオキシ安息香酸エステル、塩化ベンザルコニウム、ヒノキチオール、レゾルシン、エタノール等がある。酸化防止剤としては、トコフェノール、アスコルビン酸、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸エステル等がある。キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、クエン酸などを挙げることができる。
そのほか、抗菌、細胞賦活、皮脂分泌調整、消炎、収斂、抗アレルギー等の生理活性作用を有する植物抽出物及びこれらの抽出分画、精製物を併用することもできる。また、上記以外にも、香料、アルコール、水等を適宜配合することができる。
本発明の美白剤組成物を含有する皮膚外用剤の剤型は、可溶化系、乳化系、粉末分散系等何れでもよく、使用形態も、化粧水、乳液、クリーム、パック等の基礎化粧料、ファンデーション等のメークアップ化粧料、シャンプー、リンス、セッケン、ボディーシャンプーなどのトイレタリー製品、浴用剤等いずれでもよい。
本発明の美白効果向上剤を用いると、美白剤の美白効果を著しく向上させることができ、短期間で、しかも少ない量の美白剤により美白効果を発現させることができる。
次に、参考例及び実施例により本発明を実施するための最良の形態を説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
参考例1
(イ)水溶性画分の抽出工程
ツルシラモ(徳島県吉野川河口域産)を0.15M塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、天日乾燥して乾燥物を得た。この乾燥物100gに0.15M塩化ナトリウム含有100mMリン酸緩衝液(pH6.9)700mlを加えてホモゲナイズしたのち、このホモゲナイズした液を4℃で6時間放置後、遠心分離して上澄である粗抽出液を得た。
(ロ)粗活性画分の分別工程
次いで、この粗抽出液に、最終濃度が35%飽和濃度の溶液になるように硫酸アンモニウムを加えて1段目の塩析を行った。硫酸アンモニウムの添加終了後、4℃で1時間放置、生成した沈殿を遠心分離して除去した。この操作で色素などの夾雑物が沈殿画分として除去された。次に、遠心分離で得た上澄に、最終濃度が70%飽和濃度の溶液になるように硫酸アンモニウムを添加し、添加終了後、4℃で一晩放置した。生成した沈殿を遠心分離して分別した。得られた沈殿画分を、0.15M塩化ナトリウム含有100mMリン酸緩衝液(pH6.9)に再溶解し、粗活性画分を得た。得られた粗活性画分のウサギ赤血球に対する赤血球凝集活性は256単位であり、比活性は3372.9単位/mgプロテイン、活性回収率は62.4%であった。ここで、凝集活性の単位は、凝集活性が検出できる試料の最大希釈率の逆数と定義した。
(ハ)凝集素の精製工程
次に、このようにして得られた粗活性画分に100℃、10分間の熱処理を行い、遠心分離し不溶性の夾雑タンパク質を除去後、ゲル濾過クロマトグラフィーで分子量10万以上の画分を分画し、TSKgelDEAE−5PWを用いたイオン交換クロマトグラフィーにより分離し、精製標品を得た。得られた精製標品のウサギ赤血球に対する赤血球凝集活性を示す最小タンパク質濃度は0.8763μg/mlであった。以上の結果から、本発明の美白効果向上剤を用いると、紅藻類由来の赤血球凝集素が、その活性を保持したまま効果的に得られることが分かる。
精製標品について、ウサギ赤血球に対する凝集活性のイオン強度依存性を試験したところ、0.15M塩化ナトリウム濃度での凝集活性は2048単位であり、一方0.4M塩化ナトリウム濃度での凝集活性は8単位であった。
精製標品に100℃、10分間の熱処理を行った後での凝集活性は2048単位であり、熱処理による凝集活性の消失は認められなかった。赤血球凝集素の凝集活性は、赤血球凝集素の糖結合活性の指標の一つであるので、以上の結果から本発明の美白効果向上剤の赤血球凝集素への糖結合活性は熱に対して安定なことが分かる。
精製標品についてマイトジェン活性を調べるために、ヒトリンパ球幼若化試験を行った。リンパ球幼若化試験は、患者や健常人の末梢血リンパ球のDNA合成能を測定、比較するのによく用いられる。この反応は一般的な細胞性免疫反応能力を示すと考えられている。測定方法としては、固定染色標本で染色体の出現した細胞数を数える方法、形態学的に観察する方法等もあるが、本例では、3H−チミジンの細胞核への取り込みを測定する方法を行った。健常人3名分の検体からのリンパ球を用いて実験した。
培養液として、純水100mlに対してRPMI 1640 1.05g、NaHCO3 0.2g、ペニシリン10000Unit、ストレプトマイシン10mg、ウシ胎児血清10mlの割合で溶解した水溶液を準備し、フィルターで濾過滅菌後、使用量に合わせて小びんにつめ、密栓して−20℃で保存した。
比較用マイトジェンとしてインゲンマメレクチンを培養液に溶解して濃度10〜50μg/mlに調製した。滅菌小試験管に分注、密栓して−20℃で保存した。
リンパ球の分離は次のように行った。すなわち、ヘパリン添加血液よりフィコール・コンレイ(Ficoll−Conray)法にてリンパ球を分離し、CMF−PBS(pH7.0)で3回洗浄した。分離したリンパ球を培養液1mlに懸濁し、リンパ球数を算定した。次いで培養液で5×105個/mlに調整したリンパ球浮遊液を得た。
リンパ球の培養は次のように行った。すなわち、マイクロプレートの各ウェルに、リンパ球浮遊液を200μlずつ分注した。次いでマイトジェン溶液として、精製標品、陽性コントロールとしての比較用マイトジェン、陰性コントロールとしてのリン酸緩衝液(PES)を各ウェルに20μlずつ分注した。次いでCO2濃度5%、37℃の空気中、湿潤状態で、3日間培養した。培養終了8時間前に3H−チミジンを培養液中の最終濃度が1μCi/mlになるように各ウェルに分注した。
活性の測定は次のように行った。すなわち、Labo−MASHを用いて食塩水でウェル内をハーベストしつつ、細胞をグラスファイバーフィルター上に集め、これを連続吸引してフィルター上の細胞を洗浄した(約20秒間、生理食塩水約1.5ml)。次いでグラスフィルター上の細胞固着部を剥離し、カウンティングバイアルに入れた。十分に乾燥させた後、液体シンチレーターとしてトルエンシンチレーター(POPO 0.1g+PPO 5g/リットル トルエン)5mlをディスペンサーを用いて各バイアルに分注し、シンチレーションカウンターにて計測した。結果を1検体あたり3回の測定の平均値として表1に示す。
Figure 0004634769
この表から、本発明の美白効果向上剤は、従来知られている陸上植物由来の赤血球凝集素よりも高いマイトジェン活性を示すことが分かる。
参考例2
(イ)水溶性画分の抽出工程
ツルシラモ(徳島県吉野川河口域産)湿質量500gを0.15M塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、−30℃で凍結した。30mM塩化カリウムと3μM硫酸亜鉛、5mM2−メルカプトエタノールを含んだ0.5Mトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸緩衝液(pH8.2)を抽出用緩衝液として使用し、細かく粉砕した凍結海藻(ツルシラモ湿質量500g相当)に対し、抽出用緩衝液800mlを加えてホモゲナイズしたのち、このホモゲナイズした液を4℃で6時間放置後、遠心分離して上澄である粗抽出液を得た。
(ロ)粗活性画分の分別工程
次いで、この粗抽出液に、最終濃度35質量%飽和溶液になるように硫酸アンモニウムを加えて1段目の塩析を行った。硫酸アンモニウムの添加終了後、4℃で1時間放置したのち、生成した沈殿を遠心分離して除去した。この操作で色素などの夾雑物が沈殿画分として除去された。次に、遠心分離で得た上澄に、最終濃度70%飽和溶液になるように硫酸アンモニウムを添加し添加終了後、4℃で一晩放置したのち、生成した沈殿を遠心分離して分別した。分別した沈殿画分を、0.15M塩化ナトリウム含有100mMリン酸緩衝液(pH6.9)で再溶解し、次いで0.15M塩化ナトリウム含有100mMリン酸緩衝液(pH6.9)に対して透析し、粗活性画分を得た。得られた粗活性画分のウサギ赤血球に対する赤血球凝集活性は256単位であった。
(ハ)凝集素の精製工程
次に、このようにして得られた粗活性画分を100℃1分間で熱処理、遠心分離し不溶性の夾雑タンパク質を除去後、ゲル濾過クロマトグラフィーで分子量10万以上の画分を分画し、TSKgelDEAE−5PWを用いたイオン交換クロマトグラフィーにより分離し、精製標品を得た。このようにして得た精製標品のウサギ赤血球に対する赤血球凝集活性は2048単位であった。以上の結果から、本発明の美白効果向上剤が、その活性を保持したまま得られることが分かる。
精製標品について、ウサギ赤血球に対する凝集活性のイオン強度依存性を検討したところ、0.15M塩化ナトリウム濃度での凝集活性は2048単位であるのに対し、0.4M塩化ナトリウム濃度での凝集活性は8単位であった。
また、精製標品を100℃10分間の熱処理を行った後での凝集活性を測定したところ2048単位であり、熱処理による凝集活性の低下は認められなかった。
粗活性画分及び精製標品についてマイトジェン活性を測定した。ヒトリンパ球幼若化試験を行った。
次に、3H−チミジンの取り込みによる、ヒトリンパ球幼若化試験を行って、粗活性画分と精製標品についてのマイトジェン活性を測定した。この場合、すべての細胞培養に要する材料、例えば、マイクロプレート、セルハーベスター、グラスファイバーフィルター、カウンティングバイアル、3H−チミジン、トルエンシンチレーター(POPO 0.1g+PPO 5g/リットル トルエン)、液体シンチレーションカウンターの準備及びこれらを用いて行う操作はいずれも無菌的に行った。
次に、培養液として、純水100mlに対してRPMI 1640 1.05g、NaHCO3 0.2g、ペニシリン10000Unit、ストレプトマイシン10mg、ウシ胎児血清10mlの割合で溶解した水溶液を準備し、フィルターで濾過滅菌後、使用量にあわせて小びんにつめ、密栓して−20℃で保存した。この状態で2か月は保存使用可能であった。使用時には使い切るようにし、凍結融解は繰り返さないようにした。
リンパ球は、ヘパリン添加血液からフィコール・コンレイ法により分離した。次いでCMF−PBS(pH7.0)で3回洗浄したのち、培養液1mlに懸濁し、リンパ球数を算定した。次いで培養液で5×105個/mlに調整した。
リンパ球の培養は、マイクロプレートの各ウェルに、リンパ球浮遊液を200μlずつ分注して行った。
次いで、リンパ球の入ったマイクロプレートをクリーンブース内に置いた。3つの実験区により実験を行った。紫外線照射を行わず、30分間クリーンブース内に放置した対照実験区を実験区Aとした。マイクロプレート内のリンパ球に対して上方から紫外線照射を30分間行った実験区を実験区Bとした。マイクロプレート内のリンパ球に対して上方から紫外線照射を16時間行った実験区を実験区Cとした。紫外線照射は次のように行った。マイクロプレートをクロマトビューポータブル暗箱(フナコシ株式会社製)に入れ、暗箱上部取り付けた6ワット・ハンディ型UVランプUVL−56型ブラックレイランプ(フナコシ株式会社製)より、長波長(365nm)の紫外線を照射した。この際の365nmの紫外線強度は、デジタル式UVX RADIOMETER紫外線強度計(フナコシ株式会社製)にMODEL UVX−36センサー(フナコシ株式会社製)を接続して測定した。マイクロプレートの位置での紫外線強度は、0.63mW/cm2であった。
次いで、それぞれの実験区に対して、マイトジェン溶液として、粗活性画分、精製標品、リン酸緩衝液(PES)を各ウェルに20μlずつ分注した。粗活性画分は、緩衝液で希釈した希釈液(10倍希釈から320倍希釈)を調製し、実験に供した。粗活性画分での3H−チミジンの取り込み量(cpm)は、希釈液での測定値に希釈倍率を乗じて原液に換算した値を算出することにより求めた。精製標品は、緩衝液で希釈した希釈液(10倍希釈から320倍希釈)を調製し、希釈液を実験に供した。精製標品での3H−チミジンの取り込み量(cpm)は、希釈液での測定値に希釈倍率を乗じて原液に換算した値を算出することにより求めた。
次いで5%CO2含有空気中37℃の湿潤状態で、3日間培養した。培養終了8時間前に3H−チミジンを培養液当りの最終濃度が1μCi/mlになるように各ウェルに分注した。
活性の測定は次のように行った。Labo−MASH等を用いて食塩水でウェル内をハーベストしつつ、細胞をグラスファイバーフィルター上に集め、これを連続吸引してフィルター上の細胞を洗浄した(約20秒間、生理食塩水約1.5ml)。次いでグラスフィルター上の細胞固着部を剥離し、カウンティングバイアルに入れた。次いで充分乾燥させた後、液体シンチレーター 5mlをディスペンサーを用いて各バイアルに分注し、シンチレーションカウンターにて計測した。実施例1で用いた3人とは別の3人の検体(以下、検体a、b及びcという)からのリンパ球を用いて実験した。ある実験条件での実験数を3回(表には1、2、3と記載)とし、平均は3回の測定の平均値を示す。その検体aについての結果を表2、検体bについての結果を表3、検体cについての結果を表4にそれぞれ示す。
Figure 0004634769
Figure 0004634769
Figure 0004634769
表2ないし4の実験区Aから明らかなように、参考例2で得られた粗活性画分及び精製標品からなる本発明の美白効果向上剤は、陰性コントロールと比べて、3H−チミジンの取り込み量がそれぞれ600倍以上及び3400倍以上と著しく多いので、優れたマイトジェン活性を示すことが分かる。
また、表2ないし4の陰性コントロールの平均値から明らかなように、紫外線を照射すると、3H−チミジンの取り込み量、すなわち免疫力が低下することが分かるが、実験区B及びCの結果から明らかなように、本発明の美白効果向上剤を添加することにより、紫外線を照射しても3H−チミジンの取り込みが促進されることが分かる。
以上の結果から、自己免疫増強成分の粗活性画分・精製標品を紫外線照射処理によりDNA合成能力(3H−チミジンの取り込みなど)など免疫力が低下したヒトリンパ球に対して添加することにより、当該リンパ球のDNA合成能力など免疫力を増強させることができる。また、紫外線照射時間が30分以内であれば、紫外線を照射しなかったヒトリンパ球に自己免疫増強成分を添加した場合と同等のDNA合成能力まで上昇させることができる。紫外線を16時間照射しても、紫外線を照射しなかったヒトリンパ球に自己免疫増強成分を添加した場合の50%以上のDNA合成能力まで上昇させることができるし、紫外線を照射しなかった陰性コントロールと比較すると、3H−チミジンの取り込み量がはるかに多いことが分かる。
参考例3
参考例1−(ロ)の粗活性画分の分別工程において、硫酸アンモニウム添加による2段階の塩析による分別処理の代わりに、50質量%エタノールによる分別処理[「フィトケミストリー(Phytochemistry)」第27巻、第2063〜2067ページ(1988年)参照]を行った以外は、参考例1と同様にして粗活性画分を得た。この粗活性画分のウサギ赤血球に対する赤血球凝集活性は4単位、比活性は53.4単位/mgプロテイン、活性回収率は5.0%であった。これらの結果を表5に示す。比較のために参考例1の結果も併記した。
参考例4
常用の方法[「コンパラティブ・バイオケミストリー・アンド・フィジオロジー(Comp.Biochem.Phisiol.)」第102B巻、第445〜449ページ(1992年)に記載されている方法]に従って、紅藻類由来の赤血球凝集素を得た。得られた粗活性画分の赤血球凝集活性は16単位、比活性は149.5単位/mgプロテイン、活性回収率は19.5%であった。これらの結果を表5に示す。また、精製標品のウサギ赤血球に対する赤血球凝集活性を示す最小タンパク質濃度は32.6μg/mlであり、参考例1の約1/40の比活性に相当した。これらの結果を表5に示す。
Figure 0004634769
参考例5
紅藻類から常用の方法[「コンパラティブ・バイオケミストリー・アンド・フィジオロジー(Comp.Biochem.Phisiol.)」第102B巻、第445〜449ページ(1992年)に記載されている方法]に従って精製した分子量50,000の凝集素について、ウサギ赤血球に対する凝集活性のイオン濃度依存性を検討した。0.15M塩化ナトリウム濃度及び0.4M塩化ナトリウム濃度での凝集活性はともに1024単位であり、凝集活性のイオン強度依存性は認められなかった。これらの結果を表6に示す。
参考例6
Con A[和光純薬(株)製]25mgをリン酸緩衝液100mlに溶解し、ウサギ赤血球凝集活性のイオン濃度依存性を検討した。0.15M塩化ナトリウム濃度及び0.4M塩化ナトリウム濃度での凝集活性はともに64単位であり、凝集活性のイオン強度依存性は認められなかった。これらの結果を表6に示す。比較のために参考例1の結果も併記した。
Figure 0004634769
Con Aを100℃、10分間の熱処理を行った後での凝集活性は検出されず、熱処理により凝集活性の消失が認められた。
表5から明らかなように、本発明の美白効果向上剤は、凝集活性、比活性、活性回収率がいずれも高く、活性回収率は参考例3の約12倍、参考例4の約3倍、比活性は参考例3の約63倍、参考例4の約23倍である。また、表6から参考例1の精製凝集素は参考例5及び6のものと異なり、ウサギ赤血球に対する凝集活性がイオン強度により制御されることが分かる。
参考例7
美白剤の有効成分として用いられる植物エキスのチロシナーゼ活性阻害作用について試験した。
(チロシナーゼ活性阻害の評価)
試験試料は、各植物10gに50vol%エタノール溶液100gを加え、50℃にて5時間抽出した後、ろ過し、濃縮後凍結乾燥したものを精製水にて溶解し、各抽出物固形分濃度を設定した。5%FBS含有DMEM培地を用い、マウス由来B16メラノーマ培養細胞を96穴プレートに5×104cells/wellの密度で播種し、37℃、5%CO2にて24時間培養した後、試験試料の各濃度を添加し、37℃、5%CO2にてさらに3日間培養した。チロシナーゼ活性の測定前にウエル中の培地は除去し、PBS(−)100μLで2回洗浄した。各ウエル中に45μl 1%TritonX−100を含むPBSを加え、1分間プレートを振動させ、細胞膜を破壊し、基質として0.1%のL−DOPA溶液を加えて、37℃にて3時間反応させ、マイクロプレートリーダーにて波長475nmにおける吸光度を測定し、生成したメラニン量を定量した。また同時にLowry法にて細胞の蛋白量を測定し、単位蛋白量あたりのメラニン量を算出した。対照として試料溶液を添加しない(コントロール)細胞を用い、チロシナーゼ活性阻害率とした。試験の結果チロシナーゼ活性阻害作用の評価の高かったものを表7に記す。
本発明では、IC50とは、50%阻害率を示すエキスの固形物濃度のことをいう。一般に、IC50が低い値ほど、その活性阻害作用・機能が強いことを意味する。
Figure 0004634769
参考例8
美白剤の有効成分として用いられる植物エキスのメラニン産生抑制作用について試験した。
(メラニン生成抑制の評価)
マウス由来B16メラノーマ細胞を5%FBSを含むDMEM培地を用いて、35mmのシャーレに5×104cellずつ播種し、5%CO2にて37℃24時間培養した。24時間後、シャーレの培地を除去し、5%FBSを含むDMEM培地2mlと各濃度に溶解した試験試料(各植物10gに50vol%エタノール溶液100gを加え、50℃にて5時間抽出した後、ろ過し、濃縮後凍結乾燥したものをDMSOに10%溶解し、さらにPBS(−)にて希釈して濃度調整)20μl加え、さらに37℃にて3日間培養した。培地を除去し、PBS(−)で2回洗浄後、トリプシン−EDTAを用いて細胞を剥離し、1.5mlチューブに入れ、25℃、12000回転、10分間遠心操作し、細胞ペレットを作成した。コントロールには、20μLのPBS(−)を用いた。評価は、下記の評価基準にて行なった。
<評価基準>
細胞ペレットの色調
0−コントロールと同様な黒色
1−コントロールに比べわずかに薄い黒色
2−コントロールに比べて明瞭に薄い黒色
3−灰色に近い黒色
4−灰色
5−白色
細胞ペレットの量
1−コントロールに比べ明瞭に少ない
2−コントロールに比べわずかに少ない
3−コントロールと同量
試験結果を表8に示す。
Figure 0004634769
参考例9
皮膚機能改善剤として用いられる植物エキスのエステラーゼ活性阻害について試験した。
(エラスターゼ活性阻害の評価)
ヒト線維芽細胞由来エラスターゼ及び合成基質としてSuc−(Ala)3−p−nitroanilide(Sigma社製)を用いて評価した。試験試料は、各植物10gに50vol%エタノール溶液100gを加え、50℃にて5時間抽出した後、ろ過し、濃縮後凍結乾燥したものを精製水にて溶解し、各抽出物固形分濃度を設定した。また、反応緩衝液として、0.1M Tris−HCl Buffer(pH8.0)を用いた。
(試験方法)
合成基質をDMSOにて溶解し、100μlずつマイクロチューブに分注し凍結保存した。使用時に反応緩衝液を用いて希釈し6mMとした。エラスターゼは、ヒト正常線維芽細胞を10%FBS含有MEMにて1×105cells/wellの密度で96wellプレートに播種し、24時間培養後、PBS(−)で一回洗浄し、0.5% triton x−100/PBS(−)を25μl添加、溶解した細胞液を用いた。
96穴プレートに、それぞれ試験試料25μL、6mMの合成基質50μlを加え、直ちに37℃にて2時間インキュベーションした。その後、プレートリーダーで405nmにて吸光度を測定した。
測定結果より次式によりエラスターゼ阻害率を算出し、各固形物濃度より、50%阻害率を示すエキスの固形物濃度を算出した。本発明ではIC50とは、50%阻害率を示すエキスの固形物濃度のことをいう。
エラスターゼ阻害率(%)=〔1−(A−B)/(C−D)〕×100
A:試料溶液添加、エラスターゼ添加時の吸光度
B:試料溶液添加、エラスターゼ無添加時の吸光度
C:試料無添加、エラスターゼ添加時の吸光度
D:試料無添加、エラスターゼ無添加時の吸光度
ただし、各無添加のときには、それぞれ精製水、緩衝液を代わりに用いた。試験結果活性の高かったものを表9に示す。
Figure 0004634769
参考例10
皮膚機能改善剤として用いられる各種植物エキスについてのコラゲナーゼ阻害活性を試験した。
(コラゲナーゼ阻害活性の評価)
Wunsch−Heidrich法を一部変更した方法(薬学雑誌118,423−429,1998)により測定した。コラゲナーゼは、Sigma社製TypeIVを5mg/mlとし100μlずつ分注し凍結保存する。使用時に50倍希釈し0.1mg/mlとして使用した。コラゲナーゼ合成基質は、PZ−ペプチド(Pz−Pro−Leu−Gly−Pro−D−Arg−OH,Bachem社製)0.5mgに調製した。希釈液は、ともに0.1Mトリス緩衝液(pH7.1,20mMCaCl2を含有)を使用した。試験試料は、各植物10gに50vol%エタノール溶液100gを加え、50℃にて5時間抽出した後、ろ過し、濃縮後凍結乾燥したものを精製水にて溶解し、各抽出物固形分濃度を設定した。
(試験方法)
合成基質400μl、コラゲナーゼ50μl、試験試料50μlを加え、37℃にて30分間反応させた後、25mMクエン酸溶液1mlを加えて反応を停止させた。酢酸エチル5mlを加えて激しく振とうさせた後、2500rpmにて遠心分離した。酢酸エチル層をとり、320nmで吸光度を測定した。
測定結果より次式によりコラゲナーゼ阻害率を算出し、各固形物濃度より、50%阻害率を示すエキスの固形物濃度を算出した。本発明ではIC50とは、50%阻害率を示すエキスの固形物濃度のことをいう。
コラゲナーゼ阻害率(%)=〔1−(A−B)/(C−D)〕×100
A:試料溶液添加、コラゲナーゼ添加時の吸光度
B:試料溶液添加、コラゲナーゼ無添加時の吸光度
C:試料無添加、コラゲナーゼ添加時の吸光度
D:試料無添加、コラゲナーゼ無添加時の吸光度
ただし、各無添加のときには、それぞれの水を代わりに用いた。試験結果活性の高かったものを表10に示す。
Figure 0004634769
参考例11
皮膚機能改善剤として用いられる各種植物エキスのヒアルロン酸産生促進作用について試験した。
(ヒアルロン酸産生促進作用の評価)
正常ヒト皮膚線維芽細胞を0.5%FBS含有MEMを用いて、96穴プレートに2.0×104cells/wellになるように播種し、24時間培養後、試験試料含有MEMに交換し、5日間培養した。培養上清のヒアルロン酸量をELISA法にて測定した。同時にMTT還元法にて線維芽細胞数を測定し、細胞当たりのヒアルロン酸産生量を算出した。試料を含有しない対照の細胞当たりヒアルロン酸産生量を100とし、相対値で示した。試験試料は、各植物10gに精製水100gを加え、70℃にて3時間抽出した後、ろ過し、固形分濃度1%に調製したものを0.5%添加した。試験の結果を表11に示す。
Figure 0004634769
参考例12
皮膚機能改善剤として用いられる各種植物エキスのコラーゲン産生促進作用について試験した。
(コラーゲン産生促進作用の評価)
正常ヒト皮膚線維芽細胞を0.5%FBS含有MEMを用いて、96穴プレートに2.0×104cells/wellになるように播種し、24時間培養後、PBS(−)にて洗浄後、試料を添加した無血清培地に交換し、48時間培養する。培養後、培養上清中に含まれる1型コラーゲンをELISA法にて定量した。100μlの培養上清をELISA用プレートに添加し、18時間室温に保管した。0.05%Tween−20を含むPBS(PBS−T)で洗浄後、1%スキムミルク/PBS−Tで2時間ブロッキングした。抗ヒトI型コラーゲン抗体、ペルオキシダーゼ標準抗ラットIgG抗体で処理し、ペルオキシダーゼ用発色キットを用いて発色させた。450nmの吸光度から培養上清中に含まれるI型コラーゲン量を求め、単位蛋白当たりとして算出した。蛋白定量は、Lowry法を用いた。コントロールのI型コラーゲン量を100とした相対値として評価した。試験試料は、各植物10gに精製水100gを加え、70℃にて3時間抽出した後、ろ過し、固形分濃度1%に調製したものを0.5%添加した。試験の結果を表12に示す。
Figure 0004634769
参考例13
抗酸化剤として用いられる各種植物エキスの活性酸素消去作用SOD様活性作用について試験した。
(活性酸素消去作用SOD様活性作用の測定)
SOD様活性は、NBT法(XOD系と組み合わせたBeauchampsらの方法Anal.Bioche.,44、279〜287、1971)に従った。試験試料は、各植物10gに50vol%エタノール溶液100gを加え、50℃にて5時間抽出した後、ろ過し、濃縮後凍結乾燥したものを精製水にて溶解し、各抽出物固形分濃度を設定した。その結果を表13に記す。
Figure 0004634769
参考例14
抗酸化剤として用いられる各種植物エキスについて活性酸素消去作用DPPHラジカル消去能の測定を行った。
DPPH(ジフェニルピクリルヒドラジルラジカル)ラジカル(Sigma社)をエタノールに溶解し0.1mM溶液とした。0.1mMDPPHラジカル溶液3mlを試験管にとり、試験溶液0.5mlを加え、室温で10分間放置後、波長517nmで吸光度を測定した。コントロールには、試験試料の代わりに精製水を用いた。消去能は、BHA42.3μg/mlでの反応に対応する試験試料の抽出物固形量で比較した。試験試料は、各植物10gに50vol%エタノール溶液100gを加え、50℃にて5時間抽出した後、ろ過し、濃縮後凍結乾燥したものを精製水にて溶解し、各抽出物固形分濃度を設定した。その結果を表14に記す。
Figure 0004634769
美白剤効果試験
夏期の太陽光に4時間(1日2時間2日間)晒された20〜25歳の健常な男女各25名を被験者とし、左右上腕内側部皮膚を対象として太陽光に晒された日の5日後より、各皮膚外用剤を朝夕1回ずつ4週間塗布した。皮膚外用剤の処方は下記に示す。試験物質の組成は表15に示す。使用した植物エキスは、市販のもの(香栄興業製)を用いた。また、試験の結果を表16に示す。
下記成分(1)〜(10)、別に下記成分(11)〜(16)を75℃に加温溶解しそれぞれA液及びB液とする。A液にB液を加えて乳化し、攪拌しながら冷却し、クリームを調製した。
成 分 質 量%
(1)ホホバ油 3.0%
(2)スクワラン 2.0%
(3)メチルポリシロキサン 0.5%
(4)ステアリルアルコール 0.5%
(5)セチルアルコール 0.5%
(6)トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル 12.5%
(7)モノステアリン酸グリセリル 5.0%
(8)モノステアリン酸ジグリセリル 1.5%
(9)モノステアリン酸デカグリセリル 3.0%
(10)パラオキシ安息香酸プロピル 0.1%
(11)キサンタンガム 0.1%
(12)グリセリン 1.0%
(13)1,3−ブチレングリコール 5.0%
(14)パラオキシ安息香酸メチル 0.2%
(15)表15に示す試験物質
(16)精製水 残余
使用後の淡色化効果を下記の判定基準に基づいて判定した。
(判定基準)
有効 :コントロールに比較して明らかな淡色化効果が認められた
やや有効:コントロールに比較して淡色化効果が認められた
効果なし:コントロールとほぼ同程度であった
なお、コントロールは試験物質に代えて精製水を使用した。結果を表16に示す。
Figure 0004634769
Figure 0004634769
表16から明らかなように、ツルシラモ粗活性画分を配合したクリームを用いた場合には、配合されていないクリームを用いた場合と比較して顕著な美白効果向上が確認された。また、皮膚機能改善剤、抗酸化剤を添加したものは、美白効果の有効性を増した。これらの試験により、本発明の美白組成物を配合した皮膚外用剤は、日焼け後の皮膚の美白に有効な化粧料であることが確認された。
以下にさらに、本発明の化粧品処方例を示す。
下記成分(7)〜(11)を混合溶解させA液とし、これとは別に下記成分(1)〜(6)及び(12)を混合溶解させてB液とし、A液とB液を均等に混合し、化粧水を調製した。
成 分 質 量%
(1)クインスシードエキス 8.0%
(2)グリセリン 3.0%
(3)1,3−ブチレングリコール 5.0%
(4)オゴノリ粗活性画分 2.0%
(5)パシャンベ抽出液 1.0%
(6)ブクリョウ抽出液 1.0%
(7)ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル 1.2%
(8)エチルアルコール 5.0%
(9)β−アルブチン 5.0%
(10)パラオキシ安息香酸メチル 0.2%
(11)香料 0.1%
(12)精製水 残余
下記成分(1)〜(10)、別に(11)〜(15)及び(17)を75℃で加熱溶解させてそれぞれA液及びB液とし、A液にB液を加えて乳化し、攪拌しながら50℃まで冷却し、成分(16)を加え、乳液を調製した。
成 分 質 量%
(1)ホホバ油 1.0%
(2)スクワラン 2.0%
(3)ベヘニルアルコール 1.0%
(4)トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル 2.0%
(5)テトラグリセリン縮合シリノレイン酸 0.1%
(6)モノオレイン酸プロピレングリコール 0.5%
(7)モノステアリン酸グリセリン 1.0%
(8)モノミレスチン酸ヘキサグリセリル 1.0%
(9)モノミリスチン酸デカグリセリル 0.5%
(10)アスコルビン酸ステアリル 2.0%
(11)クインスシードエキス 5.0%
(12)オゴノリ粗活性画分 2.0%
(13)フトモモ抽出物 2.0%
(14)シモツケソウ抽出液 1.0%
(15)1,3−ブチレングリコール 3.0%
(16)香料 0.1%
(17)精製水 残余
セッケン製造の定法により下記成分を混合しセッケンを調製した。
成 分 質 量%
(1)セッケン素地 53.2%
(2)スクロール 19.4%
(3)ホホバ油 0.25%
(4)ツルシラモ粗活性画分 2.5%
(5)ショウキョウ抽出液 2.0%
(6)ワレモコウ抽出液 1.0%
(7)濃グリセリン 6.5%
(8)グラブリジン 0.1%
(9)ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.15%
(10)常水 残余
下記成分(1)〜(3)、別に(4)〜(8)及び(10)を70℃に加熱溶解させてそれぞれA液及びB液とし、A液にB液を加えて均一になるまで攪拌する。攪拌しながら50℃まで冷却し、成分(9)を加えてクレンジングジェルを調製した。
成 分 質 量%
(1)モノミリスチン酸ヘキサグリセリル 20.0%
(2)流動パラフィン 58.8%
(3)パラオキシ安息香酸エステル 0.3%
(4)ツルシラモ粗活性画分 1.0%
(5)エラグ酸 0.5%
(6)パシャンベ抽出液 0.5%
(7)濃グリセリン 5.9%
(8)ソルビトール 5.0%
(9)香料 0.1%
(10)精製水 残余
A相、B相、C相をそれぞれ均一に溶解し、A相にB相を加えて可溶化し、次いでC相を加えて均一に溶解し、パック剤を調製した。
成 分 質 量%
(A相)ジプロピレングリコール 5.0%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 5.0%
(B相)オリーブ油 5.0%
酢酸トコフェノール 0.2%
パラオキシ安息香酸エステル 0.2%
(C相)亜硫酸水素ナトリウム 0.03%
ポリビニルアルコール 13.0%
オゴノリ粗活性画分 1.0%
ブクリョウ抽出液 0.5%
フトモモ抽出液 0.5%
エタノール 7.0%
精製水 残余
下記成分(1)〜(6)を充分に混合粉砕した粉末部をAとし、(7)(8)をB液、(9)〜(14)及び(16)をC液とする。C液を加熱攪拌後、Aを添加しホモミキサー処理し、さらに加熱混合したB液を加えてホモミキサー処理する。攪拌しながら50℃まで冷却し、(15)を加え、さらに室温まで冷却して乳液ファンデーションを調製した。
成 分 質 量%
(1)二酸化チタン 10.3%
(2)セリサイト 5.4%
(3)カオリン 3.0%
(4)黄色酸化鉄 0.7%
(5)ベンガラ 0.4%
(6)黒色酸化鉄 0.2%
(7)デカメチルシクロペンタシロキサン 11.5%
(8)流動パラフィン 8.5%
(9)セスキオレイン酸ソルビタン 3.0%
(10)ツルシラモ粗活性画分 1.5%
(11)フトモモ抽出液 1.5%
(12)チョウジ抽出液 1.5%
(13)1,3−ブチレングリコール 5.0%
(14)パラオキシ安息香酸エステル 0.2%
(15)香料 0.2%
(16)精製水 残余
下記成分(1)〜(7)をブレンダーで均一に混合し、これに(8)〜(16)を加え、よく混練して固形ファンデーションを調製した。
成 分 質 量%
(1)タルク 42.4%
(2)カオリン 15.5%
(3)セリサイト 10.0%
(4)亜鉛華 7.0%
(5)二酸化チタン 3.8%
(6)黄色酸化鉄 2.9%
(7)黒色酸化鉄 0.2%
(8)スクワラン 7.5%
(9)イソステアリン酸 4.0%
(10)モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 3.0%
(11)オクタン酸イソセチル 2.0%
(12)オゴノリ粗活性画分 0.5%
(13)パシャンベ抽出液 0.5%
(14)サイシン抽出液 0.5%
(15)パラオキシ安息香酸エステル 0.1%
(16)香料 0.1%
上記実施例1〜8の皮膚外用剤は、いずれも優れた美白効果を示した。
本発明の美白効果向上剤は、美白剤組成物の成分として有用である。

Claims (17)

  1. オゴノリ属紅藻類(Gracilaria sp.)からの塩類水溶液による液状抽出物と、
    アスコルビン酸もしくはその誘導体並びにそれらの塩、及び、パシャンベ抽出液を含有することを特徴とする美白剤組成物。
  2. さらに、ドクダミ抽出液及び茶抽出液を含有する請求項1記載の美白剤組成物。
  3. オゴノリ属紅藻類がオゴノリ(Gracilaria verrucosa)又はツルシラモ(Gracilaria chorda)あるいはそれらの亜種である請求項1または2記載の美白剤組成物。
  4. 液状抽出物がプロナーゼ処理したヒツジ赤血球を凝集させる性質を有し、かつこの凝集活性が単糖類又は二糖類では阻害されないが、フェツイン又はアシアロフェツインで阻害されることで特徴付けられる請求項1ないし3のいずれかに記載の美白剤組成物。
  5. 液状抽出物がウサギ赤血球に対する凝集活性がイオン強度により変化することで特徴付けられる請求項1ないし4のいずれかに記載の美白剤組成物。
  6. 液状抽出物が球状タンパク質を標準分子量物質として使用するゲルろ過クロマトグラフィーにおいて、分子量100,000以上に相当する画分に溶出することで特徴付けられる請求項1ないし5のいずれかに記載の美白剤組成物。
  7. 液状抽出物が細胞性免疫能力賦活活性を有することで特徴付けられる請求項1ないし6のいずれかに記載の美白剤組成物。
  8. 液状抽出物が100℃、10分間の熱処理後も糖鎖結合活性を有することで特徴付けられる抽出物である請求項1ないし7のいずれかに記載の美白剤組成物。
  9. 液状抽出物がヒトリンパ球を幼若化する活性を有することで特徴付けられる請求項1ないし8のいずれかに記載の美白剤組成物。
  10. 液状抽出物がトリチウムラベルしたチミジンの細胞核への取り込みを促進することで特徴付けられる請求項1ないし9のいずれかに記載の美白剤組成物。
  11. 液状抽出物が海藻を塩類水溶液により抽出し、得られた抽出液に先ず最終濃度20〜40%飽和濃度になるまで硫酸アンモニウムを加えて不溶解分を除去し、その抽出液にさらに最終濃度60〜80%飽和濃度になるまで硫酸アンモニウムを加え、沈殿として回収した自己免疫増強剤の粗活性画分、あるいはその沈殿を適当な溶媒で溶解することにより得た粗活性画分の液状抽出物である請求項1ないし10のいずれかに記載の美白剤組成物。
  12. 液状抽出物が海藻を塩類水溶液により抽出し、得られた抽出液に先ず最終濃度20〜40%飽和濃度になるまで硫酸アンモニウムを加えて不溶解分を除去し、その抽出液にさらに最終濃度60〜80%飽和濃度になるまで硫酸アンモニウムを加え、自己免疫増強剤の粗活性画分を沈殿として回収し、その沈殿を適当な溶媒で溶解することにより得た粗活性化画分の液状抽出物に対して100℃において1〜10分間熱処理し夾雑タンパク質を除去した、自己免疫増強剤の粗活性画分の熱処理物である請求項1ないし11のいずれかに記載の美白剤組成物。
  13. 液状抽出物が海藻を塩類水溶液により抽出し、得られた抽出液に先ず最終濃度20〜40%飽和濃度になるまで硫酸アンモニウムを加えて不溶解分を除去し、その抽出液にさらに最終濃度60〜80%飽和濃度になるまで硫酸アンモニウムを加え、自己免疫増強剤の粗活性画分を沈殿として回収し、その沈殿を適当な溶媒で溶解することにより得た粗活性化画分の液状抽出物に対して100℃において1〜10分間熱処理し夾雑タンパク質を除去したのち、次いでゲル濾過クロマトグラフィーにより分子量100,000以上の画分を分画したのち、この画分をクロマトグラフィーにより分離、精製した自己免疫増強剤の精製画分である請求項1ないし12のいずれかに記載の美白剤組成物。
  14. オゴノリ属紅藻類を塩類水溶液により抽出し、得られた抽出液に、先ず最終濃度35〜40%飽和濃度になるまで硫酸アンモニウムを加えて第1段目の塩析を行い、沈殿した夾雑物を除去したのち、さらにその抽出液に最終濃度60〜80%飽和濃度になるまで硫酸アンモニウムを加えて第2段目の塩析を行い、粗活性画分を沈殿として回収し、沈殿を適当な溶媒で溶解することにより細胞性免疫能力賦活活性を示す液状抽出物を分離し、捕集したものをアスコルビン酸もしくはその誘導体並びにそれらの塩、及び、パシャンベ抽出液を含む美白剤組成物に配合することを特徴とする美白剤組成物の製造方法。
  15. 液状抽出物をさらに100℃において1〜10分間熱処理して夾雑タンパク質を除去し、次いでゲル濾過クロマトグラフィーにより分子量100,000以上の画分を分画したのち、この画分をクロマトグラフィーにより分離、精製する請求項14記載の美白剤組成物の製造方法。
  16. 塩類水溶液が塩化ナトリウムを含むリン酸緩衝液である請求項14又は15記載の美白剤組成物の製造方法。
  17. 塩類水溶液が塩化カリウム、硫酸亜鉛及び2−メルカプトエタノールから選ばれた少なくとも1種を含むトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸緩衝液である請求項14又は15記載の美白剤組成物の製造方法。
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