JP2017100960A - メラニン取込み阻害剤 - Google Patents
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Abstract
Description
また、通常の色素沈着症状に加え、角化細胞(ケラチノサイト)への過剰な輸送により、蓄積及び排出遅延等によりケラチノサイトを不活性化させ、重層剥離等の肌症状の悪化を引き起こす(例えば、特許文献1を参照)。
色素沈着異常を含む肌症状の悪化を予防又は改善するために、美白剤をはじめとする様々な有効成分の研究開発がなされている。この様な研究により見出された美白剤としては、例えば、アスコルビン酸、過酸化水素、コロイド硫黄、グルタチオン、ハイドロキノン、カテコ−ル類などが知られ、これらを有効成分として配合した皮膚外用剤も広く使用されている(例えば、非特許文献1及び非特許文献2を参照)。
また、現在までに創出された美白剤の作用機序は、多岐に渡り、メラニン産生抑制剤(例えば、特許文献2を参照)、チロシナ−ゼ酵素阻害剤(例えば、特許文献3を参照)、チロシナ−ゼ酵素遺伝子発現抑制剤、α−MSH阻害剤(例えば、特許文献4を参照)、抗酸化剤等が報告されている。
また、メラニンを抑制する物質の評価として、メラニン取込み阻害効果の評価方法が使用され、メラニン取込み阻害を評価する方法としては、PAR2(Protease Activated Receptor2)活性化阻害を評価する方法が知られている。
<1>キク科ベニバナ属ベニバナ(Carthamus tinctorius)の抽出物からなるメラニン取込み阻害剤。
<2><1>に記載のメラニン取込み阻害がPAR2活性化阻害であることを特徴とする、メラニン取込み阻害剤。
<3><1>または<2>に記載のメラニン取込み阻害剤を含有することを特徴とする、美白剤。
<4><1>または<2>に記載のメラニン取込み阻害剤を含有することを特徴とする、肌色改善剤。
<5><1>または<2>に記載のメラニン取込み阻害剤を含有する美白用の皮膚外用剤。
<6><1>または<2>に記載のメラニン取込み阻害剤を含有する肌色改善用の皮膚外用剤。
<7>化粧料であることを特徴とする、<5>又は<6>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
本発明のメラニン取込み阻害剤は、優れた美白効果、肌色改善効果を有するものである。従って、本発明によれば、新規な美白用または肌色改善用の皮膚外用剤を提供することができる。
本発明のベニバナ抽出物は、日本において、自生又は生育された植物、漢方生薬原料等として販売される日本産のものを用いて抽出物を作製することも
できるし、丸善製薬株式会社等より販売されている市販の抽出物を購入し使用することもできる。
本発明のメラニン取込み阻害作用を有するベニバナ抽出物を以下の手順に従い製造した。キク科ベニバナ属ベニバナ花部の粗砕物100gを60%(容量)エタノール溶媒4000Lに投入し、穏やかに攪拌しながら3時間、70℃に保った後、ろ過した。ろ液を40℃で減圧下にて濃縮し、更に減圧乾燥機で乾燥し、固形分の植物抽出物を得た。
本発明のメラニン取込み阻害剤は、皮膚、特に表皮のメラニン取込み阻害作用を高める目的で使用するのに好適であり、この点から、好ましくは皮膚外用剤の成分として使用することができる。
また、本発明のメラニン取込み阻害剤は、皮膚外用剤の形態として用いることが好ましい。すなわち、本発明の好ましい形態は、前記メラニン取込み阻害剤を含有する美白用、肌色改善用の皮膚外用剤である。
本発明の皮膚外用剤におけるメラニン取込み阻害剤の含有量は、ベニバナ抽出物の固形分として、0.0001質量%〜1質量%、より好ましくは、0.001質量%〜0.1質量%であり、さらに好ましくは、0.005質量%〜0.05質量%である。これは、あまり濃すぎると効果が頭打ちになる場合があり、少なすぎると有効濃度とならない場合があるからである。
試験法を記載する。以下の手順で、ケラチノサイトにおけるメラニン取込み因子の発現変化を検討した。
新生児ヒト皮膚ケラチノサイトを、KG2培地で24穴プレートに5.0×104細胞数/ウェルとなるように播種した。播種24時間後、最終濃度0.5%となるように市販のベニバナ抽出物(一丸ファルコス製)を添加したKG2培地(500μL/ウェル)に交換した。その24時間後、24穴プレートのケラチノサイトにRNeasyMiniKit(QIAGEN社)のRLT bufferを添加しmRNAを抽出し、QuantiTect Primer Assayを用いてRT−PCRを行いケラチノサイトに発現しているメラニン取込み因子(PAR2)のmRNA量を測定した。各遺伝子のmRNA発現量は、18srRNAを内在性コントロールとして、比較CT法により算出し、ベニバナ抽出物非添加のケラチノサイトにおける遺伝子発現量を「1」とした場合の相対値で示した。結果を図1に示す。
以下の手順で、メラニンを模した蛍光ビーズを用いて、ケラチノサイトにおけるメラニン取込み阻害について検討した。
新生児ヒト皮膚ケラチノサイトを、KG2培地で4穴チャンバースライドに5.0×104細胞数/ウェルとなるように播種した。播種24時間後、メラニン取込み因子PAR2活性化試薬(SLIGRL:Proteinase Activated Receptor 2 Agonist Peptode)を最終濃度50μMになるように添加し、4時間培養する。その後、最終濃度0.5%となるようにベニバナ抽出物をKG2培地(500μL/ウェル)に交換した。その24時間後、メラニンを模した蛍光ビーズ(Fluo Sphere® 0.5μm Red)を添加し、さらに4時間培養した後にPBSで十分洗浄した。4穴チャンバースライドのケラチノサイトは、4%パラホルムアルデヒドで細胞固定した後、Dapi−Fluoromount−Gにて封入後、蛍光顕微鏡の蛍光観察を行った。なお、画像解析ソフトImageJを用いて、蛍光強度を測定した。結果を図2に示す。
つまり、メラニン取込み阻害を評価する方法としては、PAR2(Protease Activated Receptor2)活性化阻害を評価する方法が知られていることから、ベニバナ抽出物がメラニンの取込みを抑制することが推察された。
以下の表1に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である化粧料1を作製した。
Claims (7)
- キク科ベニバナ属ベニバナ(Carthamus tinctorius)の抽出物からなるメラニン取込み阻害剤。
- 請求項1に記載のメラニン取込み阻害がPAR2活性化阻害であることを特徴とする、メラニン取込み阻害剤。
- 請求項1または請求項2に記載のメラニン取込み阻害剤を含有することを特徴とする、美白剤。
- 請求項1または請求項2に記載のメラニン取込み阻害剤を含有することを特徴とする、肌色改善剤。
- 請求項1または請求項2に記載のメラニン取込み阻害剤を含有する美白用の皮膚外用剤。
- 請求項1または請求項2に記載のメラニン取込み阻害剤を含有する肌色改善用の皮膚外用剤。
- 化粧料であることを特徴とする、請求項5又は6のいずれかに記載の皮膚外用剤。
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