JP7039812B2 - 口唇用のヒアルロン酸産生促進剤 - Google Patents

口唇用のヒアルロン酸産生促進剤 Download PDF

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Description

本発明は、口唇用のヒアルロン酸産生促進剤、及びこれを評価又はスクリーニングする方法に関する。
ハリがあり、ふっくらとした厚み感がある口唇は、若々しい印象を与えるため、これを叶える手法に対する需要は高い。例えば、化粧料としては、塗布することによりぷっくりとした外観を演出するリップグロス等がある。また、口唇に直接的にハリやボリュームを持たせるため、口唇にヒアルロン酸を注入する美容医療も実施されている。しかしながら、非侵襲的でかつ効果の高い、口唇のボリューム向上用の外用剤はないため望まれている。
一般に、肌にハリやボリュームを持たせるための成分としてはヒアルロン酸が知られており、真皮におけるヒアルロン酸量を増加させるための皮膚外用剤の有効成分として種々の植物抽出物が報告されている。(特許文献1、2)。しかしながら、これらの植物抽出物については、一般的な部位の真皮の線維芽細胞や表皮の角化細胞におけるヒアルロン酸量を増加させる作用が確認されるにとどまり、特に口唇に適用した場合の有効性については検討されてこなかった。
特開2006-104117号公報 特開2011-196805号公報
本発明者らが検討したところ、特許文献1や2にヒアルロン酸量を増加させる作用を有することが開示されている植物抽出物は、口唇由来の線維芽細胞に対してはヒアルロン酸産生量を増加させる作用を示さなかった(後述の参考例)。
このことから、本発明者らは、口唇の線維芽細胞と口唇以外の部位の線維芽細胞とでは、ヒアルロン酸産生促進に対する応答性が異なることを見出し、口唇に適したヒアルロン酸産生促進剤の探索及びその評価方法の確立の必要性に想到した。
したがって、本発明は、口唇用のヒアルロン酸産生促進剤、及び口唇のボリューム向上用の外用組成物を提供することを目的とする。また、かかる剤を評価又はスクリーニングするための方法を確立することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、口唇由来の線維芽細胞を用いれば、口唇用のヒアルロン酸産生促進剤を評価又はスクリーニングできることに想到した。そして、該方法によりジユ抽出物及びセイヨウボダイジュ抽出物が、口唇由来の線維芽細胞に対して優れたヒアルロン酸産生促進作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]ジユ抽出物及び/又はセイヨウボダイジュ抽出物からなる、口唇用のヒアルロン酸産生促進剤。
[2][1]に記載の口唇用のヒアルロン酸産生促進剤を含有する、口唇のボリューム向上用の外用組成物。
[3]化粧料(医薬部外品を含む)である、[2]に記載の外用組成物。
[4]口唇由来の線維芽細胞を用いることを特徴とする、口唇用のヒアルロン酸産生促進剤を評価又はスクリーニングする方法。
[5]被験物質を口唇由来の線維芽細胞に添加する工程、及び被験物質を添加した口唇由来の線維芽細胞におけるヒアルロン酸産生量が、被験物質を添加しなかった口唇由来の線維芽細胞における産生量と比較して大きい被験物質を、口唇用のヒアルロン酸産生促進作用を有すると判断する工程、を含む、[4]に記載の方法。
本発明により、口唇におけるヒアルロン酸産生を促進させ、該産生量を増加させることができるヒアルロン酸産生促進剤を提供される。また、該ヒアルロン酸産生促進剤を口唇用の外用組成物に含有させることにより、口唇のボリューム向上用途に好適に供することができる。また、口唇用のヒアルロン酸産生促進剤を、適切に評価又は探索することができる方法が提供される。
参考例のヒアルロン酸産生量を示すグラフ。 実施例1のヒアルロン酸産生量を示すグラフ。 実施例2の口唇由来の線維芽細胞の蛍光顕微鏡写真。蛍光標識されたヒアルロン酸を緑色で示す。 比較例のヒアルロン酸産生量を示すグラフ。
<1>口唇用のヒアルロン酸産生促進剤
本発明の口唇用のヒアルロン酸産生促進剤は、ジユ(地楡、ワレモコウ、吾木香、吾亦紅、Sanguisorba officinalis)抽出物及び/又はセイヨウボダイジュ(西洋菩提樹、Tilia platyphyllos)抽出物からなる。
上記植物抽出物は、通常化粧料や医薬品の皮膚外用組成物に用いられるものであればよい。例えば、該植物由来の抽出物自体のみならず、抽出物の画分、精製した画分、抽出物乃至は画分、精製物の溶媒除去物も含でよい。また、該植物抽出物は、自生若しくは生育された植物、漢方生薬原料等として販売されるものを用いた抽出物、市販されている抽出物等であってもよい。
抽出操作は、植物部位の全草を用いるほか、植物体、地上部、根茎部、木幹部、葉部、茎部、花穂、花蕾等の部位を使用することできるが、予めこれらを粉砕あるいは細切して抽出効率を向上させることが好ましい。抽出溶媒としては、水、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、1,3-ブタンジオール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類等の極性溶媒から選択される1種乃至は2種以上が好適なものとして例示することができる。具体的な抽出方法としては、例えば、植物体等の抽出に用いる部位乃至はその乾燥物1質量に対して、溶媒を1~30質量部加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬し、室温まで冷却し後、所望により不溶物及び/又は溶媒除去し、カラムクロマトグラフィー等で分画精製する方法が挙げられる。
本発明の口唇用のヒアルロン酸産生促進剤は、口唇における、より具体的には口唇の真皮の線維芽細胞におけるヒアルロン酸産生を促進することができる。かかる産生促進は、ヒアルロン酸量を直接又は間接的に、また定量的又は定性的に測定することにより確認されればよく、例えば後述の評価方法により確認することができる。
本発明の口唇用のヒアルロン酸産生促進剤の投与経路は、特に限定されないが、通常は
経皮であり、より具体的には口唇の経皮である。
投与量としては、特に限定されないが、所望の効果と安全性とを考慮して、例えば経皮投与する場合は、固形物換算で0.0002~0.05mg/日が好ましい。
本発明の口唇用のヒアルロン酸産生促進剤は、任意の組成物に含有させることができ、特に経皮吸収による効果が期待できる皮膚外用組成物とすることが好ましい。皮膚外用組成物の態様としては、皮膚に外用で適用されるものであれば特に限定されないが、通常は口唇の皮膚に適用されるものであり、また化粧料(医薬部外品を含む)、医薬品等が好ましく挙げられ、化粧料がより好ましい。また、かかる外用組成物は、口唇のボリューム向上用の外用組成物であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において「口唇のボリューム向上」とは、口唇の真皮のヒアルロン酸量が増加することによりハリや弾力が増大し、唇のボリューム感や厚み感がある状態をいう。したがって、本願発明の口唇のボリューム向上用の外用組成物は、これを適用することにより、口唇にボリューム感、厚み感、ふっくらした感じを与え、抗老化(アンチエイジング)効果をもたらすものである。
本願発明の口唇のボリューム向上用の外用組成物の剤型としては、例えば、ローション剤型、乳液やクリーム等の乳化剤型、オイル剤型、ジェル剤型、パック、洗浄料等が挙げられ、特に限定されない。
本発明の口唇用のヒアルロン酸産生促進剤を口唇のボリューム向上用の外用組成物に含有させる場合は、その量を組成物全量に対して総量(固形物換算)で、好ましくは0.001%~20質量%、より好ましくは0.01~10質量%、さらに好ましくは0.05~5質量%の含有量とすると、所望の効果を得やすく、また処方設計の自由度を確保できる。
本発明の口唇のボリューム向上用の外用組成物は、口唇用のヒアルロン酸産生促進剤以外に通常の化粧料に配合される成分を、本発明の効果を損なわない限りにおいて任意に含有することができる。
かかる成分としては、各種有効成分、油性成分、界面活性剤、多価アルコール、増粘剤、粉体類、紫外線吸収剤等が挙げられる。
有効成分としては、美白成分、シワ改善成分、抗炎症成分、動植物由来の抽出物等が挙げられる。
美白成分としては、一般的に化粧料に用いられているものであれば特に限定はない。例えば、4-n-ブチルレゾルシノール、アスコルビン酸グルコシド、3-О-エチルアスコルビン酸、トラネキサム酸、アルブチン、エラグ酸、コウジ酸、リノール酸、ニコチン酸アミド、5,5'-ジプロピルビフェニル-2,2'-ジオール、5'-アデニル酸二ナトリウム、トラネキサム酸セチル、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、ハイドロキノン、パントテン酸等が挙げられる。
シワ改善成分としては、一般的に化粧料に用いられているものであれば特に限定はない。例えば、三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸ナトリウム、ニコチン酸アミド、ビタミンA又はその誘導体(レチノール、レチナール、レチノイン酸、トレチノイン、イソトレチノイン、レチノイン酸トコフェロール、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール等)、ウルソール酸ベンジルエステル、ウルソール酸リン酸エステル、ベツリン酸ベンジルエステル、ベンジル酸リン酸エステルが挙げられる。
動植物由来の抽出物としては、一般的に化粧料に用いられているものであれば特に限定
はない。例えば、アケビエキス、アスナロエキス、アスパラガスエキス、アボカドエキス、アマチャエキス、アーモンドエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アロニアエキス、アンズエキス、イチョウエキス、インドキノエキス、ウイキョウエキス、ウドエキス、エイジツエキス、エゾウコギエキス、エンメイソウエキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オタネニンジンエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オレンジエキス、カキョクエキス、カッコンエキス、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、カンゾウエキス、キウイエキス、キューカンバーエキス、グアバエキス、クジンエキス、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、黒米エキス、クロレラエキス、クワエキス、ケイケットウエキス、ゲットウヨウエキス、ゲンチアナエキス、ゲンノショウコエキス、紅茶エキス、ゴボウエキス、コメエキス、コメ発酵エキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コケモモエキス、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンシャエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウキョウエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、ステビアエキス、ステビア発酵物、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ソウハクヒエキス、ダイオウエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、タンポポエキス、茶エキス、チョウジエキス、チンピエキス、甜茶エキス、トウガラシエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、ハスエキス、パセリエキス、バーチエキス、ハマメリスエキス、ヒキオコシエキス、ヒノキエキス、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、ブドウ種子エキス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マヨナラエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モズクエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ユリエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、緑茶エキス、リンゴエキス、ルイボス茶エキス、レイシエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンギョウエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス、ワレモコウエキス等のエキスが好ましいものとして挙げられる。
抗炎症成分としては、クラリノン、グラブリジン、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、パントテニルアルコール等が挙げられ、好ましくは、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸アルキル及びその塩、並びに、グリチルレチン酸及びその塩である。
油性成分としては、極性油、揮発性炭化水素油等が挙げられる。
極性油としては、合成エステル油として、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、イソノナン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタンエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパンを挙げることができる。
さらに、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリル、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル、オクチルメトキシシンナメート等も挙げられる。
また、天然油として、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル等が挙げられる。
揮発性炭化水素油としては、イソドデカン、イソヘキサデカン等が挙げられる。
界面活性剤としては、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、イミダゾリン系両性界面活性剤(2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、
ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等) 、グリセリン脂肪酸エステル類(モノステアリン酸グリセリル等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE-ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE-グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2-オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2-デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、等が挙げられる。
多価アルコールとしては、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2-ペンタンジオール、2,4-ヘキシレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール等が挙げられる。
増粘剤としては、グアーガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース
、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸,キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等が挙げられる。
粉体類としては、表面を処理されていてもよい、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていてもよい、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていてもよい、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていてもよい赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4-メトキシ-4'-t-ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、等が挙げられる。
<2>口唇用のヒアルロン酸産生促進剤を評価又はスクリーニングする方法
本発明の口唇用のヒアルロン酸産生促進剤を評価又はスクリーニングする方法は、口唇由来の線維芽細胞を用いることを特徴とする。
後述の参考例及び比較例で示すように、口唇の線維芽細胞と口唇以外の部位の線維芽細胞とでは、ヒアルロン酸産生促進に対する応答性が異なり、口唇に適したヒアルロン酸産生促進剤の探索及びその評価をするには、口唇由来の線維芽細胞を用いることが必要である。なお、ここで口唇由来の線維芽細胞は、通常はヒト由来のものであるが、特に限定されない。
本発明の方法は、通常は、被験物質を口唇由来の線維芽細胞に添加する工程、及び
被験物質を添加した口唇由来の線維芽細胞におけるヒアルロン酸産生量が、被験物質を添加しなかった口唇由来の線維芽細胞における産生量と比較して大きい被験物質を、口唇用のヒアルロン酸産生促進作用を有すると判断する工程を含む。
ヒアルロン酸量の測定は、直接的であっても間接的であってもよく、また定性的であっても定量出来であってもよく、任意の方法で行うことができる。例えば、ELISA法、標識ヒアルロン酸結合タンパクを用いて染色したヒアルロン酸を測定する方法、電気泳動法、液体クロマトグラフ法、ヒアルロン酸合成酵素の活性を測定する方法、前記酵素の遺伝子発現量をmRNAの解析等にて測定する方法等が挙げられる。
本発明の方法の判断工程においては、通常は、被験物質を添加した口唇由来の線維芽細胞におけるヒアルロン酸産生量が、被験物質を添加しなかった口唇由来の線維芽細胞における産生量と比較して大きければよく、その程度は特に限定されないが、好ましくは被験物質添加後12~48時間経過後に120%以上に増大した場合に変化したとすることが
でき、より好ましくは130%以上に増大であり、さらに好ましくは140%以上に増大である。
本発明の方法が対象とする被験物質は、純物質、動植物由来の抽出物、又はそれらの混合物等のいずれであってもよいが、好ましくは植物抽出物である。
動植物由来の抽出物は、動物又は植物由来の抽出物自体のみならず、抽出物の画分、精製した画分、抽出物乃至は画分、精製物の溶媒除去物の総称を意味するものとし、植物由来の抽出物は、自生若しくは生育された植物、漢方生薬原料等として販売されるものを用
いた抽出物、市販されている抽出物等が挙げられる。
抽出操作は、植物部位の全草を用いるほか、植物体、地上部、根茎部、木幹部、葉部、茎部、花穂、花蕾等の部位を使用することできるが、予めこれらを粉砕あるいは細切して抽出効率を向上させることが好ましい。抽出溶媒としては、水、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、1,3-ブタンジオール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類等の極性溶媒から選択される1種乃至は2種以上が好適なものとして例示することができる。具体的な抽出方法としては、例えば、植物体等の抽出に用いる部位乃至はその乾燥物1質量に対して、溶媒を1~30質量部加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬し、室温まで冷却し後、所望により不溶物及び/又は溶媒除去し、カラムクロマトグラフィー等で分画精製する方法が挙げられる。
本発明のスクリーニング方法により選択された口唇用のヒアルロン酸産生促進剤は、口唇の線維芽細胞においてヒアルロン酸の産生を促進し、その産生量を増加させる作用を有するため、口唇にハリや弾力を与え、ボリューム感や厚み感をもたらし、抗老化効果を提供するものである。したがって、本発明の方法によりスクリーニングされた口唇用のヒアルロン酸産生促進剤は、口唇用の化粧料等の外用組成物に好適に配合することができる。
また、本発明の評価方法により、口唇用のヒアルロン酸産生促進剤の作用効果を評価することができる。これは、これまで肌一般に対して有効または有効ではないと判断されていたヒアルロン酸産生促進剤の、口唇におけるヒアルロン酸産生促進の有効性を適切に評価することができる点で画期的である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<参考例>
96穴の細胞培養用プレートの各ウェルに、ヒト口唇由来の線維芽細胞(JCRB9103 KD,国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所より入手、以降の実験でも同じ)を10000個/ウェルずつ播種した。ここに、ヤグルマギク抽出物(丸善製薬株式会社)又はスギナ抽出物(丸善製薬株式会社)を(10%エタノール/10%ブチレングリコール)を用いてそれぞれ希釈した被験液を1μL/ウェルずつ添加し(終濃度1容量%)、Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium(DME
M、シグマアルドリッチジャパン合同会社、以降の実験でも同じ)培地存在下で48時間培養した。その後、培地に放出されたヒアルロン酸量を、Hyaluronan Quantikine ELISA Kit(RESEARCH AND DIAGNOSTIC
SYSTEMS,INC.、以降の実験でも同じ)を用いてELISA法にて測定した。なお、陰性対照として、(10%エタノール/10%ブチレングリコール)を1μL/ウェル添加したものを設けた。
結果を図1に示す。ヤグルマギク抽出物又はスギナ抽出物を添加した場合のヒアルロン酸産生量は、陰性対照との有意差がなかった。すなわち、これらの抽出物については、口唇由来の線維芽細胞に対するヒアルロン酸産生促進作用は認められなかった。
<実施例1>
96穴の細胞培養用プレートの各ウェルに、ヒト口唇由来の線維芽細胞を10000個/ウェルずつ播種した。ここに、以下に示す評価物質を(10%エタノール/10%ブチレングリコール)を用いてそれぞれ希釈した被験液を1μL/ウェルずつ添加し(終濃度1容量%)、DMEM培地存在下で48時間培養した。その後、培地に放出されたヒアルロン酸量を、Hyaluronan Quantikine ELISA Kitを用いてELISA法にて測定した。なお、陰性対照として、(10%エタノール/10%ブチレングリコール)を1μL/ウェル添加したものを設けた。
評価物質(入手元):
セイヨウボダイジュ抽出物(香栄興業株式会社)、ローズマリー抽出物(香栄興業株式会社)、ユーカリ抽出物(丸善製薬株式会社)、紅茶抽出物(一丸ファルコス株式会社)、オウバク抽出物(一丸ファルコス株式会社)、オウゴン抽出物(一丸ファルコス株式会社)、レイシ抽出物(丸善製薬株式会社)、ユキノシタ抽出物(香栄興業株式会社)、キウイ抽出物(一丸ファルコス株式会社)、ローマカミツレ抽出物(香栄興業株式会社)、グレープフルーツ抽出物(一丸ファルコス株式会社)、ベニバナ抽出物(一丸ファルコス株式会社)、ホホバリーフ抽出物(香栄興業株式会社)、シモツケソウ抽出物(一丸ファルコス株式会社)、アルテア抽出物(香栄興業株式会社)、イチョウ葉抽出物(丸善製薬株式会社)、カミツレ抽出物(香栄興業株式会社)、ソウハクヒ抽出物(丸善製薬株式会社)、クチナシ抽出物(香栄興業株式会社)、オトギリソウ抽出物(一丸ファルコス株式会社)、ジユ抽出物(丸善製薬株式会社)、ガイヨウ抽出物(丸善製薬株式会社)
結果を図2に示す。セイヨウボダイジュ抽出物、及びジユ抽出物を添加した場合は、陰性対照に対して20%超の有意なヒアルロン酸産生量の増加が認められた。すなわち、これらの抽出物については、口唇由来の線維芽細胞に対するヒアルロン酸産生促進作用が認められた。
<実施例2>
96穴の細胞培養用プレートの各ウェルに、ヒト口唇由来の線維芽細胞を1000個/ウェルずつ播種した。ここに、ジユ抽出物(丸善製薬株式会社)を(10%エタノール/10%ブチレングリコール)を用いて希釈した被験液を1μL/ウェルずつ添加し(終濃度1容量%)、DMEM培地存在下で48時間培養した。その後、細胞表面に存在するヒアルロン酸を、3.7%ホルムアルデヒド-PBS、70%エタノール、及び5%酢酸で固定し(Evanko,S.P.,et al.,J.Histochem.Cytochem.57,1041―60(2009).)、ビオチン標識されたヒアルロン酸結合タンパク(株式会社ホクドー)とフルオレセインイソチオシアネート標識されたストレプトアビジン(Vector Laboratories Inc.)とで染色した。蛍光顕微鏡で細胞を観察し、ヒアルロン酸の存在を評価した。なお、陰性対照として、(10%エタノール/10%ブチレングリコール)を1μL/ウェル添加したものを設けた。
結果を図3に示す。ジユ抽出物を添加した場合は、陰性対照に比べて明らかに大きいヒアルロン酸量(緑色蛍光)が認められた。すなわち、ジユ抽出物については、口唇由来の線維芽細胞に対するヒアルロン酸産生促進作用が認められた。
<比較例>
96穴の細胞培養用プレートの各ウェルに、ヒトの腹部皮膚の真皮由来の線維芽細胞(東洋紡株式会社)を10000個/ウェルずつ播種した。ここに、ジユ抽出物(丸善製薬株式会社)を(希釈溶媒)を用いて希釈した被験液を1μL/ウェルずつ添加し(終濃度1容量%)、DMEM培地存在下で48時間培養した。その後、培地に放出されたヒアルロン酸量を、Hyaluronan Quantikine ELISA Kitを用いてELISA法にて測定した。なお、陰性対照として、(10%エタノール/10%ブチレングリコール)を1μL/ウェル添加したものを設けた。
結果を図4に示す。口唇以外の部位の真皮由来の線維芽細胞においては、ジユ抽出物を添加した場合のヒアルロン酸産生量は陰性対照と同等で、有意差は認められなかった。
この結果から、口唇におけるヒアルロン酸産生促進作用は、口唇以外におけるヒアルロン酸産生促進作用とは異なることが示唆された。また、口唇におけるヒアルロン酸産生促進作用を有する成分の評価又はスクリーニングを行う際は、口唇由来の線維芽細胞の使用が適することが示唆された。
<実施例3>
表1の処方成分を混合し80℃に加温し、撹拌・混合しながら冷却し、口唇用の外用組成物を作製した。
Figure 0007039812000001
<実施例4>
実施例3で作製した口唇用の外用組成物を、比較製造例は6人、製造例1及び2は各5人の被験者に2ヶ月間使用してもらった後、口唇の厚み感に対する満足度を7段階で評価してもらった。
結果を表2に示す。比較製造例に比べて、ジユ抽出物を含有する製造例1及びセイヨウボダイジュ抽出物を含有する製造例2では、満足度を高く評価した被験者が多かった。
Figure 0007039812000002
本発明により、口唇におけるヒアルロン酸産生を促進させ、該産生量を増加させることができるヒアルロン酸産生促進剤を提供される。また、該ヒアルロン酸産生促進剤を口唇用の外用組成物に含有させることにより、口唇のボリューム向上用途に好適に供することができる。また、口唇用のヒアルロン酸産生促進剤を、適切に評価又は探索することができる方法が提供される。そのため、口唇用の化粧料等の設計・製造に有用となり得るので、産業上有用である。

Claims (3)

  1. ジユ抽出物及び/又はセイヨウボダイジュ抽出物からなる、口唇用のヒアルロン酸産生促進剤。
  2. 請求項1に記載の口唇用のヒアルロン酸産生促進剤を含有する、口唇のボリューム向上用の外用組成物。
  3. 化粧料(医薬部外品を含む)である、請求項2に記載の外用組成物
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