JP6614566B2 - 皮膚老化抑制素材のスクリーニング方法、及び皮膚老化抑制方法 - Google Patents
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Description
LncRNAに関しては、近年、若齢および老齢ドナー5名ずつの前腕内側から皮膚を採取し、発現量を比較したところ、いくつかのLncRNAの量が加齢により変化していたことが報告されている(非特許文献5参照)。
すなわち本発明は、加齢に伴い発現量が変動するLncRNAを選定するステップ、及び
被験物質を添加した細胞での前記LncRNAの発現量が、被験物質を添加しなかった細胞における前記LncRNAの発現量と比較して変化した被験物質を選択するステップ
、
を含む、皮膚老化抑制素材のスクリーニング方法である。
調製された皮膚老化抑制組成物を摂取するステップ、を含む皮膚老化抑制方法である(但し、医療行為を除く)。
若齢由来(20代)および老齢由来(60〜70代)の正常ヒト皮膚線維芽細胞を、24穴プレ−ト(BD Falcon社製)に45000cells/wellになる様に播種し、10%FBS/DMEM(FBS:ハナ・ネスコバイオ社製、DMEM:シグマアルドリッチ社製)で24時間培養した。RNeasy Mini Kit(QIAGEN社製)を用いRNAを抽出し、NanoDrop(LMS社製)およびBioanalyer(Agilent社製)にてRNA純度を測定した。得られたRNAをLow Input Quick Amp Labeling Kit(1色用)(アジレント社製)を用いてラベル化cRNAに変換し、Gene Expression Hybridization Kit(アジレント社製)によりSurePrint G3 Human GE 8x60K Microarray(アジレント社)にハイブリダイズさせ、発現量を測定した。結果を表1に示す。表1の結果より、加齢に伴って量が変化するLncRNAが存在することがわかる。
また、上記表1以外のLncRNAであっても、実験1と同様の方法、または実験1に準ずる方法により加齢に伴い発現量が変動するLncRNAであると判別されたものを、本ステップで選定してもよい。
また、発現量の負の変化では、通常10歳以上の加齢幅において、好ましくは20歳以上の加齢幅において、より好ましくは30歳以上の加齢幅において、通常10%以上の発現量の減少であり、好ましくは20%以上の発現量の減少があり、より好ましくは30%以上の発現量の減少がある。また、50%以上の発現量の減少があってもよく、60%以上の発現量の減少があってもよく、70%以上の発現量の減少があってもよい。好ましいLncRNAとしては、NESPAS、HOTAIR、FLJ46906、SNHG5、LOC100292680、及びIPWからなる群から選択される1種以上を含む。
正常ヒト皮膚線維芽細胞を、24穴プレ−ト(BD Falcon社製)に30000cells/wellになる様に播種し、10%FBS/DMEM(FBS:ハナ・ネスコバイオ社製、DMEM:シグマアルドリッチ社製)で24時間培養した。次いで該LncRNAに対するsiRNA(キアゲン社製、配列非公開)をLipofectamin2000(ライフテクノロジーズ製)を用いてトランスフェクションした。なお、コントロールとしてAllstar Negative Control(キアゲン社製)を同手法にてトランスフェクションした細胞も用意し、それぞれ所定時間(24〜120時間)培養した。
ここで、細胞老化に伴い、細胞内のSenescence associated β-Galactosidase活性が上昇することが知られており、老化状態の評価としてSenescence associatedβ-Galactosidaseの基質で
あるX−galを加えることで呈色反応を起こす方法が広く知られている。本実験でもこの手法を用い、X−galを加えた後に位相差顕微鏡で細胞を観察し、撮像した結果を図1に示す。また、撮影像内の全細胞数に対する呈色細胞のパーセンテージをカウントし、
それを3回繰り返した時の平均を図2に示す。
図1では、X−galを培養後に得られた細胞に添加することで、細胞が呈色反応を示しており、図2では、有意差を持って呈色細胞数が増加していることを示している。このことは細胞内Senescence associated β-Galactosidase活性の上昇を示唆している。よって、老化の抑制または促進に関与するLncRNAが存在することが理解できる。
発現量の変化は、選択するLncRNAの種類によりLncRNAの発現抑制であってもよく、発現亢進であってもよい。当業者は、上記実験2の結果、及び実験2に準じた実験の結果に基づき、発現量の変化がLncRNAの発現抑制であるかLncRNAの発現亢進であるか判断できる。
具体的に例示すると、LncRNAの発現量が被検物質を添加しなかった細胞に対して80%未満の場合には、上記ステップにおける発現量の変化が発現抑制である。
LncRNAの発現量が被検物質を添加しなかった細胞に対して120%以上の場合には、上記ステップにおける発現量の変化が発現亢進である。
動植物由来の抽出物は、動物又は植物由来の抽出物自体のみならず、抽出物の画分、精製した画分、抽出物乃至は画分、精製物の溶媒除去物の総称を意味するものとし、植物由来の抽出物は、自生若しくは生育された植物、漢方生薬原料等として販売されるものを用いた抽出物、市販されている抽出物等が挙げられる。
抽出操作は、植物部位の全草を用いるほか、植物体、地上部、根茎部、木幹部、葉部、茎部、花穂、花蕾等の部位を使用することできるが、予めこれらを粉砕あるいは細切して抽出効率を向上させることが好ましい。抽出溶媒としては、水、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、1,3−ブタンジオール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類等の極性溶媒から選択される1種乃至は2種以上が好適なものとして例示することができる。具体的な抽出方法としては、例えば、植物体等の抽出に用いる部位乃至はその乾燥物1質量に対して、溶媒を1〜30質量部加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬し、室温まで冷却し後、所望により不溶物及び/又は溶媒除去し、カラムクロマトグラフィー等で分画精製する方法が挙げられる。
本実施態様における、皮膚老化抑制組成物中の皮膚老化抑制素材の含有量(配合量)は、通常、0.00001質量%以上、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上であり、通常80質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%である。上記範囲とすることで、好適にアンチエージング効果を奏する皮膚老化防止組成物とすることができる。
また、皮膚老化防止組成物に含有させる皮膚老化抑制素材の種類は、1種類のみでなく2種類以上であってもよい。
このうち、特に化粧料に適用させることが好ましい。
化粧料に適用される場合、通常化粧料に使用される成分を広く配合することが可能であり、また、その剤形や用途についても、何ら限定されない。以下、化粧料に適用される場合、化粧料中に含有させることができる成分について説明する。
美白成分としては、一般的に化粧料に用いられているものであれば特に限定はない。例えば、4−n−ブチルレゾルシノール、アスコルビン酸グルコシド、3−О−エチルアスコルビン酸、トラネキサム酸、アルブチン、1−トリフェニルメチルピペリジン、1−トリフェニルメチルピロリジン、2−(トリフェニルメチルオキシ)エタノール、2−(トリフェニルメチルアミノ)エタノール、2−(トリフェニルメチルオキシ)エチルアミン、トリフェニルメチルアミン、トリフェニルメタノール、トリフェニルメタン及びアミノジフェニルメタン、N−(p−トルイル)システイン酸、N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸等が挙げられる。更にその他の美白成分として、N−ベンゾイル−セリン、N−(p−メチルベンゾイル)セリン、N−(p−エチルベンゾイル)セリン、N−(p−メトキシベンゾイル)セリン、N−(p−フルオロベンゾイル)セリン、N−(p−トリフルオロメチルベンゾイル)セリン、N−(2−ナフトイル)セリン、N−(4−フェニルベンゾイル)セリン、N−(p−メチルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(p−メチルベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(2−ナフトイル)セリン メチルエステル、N−ベンゾイル−O−メチルセリン、N−(p−メチルベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(p−メチルベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(2−ナフトイル)−O−メチルセリン等があげられる。
これらの美白成分は、既に市販されているものもあれば、合成により入手することもできる。例えば、3−О−エチルアスコルビン酸は、特開平8−134055号公報に記載の公知の方法で合成することが出来る。市販品(日本精化製「VCエチル」)もあるので、これらを入手して使用することが可能である。1−トリフェニルメチルピペリジン、1−トリフェニルメチルピロリジン、2−(トリフェニルメチルオキシ)エタノール、2−(トリフェニルメチルアミノ)エタノール、2−(トリフェニルメチルオキシ)エチルアミン、トリフェニルメチルアミン、トリフェニルメタノール、トリフェニルメタン、アミノジフェニルメタンは特許文献WO2010/074052号パンフレットに、N−(o
−トルオイル)システイン酸、N−(m−トルオイル)システイン酸、N−(p−トルオイル)システイン酸、N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸、N−(4−フェニルベンゾイル)システイン酸、N−(p−トルオイル)ホモシステイン酸、はWO2011/058730号パンフレットに、N−ベンゾイル−セリン、N−(p−メチルベンゾイル)セリン、N−(p−エチルベンゾイル)セリン、N−(p−メトキシベンゾイル)セリン、N−(p−フルオロベンゾイル)セリン、N−(p−トリフルオロメチルベンゾイル)セリン、N−(2−ナフトイル)セリン、N−(4−フェニルベンゾイル)セリン、N−(p−メチルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(p−メチルベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(2−ナフトイル)セリン メチルエステル、N−ベンゾイル−O−メチルセリン、N−(p−メチルベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(p−メチルベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(2−ナフトイル)−O−メチルセリン等はWO2011/074643号パンフレットに、それぞれその合成方法が公開されているので、該開示に従い合成することができる。
化粧料における美白成分の含有量は、通常0.01〜30質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モズクエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ユリエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、緑茶エキス、リンゴエキス、ルイボス茶エキス、レイシエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンギョウエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス、ワレモコウエキス等のエキスが好ましいものとして挙げられる。
化粧料中における動植物由来抽出物の含有量は、通常0.01〜30質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
食品中における動植物抽出物の含有量は、通常0.01〜80質量%であり、0.1〜50質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましい。
化粧料中における抗炎症成分の含有量は、通常0.01〜30質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
極性油としては、合成エステル油として、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ペンタンエリスリトール、トリ−2−エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパンを挙げることができる。
吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類
、等が挙げられる。
本技術分野において、抗老化効果が既に知られている、YACエキス(例えば特開2010−138152参照)、アマチャエキス(例えば特開2014−214139参照)、ヤグルマソウエキス(例えば、特開2006−028099参照)、NAOエキス(「ファレロール」とも称する。例えばWO2007/094384参照)を被験物質として準備した。これらを表2に示す。なお、各エキスの濃度は、それぞれ、次の通りである。YACエキス:特開2010−138152のアモルファス「分画7」として、1.0質量%(溶媒:35%エタノール)。
アマチャエキス:特開2014−214139の製造例により得られた固形分の植物抽出物として、1.0質量%(溶媒:55%エタノール)。
ヤグルマソウエキス:特開2006−028099の製造例2により得られたアモルファスとして、1.0質量%(溶媒:55%1、3ブチレングリコール)。
NAOエキス:ファレロールとして、0.01質量%(溶媒:85%1、3ブチレングリコール)。
正常ヒト皮膚線維芽細胞を、24穴プレ−ト(BD Falcon社製)に50000cells/wellになる様に播種し、10%FBS/DMEM(FBS:ハナ・ネスコバイオ社製、DMEM:シグマアルドリッチ社製)で24時間培養する。その後表2に示すそれぞれの被検物質を所定濃度にてそれぞれ0.5mL加え、さらに24時間培養し、RNeasy Mini Kit(キアゲン社製)を用いTotalRNAを抽出し、SuperScript VILO cDNA synthesis Kit(ライフテクノロジーズ製、配列非公開)を用いてcDNAを合成し、Step One Plus(ライフテクノロジーズ製)にてIPWのプライマー(キアゲン社製、配列非公開)を用いてIPWの発現量を解析した。得られたIPWの発現量と、被験物質を添加しなかったコントロールの発現量を比較し、その変化を確認した。
その結果、IPWの発現量が変化した被験物質を、皮膚老化抑制素材として選択した。結果を下記表3に示す。
実施例1のスクリーニング方法において、IPWの代わりに、それぞれLoc100292680(実施例2)、SNHG5(実施例3)、HOTAIR(実施例4)、NESPAS(実施例5)を用いて、同様のスクリーニングを行った。
実施例1〜3は加齢により発現が抑制されるLncRNAを用いており(表1参照)、実施例4及び5は、加齢により発現が亢進されるLncRNAを用いている(表1参照)。
前記特開2010−138152の実施例を参照すれば、YAC化合物を配合した化粧料は、皮膚の紅斑抑制効果、即ち光損傷抑制効果を奏することが示されている。前記特開2014−214139の実施例を参照すれば、アマチャエキスを配合した皮膚外用剤はシワ改善効果を発揮することが示されている。特開2006−28099の実施例を参照すれば、ヤグルマソウエキスを配合した皮膚外用剤は、抗炎症効果を奏することが示されている。又、前記WO2007/094384の実施例を参照すれば、NAOエキス(ファレロール)を含有する皮膚外用剤は、シワ改善効果を奏することが示されている。
従って、本発明のスクリーニング方法で皮膚老化抑制素材として選択されたものは、皮膚老化抑制効果を示すことが確認できる。
Claims (3)
- 被験物質を添加したヒト皮膚線維芽細胞での、加齢に伴い発現量が変動するLncRNAの発現量が、被験物質を添加しなかったヒト皮膚線維芽細胞における前記LncRNAの発現量と比較して変化した被験物質を選択するステップを含む皮膚老化抑制素材のスクリーニング方法であって、
前記変動が減少であり、かつ前記変化がLncRNAの発現亢進であり、
前記LncRNAがLOC100292680である、皮膚老化抑制素材のスクリーニング方法。 - 前記皮膚老化抑制が、しわ防止、たるみ防止、シミ形成防止、及びくすみ防止からなる群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載の皮膚老化抑制素材のスクリーニング方法。
- 請求項1又は2に記載のスクリーニング方法により皮膚老化抑制素材を選択するステップ、及び前記皮膚老化抑制素材を含有させるステップを含む、皮膚老化抑制用組成物の設計方法。
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