JP6366343B2 - 時計遺伝子を指標とした美白素材のスクリーニング方法 - Google Patents

時計遺伝子を指標とした美白素材のスクリーニング方法 Download PDF

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本発明は、美白素材をスクリーニングする方法、及び該スクリーニングにより得られた素材を含む美白組成物を摂取するステップを含む美白方法に関する。
シミ、くすみは女性にとって大きな悩みである。シミ、くすみを改善すべく美白化粧料の開発が進められている。美白メカニズムとしては、チロシナーゼ阻害やメラニン産生抑制が知られており、それらのメカニズムによる様々な美白化粧料が開発されている。
他方、生体内の細胞に存在する「時計遺伝子」は、「概日リズム」と称される約24時間の周期性を生体において維持する機能を有していることが知られている。時計遺伝子としては具体的な遺伝子が複数知られており、例えば昼に発現が活性化されるPeriodやCry、夜に発現が活性化されるBmal1やClockなどが知られている。
これらの時計遺伝子に関しては徐々に研究が進められており、Bmal1などの時計遺伝子の発現調節に関する技術が提案され(例えば特許文献1乃至4参照)、特定の植物エキスなどに、時計遺伝子の発現調節機能が存在することが開示されている。
また、時計遺伝子に着目した化粧料として、時計遺伝子BMAL−1タンパクの産生促進成分と、他の化粧品原料を組み合わせた、皮膚バリア改善機能を有する化粧料が提案されている(例えば特許文献5参照)。
国際公開2011/122040パンフレット 特開2013−056866号公報 特開2013−184921号公報 特開2014−055127号公報 特開2013−184936号公報
本発明では、時計遺伝子に着目して、美白素材をスクリーニングする新たな方法を提供することを課題とする。
本発明者らは時計遺伝子について研究を進め、従来知られていなかった時計遺伝子と美白の関係を見出した。すなわち、メラノサイトにおける時計遺伝子の発現量の変動がメラニン量の産生に影響を及ぼすことを見出した。そして当該知見をもとに、時計遺伝子を指標とすることで、美白効果を有する素材をスクリーニングできることに想到した。
すなわち本発明の第1の実施態様は、
被験物質を細胞に添加するステップ、及び
被験物質を添加した細胞での時計遺伝子の発現量が、被験物質を添加しなかった細胞における該時計遺伝子の発現量と比較して変化した被験物質を選択するステップ、
を含む、美白素材のスクリーニング方法である。
また、前記細胞がメラノサイトであることが好ましい。
また、前記時計遺伝子がBmal1であって、発現量の変化がBmal1の発現亢進及
び/又はBmal1の振幅増加である態様、前記時計遺伝子がDec1又はCry1であって、発現量の変化がDec1又はCry1の発現抑制である態様、並びに前記時計遺伝子がPer2であって、発現量の変化がPer2の発現亢進である態様、が好ましい。
さらに、本発明の第2の実施態様は、上記のいずれかに記載のスクリーニング方法により得られた美白素材を含む美白組成物を調製するステップ、及び、調製された美白組成物を適用又は摂取させるステップ、を含む美白方法である。ただし、当該美白方法は、医療行為を除くものである。
本発明により、時計遺伝子を指標とした、新たな美白素材のスクリーニング法が提供される。また、上記スクリーニング方法によりスクリーニングされた素材を含んだ美白組成物による、美白方法が提供される。
以下、本発明についてより具体的に説明するが、本発明が具体的な実施態様にのみ限定されないことはいうまでもない。
<時計遺伝子>
本発明の第1の実施態様は、時計遺伝子を指標とした美白素材のスクリーニング方法である。時計遺伝子は、「概日リズム」と称される約24時間の周期性を生体において維持する機能を有していることが知られており、具体的な遺伝子が複数知られている。本実施態様に係るスクリーニング方法において指標とする時計遺伝子は、肌の美白機能と何等かの関係を有する時計遺伝子である。具体的には、Bmal1、Dec1、Cry1、及びPer2からなる群から選択される時計遺伝子であることが好ましい。しかしながらこれらのものに限定されず、既知の時計遺伝子であって、既知の美白作用を有する美白素材(化合物)を細胞に添加した際に発現量が変化する時計遺伝子は、本実施態様において指標となる時計遺伝子として用いることができる。このように指標とする時計遺伝子を選択する際に用いることができる美白素材(化合物)としては、4−n−ブチルレゾルシノール、アスコルビン酸グルコシド、トラネキサム酸、アルブチンなどがあげられる。
すなわち本実施態様では、細胞に美白素材(化合物)を添加し、該添加により発現量が変化した時計遺伝子を美白素材のスクリーニング方法の指標として選択するステップ、を含んでもよい。
本実施態様に係るスクリーニング法は、被験物質を添加した細胞での時計遺伝子の発現量が、被験物質を添加しなかった細胞における該時計遺伝子の発現量と比較して変化した被験物質を選択するステップを有する。
時計遺伝子と美白との関係は、時計遺伝子の種類によりその発現量変化の状況が異なる。すなわち本実施態様では、被験物質を細胞に添加する添加ステップ、を経ることで、被験物質を添加した細胞での時計遺伝子の発現量が変化した場合に、該時計遺伝子の発現量が変化した被験物質を美白素材として選択するが、その遺伝子発現の変化は、時計遺伝子の種類に依存することを本発明者らは確認している。
例えば、本実施態様に係るスクリーニングの指標とする時計遺伝子がBmal1であった場合、Bmal1の発現亢進及び/又はBmal1の振幅増加とメラニン量の産生抑制がリンクする。そのため、被験物質を細胞に添加することで、Bmal1の発現亢進及び/又はBmal1の振幅増加が生じた被験物質は、メラニン産生抑制作用を有する美白素材として選択できる。
また、本実施態様に係るスクリーニングの指標とする時計遺伝子がDec1又はCry1であった場合、Dec1又はCry1の発現抑制とメラニン量の産生抑制がリンクする。そのため、被験物質を細胞に添加することで、Dec1又はCry1の発現抑制が生じた被験物質は、メラニン産生抑制作用を有する美白素材として選択できる。
また、本実施態様に係るスクリーニングの指標とする時計遺伝子がPer2であった場合、Per2の発現亢進とメラニン量の産生抑制がリンクする。そのため、被験物質を細胞に添加することで、Per2の発現亢進が生じた被験物質は、メラニン産生抑制作用を有する美白素材として選択できる。
本実施態様に係るスクリーニング方法において、被験物質を添加した細胞での時計遺伝子の発現量は、被験物質を添加しなかった細胞における該時計遺伝子の発現量と比較して変化していれば良く、通常、被験物質添加後12または24時間経過後に3%以上の変化があった場合に変化したとすることができ、好ましくは5%以上の変化であり、より好ましくは10%以上の変化であり、更に好ましくは15%以上の変化であり、特に好ましくは20%以上の変化であり、最も好ましくは25%以上の変化である。
より具体的には、時計遺伝子がBmal1である場合、Bmal1の発現亢進は通常10%以上、好ましくは15%以上であり、振幅増加は通常10%以上、好ましくは15%以上である。時計遺伝子がDec1又はCry1である場合、Dec1又はCry1の発現抑制は通常10%以上、好ましくは15%以上である。時計遺伝子がPer2である場合、Per2の発現亢進は通常10%以上、好ましくは15%以上である。
本実施態様に係るスクリーニング方法において、被験物質を添加する細胞は、時計遺伝子が存在する細胞であれば特段限定されないが、メラノサイトであることが好ましい。
本実施態様に係るスクリーニング方法が対象とする被験物質は、純物質、動植物由来の抽出物、又はそれらの混合物等のいずれであってもよい。
動植物由来の抽出物は、動物又は植物由来の抽出物自体のみならず、抽出物の画分、精製した画分、抽出物乃至は画分、精製物の溶媒除去物の総称を意味するものとし、植物由来の抽出物は、自生若しくは生育された植物、漢方生薬原料等として販売されるものを用いた抽出物、市販されている抽出物等が挙げられる。
抽出操作は、植物部位の全草を用いるほか、植物体、地上部、根茎部、木幹部、葉部、茎部、花穂、花蕾等の部位を使用することできるが、予めこれらを粉砕あるいは細切して抽出効率を向上させることが好ましい。抽出溶媒としては、水、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、1,3−ブタンジオール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類等の極性溶媒から選択される1種乃至は2種以上が好適なものとして例示することができる。具体的な抽出方法としては、例えば、植物体等の抽出に用いる部位乃至はその乾燥物1質量に対して、溶媒を1〜30質量部加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬し、室温まで冷却し後、所望により不溶物及び/又は溶媒除去し、カラムクロマトグラフィー等で分画精製する方法が挙げられる。
本実施態様に係るスクリーニング方法によりスクリーニングした美白素材は、メラニン産生抑制効果を有し、後述するように化粧料、医薬部外品、食品などに配合されることで、美白効果を奏する。
そして、上記第1の実施態様の知見を応用した本発明の第2の実施態様は、上記スクリーニング方法により得られた美白素材を含む美白組成物を調製するステップ、及び調製さ
れた美白組成物を適用又は摂取させるステップ、を含む美白方法である。ただし、本実施態様は、医療行為を除くものである。
美白組成物は、化粧料、医薬部外品、食品等として適用され、化粧料の場合には肌に化粧料を塗布することで美白組成物の摂取を行い、食品の場合には、経口により摂取する。
本実施態様における、美白組成物中の美白素材の含有量(配合量)は、通常、0.00001質量%以上、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上であり、通常80質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。上記範囲とすることで、好適に美白効果を奏する美白組成物とすることができる。
また、美白組成物に含有させる美白素材の種類は、1種類のみでなく2種類以上であってもよい。
美白組成物は、化粧品、医薬部外品、食品に適用することが可能であり、それぞれの用途に応じて、適宜必要な成分を含有させることができる。
このうち、特に化粧料に適用させることが好ましい。
化粧料に適用される場合、通常化粧料に使用される成分を広く配合することが可能であり、また、その剤型や用途についても、何ら限定されない。以下、化粧料に適用される場合、化粧料中に含有させることができる成分について説明する。
有効成分としては、美白成分、シワ改善成分、抗炎症成分、動植物由来の抽出物等が挙げられる。なお、上記説明した本発明の実施態様に係る美白素材と重複して配合してもよい。
美白成分としては、一般的に化粧料に用いられているものであれば特に限定はない。例えば、4−n−ブチルレゾルシノール、アスコルビン酸グルコシド、3−О−エチルアスコルビン酸、トラネキサム酸、アルブチン、1−トリフェニルメチルピペリジン、1−トリフェニルメチルピロリジン、2−(トリフェニルメチルオキシ)エタノール、2−(トリフェニルメチルアミノ)エタノール、2−(トリフェニルメチルオキシ)エチルアミン、トリフェニルメチルアミン、トリフェニルメタノール、トリフェニルメタン及びアミノジフェニルメタン、N−(p−トルイル)システイン酸、N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸、パンテノール、パントテン酸等が挙げられる。更にその他の美白成分として、N−ベンゾイル−セリン、N−(p−メチルベンゾイル)セリン、N−(p−エチルベンゾイル)セリン、N−(p−メトキシベンゾイル)セリン、N−(p−フルオロベンゾイル)セリン、N−(p−トリフルオロメチルベンゾイル)セリン、N−(2−ナフトイル)セリン、N−(4−フェニルベンゾイル)セリン、N−(p−メチルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(p−メチルベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(2−ナフトイル)セリン メチルエステル、N−ベンゾイル−O−メチルセリン、N−(p−メチルベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(p−メチルベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(2−ナフトイル)−O−メチルセリン等があげられる。
これらの美白成分は、既に市販されているものもあれば、合成により入手することもできる。例えば、3−О−エチルアスコルビン酸は、特開平8−134055号公報に記載の公知の方法で合成することが出来る。市販品(日本精化製「VCエチル」)もあるので、これらを入手して使用することが可能である。1−トリフェニルメチルピペリジン、1−トリフェニルメチルピロリジン、2−(トリフェニルメチルオキシ)エタノール、2−(トリフェニルメチルアミノ)エタノール、2−(トリフェニルメチルオキシ)エチルアミン、トリフェニルメチルアミン、トリフェニルメタノール、トリフェニルメタン、アミノジフェニルメタンは特許文献WO2010/074052号パンフレットに、N−(o−トルオイル)システイン酸、N−(m−トルオイル)システイン酸、N−(p−トルオイル)システイン酸、N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸、N−(4−フェニルベンゾイル)システイン酸、N−(p−トルオイル)ホモシステイン酸、はWO201
1/058730号パンフレットに、N−ベンゾイル−セリン、N−(p−メチルベンゾイル)セリン、N−(p−エチルベンゾイル)セリン、N−(p−メトキシベンゾイル)セリン、N−(p−フルオロベンゾイル)セリン、N−(p−トリフルオロメチルベンゾイル)セリン、N−(2−ナフトイル)セリン、N−(4−フェニルベンゾイル)セリン、N−(p−メチルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(p−メチルベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(2−ナフトイル)セリン メチルエステル、N−ベンゾイル−O−メチルセリン、N−(p−メチルベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(p−メチルベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(2−ナフトイル)−O−メチルセリン等はWO2011/074643号パンフレットに、それぞれその合成方法が公開されているので、該開示に従い合成することができる。
化粧料における美白成分の含有量は、通常0.01〜30質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、0.3〜5質量%がより好ましい。
シワ改善成分としては、一般的に化粧料に用いられているものであれば特に限定はない。例えば、ビタミンA又はその誘導体が、レチノール、レチナール、レチノイン酸、トレチノイン、イソトレチノイン、レチノイン酸トコフェロール、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノールやウルソール酸ベンジルエステル、ウルソール酸リン酸エステル、ベツリン酸ベンジルエステル、ベンジル酸リン酸エステルが挙げられる。化粧料におけるシワ改善成分の含有量は、通常0.01〜30質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
動植物由来の抽出物としては、一般的に医薬品、化粧料、食品等に用いられているものであれば特に限定はない。例えば、アケビエキス、アスナロエキス、アスパラガスエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アーモンドエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アロニアエキス、アンズエキス、イチョウエキス、インドキノエキス、ウイキョウエキス、ウドエキス、エイジツエキス、エゾウコギエキス、エンメイソウエキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オタネニンジンエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オレンジエキス、カキョクエキス、カッコンエキス、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、カンゾウエキス、キウイエキス、キューカンバーエキス、グアバエキス、クジンエキス、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、黒米エキス、クロレラエキス、クワエキス、ケイケットウエキス、ゲットウヨウエキス、ゲンチアナエキス、ゲンノショウコエキス、紅茶エキス、ゴボウエキス、コメエキス、コメ発酵エキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コケモモエキス、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンシャエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウキョウエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、ステビアエキス、ステビア発酵物、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ソウハクヒエキス、ダイオウエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、タンポポエキス、茶エキス、チョウジエキス、チンピエキス、甜茶エキス、トウガラシエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、ハスエキス、パセリエキス、バーチエキス、ハマメリスエキス、ヒキオコシエキス、ヒノキエキス、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、ブドウ種子エキス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マヨナラエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モズクエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキ
ス、ユズエキス、ユリエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、緑茶エキス、リンゴエキス、ルイボス茶エキス、レイシエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンギョウエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス、ワレモコウエキス等のエキスが好ましいものとして挙げられる。
化粧料中における動植物由来抽出物の含有量は、通常0.01〜30質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
食品中における動植物抽出物の含有量は、通常0.01〜80質量%であり、0.1〜50質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましい。
抗炎症成分としては、クラリノン、グラブリジン、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、パントテニルアルコール等が挙げられ、好ましくは、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸アルキル及びその塩、並びに、グリチルレチン酸及びその塩である。
化粧料中における抗炎症成分の含有量は、通常0.01〜30質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
油性成分としては、極性油、揮発性炭化水素油等が挙げられる。
極性油としては、合成エステル油として、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、イソノナン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ペンタンエリスリトール、トリ−2−エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパンを挙げることができる。
さらに、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル、オクチル メトキシシンナメート等も挙げられる。
また、天然油として、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等が挙げられる。
揮発性炭化水素油としては、イソドデカン、イソヘキサデカン等が挙げられる。
界面活性剤としては、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウ
ム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、
ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、
ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等) 、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等) 、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、等が挙げられる。
多価アルコールとしては、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等が挙げられる。
増粘剤としては、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸,キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等が挙げられる。
粉体類としては、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線
吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、等が挙げられる。
また、化粧料として適用される場合の剤型は、通常知られているローション剤型、乳液剤型、エッセンス剤型、クリーム剤型、粉体含有剤型の何れをも取ることが出来る。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<実験例1:培養ヒト正常メラノサイトを用いたBmal1のmRNA発現量を指標とした美白素材スクリーニング>
培養細胞では、デキサメタゾン含有培地で2時間培養することにより生体リズムがリセットされる。この反応を用い、以下の手順で、メラノサイトにおける生体リズムへの植物抽出エキスの作用を評価し、時計遺伝子Bmal1の発現量を指標として美白素材のスクリーニングを行った。
48ウェルプレートに、1.5×10個/ウェルの濃度になるよう、ヒト正常メラノサイト(倉敷紡績株式会社製)を、メラノサイト培養用完全培地(倉敷紡績株式会社製)を用いて播種した。5%二酸化炭素条件下、37℃で72時間培養を行った。
その後、全てのウェルについて、最終濃度100nMとなるようにデキサメタゾン(和光純薬工業社製)を添加したメラノサイト培養用完全培地(倉敷紡績株式会社製)200μLに交換した。
2時間培養後、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で洗浄し、次いで被験物質として最終濃度1%となるよう調製した以下の植物抽出エキスを含むメラノサイト培養用完全培地200μLを4ウェルずつに添加した。
12時間および24時間後、以下の手順でmRNAを抽出した。すなわち、プレートを取り出し、全てのウェルから培地を除きPBSで洗浄後、メラノサイトにRNeasyMiniKit(QIAGEN社)のRLT bufferを添加しmRNAを抽出した。mRNA抽出用には、4ウェルの細胞をまとめて回収した。抽出したmRNAを用いてQuantiTect Primer Assay(QIAGEN社製)を用いてRT−PCRを行いBmal1のmRNA量を測定した。
Bmal1のmRNA発現量は、β−actinを内在性コントロールとして比較CT法により算出し、コントロールとして設定したエキス非添加のメラノサイトにおけるBmal1mRNA発現量を「1」とした場合の相対値で示した。添加12時間後または24時間後のいずれかで発現が亢進した場合に、Bmal1の発現亢進作用ありと判断した。また、添加12時間後にBmal1の発現を亢進し、添加24時間後にBmal1の発現がコントロールと同程度であった場合に、Bmal1の振幅亢進作用ありと判断した。
結果を表1に示す。サイシンエキスにBmal1振幅亢進作用が認められた。
Figure 0006366343
<実験例2: 培養ヒト正常メラノサイトを用いたメラニン産生抑制評価>
細胞内のメラニン合成過程において特異的にメラニンに取り込まれる2−チオウラシル(試験では、14Cラベルした2−チオウラシルを使用)を用いて、実験例1で用いた植物エキスのメラニン産生抑制作用を評価した。
24ウェルプレートに、メラノサイト培養用完全培地(倉敷紡績株式会社製)を用いて、各ウェルにそれぞれ4.0×10個の濃度でヒト正常メラノサイト(倉敷紡績株式会社製)を播種した。5%二酸化炭素条件下、37℃で24時間培養を行った。その後、すべてのウェルについて、以下の条件で培地交換した。すなわち3ウェルは新しいメラノサイト培養用完全培地(コントロール)、残りのウェルには被験物質として最終濃度1%となるよう調製した種々の植物抽出エキスを含むメラノサイト培養用完全培地500μLを3ウェルずつ添加した。
さらに、これらのウェルに2−[2−14C]チオウラシル(14Cラベルしたチオウラシル)を0.25×10−6Ci(キュリー)添加した。添加後、さらに72時間培養した。培養終了後、各ウェルから培養液を除去し、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で洗浄、5%のWST−8溶液(DOJINDO社製)を含むメラノサイト培養用完全培地500μLを添加した。また、バックグラウンド用として、新しいプレートにWST−8含有メラノサイト培養用完全培地のみを添加したものを用意した。それぞれを37℃で2時間培養した後、プレートリーダー(HIDEX社製)にて450nmおよび650nmの吸光度を測定した。細胞数は450nm、650nmともに、吸光度測定値からバックグラウンドを引いた後、(450nm吸光度−650nm吸光度)を算出することで評価した。
その後、各ウェルをPBSにて洗浄しトリクロロ酢酸150μLを添加、水1mLを用いて1.5mLチューブに細胞を回収した。遠心後、上清を除去しAQUASOL−2(パーキンエルマー社製)1mLを加え、回収した細胞における14C−チオウラシル量(0.25×10−6Ci)を液体シンチレーションカウンター(アロカ株式会社)にて測定した。
コントロールのウェルから回収した細胞の放射線量に対する、植物エキス含有培地で培養した細胞の放射線量の百分率をそれぞれ求め、メラニン量(%)とした。すなわち、各細胞内に取り込まれた放射線量が小さいほど、メラニン量が小さいと判断することができ、よって、添加された成分のメラニン抑制力価が大きいと判断することができる。
結果を表2に示す。なお、コントロールを100%とした時の割合をメラニン量として示した。また、メラニン量は、3例の平均±標準偏差を示した。
表の結果より、サイシンエキスは、優れたメラニン産生抑作用を有することがわかった。
Figure 0006366343
<実験例3: 培養ヒト正常メラノサイトを用いたDec1、Cry1のmRNA発現量を指標とした美白素材スクリーニング>
48ウェルプレートに、1.5×10個/ウェルの濃度になるよう、ヒト正常メラノサイト(倉敷紡績株式会社製)を、メラノサイト培養用完全培地(倉敷紡績株式会社製)を用いて播種した。5%二酸化炭素条件下、37℃で72時間培養を行った。
その後、全てのウェルについて、最終濃度100nMとなるようにデキサメタゾン(和光純薬工業社製)を添加したメラノサイト培養用完全培地(倉敷紡績株式会社製)200
μLに交換した。
2時間培養後、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で洗浄し、次いで被験物質として最終濃度1%となるよう調製した種々の植物抽出エキスを含むメラノサイト培養用完全培地200μLを4ウェルずつに添加した。
24時間後、全てのウェルから培地を除きPBSで洗浄後、メラノサイトにRNeasyMiniKit(QIAGEN社)のRLT bufferを添加しmRNAを抽出した。mRNA抽出用には、4ウェルの細胞をまとめて回収した。抽出したmRNAを用いてQuantiTect Primer Assay(QIAGEN社製)を用いてRT−PCRを行いDec1、Cry1のmRNA量を測定した。Dec1、Cry1のmRNA発現量は、β−actinを内在性コントロールとして比較CT法により算出し、コントロールとして設定したエキス非添加のメラノサイトにおけるDec1、Cry1mRNA発現量を「1」とした場合の相対値で示した。添加24時間後にDec1、Cry1の発現がコントロールより低い場合に、Dec1、Cry1の発現抑制作用ありと判断した。
結果を表3に示す。セイヨウハッカエキスにDec1発現抑制作用が、セイヨウサンザシエキスにCry1発現抑制作用が認められた。
Figure 0006366343
<実験例4: 培養ヒト正常メラノサイトを用いたメラニン産生抑制評価>
実験例2と同様に、14C−チオウラシル量(0.25×10−6Ci)により、メラニン量を評価した。結果を表4に示す。
表4の結果より、セイヨウハッカエキス、セイヨウサンザシエキスは、メラニン産生抑作用を有することがわかった。
Figure 0006366343
<実験例5: 培養ヒト正常メラノサイトを用いたPer2のmRNA発現量を指標とした美白素材スクリーニング>
48ウェルプレートに、1.5×10個/ウェルの濃度になるよう、ヒト正常メラノサイト(倉敷紡績株式会社製)を、メラノサイト培養用完全培地(倉敷紡績株式会社製)を用いて播種した。5%二酸化炭素条件下、37℃で72時間培養を行った。
その後、全てのウェルについて、最終濃度100nMとなるようにデキサメタゾン(和光純薬工業社製)を添加したメラノサイト培養用完全培地(倉敷紡績株式会社製)200μLに交換した。
2時間培養後、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で洗浄し、次いで被験物質として最終濃度1%となるよう調製した種々の植物抽出エキスを含むメラノサイト培養用完全培地200μLを4ウェルずつに添加した。
24時間後、全てのウェルから培地を除きPBSで洗浄後、メラノサイトにRNeasyMiniKit(QIAGEN社)のRLT bufferを添加しmRNAを抽出した。mRNA抽出用には、4ウェルの細胞をまとめて回収した。抽出したmRNAを用いてQuantiTect Primer Assay(QIAGEN社製)を用いてRT−PCRを行いPer2のmRNA量を測定した。Per2のmRNA発現量は、β−actinを内在性コントロールとして比較CT法により算出し、コントロールとして設定したエキス非添加のメラノサイトにおけるPer2mRNA発現量を「1」とした場合の相対値で示した。添加24時間後にPer2の発現がコントロールより高い場合に、Per2の発現亢進作用ありと判断した。
結果を表5に示す。トウガシエキスにPer2発現亢進作用が認められた。
Figure 0006366343
<実験例6: 培養ヒト正常メラノサイトを用いたメラニン産生抑制試験>
試験例2と同様に、14C−チオウラシル量(0.25×10−6Ci)により、メラニン量を評価した。結果を表6に示す。
表6の結果より、トウガシエキスは、メラニン産生抑作用を有することがわかった。
Figure 0006366343

Claims (4)

  1. 被験物質をメラノサイトに添加するステップ、及び
    被験物質を添加したメラノサイトでの時計遺伝子の発現量が、被験物質を添加しなかったメラノサイトにおける該時計遺伝子の発現量と比較して変化した被験物質を選択するステップ、
    を含む、美白素材のスクリーニング方法。
  2. 前記時計遺伝子がBmal1であって、変化がBmal1の発現亢進及び/又はBmal1の振幅増加である、請求項1に記載の美白素材のスクリーニング方法。
  3. 前記時計遺伝子がDec1又はCry1であって、変化がDec1又はCry1の発現抑制である、請求項1に記載の美白素材のスクリーニング方法。
  4. 前記時計遺伝子がPer2であって、変化がPer2の発現亢進である、請求項1に記載の美白素材のスクリーニング方法。
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