JP3818674B2 - 皮膚外用剤 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、特定の植物エキスと、特定の色白剤および/またはコラーゲン生成亢進剤を有効成分とする皮膚外用剤に関するものであって、より詳しくは、トウガシ、ディル、アニス、ニクジュヨウ、およびタラゴンから選ばれる少なくとも一種の植物エキスと、特定の色白剤および/またはコラーゲン生成亢進剤を併用することによって、優れた細胞増殖促進作用を示すと共に、上記色白剤を併用した時には、さらに相乗的なメラニン生成抑制効果が発揮され、また上記コラーゲン生成亢進剤を併用した時には、さらに相乗的なコラーゲン生成亢進作用を示す、安全性に優れた皮膚の老化防止用外用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヒトの皮膚上に現れる、しみやそばかす等の斑点は、主にユウメラニンの沈着によってもたらされることが知られている。そしてこの、しみやそばかすの原因となるメラニンの生成を抑制し、さらに皮膚全体の美白を目的とした各種の色白化粧料の研究も古くから行われていることも周知のところである。
その例としては、過酸化水素や、過ホウ酸亜鉛等の過酸化物や、さらにはビタミンC、システイン、コロイド硫黄等を化粧料中に配合すること等が試みられてきた。しかし、いずれも保存性や美白効果の点で満足すべき効果が得られていないのが実情であった。
【0003】
そうしたなか、植物エキスを色白化粧料の有効成分として利用する試みも種々行なわれてきたが、従来の植物エキスは細胞毒性が強く人体に適用した場合、皮膚刺激等の安全性が問題となることが多かった。例えば、セリ科の植物エキスであるトウキエキスがメラニン生成抑制作用を有し、皮膚外用剤として用いられることも知られているが、この植物エキスは、細胞毒性を有するのみならず、メラニン産生細胞において、有効なメラニン生成抑制作用を示さないなどの問題点があり、色白作用についても不十分なものであった。
【0004】
本発明者らは多年にわたって、ヒトの皮膚に現れる、しみやそばかす等の斑点を除去し、皮膚全体の美白効果を高めるための色白化粧料をはじめとするメラニン生成抑制外用剤についての研究を重ねてきたところである。そのなかで、正常のヒトの皮膚の色に関与する因子として、メラニン、カロチン、および血流量(酸化、還元ヘモグロビン)、ならびに皮膚の厚さや透明度が関与するという知見を得、さらに光がこれらの因子によって反射、吸収、散乱して皮膚の色となるものであり、これらのなかでは、主としてメラニン、特に褐色や黒色のユウメラニンが最も大きな色素沈着の要因であることを解明し、メラニン生成を抑制する物質を模索してきた。
【0005】
その研究のなかで、コウジ酸(5−オキシ−2−オキシメチル−γ−ピロン)およびその誘導体が極めて優れたメラニン生成抑制作用を示すことを見い出し、例えば、特公昭56−18569号公報、特開昭54−92632号公報、特開昭56−79616号公報、特開昭56−77272号公報、特開昭56−7776号公報、特開昭56−7710号公報、特開昭56−20330号公報、特公昭63−24968号公報に開示したように、これらを有効成分とする多くの色白化粧料ならびに外用剤に関する発明を提案してきたところである。
【0006】
また、本発明者らはヒトの皮膚の老化予防(防止)、とりわけシワの予防(防止)ということについても鋭意研究を重ねてきたところである。従来より、皮膚の老化予防剤としては、保湿、抗酸化、血行促進剤または細胞増殖促進剤などが種々、提案、開発されている。しかしながら、それらはシワの要因を直接的に除去するものではなく、また使用後においても際立った効果を上げていないのが実情である。本発明者らは、シワの要因が、主として加齢による真皮コラーゲン繊維の変化、つまり、コラーゲン量の減少ということに着目し、コラーゲンの生成を亢進し、かつ、細胞増殖を促進することによって、上記問題を解決するに至った。このコラーゲンの生成を亢進する物質を広く模索したところ、幾つかの植物エキスにおいて有効な活性を見いだすことができ、これに、さらに特定の色白剤および/またはコラーゲン生成亢進剤を併用することによってその効果を相乗的に高めた皮膚の老化防止用外用剤を完成するに至った。
【0007】
これらの皮膚外用剤は、クリーム、ローション、乳液、パック、化粧水、軟膏剤、パップ剤等の商品形態で使用に供せられ、いずれも大きなメラニン生成抑制効果を示し、優れた美白効果を奏する化粧料ないし外用剤として使用され、またシワ予防ひいては老化予防(防止)剤として有望なものである。
【0008】
ところが、これらの化粧料にあっては、使用後に皮膚から吸収、すなわち、経皮吸収性が優れていることが要望されることがある。特に、コウジ酸やコウジ酸誘導体を有効成分とする化粧料は、通常の使用においては全く問題にならないことであるが、使用直後の吸収性、すなわち、初期の経皮吸収性がやや緩慢であるという傾向があり、このような傾向を改善し、使用後に速やかに皮膚に吸収されたほうが好ましい用途、例えば、軟膏剤、パスタ剤、パップ剤、クリーム、乳液、ローション、エッセンス等の用途においては、経皮吸収性を一層優れたものにするために、前記外用剤に経皮吸収剤を配合することが行われてきた。
【0009】
吸収助剤としては、例えばC10ないしC14の脂肪酸エステル、脂肪酸類、PEG(M<1,000)、アルコール類等のようなものが知られているが、このような吸収助剤には皮膚刺激を有するものが多く、製剤への使用量が制限されるために思いどおりの薬剤効果を発揮できないのが実情であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、上記植物エキスの欠点や、従来色白剤、例えばコウジ酸およびコウジ酸誘導体などの薬剤特性、ならびに従来知られているシワ(老化)予防剤の効果を改善し、安全性が高く、メラニン生成抑制効果またはコラーゲン生成亢進効果、さらには細胞増殖促進効果に優れた皮膚外用剤を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行なった結果、特定の植物エキス、すなわち、トウガシ、ディル、アニス、ニクジュヨウ、およびタラゴンは従来から問題とされていた細胞毒性が低く、優れたメラニン生成抑制作用ならびにコラーゲン生成亢進作用を有することを見いだした。さらにはそれらの植物エキスから選ばれる少なくとも一種とコウジ酸、アスコルビン酸、ハイドロキノン、リクイリチンおよびそれらの誘導体、ならびに胎盤抽出液など従来知られている色白剤を併用することによって、メラニン生成抑制作用が相乗的に増強され、また丹参、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、ジブチリル−3’5’−アデノシンサイクリックモノフォスフェートナトリウム塩、γ−アミノ酪酸、レチノイン酸、アスコルビン酸高級脂肪酸エステル、および哺乳動物乳清など従来知られているコラーゲン生成亢進剤を併用することによって、コラーゲン生成亢進が相乗的に増強されることを見いだし、本発明を完成した。
【0012】
すなわち、本発明によれば、トウガシ、ディル、アニス、ニクジュヨウ、およびタラゴンからなる群から選ばれた少なくとも一種の植物エキスと、
コウジ酸、アスコルビン酸、ハイドロキノン、リクイリチンまたはそれらの誘導体、および胎盤抽出液からなる群より選ばれた少なくとも一種の色白剤、
および/または
丹参エキス、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アデノシン−3’,5’−サイクリックモノフォスフェートおよびその誘導体、グアノシン−3’,5’−サイクリックモノフォスフェートおよびその誘導体、γ−アミノ酪酸およびレチノイン酸からなる群より選ばれた少なくとも一種のコラーゲン生成亢進剤を有効成分とする皮膚の老化防止用外用剤が提供される。
【0013】
【発明の具体的説明】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用するトウガシとは、別名ハクガシともよばれ、果菜として食用に供されているウリ科トウガン属の一年草冬瓜の種子であり、そのエキスは、例えば種子または実の細切物を水、およびメタノールやエタノールなどのアルコール、アセトンなどの極性有機溶媒、ならびにそれらの任意の割合の混液、または酢酸ジエチルエーテル、ヘキサンなどの非極性有機溶媒、動物・植物の油脂等、ならびにそれらの任意の割合の混液で抽出するか、あるいは減圧等の手段で濃縮することによって得ることができる。また、冬瓜中のメラニン生成抑制およびコラーゲン生成亢進活性は、種子ならびにその周辺部において高いものであるが、その部位は特に限定されるものではなく、例えば果肉、皮部においても有効な活性を得ることができる。
【0014】
ディル(イノンド)およびアニスは、ともにセリ科 Anethum属および Pimpinella 属の植物で、その実は各種料理の風味づけや香りづけに利用されているものである。そのエキスは、例えば種子または実を、水、メタノールやエタノールなどのアルコール、アセトンなどの極性有機溶媒、ならびにそれらの任意の割合の混液、またはジエチルエーテル、ヘキサンなどの非極性有機溶媒、動物、植物の油脂等ならびにそれらの任意の割合の混液で抽出するか、あるいは減圧等の手段で濃縮することによって得ることができる。
【0015】
ニクジュヨウは、ハマウツボ科 Cistanche属の植物で、中国北西部、内蒙古および日本においては中部以北に自生する一年生寄生草で、その全草はジュヨウ、タイゲイともよばれ、いにしえより強壮、強精生薬として用いられてきたものである。そのエキスは、例えば種子または葉を、水、メタノールやエタノールなどのアルコール、アセトンなどの極性有機溶媒、ならびにそれらの任意の割合の混液、またはジエチルエーテル、ヘキサンなどの非極性有機溶媒、動物、植物の油脂等ならびにそれらの任意の割合の混液で抽出するか、あるいは減圧等の手段で濃縮することによって得ることができる。
【0016】
タラゴンは、キク科ヨモギ属の植物で、タラゴンの葉を乾燥したものは、しばしばスパイスとしてフランス料理などに使われているものである。そのエキスは、例えば種子または葉を、水、メタノールやエタノールなどのアルコール、アセトンなどの極性有機溶媒、ならびにそれらの任意の割合の混液、またはジエチルエーテル、ヘキサンなどの非極性有機溶媒、動物、植物の油脂等ならびにそれらの任意の割合の混液で抽出するか、あるいは減圧等の手段で濃縮することによって得ることができる。
【0017】
さらに、これらのエキスを、ヒドロキシアパタイト、活性炭、イオン交換樹脂などの各種吸収剤、限外濾過、分配、遠心分離、カラムクロマトグラフィーなどの操作により、精製した活性画分、またはその濃縮したものを使用することができる。特にトウガシについては、例えば逆浸透膜処理によって細胞増殖促進効果を著しく高めた画分を得ることができる。
【0018】
これらの植物エキスは単独で優れたメラニン生成抑制作用およびコラーゲン生成亢進作用を有するものであるが、さらにコウジ酸、アスコルビン酸、ハイドロキノン、リクイリチンおよびそれらの誘導体、ならびに胎盤抽出液などの色白剤と併用されることによって、メラニン生成抑制作用を、また丹参、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、ジブチリル−3’5’−アデノシンサイクリックモノフォスフェートナトリウム塩、γ−アミノ酪酸、レチノイン酸、アスコルビン酸高級脂肪酸エステル、哺乳動物乳清などのシワ(老化)予防剤と併用されることによって、コラーゲン生成亢進作用を著しいものにする。そして、色白剤とシワ予防剤の両方と併用された場合は、メラニン生成抑制作用ならびにコラーゲン生成亢進作用のそれぞれについて相乗的な効果をもたらす。
その作用機構は未だ明らかではないが、例えば、メラニン生成に関して、コウジ酸などに見られるようにメラニン生成に係わる酵素チロシナーゼの酵素阻害作用およびメラニンポリマーの生成を抑制する作用に加え、これら植物エキスはメラニン産生細胞における酵素チロシナーゼそのものの生成を抑制する作用があるため、相乗的な効果があげられるものと思われる。
【0019】
コウジ酸としては、式(1)
【化1】
で表される5−オキシ−2−ヒドロキシメチル−γ−ピロンの純品、コウジ酸生産能を有する菌株を培養して得られるコウジ酸を主成分とする醗酵液、該醗酵液の濃縮液、および該醗酵液からコウジ酸を抽出して結晶化したもの等が使用される。
【0020】
かかるコウジ酸生産能を有する菌株としては、例えば、アスペルギルス・アルバス、アスペルギルス・タマリ、アスペルギルス・ニュービュース、アスペルギルス・フラバス、アスペルギルス・ウェンチ、アスペルギルス・グラウカス、アスペルギルス・クラベイタス、アスペルギルス・フミガタス、アスペルギルス・ジガンタス等のアスペルギルス属の菌株、ペニシリウム・ダレー等のペニシリウム属の菌株、エスカリキア・コリ等のエスカリア属の菌株、アセトバクター・アセチ、アセトバクター・グルコニカス、アセトバクター・キシリナム等のアセトバクター属の菌株、グルコノバクター・ロシウス、グルコノバクター・グルニカス等のグルコノバクター属の菌株等が好適に使用される。
【0021】
なお、これらの菌株の培地組成としては、通常、ショ糖、シュークロース、果糖、ブドウ糖、デンプン、麦芽糖、グリセリン、マンニット、ラムノース、キシロース、グルコン酸、アラビノース、ジヒドロキシアセトン、イノシット、ラクトース、エタノール等の炭素源が約2ないし15%(重量%、以下同様)、硫酸アンモニア、ポリペプトン、硝酸ソーダ、パン酵母エキス、ビール酵母エキス等の窒素源が約0.1ないし1%、硫酸マグネシウム等のマグネシウム源が0.01ないし0.05%、燐酸1水素カリ、燐酸2水素カリ等の燐およびカリウム源が0.01ないし0.1%、その他硫酸第二鉄、塩化第二鉄、塩化ナトリウム、塩化カルシウム等の無機塩が約0.001ないし0.005%のものが採用されうる。
【0022】
本発明において使用されるコウジ酸誘導体としては、2−メトキシメチル−ヒドロキシ−4H−ピラン−4−オン、2−エトキシメチル−5−ヒドロキシ−4H−ピラン−4−オン、2−ベンゾルイルオキシメチル−5−ヒドロキシ−4H−ピラン−4−オン、2−シンナモイルオキシメチル−5−ヒドロキシ−4H−ピラン−4−オン、2−フェノキシメチル−5−ヒドロキシ−4H−ピラン−4−オン、コウジ酸配糖体または、式(2)
【化2】
(式中、Rは飽和または不飽和脂肪族炭化水素基である)で表されるコウジ酸のエステル化物が例示される。
式中、Rで示される飽和または不飽和脂肪族炭化水素基としては、飽和または不飽和の脂肪族カルボン酸が例示される。
【0023】
飽和脂肪族カルボン酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、n −吉草酸、iso −吉草酸、メチルエチル酢酸、トリメチル酢酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノンデレル酸、アラキン酸またはリグノセリン酸等が用いられるが、酸の皮膚刺激性を低減化せしめるうえで、C8以上の飽和脂肪族カルボン酸、とりわけC14−20の飽和脂肪族カルボン酸を用いるのが好ましい。なお、C20より大きい前記脂肪族カルボン酸は、特にその使用が制限されるものではないが、その入手が極めて困難であるために、製造コストのうえから好ましくない。
【0024】
また、これらの飽和脂肪族カルボン酸のほかに、例えば、リノール酸、リノレン酸、マイレン酸、フマル酸、オレフィン酸、またアラキドン酸等の不飽和脂肪族カルボン酸がいずれも特別な制限なしにもちいられる。
【0025】
コウジ酸配糖体としては、コウジ酸の2位の−CH2 OH基に糖類を結合させることによって、コウジ酸酸分子を安定化させたものであって、下記の式(3)で示される構造式を有している。
【化3】
【0026】
式(3)において、Rは6炭糖類、5炭糖類、アミノ酸類、二糖類、三糖類であり、6炭糖類としては、例えばグルコース、ガラクトース、マンノース、フラクトース、ソルボースなどが挙げられ、5炭糖類としては、リボース、アラビノース、キシロース、リキリース、キシルロースなどが挙げられ、アミノ糖類としては、例えばグルコサミン、マンノサミン、ガラクトサミンなどが挙げられ、二糖類としては、例えばマルトース、ラクトース、セロビオース、シュークロースなどが挙げられ、三糖類としては、例えばマルトトリオース、セロトリオースなどが挙げられる。
【0027】
本発明のコウジ酸配糖体は、合成法、酵素法、培養法のいずれでも製造することができ、いずれも使用できるものであるが、生産性や経済性などの点を考慮すれば、酵素法または培養法で製造されたコウジ酸配糖体が好ましく用いられる。一般的には、酵素、例えばアミラーゼ、ホスホリラーゼ、リゾチームなどの糖転移反応を利用して合成するか、または糖の1位の未反応−OH基とコウジ酸を化学的に結合させて製造することができる。
【0028】
アスコルビン酸誘導体としては、公知の誘導体、例えばアスコルビン酸グルコシドなどの配糖体のほか、パルミチン酸L−アスコルビル、イソパルミチン酸L−アスコルビル、ジパルミチン酸L−アスコルビル、ジイソパルミチン酸L−アスコルビル、ステアリン酸L−アスコルビル、イソステアリン酸L−アスコルビル、ジステアリン酸L−アスコルビル、ジイソステアリン酸L−アスコルビル、ミリスチン酸L−アスコルビル、イソミリスチン酸L−アスコルビル、ジミリスチン酸L−アスコルビル、ジイソミリスチン酸L−アスコルビル、2−エチルヘキサン酸L−アスコルビル、ジ2−エチルヘキサン酸L−アスコルビル、オレイン酸L−アスコルビル、ジオレイン酸L−アスコルビルなどのL−アスコルビン酸アルキルエステル;L−アスコルビン酸−2−リン酸エステル、L−アスコルビン酸−3−リン酸エステルなどのL−アスコルビン酸リン酸エステル;L−アスコルビン酸−2−硫酸エステル、L−アスコルビン酸−3−硫酸エステルなどのL−アスコルビン酸硫酸エステル;それらのナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩;それらのカルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩などがあげられる。
【0029】
ハイドロキノン誘導体としては、例えばアルブチンなどがあげられる。
リクイリチン誘導体としては、例えばリクイリチンにグルコースがα結合したリクイリチン−α−グルコシド、リクイリチン−α−マルトシドなどがあげられる。
【0030】
また、コラーゲン生成亢進、シワ防止ならびに皮膚老化防止作用を有するものとして、近年、多くのものが提案されている。例えば、丹参エキス、分画物(特開平2−290805号公報)、アスコルビン酸高級脂肪酸エステル(特開平2−304012号公報)、哺乳動物乳清(特開平3−20206号公報)、グアノシン3’−5’−環状化合物等(特開昭63−183535号公報)、アスコルビン酸−2−硫酸等(特開昭60−78913号公報)、γ−アミノ酪酸およびその誘導体等(特公昭62−20165号公報)、脂環式化合物等(特公昭62−20165号公報)、アデノシン−3’−5’−環状化合物、アルギン酸硫酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム塩、ビタミンA、ビタミンA酸及びその誘導体などが挙げられる。
【0031】
本発明において前記有効成分、つまりメラニン生成抑制およびコラーゲン生成亢進作用を有するエキスまたはそれらの分画精製物の配合量は、クリーム、ローション、乳液、パック、化粧水、エッセンス、軟膏剤、パップ剤、パスタ剤などの化粧料および外用剤として使用するいずれの場合においても、全体に対して、単独またはそれらの併用の合計において、0.001ないし10.0重量%、好ましくは0.01ないし5.0重量%である。また、従来知られている色白剤、例えば、コウジ酸、アスコルビン酸、ハイドロキノン、リクイリチンおよびそれらの誘導体、ならびにそれらを含有する植物、および培養液などの抽出液、濃縮物、分画精製物、そして胎盤抽出液などを、本発明のエキスなど1に対して、0.01ないし10.0重量比、好ましくは0.05ないし5.0重量比配合する。従来知られているコラーゲン生成亢進物質(シワ、老化防止剤)、例えば、丹参、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、ジブチリルアデノシン−3’,5’−サイクリックモノフォスフェートナトリウム塩などのアデノシン−3’,5’−サイクリックモノフォスフェートおよびその誘導体、ジブチリルグアノシン−3’,5’−サイクリックモノフォスフェートナトリウム塩などのグアノシン−3’,5’−サイクリックモノフォスフェートおよびその誘導体、γ−アミノ酪酸、レチノイン酸、アルギン酸硫酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム塩、ビタミンA、ビタミンA酸およびその誘導体、アスコルビン酸高級脂肪酸エステル、および哺乳動物乳清などについても、色白剤同様の併用濃度において、相乗的に効果を得ることができる。
【0032】
本発明の外用剤は、前述したごとく、パップ剤、プラスター剤、ペースト剤、クリーム、軟膏、エアゾール剤、乳剤、ローション、乳液、エッセンス、パック、ゲル剤、パウダー、ファンデーション、サンケア、バスソルトなどの医薬品、医薬部外品、化粧品として使用される公知の形態で使用に供されるものである。
【0033】
本発明の外用剤を製する場合、通常に用いられる種々の公知の有効成分、例えば塩化カルプロニウム、セファランチン、ビタミンE、ビタミンEニコチネート、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、ショウキョウチンキ、トウガラシチンキなどの末梢血管拡張剤、カンフル、メントールなどの清涼剤、ヒノキチオール、塩化ベンザルコニウム、ウンデシレン酸などの抗菌剤、塩化リゾチーム、グリチルリチン、アラントインなどの消炎剤、センブリエキス、ニンニクエキス、ニンジンエキス、オウゴンエキス、ローズマリーエキス、アロエエキス、ヘチマ抽出物、イチョウ抽出物、ニワトコ抽出物、肝臓抽出物、乳酸菌培養抽出物などの動物・植物・微生物由来の各種抽出物などを自由に添加して使用することができる。 また、前述の医薬品、医薬部外品、化粧品には公知の有効成分や界面活性剤、油脂類などの基剤成分の他、必要に応じて公知の保湿剤、増粘剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤・散乱剤、キレート剤、PH調整剤、香料、着色剤など種々の添加剤を併用できることは言うまでもないことである。
【0034】
保湿剤としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類、アミノ酸、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等のNMF成分、ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、フィブロネクチン、セラミド類、ヘパリン類似様物質、キトサン等の水溶性高分子物質等を例示することができる。
【0035】
増粘剤としては、例えばアルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウム、マルメロ種子抽出物、トラガントゴム、デンプン等の天然高分子物質、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、可溶性デンプン、カチオン化セルロース等の半合成高分子物質、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール等の合成高分子物質等を例示することができる。
【0036】
防腐剤としては、例えば安息香酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、デヒドロ酢酸塩、パラオキシ安息香酸エステル、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル、3,4,4’−トリクロロカルバニリド、塩化ベンザルコニウム、ヒノキチオール、レゾルシン、エタノール等を例示することができる。
【0037】
酸化防止剤としては、例えばジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子プロピル、アスコルビン酸等を例示することができる。
【0038】
紫外線吸収剤としては、例えば4−メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチルパラアミノベンゾエート、エチルヘキシルパラメトキシサイナメート、酸化チタン、カオリン、タルク等を例示することができる。
【0039】
さらに、キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸塩、ピロリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、クエン酸塩、酒石酸、グルコン酸等を例示することができ、pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、リン酸水素カリウム等をそれぞれ例示することができる。
【0040】
【実施例】
以下に、本発明の実施例ならびに効果を説明するための試験例を挙げるが、これらは、本発明をなんら限定するものではない。
【0041】
<製造例1> トウガシ水エキス
乾燥したトウガシを細切し、細切物1Kgに5Lの水を加え、室温下、一昼夜撹拌した。ろ過後、凍結乾燥し凍結乾燥物約50gを得た。
【0042】
<製造例2> トウガシエタノールエキス
乾燥したトウガシを細切し、細切物1Kgに5Lのエタノールを加え、室温下、一昼夜撹拌抽出した。ろ過後、エタノール抽出液を、減圧下に濃縮して油状の濃縮物約150gを得た。
【0043】
<製造例3> ディル
乾燥したディルを細切し、細切物1Kgに水2.5L、エタノール2.5Lを加え、室温下、一昼夜撹拌抽出した。ろ過後、水性エタノール抽出液を、合成吸着剤SP−207(三菱化成株式会社製)を充填したカラムに通し、通過液を減圧下に濃縮し濃縮物約100g を得た。
【0044】
<製造例4> アニス
乾燥したアニスを細切し、細切物1Kgに水2.5Lを加え、室温下、一昼夜撹拌抽出した。ろ過後、水抽出物に酢酸エチル2.5Lを加え、1hr撹拌後、水相画分を取り、これに活性炭20g を添加し、約1hr撹拌した。ろ液を減圧下に濃縮して濃縮物約80g を得た。
【0045】
<製造例5> ニクジュヨウ
乾燥したニクジュヨウを細切し、細切物1Kgに5Lのエタノールを加え、室温下一昼夜撹拌抽出した。ろ過後、エタノール抽出液を、減圧下濃縮して濃縮物約200g を得た。
【0046】
<製造例6> タラゴン
乾燥したタラゴンの葉を細切し、細切物1Kgに水10Lを加え、室温下、一昼夜撹拌抽出した。ろ過後、エタノール抽出液に活性炭20g を添加し、約1hr撹拌した。ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して濃縮物約200g を得た。
【0047】
<製造例7> 丹参
乾燥した丹参の根を細切りし、細切物1kgに対して5Lのエタノールを加え、室温下、一昼夜撹拌抽出した。ろ過後、エタノール抽出物を、減圧下濃縮して濃縮物約80gを得た。
【0048】
<製造例8> トウガシ水抽出−膜処理エキス
乾燥したトウガシを細切りし、細切物1kgに対して5Lの水を加え、室温下、一昼夜撹拌抽出した。ろ液を、逆浸透膜(日東電気工業株式会社製:NTR-7410)処理し、透過液を凍結乾燥し凍結乾燥物約17gを得た。
【0049】
<試験例1>(B16細胞によるメラニン生成抑制作用試験)
(試験方法)
本発明の植物エキス、色白剤の最終濃度が表1〜表5になるように添加した10%ウシ胎児血清を含むイーグルMEM培地に、マウス黒色腫由来の培養B16細胞を播種し、37℃、5%CO2 条件下で5日間培養した後、細胞をかきあつめてPBSに懸濁し、1,000rpm ×5分間で遠心分離して細胞を集め、その黒色を目視で判定した。また、細胞数はトリプシンで分散した後、血球カウンターで計測した。
【0050】
なお、コントロールとしては、上記植物エキス、色白剤を添加しなかったものを用いた。
結果の判定基準は、次のとおりである。
【0051】
(試験結果)
表1ないし表5に示すように、本発明のトウガシエキス、アニスエキス、ディルエキス、ニクジュヨウエキス、タラゴンエキスには優れたメラニン生成抑制効果が認められ、併用した色白剤の効果を相乗的に高めることが認められた。
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
<試験例2>(ヒトメラノーマ細胞によるメラニン生成抑制作用試験)
(試験方法)
本発明の植物エキス、色白剤の最終濃度が表6ないし表10になるように添加した10%ウシ胎児血清を含むイーグルMEM培地に、ヒト由来のメラノーマ細胞(井原株)を播種し、37℃、5%CO2 条件下で5日間培養した後、細胞をかき集め、PBSに懸濁し、1,000rpm ×5分間で遠心分離して細胞を集め、その黒色度を目視で判定した。また、細胞数はトリプシンで分散した後血球カウンターで計測した。
なおコントロールとしては、上述の植物エキスを添加しなかったものを用いた。
【0063】
結果の判定基準は、次のとおりである。
【0064】
(試験結果)
表6ないし表10に示すように、本発明のトウガシエキス、ディルエキス、アニスエキス、ニクジュヨウエキス、タラゴンエキスには優れたメラニン生成抑制効果が認められ、併用した色白剤の効果を相乗的に高めることが認められた。
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
<試験例3>(ヒト線維芽細胞によるコラーゲン生成亢進作用試験)
(試験方法)
ヒト由来正常皮膚線維芽細胞(CCD−27SK)を直径3.5cmのプラスチックシャーレ(Falcon 3001)に0.8×105 個播種し、10%ウシ胎児血清を含むイーグルMEM培地で1日間培養後、培地をK−GMに置換すると同時に、本発明の植物エキスおよび従来のコラーゲン生成亢進作用物の培地中最終濃度が表11−1ないし表11−7になるように添加し、更に3日間培養した。培養終了後、培養上清をサンプリングし、この培養液について細胞数ならびにプロコラーゲン量を測定した。
なお、プロコラーゲンの測定には、Procollagen TypeIC-peptide 測定キット(宝酒造株式会社製)を用い、試料無添加区のものをコントロールとし、添加区とのコラーゲン量比で表した。
【0076】
(試験結果)
表11−1ないし表11−6に示すように、本発明のトウガシエキス、ディルエキス、アニスエキス、ニクジュヨウエキス、およびタラゴンエキスには優れた細胞増殖効果およびコラーゲン生成亢進効果が認められ、また、これと併用した従来知られているコラーゲン生成亢進作用物質の効果を相乗的に高めることが認められた。また表11−7に示すように、トウガシ水抽出−膜処理エキスには、特に高い細胞増殖効果を認めた。
なお、表中、コントロール比(A)は細胞増殖コントロール比、コントロール(B)は細胞あたりのコラーゲン量コントロール比を表す。
【0077】
【表0001】
【0078】
【表0002】
【0079】
【表0003】
【0080】
【表0004】
【0081】
【表0005】
【0082】
【表0006】
【0083】
【0084】
以下に、本発明の皮膚の老化防止用外用剤の処方例を示すが、この処方例は、本発明の皮膚の老化防止用外用剤の好適な処方を示すためのものであって、これによって本発明の範囲が限定されるものではないことは了解されよう。
なお、処方例中、「適量」とは、全体で100重量%になる量を意味する。
【0085】
Aに属する成分を加熱溶解する。別に、Bに属する成分を加熱溶解する。AにBを添加して撹拌、乳化後、冷却してクリームを製造した。
【0088】
<処方例2> クリーム
(重量%)
A モノステアリン酸
ポリエチレングリコール(40 E.O.) 2.0
自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 5.0
ステアリン酸 5.0
ベヘニルアルコール 1.0
流動パラフィン 10.0
トリオクタン酸グリセリル 10.0
B グリセリン 5.0
アスコルビン酸リン酸マグネシウム 0.05
ジブチル−3’5’−アデノシン
サイクリックモノフォスフェートナトリウム塩 0.05
丹参エキス 0.1
エタノール 0.2
トウガシ水エキス 0.5
コウジ酸 0.1
エチルパラベン 0.1
精製水 適 量
AおよびBを各々80℃にて加熱溶解し、AにBを添加、撹拌、冷却してクリームを製造した。
【0090】
<処方例3> 化粧水
(重量%)
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60 E.O.) 8.0
エタノール 15.0
エチルパラベン 0.1
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.3
1,3−ブチレングリコール 4.0
エデト酸二ナトリウム 0.01
コウジ酸グルコシド 0.5
タラゴンエキス 0.05
精製水 適 量
上記の各成分を混合、均一に撹拌、溶解し化粧水を製造した。
【0091】
<処方例4> クリームパック
(重量%)
A ビーガム 5.0
スクワラン 2.0
プロピレングリコール 5.0
ビタミンB12 0.05
コウジ酸グルコシド 1.0
ニクジュヨウエキス 1.0
精製水 適 量
B 酸化亜鉛 10.0
C エタノール 5.0
Aに属する成分を混合、撹拌して膨潤させ、Bを少しずつ加える。これにCを徐々に加えてペースト状になるまで混練しクリームパックを製造した。
【0092】
<処方例5>
(重量%)
A ビーガム 5.0
スクワラン 2.0
プロピレングリコール 5.0
ビタミンB12 0.05
ニクジュヨウエキス 0.5
γ−アミノ酪酸 0.05
精製水 適 量
B 酸化亜鉛 10.0
C エタノール 5.0
丹参エキス 0.5
レチノイン酸 0.05
Aに属する成分を混合、撹拌して膨潤させ、Bを少しずつ加える。さらにCを徐々に加えてペースト状になるまで混練しクリームパックを製造した。
【0093】
<処方例6> エッセンス
(重量%)
1%カルボキシビニルポリマー溶液 10.0
グリセリン 20.0
ヒアルロン酸 0.5
エタノール 1.0
コウジ酸ガラクトシド 3.0
トウガシ水エキス 5.0
精製水 適 量
上記の各成分を混合、均一に撹拌、溶解しエッセンスを製造した。
【0094】
<処方例7> 親水性軟膏
(重量%)
A ポリオキシエチレンセチルエーテル 2.0
グリセリルモノステアレート 10.0
流動パラフィン 10.0
ワセリン 4.0
セタノール 5.0
リキリチン 0.5
アニスエキス 10.0
B プロピレングリコール 10.0
メチルパラベン 0.1
精製水 適 量
Aに属する成分を加熱溶解する。別に、Bに属する成分を加温溶解する。AにBを添加して撹拌、乳化後、冷却して親水性軟膏を製造した。
【0095】
【発明の効果】
本発明によって提供される特定の植物エキスと、特定の色白剤および/または特定のコラーゲン生成亢進剤を有効成分とする皮膚の老化防止用外用剤は、安全性が高く、メラニン生成抑制作用に優れているためシミ、ソバカスの予防ならびに色素沈着症治療剤として、またコラーゲン生成亢進作用さらには細胞増殖促進作用にも優れているためシワ予防ひいては皮膚の老化防止剤として有用である。
Claims (1)
- トウガシ、ディル、アニス、ニクジュヨウ、およびタラゴンからなる群から選ばれた少なくとも一種の植物エキスと、
コウジ酸、アスコルビン酸、ハイドロキノン、リクイリチンまたはそれらの誘導体、および胎盤抽出液からなる群より選ばれた少なくとも一種の色白剤、
および/または、
丹参エキス、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アデノシン−3’,5’−サイクリックモノフォスフェートおよびその誘導体、グアノシン−3’,5’−サイクリックモノフォスフェートおよびその誘導体、γ−アミノ酪酸およびレチノイン酸からなる群より選ばれた少なくとも一種のコラーゲン生成亢進剤、
を有効成分とする皮膚の老化防止用外用剤。
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