JP2010098965A - 化粧品素材のスクリーニング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多量サンプルのスクリーニングを簡単に行いうる化粧品素材のスクリーニング方法を提供する。
【解決手段】化粧品素材のスクリーニング方法は、皮膚の日内リズムに関連する細胞を用いて行われる。皮膚の日内リズムに関連する細胞として、ケラチノサイト、毛根濾胞、視交叉上核の初代培養の細胞または細胞株剤などがあることが解明された。具体的には、これらの細胞のin vitroスクリーニングや、Per1,Per2,Bmoll,Cry1,Cry2,Dbp,Rev-erbαを用いたスクリーニングがある。動物の皮膚に薬を塗布あるいは投与して皮膚の日内リズムを測定する必要はなく、皮膚の日内リズムに関連する細胞を利用して、多量サンプルのスクリーニングを簡単に行うことができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、化粧品素材のスクリーニング方法に係り、特に、日内リズムを考慮したものの改良に関する。
哺乳類は昼夜の明暗変化を感知して、生体の生理機能が24時間周期のリズム(日内リズム)を持っていることが知られている。哺乳類の生体リズムを制御する遺伝子(時計遺伝子)としてclock, Per1, Per2, Bmal1, Cryなどが知られている。また、中枢の視交叉上核においても、これら遺伝子発現の日内リズムが存在しており、ここでは、自律的に視覚からの明暗刺激なしで日内リズムが形成されると考えられている。末梢の肝臓、皮膚などにも日内リズムが存在し、それらの生理機能のリズムを形成している。
日内リズムと医療の関連については、以下のことが知られている。
(1) 日内リズムを考慮して医薬品を投与すると、その効果が顕著になる。あるいは副作用を軽減できる。
(2) 日内リズムが減少すると、睡眠障害、消化活動障害、痴呆、徘徊等の障害が生じるために、日内リズムを惹起する薬剤の開発が進められている。
(3) 旅行による時差や、活動時間帯の変化によるいわゆる時差ぼけを解消する薬剤の開発が進められている。
また、日内リズムは特定の疾患に関与するばかりでなく、高血圧や循環器疾患、肥満や糖尿病など多くの一般の疾患に影響をあたえていると推測されている。一般の人でも生活習慣が不規則であったり、旅行等で時差を経験することが多いと、日内リズムが崩れ、正常なリズムを刻まなくなる。異常な日内リズムが継続すると、多くの疾患を誘発することが推測される。特に、日内リズムが崩れやすい人、崩れたリズムが回復しにくい人はすみやかに日内リズムを回復する薬剤が健康維持に有効であると思われる。
一方、皮膚の生理機能変化が化粧品の効果に大きく影響することが知られている。たとえば、非特許文献1に開示されるように、皮膚に日内リズムがあり、皮膚の生理機能に影響を与えていることが最近明らかになってきた。
Chronobiol Int, 2002, 19:129-140
したがって、皮膚の日内リズムを調節することは、皮膚の健康に重要であり、ひいては化粧品の開発に関連することが予測される。
そのためには、皮膚の日内リズムを正常化する薬剤開発において、第一次スクリーニングとして多量の化合物をスクリーニングする必要がある。このスクリーニング手段の効率を上げることが有効な化粧品素材を発見する鍵となる。
しかるに、動物の皮膚に薬剤を塗布あるいは投与して、皮膚の日内リズムを測定するのでは多量サンプルのスクリーニングは多くの量力、コストがかかり、実用的でない。
本発明の目的は、皮膚中における日内リズムに関連する細胞を解明することにより、多量サンプルのスクリーニングを簡単に行いうる化粧品素材のスクリーニング方法を提供することにある。
本発明の化粧品素材のスクリーニング方法は、皮膚の日内リズムに関連する細胞を用いて行われる。
皮膚は種々の細胞から構成されているが、これまでどの細胞が日内リズムを持っているか明らかでなかった。ここで、本発明者により、各実施例に示すように、皮膚の日内リズムに関連する細胞が解明された。したがって、動物の皮膚に薬剤を塗布あるいは投与して皮膚の日内リズムを測定する必要はなく、皮膚の日内リズムに関連する細胞を利用して、多量サンプルのスクリーニングを簡単に行うことが可能になった。
たとえば、実施例3に示すように、皮膚のケラチノサイトが日内リズムを持つことが明らかになった。したがって、ケラチノサイトを用いてin vitroスクリーニングすることにより皮膚日内リズム調整剤を得ることができる。
ケラチノサイトとして、たとえば、ヒトケラチノサイト細胞株、HaCaT(J Cell Biol, 1988, 106: 761-771), マウスケラチノサイト細胞株 CEPK (CELLn-TEC Advanced Cell Systems, Switzerland) またはIMOK (Arch. Oral Biol, 2008, 53: 1091-1100)を用いることができる。ケラチノサイトは初代培養細胞(J Cell Sci, 2007 120:330-309)でもよい。
また、本発明者により、実施例5に示すように、毛根濾胞に日内リズムがあることがあきらかになった。したがって、たとえば、毛根濾胞の初代培養細胞(Biophys Res Commun 2007, 359, 516-522) を用いて、in vitroスクリーニングすることにより毛根濾胞日内リズム調整剤を得ることができる。
皮膚においていかなる時計遺伝子が日内リズムを形成しているかの情報(Am J Pathol, 2001, 158:1793-1801) は少ない。
ここで、本発明者は、実施例1(図1)、実施例2(図2)に示すように、皮膚ではPer1, Per2, Bmal1, Cry1, Dbp およびRev-erbαが日内リズムを形成することを突き止めた。
さらに、実施例3(図3)に示すように、ケラチノサイトで少なくともPer2,が日内リズムを形成することがわかった。よって、ケラチノサイトのPer2の日内リズム変動に影響を与える薬剤をスクリーニングすることにより皮膚日内リズム調整剤を得ることができる。
また、実施4(図4)に示す結果から、Cry1、及びCry2遺伝子のダブルノックアウトマウスでは他の時計遺伝子の日内リズムは消滅し、Cry1またはCry2遺伝子がケラチノサイト日内リズム形成に必須であることがわかった。
以上のように、本発明者が明らかにした事実により、ケラチノサイトを用い、Cry1またはCry2の活動に影響を与える薬剤をスクリーニングすることが皮膚日内リズム調整剤スクリーニングに特に有効であることがわかった。
一方、Per(Per1およびPer2)やCry(Cry1およびCry2) は核内移行することがわかっている(J Biol Chem, 2005, 280:13272-13278, Mol Cell Biol, 2001, 21: 6651-6659)。
そこで、GFP遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子などの蛍光発色蛋白質との融合遺伝子を導入した細胞を用いて、Per, Cryの細胞内蛋白量の変動や、核内移行の変動を測定することにより、これら分子の活動の変化を測定することができる。例えば、Per1 プロモーター領域とルシフェラーゼ遺伝子融合遺伝子を導入したランスジェニックマウスよりケラチノサイトを分離し初代培養として、培養液に添加した化合物による細胞の蛍光発色増減を測定することで達成できる。また、これら分子のmRNA発現を、PCRを用いて測定することにより、容易に遺伝子発現の変動を測定することができる。
また、中枢の視交叉上核における時計遺伝子の日内リズムが全身組織の日内リズムを支配していることが知られている。しかし、皮膚の日内リズムが視交叉上核の日内リズムの支配を受けているか否かは不明であった。
ここで、本発明者の実験によると、実施例6(図6)に示すように、視交叉上核を破壊すると皮膚の日内リズムは消滅した。よって、皮膚の日内リズムが視交叉上核の日内リズムの支配を受けていることが明らかになった。
したがって、視交叉上核の日内リズムを調節する薬剤をスクリーニングすることにより、皮膚日内リズム調整剤を得ることができる。
視交叉上核の初代培養細胞(Neurosci Letter 2008436:314-316)あるいは細胞株、たとえばN14.5 (Neuroscience,2006,140:849-856)あるいはSCN2.2 (In Vitro Cell Dev Biol Anim, 2005 41:311-20) などを用いることができる。
測定のためには、上記と同様に、GFP遺伝子などの蛍光蛋白質との融合遺伝子を導入した細胞を用いて、Per, Cryの細胞内蛋白量の変動や、核内移行の変動を測定することにより、これら分子の活動の変化を測定することができる。例えば、Per1 プロモーター領域とルシフェラーゼ遺伝子融合遺伝子を導入したランスジェニックマウスより視交叉上核を分離し初代培養として、培養液に添加した化合物による細胞の蛍光発色増減を測定することで達成できる。また、これら分子のmRNA発現を、PCRを用いて測定することにより、容易に遺伝子発現の変動を測定することができる。
一般に、中枢の日内リズムと末梢組織の日内リズムは同調しているが、中枢の日内リズムが変動した場合、末梢組織の日内リズムは遅れて変動する場合が多い。皮膚日内リズム調整剤として、視交叉上核の日内リズムを調製することは皮膚日内リズム調節に有効であることは明かであるが、その為には薬剤が中枢に到達する必要がある。
したがって、ケラチノサイトの時計遺伝子活動を直接調節する薬剤は、中枢の日内遺伝子の変動とずれを生じている皮膚の日内変動を解消して、すぐに中枢の日内変動に同調させる効果が期待できる。この場合は薬剤は中枢に到達する必要はなく、経口投与でも皮膚に塗布しても効果を得ることができる。よって、視交叉上核を用いた薬剤スクリーニングもケラチノサイトを用いた薬剤スクリーニングも、いずれも有効と考えられる。
本発明の化粧品素材のスクリーニング方法によると、皮膚中における日内リズムに関連する細胞を解明したので、これにもとづいて、多量サンプルのスクリーニングを簡単に行うことができる。
以下の実施例における共通の実験条件を記載する。
1、
マウスは生後3から6か月のC57BL6またはCry1およびCry2のダブルノックアウトマウス(Cry1-/- Cry2-/-)(Nature 1999, 398: 627-630)を用いた。
2、
12時間の明環境(300lux 蛍光灯)後、12 時間の暗環境のサイクルで2週間以上飼育した。餌、水は任意摂取である。
3、
視交叉上核破壊としてbilateral thermal electrical lesionを行なった。すなわち、stereotactic microscopeを用いて、ketamine/xydrazine麻酔下、組織を通して20mAを20秒通電した。マウスの運動の日内リズムはpassive infrared sensor(Cell 1997 91, 1043-53)を用いた。
4、Northern blotting 及びreal-time PCR:
マウスを断頭し、背皮膚 4cm2 を切除し、4℃、TRIzol (Gibco BRL, Grand Island, NY)でホモジナイズし、Total RNAを得た。32Pラベルプローブは、Per1 (1,638-3,373, AF022992), Per2 (1-636, AF035830), Dbp (812-bp fragment, 29762)を用いてreverse transcription PCRで作成した。ヒトG3PDH cDNA コントロールプローブは、Clontech(Palo Alto,CA)より購入した。
mRNA量は、G3PDHmRNA量でノーマライズした。
Real-time PCRは、以下のように行なった。cDNA合成はSuperScript III First-strand Synthesis SuperMix(Invitrogen Japan, Tokyo,Japan)で行なった。Real-time PCRはPlatinum SYBR Green qPCR SuperMix-UDC(Invitrogen Japan)で行い、StepOnePlus unit(Applied Biosytems, Foster City, CA)で測定した。Real-time PCRの量はTbp mRNA量でノーマライズした。
5、免疫組織染色:
マウスはエーテルで深く麻酔し、心臓の左心室から20mlのリン酸バッファー生理食塩水を潅流し、さらに50mlの4% paraformaldehydeと0.2% picric acidを含む0.1M リン酸バッファーpH7.4を潅流した。潅流後、背、腹側、陰嚢の皮膚を採取した。情報によりパラフィン切片を作成した。
パラフィン切片は5μmに切断し、3-aminopropyltrimethoxysilaneコートしたガラススライドに乗せ、キシレンでパラフィンを除き、アルコールに続いて25% Triton X-100 を含むリン酸バッファー生理食塩水で25分、室温で水和させた。標本はマイクロウエーブ処理後、rabbit polyclonal anti-Per2 antibody (1:400希釈、Alpha Diagnostics, SanAntonio, TX)を第一抗体として反応させた。その後anti-rabbit IgG-Cy3結合抗体(1:1000希釈、Amersham Bioscience, Tokyo, Japan)で可視化した。
DNAを可視化するためには、100ng/ml 4`, 6`-diamidino-2-phenylindole hydrochloride(DAPI)を用いた。Laser scanning confocal microscopeで蛍光イメージを測定した。
6、
表1に、用いた遺伝子シンボル、公式フルネームおよびGene ID番号を示す。
実施例1では、明環境と暗環境12時間交代で管理したマウスを用いた。測定対象の組織は、雄の背(dorsal)、腹側部(flank)、鼻毛部(vibrissa)の皮膚と、雌の背部(dorsal)の皮膚である。同サンプルより得たmRNAについて、定量的PCRでPer1, Per2, Baml1, Cry1, Dbp, Rev-erbα mRNA量を測定した。測定時間ポイントは、暗環境から明環境に移行し6時間目、12時間目、12時間後に暗環境に移行して18, 24時間目である。
図1は、実施例1の結果を示すデータであって、明暗環境における局所、性別別、皮膚の時計遺伝子発現変動を示す図である。
同図において、縦軸は、mRNA発現量の最大値を100として、各時間ポイントのmRNA発現量を表示している。横軸は、測定時間ポイントを表示している。同図において、Aは、雄の背(dorsal)、腹側部(flank)、鼻毛部(vibrissa)の皮膚のデータを、Bは、雌の背部(dorsal)の皮膚のデータをそれぞれ示している。
図1に示すデータより、ほとんどの皮膚組織で、Per1, Per2, Baml1, Cry1, Dbp, Rev-erbα等の時計遺伝子が日内変動していることが明らかになった。
実施例2でも、明環境と暗環境12時間交代で管理したマウスを用いた。Wild typeマウスまたはCry1-/-Cry2-/-マウスを暗環境に移行し、そのまま暗環境を維持した。0, 4, 8, 12, 16, 20時間後のマウス皮膚mRNAに対して、Per2, Dbp, G3PDHのノーザンブロッティングを行なった。G3PDHに対してノーマライズし、12時間後の値を100として、グラフ表示した。
図2は、実施例2の結果を示すデータであって、継続暗環境における、Wild typeマウスと Cry1-/- Cry2-/-マウスの背皮膚におけるPer2およびDbp mRNA発現変動を示す図である。
同図においては、G3PDHに対してノーマライズし、12時間後の値を100として、グラフ表示している。
図2に示すデータにより、皮膚に日内変動があり、少なくともPer2、Dbp遺伝子が日内変動をしていることが明らかとなった。また、この日内変動は皮膚への直接の光刺激で日内変動が起きるのではないことが示されている。
また、Cry1-/- Cry2-/-では、Per2, Dbpの日内変動が消失した。この結果から、Cry1またはCry2が皮膚の日内変動を制御する重要な遺伝子であることがわかった。
実施例3でも、明環境と暗環境12時間交代で管理したマウスを用いた。マウス皮膚のケラチノサイトにおけるPer2蛋白質量を免疫組織染色し、同時に、ケラチノサイトの核をDAPIで染色した。そして、DAPI染色細胞におけるPer2染色細胞のパーセンテージを算出した。同サンプルより得たmRNAについて、定量的PCRでPer2mRNA量を測定した。測定時間ポイントは、暗環境を継続し、4、8、12, 16, 20時間である。
図3は、実施例3の結果を示すデータであって、継続暗環境における、ケラチノサイトにおけるPer2 mRNAおよびPer2蛋白質の発現変動を示す図である。
同図において、グラフ縦軸は、DAPI陽性細胞に対するPer2 mRNA(破線)またはPer2 タンパク質(実線)が陽性のパーセンテージを示している。グラフ横軸は、暗環境移行後、暗環境を維持し、4, 6, 12, 16, 20時間経過を示している。また、写真左は、Per2 蛋白質の免疫組織染色を、写真右は、DAPI染色 CT0, 4, 8, 12, 16, 20は暗環境へ移行してからの経過時間を、それぞれ示している。
図3に示すデータから以下の事実が判明した。明暗環境から暗環境を維持すると、光刺激には関係なく、Per2 mRNAは増加し、12時間後よりPer2 mRNAは減少した。Per2タンパク質は、約4時間遅れて増減した。すなわち、明暗環境で皮膚のケラチノサイトに時計遺伝子のリズム生じることがわかる。また、直接皮膚への光の刺激なしに、時計遺伝子はリズムを形成していることがわかる。
以上より、ケラチノサイトに日内変動があり、少なくともPer2遺伝子が日内変動をしていることが判明した。また、この日内変動は、皮膚への直接の光刺激で日内変動が起きるのではないことが示されている。
実施例4でも、明環境と暗環境12時間交代で管理したマウスを用いた。Cry1およびCry2のダブルノックアウトマウス(Cry1-/- Cry2-/-)より背の皮膚を調製して、Per2 蛋白質を免疫組織染色した。
図4は、実施例4の結果を示すデータであって、継続暗環境における、Wild typeマウスとCry1-/- Cry2-/-マウスとのケラチノサイトにおけるPer2 蛋白質発現変動を示す図である。
同図において、測定時間ポイントは、暗環境移行後、暗環境を維持し、4時間、16時間である。
同図に示すように、暗環境移行後、暗環境を維持して、16時間が経過すると、Cry1-/- Cry2-/-ではPer2の日内変動が消失した。
この結果から、Cry1またはCry2が、ケラチノサイトの日内変動を制御する重要な遺伝子であることがわかった。
実施例5でも、明環境と暗環境12時間交代で管理したマウスを用いた。測定対象の組織は、陰嚢皮膚の毛根濾胞(hair follicle)である。陰嚢皮膚の毛根濾胞のPer2 蛋白質を免疫組織染色で測定し、hair follicleの核をDAPIで染色した。測定時間ポイントは、暗環境移行後、暗環境を維持し、4時間、16時間である。
図5は、実施例5の結果を示すデータであって、陰嚢皮膚の毛根濾胞(hair follicle)におけるPer2蛋白質の発現変動を示す図である。
同図において、写真左は、Per2 蛋白質を免疫組織染色で測定した状態を示し,写真右は、hair follicleの核をDAPIで染色した状態を示している。
図5に示すデータから、hair follicleで時計遺伝子の日内変動があることがわかった。
実施例6でも、明環境と暗環境12時間交代で管理したマウスを用いた。偽手術(sham-operation)および視交叉上核破壊マウスを暗環境に維持して、実験Aでは、double-plotted behavioral actogram を測定した。実験Bでは、4時間および14時間後の背皮膚におけるPer1, Per2, Dbp, Bmal1遺伝子のmRNAを定量的PCRで測定した。実験Cでは、視交叉上核破壊マウスを明環境に移行し、さら、12時間後に暗環境に移行する系で、開始から2時間後と14時間後の背皮膚におけるPer1, Per2 遺伝子のmRNAを定量的PCRで測定した。
図6は、実施例6の結果を示すデータであって、視交叉上核破壊マウスにおける時計遺伝子日内リズムの消失状態を示す図である。
同図において、Aは、double-plotted behavioral actogram を、Bは、4時間および14時間後の背皮膚におけるPer1, Per2, Dbp, Bmal1遺伝子のmRNA量を、Cは、上記開始から2時間後と14時間後の背皮膚におけるPer1, Per2遺伝子のmRNAを、それぞれ示している。
図6に示すデータから、視交叉上核を破壊すると皮膚の時計遺伝子の日内変動が消失することがわかる。視交叉上核を破壊すると皮膚が光を受けても、受けなくとも皮膚の時計遺伝子の日内変動は起きない。すなわち、視交叉上核の時計遺伝子の日内変動が皮膚の時計遺伝子の日内変動を誘導していることがわかった。
本発明の化粧品素材のスクリーニング方法は、皮膚に塗布する化粧品、経口投与する化粧品の開発に利用することができる。
実施例1の結果を示すデータであって、明暗環境における局所、性別別、皮膚の時計遺伝子発現変動を示す図である。 実施例2の結果を示すデータであって、継続暗環境における、Wild typeマウスと Cry1-/- Cry2-/-マウスの背皮膚におけるPer2およびDbp mRNA発現変動を示す図である。 実施例3の結果を示すデータであって、継続暗環境における、ケラチノサイトにおけるPer2 mRNAおよびPer2蛋白質の発現変動を示す図である。 実施例4の結果を示すデータであって、継続暗環境における、Wild typeマウスとCry1-/- Cry2-/-マウスとのケラチノサイトにおけるPer2 蛋白質発現変動を示す図である。 実施例5の結果を示すデータであって、陰嚢皮膚の毛根濾胞(hair follicle)におけるPer2蛋白質の発現変動を示す図である。 実施例6の結果を示すデータであって、視交叉上核破壊マウスにおける時計遺伝子日内リズムの消失状態を示す図である。

Claims (8)

  1. 皮膚の日内リズムに関連する細胞に、被検試料を接触させる工程(a)と、
    上記工程(a)の後、上記細胞の日内リズムに影響を与える物質を選択する工程(b)と、
    を含む化粧品素材のスクリーニング方法。
  2. 請求項1記載の化粧品素材のスクリーニング方法において、
    上記工程(a)では、上記皮膚の日内リズムに関連する細胞として、ケラチノサイトを用いる、化粧品素材のスクリーニング方法。
  3. 請求項1記載の化粧品素材のスクリーニング方法において、
    上記工程(a)では、上記皮膚の日内リズムに関連する細胞として、毛根濾胞を用いる、化粧品素材のスクリーニング方法。
  4. 請求項1記載の化粧品素材のスクリーニング方法において、
    上記工程(a)では、上記皮膚の日内リズムに関連する細胞として、視交叉上核の初代培養の細胞または細胞株を用いる、化粧品素材のスクリーニング方法。
  5. 請求項1〜4のうちいずれか1つに記載の化粧品素材のスクリーニング方法において、
    上記工程(a)では、皮膚の日内リズムに関連する遺伝子を有する細胞を用いてin vitroスクリーニングする、化粧品素材のスクリーニング方法。
  6. 請求項1〜4のうちいずれか1つに記載の化粧品素材のスクリーニング方法において、
    上記工程(a)では、皮膚の日内リズムに関連する細胞のPer1,Per2,Bmoll,Cry1,Cry2,Dbp,Rev-erbαのうち、少なくともいずれか1つを用いる、化粧品素材のスクリーニング方法。
  7. 請求項6記載の化粧品素材のスクリーニング方法において、
    上記工程(a)では、皮膚の日内リズムに関連する細胞のPer2,Cry1,Cry2のうち、少なくともいずれか1つを用いる、化粧品素材のスクリーニング方法。
  8. 請求項1〜7のうちいずれか1つに記載の化粧品素材のスクリーニング方法において、
    上記工程(a)では、蛍光発色蛋白質との融合遺伝子を導入した細胞を用いる、化粧品素材のスクリーニング方法。
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