JP6729964B2 - 時計遺伝子を指標とするpge2産生抑制剤のスクリーニング方法 - Google Patents
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Description
時計遺伝子の発現調節に関しては研究途上ではあるが、これまでに特定の植物エキス等にBmal1等の時計遺伝子の発現調節機能が存在することが報告されている(特許文献1等)。また、メラノサイトにおける時計遺伝子の発現量の変化を指標として美白素材をスクリーニングする方法も提案されている(特許文献2)。
PGE2産生が高まると炎症が引き起こされて、皮膚組織に大きなダメージが与えられ、
シワやシミ等の皮膚老化が進行する恐れがあるため、皮膚におけるPGE2産生は抑制す
ることが望ましい。
かかる状況に鑑みて、本発明は、PGE2産生抑制剤をスクリーニングする新たな方法
を提供することを課題とする。
ける時計遺伝子の発現量の変動が、PGE2量の産生に影響を及ぼすことを見出した。そ
して、この知見をもとに、時計遺伝子を指標とすることによりPGE2産生抑制剤をスク
リーニングできることに想到し、完成するに至った。
[1]被験物質を細胞に添加する工程、及び
被験物質を添加した細胞での時計遺伝子の発現量が、被験物質を添加しなかった細胞における該時計遺伝子の発現量と比較して変化した被験物質を選択する工程、
を含む、PGE2産生抑制剤のスクリーニング方法。
[2]前記細胞がケラチノサイトである、[1]に記載のスクリーニング方法。
[3]前記時計遺伝子がDec1であって、前記変化がDec1の発現抑制である、[1]又は[2]に記載のスクリーニング方法。
[4]前記時計遺伝子がBmal1であって、前記変化がBmal1の発現亢進である、[
1]又は[2]に記載のスクリーニング方法。
[5]前記PGE2産生抑制剤は紫外線照射時のPGE2産生を抑制する作用を有する、[1]〜[4]のいずれかに記載のスクリーニング方法。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載のスクリーニング方法を行う工程、及び
前記工程により選択された物質を含有させる工程、
を含む、組成物の設計方法。
[7]前記組成物が、美白用、抗炎症用、又は抗シワ用である、[6]に記載の設計方法。
法が提供される。
本発明のスクリーニング方法は、時計遺伝子を指標とする。時計遺伝子は、「概日リズム」と称される約24時間の周期性を生体において維持する機能を有していることが知られており、具体的な遺伝子が複数知られている。本発明のスクリーニング方法において指標とする時計遺伝子は、肌、特にケラチノサイトにおけるPGE2産生機能と何らかの関
係を有する時計遺伝子である。具体的には、Bmal1及びDec1からなる群から選択される時計遺伝子であることが好ましい。しかしながらこれらのものに限定されず、既知の時計遺伝子であって、紫外線を細胞に照射した際又は既知のPGE2産生作用を有する
成分や化合物を細胞に添加した際に、該細胞において発現量が変化する時計遺伝子は、本発明のスクリーニング方法において指標となる時計遺伝子として用いることができる。このように指標とする時計遺伝子を選択する際に用いることができるPGE2産生作用を有
する成分や化合物としては、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)等が挙げられる。
を添加し、該添加により発現量が変化した時計遺伝子をPGE2産生抑制剤のスクリーニ
ング方法の指標として選択するステップ、を含んでもよい。
時計遺伝子とPGE2産生との関係は、時計遺伝子の種類によりその発現量変化の状況が異なる。すなわち本発明のスクリーニング方法では、被験物質を細胞に添加する添加ステップを経ることで、被験物質を添加した細胞での時計遺伝子の発現量が変化した場合に、該時計遺伝子の発現量が変化した被験物質をPGE2産生抑制剤として選択するが、その遺伝子発現の変化は、時計遺伝子の種類に依存することを本発明者らは確認している。
に添加することで、Bmal1の発現亢進が生じた被験物質は、PGE2産生抑制作用を
有する成分として選択できる。
することで、Dec1の発現抑制が生じた被験物質は、PGE2産生抑制作用を有する成
分として選択できる。
PGE2量を低下させる作用、又は、細胞、特にケラチノサイトにおけるPGE2量の上昇を抑制する作用をいう。より好ましくは、紫外線照射時の、細胞、特にケラチノサイトにおけるPGE2量を低下させる作用、又は、細胞、特にケラチノサイトにおけるPGE2量の上昇を抑制する作用をいう。
また、例えば、時計遺伝子によりコードされるタンパク質の細胞内存在量を、常法により定量的に測定して、時計遺伝子の発現量としてもよい。
動植物由来の抽出物は、動物又は植物由来の抽出物自体のみならず、抽出物の画分、精製した画分、抽出物乃至は画分、精製物の溶媒除去物の総称を意味するものとし、植物由来の抽出物は、自生若しくは生育された植物、漢方生薬原料等として販売されるものを用いた抽出物、市販されている抽出物等が挙げられる。
抽出操作は、植物部位の全草を用いるほか、植物体、地上部、根茎部、木幹部、葉部、茎部、花穂、花蕾等の部位を使用することできるが、予めこれらを粉砕あるいは細切して抽出効率を向上させることが好ましい。抽出溶媒としては、水、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、1,3−ブタンジオール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類等の極性溶媒から選択される1種乃至は2種以上が好適なものとして例示することができる。具体的な抽出方法としては、例えば、植物体等の抽出に用いる部位乃至はその乾燥物1質量に対して、溶媒を1〜3
0質量部加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬し、室温まで冷却し後、所望により不溶物及び/又は溶媒除去し、カラムクロマトグラフィー等で分画精製する方法が挙げられる。
PGE2産生が亢進すると、皮膚において炎症が生じ、シワやたるみが生じる原因とな
り得ることが知られているため、本発明のスクリーニング方法により選択されたPGE2
産生抑制剤は、抗炎症用、抗シワ用、抗老化用などの組成物の有効成分として好適に配合することができる。
また、PGE2産生が亢進すると、メラノサイトが活性化され、チロシナーゼによりメ
ラニン産生が亢進し、シミやソバカス、くすみが生じる原因となり得ることが知られているため、本発明のスクリーニング方法により選択されたPGE2産生抑制剤は、美白用組
成物にも有効成分として好適に配合することができる。
て、かかる組成物は、経皮投与される組成物(例えば、化粧料、医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤)や、経口投与/摂取される組成物(例えば、飲食品、医薬部外品、医薬品等の経口組成物)などの態様とすることができる。
また、組成物の剤型は特に限定されない。例えば、化粧料として設計される場合の剤型は、通常知られているローション剤型、乳液剤型、エッセンス剤型、クリーム剤型、粉体含有剤型等が挙げられる。
設計する際、PGE2産生抑制剤の含有量(配合量)は、通常、0.00001質量%以
上、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上であり、通常80質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。上記範囲とすることで、好適にPGE2産生抑制効果を奏する組成物とすることができ
る。
また、該組成物に含有させるPGE2産生抑制剤の種類は、1種類のみでなく2種類以
上であってもよい。
設計する際は、前述した態様や用途に応じて、適宜必要な成分を配合するよう、設計してよい。
例えば、化粧料組成物として設計する場合は、通常化粧料に使用される成分を広く配合することが可能であり、また、その剤型や用途についても、何ら限定されない。以下、主に化粧料に適用される場合に化粧料中に含有させることができる成分について説明する。
複して配合してもよい。
美白成分としては、一般的に化粧料に用いられているものであれば特に限定はない。例えば、4−n−ブチルレゾルシノール、アスコルビン酸グルコシド、3−О−エチルアスコルビン酸、トラネキサム酸、アルブチン、1−トリフェニルメチルピペリジン、1−トリフェニルメチルピロリジン、2−(トリフェニルメチルオキシ)エタノール、2−(トリフェニルメチルアミノ)エタノール、2−(トリフェニルメチルオキシ)エチルアミン、トリフェニルメチルアミン、トリフェニルメタノール、トリフェニルメタン及びアミノジフェニルメタン、N−(p−トルイル)システイン酸、N−(p−メトキシベンゾイル)
システイン酸、パンテノール、パントテン酸等が挙げられる。更にその他の美白成分として、N−ベンゾイル−セリン、N−(p−メチルベンゾイル)セリン、N−(p−エチルベンゾイル)セリン、N−(p−メトキシベンゾイル)セリン、N−(p−フルオロベンゾイル)セリン、N−(p−トリフルオロメチルベンゾイル)セリン、N−(2−ナフトイル)セリン、N−(4−フェニルベンゾイル)セリン、N−(p−メチルベンゾイル)セリンメチルエステル、N−(p−メチルベンゾイル)セリンエチルエステル、N−(2−ナフトイル)セリンメチルエステル、N−ベンゾイル−O−メチルセリン、N−(p−メチルベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(p−メチルベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(2−ナフトイル)−O−メチルセリン等が挙げられる。
化粧料における美白成分の含有量は、通常0.01〜30質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、0.3〜5質量%がより好ましい。
化粧料におけるシワ改善成分の含有量は、通常0.01〜30質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
茶エキス、リンゴエキス、ルイボス茶エキス、レイシエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンギョウエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス、ワレモコウエキス等のエキスが好ましいものとして挙げられる。
化粧料中における動植物由来抽出物の含有量は、通常0.01〜30質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
食品中における動植物抽出物の含有量は、通常0.01〜80質量%であり、0.1〜50質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましい。
化粧料中における抗炎症成分の含有量は、通常0.01〜30質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
極性油としては、合成エステル油として、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、イソノナン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ペンタンエリスリトール、トリ−2−エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパンを挙げることができる。
ン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、
ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等) 、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコ
ール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、等が挙げられる。
トリアゾール、4−メトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類
、等が挙げられる。
以下の手順で、ケラチノサイトにおける種々の時計遺伝子の発現をsiRNAで阻害することにより、UV刺激によるPGE2産生量への時計遺伝子の影響を検討した。
ケラチノサイト基本培地(Humedia-KG2、クラボウ社製)を用いて、24ウェルプレー
トにヒト由来正常ケラチノサイト培養細胞を6.0×104個/ウェルになるように播種
し、37℃、二酸化炭素5%中にて培養した。翌日、すべてのウェルについて、以下の条件で培地交換した。すなわち3ウェルには新しいケラチノサイト培養用完全培地(コントロール)500μLを添加し、残りのウェルには最終濃度4〜6nMとなるよう調製した時計遺伝子のsiRNAを含むケラチノサイト培養用完全培地500μLを3ウェルずつ添加した。発現を阻害する時計遺伝子としては、Bmal1、Dec1、Per2、及びCry1を対象とした。24時間培養後、全てのウェルについて、最終濃度100nMとなるようにデキサメタゾン(和光純薬工業社製)を添加したケラチノサイト基本培地(Humedia-KG2、クラボウ社製)500μLに交換した。2時間培養後、PBS(リン酸緩衝
生理食塩水)で洗浄し、紫外線ランプを用いて50mJ/cm2となるように紫外線を照
射した。照射後の細胞を、新しいケラチノサイト培養用完全培地に交換してさらに24時間培養した。培養上清を回収して試料とし、ヒトPGE2 Biotrak Easy ELISA キット(GEヘルスケア社製)を用いてPGE2量を測定した。コントロール群にて産生されるPGE2量に対する時計遺伝子発現抑制群のPGE2量を百分率で算出し、PGE2産生量(%)とした。
Dec1の発現阻害により、コントロールと比較して紫外線照射時のPGE2産生量が
低下することが確認された。また、Bmal1の発現阻害により、コントロールと比較して紫外線照射時のPGE2産生量が増加することが確認された。
一方、Per2及びCry1の発現を阻害しても、紫外線照射時のPGE2産生量には
影響しないことが認められた。
培養細胞では、デキサメタゾン含有培地で2時間培養することにより生体リズムがリセットされる。この反応を用い、以下の手順で、ケラチノサイトにおける生体リズムへの植物抽出エキスの作用を評価し、時計遺伝子Dec1の発現量を指標としてPGE2産生抑
制剤のスクリーニングを行った。
ケラチノサイト基本培地(Humedia-KG2、クラボウ社製)を用いて、24ウェルプレー
トにヒト正常ケラチノサイト(クラボウ社製)を6.0×104個/ウェルになるように
播種した。5%二酸化炭素条件下、37℃で24時間培養を行った。その後、すべてのウェルについて、以下の条件で培地交換した。すなわち3ウェルには新しいケラチノサイト培養用完全培地500μLを添加し(コントロール)、残りのウェルには被験物質として最終濃度1質量%となるよう調製した種々の植物抽出エキスを含むケラチノサイト培養用完全培地500μLを3ウェルずつ添加した。24時間培養後、全てのウェルについて、最終濃度100nMとなるようにデキサメタゾン(和光純薬工業社製)を添加したケラチノサイト培養用完全培地(クラボウ社製)500μLに交換した。2時間培養後、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で洗浄し、被験物質毎に3ウェルをまとめて回収したケラチノ
サイトにRNeasyMiniKit(QIAGEN社製)のRLT bufferを添加して、mRNAを抽出した。
抽出したmRNAを用いてQuantiTect Primer Assay(QIAGEN社製)を用いてRT−PC
Rを行いDec1のmRNA量を測定した。Dec1のmRNA発現量は、β−actinを内在性コントロールとして比較CT法により算出し、コントロールのケラチノサイトにおけるDec1のmRNA発現量を「1」とした場合の相対値で示した。Dec1の発現がコントロールより低い場合に、Dec1の発現抑制作用があると判断した。
結果を表1に示す。アマチャエキス及びクチナシエキスにDec1発現抑制作用が認められた。
以下の手順で、時計遺伝子Dec1の発現を抑制する植物抽出エキスの、PGE2産生
抑制効果を評価した。
ケラチノサイト基本培地(Humedia-KG2、クラボウ社製)を用いて、24ウェルプレー
トにヒト由来正常ケラチノサイト培養細胞を6.0×104個/ウェルになるように播種
し、37℃、二酸化炭素5%中にて培養した。翌日、すべてのウェルについて、以下の条件で培地交換した。すなわち3ウェルには新しいケラチノサイト培養用完全培地(コントロール)500μLを添加し、残りのウェルには被験物質として最終濃度1質量%となるよう調製した植物抽出エキスを含むケラチノサイト培養用完全培地500μLを3ウェルずつ添加した。24時間培養後、全てのウェルについて、最終濃度100nMとなるようにデキサメタゾン(和光純薬工業社製)を添加したケラチノサイト基本培地(Humedia-KG2、クラボウ社製)500μLに交換した。2時間培養後、PBS(リン酸緩衝生理食塩
水)で洗浄し、紫外線ランプを用いて50mJ/cm2となるように紫外線を照射した。
照射後の細胞を、新しいケラチノサイト培養用完全培地(コントロール)、または植物抽出エキスを含むケラチノサイト基本培地(Humedia-KG2、クラボウ社製)にて、さらに2
4時間培養した培養上清を試料とし、ヒトPGE2 Biotrak Easy ELISA キット(GEヘルスケア社製)を用いてPGE2量を測定した。コントロール群にて産生されるPGE2量に対する植物抽出エキス添加群のPGE2量を百分率で算出し、PGE2産生量(%)とした。
表2に結果を示す。アマチャエキス及びクチナシエキスは、紫外線によるPGE2産生
抑作用を有することがわかった。
mRNA量を測定した時計遺伝子をBmal1とした以外は実施例1と同様の手順を行い、PGE2産生抑制剤のスクリーニングを行った。培養ヒト正常ケラチノサイトにおけ
るBmal1の発現がコントロールより高い場合に、Bmal1の発現亢進作用があると判断した。
結果を表3に示す。ムラサキシキブ果実エキス及びアッケシソウエキスにBmal1発現亢進作用が認められた。
試験例1と同様の手順で、実施例2でBmal1の発現亢進作用が認められた植物エキスの、PGE2産生抑制効果を評価した。
表4に結果を示す。ムラサキシキブ果実エキス及びアッケシソウエキスは、紫外線によるPGE2産生抑作用を有することがわかった。
法が提供される。これにより、抗炎症用組成物等の設計・製造に有用となり得る素材の探索が可能になるので、産業上有用である。
Claims (4)
- 被験物質をケラチノサイトに添加する工程、及び
被験物質を添加したケラチノサイトでの時計遺伝子の発現量が、被験物質を添加しなかったケラチノサイトにおける該時計遺伝子の発現量と比較して変化した被験物質を選択する工程、
を含み、
前記時計遺伝子がDec1であって、前記変化がDec1の発現抑制である、又は
前記時計遺伝子がBmal1であって、前記変化がBmal1の発現亢進である、PGE2産生抑制剤のスクリーニング方法。 - 前記PGE2産生抑制剤は紫外線照射時のPGE2産生を抑制する作用を有する、請求項1に記載のスクリーニング方法。
- 請求項1又は2に記載のスクリーニング方法を行う工程、及び
前記工程により選択された物質を含有させる工程、
を含む、組成物の設計方法。 - 前記組成物が、美白用、抗炎症用、又は抗シワ用である、請求項3に記載の設計方法。
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