JP4632558B2 - インフレーション製膜装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性ポリマー、特に光学的異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性ポリマー(以下、これを熱可塑性液晶ポリマーと称したり、また、単に液晶ポリマーと略称したりすることがある)からなるフィルム(以下、これを熱可塑性液晶ポリマーフィルムと称することがある)の成形に好適に用いられるインフレーション製膜方法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、機械的強度、電気特性、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性などに優れた性能を示す。したがって、熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、特に電子分野において、絶縁材料、プリント基板材料、積層材料などとして注目され、その他の分野でも、耐熱性が要求される用途、例えぱ耐熱積層材料用途など種々の用途が期待されている。
【0003】
熱可塑性液晶ポリマーフィルムを構成する熱可塑性液晶ポリマーは、製膜装置に備えたダイのスリットから吐出させると、その分子が吐出方向に配向し、そのままでは液晶ポリマー分子の大部分がほとんど同一方向(フィルムの長手方向、すなわちMD方向)に配向し、得られる熱可塑性液晶ポリマーフィルムはMD方向に裂け易い。しかも、MD方向とこれと直角方向のTD方向とで熱膨張係数や熱寸法変化率が異なるなどの物性に差異がある熱可塑性液晶ポリマーフィルムとなる。言い換えれば、MD方向とTD方向とで物性が異なることを異方性、逆にほぼ等しいことを等方性と称すれば、前記熱可塑性液晶ポリマーフィルムは異方性となる。
【0004】
この異方性フィルムは、MD方向とTD方向とで例えば熱寸法変化率や熱膨張係数が異なるので、回路基板特に精密回路基板の絶縁材料として用いる場合、この回路基板の製造途中で、回路基板に反りや歪みを生じたり、回路基板上の回路配線の位置ずれを生じたりするために実用に供し得ない。
【0005】
この異方性を緩和するために従来より種々の製膜方法が提案されている。その一つは、(a)環状スリットを介して相互に反対方向に回転する可動ダイリップを用いて溶融液晶ポリマーを吐出させるいわゆる回転ダイを用いるインフレーション製膜方法である(例えば特公昭62−33931号、特開昭53−88060号、特開昭63−199622号、特開平1−130930号、特表平3−504948号、特開平2−89616号、特表平4−506779号各公報)。また、(b)Tダイで横方向に磁場をかける製膜方法(例えば特開昭63−242513号公報)、(c)Tダイなどを用いて得られる異方性液晶ポリマーフィルムを合成樹脂フィルムとラミネートし、このラミネート体を横延伸(MD方向よりも大きい延伸倍率でTD方向に延伸)する後加工方法(例えば特開平7−323506号、特開平7−251438号、特開平9−131789号各公報)、(d)静止環状ダイを用いるインフレーション製膜方法(例えば特開平2−3430号、特開平2−88212号各公報)などがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記(a)の方法では、フィルムの表面と裏面における液晶ポリマー分子の配向方向が交差して厚さ方向の全体として配向バランスが保たれているが、これらの方法に用いられる特殊なダイから吐出された溶融液晶ポリマーフィルムは、ダイから吐出された直後の溶融状態から冷却され、半溶融状態を経てさらに冷却されて固化に至るフィルム形成過程において、バブルのネック部とエクスパンド部の表面および裏面で収縮する方向が交差する。したがって、これら表面と裏面において方向の異なる収縮応力が発生し、ネック部とエクスパンド部が捩れるように応力が作用して、形状が不安定で変わり易いので、長時間安定した製膜が困難である。しかも、実用に供することができるような膜厚分布が良好な平坦なフィルムが得られにくい。
【0007】
また、上記(b)の方法では、磁場による作用は小さくて、分子の配向角が効果的に変化するために要する時間が長く、実際の製膜に利用できる程度の著しい異方性緩和は期待できず、実用に供し得る等方性フィルムを得ることは困難である。
【0008】
さらに、上記(c)の方法は、異方性緩和という目的においては有効で、実用に供し得る等方性フィルムを得ることができるが、生産効率の点で問題がある。
【0009】
上記(d)の方法は、異方性を緩和するために、溶融液晶ポリマーを環状ダイからチューブ状に吐出してバブルを形成したあと、このバブルにガス内圧をかけることにより横方向に延伸させる方法であるが、完全に異方性を解消するためには、横方向の延伸倍率を大きくする必要がある。しかしながら、横延伸倍率を大として異方性を解消しようとすると、バブルが不安定になって安定した横延伸倍率を保つことが難しく、均一なフィルムを安定して得ることができない。
【0010】
本発明者らは、インフレーション製膜方法において、異方性が緩和されたフィルムを安定して得ることができる製膜方法について鋭意研究を行った結果、次のことを見い出した。芳香族ポリエステルなどの剛直性の高い樹脂を前記従来の方法で製膜する場合、バブル内の空気圧を高める必要があるので、得られるフィルムに径変動が起こる。また、樹脂溶融張力、樹脂溶融温度、樹脂吐出量、フィルム引取り速度、冷却エアー能力などの経時的変動によりバブルの径変動が激しく発生するときに、分子配向度の変化が起こる。さらには、フィルムの分子配向度とバブルの横延伸倍率の変化量との間には、下記の式に示す相関関係があって、バブル径を制御しながら製膜すれば、得られるフィルムの分子配向度を小として異方性を緩和できることを知った。
【0011】
つまり、インフレーション製膜方法においては、以下の関係式がある。
フィルム膜厚をtとし、ダイのギャップをTとすれば、
トータル延伸倍率T/t=Dr(縦延伸倍率)×B1 (横延伸倍率) (1)
Dr=V/V0 (引き取り速度/樹脂吐出速度) (2)
B1 =D/D0 (バブル直径/ダイ直径) (3)
の関係があるので、式(3)の横延伸倍率B1 を大とすることにより、分子配向度を小として異方性の緩和されたフィルムとなる。
【0012】
また、異方性を確認するには、分子の配向の度合いから判断して分子配向度SOR(Segment Orientation Ratio )を測定する手法が簡便な方法である。ここで、分子配向度SORとは、分子を構成するセグメントについての分子配向の度合いを与える指標をいい、従来のMOR(Molecular Orientation Ratio )とは異なり、物体の厚さを考慮した値である。この分子配向度SORは、以下のように算出される。
【0013】
まず、周知のマイクロ波分子配向度測定機を用いて、液晶ポリマーフィルムをマイクロ波の進行方向にフィルム面が垂直になるようにマイクロ波共振導波管中に挿入し、フィルムを透過したマイクロ波の電場強度(マイクロ波透過強度)を測定する。
そして、前記測定値に基づいて次式により、m値(屈折率と称する)を算出する。
m=(Zo/△z)×[1−νmax/νo]
ここで、Zoは装置定数、△zは物体の平均厚、νmaxはマイクロ波の振動数を変化させたとき、最大のマイクロ波透過強度を与える振動数、νoは平均厚ゼロのとき(すなわち物体がないとき)の最大マイクロ波透過強度を与える振動数である。
次に、マイクロ波の振動方向に対する物体の回転角が0°のとき、つまりマイクロ波の振動方向と、物体の分子が最もよく配向されている方向であって、最小マイクロ波透過強度を与える方向とが合致しているときのm値をmoとし、また回転角が90°のときのm値をm90として、これらのmo/m90により分子配向度SORを算出する。
【0014】
さらに、バブル径と分子配向度SORの関係を図6に示す。同図のように、横延伸により膨張されるバブルの径と分子配向度SORは、互いに負の比例関係にあるので、バブル径を制御すれば、異方性が緩和されたフィルムが得られる。
【0015】
本発明者らは、以上のような知見に基づき、さらに研究を行った結果、たとえ剛直な硬い熱可塑性液晶ポリマーを用いる場合でも、異方性が緩和された均一なフィルムを安定して得ることができるに至った。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明のインフレーション製膜装置は、バブルの横延伸倍率の変化量を測定するバブル径測定装置と、フィルムの分子を構成するセグメントについての分子配向の度合いである分子配向度を測定する分子配向度測定装置と、前記バブル径測定装置で測定される横延伸倍率の変化量と前記分子配向度測定装置で測定されるフィルムの分子配向度とに基づき、前記バブル内へのエアー供給量を調整してバブル径を制御するレギュレータを備えている。
【0017】
以上のように、バブルの横延伸倍率の変化量とフィルムの分子配向度との関係に基づき、前記バブル内へのエアー供給量を調整して、このバブル径を制御することにより、異方性を緩和したフィルムが安定して得られる。
【0018】
以上の方法や装置には、熱可塑性液晶ポリマーが好適に用いられる。このような剛直な硬いフィルムとなる熱可塑性液晶ポリマーを用いる場合でも、フィルムの異方性が緩和されたフィルムが安定して得られる。
【0019】
本発明の液晶ポリマーフィルムは、その適用分野によって必要とされる分子配向度SORは当然異なるが、SOR≧1.50の場合は液晶ポリマー分子の配向の偏りが著しいためにフィルムが硬くなり、かつMD方向に裂け易い。逆にSOR≦0.70の場合はTD方向に裂け易い。加熱時の反りがないなどの形態安定性が必要とされるプリント配線板や多層プリント配線板などの場合には、0.90≦SOR≦1.3であることが望ましい。特に加熱時の反りをほとんど無くす必要がある精密プリント配線板や多層プリント配線板などの場合には、0.97≦SOR≦1.03であることが望ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は、インフレーション製膜装置の全体構造を示す概略図である。同図の製膜装置は、押出機1の樹脂吐出方向前部側にマンドレル2とダイ3を取り付けている。このダイ3からは高温の溶融液晶ポリマーがチューブ状に押出され、冷却されながら内方空間に空気や窒素などの気体が供給され、内圧により膨張されてバブル4となり、その上部側が左右一対のロール5によりシート状に折り畳まれて、複数のガイドロール6を経てターレットワインダー7により熱可塑性液晶ポリマーフィルム10として引き取られる。
【0021】
図2は前記バブル4の拡大図である。このバブル4は、樹脂吐出方向に順に、ネック部41、エクスパンド部42、シリンダー部43に分かれている。前記ネック部41とは、ダイ3の環状スリットから吐出された溶融液晶ポリマーが形成する径の比較的小さいチューブ状の部分である。前記バブル4は、気体が導入されることによって外周方向に膨張して径を増大させる力を受け、実際に径が増大する領域をエクスパンド部42と称している。高温の溶融液晶ポリマーは、前記ネック部41とエクスパンド部42の領域を経て冷却固化され、もはや径が増大しない領域をシリンダー部43と称している。
【0022】
図1,2のように、前記バブル4におけるシリンダー部43の外周囲に、バブル4の横延伸倍率の変化量を測定するバブル径測定装置8を配置するとともに、前記ターレットワインダ−7の近くに、これに巻き取られる直前の液晶ポリマーフィルム10の分子配向度SORを測定する分子配向度測定装置9を配置する。そして、前記バブル径測定装置8と分子配向度測定装置9をCPU11(バブル径測定値とSOR測定値から最適なSORとなるようにバブル径を調整する装置)の入力側に接続し、このCPU11の出力側にはレギュレータ12と、これにより開閉制御されて、前記バブル4内へのエアー供給量を調整してバブル径を調整するバルブ13を接続する。
【0023】
図3は、バブル径測定装置8の一実施形態を示す平面図である。同図の測定装置8は、レーザービーム出射口81と、これと対向するレーザービーム受光口82を有するレーザー変位センサー83の2基を有し、これらを前記バブル4を遮るように2ヵ所に対向配置し、遮られたレーザー光の強度を測定することにより、バブル4のAとBの変動を測定する。バブル4の径は以下の式で求められる。
バブル径=A+D+B
【0024】
図4は、分子配向度測定装置9の一実施形態を示す概念図である。同図の測定装置9は、マイクロ波発信器91とマイクロ波受信器92および共振器93を備え、この共振器93の内部に前記フィルム10をマイクロ波の進行方向に対し垂直となるように挿入通過させて、フィルム10を透過したマイクロ波の電場強度(マイクロ波透過強度)を測定する。そして、この電場強度に基づいて、前述した式
m=(Zo/△z)×[1−νmax/νo]
により、分子配向度SORを算出する。
【0025】
次に、以上の製膜装置によりフィルム10を成形するときの制御態様について説明する。図5は自動製膜するときのフローチャートを示している。まず、成形するフィルム10の分子配向度SOR値と許容値△SOR値が設定され(S1)、前記分子配向度測定装置9により測定された成形されるフィルム10のSOR値が読み取られる(S2)。次に、前記分子配向度測定装置9により測定されたフィルム10のSOR値と前記設定SOR値とが比較される(S3)。
【0026】
そして、測定SOR値が設定SOR値よりも大きいか小さい場合には、図6に示すバブル径とSOR値の関係に基づいて設定されたバブル径(S4)と、前記バブル径測定装置8により実際に測定されたフィルム10のバブル径(シリンダー径)(S5)とが比較される(S6)。このとき、設定バブル径よりも測定バブル径が大きいか小さい場合には、CPU11からの出力信号によりレギュレータ12を介してバルブ13が開閉制御され、前記バブル4内へのエアー供給量が調整されて、バブル径が前記ステップS4で設定された最適なバブル径と同一になるように内圧が調整される(S7)。例えば、バブル径が設定バブル径よりも小さい場合は、バブル内圧を高くし、逆に設定バブル径よりも大きい場合は、バブル内圧を低くする。なお、前記ステップS3とS6において、各比較値が同一のときには、ステップS2からの動作を繰り返して行う。
【0027】
本発明に使用される熱可塑性液晶ポリマーは特に限定されるものではないが、その具体例として、以下に例示する(イ)から(ニ)に分類される化合物およびその誘導体から導かれる公知のサーモトロピック液晶ポリエステルおよびサーモトロピック液晶ポリエステルアミドを挙げることができる。但し、光学的に異方性の溶融相を形成し得るポリマーを得るためには、各々の原料化合物の組み合わせには適当な範囲があることは言うまでもない。
【0028】
(イ)芳香族または脂肪族ジヒドロキシ化合物(代表例は表1参照)
【0029】
【表1】
【0030】
(ロ)芳香族または脂肪族ジカルボン酸(代表例は表2参照)
【0031】
【表2】
【0032】
(ハ)芳香族ヒドロキシカルボン酸(代表例は表3参照)
【0033】
【表3】
【0034】
(ニ)芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシアミンまたは芳香族アミノカルボン酸(代表例は表4参照)
【0035】
【表4】
【0036】
これらの原料化合物から得られる熱可塑性液晶ポリマーの代表例として表5に示す構造単位を有する共重合体(a)〜(e)を挙げることができる。
【0037】
【表5】
【0038】
また、本発明に使用される熱可塑性液晶ポリマーとしては、フィルムの所望の耐熱性および加工性を得る目的においては、約200〜約400℃の範囲内、とりわけ約250〜約350℃の範囲内に融点を有するものが好ましいが、フィルム製造の点からは、比較的低い融点を有するものが好ましい。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。なお、以下の実施例において、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの融点は以下の方法により測定した。
【0040】
融点
示差走査熱量計を用いて、フィルムの熱挙動を観察して得た。つまり、供試フィルムを20℃/分の速度で昇温して完全に溶融させた後、溶融物を50℃/分の速度で50℃まで急冷し、再び20℃/分の速度で昇温した時に現れる吸熱ピークの位置を、フィルムの融点として記録した。
【0041】
実施例1
図1に示す本発明の製膜装置を使用し、図5のような制御を行いながらインフレーションフィルムを製造した。原料として、p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の共重合物で、融点280℃の光学的異方性の溶融物を形成する性質を有する芳香族ポリエステルのペレットを用い、これを予め150℃の温度で6時間加熱し、60mmφの押出機を用いて290℃で溶融押出し、直径25mmの環状スリット(間隙0.5mm)からチューブ状に押出した。このチューブ状の溶融物の外表面を冷却しながら、内方空間に空気を供給して、内圧により膨張させてバブル4を形成した。このとき、前記バブル径測定装置8と分子配向度測定装置9による測定結果に基づき、レギュレータ12を介してバルブ13を開閉制御しながら、バブル4の内圧を予め設定した最適なバブル径と同一になるように調整した。そして、前記バブル4をシート状に折り畳みながら、ターレットワインダー7により引き取って平均膜厚は50μmの熱可塑性液晶ポリマーフィルム10を得た。
【0042】
比較例1
前記バブル径測定装置8と分子配向度測定装置9に基づくバブルの制御を行うことなく、その他は実施例1と同様にしてインフレーション製膜を行った。
【0043】
図7は、上記実施例1と比較例1により得られるフィルムの分子配向度SORの変化を示している。同図から明らかなように、比較例1ではSORが激しく変動するのに対し、実施例1ではSORの変動が極めて小さい。
【0044】
また、表6には、上記実施例1と比較例1によるインフレーション製膜時間32時間における分子配向度SORの測定結果を示している。同表においては、測定された分子配向度SORのMax(最大値)、Min(最小値)、Ave(平均値)、MaxーMin(最大値と最小値の差)、(MaxーMin)/Ave(差の平均値)をそれぞれ示している。
【0045】
【表6】
【0046】
同表で示したように、上記比較例1では最大値と最小値の差が0.025で、また差の平均値も0.025であるのに対し、上記実施例1では最大値と最小値の差が0.011で、また差の平均値も0.011となって非常に小さい。以上のことから、実施例1によれば、異方性が緩和されたフィルムが長時間安定して得られることが理解できる。
【0047】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、たとえ剛直な硬い熱可塑性液晶ポリマーを用いる場合でも、異方性が緩和されたフィルムを安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるインフレーション製膜装置の全体構造を示す概略図である。
【図2】バブルの拡大図である。
【図3】バブル径測定装置の一実施形態を示す平面図である。
【図4】分子配向度測定装置の一実施形態を示す概念図である。
【図5】自動製膜するときの制御態様を示すフローチャートである。
【図6】バブル径と分子配向度SORの関係を示す特性図である。
【図7】実施例1と比較例1により得られるフィルムの分子配向度SORの変化を示す特性図である。
【符号の説明】
4…バブル、8…バブル径測定装置、9…分子配向度測定装置、10…円筒状延伸フィルム、12…レギュレータ。
Claims (2)
- 原料樹脂をチューブ状に溶融押出して、このチューブ状の溶融物を冷却しながらその内方空間に気体を供給して膨張させることによりバブルを形成し、このバブルをシート状に折り畳みながら引き取って円筒状延伸フィルムを得るインフレーション製膜装置において、
前記バブルの横延伸倍率の変化量を測定するバブル径測定装置と、
前記フィルムの分子を構成するセグメントについての分子配向の度合いである分子配向度を測定する分子配向度測定装置と、
前記バブル径測定装置で測定される横延伸倍率の変化量と前記分子配向度測定装置で測定されるフィルムの分子配向度とに基づき、前記バブル内へのエアー供給量を調整してバブル径を制御するレギュレータを備えていることを特徴とするインフレーション製膜装置。 - 前記原料樹脂が熱可塑性液晶ポリマーである請求項1に記載のインフレーション製膜装置。
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