JP4216401B2 - 熱可塑性液晶ポリマーフィルムの押出成形方法および押出成形装置 - Google Patents

熱可塑性液晶ポリマーフィルムの押出成形方法および押出成形装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、環状ダイを用いた押出成形方法および押出成形装置に関する。特に光学的異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性ポリマー(以下、これを熱可塑性液晶ポリマーと称する)を押出成形する場合に、熱可塑性液晶ポリマーからなるフィルム(以下、これを熱可塑性液晶ポリマーフィルムと称する)の形状均一性を向上させた押出成形方法および押出成形装置に関する。ここで、形状均一性とは膜厚均一性およびウエーブ状のしわやふくれ等がないなどの特性をいう。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性液晶ポリマーは、(1) 金属箔と直接熱接着できること、(2) 耐熱性であること、(3) 低吸湿性であること、(4) 熱寸法安定性に優れること、(5) 湿度寸法安定性に優れること、(6) 高周波特性に優れること、(7) 有毒なハロゲン、燐、アンチモン等の難燃剤を含有しなくても難燃性であること、(8) 耐放射線性に優れること、(9) 熱膨張係数が制御できること、(10)低温でもしなやかであること、などの特長を有するために、電気絶縁材、耐熱性材、回路基板材、ガスバリア材などの理想的な材料の一つであるとされている。
【0003】
そして、そのフィルムまたはシートの実用化が強く要望されてきた。しかしながら、熱可塑性液晶ポリマーは溶融粘度が低いためにフィルム形成が難しく、液晶ポリマー分子が溶融状態でダイから押出されるときに、吐出方向の一方向に配向し易いために、一方向に裂け易い(割れ易い)という欠点を有しており、その実用化が阻まれてきた。
【0004】
近年、液晶ポリマー分子の一方向配向性を崩し、一方向に裂け易いという欠点を解消して実用的なフィルムを提供する方法が提案されている。例えば、(1)環状スリットを介して相互に反対方向に回転する可動ダイリップを用いて溶融液晶ポリマーを吐出せしめる、いわゆる回転ダイを用いるインフレーション製膜方法(特表平3−504948号、特表平4−506779号)、(2)多層Tダイの各層の吐出方向を交差させる製膜方法(特開平2−89617号、特開昭63−264323号)、(3)Tダイで横方向に磁場をかける製膜方法(特開昭63−242513号)、(4)Tダイなどを用いて得られる異方性液晶ポリマーフィルムを、合成樹脂フィルムとラミネートし、該ラミネート体を横延伸(MD方向よりも大きい延伸倍率でTD方向に延伸)する後加工方法(特開平7−323506号、特開平7−251438号、特開平9−131789号)、(5)静止環状ダイを用いるインフレーション製膜方法(特開平2−3430号、特開平2−88212号)などである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記(1)、(2)および(3)は、環状または直線状のスリットを有するダイから吐出される溶融状態の液晶ポリマー分子の配向を、ダイ内部で二方向に配向せしめることにより、得られるフィルムの液晶ポリマー分子が一方向に配向しないようにする方法である。上記(4)は、ダイから吐出して得られる一方向に液晶ポリマー分子が配向したフィルムを、後加工によって再配向することにより、一方向の分子配向を崩す方法である。上記(5)は、ダイから吐出して得られる一方向に液晶ポリマー分子が配向した未固化状態(半溶融状態)のフィルムにおいて、一方向の分子配向を崩す方法である。
【0006】
本発明は、上記(5)の方法に主に関連している。上記(5)の方法は、いわゆるインフレーション製膜方法として知られる方法で、他の方法に比較して、製膜装置が最も単純であり、製膜速度も大きく、安価に製膜できるために、工業的に熱可塑性液晶ポリマーフィルムを製造するために適した方法である。
【0007】
上記のインフレーション製膜装置は、図1(a)に示すように、押出機1によって溶融され押し出された熱可塑性液晶ポリマーを、マンドレル2において混合・均一化し、環状のスリットを有する環状ダイ3から吐出して、冷却固化し、バブル4を形成させた後、熱可塑性液晶ポリマーフィルム8を得るものである。このフィルム8は複数のガイドローラによりターレットワインダー9へと案内される。また、上記バブル4は、図1(b)に示すように、熱可塑性液晶ポリマーの流れ方向に沿って、環状ダイ3直後のネック7と、バブル内部のガス圧による膨張が行われるエクスパンド6と、冷却固化が十分になされ、これ以上バブルの径が変動しない領域のシリンダー5とからなる。
【0008】
かかる装置において、得られる熱可塑性液晶ポリマーフィルムの形状を均一(例えば、膜厚が均一、ウエーブ状のしわやふくれ等がないこと)にするためには、熱可塑性液晶ポリマーに及ぼす装置各部における作用を均一にしなければならないことは当然である。
【0009】
本発明者らは、形状が均一な熱可塑性液晶ポリマーフィルムを得るために、鋭意研究し、押出機1からマンドレル2に至る経路における溶融液晶ポリマー流の断面方向の温度、流速の均一性を図り、マンドレル2における混合・均一化を向上させ、環状ダイ3の円周方向の温度むらを解消し、かつ環状ダイ3の環状スリットのギャップの円周方向の均一性を図り、ネック7およびエクスパンド6の内側および外側に作用する冷却風の温度、流速の円周方向の均一性を図ることにより、実用に供し得る程度の均一な形状の熱可塑性液晶ポリマーフィルムを提供することに成功した。
【0010】
しかし、環状ダイを用いて得られる熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、一般に精密製膜法として知られるTダイ法によるポリエステルフィルムなどのフィルムに比較して形状均一性が劣るために、一層の形状均一性の向上が望まれていた。
【0011】
そこで、溶融または半溶融液晶ポリマー流において、流れの断面形状が円管形状または環状である部分において、樹脂温度、溶融樹脂流速、冷却風の温度、冷却風の流速などの断面円周方向における均一化を図ってきた。これらの技術改善によって、事実、得られる熱可塑性液晶ポリマーフィルムの形状均一化はなされたのであるが、それでもなお、該フィルムの高度な均一化は困難であった。
【0012】
これは、従来から、液晶ポリマー分子の分子配向が円周方向に均一でさえあれば、得られる熱可塑性液晶ポリマーフィルムの形状均一性を阻害することはないと信じられてきたことに起因する。さらに具体的に言えば、分子配向が一方向に傾いているのであれば、その傾き角が円周方向で同一の傾き角であればよいとしてきたことによる。しかし、詳細な検討と考察の結果、事実は、わずか傾く(後述する分子配向度SORが1.45未満)だけで、得られる熱可塑性液晶ポリマーフィルムの形状均一性が阻害されることが判明したのである。以下、なぜ、環状ダイから吐出される溶融液晶ポリマーの分子配向が吐出流から傾けば、得られる熱可塑性液晶ポリマーフィルムの形状均一性を低下させるかを説明する。
【0013】
溶融液晶ポリマーは、冷却されると、液晶ポリマー分子の配向方向よりも配向方向に対し直交する方向に強く収縮する。したがって、図2に示すように、液晶ポリマー分子の配向方向21に対して直交する方向で、ネック7に対しては斜め向きの冷却収縮応力23が発生する。そして、この冷却収縮応力23がネック7に捻じれ形状を与える原因となる。
【0014】
つまり、ネック7の上端側は下端側に対し冷却されて固くなりつつあり、しかも上端はエクスパンド6に固定されて回転できないのに対し、下端側は高温溶融状態にあって柔らかいので、冷却収縮応力23により円周方向への回転力を受ける。このとき、溶融液晶ポリマーは、回転力の作用に完全に追従するほどには柔らかくないので、ネック7に、タオルを絞ったような形状の歪みが生じるのである。ネック7の形状が歪んだままエクスパンド6でバブルが膨張され、シリンダー5で形状が固定されたフィルムが形成されるのであるから、得られるフィルムも形状歪みを残していて当然である。この形状歪みがフィルムの形状均一性低下の原因となる。
【0015】
そこで、より詳細な観察・測定・考察を重ね、ついに、特別な工夫をした環状ダイを用いて、熱可塑性液晶ポリマーの吐出流に平行に液晶ポリマー分子を配向させることにより、高度な形状均一性を得ることができることを見い出した。
【0016】
すなわち、本発明は、液晶ポリマー分子の一方向配向からくる配向方向の引き裂き易さを解消し、高度に形状の均一な熱可塑性液晶ポリマーフィルムを得るためには、熱可塑性液晶ポリマーフィルム中の液晶ポリマー分子の配向を多方向にすべきであるという従来の概念に反して、環状ダイから吐出された溶融液晶ポリマーの分子配向を、溶融液晶ポリマーの吐出流の方向に平行にすべきであるとする思想に基づくものである。
【0017】
本発明の目的は、環状ダイを用いて形状均一性を向上させた熱可塑性液晶ポリマーフィルムの製造が可能な押出成形方法および押出成形装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するために、熱可塑性液晶ポリマーを、環状ダイの外子と内子間に形成された間隙Gを有する環状スリットから吐出させてなる熱可塑性液晶ポリマーフィルムの押出成形方法において、前記環状スリットの間隙G(mm)を0.2≦G≦1.0の範囲内に設定し、前記外子の内壁通路長さLout(mm)と内子の外壁通路長さLin(mm)とから、(Lout+Lin)/2(mm)で計算される前記環状スリットの間隙Gの通路長さL(mm)(以下、ランド長さと称する)を、前記外子の吐出部内径Dout(mm)で割ったL/Doutを、5≦L/Dout≦15の範囲内に設定して、前記環状ダイの環状スリットに沿った円周方向のすべての方向において、吐出直後の熱可塑性液晶ポリマーの分子配向度SORを1.45以上1.55以下に制御することを特徴とする熱可塑性液晶ポリマーフィルムの押出成形方法およびそれに使用する押出成形装置を提供するものである。
【0019】
ここで、分子配向度SOR(Segment Orientation Ratio )とは、分子を構成するセグメントについての分子配向の度合いを与える指標をいい、従来のMOR(Molecular Orientation Ratio )とは異なり、物体の厚さを考慮した値である。環状ダイからの吐出直後とは、図1(b)において、ネック7の下端に当たる部分である。
【0020】
本発明によれば、環状ダイの環状スリットの内周壁と外周壁とで囲まれた間隙通路における溶融させた熱可塑性液晶ポリマー(本明細書において、これを溶融液晶ポリマーと称する)の走行距離を十分に長くすることによって、内周壁および外周壁に起因する溶融液晶ポリマー流に平行な剪断力を与えて、溶融液晶ポリマー分子を剪断力の方向に配向させることにより、溶融液晶ポリマー分子を吐出流と平行に配向させるので、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの形状均一性を向上させることができる。
【0021】
環状スリットの間隙Gが0.2mm未満では環状スリットを構成する要素である外子と内子の工作精度が悪くなり、環状スリットを通過するポリマー流れに偏流が発生し易くなり、フィルム膜厚精度が悪い。環状スリットの間隙Gが1.0mmを越える場合には、間隙が広すぎるので、本発明の効果が十分に発揮されず、外観が悪いフィルムしか得られない。
【0022】
ランド長さLを外子の吐出部内径Doutで割った値が5未満であると、ランド長さLが短いので、この部分で分子の配向を変えるという本発明の効果が十分に発揮されず、分子配向度SORを本発明の範囲に制御することができない。ランド長さLを外子の吐出部内径Doutで割った値が15を越えると、装置が大型となり設備費用がかかるだけでなく、環状ダイ前での樹脂圧力が極めて高くなり装置耐圧を越える危険性が増し実用的ではない。
【0023】
本発明において、吐出直後の熱可塑性液晶ポリマーの分子配向度SORを、環状ダイの環状スリットに沿った円周方向のすべての方向において、1.45以上1.55以下に制御するためには、ランド長さLを十分な長さにしたり、環状スリットの間隙を適正な範囲にするといった機械設備的な方法だけでなく、成形加工条件である溶融液晶ポリマーの粘度や流速を適正にすることによってより一層の効果を得ることができる。溶融液晶ポリマーの粘度や流速を適正にする一つの尺度として、環状ダイ前部の位置での樹脂圧力P(kg/cm2 )が、20≦P≦120の範囲内であることが好ましい。
【0024】
環状ダイ前部の位置での樹脂圧力Pが20(kg/cm2 )未満である場合には、本発明の効果が十分に発揮されない傾向にあり、また樹脂圧力Pを120(kg/cm2 )を越えて大きくしても耐圧限界に近づいて危険になるだけで、本発明の効果は向上しないので、いずれの場合も好ましくない。
【0025】
本発明において、吐出流と平行になっている熱可塑性液晶ポリマー分子の分子配向は、分子配向度SORが1.5に近い(1.45以上1.55以下)ことで規定できる。この分子配向度SORは、以下のように算出される。
【0026】
まず、周知のマイクロ波分子配向度測定機において、環状ダイから吐出直後の熱可塑性液晶ポリマー(後述のギャップ吐出部のポリマー)から得られたフィルムを、マイクロ波の進行方向にフィルム面が垂直になるように、マイクロ波共振導波管中に挿入し、該フィルムを透過したマイクロ波の電場強度(マイクロ波透過強度)が測定される。そして、この測定値に基づいて、次式により、m値(屈折率と称する)が算出される。
m=(Zo/△z)X[1−νmax /νo]
ただし、Zoは装置定数、△zは物体の平均厚、νmax はマイクロ波の振動数を変化させたとき、最大のマイクロ波透過強度を与える振動数、νoは平均厚ゼロのとき(すなわち物体がないとき)の最大マイクロ波透過強度を与える振動数である。
【0027】
次に、マイクロ波の振動方向に対する物体の回転角が0°のとき、つまり、マイクロ波の振動方向と、物体の分子が最もよく配向されている方向であって、最小マイクロ波透過強度を与える方向とが合致しているときのm値をm0 、回転角が90°のときのm値をm90として、分子配向度SORはm0 /m90により算出される。
【0028】
また、本発明に使用される熱可塑性液晶ポリマーの原料は特に限定されるものではないが、その具体例として、以下に例示する(1)から(4)に分類される化合物およびその誘導体から導かれる公知のサーモトロピック液晶ポリエステルおよびサーモトロピック液晶ポリエステルアミドを挙げることができる。但し、光学的に異方性の溶融相を形成し得るポリマーを得るためには、各々の原料化合物の組み合わせには適当な範囲があることは言うまでもない。
【0029】
(1)芳香族または脂肪族ジヒドロキシ化合物(代表例は表1参照)
【0030】
【表1】
Figure 0004216401
【0031】
(2)芳香族または脂肪族ジカルボン酸(代表例は表2参照)
【0032】
【表2】
Figure 0004216401
【0033】
(3)芳香族ヒドロキシカルボン酸(代表例は表3参照)
【0034】
【表3】
Figure 0004216401
【0035】
(4)芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシアミンまたは芳香族アミノカルボン酸(代表例は表4参照)
【0036】
【表4】
Figure 0004216401
【0037】
これらの原料化合物から得られる熱可塑性液晶ポリマーの代表例として表5に示す構造単位を有する共重合体(a)〜(e)を挙げることができる。
【0038】
【表5】
Figure 0004216401
【0039】
また、本発明に使用される熱可塑性液晶ポリマーとしては、フィルムの所望の耐熱性および加工性を得る目的においては、約200〜約400℃の範囲内、とりわけ約250〜約350℃の範囲内に融点を有するものが好ましいが、フィルム製造の観点からは、比較的低い融点のものが好ましい。したがって、より高い耐熱性や融点が必要な場合には、一旦得られたフィルムを加熱処理することによって、所望の耐熱性や融点にまで高めることが有利である。加熱処理の条件の一例を説明すれば、一旦得られたフィルムの融点が283℃の場合でも、260℃で5時間加熱すれば、融点は320℃になる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図3は、本発明に用いる環状ダイの一例を示している。このダイ3は、マンドレル2(その上部位置を点線で示す)のポリマー流れ方向の下流側に組付けるもので、外子31と内子32を備えている。この外子31と内子32間には、溶融液晶ポリマーを吐出させる環状スリット36が形成されている。内子32の中心には、エアー通路33が貫通して形成されている。
【0041】
このダイ3は、環状スリット36の間隙G(mm)を0.2≦G≦1.0の範囲内に設定されている。また、外子31の内壁における間隙(ギャップ)導入部34から間隙(ギャップ)吐出部35までの内壁通路長さLout(mm)と、内子32の外壁における間隙(ギャップ)導入部34から間隙(ギャップ)吐出部35までの外壁通路長さLin(mm)とから、(Lout+Lin)/2で計算される環状スリット36の間隙Gの通路長さL(mm)(ランド長さ)を、外子32の吐出部内径Dout(mm)で割ったL/Doutを、5≦L/Dout≦15の範囲内に設定されている。このような形状を有するダイ3を用いることにより、ダイ3の環状スリット36に沿った円周方向のすべての方向において、吐出直後の熱可塑性液晶ポリマーの分子配向度SORを1.45以上1.55以下に制御することができる。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を具体的に実施例を用いて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
外子の吐出部内径25mm、内子の吐出部外径24mm、外子の内周壁と内子の外周壁で囲まれた間隙0.5mm、ランド長さが320mmである環状ダイを用いて、p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の共重合物で、融点が280℃の熱可塑性液晶ポリマーを、環状ダイ前部の位置での樹脂圧力が100kg/cm2 になるような吐出量で溶融押出しし、横延伸倍率4.77倍、縦延伸倍率2.09倍の条件でバブル内エアー導入部から空気を吹き込んでインフレーション製膜した。製膜中はウエーブ状のしわのない安定した運転ができ、平均膜厚50μm、膜厚分布±6%の形状均一性に優れた熱可塑性液晶ポリマーフィルムを得た。なお、製膜中に押出機および引取機を同時に停止することにより得られた、上記環状ダイから吐出した直後のギャップ吐出部における熱可塑性液晶ポリマーの分子配向度SORは1.55であった。
【0043】
〔実施例2〕
実施例1において、環状ダイ前部の位置での樹脂圧力が30kg/cm2 になるような吐出量で溶融押出しした以外は、実施例1と同様にして平均膜厚50μm、膜厚分布±7%の形状均一性に優れた熱可塑性液晶ポリマーフィルムを得た。実施例1と同様にして測定した吐出直後の熱可塑性液晶ポリマーの分子配向度SORは1.45であった。
【0044】
〔実施例3〕
実施例1において、外子の吐出部内径40mm、内子の吐出部外径39mm、外子の内周壁と内子の外周壁で囲まれた間隙0.5mm、ランド長さが240mmである環状ダイを用いて、p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の共重合物で、融点が280℃の熱可塑性液晶ポリマーを、環状ダイ前部の位置での樹脂圧力が90kg/cm2 になるような吐出量で溶融押出しした以外は、実施例1と同様にして平均膜厚50μm、膜厚分布±7%の形状均一性に優れた熱可塑性液晶ポリマーフィルムを得た。実施例1と同様にして測定した吐出直後の熱可塑性液晶ポリマーの分子配向度SORは1.50であった。
【0045】
〔実施例4〕
外子の吐出部内径40mm、内子の吐出部外径38mm、外子の内周壁と内子の外周壁で囲まれた間隙1.0mm、ランド長さが240mmである環状ダイを用いて、p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の共重合物で、融点が280℃の熱可塑性液晶ポリマーを、環状ダイ前部の位置での樹脂圧力が90kg/cm2 になるような吐出量で溶融押出しし、横延伸倍率0.98倍、縦延伸倍率1.13倍の条件でパイプ成形した。得られたパイプは、ウエーブせず、真っ直ぐなパイプで、平均厚み0.9mm、膜厚分布±5%の形状均一性に優れた熱可塑性液晶ポリマーパイプを得た。なお、製膜中に押出機および引取機を同時に停止することにより得られた、上記環状ダイから吐出した直後のギャップ吐出部における熱可塑性液晶ポリマーの分子配向度SORは1.51であった。
【0046】
〔比較例1〕
実施例1において、外子の吐出部内径25mm、内子の吐出部外径24mm、外子の内周壁と内子の外周壁で囲まれた間隙0.5mm、ランド長さが400mmである環状ダイを用いた以外は実施例1と同様にして、インフレーション製膜したところ、製膜時にウエーブ状のしわが観察され、得られた熱可塑性液晶ポリマーフィルムの膜厚分布は±11%であった。なお、製膜中に押出機および引取機を同時に停止することにより得られた、上記環状ダイから吐出した直後の熱可塑性液晶ポリマーの分子配向度SORは1.35であった。
【0047】
〔比較例2〕
実施例1において、外子の吐出部内径25mm、内子の吐出部外径24mm、外子の内周壁と内子の外周壁で囲まれた間隙0.5mm、ランド長さが120mmである環状ダイを用いた以外は実施例1と同様にして、インフレーション製膜したところ、製膜時にウエーブ状のしわが観察され、得られた熱可塑性液晶ポリマーフィルムの膜厚分布は±12%であった。なお、製膜中に押出機および引取機を同時に停止することにより得られた、上記環状ダイから吐出した直後の熱可塑性液晶ポリマーの分子配向度SORは1.65であった。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、熱可塑性液晶ポリマーの吐出流と平行に液晶ポリマー分子を配向することにより、フィルムの形状均一性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インフレーション製膜を行う場合の概略説明図で、(a)は同製膜装置の側面図、(b)は得られるバブルを説明する側面図である。
【図2】ネックにおける収縮応力を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る熱可塑性液晶ポリマーフィルムの押出成形装置に用いる環状ダイを示す断面図である。
【符号の説明】
3…環状ダイ、31…外子、32…内子、36…環状スリット、37…ダイ前部、G…間隙、Lin…内子の外壁通路長さ、Lout…外子の内壁通路長さ、L…間隙の通路長さ(ランド長さ)。

Claims (3)

  1. 光学的異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性ポリマー(以下、これを熱可塑性液晶ポリマーと称する)を、環状ダイの外子と内子間に形成された環状スリットから吐出させてなるフィルム(以下、これを熱可塑性液晶ポリマーフィルムと称する)の押出成形方法において、
    前記環状スリットの間隙G(mm)を0.2≦G≦1.0の範囲内に設定し、
    前記外子の内壁通路長さLout(mm)と内子の外壁通路長さLin(mm)とから、(Lout+Lin)/2で計算される前記環状スリットの間隙Gの通路長さL(mm)(以下、ランド長さと称する)を、前記外子の吐出部内径Dout(mm)で割ったL/Doutを、5≦L/Dout≦15の範囲内に設定して、
    前記環状ダイの環状スリットに沿った円周方向のすべての方向において、吐出直後の熱可塑性液晶ポリマーの分子配向度SORを1.45以上1.55以下に制御することを特徴とする熱可塑性液晶ポリマーフィルムの押出成形方法。
  2. 請求項1において、
    前記環状ダイ前部の位置での樹脂圧力P(kg/cm2 )を、20≦P≦120の範囲内に設定したことを特徴とする熱可塑性液晶ポリマーフィルムの押出成形方法。
  3. 熱可塑性液晶ポリマーを、環状ダイの外子と内子間に形成された環状スリットから吐出させてなる熱可塑性液晶ポリマーフィルムの押出成形装置において、
    前記環状スリットの間隙G(mm)を0.2≦G≦1.0の範囲内に設定し、
    前記外子の内壁通路長さLout(mm)と内子の外壁通路長さLin(mm)とから、(Lout+Lin)/2で計算される前記環状スリットの間隙Gの通路長さL(mm)(ランド長さ)を、前記外子の吐出部内径Dout(mm)で割ったL/Doutを、5≦L/Dout≦15の範囲内に設定したことを特徴とする熱可塑性液晶ポリマーフィルムの押出成形装置。
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