JP4091209B2 - ポリマーアロイおよびそのフィルム - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性ポリマー(以下、これを熱可塑性液晶ポリマーと称する)を用いたポリマーアロイに関する。加えて、加工工程の通過性にとって重要な端裂強度を向上させたポリマーアロイからなるフィルムに関する。かかるフィルムは、熱可塑性液晶ポリマーからなるフィルム(以下、これを熱可塑性液晶ポリマーフィルムと称する)の優れた特性を損なうことなく、優れた加工工程通過性を有するので、電気絶縁材や電気回路基板材として有用である。ここで、端裂強度とは、フィルム等の端部に生じる欠損や破れに対する強度をいう。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性液晶ポリマーは、(1) 金属と直接熱接着できること、(2) 耐熱性であること、(3) 低吸湿性であること、(4) 熱寸法安定性に優れること、(5) 湿度寸法安定性に優れること、(6) 高周波特性に優れること、(7) 有毒なハロゲン、燐、アンチモン等の難燃剤を含有しなくても難燃性であること、(8) 耐放射線性に優れること、(9) 熱膨張係数が制御できること、(10) 低温でもしなやかであること、などの特長を有するために、電気絶縁材、耐熱性材、回路基板材、ガスバリア材などの理想的な材料の一つであるとされている。そして、そのフィルムまたはシートの実用化が強く要望されていた。
【0003】
ところで、従来の熱可塑性液晶ポリマーの研究開発の視点は、特に、流動方向における良好な耐引張性ならびに優れた流動性に着目したものであった。例えば、熱可塑性液晶ポリマーから溶融紡糸によって極めて細いながらも優れた耐引張性を有する繊維が製造され、この繊維から織布や編布が製造され使用されている。このような特性は熱可塑性液晶ポリマーの異方性に起因するものであるが、平面状フィルムに適用する場合には、この異方性は多くの場合に致命的な欠点であった。その最大の欠点は、液晶ポリマーフィルムが、成形ダイからの吐出方向に裂けやすい(割れやすい)ということであり、平面状フィルムの実用化が阻まれてきた。
【0004】
近年、熱可塑性液晶ポリマーの異方性を崩し、一方向に裂けやすいという欠点を解消した実用的なフィルムの製法が種々提案されている。その手法は、(a) 製膜装置および/または製膜方法の改良、(b) 原料樹脂である熱可塑性液晶ポリマーへの添加剤による改質、に大別することができる。
【0005】
製膜装置および/または製膜方法の改良手法としては、(1)環状スリットを介して相互に反対方向に回転する可動ダイリップを用いて溶融液晶ポリマーを吐出せしめる、いわゆる回転ダイを用いるインフレーション製膜方法(特表平3−504948号、特表平4−506779号)、(2)多層Tダイの各層の吐出方向を交差させる製膜方法(特開平2−89617号、特開昭63−264323号)、(3)Tダイで横方向に磁場をかける製膜方法(特開昭63−242513号)、(4)Tダイなどを用いて得られる異方性液晶ポリマーフィルムを、合成樹脂フィルムとラミネートし、該ラミネート体を横延伸(MD方向よりも大きい延伸倍率でTD方向に延伸)するラミネート体延伸法という後加工方法(特開平7−323506号、特開平7−251438号、特開平9−131789号)、(5)静止環状ダイを用いるインフレーション製膜方法(特開平2−3430号、特開平2−88212号)などが提案されている。
【0006】
上記(1)、(2)、(3)は、環状または直線状のスリットを有するダイから吐出される溶融状態の液晶ポリマー分子の配向を、ダイ内部で2方向に配向せしめることにより、得られるフィルムの液晶ポリマー分子が一方向に配向しないようにする方法である。上記(4)は、ダイから吐出して得られる一方向に液晶ポリマー分子が配向したフィルムを、後加工によって再配向することにより、一方向の分子配向を崩す方法である。また、上記(5)は、ダイから吐出して得られる一方向に液晶ポリマー分子が配向した未固化状態(半溶融状態)のフィルムにおいて、一方向の分子配向を崩す方法である。
【0007】
一方、原料樹脂である熱可塑性液晶ポリマーへの添加剤による改質方法を例示すると、無機物を添加する手法も含めると枚挙にいとまが無いが、液晶コポリマーとポリアリールエステルとのポリマーアロイによる手法が、米国特許第4,792,587号や特開平6−49338号に示されている。特に、特開平6−49338号では、液晶芳香族ポリエステル45〜97重量%と、非晶質ポリアリールエステル3〜55重量%(ポリエステルの総量を基準にして)とから成るポリマーアロイが開示されているが、その手法の本質は、多量に添加した非晶質ポリアリールエステルで希釈することにより、液晶芳香族ポリエステルが有する異方性の発現を抑制したものであり、非晶質ポリアリールエステルの添加量が増えるほど、異方性は改良されるものの、液晶芳香族ポリエステルの優れた特性である機械的性質(例えば、引張り弾性率や曲げ応力および曲げ弾性率)が弱くなるだけでなく、本発明の目的に関連性があると思われる引裂強さの低下が発生することが、その実施例1に報告されている。
【0008】
これら熱可塑性液晶ポリマーの異方性を崩す手法は、熱可塑性液晶ポリマーフィルムまたはシートの特定の方向への裂けやすさ(割れやすさ)という欠点を解消できるものの、絶対的な強度(端裂強度)の向上は達成されていないのが実状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この端裂強度の改善は、熱可塑性液晶ポリマーを用いた加工製品の特性向上のみならず、その加工工程の通過性を改良することができるので、製造工程上の重要な意義を持っている。端裂強度が低い場合に発生する工程上の問題点を例示すると、▲1▼フィルムの幅方向端部に欠損や破れが発生し易く、熱可塑性液晶ポリマーフィルムをRoll To Rollで加工した時に掛かる張力によって、このような欠損や破れを起点としてフィルムが破断する、▲2▼熱可塑性液晶ポリマーフィルムを裁断する時の裁断刃や押え治具による端裂応力に耐え切れずにフィルムが破断する、▲3▼熱可塑性液晶ポリマーフィルムの開孔部をネジ止めする際にフィルムに掛かる回転歪み応力に耐え切れずにフィルムが破断する、等の重大な問題点を挙げることができる。
【0010】
本発明の目的は、熱可塑性液晶ポリマーの優れた特性を損なうことなく、端裂強度の向上を図ることができるポリマーアロイを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
熱可塑性液晶ポリマーの端裂強度を向上させるために、本発明者らは、より精緻な実験・観察・考察を重ねた結果、p−ヒドロキシ安息香酸構造単位と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸構造単位からなる光学的異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性樹脂と、非晶性ポリアリレートとを組み合わせて二軸配向ポリマーアロイフィルムを形成するにあたって、前記非晶性ポリアリレートの割合を、ポリマーの総量を基準にして1.0〜2.5重量%とすることにより、その目的が達成できることを見い出した。本発明は、非晶性ポリマーのブレンド比率が、当分野に従事する研究開発者が想定するよりも極めて少量であるという意外な知見に基づいている。
【0012】
本発明によれば、特定の割合で組み合わされたp−ヒドロキシ安息香酸構造単位と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸構造単位からなる光学的異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性樹脂と、非晶性ポリアリレートとから形成される二軸配向ポリマーアロイフィルムにおいて、前記非晶性ポリアリレートの割合を、ポリマーの総量を基準にして1.0〜2.5重量%とすることによって、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの優れた特性を損なうことなく、全く非晶性ポリマーを添加しない場合と比較して、端裂強度を2.5倍以上に向上させることができる。
【0013】
本発明に使用される熱可塑性液晶ポリマーの原料は特に限定されるものではないが、その具体例として、以下に例示する(イ)から(ニ)に分類される化合物およびその誘導体から導かれる公知のサーモトロピック液晶ポリエステルおよびサーモトロピック液晶ポリエステルアミドを挙げることができる。但し、光学的に異方性の溶融相を形成し得るポリマーを得るためには、各々の原料化合物の組み合わせには適当な範囲があることは言うまでもない。
【0014】
とりわけ、p−ヒドロキシ安息香酸構造単位と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸構造単位からなる共重合物であり、p−ヒドロキシ安息香酸構造単位が60〜90モル%となるように合成した共重合物が、本発明の効果が特に発揮される熱可塑性液晶ポリマーとして例示される。
【0015】
(イ)芳香族または脂肪族ジヒドロキシ化合物(代表例は表1参照)
【0016】
【表1】
Figure 0004091209
【0017】
(ロ)芳香族または脂肪族ジカルボン酸(代表例は表2参照)
【0018】
【表2】
Figure 0004091209
【0019】
(ハ)芳香族ヒドロキシカルボン酸(代表例は表3参照)
【0020】
【表3】
Figure 0004091209
【0021】
(ニ)芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシアミンまたは芳香族アミノカルボン酸(代表例は表4参照)
【0022】
【表4】
Figure 0004091209
【0023】
これらの原料化合物から得られる熱可塑性液晶ポリマーの代表例として表5に示す構造単位を有する共重合体(a)〜(e)を挙げることができる。
【0024】
【表5】
Figure 0004091209
【0025】
また、本発明に使用される熱可塑性液晶ポリマーとしては、フィルムの所望の耐熱性および加工性を得る目的においては、約200〜約400℃の範囲内、とりわけ約250〜約350℃の範囲内に融点を有するものが好ましいが、フィルム製造の観点からは、比較的低い融点のものが好ましい。したがって、より高い耐熱性や融点が必要な場合には、一旦得られたフィルムを加熱処理することによって、所望の耐熱性や融点にまで高めることが有利である。加熱処理の条件の一例を説明すれば、一旦得られたフィルムの融点が283℃の場合でも、260℃で5時間加熱すれば、融点は320℃になる。
【0026】
本発明で使用される非晶性ポリマーとしては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリカーボネート、ポリエチレンイソフタレート、ポリアリレートなどの非晶性を有するポリマーを例示することができる。
【0027】
とりわけ、本発明に使用される熱可塑性液晶ポリマーとのブレンドが均一であり、いわゆるポリマーアロイとしての安定性(押出成形での分散均一性や長期熱安定性などの特性)の点で、芳香族ジカルボン酸単位とジフェノール単位とから構成される非晶性ポリアリレートが好ましい。さらに、使用する熱可塑性液晶ポリマーに近接した融点を持つように調整する目的で、非晶性ポリアリレートを構成する芳香族ジカルボン酸として、イソフタル酸もしくはテレフタル酸またはイソフタル酸とテレフタル酸との混合物を用いることが好ましい。
【0028】
非晶性ポリアリレートを構成するジフェノール単位としては、入手の容易性からビスフェノールを用いることが好ましい。このような非晶性ポリアリレートとしては、特に限定されるわけではないが、ユニチカ株式会社製のUポリマーや米国のセラニーズ社製のデュレルをその一例として挙げることができる。
【0029】
本発明のポリマーアロイは、1種以上の熱可塑性液晶ポリマーと1種以上の非晶性ポリマーとを含むことができる。本発明のポリマーアロイ中の非晶性ポリマーの割合は、1.0〜2.9重量%であり、熱可塑性液晶ポリマーの割合は97.1〜99.0重量%である。非晶性ポリマーの割合が1.0重量%未満であると、十分な端裂強度が発現されず、本発明の目的が達成できない。一方、2.9重量%よりも多量に用いると、端裂強度が逆に低下するとともに、熱可塑性液晶ポリマーの優れた特長である電気特性、低吸湿性、湿度寸法安定性、熱膨張係数制御性、等の物性低下が発生する。非晶性ポリアリレートの割合としては、2〜2.5重量%が好ましい。
【0030】
また、本発明のポリマーアロイは、熱可塑性ポリマーの公知の方法によって混練・造粒することができるが、非晶性ポリマーの量が少ないので、安定した混練状態を提供するには、二軸式スクリュー混練設備を使用したり、混練部に逆流機構を備えたスクリューや、混練部の圧力、温度を高める工夫をしたスクリューを備えた混練設備を使用するのが好ましい。
【0031】
本発明において、上記のポリマーアロイから、前述した公知の方法またはその組合せの手段を利用することによって、ポリマーアロイフィルムを製造することができる。製造方法としては、例えば、周知のTダイ製膜延伸法、ラミネート体延伸法、インフレーション法等が工業的に有利である。特にインフレーション法では、フィルムの機械軸方向(以下、MD方向と略す)だけでなく、これと直交する方向(以下、TD方向と略す)にも応力が加えられるため、MD方向とTD方向における機械的性質および熱的性質のバランスのとれた二軸配向フィルムを容易に得ることができる。
【0032】
また、フィルムのMD方向だけでなく、TD方向にも応力を加える方法として、(1)環状ダイの環状スリットの内周壁と外周壁で囲まれたギャップ空間における溶融液晶ポリマーの走行距離を十分に長くして、内周壁および外周壁に起因する溶融液晶ポリマー流れに平行な剪断力を与える方法、(2)回転ダイによって、溶融液晶ポリマー流れに斜め方向への応力を与える方法、(3)溶融液晶ポリマー流れを混合・均一化させるマンドレルにおいて、例えば、(3−1)斜め格子状に配列した半球を多数配置したり、(3−2)マンドレル内壁に設けられたスパイラル溝の巻き方向と逆のスパイラル溝をマンドレル外壁に設けるなどの工夫を施したマンドレルを用いて液晶ポリマーを配向する方法などを用いることができる。
【0033】
上記の二軸配向性は、二軸配向ポリマーアロイフィルムの分子配向度SORを指標として用いることができるが、分子配向度SORを1.3以下とすることが好ましい。二軸配向ポリマーアロイフィルムは、上記のMD方向とTD方向における機械的性質および熱的性質のバランスが良好であるので、より実用性が高い。
【0034】
ここで、分子配向度SOR(Segment Orientation Ratio )とは、分子を構成するセグメントについての分子配向の度合いを与える指標をいい、従来のMOR(Molecular Orientation Ratio )とは異なり、物体の厚さを考慮した値である。この分子配向度SORは、以下のように算出される。
【0035】
まず、周知のマイクロ波分子配向度測定機において、二軸配向ポリマーアロイフィルムを、マイクロ波の進行方向にフィルム面が垂直になるように、マイクロ波共振導波管中に挿入し、該フィルムを透過したマイクロ波の電場強度(マイクロ波透過強度)が測定される。そして、この測定値に基づいて、次式により、m値(屈折率と称する)が算出される。
m=(Zo/△z)X[1−νmax /νo]
ただし、Zoは装置定数、△zは物体の平均厚、νmax はマイクロ波の振動数を変化させたとき、最大のマイクロ波透過強度を与える振動数、νoは平均厚ゼロのとき(すなわち物体がないとき)の最大マイクロ波透過強度を与える振動数である。
【0036】
次に、マイクロ波の振動方向に対する物体の回転角が0°のとき、つまり、マイクロ波の振動方向と、物体の分子が最もよく配向されている方向であって、最小マイクロ波透過強度を与える方向とが合致しているときのm値をm0 、回転角が90°のときのm値をm90として、分子配向度SORはm0 /m90により算出される。
【0037】
なお、本発明の予期せぬ効果として、上記インフレーション法において製膜安定性が改良できる結果を得ることができた。すなわち、環状ダイから押出された溶融樹脂が膨張と冷却を受けながら固化することにより、形成されるバブル(環状ダイ近傍のチューブ状フィルム)の横揺れが防止され、変位量が少なくなり、安定した製膜が維持された。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を具体的に実施例を用いて説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、以下の実施例において、融点、膜厚、バブル揺れ幅および端裂強度の評価は以下の方法により行った。
(1)融点
示差走査熱量計を用いて、熱挙動を観察して得た。すなわち、原料を20℃/分の速度で昇温して完全に溶融させた後、溶融物を50℃/分の速度で50℃まで急冷し、再び20℃/分の速度で昇温した時に現れる吸熱ピークの位置を、融点として記録した。
(2)膜厚
デジタル厚み計(株式会社ミツトヨ製)を用い、得られたフィルムをTD方向に1cm間隔で測定し、中央部および端部から任意に選んだ10点の平均値を膜厚とした。
(3)バブル揺れ幅
ダイから押出された溶融樹脂のバブルが膨張を完了した位置から、MD方向に5cm下流の位置におけるバブル端部のTD方向の変位量を測定し、バブル揺れ幅とした。変動幅が5mm以下の場合を優良、10〜5mmを良好、10mm以上を不良とした。
(4)端裂強度
得られたフィルムから、幅10mm、長さ200mmの試料を5本採取して、JIS C2318に準じて、10mm/分の速度で引張って引き裂けた時の値を測定した。
【0039】
〔実施例1〕
p−ヒドロキシ安息香酸75モル%と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸25モル%の共重合物で融点が285℃の熱可塑性液晶ポリマーを98重量%、非晶性ポリマーであるポリアリレート樹脂(ユニチカ株式会社製、Uポリマー)を2重量%になるように混合し、二軸押出機で溶融混練しながら15kg/時で押出し、連続式ペレタイザーで切断してポリマーアロイ樹脂を得た。次いで、ダイクリアランス500μm、アウターリップ内径40mm、インナーリップ外径39mm、ダイランド部長さ20mmのインフレーションダイより吐出量9Kg/時で溶融押出し、ドラフト比=5.2、ブロー比=3.2の条件で延伸し、厚み30μmの二軸配向ポリマーアロイフィルムを得た。インフレーション成形中のバブルの横揺れは6mmと少なく良好であった。得られた二軸配向ポリマーアロイフィルムの分子配向度SORは1.03であり、端裂強度は4.2kg/cmであった。これらの結果を表6に示す。
【0040】
【表6】
Figure 0004091209
【0041】
〔実施例2〕
熱可塑性液晶ポリマーの量を97.5重量%とし、ポリアリレート樹脂の量を2.5重量%とした以外は、実施例1と同様にして、厚み30μmの二軸配向ポリマーアロイフィルムを得た。インフレーション成形中のバブルの横揺れは3mmと極めて少なく、優良であった。得られた二軸配向ポリマーアロイフィルムの分子配向度SORは1.02、端裂強度は4.8kg/cmであった。これらの結果を表6に示す。
【0043】
〔比較例1〕
熱可塑性液晶ポリマーの量を100重量%(すなわち、ポリアリレート樹脂をまったく混合しないで)使用した以外は、実施例1と同様にして、厚み30μmの二軸配向熱可塑性液晶ポリマーフィルムを得た。インフレーション成形中のバブルの横揺れは12mmと大きく、不良であった。得られた二軸配向熱可塑性液晶ポリマーフィルムの分子配向度SORは1.05、端裂強度は1.2kg/cmであった。これらの結果を表6に示す。
【0044】
〔比較例2〕
熱可塑性液晶ポリマーの量を95重量%とし、ポリアリレート樹脂の量を5重量%とした以外は、実施例1と同様にして、厚み30μmの二軸配向ポリマーアロイフィルムを得た。インフレーション成形中のバブルの横揺れは7mmと少なく、良好であった。得られた二軸配向ポリマーアロイフィルムの分子配向度SORは1.03、端裂強度は2.6kg/cmであった。これらの結果を表6に示す。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、熱可塑性液晶ポリマーの優れた特性を損なうことなく、非晶性ポリマーを少量添加することによって、全く非晶性ポリマーを添加しない場合と比較して、端裂強度を2.5倍以上に向上させることができる。

Claims (2)

  1. 光学的異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性ポリマーと、非晶性ポリマーとからなることを特徴とする二軸配向ポリマーアロイフィルムであって、
    前記熱可塑性ポリマーは、p−ヒドロキシ安息香酸構造単位と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸構造単位からなるとともに、p−ヒドロキシ安息香酸構造単位が60〜90モル%である共重合物であり、および
    前記非晶性ポリマーは、非晶性ポリアリレートであるとともに、その割合が、ポリマーの総量を基準にして1.0〜2.5重量%であるフィルム。
  2. 請求項1において、前記二軸配向ポリマーアロイフィルムの分子配向度(SOR)が1.3以下であるフィルム。
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