JP2000290398A - 熱可塑性液晶ポリマーフィルムの押出成形方法および押出成形装置 - Google Patents

熱可塑性液晶ポリマーフィルムの押出成形方法および押出成形装置

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JP2000290398A
JP2000290398A JP11102006A JP10200699A JP2000290398A JP 2000290398 A JP2000290398 A JP 2000290398A JP 11102006 A JP11102006 A JP 11102006A JP 10200699 A JP10200699 A JP 10200699A JP 2000290398 A JP2000290398 A JP 2000290398A
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稔 小野寺
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Abstract

(57)【要約】 【課題】環状ダイを用いて得られる熱可塑性液晶ポリマ
ーフィルムの形状均一性の向上を図ることができる熱可
塑性液晶ポリマーフィルムの押出成形方法および押出成
形装置を提供する。 【解決手段】環状ダイ3の環状スリット36の間隙G
(mm)を0.2≦G≦1.0の範囲内に設定し、外子
31の内壁通路長さLout(mm)と内子32の外壁
通路長さLin(mm)とから、(Lout+Lin)
/2で計算される環状スリット36の間隙Gの通路長さ
L(mm)(ランド長さ)を、外子31の吐出部内径D
out(mm)で割ったL/Doutを、5≦L/Do
ut≦15の範囲内に設定して、環状ダイ3の環状スリ
ット36に沿った円周方向のすべての方向において、吐
出直後の熱可塑性液晶ポリマーの分子配向度SORを
1.45以上1.55以下に制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環状ダイを用いた
押出成形方法および押出成形装置に関する。特に光学的
異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性ポリマー(以下、
これを熱可塑性液晶ポリマーと称する)を押出成形する
場合に、熱可塑性液晶ポリマーからなるフィルム(以
下、これを熱可塑性液晶ポリマーフィルムと称する)の
形状均一性を向上させた押出成形方法および押出成形装
置に関する。ここで、形状均一性とは膜厚均一性および
ウエーブ状のしわやふくれ等がないなどの特性をいう。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性液晶ポリマーは、(1) 金属箔と
直接熱接着できること、(2) 耐熱性であること、(3) 低
吸湿性であること、(4) 熱寸法安定性に優れること、
(5) 湿度寸法安定性に優れること、(6) 高周波特性に優
れること、(7) 有毒なハロゲン、燐、アンチモン等の難
燃剤を含有しなくても難燃性であること、(8) 耐放射線
性に優れること、(9) 熱膨張係数が制御できること、(1
0)低温でもしなやかであること、などの特長を有するた
めに、電気絶縁材、耐熱性材、回路基板材、ガスバリア
材などの理想的な材料の一つであるとされている。
【0003】そして、そのフィルムまたはシートの実用
化が強く要望されてきた。しかしながら、熱可塑性液晶
ポリマーは溶融粘度が低いためにフィルム形成が難し
く、液晶ポリマー分子が溶融状態でダイから押出される
ときに、吐出方向の一方向に配向し易いために、一方向
に裂け易い(割れ易い)という欠点を有しており、その
実用化が阻まれてきた。
【0004】近年、液晶ポリマー分子の一方向配向性を
崩し、一方向に裂け易いという欠点を解消して実用的な
フィルムを提供する方法が提案されている。例えば、
(1)環状スリットを介して相互に反対方向に回転する
可動ダイリップを用いて溶融液晶ポリマーを吐出せしめ
る、いわゆる回転ダイを用いるインフレーション製膜方
法(特表平3−504948号、特表平4−50677
9号)、(2)多層Tダイの各層の吐出方向を交差させ
る製膜方法(特開平2−89617号、特開昭63−2
64323号)、(3)Tダイで横方向に磁場をかける
製膜方法(特開昭63−242513号)、(4)Tダ
イなどを用いて得られる異方性液晶ポリマーフィルム
を、合成樹脂フィルムとラミネートし、該ラミネート体
を横延伸(MD方向よりも大きい延伸倍率でTD方向に
延伸)する後加工方法(特開平7−323506号、特
開平7−251438号、特開平9−131789
号)、(5)静止環状ダイを用いるインフレーション製
膜方法(特開平2−3430号、特開平2−88212
号)などである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記(1)、(2)お
よび(3)は、環状または直線状のスリットを有するダ
イから吐出される溶融状態の液晶ポリマー分子の配向
を、ダイ内部で二方向に配向せしめることにより、得ら
れるフィルムの液晶ポリマー分子が一方向に配向しない
ようにする方法である。上記(4)は、ダイから吐出し
て得られる一方向に液晶ポリマー分子が配向したフィル
ムを、後加工によって再配向することにより、一方向の
分子配向を崩す方法である。上記(5)は、ダイから吐
出して得られる一方向に液晶ポリマー分子が配向した未
固化状態(半溶融状態)のフィルムにおいて、一方向の
分子配向を崩す方法である。
【0006】本発明は、上記(5)の方法に主に関連し
ている。上記(5)の方法は、いわゆるインフレーショ
ン製膜方法として知られる方法で、他の方法に比較し
て、製膜装置が最も単純であり、製膜速度も大きく、安
価に製膜できるために、工業的に熱可塑性液晶ポリマー
フィルムを製造するために適した方法である。
【0007】上記のインフレーション製膜装置は、図1
(a)に示すように、押出機1によって溶融され押し出
された熱可塑性液晶ポリマーを、マンドレル2において
混合・均一化し、環状のスリットを有する環状ダイ3か
ら吐出して、冷却固化し、バブル4を形成させた後、熱
可塑性液晶ポリマーフィルム8を得るものである。この
フィルム8は複数のガイドローラによりターレットワイ
ンダー9へと案内される。また、上記バブル4は、図1
(b)に示すように、熱可塑性液晶ポリマーの流れ方向
に沿って、環状ダイ3直後のネック7と、バブル内部の
ガス圧による膨張が行われるエクスパンド6と、冷却固
化が十分になされ、これ以上バブルの径が変動しない領
域のシリンダー5とからなる。
【0008】かかる装置において、得られる熱可塑性液
晶ポリマーフィルムの形状を均一(例えば、膜厚が均
一、ウエーブ状のしわやふくれ等がないこと)にするた
めには、熱可塑性液晶ポリマーに及ぼす装置各部におけ
る作用を均一にしなければならないことは当然である。
【0009】本発明者らは、形状が均一な熱可塑性液晶
ポリマーフィルムを得るために、鋭意研究し、押出機1
からマンドレル2に至る経路における溶融液晶ポリマー
流の断面方向の温度、流速の均一性を図り、マンドレル
2における混合・均一化を向上させ、環状ダイ3の円周
方向の温度むらを解消し、かつ環状ダイ3の環状スリッ
トのギャップの円周方向の均一性を図り、ネック7およ
びエクスパンド6の内側および外側に作用する冷却風の
温度、流速の円周方向の均一性を図ることにより、実用
に供し得る程度の均一な形状の熱可塑性液晶ポリマーフ
ィルムを提供することに成功した。
【0010】しかし、環状ダイを用いて得られる熱可塑
性液晶ポリマーフィルムは、一般に精密製膜法として知
られるTダイ法によるポリエステルフィルムなどのフィ
ルムに比較して形状均一性が劣るために、一層の形状均
一性の向上が望まれていた。
【0011】そこで、溶融または半溶融液晶ポリマー流
において、流れの断面形状が円管形状または環状である
部分において、樹脂温度、溶融樹脂流速、冷却風の温
度、冷却風の流速などの断面円周方向における均一化を
図ってきた。これらの技術改善によって、事実、得られ
る熱可塑性液晶ポリマーフィルムの形状均一化はなされ
たのであるが、それでもなお、該フィルムの高度な均一
化は困難であった。
【0012】これは、従来から、液晶ポリマー分子の分
子配向が円周方向に均一でさえあれば、得られる熱可塑
性液晶ポリマーフィルムの形状均一性を阻害することは
ないと信じられてきたことに起因する。さらに具体的に
言えば、分子配向が一方向に傾いているのであれば、そ
の傾き角が円周方向で同一の傾き角であればよいとして
きたことによる。しかし、詳細な検討と考察の結果、事
実は、わずか傾く(後述する分子配向度SORが1.4
5未満)だけで、得られる熱可塑性液晶ポリマーフィル
ムの形状均一性が阻害されることが判明したのである。
以下、なぜ、環状ダイから吐出される溶融液晶ポリマー
の分子配向が吐出流から傾けば、得られる熱可塑性液晶
ポリマーフィルムの形状均一性を低下させるかを説明す
る。
【0013】溶融液晶ポリマーは、冷却されると、液晶
ポリマー分子の配向方向よりも配向方向に対し直交する
方向に強く収縮する。したがって、図2に示すように、
液晶ポリマー分子の配向方向21に対して直交する方向
で、ネック7に対しては斜め向きの冷却収縮応力23が
発生する。そして、この冷却収縮応力23がネック7に
捻じれ形状を与える原因となる。
【0014】つまり、ネック7の上端側は下端側に対し
冷却されて固くなりつつあり、しかも上端はエクスパン
ド6に固定されて回転できないのに対し、下端側は高温
溶融状態にあって柔らかいので、冷却収縮応力23によ
り円周方向への回転力を受ける。このとき、溶融液晶ポ
リマーは、回転力の作用に完全に追従するほどには柔ら
かくないので、ネック7に、タオルを絞ったような形状
の歪みが生じるのである。ネック7の形状が歪んだまま
エクスパンド6でバブルが膨張され、シリンダー5で形
状が固定されたフィルムが形成されるのであるから、得
られるフィルムも形状歪みを残していて当然である。こ
の形状歪みがフィルムの形状均一性低下の原因となる。
【0015】そこで、より詳細な観察・測定・考察を重
ね、ついに、特別な工夫をした環状ダイを用いて、熱可
塑性液晶ポリマーの吐出流に平行に液晶ポリマー分子を
配向させることにより、高度な形状均一性を得ることが
できることを見い出した。
【0016】すなわち、本発明は、液晶ポリマー分子の
一方向配向からくる配向方向の引き裂き易さを解消し、
高度に形状の均一な熱可塑性液晶ポリマーフィルムを得
るためには、熱可塑性液晶ポリマーフィルム中の液晶ポ
リマー分子の配向を多方向にすべきであるという従来の
概念に反して、環状ダイから吐出された溶融液晶ポリマ
ーの分子配向を、溶融液晶ポリマーの吐出流の方向に平
行にすべきであるとする思想に基づくものである。
【0017】本発明の目的は、環状ダイを用いて形状均
一性を向上させた熱可塑性液晶ポリマーフィルムの製造
が可能な押出成形方法および押出成形装置を提供するこ
とにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために、熱可塑性液晶ポリマーを、環状ダイの
外子と内子間に形成された間隙Gを有する環状スリット
から吐出させてなる熱可塑性液晶ポリマーフィルムの押
出成形方法において、前記環状スリットの間隙G(m
m)を0.2≦G≦1.0の範囲内に設定し、前記外子
の内壁通路長さLout(mm)と内子の外壁通路長さ
Lin(mm)とから、(Lout+Lin)/2(m
m)で計算される前記環状スリットの間隙Gの通路長さ
L(mm)(以下、ランド長さと称する)を、前記外子
の吐出部内径Dout(mm)で割ったL/Dout
を、5≦L/Dout≦15の範囲内に設定して、前記
環状ダイの環状スリットに沿った円周方向のすべての方
向において、吐出直後の熱可塑性液晶ポリマーの分子配
向度SORを1.45以上1.55以下に制御すること
を特徴とする熱可塑性液晶ポリマーフィルムの押出成形
方法およびそれに使用する押出成形装置を提供するもの
である。
【0019】ここで、分子配向度SOR(Segment Orie
ntation Ratio )とは、分子を構成するセグメントにつ
いての分子配向の度合いを与える指標をいい、従来のM
OR(Molecular Orientation Ratio )とは異なり、物
体の厚さを考慮した値である。環状ダイからの吐出直後
とは、図1(b)において、ネック7の下端に当たる部
分である。
【0020】本発明によれば、環状ダイの環状スリット
の内周壁と外周壁とで囲まれた間隙通路における溶融さ
せた熱可塑性液晶ポリマー(本明細書において、これを
溶融液晶ポリマーと称する)の走行距離を十分に長くす
ることによって、内周壁および外周壁に起因する溶融液
晶ポリマー流に平行な剪断力を与えて、溶融液晶ポリマ
ー分子を剪断力の方向に配向させることにより、溶融液
晶ポリマー分子を吐出流と平行に配向させるので、熱可
塑性液晶ポリマーフィルムの形状均一性を向上させるこ
とができる。
【0021】環状スリットの間隙Gが0.2mm未満で
は環状スリットを構成する要素である外子と内子の工作
精度が悪くなり、環状スリットを通過するポリマー流れ
に偏流が発生し易くなり、フィルム膜厚精度が悪い。環
状スリットの間隙Gが1.0mmを越える場合には、間
隙が広すぎるので、本発明の効果が十分に発揮されず、
外観が悪いフィルムしか得られない。
【0022】ランド長さLを外子の吐出部内径Dout
で割った値が5未満であると、ランド長さLが短いの
で、この部分で分子の配向を変えるという本発明の効果
が十分に発揮されず、分子配向度SORを本発明の範囲
に制御することができない。ランド長さLを外子の吐出
部内径Doutで割った値が15を越えると、装置が大
型となり設備費用がかかるだけでなく、環状ダイ前での
樹脂圧力が極めて高くなり装置耐圧を越える危険性が増
し実用的ではない。
【0023】本発明において、吐出直後の熱可塑性液晶
ポリマーの分子配向度SORを、環状ダイの環状スリッ
トに沿った円周方向のすべての方向において、1.45
以上1.55以下に制御するためには、ランド長さLを
十分な長さにしたり、環状スリットの間隙を適正な範囲
にするといった機械設備的な方法だけでなく、成形加工
条件である溶融液晶ポリマーの粘度や流速を適正にする
ことによってより一層の効果を得ることができる。溶融
液晶ポリマーの粘度や流速を適正にする一つの尺度とし
て、環状ダイ前部の位置での樹脂圧力P(kg/c
2 )が、20≦P≦120の範囲内であることが好ま
しい。
【0024】環状ダイ前部の位置での樹脂圧力Pが20
(kg/cm2 )未満である場合には、本発明の効果が
十分に発揮されない傾向にあり、また樹脂圧力Pを12
0(kg/cm2 )を越えて大きくしても耐圧限界に近
づいて危険になるだけで、本発明の効果は向上しないの
で、いずれの場合も好ましくない。
【0025】本発明において、吐出流と平行になってい
る熱可塑性液晶ポリマー分子の分子配向は、分子配向度
SORが1.5に近い(1.45以上1.55以下)こ
とで規定できる。この分子配向度SORは、以下のよう
に算出される。
【0026】まず、周知のマイクロ波分子配向度測定機
において、環状ダイから吐出直後の熱可塑性液晶ポリマ
ー(後述のギャップ吐出部のポリマー)から得られたフ
ィルムを、マイクロ波の進行方向にフィルム面が垂直に
なるように、マイクロ波共振導波管中に挿入し、該フィ
ルムを透過したマイクロ波の電場強度(マイクロ波透過
強度)が測定される。そして、この測定値に基づいて、
次式により、m値(屈折率と称する)が算出される。 m=(Zo/△z)X[1−νmax /νo] ただし、Zoは装置定数、△zは物体の平均厚、νmax
はマイクロ波の振動数を変化させたとき、最大のマイク
ロ波透過強度を与える振動数、νoは平均厚ゼロのとき
(すなわち物体がないとき)の最大マイクロ波透過強度
を与える振動数である。
【0027】次に、マイクロ波の振動方向に対する物体
の回転角が0°のとき、つまり、マイクロ波の振動方向
と、物体の分子が最もよく配向されている方向であっ
て、最小マイクロ波透過強度を与える方向とが合致して
いるときのm値をm0 、回転角が90°のときのm値を
m90として、分子配向度SORはm0 /m90により
算出される。
【0028】また、本発明に使用される熱可塑性液晶ポ
リマーの原料は特に限定されるものではないが、その具
体例として、以下に例示する(1)から(4)に分類さ
れる化合物およびその誘導体から導かれる公知のサーモ
トロピック液晶ポリエステルおよびサーモトロピック液
晶ポリエステルアミドを挙げることができる。但し、光
学的に異方性の溶融相を形成し得るポリマーを得るため
には、各々の原料化合物の組み合わせには適当な範囲が
あることは言うまでもない。
【0029】(1)芳香族または脂肪族ジヒドロキシ化
合物(代表例は表1参照)
【0030】
【表1】
【0031】(2)芳香族または脂肪族ジカルボン酸
(代表例は表2参照)
【0032】
【表2】
【0033】(3)芳香族ヒドロキシカルボン酸(代表
例は表3参照)
【0034】
【表3】
【0035】(4)芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシ
アミンまたは芳香族アミノカルボン酸(代表例は表4参
照)
【0036】
【表4】
【0037】これらの原料化合物から得られる熱可塑性
液晶ポリマーの代表例として表5に示す構造単位を有す
る共重合体(a)〜(e)を挙げることができる。
【0038】
【表5】
【0039】また、本発明に使用される熱可塑性液晶ポ
リマーとしては、フィルムの所望の耐熱性および加工性
を得る目的においては、約200〜約400℃の範囲
内、とりわけ約250〜約350℃の範囲内に融点を有
するものが好ましいが、フィルム製造の観点からは、比
較的低い融点のものが好ましい。したがって、より高い
耐熱性や融点が必要な場合には、一旦得られたフィルム
を加熱処理することによって、所望の耐熱性や融点にま
で高めることが有利である。加熱処理の条件の一例を説
明すれば、一旦得られたフィルムの融点が283℃の場
合でも、260℃で5時間加熱すれば、融点は320℃
になる。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
にしたがって説明する。図3は、本発明に用いる環状ダ
イの一例を示している。このダイ3は、マンドレル2
(その上部位置を点線で示す)のポリマー流れ方向の下
流側に組付けるもので、外子31と内子32を備えてい
る。この外子31と内子32間には、溶融液晶ポリマー
を吐出させる環状スリット36が形成されている。内子
32の中心には、エアー通路33が貫通して形成されて
いる。
【0041】このダイ3は、環状スリット36の間隙G
(mm)を0.2≦G≦1.0の範囲内に設定されてい
る。また、外子31の内壁における間隙(ギャップ)導
入部34から間隙(ギャップ)吐出部35までの内壁通
路長さLout(mm)と、内子32の外壁における間
隙(ギャップ)導入部34から間隙(ギャップ)吐出部
35までの外壁通路長さLin(mm)とから、(Lo
ut+Lin)/2で計算される環状スリット36の間
隙Gの通路長さL(mm)(ランド長さ)を、外子32
の吐出部内径Dout(mm)で割ったL/Dout
を、5≦L/Dout≦15の範囲内に設定されてい
る。このような形状を有するダイ3を用いることによ
り、ダイ3の環状スリット36に沿った円周方向のすべ
ての方向において、吐出直後の熱可塑性液晶ポリマーの
分子配向度SORを1.45以上1.55以下に制御す
ることができる。
【0042】
【実施例】以下、本発明を具体的に実施例を用いて説明
するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。 〔実施例1〕外子の吐出部内径25mm、内子の吐出部
外径24mm、外子の内周壁と内子の外周壁で囲まれた
間隙0.5mm、ランド長さが320mmである環状ダ
イを用いて、p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ
−2−ナフトエ酸の共重合物で、融点が280℃の熱可
塑性液晶ポリマーを、環状ダイ前部の位置での樹脂圧力
が100kg/cm2 になるような吐出量で溶融押出し
し、横延伸倍率4.77倍、縦延伸倍率2.09倍の条
件でバブル内エアー導入部から空気を吹き込んでインフ
レーション製膜した。製膜中はウエーブ状のしわのない
安定した運転ができ、平均膜厚50μm、膜厚分布±6
%の形状均一性に優れた熱可塑性液晶ポリマーフィルム
を得た。なお、製膜中に押出機および引取機を同時に停
止することにより得られた、上記環状ダイから吐出した
直後のギャップ吐出部における熱可塑性液晶ポリマーの
分子配向度SORは1.55であった。
【0043】〔実施例2〕実施例1において、環状ダイ
前部の位置での樹脂圧力が30kg/cm2 になるよう
な吐出量で溶融押出しした以外は、実施例1と同様にし
て平均膜厚50μm、膜厚分布±7%の形状均一性に優
れた熱可塑性液晶ポリマーフィルムを得た。実施例1と
同様にして測定した吐出直後の熱可塑性液晶ポリマーの
分子配向度SORは1.45であった。
【0044】〔実施例3〕実施例1において、外子の吐
出部内径40mm、内子の吐出部外径39mm、外子の
内周壁と内子の外周壁で囲まれた間隙0.5mm、ラン
ド長さが240mmである環状ダイを用いて、p−ヒド
ロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の共
重合物で、融点が280℃の熱可塑性液晶ポリマーを、
環状ダイ前部の位置での樹脂圧力が90kg/cm2
なるような吐出量で溶融押出しした以外は、実施例1と
同様にして平均膜厚50μm、膜厚分布±7%の形状均
一性に優れた熱可塑性液晶ポリマーフィルムを得た。実
施例1と同様にして測定した吐出直後の熱可塑性液晶ポ
リマーの分子配向度SORは1.50であった。
【0045】〔実施例4〕外子の吐出部内径40mm、
内子の吐出部外径38mm、外子の内周壁と内子の外周
壁で囲まれた間隙1.0mm、ランド長さが240mm
である環状ダイを用いて、p−ヒドロキシ安息香酸と6
−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の共重合物で、融点が2
80℃の熱可塑性液晶ポリマーを、環状ダイ前部の位置
での樹脂圧力が90kg/cm2 になるような吐出量で
溶融押出しし、横延伸倍率0.98倍、縦延伸倍率1.
13倍の条件でパイプ成形した。得られたパイプは、ウ
エーブせず、真っ直ぐなパイプで、平均厚み0.9m
m、膜厚分布±5%の形状均一性に優れた熱可塑性液晶
ポリマーパイプを得た。なお、製膜中に押出機および引
取機を同時に停止することにより得られた、上記環状ダ
イから吐出した直後のギャップ吐出部における熱可塑性
液晶ポリマーの分子配向度SORは1.51であった。
【0046】〔比較例1〕実施例1において、外子の吐
出部内径25mm、内子の吐出部外径24mm、外子の
内周壁と内子の外周壁で囲まれた間隙0.5mm、ラン
ド長さが400mmである環状ダイを用いた以外は実施
例1と同様にして、インフレーション製膜したところ、
製膜時にウエーブ状のしわが観察され、得られた熱可塑
性液晶ポリマーフィルムの膜厚分布は±11%であっ
た。なお、製膜中に押出機および引取機を同時に停止す
ることにより得られた、上記環状ダイから吐出した直後
の熱可塑性液晶ポリマーの分子配向度SORは1.35
であった。
【0047】〔比較例2〕実施例1において、外子の吐
出部内径25mm、内子の吐出部外径24mm、外子の
内周壁と内子の外周壁で囲まれた間隙0.5mm、ラン
ド長さが120mmである環状ダイを用いた以外は実施
例1と同様にして、インフレーション製膜したところ、
製膜時にウエーブ状のしわが観察され、得られた熱可塑
性液晶ポリマーフィルムの膜厚分布は±12%であっ
た。なお、製膜中に押出機および引取機を同時に停止す
ることにより得られた、上記環状ダイから吐出した直後
の熱可塑性液晶ポリマーの分子配向度SORは1.65
であった。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、熱可塑性液晶ポリマー
の吐出流と平行に液晶ポリマー分子を配向することによ
り、フィルムの形状均一性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インフレーション製膜を行う場合の概略説明図
で、(a)は同製膜装置の側面図、(b)は得られるバ
ブルを説明する側面図である。
【図2】ネックにおける収縮応力を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る熱可塑性液晶ポリマ
ーフィルムの押出成形装置に用いる環状ダイを示す断面
図である。
【符号の説明】
3…環状ダイ、31…外子、32…内子、36…環状ス
リット、37…ダイ前部、G…間隙、Lin…内子の外
壁通路長さ、Lout…外子の内壁通路長さ、L…間隙
の通路長さ(ランド長さ)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 砂本 辰也 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 吉川 淳夫 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 Fターム(参考) 4F071 AA43 AA44 AA45 AA48 AA57 AF12 AH04 AH07 BB06 BB09 BC01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学的異方性の溶融相を形成し得る熱可
    塑性ポリマー(以下、これを熱可塑性液晶ポリマーと称
    する)を、環状ダイの外子と内子間に形成された環状ス
    リットから吐出させてなるフィルム(以下、これを熱可
    塑性液晶ポリマーフィルムと称する)の押出成形方法に
    おいて、 前記環状スリットの間隙G(mm)を0.2≦G≦1.
    0の範囲内に設定し、 前記外子の内壁通路長さLout(mm)と内子の外壁
    通路長さLin(mm)とから、(Lout+Lin)
    /2で計算される前記環状スリットの間隙Gの通路長さ
    L(mm)(以下、ランド長さと称する)を、前記外子
    の吐出部内径Dout(mm)で割ったL/Dout
    を、5≦L/Dout≦15の範囲内に設定して、 前記環状ダイの環状スリットに沿った円周方向のすべて
    の方向において、吐出直後の熱可塑性液晶ポリマーの分
    子配向度SORを1.45以上1.55以下に制御する
    ことを特徴とする熱可塑性液晶ポリマーフィルムの押出
    成形方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記環状ダイ前部の位置での樹脂圧力P(kg/c
    2 )を、20≦P≦120の範囲内に設定したことを
    特徴とする熱可塑性液晶ポリマーフィルムの押出成形方
    法。
  3. 【請求項3】 熱可塑性液晶ポリマーを、環状ダイの外
    子と内子間に形成された環状スリットから吐出させてな
    る熱可塑性液晶ポリマーフィルムの押出成形装置におい
    て、 前記環状スリットの間隙G(mm)を0.2≦G≦1.
    0の範囲内に設定し、 前記外子の内壁通路長さLout(mm)と内子の外壁
    通路長さLin(mm)とから、(Lout+Lin)
    /2で計算される前記環状スリットの間隙Gの通路長さ
    L(mm)(ランド長さ)を、前記外子の吐出部内径D
    out(mm)で割ったL/Doutを、5≦L/Do
    ut≦15の範囲内に設定したことを特徴とする熱可塑
    性液晶ポリマーフィルムの押出成形装置。
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