JP3654769B2 - 位相差板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一軸もしくは二軸延伸された熱可塑性樹脂フィルムよりなる位相差板の製造方法に関し、例えば、液晶表示装置等において位相差を補償するために用いるのに好適な位相差板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、TN(ツイステッドネマチック)液晶表示装置やSTN(スーパーツイステッドネマチック)液晶表示装置が、各種OA機器や表示機器に用いられている。しかしながら、上記液晶表示装置では、液晶セルで生じる位相差により表示画面が着色するという問題があった。そのため、位相差フィルムを用いて上記着色を解消する方法が用いられている。
【0003】
位相差フィルムを製造する方法として、熱可塑性樹脂フィルムを一軸延伸する方法が挙げられる。この場合、延伸方法としては、縦一軸延伸(特開平2−191904号公報)や横一軸延伸(特開平2−42406号公報)などが報告されている。
【0004】
位相差フィルムの位相差補償性能は、いわゆるレターデーション値で表される。レターデーション値は、樹脂フィルムの屈折率の異方性(すなわち複屈折率)をΔn、フィルムの膜厚をdとしたときに、Δn×dで表される。
【0005】
一方、液晶表示装置では、ディスプレイの全面にわたり色ムラやコントラストのムラが生じ難いことが要望されている。このような均一な表示を可能とする液晶表示装置を提供するためには、位相差フィルムにおいてもレターデーション値が全面にわたり均一であることが要求される。
【0006】
そこで、レターデーション値が均一な位相差板の製造方法として、特開平8−122526号公報には、ポリアリレート及び/またはポリサルフォン溶液を流延成膜して原反フィルムを得、この原反フィルム中の溶剤含有量を固形分基準で0.5〜7重量%に調整した後、延伸して位相差板を製造する方法が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記先行技術に記載の製造方法により得られた位相差板では、複屈折率Δnが幅方向に均一化されていたとしても、フィルムの厚みdがばらついていると、レターデーション値がばらつくことになり、色むらやコントラストむらを解消することができなかった。
【0008】
すなわち、色むらやコントラストむらは、前述したように、位相差板を液晶表示装置に組み込んだ際に、レターデーション値のばらつきは1cm隔てた2点間の差が3nm以下であれば色むらとして認識されないと言われており、より好ましくは1nm以下であることが求められている。従って、厚みが70μm、レターデーション値の平均値が700nmの位相差板を製造した場合、厚みむらは70±0.3μm以下、望ましくは70±0.1μm以下の範囲であることが求められる。しかしながら、流延成膜法によりこのように厚み精度の高いフィルムを成形することは、非常に困難である。従って、上記先行技術に記載の方法により、レターデーション値が均一な位相差板を得ることは実際には非常に難しかった。
【0009】
加えて、上記先行技術に記載の方法では、流延成膜法を用いているため、成膜に必要な設備が高価であり、生産性が悪いという問題もあった。さらに、溶剤を用いているため、溶剤を押出機に供給するのは危険であり、また押出成形の際にほとんどの溶剤が揮発するため、通常の押出機を利用する場合には効果が見られない。
【0010】
本発明の目的は、上述した先行技術の欠点を解消し、延伸前のフィルムに厚みのばらつきが存在したとしても、面内方向の全領域においてレターデーション値がより一層均一な位相差板を安定にかつ高い生産性で得ることを可能とする製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明に係る位相差板の製造方法は、延伸前に、熱可塑性樹脂フィルムを、ガラス転移点をTgとしたとき、Tg−30℃〜Tg+60℃の範囲内の一定温度に保った後、該一定温度よりも低い温度に冷却しつつ、厚みの厚い部分が薄い部分よりも厚み方向の平均温度が高くなるようにして一軸または二軸延伸する位相差板の製造方法であって、熱可塑性樹脂フィルムの下記の式(1)で表わされる幅方向の厚み差R
【0012】
厚み差R={(最大厚み−最小厚み)/平均厚み}/2×100(%)・・・(1)
【0013】
を±A%とすると、該熱可塑性樹脂フィルムの厚みが最も厚い部分の方が厚みの最も薄い部分よりも厚み方向の平均温度が0.1A〜0.6A℃高い状態で延伸することを特徴とする。
【0014】
請求項1に記載の発明においては、好ましくは、請求項2に記載のように、延伸前と延伸中のフィルムの温度差、すなわち(延伸前のフィルム温度)−(延伸中のフィルム温度)が20℃〜90℃の範囲内とされる。
【0015】
請求項3に記載の発明に係る位相差板の製造方法では、延伸後のフィルム温度が、Tg以上の場合、延伸直後に延伸された熱可塑性樹脂フィルムをTg−20℃以下に急冷する。
【0016】
請求項4に記載の発明では、延伸前の熱可塑性樹脂フィルムとして、溶融押出成形法で得られた熱可塑性樹脂フィルムが用いられる。
【0017】
請求項5に記載の発明では、延伸前の熱可塑性樹脂フィルムとして、熱可塑性樹脂100重量部に対し、可塑剤0.2〜20重量部を含有する熱可塑性樹脂フィルムが用いられる。
【0018】
【0019】
以下、本発明の詳細を説明する。
(請求項1に記載の発明に係る位相差板の製造方法)請求項1に記載の発明に係る位相差板の製造方法で用いられる熱可塑性樹脂としては、延伸により複屈折性を示す限り、適宜の熱可塑性樹脂を用いることができ、例えば、セルロース樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂などを挙げることができる。
【0020】
また、用意される熱可塑性樹脂フィルムの製膜方法についても特に限定されず、従って、上記熱可塑性樹脂フィルムは、押出成形法により得られたものであってもよく、溶液流延法によって得られたものであってもよい。
【0021】
もっとも、好ましくは、生産性に優れた押出成形法により得られた熱可塑性樹脂フィルムが用いられる。また、上記熱可塑性樹脂フィルムの厚みについても、特に限定されるわけではないが、例えば、液晶表示装置において位相差を補償する用途に用いる場合には、通常、50〜100μm程度の厚みのものが用いられる。
【0022】
請求項1に記載の発明では、延伸前に、上記熱可塑性樹脂フィルムを、そのガラス転移点をTgとしたとき、Tg−30℃〜Tg+60℃の範囲内の一定温度に保った後、該一定温度よりも低い温度に冷却しつつ、厚みの厚い部分が薄い部分よりも厚み方向の平均温度が高くなるようにして一軸または二軸延伸する。一定温度に熱可塑性樹脂フィルムを保つことにより、熱可塑性樹脂フィルムの面内方向の伸張粘度のばらつきが小さくなり、それによって次に冷却延伸される場合に生じる厚みばらつきが低減される。この厚みばらつきが大きくなると、最終的に得られる位相差板のレターデーション値の面内方向のばらつきが大きくなる。
【0023】
上記熱可塑性樹脂フィルムの温度をTg−30℃〜Tg+60℃に調整する方法については、特に限定されず、熱風、マイクロ波もしくは遠赤外線などを利用した適宜のヒーター、温度調節ロール、ヒートパイプロール及び金属ベルトなどを適宜組み合わせた公知の方法を用いることができる。
【0024】
なお、上記熱可塑性樹脂フィルムの温度の測定は、熱可塑性樹脂フィルムの表面温度を測定することにより行うことができる。この表面温度を検出する方法については、特に限定されず、従来より公知の表面温度計を用いた方法などが挙げられる。
【0025】
上記一定温度が、Tg−30℃より低いと、熱可塑性樹脂フィルムを後で延伸するに際し、フィルムの柔軟性が十分でなくなり、破断し易くなる。上記一定温度がTg+60℃より高いと、熱可塑性樹脂フィルムの保形性が低下し、搬送等において熱可塑性樹脂フィルムがたれたり、変形したりすることがある。
【0026】
なお、上記一定温度に熱可塑性樹脂フィルムの温度を制御する具体的な方法についても特に限定されず、熱風、マイクロ波もしくは遠赤外線などを利用したヒーター、温度調節用に加熱されたロール、ヒートパイプロールまたは金属ベルトなどを用いた公知の加熱方法や温度制御方法を採用することができる。
【0027】
さらに、上記一定温度に制御されている熱可塑性樹脂フィルムでは、面内方向の温度ばらつきが大きいと、後で延伸されるに際し、伸張粘度のばらつきにより、厚みのむらが大きくなり、最終的に得られた位相差板のレターデーション値のばらつきが大きくなる。従って、延伸前の熱可塑性樹脂フィルムのフィルム面内方向の温度ばらつきは、小さければ小さいほど好ましく、より好ましくは面内方向の温度ばらつきを±0.5℃の範囲内とすることが望ましい。
【0028】
また、上記熱可塑性樹脂フィルムの温度ばらつきを低減するには、熱可塑性樹脂フィルムを一定温度に制御する際の雰囲気温度もばらつきの小さいことが望ましい。
【0029】
請求項1に記載の発明において、熱可塑性樹脂フィルムを上記一定温度より低い温度に冷却して延伸するのは、熱可塑性樹脂フィルムの厚みの大きな部分と小さい部分との冷却効果の差と、フィルム温度により延伸により得られる複屈折率Δnが異なることを利用して、厚みの大きな部分と小さい部分とのレターデーション値を近づけるためである。
【0030】
従って、冷却延伸に際しては、熱可塑性樹脂フィルムを上記一定温度よりも低い温度に冷却すればよく、この一定温度については、延伸により熱可塑性樹脂フィルムが破断しない限り、特に限定されるものではない。もっとも、冷却延伸に際しての熱可塑性樹脂フィルムの温度については、好ましくは、Tg−30℃以上で上記一定温度未満の範囲とされる。熱可塑性樹脂フィルムの冷却延伸に際してのフィルム温度が、Tg−30℃より低くなると、延伸に際し熱可塑性樹脂フィルムの破断が生じ易くなる。
【0031】
熱可塑性樹脂フィルムの冷却延伸に際しての温度が、上記一定温度以上であれば、冷却により延伸後のレターデーション値を均一化する効果が得られない。冷却延伸に際しての熱可塑性樹脂フィルムの温度ばらつきについても、小さければ小さいほど好ましい。冷却延伸に際して熱可塑性樹脂フィルムのフィルム面内方向の温度ばらつきが大きいと、延伸されるに際し、伸張粘度の違いにより厚みばらつきが大きく助長され、得られる位相差板のレターデーション値のばらつきが大きくなる。また、冷却延伸に際しては、上記のようにフィルム面内方向の温度のばらつきを小さくすることが好ましいが、当然のことながら、冷却延伸に際しての雰囲気温度についてもばらつきが小さいことが望ましい。
【0032】
好ましくは、冷却延伸に際しての熱可塑性樹脂フィルムのフィルム面内方向の温度ばらつきは±0.5℃以内とされる。なお、冷却延伸に際して熱可塑性樹脂フィルムを冷却する方法についても、熱風、温度調節のために加温されたロール、ヒートパイプロールなどを用いた適宜の方法を採用することができる。
【0033】
延伸に際しての熱可塑性樹脂フィルムの厚み方向の平均温度とは、フィルムを厚み方向に5分割し、計測して得られたフィルム温度の平均値をいうものとする。この計測方法としては、フィルムの側面から厚み方向に5分割するようにそれぞれ切り口を形成し、切り口に集積熱電対を挿入し、固定し、フィルム温度を形成する。例えば、熱可塑性樹脂フィルムの厚みが100μmの場合には、20μmピッチで厚み方向に4箇所の切り口を形成し、上記集積熱電対を挿入し、フィルム温度を測定すればよい。
【0034】
従って、フィルムの厚み方向において、表面から裏面にかけて5箇所の部分で温度が測定されることになる。フィルムの厚みが100μm以下の場合には、熱伝導速度が速く、フィルム中心温度とフィルム表面温度との差が非常に小さく、例えば0.1℃程度にすぎないため、フィルムの表面温度を厚み方向平均温度とすればよい。
【0035】
請求項1に記載の発明では、熱可塑性樹脂フィルムの厚みの厚い部分が薄い部分よりも厚み方向平均温度が高くなるようにフィルム温度を設定し、一軸または二軸延伸する。
【0036】
厚みを検出する方法は、特に限定されず、レーザー、放射線(α線,β線)、超音波等を用いた公知の非接触式厚み計を用いて行うことができる。
【0037】
上記一軸または二軸延伸する延伸方法については、特に限定されず、ロールによる縦一軸延伸、テンターによる横一軸延伸、あるいはこれらを組み合わせた二軸延伸などの公知の方法を用いることができる。なお、延伸倍率についても特に限定されず、例えば、液晶表示装置用位相差板を得る場合には、1.1〜2.0倍程度とすることが好ましい。
【0038】
更に、請求項1に記載の発明では、熱可塑性樹脂フィルムを一軸または二軸延伸するに際し、該熱可塑性樹脂フィルムの上述した式(1)で表わされる幅方向の厚み差Rを±A%とすると、該熱可塑性樹脂フィルムの厚みが最も厚い部分の方が厚みの最も薄い部分よりも厚み方向の平均温度が0.1A〜0.6A℃高い状態で延伸を行う。
【0039】
上記のように、厚みが最も厚い部分の厚み方向の平均温度を、厚みが最も薄い部分の厚み方向平均温度よりも0.1A〜0.6A℃高い状態で延伸するのは、厚みが最も厚い部分において厚みが最も薄い部分よりも高い温度で延伸することにより、厚みばらつきに起因するレターデーション値の差を補償するためである。
【0040】
前述したとおり、レターデーション値は、フィルムの厚みと複屈折率Δnとの積により表わされる。従って、フィルムの厚みの厚い部分では、複屈折率Δnを小さくし、フィルムの厚みの薄い部分では、複屈折率Δnを相対的に大きくすれば、厚みの差に起因するレターデーション値のばらつきを補償することができる。
【0041】
他方、熱可塑性樹脂フィルムを延伸する場合、フィルム温度が高い程、延伸による配向が小さくなり、複屈折率Δnが小さくなる。従って、請求項2に記載の発明では、厚みの最も厚い部分の厚み方向平均温度を、厚みの最も薄い部分の厚み方向平均温度よりも0.1A〜0.6A℃高くして延伸することにより、複屈折率Δnと厚みとの積のばらつきが低減される。上記厚みが最も厚い部分と厚みが最も薄い部分との厚み方向平均温度差が、0.1A℃未満の場合には、厚みに比例したレターデーション値を示すフィルムが得られ、レターデーション値の面内方向における均一化を果たすことができなくなる。また、上記厚み方向平均温度差が0.6A℃より高い場合には、厚みの厚い部分におけるレターデーション値が小さくなりすぎ、やはりレターデーション値の均一化を果たすことができなくなる。
【0042】
請求項2に記載の発明)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に係る位相差板の製造方法において、延伸前と延伸中のフィルムの温度差、すなわち(延伸前のフィルム温度−延伸中のフィルム温度)を20℃〜90℃とすることを特徴とする。熱可塑性樹脂フィルムを延伸する際に冷却すると、熱容量の違いにより、厚みが相対的に厚い部分は冷却され難く、厚みの薄い部分は冷却され易くなる。従って、相対的に厚みの厚い部分は相対的に厚みの薄い部分に比べて温度が高くなる。
【0043】
他方、熱可塑性樹脂フィルムを延伸し複屈折性を与える場合、上述したとおり、フィルム温度が高い程複屈折率Δnが小さくなる。また、レターデーション値は、フィルムの厚みdと複屈折率Δnの積である。
従って、上記冷却により厚みの相対的に厚い部分は相対的に温度が高くなるので、延伸後の複屈折率Δnが小さくなり、厚みの薄い部分では、複屈折率Δnが大きくなる。その結果、厚みの厚い部分と薄い部分におけるレターデーション値が近づけられる。
【0044】
このようにして、請求項2に記載の発明では、相対的に厚みの厚い部分と薄い部分とのレターデーション値が近づけられる。もっとも、上記延伸前のフィルム温度と延伸中のフィルム温度との差を、20〜90℃の範囲とすることにより、より一層レターデーション値の面内方向のばらつきが低減され、より一層レターデーション値の面内方向のばらつきが小さい位相差板を得ることができる。上記温度差が20℃未満の場合には、延伸後に得られたフィルムにおいて、レターデーション値のばらつきが厚みに比例しがちとなり、90℃を超えると、厚みの厚い部分のレターデーション値が小さくなり、レターデーション値の均一性が損なわれることがある。
【0045】
請求項3に記載の発明)請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明に係る位相差板の製造方法において、延伸後のフィルム温度がTg以上の場合に、延伸直後に延伸された熱可塑性樹脂フィルムをTg−20℃以下に急冷することを特徴とし、それによって延伸による応力を緩和させてレターデーション値の面内方向のばらつきをより一層均一にすることができる。
【0046】
ここで、上記急冷とは、瞬時に熱可塑性樹脂フィルムの温度を、分子配向が凍結する温度に到達させる速度で冷却することを意味する。従って、冷却速度については、熱可塑性樹脂フィルムによっても異なるが、急冷後1秒以内、望ましくは0.5秒以内、さらに望ましくは0.25秒以内に、分子配向が凍結する温度に到達する速度とされる。
【0047】
また、急冷後のフィルム温度については、分子配向が凍結する温度であれば特に限定されるわけではないが、熱可塑性樹脂フィルムをTg−20℃以下とすることが好ましく、それによって分子配向を確実に凍結させることができる。なお、上記瞬時に急冷する方法については、上記の条件を満たす限り特に限定されず、例えば冷風や温度調節ロールを用いた方法などを用いることができる。
【0048】
請求項4に記載の発明)請求項4に記載の発明では、延伸前の熱可塑性樹脂フィルムとして、溶融押出成形法で得られたものが用いられる。この溶融押出成形法については特に限定されず、公知の様々な押出機等を用いた溶融押出成形法により得られた熱可塑性樹脂フィルムが用いられる。
【0049】
請求項1〜4に記載の発明に係る位相差板の製造方法において、上記熱可塑性樹脂フィルムとして、ポリサルフォン系樹脂またはポリカーボネート系樹脂を用いた場合、ポリサルフォン系樹脂やポリカーボネート系樹脂は、透明性に優れており、液晶の光の波長分散性と同様の波長分散性を有するので、液晶表示装置に好適な位相差板を提供することができる。
【0050】
請求項5に記載の発明)請求項5に記載の発明では、請求項1〜4に記載の発明に係る位相差板の製造方法において、延伸前の熱可塑性樹脂フィルムとして、熱可塑性樹脂100重量部に対し、可塑剤0.2〜20重量部を含有する熱可塑性樹脂フィルムが用いられる。
【0051】
熱可塑性樹脂フィルムに可塑剤を含有させることにより、成膜工程、予熱工程及び延伸工程の少なくとも1つの工程で可塑剤を揮発させることができる。その結果、厚みの相対的に厚い部分における可塑剤揮発量と、厚みの相対的に薄い部分における可塑剤揮発量とが同じであるため、厚みの相対的に厚い部分の残存可塑剤量が、厚みの相対的に薄い部分に比べて多くなる。従って、その状態で延伸することにより、レターデーション値の面内方向の均一化を図ることができる。
【0052】
上記可塑剤としては、特に限定されず、アジピン酸エステル、アゼライト酸エステル、安息香酸エステル、イソブチル酸エステル、チオブチル酸エステル、ブラシリック酸エステル、クエン酸エステル、グリコール酸エステル、イタコン酸エステル、オレイン酸エステル、リン酸エステル、ホスフィン酸エステル、テトラヒドロフタル酸エステル、ヘキサヒドロフタル酸エステル、ピロメリット酸エステル、リシノール酸エステル、セバシン酸エステル、コハク酸エステル、スルホンアミド トリアセチレン、トリメリット酸エステル等が挙げられる。
【0053】
【0054】
(作用)請求項1に記載の発明では、延伸前に熱可塑性樹脂フィルムをTg−30℃〜Tg+60℃の範囲内にある一定温度を保った後、該一定温度より低い温度に冷却しつつ、厚みの厚い部分が薄い部分よりも厚み方向の平均温度が高くなるようにして一軸または二軸延伸することによりレターデーション値の面内方向のばらつきが小さくされる。この理由は以下のとおりである。
【0055】
まず、熱可塑性樹脂フィルムを上記特定の温度範囲内の一定温度で保つことにより、熱可塑性樹脂フィルムの面内方向の伸張粘度のばらつきが小さくなり、それによって次工程で冷却延伸される際に生じる厚みばらつきが低減される。この厚みばらつきが大きくなると、最終的に得られる位相差板のレターデーション値のばらつきが大きくなる。
【0056】
次に、上記一定温度に維持された熱可塑性樹脂フィルムを冷却しつつ延伸する。この場合、熱可塑性樹脂フィルムが冷却されると、熱容量の違いにより、熱可塑性樹脂フィルムの厚みが相対的に大きな部分は冷却され難く、相対的に厚みの小さい部分が冷却され易くなる。そのため、熱可塑性樹脂フィルムの厚みの大きな部分は、厚みの小さい部分に比べて温度が高くなる。
【0057】
他方、熱可塑性樹脂フィルムを延伸して複屈折性を与える場合には、一般に、フィルムの温度が高くなるに連れて、複屈折率Δnが小さくなることが知られている。
【0058】
前述した通り、レターデーション値は、フィルムの厚みと複屈折率Δnの積である。従って、上記冷却により、厚みの大きな部分は、相対的に温度が高くなっているので、延伸後の複屈折率Δnは小さくなり、厚みの薄い部分では複屈折率Δnが大きくなるが、レターデーション値を一定とした場合、厚みと複屈折率Δnとが反比例の関係にあるため、厚みの大きな部分と厚みの小さな部分のレターデーション値が近づけられる。
【0059】
請求項1に記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムの厚みばらつきをなくすことができないことに鑑み、上記一定温度に熱可塑性樹脂フィルムを保った後、冷却しつつ延伸することにより、厚みの相対的に大きな部分を小さい部分よりも、延伸により得られる複屈折率Δnを小さくし、それによって厚みのばらつきと複屈折率の差とを相殺することにより、フィルム面内方向におけるレターデーション値の均一化を果たすことができるとの知見に基づいて、具体的には以下の条件で熱可塑性樹脂フィルムを延伸する。
【0060】
すなわち、請求項1に記載の発明では、熱可塑性樹脂フィルムの上記幅方向の厚み差Rが±A%の場合に、厚みが最も厚い部分が、厚みの薄い部分よりも厚み方向平均温度が0.1A〜0.6A℃高い状態で一軸または二軸延伸する。
【0061】
前述したとおり、レターデーション値は、フィルムの厚みdと複屈折率Δnとの積である。従って、厚みの相対的に厚い部分では、温度が高くされるので、延伸後の複屈折率Δnが小さくなり、厚みの薄い部分では複屈折率Δnが大きくなり、両者のレターデーション値が近づけられる。
【0062】
すなわち、請求項1に記載の発明は、厚みの最も厚い部分が、厚みの最も薄い部分よりも厚み方向平均温度が上述したように0.1A〜0.6A℃高い状態であれば、厚みの相対的に厚い部分の複屈折率Δnを厚みの薄い部分の複屈折率Δnよりも小さくすることができ、それによってフィルム面内方向におけるレターデーション値の均一化を果たしたことに特徴を有する。
【0063】
請求項2に記載の発明では、延伸前と延伸中のフィルム温度差が上記のように20〜90℃の範囲とされるようにして一軸または二軸延伸する。熱可塑性樹脂フィルムを延伸する際に冷却すると、熱容量の違いにより熱可塑性樹脂フィルムの厚みが相対的に厚い部分は冷却され難く、相対的に厚みの薄い部分は冷却され易くなる。従って、相対的に厚みの厚い部分が相対的に厚みの薄い部分に比べて温度が高くなる。
【0064】
他方、前述のとおり、熱可塑性樹脂フィルムを延伸して複屈折性を与える場合、フィルム温度が高い程複屈折率Δnが小さくなることが知られている。従って、上記冷却により、厚みの厚い部分では、相対的に温度が高くなっているので、複屈折率Δnが小さくなり、厚みの薄い部分では、複屈折率Δnが大きくなり、その結果、厚みの厚い部分と薄い部分とのレターデーション値が近づけられる。
【0065】
請求項3に記載の発明では、延伸後のフィルム温度がTg以上の場合、延伸直後に、該フィルムをTg−20℃以下に瞬時に急冷する。ここでは、延伸直後では、請求項1〜2に記載の発明に係る製造方法においてレターデーション値は面内方向に均一化されるが、相対的に厚みの厚い部分は、相対的に厚みの薄い部分よりも複屈折率Δnは小さい。その状態でフィルムを瞬時に急冷することにより、フィルム面内方向におけるレターデーション値のばらつきを小さくすることができる。この理由は、以下のとおりである。
【0066】
一般に、応力と複屈折率Δnは比例するため、図1に示すように、延伸直後には、熱可塑性樹脂フィルムの相対的に厚みの薄い部分の応力が、相対的に厚みの厚い部分の応力よりも大きくなる。この状態が凍結されずに、応力が緩和する場合、より大きな応力状態にある厚みの薄い部分では、応力緩和速度が大きくなり、複屈折率が大きくなる。
【0067】
すなわち、延伸後に応力が緩和されると、複屈折率差が小さくなり、延伸工程で発現したレターデーション値の均一化効果が小さくなる。そこで、請求項3に記載の発明では、上記のようにフィルムを瞬時に急冷することにより、延伸後の応力緩和を抑制し、延伸直後に発生した厚みの厚い部分と薄い部分との応力差が保存される。従って、瞬時に急冷することにより、特に、上述したとおりTg−20℃以下に瞬時に急冷することにより、確実にレターデーション値の面内方向のばらつきを低減することができる。
【0068】
請求項5に記載の発明では、延伸前のフィルムとして、熱可塑性樹脂100重量部に対し可塑剤0.2〜20重量部を含有する熱可塑性樹脂フィルムを用いるので、フィルム面内方向におけるレターデーション値をより一層均一化し得る。この理由は、以下のとおりと考えられる。
【0069】
可塑剤含有熱可塑性樹脂フィルムを用いた場合、可塑剤は、成膜工程、予熱工程、延伸工程などにおいて、フィルムのどの部分からも同様に揮発する。すなわち、フィルムの厚みが厚い部分及び薄い部分のいずれにおいても、可塑剤はフィルム表面から同じように揮発する。従って、揮発後には、厚みの厚い部分における可塑剤の厚み方向における絶対含有量は、フィルムの厚みの薄い部分における可塑剤の絶対含有量よりも多くなる。一般に、可塑剤が多く含有されていると、延伸しても応力緩和が大きくなり、その結果残留応力が小さくなることが知られている。
【0070】
従って、上記のように可塑剤を揮発すると、厚みの相対的に厚い部分においてより多くの可塑剤が含有されているので、厚みの厚い部分において延伸後のΔnが小さくなり、それによってフィルム面内方向におけるレターデーション値の均一化をより一層効果的に果たすことができる。
【0071】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明することにより、本発明をより詳細に説明する。なお、以下の実施例及び比較例において、実施例1〜4、及び比較例1〜4,7,8では、図2に示す製造装置を用いた。また、実施例5〜8、及び比較例5,6,9では図3に示した製造装置を用いた。
【0072】
さらに、実施例1,2及び比較例1,3では、延伸前に熱可塑性樹脂フィルムの厚みを計測し、延伸直後の熱可塑性樹脂フィルムの全面温度を放射温度計で測定し、最も厚みの厚い部分と薄い部分とにおけるフィルムの温度差を求めた。さらに、全ての実施例及び比較例において、フィルムの厚みは100μm以下であるため、フィルム表面温度を厚み方向平均温度とした。
【0073】
図2に示す製造装置では、図2に示すように、成膜工程、予熱(温度制御)工程及び延伸工程が実施される。成膜工程を実施するための部分には、押出機(図示せず)と、押出機の後段に連結されたTダイ金型1と、金属ロール3と、ゴムロール2と、ロール4,5とが設けられている。
【0074】
予熱(温度制御)工程を実施するために、熱風装置22が備えられたオーブン27と、オーブン27内に配置されており熱可塑性樹脂フィルムを通過させるためのロール6〜12とが設けられている。延伸工程を実施するために、ロール13〜16を有する縦一軸延伸機と、エアー冷却装置21とが配置されている。
【0075】
他方、図3に示す製造装置では、成膜工程、予熱(温度制御)工程、延伸工程及び急冷工程が実施される。図3に示す製造装置において、成膜工程、予熱(温度制御)工程及び延伸工程を実施するための装置については、図2に示した製造装置と同様である。従って、同一部分については、同一の参照番号を付することにより、その説明を省略する。
【0076】
急冷工程を実施するために、延伸後の熱可塑性樹脂フィルム20の上下にエアー冷却装置24,24が配置されている。また、急冷工程完了後、熱可塑性樹脂フィルム20を乾燥するために、この製造装置の最下流にロール17,18が配置されている。
【0077】
(実施例1)図2に示した製造装置を用い、ポリサルフォン樹脂ぺレット(アモコ社製、商品名:UDEL P3500、ガラス転移点190℃)を一軸押出機(図示せず)のホッパーに投入し、押出温度340℃でTダイ1から溶融押出し、表面温度165℃の金属ロール3とゴムロール2によりニップして冷却し、図4に示す幅方向断面形状を有する75μm±5.0μmの厚みのポリサルフォン未延伸フィルム19を得た。
【0078】
この未延伸フィルム19をロール4,5間を経て、ロール6〜12を配置してなる200℃の温度に保たれたオーブン24に導き、ロール13〜16を配置してなる190℃〜290℃の温度に保たれた延伸機により延伸倍率1.15倍で縦一軸延伸し、室温(20℃)まで放冷し、厚み70μm±6.0μmのフィルム20を得た。
【0079】
延伸機における温度設定は、フィルム幅方向(Tg方向)の両端のうち厚みが厚い側の端部が走行する領域を200℃、厚みが薄い側の端部が走行する領域を190℃となるように熱風を排出させた。そのため、延伸機には、TD方向において、最低2箇所で異なる温度の熱風を発生させるノズルを配置した。なお、延伸直後のフィルムの全面を放射温度計で測定したところ、76μmの厚みの部分における厚み方向平均温度は、64μmの厚みの部分の厚み方向平均温度より4.0℃高かった。
【0080】
上記のようにして得られたフィルムの中央部から幅500mm×長さ1000mmの位相差板サンプルを切り出した。この位相差板サンプルの633nmにおけるレターデーション値を、幅方向及び長さ方向のいずれにおいても、1cm間隔で測定したところ、レターデーション値の平均値は455nm、レターデーション値のばらつきの最大値(フィルム面内におけるレターデーション最大値−レターデーション最小値)は5.0nmであり、1cm離れた2点間のレターデーション値の差は最大で1.7nmであった。
【0081】
(実施例2)図2に示した製造装置を用いた。ポリサルフォン樹脂ぺレット(アモコ社製、商品名:UDEL P3500、ガラス転移点190℃)を一軸押出機(図示せず)のホッパーに投入し、押出温度340℃でTダイ1から溶融押出し、表面温度165℃の金属ロール3とゴムロール2とでニップして冷却し、厚み83μm±2.0μmのポリサルフォン未延伸フィルム19を得た。
【0082】
上記未延伸フィルム19をロール4,5間を経て、ロール6〜12を配置してなる220℃の温度に保たれたオーブン24に入れ、次にロール13〜16を配置してなる180℃の温度に保たれた延伸機25により延伸倍率1.3倍で縦一軸延伸し、室温(20℃)まで放冷し、厚み74μm±2.5μmのフィルム20を得た。
【0083】
なお、延伸直後におけるフィルムの表面全面を放射温度計(図示せず)で測定したところ、74.5μmの厚みの部分の厚み方向平均温度は、69.5μmの厚みの部分の厚み方向平均温度よりも0.9℃高かった。
【0084】
得られたフィルム20の中央から幅500mm×長さ1000mmの位相差板サンプルを切り出した。このサンプルについて実施例1と同様にして評価したところ、レターデーション値の平均値は526nm、レターデーション値のばらつきの最大値(フィルム面内におけるレターデーション最大値−フィルム面内におけるレターデーション最小値)は2.8nm、1cm離れた2点間のレターデーション値の差は最大で1.3nmであった。
【0085】
(実施例3)図2に示した製造装置を用いた。実施例2と同様にして、厚み83μm±2.0μmのポリサルフォン未延伸フィルム19を得た。
【0086】
上記未延伸フィルム19を、ロール4,5間を経て、ロール6〜12を配置してなる温度220℃に保たれたオーブン24に入れた後、ロール13〜16を配置してなる200℃の温度に保たれた延伸機25で延伸倍率1.3倍で縦一軸延伸し、室温(20℃)まで放冷し、厚み73μm±2.5μmのフィルム20を得た。
【0087】
得られたフィルム20について、実施例1の位相差板サンプルと同様にして位相差板サンプルを切り出し、評価した。レターデーション値の平均値は402nmであり、レターデーション値のばらつき最大値は3.0nmであり、1cm離れた2点間のレターデーション値の差は最大で1.3nmであった。
【0088】
(実施例4)図2に示した製造装置を用いた。ポリカーボネート樹脂ぺレット(帝人化成社製、商品名:パンライト、ガラス転移点150℃)を一軸押出機のホッパーに投入し、押出温度250℃でTダイ1から溶融押出し、表面温度130℃の金属ロール3とゴムロール2とでニップして冷却し、厚み78μm±2.0μmのポリカーボネート未延伸フィルム19を得た。
【0089】
上記未延伸フィルム19を、ロール4,5間を経て、ロール6〜12を配置してなる170℃に保たれたオーブン24に入れた後、次にロール13〜16を配置してなる150℃の温度に保たれた延伸機25で延伸倍率1.3倍で縦一軸延伸し、室温(20℃)まで放冷し、厚み68μm±2.5μmのフィルム20を得た。
【0090】
得られたフィルム20から、実施例1と同様にして位相差板サンプルを切り出し、評価した。レターデーション値の平均値は565nmであり、レターデーション値のばらつき最大値は3.6nmであり、1cm離れた2点間のレターデーション値の差は最大で1.6nmであった。
【0091】
(実施例5)実施例5では、図3に示した製造装置を用いた。ポリサルフォン樹脂ぺレット(アモコ社製、商品名:UDEL P3500、ガラス転移点190℃)を一軸押出機(図示せず)のホッパーに投入し、押出温度340℃でTダイ1から溶融押出し、表面温度165℃の金属ロール3とゴムロール2とでニップして冷却し、厚み83μm±2.0μmのポリサルフォン未延伸フィルム19を得た。
【0092】
上記未延伸フィルム19をロール4,5間を経て、ロール6〜12を配置してなる雰囲気温度235℃に設定されたオーブン24内に導き、ロール13〜16を配置してなる190℃の温度に設定された延伸機25により延伸倍率1.3倍で縦一軸延伸し、ポリサルフォン延伸フィルムを得た。
【0093】
次に、上記のようにして得たポリサルフォン延伸フィルムを急冷工程において、冷風を吹きつけ、1.0秒で表面温度を100℃まで冷却し、厚み70±2.5μmのポリサルフォン延伸フィルム20を得た。
【0094】
上記のようにして得たポリサルフォン延伸フィルム20から実施例1と同様にして位相差板サンプルを切り出し、評価した。レターデーション値の平均値は487nm、レターデーション値のばらつきの最大値は2.5nm、1cm離れた2点間のレターデーション値の差は最大で1nmであった。
【0095】
(実施例6)実施例5と同様に図3に示した製造装置を用いた。ポリカーボネート樹脂ぺレット(帝人化成社製、商品名:パンライト、ガラス転移点150℃)を一軸押出機(図示せず)のホッパーに投入し、押出温度250℃でTダイ1から溶融押出し、表面温度130℃の金属ロール3とゴムロール2とでニップして冷却し、厚み75μm±2.0μmのポリカーボネート未延伸フィルム19を得た。
【0096】
上記未延伸フィルム19をロール4,5間を経て、ロール6〜12を配置してなる雰囲気温度200℃に設定されたオーブン24に導き、次にロール13〜16を配置してなり、155℃の温度に設定された延伸機25により延伸倍率1.3倍で縦一軸延伸し、ポリカーボネート延伸フィルムを得た。
【0097】
直ちに、急冷工程において、上記ポリカーボネート延伸フィルムをエアー冷却装置21から吹き出される冷風により冷却し、1.0秒で表面温度を80℃とし、厚み67±2.5μmのポリカーボネート延伸フィルム20を得た。
【0098】
上記のようにして得たポリカーボネート延伸フィルムの中央から実施例1と同様にして位相差板サンプルを切り出し、評価した。レターデーション値の平均値は455nm、レターデーション値のばらつき最大値は2.7nm、1cm離れた2点間のレターデーション値の差は最大で1nmであった。
【0099】
(実施例7)実施例7では、図3に示した製造装置を用いた。ポリサルフォン樹脂ぺレット(アモコ社製、商品名:UDEL P3500、ガラス転移点190℃)を一軸押出機(図示せず)のホッパーに投入し、該熱可塑性樹脂100重量部に対し、フタル酸ジイソノニル(沸点403℃)3.0重量部をプランジャーポンプ(図示せず)にて一軸押出機(図示せず)内に圧入し、押出温度290℃でTダイ1から溶融押出し、表面温度140℃の金属ロール3とゴムロール2とでニップして冷却し、厚み83μm±2.0μmのポリサルフォン未延伸フィルム19を得た。
【0100】
上記未延伸フィルム19をロール4,5間を経て、ロール6〜12を配置してなる雰囲気温度200℃に設定されたオーブン24内に導き、ロール13〜16を配置してなる155℃の温度に設定された延伸機25により延伸倍率1.3倍で縦一軸延伸し、ポリサルフォン延伸フィルムを得た。
【0101】
次に、急冷工程において上記のようにして得たポリサルフォン延伸フィルムに、エアー冷却装置21から冷風を吹きつけ、1.0秒で表面温度を80℃とし、厚み71±2.5μmのポリサルフォン未延伸フィルム20を得た。
【0102】
上記のようにして得たポリサルフォン未延伸フィルム20から実施例1と同様にして位相差板サンプルを切り出し、評価した。レターデーション値の平均値は389nm、レターデーション値のばらつきの最大値は2.3nm、1cm離れた2点間のレターデーション値の差は最大で0.8nmであった。
【0103】
(実施例8)実施例8では、図3に示した製造装置を用いた。ポリサルフォン樹脂ぺレット(アモコ社製、商品名:UDEL P3500、ガラス転移点190℃)を一軸押出機(図示せず)のホッパーに投入し、該熱可塑性樹脂100重量部に対し、フタル酸ジエチル(沸点298℃)3重量部をプランジャーポンプ(図示せず)にて一軸押出機(図示せず)内に圧入し、押出温度290℃でTダイ1から溶融押出し、表面温度140℃の金属ロール3とゴムロール2とでニップして冷却し、厚み83μm±2.0μmのポリサルフォン未延伸フィルム19を得た。
【0104】
上記未延伸フィルム19をロール4,5間を経て、ロール6〜12を配置してなる雰囲気温度220℃に設定されたオーブン24内に導き、ロール13〜16を配置してなる175℃の温度に設定された延伸機25により延伸倍率1.3倍で縦一軸延伸し、ポリサルフォン延伸フィルムを得た。
【0105】
次に、急冷工程において上記のようにして得たポリサルフォン延伸フィルムにエアー冷却装置21から冷風を吹きつけ、1.0秒で表面温度を80℃までとし、厚み71±2.5μmのポリサルフォン延伸フィルム20を得た。
【0106】
上記のようにして得たポリサルフォン延伸フィルム20から実施例1と同様にして位相差板サンプルを切り出し、評価した。レターデーション値の平均値は395nm、レターデーション値のばらつきの最大値は2.0nm、1cm離れた2点間のレターデーション値の差は最大で0.6nmであった。
【0107】
(実施例9)ポリサルフォン樹脂(アコモ社製、商品名:UDEL P3500、ガラス転移点190℃)100重量部と、フタル酸ジエチル(沸点295℃)1重量部とをタンブラーで混合し、一軸押出機を用いて290℃でTダイから溶融押出し、表面温度140℃の金属ロールとゴムロールとからなるニップロールを通じて冷却し、平均厚み75±2μmのポリサルフォン未延伸フィルムを作製した。
【0108】
上記未延伸フィルムをロール延伸機により、予熱ゾーンの温度を180℃、延伸ゾーンの温度を175℃として延伸倍率1.4倍で縦一軸延伸し、さらに210℃に設定された揮発ゾーンでフタル酸ジエチルを揮発させた後、エアー冷却装置により、0.5秒で50℃以下に急冷し、厚み68±2.5μmのポリサルフォン延伸フィルムを得た。
【0109】
得られたポリサルフォン延伸フィルムの中央から幅500mm及び長さ1000mmの位相差板サンプルを切り出した。この位相差板サンプルの633nmにおけるレターデーション値を幅方向及び長さ方向共に1cm間隔で測定した。その結果、レターデーション値の平均値は435nm、ばらつきの最大値(レターデーション最大値−レターデーション最小値)は4.1nm、1cm離れた2点間のレターデーション値の差の最大値は0.7nmであった。
【0110】
(比較例1)延伸機における温度設定に際し、フィルム幅方向(Tg方向)の両端のうち厚みが厚い側の端部が走行する領域を190℃、厚みが薄い側の端部が走行する領域を200℃となるように熱風を排出させたことを除いては実施例1と同様にしてポリサルフォン延伸フィルム20を得た。
【0111】
上記のように温度設定したため、延伸直後のフィルムの全面を放射温度計で測定したところ、76μmの厚みの部分における厚み方向平均温度は、64μmの厚みの部分の厚み方向平均温度より4.0℃低かった。
【0112】
上記のようにして得られたフィルムから実施例1と同様にして位相差板サンプルを切り出し、評価した。レターデーション値の平均値は449nm、レターデーション値のばらつきの最大値(フィルム面内におけるレターデーション最大値−レターデーション最小値)は18.0nmであり、1cm離れた2点間のレターデーション値の差は最大で5.5nmであった。
【0113】
(比較例2)図2に示した装置を用いた。ポリサルフォン樹脂ぺレット(アモコ社製、商品名:UDEL P3500、ガラス転移点190℃)を一軸押出機(図示せず)のホッパーに投入し、押出温度340℃でTダイ1から溶融押出し、表面温度165℃の金属ロール3とゴムロール2とでニップして冷却し、厚み83μm±2.0μmのポリサルフォン未延伸フィルム19を得た。
【0114】
上記未延伸フィルム19をロール4,5間を経て、ロール6〜12を配置してなる220℃の温度に保たれたオーブン24に入れ、次にロール13〜16を配置してなる220℃の温度に保たれた延伸機25により延伸倍率1.3倍で縦一軸延伸し、室温(20℃)まで放冷し、厚み72μm±2.5μmのフィルム20を得た。
【0115】
得られたフィルム20から実施例1と同様にして位相差板サンプルを切り出し、評価した。レターデーション値の平均値は370nm、レターデーション値のばらつきの最大値は15.0nm、1cm離れた2点間のレターデーション値の差は最大で4.1nmであった。
【0116】
(比較例3)図2に示した装置を用いた。ポリサルフォン樹脂ぺレット(アモコ社製、商品名:UDEL P3500、ガラス転移点190℃)を一軸押出機(図示せず)のホッパーに投入し、押出温度340℃でTダイ1から溶融押出し、表面温度165℃の金属ロール3とゴムロール2とでニップして冷却し、厚み83μm±2.0μmのポリサルフォン未延伸フィルム19を得た。
【0117】
上記未延伸フィルム19をロール4,5間を経て、ロール6〜12を配置してなる200℃の温度に保たれたオーブン24に入れ、次にロール13〜16を配置してなる230℃の温度に保たれた延伸機25により延伸倍率1.3倍で縦一軸延伸し、室温(20℃)まで放冷し、厚み70μm±2.5μmのフィルム20を得た。
【0118】
なお、延伸直後におけるフィルムの表面全面を放射温度計(図示せず)で測定したところ、72.5μmの厚みの部分の厚み方向平均温度は、67.5μmの厚みの部分の厚み方向平均温度よりも0.6℃低かった。
【0119】
得られたフィルム20から実施例1と同様にして位相差板サンプルを切り出し、評価した。レターデーション値の平均値は487nm、レターデーション値のばらつきの最大値は26.1nm、1cm離れた2点間のレターデーション値の差は最大で6.7nmであった。
【0120】
(比較例4)図2に示した製造装置を用いた。ポリカーボネート樹脂ぺレット(帝人化成社製、商品名:パンライト、ガラス転移点150℃)を一軸押出機のホッパーに投入し、押出温度250℃でTダイ1から溶融押出し、表面温度130℃の金属ロール3とゴムロール2とでニップして冷却し、厚み78μm±2.0μmのポリカーボネート未延伸フィルム19を得た。
【0121】
上記未延伸フィルム19を、ロール4,5間を経て、ロール6〜12を配置してなる185℃に保たれたオーブン24に入れた後、次にロール13〜16を配置してなる185℃の温度に保たれた延伸機25で延伸倍率1.3倍で縦一軸延伸し、室温(20℃)まで放冷し、厚み68μm±2.5μmのフィルム20を得た。
【0122】
得られたフィルム20から、実施例1と同様にして位相差板サンプルを切り出し、評価した。レターデーション値の平均値は398nmであり、レターデーション値のばらつき最大値は16.3nmであり、1cm離れた2点間のレターデーション値の差は最大で4.5nmであった。
【0123】
(比較例5)比較例5では、図3に示した製造装置を用いた。ポリサルフォン樹脂ぺレット(アモコ社製、商品名:UDEL P3500、ガラス転移点190℃)を一軸押出機(図示せず)のホッパーに投入し、押出温度340℃でTダイ1から溶融押出し、表面温度165℃の金属ロール3とゴムロール2とでニップして冷却し、厚み83μm±2.0μmのポリサルフォン未延伸フィルム19を得た。
【0124】
上記未延伸フィルム19をロール4,5間を経て、ロール6〜12を配置してなる雰囲気温度235℃に設定されたオーブン24内に導き、ロール13〜16を配置してなる190℃の温度に設定された延伸機25により延伸倍率1.3倍で縦一軸延伸し、ポリサルフォン延伸フィルムを得た。
【0125】
次に、上記のようにして得たポリサルフォン延伸フィルムを雰囲気温度170℃に設定されたオーブン26に導き、延伸してから1分後に表面温度が170℃に達するように徐冷し、厚み72±2.5μmのポリサルフォン延伸フィルム20を得た。
【0126】
上記のようにして得たポリサルフォン延伸フィルム20から実施例1と同様にして位相差板サンプルを切り出し、評価した。レターデーション値の平均値は370nm、レターデーション値のばらつきの最大値は10nm、1cm離れた2点間のレターデーション値の差は最大で3.5nmであった。
【0127】
(比較例6)比較例6では、図3に示した製造装置を用いた。ポリカーボネート樹脂ぺレット(帝人化成社製、商品名:パンライト、ガラス転移点150℃)を一軸押出機(図示せず)のホッパーに投入し、押出温度250℃でTダイ1から溶融押出し、表面温度130℃の金属ロール3とゴムロール2とでニップして冷却し、厚み78μm±2.0μmのポリカーボネート未延伸フィルム19を得た。
【0128】
上記未延伸フィルム19をロール4,5間を経て、ロール6〜12を配置してなる雰囲気温度200℃に設定されたオーブン24内に導き、ロール13〜16を配置してなる155℃の温度に設定された延伸機25により延伸倍率1.3倍で縦一軸延伸し、ポリカーボネート延伸フィルムを得た。
【0129】
次に、上記のようにして得たポリカーボネート延伸フィルムを雰囲気温度170℃に設定されたオーブン26に導き、延伸してから1分後に表面温度が170℃に達するように徐冷し、厚み69±2.5μmのポリカーボネート延伸フィルム20を得た。
【0130】
上記のようにして得たポリカーボネート延伸フィルム20から実施例1と同様にして位相差板サンプルを切り出し、評価した。レターデーション値の平均値は375nm、レターデーション値のばらつきの最大値は9.3nm、1cm離れた2点間のレターデーション値の差は最大で3.2nmであった。
【0131】
(比較例7)比較例7では、図3に示した製造装置を用いた。ポリサルフォン樹脂ぺレット(アモコ社製、商品名:UDEL P3500、ガラス転移点190℃)を一軸押出機(図示せず)のホッパーに投入し、該熱可塑性樹脂100重量部に対し、フタル酸ジイソノニル(沸点403℃)3重量部をプランジャーポンプ(図示せず)にて一軸押出機(図示せず)内に圧入し、押出温度260℃でTダイ1から溶融押出し、表面温度140℃の金属ロール3とゴムロール2とでニップして冷却し、厚み83μm±2.0μmのポリサルフォン未延伸フィルム19を得た。
【0132】
上記未延伸フィルム19をロール4,5間を経て、ロール6〜12を配置してなる雰囲気温度185℃に設定されたオーブン24内に導き、ロール13〜16を配置してなる185℃の温度に設定された延伸機25により延伸倍率1.3倍で縦一軸延伸し、厚み72±2.5μmのポリサルフォン延伸フィルム20を得た。
【0133】
上記のようにして得たポリサルフォン延伸フィルム20から実施例1と同様にして位相差板サンプルを切り出し、評価した。レターデーション値の平均値は348nm、レターデーション値のばらつきの最大値は13.5nm、1cm離れた2点間のレターデーション値の差は最大で3.7nmであった。
【0134】
(比較例8)比較例8では、図3に示した製造装置を用いた。ポリサルフォン樹脂ぺレット(アモコ社製、商品名:UDEL P3500、ガラス転移点190℃)を一軸押出機(図示せず)のホッパーに投入し、該熱可塑性樹脂100重量部に対し、フタル酸ジエチル(沸点298℃)3重量部をプランジャーポンプ(図示せず)にて一軸押出機(図示せず)内に圧入し、押出温度260℃でTダイ1から溶融押出し、表面温度140℃の金属ロール3とゴムロール2とでニップして冷却し、厚み83μm±2.0μmのポリサルフォン未延伸フィルム19を得た。
【0135】
上記未延伸フィルム19をロール4,5間を経て、ロール6〜12を配置してなる雰囲気温度185℃に設定されたオーブン24内に導き、ロール13〜16を配置してなる185℃の温度に設定された延伸機25により延伸倍率1.3倍で縦一軸延伸し、厚み72±2.5μmのポリサルフォン延伸フィルム20を得た。
【0136】
上記のようにして得たポリサルフォン延伸フィルム20から実施例1と同様にして位相差板サンプルを切り出し、評価した。レターデーション値の平均値は357nm、レターデーション値のばらつきの最大値は12.8nm、1cm離れた2点間のレターデーション値の差は最大で3.3nmであった。
【0137】
(比較例9)比較例9では、図3に示した製造装置を用いた。ポリサルフォン樹脂ぺレット(アモコ社製、商品名:UDEL P3500、ガラス転移点190℃)を一軸押出機(図示せず)のホッパーに投入し、該熱可塑性樹脂100重量部に対し、フタル酸ジエチル(沸点298℃)3重量部をプランジャーポンプ(図示せず)にて一軸押出機(図示せず)内に圧入し、押出温度260℃でTダイ1から溶融押出し、表面温度140℃の金属ロール3とゴムロール2とでニップして冷却し、厚み83μm±2.0μmのポリサルフォン未延伸フィルム19を得た。
【0138】
上記未延伸フィルム19をロール4,5間を経て、ロール6〜12を配置してなる雰囲気温度205℃に設定されたオーブン24内に導き、ロール13〜16を配置してなる175℃の温度に設定された延伸機25により延伸倍率1.3倍で縦一軸延伸し、ポリサルフォン延伸フィルムを得た。
【0139】
次に、上記のようにして得たポリサルフォン延伸フィルムを雰囲気温度170℃に設定されたオーブン26に導き、延伸してから、1分後に170℃に到達するように徐冷し、厚み72±2.5μmのポリサルフォン延伸フィルム20を得た。
【0140】
上記のようにして得たポリサルフォン延伸フィルム20から実施例1と同様にして位相差板サンプルを切り出し、評価した。レターデーション値の平均値は295nm、レターデーション値のばらつきの最大値は8.0nm、1cm離れた2点間のレターデーション値の差は最大で2.5nmであった。
【0141】
(比較例10)フタル酸ジエチルを3重量部としたこと、揮発工程がないこと以外は実施例9と同様にして厚み66±2.5μmのポリサルフォン製位相差板を得た。
【0142】
得られたポリサルフォン製位相差板を実施例9と同様にしてレターデーション値を測定した。その結果、レターデーション値の平均値は485nm、ばらつきの最大値は12nm、1cm離れた2点間のレターデーション値の差の最大値は6nmであった。
【0143】
(比較例11)急冷工程なしに室温20℃で放冷したこと以外は実施例9と同様にして厚み69±2.5μmのポリサルフォン製位相差板を得た。
【0144】
得られたポリサルフォン製位相差板を実施例9と同様にしてレターデーション値を測定した。その結果、レターデーション値の平均値は275nm、ばらつきの最大値は7nm、1cm離れた2点間のレターデーション値の差の最大値は4.5nmであった。
【0145】
上記実施例1〜9及び比較例1〜11の条件とレターデーション値についての結果を下記の表1〜4に示す。なお、以下の表1〜4におけるフィルム温度差とは、(延伸直後における厚みの最も厚い部分のフィルム温度)−(延伸直後の最も厚みの薄い部分のフィルム温度)を示す。
【0146】
【表1】
Figure 0003654769
@0001
【0147】
【表2】
Figure 0003654769
@0002
【0148】
【表3】
Figure 0003654769
@0003
【0149】
【表4】
Figure 0003654769
@0004
【0150】
【発明の効果】
請求項1〜5に記載の発明によれば、延伸前の熱可塑性樹脂フィルムに厚みむらが存在したとしても、フィルム面内方向におけるレターデーション値の均一性が高められた位相差板を得ることが可能となる。また、請求項1〜3及び5に記載の発明においては、使用する熱可塑性樹脂フィルムの製造方法については限定されず、例えば請求項4に記載のように溶融押出成形法により得られた熱可塑性樹脂フィルムを用いることができるので、高い生産性で安定的にレターデーション値が均一な位相差板を製造することが可能となる。よって、請求項1〜5に記載の発明に係る位相差板の製造方法により得られた位相差板を、例えば白黒液晶表示装置に用いた場合には、鮮明な白黒画像を得ることができ、カラー液晶表示装置に用いた場合には、色相の反転が生じ難い高品位のカラー表示を得ることが可能となる。
【0151】
特に、請求項1〜2に記載の発明に係る位相差板の製造方法では、熱可塑性樹脂フィルムに厚みばらつきがある場合であっても、それぞれ延伸工程において、相対的に厚みの厚い部分の温度が相対的に厚みの薄い部分よりも温度が高められるので、厚みの厚い部分では、延伸後に複屈折率Δnが相対的に低くなり、それによってフィルム面内方向におけるレターデーション値のばらつきを低減することができる。
【0152】
また、請求項3に記載の発明では、延伸工程で上記のようにレターデーション値のばらつきを少なくした後、さらに瞬時に急冷することにより、レターデーション値の面内方向の均一性が維持され、より一層レターデーション値のばらつきの少ない位相差板を提供することができる。
【0153】
請求項4に記載の発明によれば、熱可塑性樹脂フィルムが溶融押出成形により得られるため、上述したように、位相差板の製造に際しての生産性を高めることができ、かつ位相差板のコストダウンを図ることができる。
【0154】
【0155】
請求項5に記載の発明によれば、熱可塑性樹脂フィルムに可塑剤が含有されているので、該可塑剤が延伸に先立ちあるいは延伸工程において揮発し、相対的に厚みの厚い部分における可塑剤含有量が相対的に厚みの薄い部分における可塑剤含有量よりも多くなる。従って、延伸によりフィルムに複屈折性を与えた場合、相対的に厚みの厚い部分の複屈折率Δnが小さくなり、より一層フィルムの面内方向におけるレターデーション値の均一化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項3に記載の発明において、急冷工程によりレターデーション値が均一化される工程を説明するための図であり、延伸及び延伸後の緩和工程における厚みの厚い部分と薄い部分における応力の大きさを説明するための図。
【図2】実施例1〜4及び比較例1〜4,7,8で用いられた製造装置を説明するための概略構成図。
【図3】実施例5〜8及び比較例5,6,9で用いられた製造装置の概略構成を示す図。
【図4】実施例1で得られたポリサルフォン未延伸フィルムの横断面図であり、幅方向における厚みのばらつきを説明するための横断面図。
【符号の説明】
1…Tダイ
2…ゴムロール
3…金属ロール
4〜18…ロール
19…未延伸フィルム
20…延伸後の熱可塑性樹脂フィルム
21…エアー冷却装置
22…熱風装置

Claims (5)

  1. 延伸前に、熱可塑性樹脂フィルムを、ガラス転移点をTgとしたとき、Tg−30℃〜Tg+60℃の範囲内の一定温度に保った後、該一定温度よりも低い温度に冷却しつつ、厚みの厚い部分が薄い部分よりも厚み方向の平均温度が高くなるようにして一軸または二軸延伸する位相差板の製造方法であって、熱可塑性樹脂フィルムの下記の式(1)で表わされる幅方向の厚み差R
    厚み差R={(最大厚み−最小厚み)/平均厚み}/2×100(%)・・・(1)
    を±A%とすると、該熱可塑性樹脂フィルムの厚みが最も厚い部分の方が厚みの最も薄い部分よりも厚み方向の平均温度が0.1A〜0.6A℃高い状態で延伸することを特徴とする位相差板の製造方法。
  2. 延伸前と延伸中のフィルムの温度差=(延伸前のフィルム温度)−(延伸中のフィルム温度)が20℃〜90℃の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の位相差板の製造方法。
  3. 延伸後のフィルム温度が、Tg以上の場合に、延伸直後に延伸された熱可塑性樹脂フィルムをTg−20℃以下に急冷することを特徴とする請求項1又は2に記載の位相差板の製造方法。
  4. 延伸前の熱可塑性樹脂フィルムが溶融押出成形法で得られた熱可塑性樹脂フィルムである、請求項1〜3のいずれかに記載の位相差板の製造方法。
  5. 延伸前の熱可塑性樹脂フィルムとして、熱可塑性樹脂100重量部に対し可塑剤0.2〜20重量部を含有する熱可塑性樹脂フィルムを用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の位相差板の製造方法。
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