JPH10264237A - 光学フィルム製造用原反及びその製造方法 - Google Patents

光学フィルム製造用原反及びその製造方法

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JPH10264237A
JPH10264237A JP9075780A JP7578097A JPH10264237A JP H10264237 A JPH10264237 A JP H10264237A JP 9075780 A JP9075780 A JP 9075780A JP 7578097 A JP7578097 A JP 7578097A JP H10264237 A JPH10264237 A JP H10264237A
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JP
Japan
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resin
optical film
producing
temperature
raw material
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JP9075780A
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Akihisa Miura
明久 三浦
Yasumasa Okada
安正 岡田
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 位相差のムラ(バラツキ)が少なく、液晶表
示装置の色相補償板として好適な光学フィルムを製造す
ることができる光学フィルム製造用原反を得る。 【解決手段】 フィルムの法線方向に対して直交方向に
存在する2つの光学軸の屈折率の差の絶対量が1×10
-4以下で、かつ波長589nmの光源で測定したリタデ
ーション値のバラツキが機械送り方向に対し直角方向に
おいて±3nm以下であり、かつ厚みのバラツキが全面
で±2%以下であるポリサルフォンフィルムからなる光
学フィルム製造用原反であり、例えば、金型2を用いて
押出したポリサルフォン樹脂5を強制冷却ロール3,4
に接触させて冷却し、金型2から強制冷却ロール3,4
までの空冷区間の樹脂温度を樹脂のガラス転移点(T
g)より50℃以上高い温度とし、強制冷却ロール3,
4での冷却温度を樹脂のガラス転移点(Tg)より30
℃低い温度以上とし、強制冷却ロール3,4からポリサ
ルフォン樹脂5を剥離する際の剥離力を5kgf/cm
以下として製造することができることを特徴としてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、位相差補償板など
として用いることができる光学フィルム製造用原反及び
その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在市販されている液晶ディスプレイの
うちSTN(スーパー・ツイスティッド・ネマチック)
型液晶を用いた表示装置(一般にSTN−LCDと呼ば
れる)においては、液晶自体が持つ光学特性を補償し表
示性能を上げるために位相差補償板(一般に位相差板あ
るいは位相差フィルムと呼ばれる:以後「位相差板」と
略す)が表示素子内に組み込まれている。位相差板の原
料となる樹脂は、ポリカーボネート、ポリビニルアルコ
ール、ポリサルフォン等が知られているが、最近液晶デ
ィスプレイの高速表示の面から、ポリサルフォンのニー
ズが高まっている。
【0003】ポリサルフォンの位相差板としては、従
来、特開平6−230369号公報等に開示されたもの
が知られており、その原反は全て溶剤キャスト法で作ら
れているのが現状である。
【0004】溶剤キャスト法でフィルムを作製する場
合、加熱等の処理を行って、塗工した溶液中の溶剤を気
化させ製膜を行う。このとき溶剤が気化した後のフィル
ムは、溶剤分だけ体積が収縮して固化する。また、この
作業は、インライン上で連続的に行われる。このためラ
イン速度が早く、溶剤の気化速度が早いと、樹脂は急激
に収縮することになる。一般に、塗工は、金属のエンド
レスベルトや樹脂フィルム等のベース上で行われるた
め、塗膜が基材上を滑ることができず、収縮が拘束さ
れ、その結果、引張応力が残留した状態でフィルムが形
成される。従って、溶剤キャスト法で製膜する場合、応
力が残留し易い。
【0005】応力を残留させないようにするためには、
ライン速度を非常に遅くする方法があるが、一般の成形
速度に比べあまりに遅すぎるため、非常にコスト高とな
り現実的でない。また、機械的に不安定になり易く、安
定供給が難しくなる。
【0006】作製した溶剤キャストフィルムは、縦一軸
延伸、横一軸延伸、あるいは同時二軸延伸のいずれかの
延伸処理を行い、所定の位相差を発現させる。製膜時に
残留した応力も位相差として計測されるが、延伸時に得
られた位相差とはオーダーが異なり、延伸時の位相差の
方が著しく大きい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、液晶デ
ィスプレイに使用される位相差板の位相差は、非常に均
一であることが要求される。従って、上述のようにして
溶剤キャスト法により作製された位相差フィルムは、製
膜時の応力が残留したまま延伸されるので、延伸後の位
相差フィルムの位相差の均一性が不十分であるという問
題があった。
【0008】本発明の目的は、位相差のムラが少なく、
液晶表示装置の色相補償板として好適な光学フィルムを
与える光学フィルム製造用原反及びその製造方法を提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、延伸して光学フィルムを製造するための、ポリサル
フォン樹脂からなる光学フィルム製造用原反であり、フ
ィルムの法線方向に対して直交方向に存在する2つの光
学軸の屈折率の差の絶対量が1×10-4以下で、かつ波
長589nmの光源で測定したリタデーション値のバラ
ツキが機械送り方向に対し直角方向において±3nm以
下であり、かつ厚みのバラツキが全面で±2%以下であ
ることを特徴としている。
【0010】請求項1に記載の発明の光学フィルム製造
用原反は、フィルムの法線方向に対して直交方向に存在
する2つの光学軸の屈折率の差の絶対量が1×10-4
下である。この値よりも大きくなると、残留している応
力が大きく、延伸前の原反に位相差のムラが存在するこ
とになり、延伸後の光学フィルムの位相差のムラが大き
くなり過ぎる。
【0011】また、請求項1に記載の発明では、波長5
89nmの光源で測定したリタデーション値のバラツキ
が機械送り方向に対し直角方向(TD方向)において±
3nm以下である。なお、このリタデーション値のバラ
ツキは、フィルムの端部で、フィルム中心部の平均値よ
り明らかに厚みの厚い部分であるいわゆる「耳」を落と
した後の状態でこの範囲となっていることが必要であ
る。このように位相差前の原反の状態で、リタデーショ
ン値すなわち位相差のバラツキが小さい原反を用いるこ
とにより、得られる光学フィルムの位相差の均一性を高
めることができる。
【0012】すなわち、応力状態が異なることにより位
相差ムラを有するフィルムを延伸すると、延伸後の位相
差にも影響がある。例えば、延伸直前の原反内に位相差
が10nmの箇所と15nmの箇所があれば、延伸後に
10nmの箇所は例えば500nmになり、15nmの
箇所は少なくとも原反の位相差ムラ5nmの影響によっ
て505nmになる可能性のあることを本発明者らは見
出した。すなわち、本発明者らの知見によれば、原反の
位相差ムラが延伸後の均一性に大きく影響する。従っ
て、延伸前の原反において位相差ムラの少ない原反を用
いることが必要である。
【0013】また、フィルム法線方向から光を入射させ
たときの位相差Reは、Re=Δn×d(Δn:面内方
向の屈折率の差,d:フィルムの厚み)で表され、Δn
だけでなく、均一性のためには、dも均一であることが
必要である。従って、請求項1に記載の発明では、原反
の厚みのバラツキが全面で±2%以下であることを要件
としている。
【0014】請求項2に記載の発明は、金型を用いて押
出したポリサルフォン樹脂を強制冷却手段に接触させて
冷却することにより請求項1に記載の光学フィルム製造
用原反を製造する方法であり、金型から強制冷却手段ま
での空冷区間の樹脂温度を樹脂のガラス転移点(Tg)
より50℃以上高い温度とし、強制冷却手段での冷却温
度を樹脂のガラス転移点(Tg)より30℃低い温度以
上とし、強制冷却手段からポリサルフォン樹脂を剥離す
る際の剥離力を5kgf/cm以下とすることを特徴と
している。
【0015】請求項2に記載の発明においては、押出し
たポリサルフォン樹脂を強制冷却手段に接触させて冷却
している。押出したポリサルフォン樹脂の冷却過程は、
強制冷却手段までの空冷と、強制冷却手段による強制冷
却とに分けられる。空冷は、一般にエアギャップと呼ば
れる箇所で行われる。請求項2に記載の発明では、この
空冷区間において、樹脂温度を樹脂のガラス転移点(T
g)より50℃以上高い温度(すなわちTg+50℃以
上の温度)に保たれる。
【0016】この樹脂温度は、吐出時の樹脂温度やエア
ギャップの距離に関係なく保持される。このような樹脂
温度に保つことにより、応力の発生を防止することがで
きる。ポリサルフォンのガラス転移点(Tg)は約18
0℃である。温度の保持には、温風や赤外線ヒーター等
を用いてもよいが、強制的な加熱は加熱ムラの可能性が
あるので注意を要する。樹脂温度の測定は、赤外線放射
温度計が非接触式であり最も好ましいが、特に問題がな
ければ、接触式温度計を用いてもよい。
【0017】吐出時の金型(Tダイ)の成形温度は、粘
度が高すぎて(樹脂温度が低すぎて)樹脂が押し出せな
かったり、温度が高すぎて樹脂が分解したりするような
ことがなければ、特に限定されないが、一般には約33
0℃〜400℃の範囲内であることが好ましい。
【0018】またポリサルフォン樹脂を押し出す押出機
のスクリューは、汎用樹脂用の市販品でよく、ユニメル
トタイプであってもよく、フルフライトタイプであって
もよい。ゲル等の未溶融物を防止するためには、ユニメ
ルトタイプ等のミキシング部を設けた機構のものが好ま
しい。
【0019】請求項2に記載の発明において、強制冷却
手段は、ポリサルフォン樹脂の面に接触して強制的に冷
却する手段である。一般には、金属ロールを用いたロー
ル冷却や、金属無端ベルトを用いたベルト冷却により行
われる。強制冷却手段での冷却温度は、樹脂のガラス転
移点(Tg)より30℃低い温度以上(すなわちTg−
30℃以上)となるように冷却される。強制冷却手段で
の冷却温度が、これより低いと、樹脂温度と冷却温度と
の差により樹脂が急激に冷却されて、TD方向(Traver
se Directinon:機械送り方向に対し直角方向)に引張応
力が残留するおそれがある。また、MD方向(機械送り
方向)にうろこ状に樹脂厚みが凹凸になる場合があり、
フィルムの平坦性の面からも上記の樹脂温度を保つこと
が好ましい。
【0020】また、表面と裏面の冷却状態を均等にする
ために、挟圧等の両面冷却が好ましい。表面と裏面の冷
却履歴が異なると、厚み方向に応力が発生するおそれが
あるからである。ただし、金属ロール−金属ロールの挟
圧では挟圧の圧力が高すぎるため、かえって樹脂に配向
ムラが生じ不適当な場合がある。この場合、片面を鏡面
ゴムロールあるいは金属鏡面で被覆したゴムロールとし
て、金属ロールと挟圧するか、あるいは金属ベルト−金
属ベルトによる挟圧が好ましい。
【0021】ポリサルフォン樹脂を押出し強制冷却する
際のライン速度は、特に限定されるものではないが、1
m/分以上が好ましい。機械精度(回転精度)の面から
は、3m/分以上が好ましい。
【0022】強制冷却手段から冷却後のポリサルフォン
樹脂を剥離する際の剥離力は、5kgf/cm以下にな
るように設定する。ここで、剥離力とは、剥離するとき
の張力/フィルム幅で定められる値である。一般に、樹
脂は、Tg以下に冷却されると弾性領域に入るため、引
っ張られても応力は残留しないが、ロール上で冷却され
る樹脂は、仮に表面が冷却温度(ロール温度、ベルト温
度)まで冷却されていても、中心部の温度が下がりきっ
ていない場合が多い。このため、剥離力を5kgf/c
mより大きくすると、ロール冷却上の冷却の完了してい
ない樹脂部分が配向し、応力が残留してしまう。剥離力
の影響を小さくするために、強制冷却を開始した後の樹
脂の冷却速度を早めて固化させる手法も考えられる。例
えば、ロール上の樹脂に沿って金属ベルトを押し付けて
両面を挟み込んで冷却する方法や、2つの金属無端ベル
トで両面を挟み込んで冷却する方法等があり、通常の挟
圧成形よりも剥離の影響を小さくすることができる。
【0023】剥離の手段としては、空気を用いる方法、
ドクターブレードのようなヘラを用いる方法等が挙げら
れるが、TD方向の剥離位置を一定とするためには、金
属ロールやゴムロール等のロールを用いる方法がよい。
【0024】請求項3に記載の発明は、上記光学フィル
ム製造用原反をライン速度を1m/分以上とし、延伸温
度を樹脂のガラス転移点(Tg)からそれより80℃高
い温度までの範囲とし、延伸倍率を1.05〜2.0倍
として延伸することを特徴としている。
【0025】延伸方法としては、縦一軸延伸、横一軸延
伸、同時二軸延伸、逐次二軸延伸や空気にてフィルムを
浮かせて延伸する方法、オイルバス中で延伸する方法、
横一軸延伸後機械送り方向に弛ませた樹脂を収縮させる
方法、MD方向に樹脂を弛ませて取り付けた後、横一軸
延伸を行う方法等種々の方法が挙げられる。延伸後の位
相差に著しいバラツキや外観不良、斜め方向入射の位相
差が著しく変化する視野角の不良等の不具合がなけれ
ば、どのような延伸方法で延伸してもよい。また、延伸
間距離が短い近接延伸であっても、延伸間距離が長い非
近接延伸であってもよい。
【0026】延伸の際の温度は、ネッキング現象防止の
ためTg以上であることが好ましい。また、所定の位相
差を得るためには、上限値はTg+80℃以下が好まし
く、さらに好ましくはTg+40℃以下である。
【0027】延伸時のラインの速度は、0.5m/分以
上であればよく、機械の安定性及び機械精度の安定性の
面からは、1m/分以上が好ましい。延伸倍率は、所定
の位相差が得られれば、特に限定されるものではない
が、均一性の面からは、1.05倍〜2.0倍の範囲が
好ましい。
【0028】請求項4に記載の発明の光学フィルムは、
上記光学フィルム製造用原反を延伸することにより得ら
れる光学フィルムである。上記光学フィルム製造用原反
は、リタデーション値すなわち位相差のバラツキが少な
く、かつ厚みのバラツキの少ない原反であり、このよう
な原反を延伸することにより、リタデーション値すなわ
ち位相差のバラツキの少ない光学フィルムを得ることが
できる。請求項4に記載の発明の光学フィルムは、波長
589nmの光源で測定したリタデーション値が100
nm以上であり、そのバラツキが2%以下であることを
特徴としている。また、好ましくは、リタデーション値
は300nm以上である。
【0029】
【発明の実施の形態】実施例1 図1に示すロール成形装置を用いてポリサルフォンフィ
ルムの原反を作製した。図1に示すように、押出機1の
金型(Tダイ)2から押出したポリサルフォン樹脂5を
強制冷却手段である金属製の強制冷却ロール3とゴム製
の強制冷却ロール4との間に供給し、強制冷却してロー
ル10,11で引き取る。
【0030】押出機及び使用した樹脂並びに押出条件は
以下の通りである。 押出機:スクリュー軸径50mm、単軸、フルフライト
タイプ 樹脂:帝人アモコ・エンジニアリングプラスチック社
製、P−1700(UDEL) 押出量:30kg/時,吐出幅:800mm,樹脂T
g:180℃
【0031】押出機における吐出時の樹脂温度は350
℃とし、金型2から押し出したポリサルフォン樹脂の強
制冷却ロール3,4までの空冷区間における距離(エア
ギャップ距離)を20cmとし、強制冷却ロール3,4
直前の樹脂温度は270℃とした。また空冷区間におけ
る樹脂温度は、常時樹脂のTg+50℃以上に保った。
なお、樹脂温度の測定は、JEOL社のサーモビュアー
を使用した。
【0032】強制冷却ロール3,4としては、以下のも
のを用いた。 強制冷却ロール3:金属ロール,表面Cr鍍金,ロール
径900mm,面長1000mm 強制冷却ロール4:シリコンゴムロール、表面は鏡面S
USを貼付、ロール径900mm,面長1000mm
【0033】強制冷却におけるライン速度は20m/分
とし、強制冷却ロールにおける冷却温度は170℃に設
定し、挟圧時のロール間隙は樹脂厚みの1/2(50μ
m)とした。
【0034】強制冷却ロール3からのポリサルフォンフ
ィルムの剥離は、剥離力が4kgf/cmとなるように
設定した。なお、この剥離力の設定は、ロール10,1
1の位置を調整することにより調整が可能である。
【0035】以上のようにして得られたポリサルフォン
フィルムの原反について、屈折率差の絶対量、位相差及
び厚みを測定した。屈折率差の絶対量とは、特許請求の
範囲において規定したフィルムの法線方向に対して直交
方向に存在する2つの光学軸の屈折率の差の絶対量であ
り、アタゴ社製「アッベ式屈折率計」を用いて測定し、
位相差は、セナルモン方式測定機(特注品)を用い、測
定波長589nm(Na−D線)により行った。また、
厚みの測定は、東京精密社製のマイクロメーターを用
い、5mm間隔で測定した。測定結果を表1に示す。
【0036】以上のようにして得られたポリサルフォン
フィルムの原反を用いて、縦一軸延伸を行い、光学フィ
ルムを得た。延伸後は、両端部30mmを耳として落と
した。なお、以下のロールを延伸に用いた。 予熱ロール(3本):210℃ 延伸ロール(2本):200℃ 冷却ロール(2本):170℃
【0037】なお、各ロールの直径は200mmであ
り、ロール面長は800mmである。また延伸速度は1
m/分とし、延伸倍率は1.20倍とした。延伸後のフ
ィルムの位相差及びそのバラツキを測定し、表1に示し
た。
【0038】実施例2 押出機における吐出時の樹脂温度を330℃とし、空冷
区間の距離(エアギャップ距離)を15cmとし、強制
冷却ロール直前の温度を260℃とし、常時Tg+50
℃以上となるように保持し、強制冷却ロールにおける冷
却温度を160℃とする以外は、上記実施例1と同条件
でポリサルフォンフィルムを成形し、これを延伸した。
【0039】実施例3 図2に示す装置を用いてポリサルフォンフィルムを成形
した。図2に示すように、押出機1の金型2から押し出
されたポリサルフォン樹脂5を金属製の強制冷却ロール
3と、無端ベルト6との間で密着させ強制冷却する。金
属製の無端ベルト6は、ゴム製ロール4と、押し付けロ
ール8と、張力ロール9に架けられている。無端ベルト
6と強制冷却ロール3に挟まれ冷却されたポリサルフォ
ンフィルムは、剥離ロール7によって強制冷却ロール3
から剥離される。この剥離ロール7の位置により剥離力
を調整することができる。図2に示す成形装置を用いた
こと以外は、実施例1と同一の条件でポリサルフォンフ
ィルムを成形し、これを延伸した。
【0040】比較例1 図3に示すように、金型2から押し出されたポリサルフ
ォン樹脂を強制冷却ロール3,4に送るまでの空冷区間
において、エア吹き出しノズル12を設け、強制的にポ
リサルフォン樹脂に風をあてることにより樹脂温度を下
げた。強制冷却ロール直前の温度を190℃となるよう
に設定した。従って、空冷区間においては、Tg+50
℃未満の温度になっている。
【0041】なお、エア吹き出しノズル12としては、
以下のようなものを用い設置した。 エア吹き出しノズル開口形状:MD方向長さ10mm TD方向長さ800mm(フィルム全幅) エア風速:0.5m/秒 設置位置:Tダイリップ先端より10mmの位置
【0042】比較例2 強制冷却ロールにおける冷却温度を140℃とする以外
は、上記実施例1と同様にしてポリサルフォンフィルム
を成形し、これを延伸した。
【0043】比較例3 強制冷却ロールからの剥離力を6kgf/cmとする以
外は、上記実施例1と同様にしてポリサルフォンフィル
ムを成形し、これを延伸した。
【0044】比較例4 図1に示す成形装置において、ゴム製の強制冷却ロール
4を、金属製の冷却ロールに取り替えてポリサルフォン
フィルムを成形した。金属ロールと金属ロールを接近さ
せ過ぎると、わずかに触れただけでも破損するおそれが
あるので、ロール間隙は400μmとした。押出量が3
5kg/時とし、ライン速度は5m/分とした。用いた
金属ロールは、金属製の強制冷却ロール3と同様のもの
を用いた。
【0045】比較例5 図1に示す成形装置を用い、金型(Tダイ)2のリップ
制御ボルトを故意に不均等に調整し、リップ開口部のプ
ロファイルを乱した状態で成形した。得られたポリサル
フォンフィルムを実施例1と同様にして延伸した。
【0046】
【表1】
【0047】表1から明らかなように、本発明に従う実
施例1〜3で得られたポリサルフォンフィルムを延伸し
て得られる光学フィルムは、位相差のバラツキが極めて
小さくなっている。
【0048】
【発明の効果】請求項1に記載の発明の光学フィルム製
造用原反は、これを延伸することにより、位相差のバラ
ツキが少なく、特に液晶表示装置の色相補償板として有
用な光学フィルムを得ることができる。
【0049】請求項2に記載の発明の製造方法によれ
ば、請求項1に記載の発明の光学フィルム製造用原反を
効率よく製造することができる。請求項3に記載の発明
の光学フィルムの製造方法によれば、請求項1に記載の
光学フィルム製造用原反及び請求項2に記載の方法で製
造された光学フィルム製造用原反を延伸して、位相差の
バラツキの少ない光学フィルムを製造することができ
る。
【0050】請求項4に記載の発明の光学フィルムは、
上記光学フィルム製造用原反を延伸して得ることができ
るものであり、特に液晶表示装置の色相補償板として有
用な光学フィルムである。白黒表示液晶装置において
は、鮮明な白黒画面を表示することができ、カラー表示
液晶装置においては、階調反転(色相の反転)のないカ
ラー表示を得ることができる。
【0051】請求項1に記載の発明の光学フィルム製造
用原反及び請求項2に記載の発明の方法で製造された光
学フィルム製造用原反は、上述のように延伸することに
より位相差のバラツキの少ない光学フィルムを得ること
ができるものであるが、必ずしも延伸して用いる必要は
なく、例えば液晶セル基板等の用途にも用いることがで
きるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例において用いた成形装置を示
す概略構成図。
【図2】本発明の他の実施例において用いた成形装置を
示す概略構成図。
【図3】比較例において用いた成形装置を示す概略構成
図。
【符号の説明】
1…押出機 2…金型(Tダイ) 3…強制冷却ロール(金属製) 4…強制冷却ロール(ゴム製) 5…ポリサルフォン樹脂 6…無端ベルト 7…剥離ロール 8…押し付けロール 9…張力ロール 10,11…ロール 12…エア吹き出しノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B29K 81:00 B29L 7:00 11:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 延伸して光学フィルムを製造するため
    の、ポリサルフォンフィルムからなる光学フィルム製造
    用原反であって、 フィルムの法線方向に対して直交方向に存在する2つの
    光学軸の屈折率の差の絶対量が1×10-4以下で、かつ
    波長589nmの光源で測定したリタデーション値のバ
    ラツキが機械送り方向に対し直角方向において±3nm
    以下であり、かつ厚みのバラツキが全面で±2%以下で
    あることを特徴とする光学フィルム製造用原反。
  2. 【請求項2】 金型を用いて押出したポリサルフォン樹
    脂を強制冷却手段に接触させて冷却することにより請求
    項1に記載の光学フィルム製造用原反を製造する方法に
    おいて、 前記金型から前記強制冷却手段までの空冷区間の樹脂温
    度を樹脂のガラス転移点(Tg)より50℃以上高い温
    度とし、前記強制冷却手段での冷却温度を樹脂のガラス
    転移点(Tg)より30℃低い温度以上とし、前記強制
    冷却手段から前記ポリサルフォン樹脂を剥離する際の剥
    離力を5kgf/cm以下とすることを特徴とする光学
    フィルム製造用原反の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の光学フィルム製造用原
    反または請求項2に記載の方法で製造された光学フィル
    ム製造用原反を、ライン速度を1m/分以上とし、延伸
    温度を樹脂のガラス転移点(Tg)からそれより80℃
    高い温度までの範囲とし、延伸倍率を1.05〜2.0
    倍として延伸することを特徴とする光学フィルムの製造
    方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の光学フィルム製造用原
    反または請求項2に記載の方法で製造された光学フィル
    ム製造用原反を延伸して得られる光学フィルムであっ
    て、波長589nmの光源で測定したリタデーション値
    が100nm以上で、そのバラツキが2%以下であるこ
    とを特徴とする光学フィルム。
JP9075780A 1997-03-27 1997-03-27 光学フィルム製造用原反及びその製造方法 Pending JPH10264237A (ja)

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