JP2003139955A - 位相差フィルムの製造方法 - Google Patents

位相差フィルムの製造方法

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JP2003139955A JP2001342069A JP2001342069A JP2003139955A JP 2003139955 A JP2003139955 A JP 2003139955A JP 2001342069 A JP2001342069 A JP 2001342069A JP 2001342069 A JP2001342069 A JP 2001342069A JP 2003139955 A JP2003139955 A JP 2003139955A
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Masakatsu Tagami
昌克 田上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱可塑性樹脂の製膜が溶融押出法による場合
でも、フィルム原反の厚み変動を小さくでき、従って位
相差フィルムの位相差変動も小さくでき、液晶ディスプ
レイに組み込まれた際に優れた表示品質を発現する位相
差フィルムの効率的かつ簡便な製造方法を提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂フィルムに溶剤を含浸さ
せ、該フィルムが溶剤により膨潤もしくは軟化している
状態で平滑な表面を有する平滑化装置で挟圧した後に、
該フィルムを一軸もしくは二軸に延伸して位相差を付与
することを特徴とする位相差フィルムの製造方法、およ
び、熱可塑性樹脂がノルボルネン系樹脂であることを特
徴とする上記位相差フィルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、位相差フィルムの
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、液晶ディスプレイの表示品質は著
しく向上している。上記表示品質の向上には、液晶分子
のもつ複屈折性を位相差フィルムによって打ち消してい
ることが大きく寄与している。しかし、位相差フィルム
の有する位相差にバラツキがあると、液晶ディスプレイ
としての表示品質にムラが生じる。
【0003】位相差フィルムの有する位相差にバラツキ
が生じる原因は様々であるが、特に延伸前の熱可塑性樹
脂フィルムの厚み変動が大きいと、位相差フィルムの位
相差変動も大きくなる。
【0004】位相差フィルムの位相差補償性能は、いわ
ゆるレターデーション値で表される。上記レターデーシ
ョン値(R)は、熱可塑性樹脂フィルムの屈折率の異方
性(複屈折性)をΔnとし、フィルムの厚みをdとする
と、R=Δn×dの関係式で表される。
【0005】一方、液晶表示装置では、ディスプレイの
全面にわたり色のムラやコントラストのムラを生じ難い
ことが強く求められている。このように均一な表示を可
能とする液晶表示装置を提供するために、使用される熱
可塑性樹脂の種類に関わらず、位相差フィルムには面内
での位相差が均一であることが強く求められている。
【0006】色ムラやコントラストムラの発生は、液晶
表示装置に位相差フィルムを組み込んで評価した場合、
近接した2点間のレターデーション値の差が判別しやす
いことに原因がある。従って、位相差フィルムにおいて
は、レターデーション値の均一性がより強く求められる
ことになる。また、上記関係式から明らかなように、レ
ターデーション値はフィルムの厚みに影響を受けるの
で、フィルムの厚み変動が大きいと、レターデーション
値の変動、即ち、位相差変動も大きくなる。換言すれ
ば、フィルムの厚み変動を抑制することにより、位相差
の均一性を向上させることができる。
【0007】厚みを制御した位相差フィルムとして、例
えば、特開平8−101305号公報には、複屈折性を
有する熱可塑性樹脂フィルムであって、このフィルム面
内の任意の点から1cm離れた場所の厚みの差が0.3
μm以下であることを特徴とする位相差フィルムが開示
されている。
【0008】しかし、上記公報に開示されている位相差
フィルムは、熱可塑性樹脂の製膜が溶液キャスティング
法による場合は実現可能であるが、生産性に優れ、環境
共生的でもある溶融押出法による場合は実現が困難であ
るという問題点がある。特に、軟化剤、可塑剤、溶剤等
を含有しないか、または、これらの含有量の少ない熱可
塑性樹脂を溶融押出法により製膜した場合、フィルム原
反に溶融押出法特有のダイラインの凹凸がスジ状の厚み
変動として残り、これがそのまま位相差フィルムの位相
差変動として残るという問題点がある。
【0009】また、特開2001−164000号公報
には、溶液キャスティング法によるノルボルネン系樹脂
フィルムの製造方法において、乾燥工程の最後に、フィ
ルム変形開始温度以上であって変形開始温度+100℃
以下の温度範囲に設定された乾燥炉内において、得られ
たフィルムを平均フィルム厚の95〜100%にクリア
ランスが設定された一対のニップロール間を通すことを
特徴とする位相差フィルムの製造方法が開示されてい
る。
【0010】しかし、上記公報に開示されている製造方
法では、フィルムを変形開始温度以上の温度に昇温する
ので、フィルム搬送に伴う張力によってフィルムが長さ
方向に伸びてしまい、フィルム搬送時点でフィルム幅が
減少してしまうという問題点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点に鑑み、熱可塑性樹脂の製膜が溶融押出法による
場合でも、フィルム原反の厚み変動を小さくでき、従っ
て位相差フィルムの位相差変動も小さくでき、液晶ディ
スプレイに組み込まれた際に優れた表示品質を発現する
位相差フィルムの効率的かつ簡便な製造方法を提供する
ことにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の位相差フィルム
の製造方法は、熱可塑性樹脂フィルムに溶剤を含浸さ
せ、該フィルムが溶剤により膨潤もしくは軟化している
状態で平滑な表面を有する平滑化装置で挟圧した後に、
該フィルムを一軸もしくは二軸に延伸して位相差を付与
することを特徴とする。
【0013】本発明の製造方法において、位相差フィル
ム用のフィルム原反を成形するために用いられる熱可塑
性樹脂としては、従来から上記用途に一般的に用いられ
ている各種熱可塑性樹脂で良く、例えば、ノルボルネン
系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリサルホン系樹
脂、ポリメタクリル酸メチル系樹脂、ポリスチレン系樹
脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の各種非晶性熱可塑性樹脂
が挙げられ、なかでも、液晶とのマッチング性や耐久性
に優れ、波長分散性が低く、光弾性定数が小さいことか
ら、ノルボルネン系樹脂が好適に用いられる。
【0014】上記ノルボルネン系樹脂としては、公知の
ノルボルネン系樹脂で良く、特に限定されるものではな
いが、例えば、ノルボルネン系モノマーの開環重合体も
しくは付加重合体や、ノルボルネン系モノマーとエチレ
ン、プロピレン、その他のα−オレフィンなどのオレフ
ィン系モノマーとの付加重合体およびこれらの水素添加
物等が挙げられる。
【0015】上記ノルボルネン系モノマーとしては、公
知のノルボルネン系モノマーで良く、特に限定されるも
のではないが、例えば、ノルボルネン、メタノオクタヒ
ドロナフタレン、ジメタノオクタヒドロナフタレン、ジ
メタノドデカヒドロアントラセン、ジメタノデカヒドロ
アントラセン、トリメタノドデカヒドロアントラセン等
やこれらの置換体;ジシクロペンタジエン、2,3−ジ
ヒドロシクロペンタジエン、メタノオクタヒドロベンゾ
インデン、ジメタノデカヒドロベンゾインデン、メタノ
オクタヒドロフルオレン、ジメタノヒドロオクタフルオ
レン等やこれらの置換体等が挙げられる。
【0016】上記置換体における置換基としては、公知
の炭化水素基または極性基で良く、特に限定されるもの
ではないが、例えば、アルキル基、アルキリデン基、ア
リール基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン基、水酸
基、カルボン酸基、無水酸基、エステル基、アミノ基、
ピリジル基、シアノ基、シリル基、エポキシ基、アクリ
ル基、メタクリル基等が挙げられる。
【0017】置換基により置換されたノルボルネン系モ
ノマーの具体例としては、特に限定されるものではない
が、例えば、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5−
ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボ
ルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデ
ン−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−
ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メ
チル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5
−フェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メ
チル−2−ノルボルネン等が挙げられる。
【0018】上記ノルボルネン系樹脂は、特に限定され
るものではないが、GPC測定(溶媒:テトラヒドロフ
ラン系またはシクロヘキサン系)による標準ポリスチレ
ン換算の数平均分子量が5000〜40000のものが
好ましく、より好ましくは7000〜35000のもの
であり、さらに好ましくは8000〜30000のもの
である。
【0019】ノルボルネン系樹脂の上記数平均分子量が
5000未満であると、得られるノルボルネン系樹脂フ
ィルムや位相差フィルムの力学的強度が不十分となるこ
とがあり、逆に40000を超えると、ノルボルネン系
樹脂の成形性が悪くなることがある。
【0020】上記ノルボルネン系樹脂の市販品として
は、特に限定されるものではないが、例えば、極性基を
有するものとしてジェイエスアール社製の商品名「アー
トン」シリーズ、また、極性基を有しないものとして日
本ゼオン社製の商品名「ゼオノア」シリーズ等が挙げら
れる。
【0021】上記熱可塑性樹脂を製膜して位相差フィル
ムのフィルム原反を成形する方法としては、従来からフ
ィルム成形に一般的に用いられている各種成形方法で良
く、例えば、溶融押出法、溶液キャスティング法、カレ
ンダー法等が挙げられ、いずれの成形方法が採られても
良いが、本発明の製造方法は、特に溶融押出法の場合に
好適に適用される。
【0022】溶液キャスティング法による上記フィルム
原反の成形は、一般的に、熱可塑性樹脂を例えばトルエ
ン、キシレン、シクロヘキサン等の溶剤に溶解した熱可
塑性樹脂溶液を例えば金属ベルト上に均一に塗布した
後、乾燥により溶剤を除去してフィルム化することによ
り行われる。
【0023】上記溶液キャスティング法は、表面平滑性
の良好なフィルム原反を得ることができるという利点が
あるものの、乾燥により溶剤を除去する必要があるた
め、ライン速度をあまり高めることができず、生産性が
十分に上がらないという欠点や、フィルム原反中に残留
溶剤が残ることがあるという欠点がある。
【0024】一方、溶融押出法による上記フィルム原反
の成形は、一般的に、押出機内で熱可塑性樹脂を高温で
溶融し、ダイスロットから均一に押出してフィルム化す
ることにより行われる。
【0025】上記溶融押出法は、溶剤を使用しないの
で、溶液キャスティング法に比較して、ライン速度を大
幅に高めることが可能であり、生産性に優れるという利
点や、残留溶剤は全く無視できるという利点がある。
【0026】ところが、溶融押出法には、ダイスロット
からの目脂等により、押出されたフィルムの押出方向に
スジ状の凹凸が生じる現象、いわゆるダイラインが発生
するという欠点がある。また、溶融押出法は、厚み精度
を高めること、つまり厚み変動を抑制することが困難で
あり、ダイリップ部のクリアランスを変えて頻繁に厚み
調整を行っても、厚み精度は規格値±3μm程度が限界
であるという欠点がある。
【0027】これらダイラインが発生したり、厚み変動
の大きいフィルム原反をそのままの状態で延伸すると、
ダイラインや厚み変動はより強調される結果となり、前
述したように、得られる位相差フィルムの位相差変動も
大きくなる。
【0028】つまり、フィルム原反、特に溶融押出法で
成形されたフィルム原反を延伸して位相差フィルムを製
造しようとする場合、延伸前のフィルム原反のダイライ
ンを可及的に解消したり、厚みを可及的に均一化するこ
とが最も重要となる。
【0029】延伸前のフィルム原反のダイラインを解消
したり、厚みを均一化してフィルム原反の表面を平滑に
する方法として、例えば、フィルム原反のダイライン以
外の場所を切削して表面の平滑化を図る方法が挙げられ
るが、この方法は、ダイラインの深さがフィルム原反の
平均厚みの10%以下である場合には有効であるもの
の、ダイラインの深さがフィルム原反の平均厚みの10
%を超える場合には適用が困難であるとともに、生産効
率の点でも全く好ましくない。
【0030】本発明の位相差フィルムの製造方法は、フ
ィルム原反、特に溶融押出法で成形されたフィルム原反
を延伸して位相差フィルムを製造する場合に、延伸前に
フィルム原反のダイラインを解消したり、厚みを均一化
して、フィルム原反の表面を可及的に平滑化することを
骨子とする。
【0031】本発明の製造方法においては、フィルム原
反に溶剤を含浸させ、要すれば過剰溶剤を除去し、フィ
ルム原反が溶剤により膨潤もしくは軟化している状態で
平滑な表面を有する平滑化装置で挟圧することにより、
延伸前のフィルム原反に存在するダイラインや厚み変動
が効果的に解消され、フィルム原反の表面は効果的に平
滑化される。次いで、上記フィルム原反を常法によって
一軸もしくは二軸に延伸することにより、位相差変動が
小さく、液晶ディスプレイに組み込まれた際に優れた表
示品質を発現する位相差フィルムを効率的かつ簡便に製
造することができる。
【0032】上記延伸の際の温度設定に関しては、使用
する熱可塑性樹脂の位相差発現性に依存するので一概に
特定することはできないが、通常はフィルム原反を構成
する熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物のガラス転
移温度±50℃の範囲で適宜決定されれば良い。
【0033】本発明で用いられる溶剤としては、熱可塑
性樹脂が製膜されてなるフィルム原反を膨潤もしくは軟
化させうるものであれば如何なる溶剤であっても良く、
用いられる熱可塑性樹脂の種類に対応して適宜選定され
れば良いが、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキ
サン等が挙げられる。これらの溶剤は、単一溶剤であっ
ても良いし、混合溶剤であっても良い。
【0034】また、上記溶剤は、特に限定されるもので
はないが、沸点が50℃以上であるものが好ましい。溶
剤の沸点が50℃未満であると、フィルム原反を膨潤も
しくは軟化させる前に溶剤が蒸発してしまうことがあ
る。
【0035】フィルム原反に溶剤を含浸させる方法とし
ては、例えば、フィルム原反を溶剤浴中に浸漬する方
法、フィルム原反を溶剤を含浸させた例えばロール等に
接触させる方法、フィルム原反の表面に溶剤を噴霧する
方法等が挙げられ、いずれの方法が採られても良い。ま
た、これらの方法は、単独で用いられても良いし、2種
類以上が併用されても良い。
【0036】本発明の製造方法においては、フィルム原
反に対する溶剤の含浸深さがフィルム原反の表面から平
均厚みの5〜40%の距離であることが好ましい。な
お、本発明で言う溶剤の含浸深さとは以下の方法で測定
される含浸深さを意味する。 〔溶剤の含浸深さの測定方法〕ガスクロマトグラフを用
いて、フィルム原反に溶剤を含浸させなかった場合を0
%とし、フィルム原反の全体に溶剤を含浸させた場合を
50%として検量線を引き、この検量線と実測値とから
含浸深さを測定する。
【0037】上記溶剤の含浸深さがフィルム原反の表面
から平均厚みの5%未満の距離であると、フィルム原反
のごく表面のみしか膨潤もしくは軟化しないので、後工
程であるフィルム原反表面の平滑化工程における平滑化
効果を十分に得られないことがあり、逆に溶剤の含浸深
さがフィルム原反の表面から平均厚みの40%を超える
距離であると、フィルム原反のほぼ全体が膨潤もしくは
軟化してしまうために、フィルム原反を搬送する際の張
力によりフィルム原反が伸びてしまい、ダイラインや厚
み変動が却って強調されることがあり、また、過剰溶剤
の除去に多大のエネルギーや時間が必要となり、生産性
が低下することがある。
【0038】本発明においては、溶剤を含浸させたフィ
ルム原反を平滑な表面を有する平滑化装置で挟圧する前
に、要すればフィルム原反中の過剰溶剤を除去しても良
い。上記過剰溶剤の除去方法としては、例えば、フィル
ム原反表面の過剰溶剤をスポンジロール等で拭き取る方
法、フィルム原反に熱風等の乾燥エアーを吹き当てて所
望の溶剤量まで乾燥する方法、フィルム原反を乾燥炉中
に搬送して所望の溶剤量まで乾燥する方法等が挙げら
れ、いずれの方法が採られても良い。また、これらの方
法は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用さ
れても良い。
【0039】本発明で用いられる平滑な表面を有する平
滑化装置としては、例えば、平滑な表面を有するロー
ル、少なくとも一対の平滑な表面を有するニップロー
ル、平滑な表面を有する金属ベルト等が挙げられ、いず
れの平滑化装置が用いられても良い。また、これらの平
滑化装置は、単独で用いられても良いし、2種類以上が
併用されても良い。
【0040】溶剤を含浸させ、要すれば過剰溶剤を除去
した後のフィルム原反を、該フィルム原反が溶剤により
膨潤もしくは軟化している状態で上記平滑化装置で挟圧
する方法としては、例えば、平滑な表面を有するロール
に抱かせる方法、一定のクリアランスが設けられた少な
くとも一対の平滑な表面を有するニップロールでニップ
する方法、平滑な表面を有する金属ベルトの上に押し当
てる方法等が挙げられ、いずれの方法が採られても良
い。また、これらの方法は、単独で用いられても良い
し、2種類以上が併用されても良い。
【0041】こうして表面を平滑化したフィルム原反
は、その溶剤含有量が1重量%を超えている場合、延伸
前にさらに乾燥してフィルム原反中の溶剤含有量を1重
量%以下とすることが好ましい。フィルム原反中の溶剤
含有量が1重量%を超えていると、延伸時に好ましくな
い変形を起こして、所望の位相差フィルムを得られなく
なることがある。上記乾燥方法としては、例えば、フィ
ルム原反に熱風等の乾燥エアーを吹き当てて乾燥する方
法やフィルム原反を乾燥炉中に搬送して乾燥する方法等
が挙げられ、いずれの方法が採られても良い。
【0042】本発明の製造方法においては、上記表面を
平滑化し、好ましくは溶剤含有量を1重量%以下とした
フィルム原反を一軸もしくは二軸に延伸してフィルム原
反に位相差を付与することにより、位相差フィルムとな
す。
【0043】上記延伸方法は、常法による延伸で良く、
例えば、ロールによる縦一軸延伸法、テンターによる横
一軸延伸法、これらの組み合わせによる逐次二軸延伸法
や同時二軸延伸法等が挙げられ、いずれの方法が採られ
ても良い。
【0044】
【発明の実施の形態】本発明をさらに詳しく説明するた
め以下に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例のみ
に限定されるものではない。
【0045】(実施例1)熱可塑性樹脂としてノルボル
ネン系樹脂(商品名「ゼオノア1600R」、日本ゼオ
ン社製)を準備し、十分に水分を除去した後に窒素ガス
雰囲気下において、Tダイ式押出機で押出成形を行っ
て、幅600mm、平均厚み80μmのポリノルボルネ
ン系樹脂フィルム(フィルム原反)を成形した。上記押
出成形時のシリンダー温度は290℃、ダイ温度は28
5℃、冷却ロール温度は110℃であった。また、連続
厚み計を用いて、幅方向1mm間隔で600点の厚みの
測定を行ったところ、600点の厚みの中心線平均粗さ
は2.1μmであった。
【0046】図1はフィルム原反の表面を平滑化させる
態様を示す模式図である。図1に示すように、溶剤とし
てシクロヘキサンを用い、上記で得られたフィルム原反
をシクロヘキサン浴中に浸漬し、シクロヘキサン浴中の
滞留時間を調整して、前記方法で測定したシクロヘキサ
ンの含浸深さがフィルム原反の表面から平均厚みの10
%となるようにフィルム原反にシクロヘキサンを含浸さ
せた。次に、フィルム原反の過剰シクロヘキサンをスポ
ンジロールで拭き取った後、非常に均一なハードクロム
メッキ鋼からなり、平滑な表面を有する一対のニップロ
ールA(φ:300mm)および同様の一対のニップロ
ールB(φ:300mm)を順次通し、線圧1.96N
/cmでニップして、フィルム原反の表面を平滑化し
た。次いで、上記フィルム原反を130℃で5分間乾燥
してフィルム原反中のシクロヘキサン含有量を1重量%
以下とした後、1.6倍の縦一軸延伸を行って、150
nm前後の位相差を有する位相差フィルムを製造した。
【0047】(実施例2)シクロヘキサンの含浸深さを
フィルム原反の表面から平均厚みの25%となるように
したこと以外は実施例1の場合と同様にして、位相差フ
ィルムを製造した。
【0048】(比較例1)シクロヘキサンを含浸させる
ことなく、実施例1で成形したフィルム原反をそのまま
用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、位相差
フィルムを製造した。
【0049】連続厚み計を用いて、実施例1,2で得ら
れたニップ後のフィルム原反の厚みを、幅方向1mm間
隔で600点測定し、600点の厚みの中心線平均粗さ
を求めた。その結果は表1に示した。
【0050】図2は位相差フィルムの色ムラの評価方法
を示す模式図である。図2に示すように、実施例1,2
および比較例1で得られた位相差フィルムを平行に配置
された偏光板の間に、偏光板の吸収軸に対して位相差フ
ィルムの遅相軸(延伸軸)が45°となるように配置
し、背面からバックライトを当ててダイライン等に起因
する色ムラの有無を目視で観察し、下記判定基準により
色ムラを評価した。その結果も表1に示した。 〔判定基準〕 ○‥‥色ムラは全く認められなかった。 △‥‥色ムラは殆ど認められなかった。 ×‥‥色ムラが認められた。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】本発明の位相差フィルムの製造方法は、
熱可塑性樹脂フィルム(フィルム原反)に溶剤を含浸さ
せ、フィルム原反が溶剤により膨潤もしくは軟化してい
る状態で平滑な表面を有する平滑化装置で挟圧するの
で、延伸前のフィルム原反に存在するダイラインや厚み
変動が効果的に解消され、フィルム原反の表面は効果的
に平滑化される。その結果、上記フィルム原反を延伸し
て得られる位相差フィルムは位相差変動の小さいものと
なる。
【0053】以上述べたように、本発明の製造方法によ
れば、熱可塑性樹脂の製膜が溶融押出法による場合で
も、フィルム原反の厚み変動が小さく、従って位相差フ
ィルムの位相差変動が小さく、液晶ディスプレイに組み
込まれた際に優れた表示品質を発現する位相差フィルム
を効率的かつ簡便に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例において、フィルム原反の表面を平滑化
させる態様を示す模式図である。
【図2】実施例において、位相差フィルムの色ムラの評
価方法を示す模式図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂フィルムに溶剤を含浸さ
    せ、該フィルムが溶剤により膨潤もしくは軟化している
    状態で平滑な表面を有する平滑化装置で挟圧した後に、
    該フィルムを一軸もしくは二軸に延伸して位相差を付与
    することを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂がノルボルネン系樹脂であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の位相差フィルムの
    製造方法。
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US8958034B2 (en) 2012-11-08 2015-02-17 Samsung Display Co., Ltd. Polarizing plate comprising a compensation film having a first retardation value Ro and a second retardation value Rth and liquid crystal display having the same

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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