JP4632557B2 - インフレーション製膜方法とその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性ポリマー、特に光学的異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性ポリマー(以下、これを熱可塑性液晶ポリマーと称したり、また単に液晶ポリマーと略称したりすることがある)からなるフィルム(以下、これを熱可塑性液晶ポリマーフィルムと称することがある)の成形に好適に用いられるインフレーション製膜方法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、(1)金属箔と直接熱接着できること、(2)耐熱性であること、(3)低吸湿性であること、(4)熱寸法安定性に優れていること、(5)湿度寸法安定性に優れていること、(6)高周波数特性に優れていること、(7)有毒なハロゲン、燐、アンチモン等の難燃剤を含有しなくても難燃性であること、(8)耐放射線性に優れていること、(9)熱膨張係数が制御できること、(10)低温でもしなやかであることなどの特長があるために、回路基板などの電気絶縁材料として理想的な材料の一つとされている。したがって、熱可塑性液晶ポリマーフィルムを電気絶縁材料とする回路基板、特に精密回路基板の実現化への期待は高い。
【0003】
熱可塑性液晶ポリマーフィルムを構成する熱可塑性液晶ポリマーは、製膜装置に備えたダイのスリットから吐出させると、その分子が吐出方向に配向し、そのままでは液晶ポリマー分子の大部分がほとんど同一方向(フィルムの長手方向、すなわちMD方向)に配向し、得られる熱可塑性液晶ポリマーフィルムはMD方向に裂け易い。しかも、MD方向とこれと直角方向のTD方向とで熱膨張係数や熱寸法変化率が異なるなどの物性に差異がある熱可塑性液晶ポリマーフィルムとなる。言い換えれば、MD方向とTD方向とで物性が異なることを異方性、逆にほぼ等しいことを等方性と称すれば、前記熱可塑性液晶ポリマーフィルムは異方性となる。
【0004】
この異方性フィルムは、MD方向とTD方向とで例えば熱寸法変化率や熱膨張係数が異なるので、回路基板特に精密回路基板の絶縁材料として用いる場合、この回路基板の製造途中で、回路基板に反りや歪みを生じたり、回路基板上の回路配線の位置ずれを生じたりするために実用に供し得ない。
【0005】
この異方性を緩和するため、従来より種々の製膜方法が提案されている。その一つは、(a)環状スリットを介して相互に反対方向に回転する可動ダイリップを用いて溶融液晶ポリマーを吐出させるいわゆる回転ダイを用いるインフレーション製膜方法である(例えば特公昭62−33931号、特開昭53−88060号、特開昭63−199622号、特開平1−130930号、特表平3−504948号、特開平2−89616号、特表平4−506779号各公報)。また、(b)Tダイで横方向に磁場をかける製膜方法(例えば特開昭63−242513号公報)、(c)Tダイなどを用いて得られる異方性液晶ポリマーフィルムを、合成樹脂フィルムとラミネートし、このラミネート体を横延伸(MD方向よりも大きい延伸倍率でTD方向に延伸)する後加工方法(例えば特開平7−323506号、特開平7−251438号、特開平9−131789号各公報)、(d)静止環状ダイを用いるインフレーション製膜方法(例えば特開平2−3430号、特開平2−88212号各公報)などがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記(a)の方法では、フィルムの表面と裏面における液晶ポリマー分子の配向方向が交差して厚さ方向の全体として配向バランスが保たれているが、これらの方法に用いられる特殊なダイから吐出された溶融液晶ポリマーフィルムは、ダイから吐出された直後の溶融状態から冷却され、半溶融状態を経てさらに冷却されて固化に至るフィルム形成過程において、バブルのネック部とエクスパンド部の表面および裏面で収縮する方向が交差する。したがって、これら表面と裏面において方向の異なる収縮応力が発生し、ネック部とエクスパンド部が捩れるように応力が作用して、形状が不安定で変わり易いので、長時間安定した製膜が困難である。しかも、実用に供することができるような膜厚分布が良好な平坦フィルムが得られにくい。
【0007】
また、上記(b)の方法では、磁場による作用は小さくて、分子の配向角が効果的に変化するために要する時間が長く、実際の製膜に利用できる程度の著しい異方性緩和は期待できず、実用に供し得る等方性フィルムを得ることは困難である。
【0008】
さらに、上記(c)の方法は、異方性緩和という目的においては有効で、実用に供し得る等方性フィルムを得ることができるが、生産効率の点で問題がある。
【0009】
上記(d)の方法は、異方性を緩和するために、溶融液晶ポリマーを環状ダイからチューブ状に吐出してバブルを形成したあと、このバブルにガス内圧をかけることにより横方向に延伸させる方法であるが、異方性を解消するためには、横方向の延伸倍率を大きくする必要がある。しかしながら、横延伸倍率を大として異方性を解消しようとすると、環状ダイから吐出直後のネック部がダイを中心に円運動を起こし、その形状が製膜方向(以後MD方向と言う場合がある)に対して変化するために、バブルが不安定になり易くて、得られるフィルムの膜厚分布がMD方向に変化して膜厚分布が不良になり易い。また、膜厚分布の変化が短い周期で変化するので、膜厚分布を改善する対策が取り難いという欠点がある。
【0010】
本発明者らは、インフレーション製膜方法において、得られるフィルムの異方性を緩和して、膜厚分布の良好なフィルムを安定して得ることができる製膜方法について鋭意研究を行った結果、環状ダイから溶融押出されるバブルのネック部の動きが得られるフィルムの性状に大きな影響を及ぼすことを見出した。
【0011】
図1は、環状ダイから溶融押出されるときのバブルのネック部の動きを詳細に観察した結果を示す模式図である。同図のように、環状ダイから溶融押出された直後のチューブ状のネック部41は、液晶ポリマーの流れ方向Xに対して一定周期tで反時計方向Yに円運動を行っており、これら周期tの間で前記ネック部41に形状歪みZが発生し、この形状歪みZが得られるフィルムの性状に大きな影響を与える。前記ネック部41に円運動を与える力は、液晶ポリマーの流れの混合および整流による均一化のために設けられた製膜装置の部品であるマンドレルに起因する。
【0012】
図2は、一般に使用されるスパイラルマンドレルの断面図を示している。このスパイラルマンドレル2は、内子21と外子22の間にギャップ23が設けられており、樹脂導入口24から導入された溶融液晶ポリマーは、ギャップ23の下方から溝25を通って上方へ導かれ、ギャップ23の上端から導出される。このとき、液晶ポリマーの分子は、流れ方向よりわずかに一方向に傾いて斜行する。
つまり、前記ギャップ23を通過する液晶ポリマーの主な流れは、前記溝25に沿って内部を流れる斜行流と、溝25の外部を流れるか溝25を乗り越えるか溝25から溢れ出るかして垂直方向の上方に流れる垂直流である。前記溝25は、スパイラルマンドレル2の下方から上方に進むにしたがって深さが次第に減少するので、溝25内を斜行流として流れる液晶ポリマーは、上方へ進むにしたがって溝25の外部へ溢れ出して垂直流となる。このように、スパイラルマンドレル2においては、斜行流と垂直流が互いに接触し、斜行流が垂直流に変わっていく過程で液晶ポリマーの混合・均一化が行われる。
【0013】
また、液晶ポリマーは、剛直な長い分子であって、分子の向きをすばやく瞬間的に変えることは難しいために、斜行流にあって斜め方向に配向していた分子が垂直流に侵入したとしても、斜めに配向したまま垂直に流れる傾向がある。
【0014】
以上のように、垂直方向に配向した液晶ポリマー分子と斜め方向に配向した液晶ポリマー分子が混在した垂直流が、スパイラルマンドレル2の上端に達し、ダイから吐出されて、前記ネック部41を形成することになる。すなわち、このネック部41内の液晶ポリマー分子は、垂直方向に配向した分子と、斜め方向に片方に傾いて配向した分子とから構成され、前記ネック部41の全体としては、平均して垂直より少し斜め方向に分子が傾いて配向する性質を有している。このとき、斜行流は溝25に沿って斜め方向にせん断力を受けるので、せん断力の方向に容易に配向する液晶ポリマー分子は、斜めに配向する傾向をもつ。一方、垂直流においては、せん断力は垂直方向に作用するので、垂直流における液晶ポリマー分子は垂直に配向する傾向をもつ。
【0015】
また、液晶ポリマーは、冷却されれば液晶ポリマー分子の配向方向よりもこれと垂直の方向に強く収縮する。図3は前記ネック部41で発生する収縮状態を説明する模式図である。同図のように、前記ネック部41には、液晶ポリマー分子の配向方向Sに対し、これと垂直方向に冷却収縮応力Tが作用してネック部41に捩れ形状を与える。また、前記ネック部41の上部側は、下部側に対し冷却により固くなりつつあり、ネック部上方のエクスパンド部に固定されていて回転することはできないが、下部側は高温で溶融状態にあって柔らかいので、前記冷却収縮応力Tにより円周方向に回転して円運動を起こし、これがネック部41の形状歪みZ(図1)の発生原因となる。さらに、前記ネック部41は、形状歪みZを残したままエクスパンド部でバブルが膨張され、そのシリンダー部でフィルムが基本的に形成されるので、得られるフィルムも当然に形状歪みZを残している。この形状歪みZにより膜厚分布の大きな異方性のあるフィルムとなる。
【0016】
前記ネック部41の形状歪みZを解消する方法としては、環状ダイの内周壁だけを、または内周壁と外周壁をともに回転させて、その回転力によりネック部41の回転を解消する方法が考えられる。しかし、この方法には次のような欠点を伴う。つまり、バブルの回転運動は、周期的な動きをしているが、振動などの外乱要因が与えられた時はバブルの円運動の周期が変化するので、環状ダイ以降の外乱要因に対し十分な対応ができない。
【0017】
本発明者らは、以上のような知見に基づき、さらに研究を行った結果、ネック部の捩れを解消して、膜厚分布が小さい良好な熱可塑性液晶ポリマーフィルムを得るに至った。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明のインフレーション製膜方法は、熱可塑性液晶ポリマーからなる原料樹脂をスパイラルマンドレルを経て環状ダイからチューブ状に溶融押出して、このチューブ状の溶融物を冷却しながらその内方空間に気体を供給して膨張させることによりバブルを形成し、このバブルのネック部の内壁に向かって水平な方向にエアーを吹き付けて、このネック部を直立状に保持する。また、本発明のインフレーション製膜装置は、前記バブルのネック部の内壁に向かって水平な方向にエアーを吹き付けて、ネック部を直立状に保持するエアー吹き出し装置とバブルの内圧調整用エア−給排気装置とを有する。
【0019】
以上の方法と装置によれば、製膜時に前記バブルのネック部にその内部からエアーが吹き付けられて、このネック部が直立状に保持されるので、ネック部に捩れが起こらず、形状歪みが発生しない。このため、膜厚分布が小さい良好なフィルムが安定して得られる。
【0020】
以上の方法や装置には、熱可塑性液晶ポリマーが好適に用いられる。このような剛直な硬いフィルムとなる熱可塑性液晶ポリマーを用いる場合でも、フィルムの異方性が緩和された膜厚分布が小さい良好なフィルムが安定して得られる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図4は、インフレーション製膜装置の全体構造を示す概略図である。同図の製膜装置は、押出機1の樹脂吐出方向前部側にマンドレル2とダイ3を取り付けている。このダイ3からは高温の溶融液晶ポリマーがチューブ状に押出され、冷却されながら内方空間に空気や窒素などの気体が供給され、内圧により膨張されてバブル4となり、その上部側が左右一対のロール5によりシート状に折り畳まれて、複数のガイドロール6を経てターレットワインダー7により、熱可塑性液晶ポリマーフィルム10として引き取られる。
【0022】
図5は前記バブル4の拡大図である。このバブル4は、樹脂吐出方向に順に、ネック部41、エクスパンド部42、シリンダー部43に分かれている。前記ネック部41とは、ダイ3の環状スリットから吐出された溶融液晶ポリマーが形成する径の比較的小さいチューブ状の部分である。前記バブル4は、気体が導入されることによって外周方向に膨張して径を増大させる力を受け、実際に径が増大する領域をエクスパンド部42と称している。高温の溶融液晶ポリマーは、前記ネック部41とエクスパンド部42の領域を経て冷却固化され、もはや径が増大しない領域をシリンダー部43と称している。
【0023】
図6は、前記ダイ3の上方で前記バブル4のネック部41にその内部からエアーを吹き付けて、ネック部41を直立状に保持するエアー吹き出し装置9とバブルの内圧調整用のエア−給排気装置8を示す縦断面図である。また、図7は各装置8、9の概略を示す斜視図である。図6のように、前記エアー給排気装置8は、中心に配置される第1配管81と、その外周に所定間隔をあけて同心状に配置される径大の第2配管82とを備え、これら配管81、82をダイ3の下方から、このダイ3の環状スリット31より吐出されるネック部41の内部にかけて上下貫通状に取り付け、前記第1、第2配管81、82の間の第1空間83から前記バブル4を膨張させるための気体を上向きのa方向に吹き出し、また前記第1配管81内の第2空間84からバブル4内に供給された気体を下向きのb方向に向かって排気する。
【0024】
また、前記エアー吹き出し装置9は、前記第2配管82よりも径大で、これの外周囲に所定間隔をあけて同心状に配置される第3配管91と、これの上端側に取り付けられて、前記ネック部41の内壁に向かって水平なc方向にエアーを吹き出す円筒体92とを備えている。この円筒体92は、多数の通気孔93aを有する円筒状の壁部93と、その上下に取り付けられた上下蓋体94、95からなり、この下部側蓋体95の内部に前記第3配管91の上端を開口させ、この第3配管91と前記第2配管82の間に形成される第3空間90から円筒体92内にエアーを供給して、このエアーを前記壁部92の通気孔93aからネック部41の内壁に向かって水平方向cに吹き付ける。これにより、ネック部41を非接触で支えて、ネック部41を常に直立状に保持させる。一方、前記エアー給排気装置8の第1、第2配管81、82は、前記第3配管91が開口される下部側の蓋体95を貫通して上部側蓋体94の上端面に開口させ、これら第1、第2配管81、82を介して前記バブル4への給排気を行う。
【0025】
前記円筒体92は、ネック部41と接触しないように、このネック部41つまり前記ダイ3の環状スリット31の直径よりも少なくとも5〜20%小さく設定することが好ましく、より好ましくは10%に設定される。また、前記円筒体92の長さは、ネック部41を非接触で良好に支えるためには、ネック部41の長さの1/5〜1/2程度に設定することが好ましく、より好ましくは1/3程度に設定される。さらに、前記円筒体92の各部材は高温に耐え得る金属材料や無機材料で形成し、特に円筒体92の円筒状壁部93は、前記ダイ3の環状スリット31から吐出されたネック部41と密着せず、エアーを均一に吐出できるメッシュまたは多孔質材料で形成することが好ましい。また、供給するエアーは予め加温しておくことが望ましく、前記環状スリット31から吐出される樹脂温度よりも10〜30℃低い温度を有しているのが好ましい。供給されるエアーの温度が以上の条件より低すぎると、円筒体92の部分で冷却が進み、その部分での収縮によりバブル4の内圧を上げてもバブル4が膨らまないことがある。
【0026】
図8は前記各装置8、9の要部を示す平断面図である。同図のように、エアー給排気装置8の第1、第2配管81、82と、エアー吹き出し装置9の第3配管91とは、3重管構造とされていて、第1配管81内に第2空間84を、第1、第2配管81、82の間に第1空間83を、また、第2、第3配管82、91の間に第3空間90をそれぞれ形成している。そして、この第3空間90を前記円筒体92の内部に開口させ、また、前記第1、第2空間83、84をバブル4のネック部41に開口させる。
【0027】
本発明に使用される熱可塑性液晶ポリマーは特に限定されるものではないが、その具体例として、以下に例示する(イ)から(二)に分類される化合物およびその誘導体から導かれる公知のサーモトロピック液晶ポリエステルおよびサーモトロピック液晶ポリエステルアミドを挙げることができる。但し、光学的に異方性の溶融相を形成し得るポリマーを得るためには、各々の原料化合物の組み合わせには適当な範囲があることは言うまでもない。
【0028】
(イ)芳香族または脂肪族ジヒドロキシ化合物(代表例は表1参照)
【0029】
【表1】
Figure 0004632557
【0030】
(ロ)芳香族または脂肪族ジカルボン酸(代表例は表2参照)
【0031】
【表2】
Figure 0004632557
【0032】
(ハ)芳香族ヒドロキシカルボン酸(代表例は表3参照)
【0033】
【表3】
Figure 0004632557
【0034】
(ニ)芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシアミンまたは芳香族アミノカルボン酸(代表例は表4参照)
【0035】
【表4】
Figure 0004632557
【0036】
これらの原料化合物から得られる熱可塑性液晶ポリマーの代表例として表5に示す構造単位を有する共重合体(a)〜(e)を挙げることができる。
【0037】
【表5】
Figure 0004632557
【0038】
また、本発明に使用される熱可塑性液晶ポリマーの融点としては、フィルムの所望の耐熱性および加工性を得る目的においては、約200〜約400℃の範囲内、とりわけ約250〜約350℃の範囲内に融点を有するものが好ましいが、フィルム製造の点からは、比較的低い融点を有するものが好ましい。したがって、より高い耐熱性や融点が必要な場合には、一旦得られたフィルムを加熱処理することによって、所望の耐熱性や融点にまで高める。加熱処理条件の一例を説明すれば、一旦得られたフィルムの融点が283℃の場合、260℃で5時間加熱すれば、融点は320℃になる。
【0039】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例により何ら制限されるものではない。なお、実施例において、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの融点、膜厚およびネック部変動量の評価は以下の方法により行った。
【0040】
(1)融点
示差走査熱量計を用いて、フィルムの熱挙動を観察して得た。つまり、供試フィルムを20℃/分の速度で昇温して完全に溶融させた後、溶融物を50℃/分の速度で50℃まで急冷し、再び20℃/分の速度で昇温した時に現れる吸熱ピークの位置を、フィルムの融点として記録した。
【0041】
(2)膜厚
膜厚は、デジタル厚み計(株式会社ミツトヨ製、LVDT)を用い、得られたフィルムをTD方向に1cm間隔で測定し、中心値に対するTD方向の変動幅を調べた。
【0042】
(3)ネック部の変動測定装置
図9はネック部41の変動測定装置を示す概略図である。レーザービーム出射口11と、これと対向するレーザービーム受光口12を有するレーザー変位センサー13の2基を、ネック部41を遮るように2ヵ所に対向配置し、遮られたレーザー光の強度を測定することによりネック部41のAとBの変動を測定した。
【0043】
実施例1
製膜装置としては、図6において、外子32の内径が40mm、内子33の内径が39mmとされたダイ3を使用した。また、エアー吹き出し装置9の円筒体92としては、径が36mmで、長さがネック部41に対し1/3となる5cmのものを用いた。
【0044】
p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の共重合物で、融点が280℃の熱可塑性液晶ポリマーを吐出量20kg/時で溶融押出し、横延伸倍率4.77倍、縦延伸倍率2.09倍の条件でインフレーション製膜した。また、前記エアー吹き出し装置9の円筒体92から吹き出されるエアーの温度は260℃に設定した。これによれば、製膜中はネック部41の回転運動は観察されず、捩れのない安定した運転が可能であった。また、ネック部41のAとBでの変動(図9)は、図10のグラフに示すとおりである。同図から明らかなように、ネック部41のAとBの変動はいずれも1mm以下であった。
【0045】
比較例1
前記エアー吹き出し装置9を使用することなく、その他は実施例1と同様にしてインフレーション製膜を行った。これによれば、製膜時のネック部41に回転運動が観察され、ネック部41のAとBでの変動は、図11のグラフに示すとおりであった。同図から明らかなように、ネック部41のAとBの変動は約2mm程度であった。
【0046】
上記実施例1と比較例1による膜厚比較結果を表6に示す。同表において、AVEは得られた熱可塑性液晶ポリマーフィルムの平均膜厚(μm)を、MAXは同フィルムの膜厚の最大値を、MINは膜厚の最小値を、RはMAXとMINの差をそれぞれ示している。
【0047】
【表6】
Figure 0004632557
【0048】
同表に示したように、実施例1では平均膜厚52.02μmの熱可塑性液晶ポリマーフィルムが得られ、また比較例1では平均膜厚49.32μmの熱可塑性液晶ポリマーフィルムが得られた。また、比較例1のR値は10.34であるのに対し、実施例1のR値は5.00であり、さらに、比較例1の膜厚公差は±10.5%であるのに対し、実施例1の膜厚公差は±5.0%である。これらのことから、実施例1によれば膜厚分布が小さい良好な熱可塑性液晶ポリマーフィルムが得られることが理解できる。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、たとえ熱可塑性液晶フィルムなどの剛直な硬いフィルムとなる樹脂を用いる場合でも、ネック部に捩れが起こらず、形状歪みが発生しないので、異方性を緩和して膜厚分布の良好なフィルムを安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】環状ダイから溶融押出されるときのバブルのネック部の動きを観察した結果を示す模式図である。
【図2】一般に使用されるスパイラルマンドレルの断面図である。
【図3】ネック部で発生する収縮状態を説明する模式図である。
【図4】インフレーション製膜装置の全体構造を示す概略図である。
【図5】バブルの拡大図である。
【図6】バブルのネック部にその内部からエアーを吹き付けて、ネック部を直立状に保持するエアー吹き出し装置とバブルの内圧調整用のエア−給排気装置を示す縦断面図である。
【図7】前記のエアー吹き出し装置とバブルの内圧調整用のエア−給排気装置の概略を示す斜視図である。
【図8】前記のエアー吹き出し装置とバブルの内圧調整用のエア−給排気装置の要部を示す平断面図である。
【図9】ネック部の変動測定装置を示す概略図である。
【図10】実施例1によるネック部の変動を示すグラフである。
【図11】比較例1によるネック部の変動を示すグラフである。
【符号の説明】
4…バブル、41…ネック部、8…エア−給排気装置、9…エアー吹き出し装置。

Claims (2)

  1. 光学的異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性ポリマーからなる原料樹脂をスパイラルマンドレルを経て環状ダイからチューブ状に溶融押出して、このチューブ状の溶融物を冷却しながらその内方空間に気体を供給して膨張させることによりバブルを形成し、このバブルをシート状に折り畳みながら引き取るインフレーション製膜方法において、前記バブルのネック部の内壁に向かって水平な方向にエアーを吹き付けて、このネック部を直立状に保持することを特徴とするインフレーション製膜方法。
  2. 光学的異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性ポリマーからなる原料樹脂をスパイラルマンドレルを経て環状ダイからチューブ状に溶融押出して、このチューブ状の溶融物を冷却しながらその内方空間に気体を供給して膨張させることによりバブルを形成し、このバブルをシート状に折り畳みながら引き取るインフレーション製膜装置において、前記バブルのネック部の内壁に向かって水平な方向にエアーを吹き付けて、ネック部を直立状に保持するエアー吹き出し装置とバブルの内圧調整用のエア−給排気装置とを設けたことを特徴とするインフレーション製膜装置。
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