JP4616497B2 - 脱硫装置及び脱硫方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排煙の脱硫方法に関する。
【0002】
【背景の技術及び発明が解決しようとする課題】
重油、石炭等の燃料を使用するボイラー、火力発電所や、化学品製造プラント、金属処理プラント、焼結プラント、製紙プラント等から発生する排煙中には、二酸化硫黄等の硫黄酸化物が多量に含まれている。これらの硫黄酸化物を排煙から除去する排煙脱硫方法としては、活性炭、活性炭素繊維等の多孔質炭素材料を用い、これを排煙と接触させて、排煙中の二酸化硫黄等の硫黄酸化物を多孔質炭素材料に吸着させ、該多孔質炭素材料の触媒作用を利用して、排煙中に含まれる酸素により、硫黄酸化物を酸化させ、これを水分に吸収させて硫酸として多孔質炭素材料から除去する方法がある(三訂 公害防止の技術と法規 大気編 1988、p112〜113、(社)産業公害防止協会;特開平10−230129号公報等)。
【0003】
この脱硫方法における反応式は、以下の通りである。
SO2 +1/2O2 +H2O → H2SO4 …(1)
【0004】
しかしながら、排煙中にNOが存在すると多孔質炭素材料の触媒が低下し、脱硫性能が悪くなるという、問題がある。
例えばNO量と阻害効果との関係を示す図4に示すように、NO量が0ppmの場合に、多孔質炭素材料の触媒量を1とすると、NO量が50ppmでは1.2倍量の触媒を必要とし、またNO量が200ppmでは1.5倍量の触媒を必要としていた。
【0005】
よって、脱硫性能を維持するために、余分に多孔質炭素材料を使用する必要となり、処理コストの増大を招くという問題がある。
【0006】
本発明は、以上の問題に鑑み、排煙中にNOが微量の存在する場合でも、脱硫性能が低下することなく、効率的な脱硫が可能な脱硫装置及び脱硫方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
の発明は、活性炭及び活性炭素繊維から選ばれた少なくとも一種の多孔質炭素材料を脱硫塔内に設け、硫黄酸化物を含有する排煙を、上記多孔質炭素材料と接触させて脱硫する脱硫装置において、上記脱硫塔に連結して設けられ、脱硫塔内に導入する排煙中のNOをNO2に酸化するNO酸化装置と、上記脱硫塔内に設けられ、脱硫塔内の排煙の水分量が飽和水蒸気以上となるように水分を当該排煙に供給する水分供給手段とを具備したことを特徴とする。
【0009】
の発明は、第の発明において、上記NO酸化装置の酸化手段が、放電酸化手段、酸化触媒酸化手段、オゾン酸化手段、過酸化水素酸化手段のいずれか又はこれらの組み合わせであることを特徴とする。
【0010】
の発明は、第の発明において、上記脱硫塔内に空気、酸素、オゾン、過酸化水素水、硝酸水溶液、過マンガン酸水溶液、塩素酸水溶液、及び次亜塩素酸水溶液から選ばれた少なくとも一種の酸化助剤を導入する酸化助剤導入手段を設けたことを特徴とする。
【0011】
の発明は、第の発明において、上記多孔質炭素材料が、非酸化性雰囲気中で600〜1200℃で加熱処理して疎水化されたものであることを特徴とする。
【0013】
の発明は、ボイラー、火力発電所、各種プラント等から排出される排煙を浄化する排煙処理システムであって、排煙排気ラインに第1乃至発明の何れか1つの脱硫装置を設けてなることを特徴とする。
【0014】
の発明は、第の発明において、上記脱硫装置の後流側に脱硝装置を設けてなることを特徴とする。
【0015】
の発明は、第又はの発明において、上記排煙排気ラインのいずれかに除塵装置を設けてなることを特徴とする。
【0017】
の発明は、活性炭及び活性炭素繊維から選ばれた少なくとも一種の多孔質炭素材料を脱硫塔内に設け、硫黄酸化物を含有する排煙を、上記多孔質炭素材料と接触させて脱硫する脱硫方法において、上記脱硫塔内に導入する排煙中のNOをNO2に酸化し、当該NO 2 を当該脱硫塔に直接導入すると共に、上記脱硫塔内に設けられた水分供給手段により当該脱硫塔内における排煙の水分量を飽和水蒸気量以上となるように当該排ガスに水分を供給して、脱硫すことを特徴とする。
【0018】
の発明は、第の発明において、上記NO酸化装置の酸化手段が、放電酸化手段、酸化触媒酸化手段、オゾン酸化手段、過酸化水素酸化手段のいずれか又はこれらの組み合わせであることを特徴とする。
【0019】
10の発明は、第の発明において、上記脱硫塔内に空気、酸素、オゾン、過酸化水素水、硝酸水溶液、過マンガン酸水溶液、塩素酸水溶液、及び次亜塩素酸水溶液から選ばれた少なくとも一種の酸化助剤を導入する酸化助剤導入手段を設けたことを特徴とする。
【0020】
11の発明は、第の発明において、上記多孔質炭素材料が、非酸化性雰囲気中で600〜1200℃で加熱処理して疎水化されたものであることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0023】
[第1の実施の形態]
図1は本実施の形態にかかる排煙の脱硫装置の概略図である。図1に示すように、本実施の形態にかかる脱硫装置10は、活性炭及び活性炭素繊維から選ばれた少なくとも一種の多孔質炭素材料11を脱硫塔12内に設け、硫黄酸化物を含有する排煙13を、上記多孔質炭素材料11と接触させて脱硫する脱硫装置において、上記脱硫塔13内にNO2 ガスを導入するNO2 ガス導入装置14を設けたものである。なお、脱硫塔12内の上部側にはシャワー手段15が設けられており、内部の水分を排煙の処理温度における飽和水蒸気量以上となるようにしている。
【0024】
上記多孔質炭素材料11は、排煙中の硫黄酸化物を吸着すると共に、酸化触媒としても作用するものである。
【0025】
上記多孔質炭素材料11の内で、活性炭としては、その種類については特に制限はなく、公知の各種活性炭を使用できる。活性炭の具体例としては、ヤシ殻原料、コークス原料、ピッチ原料等の各種の原料から製造される活性炭を挙げることができる。これらの活性炭は、常法に従って製造することができ、一般に、上記各原料を水蒸気賦活することによって得ることができる。本発明で使用する活性炭は、通常市販されている、比表面積700m2/g程度以上のものでよいが、特に、比表面積1500m2/g程度以上の比較的比表面積が大きいものが好ましい。
【0026】
活性炭素繊維の種類についても特に制限はなく、ピッチ系、ポリアクリロニトリル系、フェノール系、セルロース系等の公知の活性炭素繊維を用いることができ、市販品も使用できる。これらの中でも、比表面積が1000m2/g程度以上の比表面積が比較的大きいものが好適である。また、ピッチ系活性炭素繊維等の表面の疎水性が高いものが好ましい。
【0027】
本発明では、多孔質炭素材料として、上記した活性炭及び活性炭素繊維から選ばれた炭素材料を一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
【0028】
また、本発明で用いる多孔質炭素材料は、疎水化処理されたものが好ましい。
疎水化処理は、窒素ガス、アルゴンガス等の非酸化性雰囲気中で多孔質炭素材料を600〜1200℃程度の温度で、0.5〜5時間程度熱処理することによって行うことができる。この様な熱処理を行うことによって、多孔質炭素材料は、親水性である酸素官能基の一部乃至全部がCO、CO2 などとして除去されることによって、熱処理前と比べて、疎水性の表面となっている。このため、SO2 の酸化活性炭へのSO2 の吸着が容易に起こり、しかも生成する硫酸の排出も速やかに進行し、その結果、脱硫反応の触媒的な機能が向上する。
【0029】
本発明方法では、処理対象となる硫黄酸化物を含む排煙を、上記多孔質炭素材料と接触させることによって、脱硫反応を行う。多孔質炭素材料と接触した排煙中の硫黄酸化物は、多孔質炭素材料に吸着され、これが、下記式(1)の反応式に従って、排煙中に含まれる水分及び酸素と反応して硫酸に転化し、脱硫反応が進行する。
SO2 +1/2O2 +H2O → H2SO4 …(1)
【0030】
また、脱硫塔12内にNO2 ガス導入装置14からNO2 ガスを積極的に導入するので、下記式(2)の反応式に従って、SO2 に対するNOの阻害作用がなく、SO3 とNOに転化し、脱硫反応が効率よく進行する。
SO2 +NO2 → SO3 +NO …(2)
【0031】
なお、NO2 ガスの供給によりNOが発生するが、後述するように、脱硝装置を介装することで、環境基準値を充足するようにすればよい。
【0032】
硫黄酸化物を含む排煙を、多孔質炭素材料と接触させる方法としては、図1に示す構成に限定されるものではなく、公知の手法を適宜採用すれば良く、多孔質炭素材料と排煙を接触させることができる装置、例えば、固定床流通式装置、流動床式装置、攪拌式反応装置等の公知の反応装置を使用して、常法に従って多孔質炭素材料と排煙を接触させればよい。
【0033】
処理対象となる排煙の種類については特に限定はなく、重油、石炭等の燃料を使用するボイラー、火力発電所から発生する排煙や、化学品製造プラント、金属処理プラント、焼結プラント、製紙プラント等から発生する排煙等、SO2 等の硫黄酸化物を含む排煙は全て処理対象となる。排煙中のSO2 濃度についても限定はなく、通常の排煙中に含まれる100〜2000ppm程度のSO2 濃度であれば、本発明方法により脱硫処理可能である。また、排煙中の水分量については、通常の排煙に含まれる水分量7.5vol%程度以上であれば処理可能であり、脱硫反応を促進するためには、少量の水分を補給すれば更に良く、特に、排煙の処理温度における飽和水蒸気量以上となるように水分を補給することが好ましい。
また、水分量が少なすぎる場合にも、シャワー手段15等により適宜水分を補給すれば処理可能である。
【0034】
上記以外のガス成分としては、脱硫反応を妨げないものであれば、特に共存することによる弊害はなく、例えば、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素が共存しても問題はない。
【0035】
さらに、脱硫塔12には酸化助剤16を酸化助剤供給手段17により内部に供給することができる。この酸化助剤の供給により、多孔質炭素材料と接触させる際に、排煙中に酸化助剤を存在させることによって、前記式(1)の反応において、平衡が右側へ移動し、硫酸の生成、即ち、SO2 の除去が更に促進される。
【0036】
酸化助剤16としては、常温で気体状の酸化助剤及び常温で液体状の酸化助剤のいずれを用いても良い。
【0037】
常温で気体状の酸化助剤としては、空気、酸素、オゾン等を例示できる。また、常温で液体状の酸化助剤としては、例えば、過酸化水素水、硝酸水溶液、過マンガン酸水溶液、塩素酸水溶液、次亜塩素酸水溶液等を用いることができる。本発明では、上記した空気、酸素、オゾン、過酸化水素水、硝酸水溶液、過マンガン酸水溶液、塩素酸水溶液、次亜塩素酸水溶液等の酸化助剤を一種単独又は二種以上混合して用いることができる。また、気体状の酸化助剤と液体状の酸化助剤を併用してもよい。
【0038】
常温で気体状の酸化助剤は、脱硫装置のガス入り口側からファン、ブロアー、圧送機等を用いて排煙中に吹き込めばよい。また、液状の酸化助剤も、脱硫装置のガス入り口側から、液送ポンプ等で排煙中に注入すればよく、通常は、排煙に水分を補給するための補給水に添加して、補給水と共に、排煙に噴霧して霧化させて添加すればよい。
【0039】
これらの酸化助剤の内で、空気と酸素等は、主に、不足する酸素を直接補給する働きをするものであり、これらを添加することによって、排煙中の酸素濃度を高めることができる。空気又は酸素は、添加後の排煙中の酸素濃度が5vol%程度以上、好ましくは、8vol%程度以上となるように加えればよい。通常の排煙中には、酸素が3vol%程度以上含まれているので、この不足分を加えれば良い。空気としては、通常、大気を用いればよい。酸素としては、酸素ボンベ、液体酸素タンク、酸素発生機等から得られる酸素を用いればよい。大気中の酸素濃度は、約21%なので、酸素を用いる場合には、空気を用いる場合の約1/5程度の量でよい。
【0040】
また、オゾンは、非常に強い酸化力を持ち、SO2 を直接酸化する作用と、それ自身が多孔質炭素材料表面で分解し、酸素を発生する作用を有する。オゾンの場合には、酸素より遙かに酸化力が強いので、添加量は更に少量でよく、具体的には、処理対象の排煙中のSO2 濃度と同程度の濃度となるように添加すれば良く、通常、排煙中のオゾン濃度が100〜2000ppm程度の範囲となる添加量とすればよい。オゾンとしては、通常のオゾン発生器、例えば、空気に紫外線等を照射する方法等による発生器から得られるものを使用すればよい。
【0041】
液体状の酸化助剤の内で、過酸化水素水は、オゾンと同様に、強い酸化力を有し、SO2 の酸化作用と、酸素発生作用がある。硝酸水溶液は、強い酸化力でSO2 を酸化し、硫酸生成を促進する働きをする。過マンガン酸水溶液、塩素酸水溶液、次亜塩素酸水溶液等も、同様に酸化力を有し、また、多孔質炭素材料表面で分解し、酸素を発生する。ここで発生する酸素は、気体状態以外に水溶液中の溶存酸素としての形態となるために、硫酸水の生成に極めて有効に働く。
【0042】
液体状の酸化助剤は、水で希釈した状態の水溶液として排煙中に噴霧して添加すればよく、通常は、排煙に水分を補給するための補給水に添加して、補給水と共に添加すればよい。液体状の酸化助剤を排煙に添加する際の水溶液の濃度については、特に限定的ではないが、過酸化水素水、硝酸水溶液、過マンガン酸水溶液等については、有効成分濃度として、0.1〜10重量%程度とすることが好ましく、塩素酸水溶液、次亜塩素酸水溶液等については、有効成分濃度として、0.1〜20重量%程度とすることが好ましい。但し、この程度の水溶液を排煙発生設備の近くに貯蔵すると、大容量の液タンクが必要となるので、20〜40重量%程度の濃度の水溶液として貯蔵し、使用時に水で希釈して添加することが望ましい。
【0043】
液体状の酸化助剤の添加量は、気体状の酸化助剤より少量でよく、酸化助剤の有効成分量が、処理対象となるSO2 量に対して、等モル数(化学等量)以下で十分であり、通常は、酸化助剤の有効成分が、気化した状態の量として排煙中に0.1〜10vol%程度含まれる様に添加すればよい。
【0044】
本発明の方法では、上記した酸化助剤の内で、少量の使用で効果的に硫黄酸化物を除去できる点で、オゾン、過酸化水素水、硝酸水溶液、過マンガン酸水溶液、塩素酸水溶液及び次亜塩素酸水溶液から選ばれた少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0045】
脱硫処理を行う際の処理温度は、使用する多孔質炭素材料の種類、排煙中の水分量、SO2 濃度等に応じて、適宜調整する必要があるが、通常は、20〜100℃程度とすれば良い。特に、本発明の方法では、30〜60℃程度の常温付近の温度であっても、効率的に脱硫を行うことができる。尚、100℃以上の高温度であっても、シャワーリング等の方法で間欠的に水分を多量に添加することによって、脱硫を進行させることができる。
【0046】
脱硫反応を行う際のガスの流量は、SO2 濃度、使用する脱硫装置等に応じて適宜変更すればよいが、通常、多孔質炭素材料の重量(W)をガス流量(F)で除したW/Fの値が1×10-3〜5×10-3g・分/ml程度に範囲となるように流通させることが好ましい。
【0047】
[第2の実施の形態]
図2は本実施の形態にかかる排煙の脱硫装置の概略図である。なお、第1の実施の形態と同一部材には同一符号を付してその説明は省略する。
図2に示すように、本実施の形態にかかる脱硫装置10は、活性炭及び活性炭素繊維から選ばれた少なくとも一種の多孔質炭素材料11を脱硫塔12内に設け、硫黄酸化物を含有する排煙13を、上記多孔質炭素材料11と接触させて脱硫する脱硫装置において、脱硫塔12の前流側に設けられ、脱硫塔12内に導入する排煙13中のNOをNO2 に酸化するNO酸化装置21を設けてなるものである。
【0048】
本実施の形態では、第1の実施の形態と異なり、脱硫塔12に導入する前の排煙13中に存在するNOをNO酸化装置21により予め酸化することで、NO2 としている。これにより、多孔質炭素材料11による脱硫作用の際に、NO阻害が生じることがなくなり、良好な脱硫が行なわれることになる。
上記NOをNO2 に酸化させる手段としては、例えば放電酸化法、酸化触媒法、オゾン共存法、過酸化水素共存法等の種々の酸化手段を挙げることができ、これらの組み合わせとしてもよい。また、上記酸化触媒としては、例えばMnO2 、V2 5 、Cr2 3 等を例示することができる。
【0049】
なお、酸化助剤供給手段により酸化助剤を供給することでさらに脱硫効率は向上するのは、第1の実施の形態と同様である。
【0050】
[第3の実施の形態]
図3は本実施の形態にかかる排煙の脱硫装置を備えた排ガス浄化システムの概略図である。図3に示すように本実施の形態にかかるシステム30は、ボイラー、火力発電所、各種プラント等31から排煙排気ライン32中を排出される排煙13中のNOをNO2 に酸化するNO酸化装置21と、上述した脱硫装置10と、脱硝装置33とを備えたものである。
このシステムによれば、予め排煙中のNOをNO酸化装置21により、NO2 としているので、脱硫装置10での脱硫の際にNO阻害がなく、脱硫効率が向上する。
上記脱硝装置33は脱硫により排煙13が低温となっているので、低温脱硝装置を用いることが好ましい。
なお、排煙中の煤塵を除去する除塵装置は、所定箇所に介装することで効率よく除塵を行なうようにすればよい。
【0051】
以上の様に、本発明は、特に、重油、石炭等の燃料を使用するボイラー、火力発電所から発生する排煙や、化学品製造プラント、金属処理プラント、焼結プラント、製紙プラント等から発生する排煙中の硫黄酸化物の除去に好適である。
【0052】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0053】
多孔質炭素材料として、粒度8〜32メッシュ、比表面積800m2/gの粒状活性炭を用い、これを窒素雰囲気中で1000℃で予め熱処理して、疎水化した。次いで、得られた活性炭を用いて下記の方法で脱硫反応を行い、脱硫性能を調べた。
【0054】
脱硫装置として固定床流通式装置を用い、入り口条件でSO2 =800ppm、水分:13.5vol%(飽和以上)、O2 :3.8vol%、CO2 :8vol%、及び残部N2 からなるガスについて、ガス流量(F)当たりの活性炭重量(W)として、W/F=2.5×10-3g・分/mlとなるように、温度50℃で上記ガスを流通させて、脱硫反応を行った。
装置出口ガス中のSO2 濃度を非分散赤外線式SO2 計により測定し、脱硫率(=SO2 除去率)を算出した。
【0055】
[比較例1]
酸化助剤を用いること無く、脱硫反応を行い、脱硫反応開示50時間後の脱硫率を測定した。
[実施例1]
NO2 ガスを全反応ガス中の酸素濃度が800ppmとなるように導入したこと以外は、上述と同様の方法で脱硫反応を行い、脱硫反応開示50時間後の脱硫率を測定した。
これらの結果を下記「表1」に示す。
【0056】
【表1】
Figure 0004616497
【0057】
「表1」に示すように、NO2 ガスの導入により、排煙中の硫黄酸化物を効率的に脱硫することが可能であり、通常、98%程度以上の効率で脱硫を行うことができた。
【0058】
[比較例2]
上記ガス組成において、NO濃度が200ppmとなるように調整し、同様に脱硫反応を行い、脱硫反応開示50時間後の脱硫率を測定した。
【0059】
[比較例3]
酸化助剤としてオゾンを用い、全反応ガス中のオゾンの濃度が1000ppmとなるように、オゾン発生器から反応ガス中にオゾンを吹き込んだこと以外は、上述と同様の方法で脱硫反応を行い、脱硫反応開示50時間後の脱硫率を測定した。
【0060】
[比較例4]
酸化助剤として酸素を用い、全反応ガス中の酸素濃度が8vol%となるように酸素を導入したこと以外は、上述と同様の方法で脱硫反応を行い、脱硫反応開示50時間後の脱硫率を測定した。
これらの結果を下記「表2」に示す。
【0061】
【表2】
Figure 0004616497
【0062】
「表2」に示すように、脱硫反応において、NO阻害がみられ、SV値の低下がみられた。また、酸化助剤の添加をしてもあまり効果はなかった。
【0063】
[実施例2]
NO濃度200ppmを予めNO2 200ppmに変換して、酸化助剤を用いることなく同様に脱硫反応を行い、脱硫反応開示50時間後の脱硫率を測定した。
【0064】
[実施例3]
NO濃度200ppmを予めNO2 200ppmに変換して、酸化助剤としてオゾン(1000ppm)を用いた以外は実施例2と同様に脱硫反応を行い、脱硫反応開示50時間後の脱硫率を測定した。
【0065】
[実施例4]
NO濃度200ppmを予めNO2 200ppmに変換して、酸化助剤として酸素(8 %)を用いた以外は実施例2と同様に脱硫反応を行い、脱硫反応開示50時間後の脱硫率を測定した。
これらの結果を下記「表3」に示す。
【0066】
【表3】
Figure 0004616497
【0067】
以上の結果から明らかなように、本発明によれば、NOガスが微量にあっても予めNO2 に変換するか又は積極的にNO2 ガスを供給することで、排煙中に含まれる硫黄酸化物を高効率で除去できることが判明した。また、酸素による併用効果も確認できた。
【0069】
【発明の効果】
の発明によれば、活性炭及び活性炭素繊維から選ばれた少なくとも一種の多孔質炭素材料を脱硫塔内に設け、硫黄酸化物を含有する排煙を、上記多孔質炭素材料と接触させて脱硫する脱硫装置において、上記脱硫塔に連結して設けられ、脱硫塔内に導入する排煙中のNOをNO2に酸化するNO酸化装置と、上記脱硫塔内に設けられ、脱硫塔内の排煙の水分量が飽和水蒸気以上となるように水分を当該排煙に供給する水分供給手段とを具備したので、NO阻害効果が消失し、排煙中の硫黄酸化物を効率的に脱硫することが可能である。
【0070】
の発明によれば、第の発明において、上記NO酸化装置の酸化手段が、放電酸化手段、酸化触媒酸化手段、オゾン酸化手段、過酸化水素酸化手段のいずれか又はこれらの組み合わせであるので、ので、効率的にNOの酸化が行なわれる。
【0071】
の発明によれば、第の発明において、上記脱硫塔内に空気、酸素、オゾン、過酸化水素水、硝酸水溶液、過マンガン酸水溶液、塩素酸水溶液、及び次亜塩素酸水溶液から選ばれた少なくとも一種の酸化助剤を導入する酸化助剤導入手段を設けたので、さらに脱硫効果が向上する。
【0072】
の発明によれば、第の発明において、上記多孔質炭素材料が、非酸化性雰囲気中で600〜1200℃で加熱処理して疎水化されたものであるので、疎水性の表面となり、SO2の吸着が容易となり、しかも生成する硫酸の排出も効率的となり、脱硫反応が向上する。
【0074】
の発明によれば、ボイラー、火力発電所、各種プラント等から排出される排煙を浄化する排煙処理システムであって、排煙排気ラインに第1乃至発明の何れか1つの脱硫装置を設けてなるので、排煙処理効果が向上する。
【0075】
の発明によれば、第の発明において、上記脱硫装置の後流側に脱硝装置を設けてなるので、脱硫及び脱硝を効率的に行なうことができる。
【0076】
の発明によれば、第又はの発明において、上記排煙排気ラインのいずれかに除塵装置を設けてなるので、脱硫及び脱硝に加え、除塵もでき排煙を清浄化できる。
【0078】
の発明によれば、活性炭及び活性炭素繊維から選ばれた少なくとも一種の多孔質炭素材料を脱硫塔内に設け、硫黄酸化物を含有する排煙を、上記多孔質炭素材料と接触させて脱硫する脱硫方法において、上記脱硫塔内に導入する排煙中のNOをNO2に酸化し、当該NO 2 を当該脱硫塔に直接導入すると共に、上記脱硫塔内に設けられた水分供給手段により当該脱硫塔内における排煙の水分量を飽和水蒸気量以上となるように当該排ガスに水分を供給して、脱硫すので、NO阻害効果が消失し、排煙中の硫黄酸化物を効率的に脱硫することが可能である。
【0079】
の発明によれば、第の発明において、上記NO酸化装置の酸化手段が、放電酸化手段、酸化触媒酸化手段、オゾン酸化手段、過酸化水素酸化手段のいずれか又はこれらの組み合わせであるので、効率的にNOの酸化が行なわれる。
【0080】
10の発明によれば、第の発明において、上記脱硫塔内に空気、酸素、オゾン、過酸化水素水、硝酸水溶液、過マンガン酸水溶液、塩素酸水溶液、及び次亜塩素酸水溶液から選ばれた少なくとも一種の酸化助剤を導入すので、さらに脱硫効果が向上する。
【0081】
11の発明によれば、第の発明において、上記多孔質炭素材料が、非酸化性雰囲気中で600〜1200℃で加熱処理して疎水化されたものであるので、疎水性の表面となり、SO2の吸着が容易となり、しかも生成する硫酸の排出も効率的となり、脱硫反応が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態にかかる排煙の脱硫装置の概略図である。
【図2】第2の実施の形態にかかる排煙の脱硫装置の概略図である。
【図3】第3の実施の形態にかかる排煙の脱硫装置を備えた排煙処理システムの概略図である。
【図4】NO量と触媒量との関係図である。
【符号の説明】
10 脱硫装置
11 多孔質炭素材料
12 脱硫塔
13 排煙
14 NO2 ガス導入装置
15 シャワー手段
16 酸化助剤
17 酸化助剤供給手段
21 NO酸化装置
30 排ガス浄化システム
31 各種プラント等
32 排煙排気ライン
33 脱硝装置

Claims (11)

  1. 活性炭及び活性炭素繊維から選ばれた少なくとも一種の多孔質炭素材料を脱硫塔内に設け、硫黄酸化物を含有する排煙を、上記多孔質炭素材料と接触させて脱硫する脱硫装置において、
    上記脱硫塔に連結して設けられ、脱硫塔内に導入する排煙中のNOをNO2に酸化するNO酸化装置と、
    上記脱硫塔内に設けられ、脱硫塔内の排煙の水分量が飽和水蒸気以上となるように水分を当該排煙に供給する水分供給手段とを具備したことを特徴とする排煙の脱硫装置。
  2. 請求項において、
    上記NO酸化装置の酸化手段が、放電酸化手段、酸化触媒酸化手段、オゾン酸化手段、過酸化水素酸化手段のいずれか又はこれらの組み合わせであることを特徴とする排煙の脱硫装置。
  3. 請求項において、
    上記脱硫塔内に空気、酸素、オゾン、過酸化水素水、硝酸水溶液、過マンガン酸水溶液、塩素酸水溶液、及び次亜塩素酸水溶液から選ばれた少なくとも一種の酸化助剤を導入する酸化助剤導入手段を設けたことを特徴とする排煙の脱硫装置。
  4. 請求項において、
    上記多孔質炭素材料が、非酸化性雰囲気中で600〜1200℃で加熱処理して疎水化されたものであることを特徴とする排煙の脱硫装置。
  5. ボイラー、火力発電所、各種プラント等から排出される排煙を浄化する排煙処理システムであって、
    排煙排気ラインに請求項1乃至何れか1項に記載の脱硫装置を設けてなることを特徴とする排煙処理システム。
  6. 請求項において、
    上記脱硫装置の後流側に脱硝装置を設けてなることを特徴とする排煙処理システム。
  7. 請求項又はにおいて、
    上記排煙排気ラインのいずれかに除塵装置を設けてなることを特徴とする排煙処理システム。
  8. 活性炭及び活性炭素繊維から選ばれた少なくとも一種の多孔質炭素材料を脱硫塔内に設け、硫黄酸化物を含有する排煙を、上記多孔質炭素材料と接触させて脱硫する脱硫方法において、
    上記脱硫塔内に導入する排煙中のNOをNO2に酸化し、当該NO 2 を当該脱硫塔に直接導入すると共に、上記脱硫塔内に設けられた水分供給手段により当該脱硫塔内における排煙の水分量を飽和水蒸気量以上となるように当該排ガスに水分を供給して、脱硫すことを特徴とする排煙の脱硫方法。
  9. 請求項において、
    上記NO酸化装置の酸化手段が、放電酸化手段、酸化触媒酸化手段、オゾン酸化手段、過酸化水素酸化手段のいずれか又はこれらの組み合わせであることを特徴とする排煙の脱硫方法。
  10. 請求項において、
    上記脱硫塔内に空気、酸素、オゾン、過酸化水素水、硝酸水溶液、過マンガン酸水溶液、塩素酸水溶液、及び次亜塩素酸水溶液から選ばれた少なくとも一種の酸化助剤を導入すことを特徴とする排煙の脱硫方法。
  11. 請求項において、
    上記多孔質炭素材料が、非酸化性雰囲気中で600〜1200℃で加熱処理して疎水化されたものであることを特徴とする排煙の脱硫方法。
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