JP2006104598A - 活性炭素繊維及びその製造方法、ガス浄化方法 - Google Patents

活性炭素繊維及びその製造方法、ガス浄化方法 Download PDF

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昭典 安武
Kiyoshi Tatsuhara
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満 西田
Takafuru Kobayashi
敬古 小林
Masashi Kiyozawa
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Abstract

【課題】排ガス又は石炭ガス化ガス等の生成ガス中に含有される水銀を高効率で吸着することができる活性炭素繊維及びその製造方法、並びにガス浄化方法を提供する。
【解決手段】水銀を含む生成ガス102の導入する導入口を側壁に有し、該浄化ガス109の排出口を上部に有すると共に、S含有量が0.1〜30重量%の活性炭素繊維からなる活性炭素繊維槽107Aが内部に設けられた浄化塔104を有するガス浄化装置により、ガス中の水銀を効率良く除去する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、本発明は、例えば各種焼却炉、溶融炉、ボイラ、ガスタービン、エンジン等から排出される排ガス又は石炭ガス化ガス等の生成ガス中に含有される水銀を吸着することができる活性炭素繊維及びその製造方法、ガス浄化方法に関する。
例えば都市ゴミ焼却炉,産業廃棄物焼却炉,汚泥焼却炉等の各種焼却炉から排出される排ガス中には、焼却対象物の種類や焼却条件によって、硫黄酸化物や窒素酸化物の他、水銀等の有害物質が含有されることがあり、人体や動植物に被害をもたらし、自然環境を破壊するものとして、深刻な社会問題化している。
従来、排ガス中に含まれる前記有害物質の除去のため、脱硝触媒として、チタニア(TiO2 )を担体とし、活性成分として五酸化バナジウム(V2 5 ),三酸化タングステン(WO3 )等の金属酸化物等を少なくとも一つ担持したものが使用されている。
また、従来においては、排ガスの煤塵の除去と同時に有害物質類を吸着して除去する試みが提案されているが、例えば除塵装置(例えばバグフィルタ)で煤塵と共に有害物質を除去した場合には、該除塵装置のフィルタには、有害物質が吸着されているので、該有害物質を吸着したフィルタを別途処理,二次処理する必要があり、手間がかかるという問題がある。また、排ガス中の水銀を除去する方法として、排ガス中に塩素化合物(例えば塩化カルシウム、塩酸等)を添加等して、塩化水銀(HgCl2 )として水に吸収捕集する方法が提案されているが、蒸気体の水銀を効率よく除去することが困難であるという問題がある。また、排ガスに不要な塩素化合物を添加するのは、好ましくないという問題がある。さらに、排ガスを脱硫して石灰石膏法により石膏を得る場合には、前記塩化水銀が石膏中に含有するという問題がある。
そこで、本発明者等は水銀等の有害物質を除去するために活性炭素繊維を吸着剤として利用することを提案した(特許文献1)。
特開2003−240226号公報
しかしながら、特許文献1における水銀の吸着は80%程度の除去率を示すものの、その寿命は1年程度と短いものであった。近年環境規制が厳しくなり、より長期間に亙って水銀の除去効率が高い活性炭素繊維の出現が望まれている。
本発明は、前記問題に鑑み、排ガス又は石炭ガス化ガス等の生成ガス中に含有される水銀を高効率で吸着することができる活性炭素繊維及びその製造方法、並びにガス浄化方法を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、S含有量が0.1〜30重量%であることを特徴とする活性炭素繊維にある。
第2の発明は、予めS分含量が多い活性炭素繊維を用い、高温処理することを特徴とする第1の発明の活性炭素繊維を製造する活性炭素繊維の製造方法にある。
第3の発明は、第2の発明において、前記活性炭素繊維がピッチ系活性炭素繊維、ポリアクリロニトリル系活性炭素繊維、フェノール系活性炭素繊維、セルロース系活性炭素繊維であることを特徴とする活性炭素繊維の製造方法にある。
第4の発明は、第2の発明において、100〜400℃において活性炭素繊維に硫黄酸化物ガスを供給し、その後非酸化雰囲気下で600〜1200℃で熱処理することを特徴とする活性炭素繊維の製造方法にある。
第5の発明は、第1の発明の活性炭素繊維を吸着剤として用い、ガス中の成分を選択的に吸着することを特徴とするガス浄化方法にある。
第6の発明は、第5の発明において、前記選択的に吸着する成分が水銀であることを特徴とするガス浄化方法にある。
第7の発明は、S含有量が0.1〜2重量%の活性炭素繊維を吸着剤として用い、ガス中の硫黄酸化物成分及び水銀を選択的に吸着・除去することを特徴とするガス浄化方法にある。
第8の発明は、S含有量が1〜10重量%の活性炭素繊維を吸着剤として用い、ガス中の水銀を選択的に吸着することを特徴とするガス浄化方法にある。
本発明によれば、水銀を高効率で吸着することができ、外部への水銀の拡散を防止することができる。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施の形態]
本発明による実施の形態に係る活性炭素繊維及びその活性炭素繊維を用いたガス浄化装置について、図面を参照しつつ説明する。
本実施の形態にかかる活性炭素繊維は、S含有量が0.1〜30重量%、好適には0.5〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜10重量%とするのがよい。これは、S含量が0.1重量%未満であると、水銀除去効率向上が発現されず、また30重量%を超えると炭素繊維化が困難であるからである。
特に、水銀のみを吸着する場合には、1〜10重量%とするのが好ましい。また、脱硫と併用する場合には0.1〜2重量%とするのがよい。これは2重量%を超えると脱硫性能が低下するので好ましくないからである。
ここで、原料となる活性炭素繊維の種類としては、特に制限はなく、ピッチ系、ポリアクリロニトリル系、フェノール系、セルロース系等の活性炭素繊維を用いることができる。これらの中でも、特に活性炭素繊維の表面の疎水性のより高いものが望ましく、具体的にはピッチ系活性炭素繊維等を挙げることができる。
また、水銀の吸着能を向上させた活性炭素繊維の製造方法としては、S成分含有量の高いピッチ系等の活性炭素繊維を原料として用いて製造する方法と、S成分含有量が低いピッチ系等の活性炭素繊維原料に含S化合物を供給してS成分を含有させる方法との二種類がある。
S成分含有量の高いピッチ系等の活性炭素繊維を原料として用いる場合の製造方法は、窒素ガス、不活性ガス等の非酸化雰囲気下で、通常600〜1,200℃程度の温度で熱処理する。ここで熱処理時間は、処理温度等に応じて適宜定めればよい。
この熱処理により、親水性である酸素官能基の一部または全部がCO、CO2 等として除去されているので、処理前に比べて疎水性の大きな表面となる。
また、S成分含有量が低いピッチ系等の活性炭素繊維原料に含S化合物を供給してS成分を含有させる方法は、例えば先ず100〜400℃において活性炭素繊維に硫黄酸化物ガス(SOx)を供給し、その後非酸化雰囲気下で600〜1200℃で熱処理する。又は、繊維原料にナフタレンスルホン酸等を混入し、その後紡糸して所定の熱処理を行う。このように、予めS成分を含有させた後に、高温で黒鉛化をすることで、水銀除去効率の高い活性炭素繊維を得ることができる。
図5に活性炭素繊維の模式図を示す。活性炭素繊維11のA拡大に示すDは活性炭素繊維11の直径であり、例えば10〜20μm程度である。そのB拡大は、表面の様子を模式化したものであり、活性炭素繊維の表面に連続した形成されたミクロ細孔12は、その細孔径dが例えば0.3〜1.3nmの範囲としている。これは金属水銀の半径が0.31nmであり、塩化水銀の半径が0.81nmであるので、前述した範囲であるとミクロ細孔12内に水銀が効率良く吸着することになる。
この活性炭素繊維の具体的な製造例を下記に示す。
<具体例1>
フェノール系活性炭素繊維(「クラクティブ−20」、クラレケミカル(株)製)を用い、これを窒素雰囲気中で900〜1,200℃の温度範囲内で3時間焼成する。
<具体例2>
ポリアクリロニトリル系活性炭素繊維(「FX−600」、東邦レーヨン(株)製)を用い、該活性炭素繊維を例えばナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、チオフェン、S含有ピッチ等のS分供給物質の溶液に所定時間浸漬させる。これを窒素雰囲気中で900〜1,200℃の温度範囲内で2時間焼成する。
これにより、所定のS分含有量の活性炭素繊維を得ることができる。
また、活性炭素繊維を製造する方法において、紡糸用のピッチ調整時に、前記S分供給物質を所定量添加して所定のS分含有量を有する活性炭素繊維を紡糸し、その後ピッチの溶融紡糸、ピッチ繊維の不融化、不融化ピッチ繊維の賦活処理をするようにしてもよい。
この得られた活性炭素繊維を吸着剤として用い、ガス中の成分の中で水銀を選択的に吸着することができる。
前述したように、水銀のみを吸着する場合には、S含有量が0.1〜30重量%の活性炭素繊維を吸着剤として用い、ガス中の水銀を選択的に吸着することができる。
また、前述したように、水銀の吸着と脱硫処理とを併用する場合には、S含有量が0.1〜2重量%の活性炭素繊維を吸着剤として用い、ガス中の硫黄酸化物成分及び水銀を選択的に吸着・除去することができる。
また、脱硫処理と併用する場合には、一つの浄化塔内にS含有量が0.1〜30重量%の活性炭素繊維を吸着材とした活性炭素繊維槽を配設して処理する方法と、Sを含有しない通常の活性炭素繊維を吸着剤とした活性炭素繊維槽をガス流れ前段側に設け、ガス流れ後段側にS含有量が1〜10重量%の活性炭素繊維を吸着剤とした活性炭素繊維槽を設けるようにしてもよい。また、これらを一つの浄化塔に配設する代わりに、独立した浄化塔を2塔設けるようにしてもよい。
以下、本発明の活性炭素繊維を用いて、水銀を含有するガスを浄化する浄化装置について図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係るガス浄化装置を示す概念図である。
図1に示すように、本実施の形態に係るガス浄化装置は、例えば石炭ガス化設備における水銀を含む生成ガス102の導入する導入口を側壁(又は下部)に有し、該浄化ガス109の排出口を上部に有すると共に、S含有量が0.1〜30重量%の活性炭素繊維からなる活性炭素繊維槽107Aが内部に設けられた浄化塔104を有するものである。本実施の形態では活性炭素繊維槽107Aは2段としているが、本発明はこれに限定されるものではない。そして、前記浄化塔104内に生成ガス102を図示しない押込みファンで送給することで、生成ガス102が活性炭素繊維槽107Aを構成する活性炭素繊維と接触し、生成ガス102中に含まれる水銀を除去するようにしている。
ここで、本発明で水銀を含むガスとは、前述した生成ガス以外に、例えば都市ゴミ焼却炉,産業廃棄物焼却炉,汚泥焼却炉等の各種焼却炉から排出される排ガスを挙げることができるが、水銀を含むガスであればこれらに限定されるものではない。
前記活性炭素繊維槽は活性炭素繊維からなる浄化部材を複数充填してなるものであり、複数段から構成されている。前記浄化部材は例えば断面形状が略三角形で、内部が空洞になっており、空洞内をガスが通過する際に、活性炭素繊維の表面において水銀の吸着がなされることになる。
石炭ガス化炉からの生成ガス中の水銀を除去する場合には、図1に示すように特に乾式で水銀の除去を行うようにしている。
次に、図2を参照して湿式の水銀除去を行う場合について説明する。
図2に示すように、湿式法で行う場合には、ガス中に含まれる硫黄酸化物を脱硫する際に、水105を供給することにより、希硫酸106が生じるので、この希硫酸106とともに、水銀を吸着するようにしてもよい。
次に、図3を参照してボイラ排ガス中の硫黄酸化物及び水銀除去を行う場合について説明する。
図3に示すように、ボイラ100からの排ガス101が浄化塔104の下部に供給され、浄化塔104内に内装されたS含有量が0.1〜2重量%の活性炭素繊維からなる活性炭素繊維槽107Bが内部に設けられた浄化塔104を有するものである。
この活性炭素繊維107Bは前述したように脱硫性能と水銀除去性能とを併用するので、脱硫及び水銀除去を効率良く行うことができる。
次に、図4を参照してボイラ排ガス中の硫黄酸化物及び水銀除去を行う場合について説明する。
図4に示すように、浄化塔104のガス流れ前段側(塔下部側)の2段に通常の活性炭素繊維からなる活性炭素繊維槽107Cが配設され、ガス流れ後段側(塔上部側)にS含有量が0.1〜30重量%の活性炭素繊維を吸着材とした活性炭素繊維槽を配設してなるものである。
これにより、脱硫性能と水銀除去性能が共に向上したガス浄化を行うことができる。
なお、所定期間に亙ってガスを浄化した活性炭素繊維槽の活性炭素繊維はその吸着効率が低下する。
そこで、水銀の吸着効率が低下した場合には、前記処理液201として、例えば次亜塩素酸塩水溶液、塩素水、オゾン水、過酸化水素水のいずれかを用いて処理することにより再生することができる。
前記次亜塩素酸塩としては、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)、次亜塩素酸カルシウム(Ca(ClO))を挙げることができる。
また、前記次亜塩素酸塩水溶液又は塩素水は、有効塩素濃度が0.01〜10%、好ましくは、0.1〜2重量%とするのがよい。
この次亜塩素酸塩水溶液の供給により、水銀は[HgCl2-となって脱離され、水等に易溶性の錯体を形成することになる。よって、水を供給することにより、水に速やかに移行する。よって、従来のような加熱により水銀を脱離させた際に、外部に飛散するようなことも解消される。
また、水銀を錯体イオンとして回収した処理液は別途水銀処理槽に送給され、ここで、例えば凝集・沈澱処理、キレート剤による捕集処理等により個別に回収することができる。
また、オゾン水、過酸化水素水の濃度としては、0.01〜10%とするのが好ましい。オゾン水等の場合には水銀は酸化水銀として脱離される。
以上のように、本発明にかかる活性炭素繊維は水銀の除去効率が飛躍的に向上するので、水銀を外部へ飛散することが防止するガス浄化装置に用いて適している。
実施の形態にかかるガス浄化装置(乾式)の概略図である。 実施の形態にかかるガス浄化装置(湿式)の概略図である。 実施の形態にかかるボイラ排ガスを処理するガス浄化装置の概略図である。 実施の形態にかかる他のボイラ排ガスを処理するガス浄化装置の概略図である。 活性炭素繊維の水銀の吸着脱離の模式図である。
符号の説明
100 ボイラ
101 排ガス
103 液循環ライン
104 浄化塔
105 水
106 希硫酸
107A、107B、107C 活性炭素繊維槽
109 浄化ガス
110 煙突

Claims (8)

  1. S含有量が0.1〜30重量%であることを特徴とする活性炭素繊維。
  2. 予めS分含量が多い活性炭素繊維を用い、高温処理することを特徴とする請求項1記載の活性炭素繊維を製造する活性炭素繊維の製造方法。
  3. 請求項2において、
    前記活性炭素繊維がピッチ系活性炭素繊維、ポリアクリロニトリル系活性炭素繊維、フェノール系活性炭素繊維、セルロース系活性炭素繊維であることを特徴とする活性炭素繊維の製造方法。
  4. 請求項2において、
    100〜400℃において活性炭素繊維に硫黄酸化物ガスを供給し、その後非酸化雰囲気下で600〜1200℃で熱処理することを特徴とする活性炭素繊維の製造方法。
  5. 請求項1の活性炭素繊維を吸着剤として用い、ガス中の成分を選択的に吸着することを特徴とするガス浄化方法。
  6. 請求項5において、
    前記選択的に吸着する成分が水銀であることを特徴とするガス浄化方法。
  7. S含有量が0.1〜2重量%の活性炭素繊維を吸着剤として用い、ガス中の硫黄酸化物成分及び水銀を選択的に吸着・除去することを特徴とするガス浄化方法。
  8. S含有量が0.1〜30重量%の活性炭素繊維を吸着剤として用い、ガス中の水銀を選択的に吸着することを特徴とするガス浄化方法。
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