JP2012040479A - 排水処理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】水処理装置の大型化やランニングコストの増大を防止し、高効率にかつ安定的に処理が可能な排水処理システムを提供する。
【解決手段】有機物質を含有する排水を曝気し有機物質を含有する曝気ガスを排出させる曝気槽111と曝気槽に接続され、排水を接触させることで有機物質を吸着し、加熱ガスを接触させ吸着した有機物質を脱着する吸着素子211に排水を供給し処理水として排出し、吸着素子に加熱ガスを供給し有機物質を吸着素子から脱着させて有機物質を含有する脱着ガスとして排出する排水処理装置200と曝気槽および排水処理装置に接続され、排出された有機物質を含有する曝気ガスと脱着ガスの混合ガスを燃焼させて酸化分解して分解ガスを排出する燃焼装置310を備え、排水処理装置は吸着素子の脱着処理が完了した部分を吸着処理を行なう部分に移行させ吸着素子の吸着処理が完了した部分を脱着処理を行なう部分に移行させる排水処理システム。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機物質を含有する排水から有機物質を除去することで当該排水を正常化する排水処理システムに関し、特に、各種工場や研究施設等から排出される有機物質を含有する産業排水から有機物質を効率的に除去することで当該産業排水を清浄化する排水処理システムに関する。
従来より、排水中から揮発性有機物質の除去方法として、曝気処理が広く知られている。この処理方法は、排水へ外気などのガスを導入してバブリングさせ、さらに必要に応じて曝気槽内を加温させることで、排水中の揮発性有機物質を揮発させて排水中から除去させるシステムである。
しかしながら、曝気処理においては、揮発性の低い有機物質の排水からの除去効率は低く、そのような場合、加温温度や滞留時間を上げることで、効率を上げる場合があるが、装置の大型化やランニングコストの増大が問題であった。
一方、排水処理の最終処理方法として交換式吸着装置が一般的に知られている。ここで言う交換式吸着装置とは、活性炭等の吸着材を充填した槽に有機物質を含有した水を通流させ、吸着材により水中の有害有機物質を効率的に除去することができるシンプルな処理装置である。
しかしながら、交換式吸着装置は有機物質を一定時間吸着し続け、吸着材の吸着能力が飽和に達すれば、新品への交換もしくは一度装置から吸着材を取り出して再生が必要となって連続浄化ができない。さらに、水の浄化は、空気の浄化と異なり、吸着材への微生物の繁殖が不可避であり、吸着材の寿命を縮めることもあって、交換および再生への労力、コスト増大が問題であった。
かかる問題を解決するために、多量の吸着材を用いることで、交換周期を延長させることも考えられるが、装置の大型化、設備投資が不可避となる。また、従来の浄化装置では、吸着材使用開始時と使用終了前(吸着材取替え直前)では有害物質吸着性能が変化しており、安定に浄化処理することができないという問題点も有していた。
このような問題点を克服するため、吸着工程と脱着工程を交互に行うことで高効率、かつ安定的に除去できる水処理システムが検討されている(例えば、特許文献1、2参照)。これらの水処理システムは、水の連続浄化を実現し、基本的には吸着材の交換が必要なく、多量の有機物質を高効率、かつ安定に除去することができる。
特許文献2に記載の水処理システムは、脱水工程および脱着工程の際に排出される有機物質を含む脱着ガスを燃焼装置で酸化分解させるなどして処理することで、完結型の水処理システムとして構成されている。触媒を用いた燃焼装置を例にとると、脱着工程から排出された脱着ガスを、例えば300℃まで予熱し、触媒燃焼装置内に供給させて、触媒へ接触させることで、脱着ガス中の有機物質を酸化分解させることが可能である。また、有機物質が酸化分解された際に燃焼熱が発生し、出口ガス温度は入口ガス温度よりも高くなるため、出口ガスと入口ガスの熱交換を行うことで、予熱に必要なランニングコストを削減できる。
しかし、上記特許文献1や2に記載の水処理システムにおいても、技術的な課題があった。例えば、研究所や工場等から排出される排水中には、吸着材によっては高効率に排水中から除去することが困難な有機物質も含まれているケースが多く、例えばアセトアルデヒドなどの低分子量、低沸点の有機物質に対する吸着材への吸着能は高くはないため、このような有機物質も含んだ排水を特許文献1や2に記載の水処理システムのみを用いて処理する場合、装置の大型化やランニングコストの増大するため、さらに効率的な水処理システムが求められていた。
また、上記に例をあげた低沸点の有機物質を高濃度に含む場合、脱水工程、脱着工程の初期に、低沸点の有機物質が、吸着材からの脱着以外に、吸着材への付着した水等から直ちに気化し、一時的に非常に高濃度の有機物質を含む脱着ガスが排出される場合もある。その場合、特許文献2に記載のような、燃焼装置と組合わせた水処理システムにおいては、脱着ガス中の有機物質の濃度変動が大きく、不安定となる。つまり、燃焼装置内での有機物質の燃焼熱量および燃焼装置の出口温度が不安定となるため、出口ガスと入口ガスの熱交換による予熱のために必要な制御機器が増大したり、装置構造が非常に複雑となる問題があった。
また、白金触媒を用いた燃焼装置の場合、脱着ガス中の有機物質濃度変動の影響を受けて、一時的に約500℃を超えた雰囲気で処理を続けると、白金触媒がシンタリング(粒状化)を引き起こし、徐々に触媒の処理能が低下する。また、上記に例をあげた低沸点の有機物質が高濃度に排水に含有されているほど、一時的に爆発下限を超える脱着ガスが排出される可能性もでてくるため、外気で希釈したり、大型のバッファータンクを設置するなどの脱着ガス中の有機物質濃度を平準化させる手段が必要となり、燃焼装置の大型化やコスト増大となるため、脱着ガス中の有機物質濃度の平準化が求められていた。
特開2006−55712号公報 特開2008−188492号公報
本発明は、上記技術の課題を背景になされたもので、水の連続浄化を実現し、基本的には吸着材の交換が必要なく、多種多量の有機物質を高効率、かつ安定に除去すると共に、水処理装置から排出され、燃焼装置へ供給される排ガス中の有機物質濃度を安定化することができる水処理システムを提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、ついに本発明を完成するに到った。即ち本発明は、以下の通りである。
1.有機物質を含有する排水から有機物質を除去することで当該排水を清浄化する排水処理システムであって、
有機物質を含有する排水を曝気処理することで、排水中から有機物質を揮発除去させ、有機物質を含有する曝気ガスを排出させる曝気槽と、
前記曝気槽に接続され、有機物質を含有する排水を接触させることで有機物質を吸着し、加熱ガスを接触させることで吸着した有機物質を脱着する吸着素子を含み、前記吸着素子に排水を供給することで有機物質を前記吸着素子に吸着させて処理水として排出し、前記吸着素子に加熱ガスを供給することで有機物質を前記吸着素子から脱着させて有機物質を含有する脱着ガスとして排出する排水処理装置と、
前記曝気槽および前記排水処理装置に接続され、前記曝気槽および排水処理装置から排出された有機物質を含有する曝気ガスと脱着ガスの混合ガスを燃焼させて酸化分解して分解ガスを排出する燃焼装置を備え、
前記排水処理装置は、前記吸着素子の脱着処理が完了した部分を吸着処理を行なう部分に移行させるとともに前記吸着素子の吸着処理が完了した部分を脱着処理を行なう部分に移行させることで連続的に処理水を処理可能なものである排水処理システム。
2.前記排水処理装置は、前記吸着素子にガスを吹き付けることで前記吸着素子に付着した余剰の排水を吹き飛ばしてこれを除去排水として排出する上記1に記載の排水処理システム。
3.前記排水処理装置から排出された除去排水が、排水として前記排水処理装置に再度供給されるように構成された上記2に記載の排水処理システム。
4.前記吸着素子が、活性炭、活性炭素繊維およびゼオライトからなる群から選ばれる少なくとも1種の吸着材を含んでいる上記1から3のいずれかに記載の排水処理システム。
5.前記燃焼装置から排出される分解ガスを熱交換し、前記排水処理装置の加熱ガスを予熱するように構成された上記1から4のいずれかに記載の排水処理システム。
本発明による水処理システムは、多種多量の有機物質を高い効率で連続的に除去することができ、基本的に吸着材の交換の必要が無く、さらに脱着ガス中の有機物質の濃度を安定的に燃焼装置へ供給することができるため、低コストで、安定に、高い能力で水中からの有機物質の除去および水処理装置から排出される排ガスを処理することができる利点がある。
本発明の実施の形態1における排水処理システムのシステム構成図である。 本発明の実施の形態1における排水処理システムにおいて利用可能な他の排水処理装置の例を示す模式図である。 本発明の実施の形態1における排水処理システムにおいて利用可能なさらに他の排水処理装置の例を示す模式図である。 本発明の実施の形態2における排水処理システムのシステム構成図である。 本発明の実施の形態3における排水処理システムのシステム構成図である。 本発明の実施例における混合排ガス中の合計溶剤濃度の脱着時の経時変化をプロットしたグラフである。 本発明の実施例における燃焼装置から出る分解ガス温度の脱着時の経時変化をプロットしたグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一または対応する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さないことにする。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における排水処理システムのシステム構成図である。以下においては、この図1を参照して、本実施の形態における排水処理システム1Aの構成について説明する。
図1に示すように、本実施の形態における排水処理システム1Aは、曝気槽100と、排水処理装置200と、燃焼装置300とを主として備えている。
曝気槽100は、気泡を発生させる曝気装置111を含んでいる。曝気槽100は、配管ラインL1から有機溶剤を含有する排水を供給することで、排水中の有機物質が揮発され、配管ラインL2から排水中の有機物質が低減された一次処理水を排出する。また、配管ラインL3からガスを曝気装置111へ導入することにより、排水中から有機物質を揮発除去し、配管ラインL4から揮発除去された有機物質を含有する曝気ガスとして排出させる。
排水処理装置200は、吸着素子211、221がそれぞれ収容された第1処理槽210および第2処理槽220を有している。吸着素子211、221は、排水を接触させることで一次処理水に含有される有機物質を吸着する。したがって、排水処理装置200においては、吸着素子211、221に排水を供給することで有機物質が吸着素子211、221によって吸着され、これにより排水が清浄化されて二次処理水として排出されることになる。また、吸着素子211、221は、加熱ガスを接触させることで吸着した有機物質を脱着する。したがって、排水処理装置200においては、吸着素子211、221に加熱ガスを供給することで有機物質が吸着素子211、221から脱着され、これにより加熱ガスが有機物質を含有する脱着ガスとして排出されることになる。
第1処理槽210および第2処理槽220には、配管ラインL2、L5、L6、L7がそれぞれ接続されている。配管ラインL2は、曝気槽100から排出された一次処理水を第1処理槽210および第2処理槽220に供給するための配管ラインであり、バルブV201、V202によって第1処理槽210および第2処理槽220に対する接続/非接続状態が切り替えられる。配管ラインL6は、加熱ガスを第1処理槽210および第2処理槽220に供給するための配管ラインであり、バルブV203、V204によって第1処理槽210および第2処理槽220に対する接続/非接続状態が切り替えられる。配管ラインL5は、二次処理水を第1処理槽210および第2処理槽220から排出するための配管であり、バルブV205、V206によって第1処理槽210および第2処理槽220に対する接続/非接続状態が切り替えられる。配管ラインL7は、脱着ガスを第1処理槽210および第2処理槽220から排出するための配管ラインであり、バルブV207、V208によって第1処理槽210および第2処理槽220に対する接続/非接続状態が切り替えられる。
第1処理槽210と第2処理槽220とは、上述したバルブV201〜V208の開閉を操作することによって、交互に吸着槽および脱着槽として機能し、具体的には、第1処理槽210が吸着槽として機能している場合には、第2処理槽220が脱着槽として機能し、第1処理槽210が脱着槽として機能している場合には、第2処理槽220が吸着槽として機能する。すなわち、本実施の形態における排水処理装置200においては、吸着槽と脱着槽とが経時的に交互に切り替わるように構成されている。なお、配管ラインL2は、第1処理槽210および第2処理槽220のうち、吸着槽として機能している槽に接続されて当該吸着槽に一次処理水を供給し、配管ラインL6は、第1処理槽210および第2処理槽220のうち、脱着槽として機能している槽に接続されて当該脱着槽に加熱ガスを供給する。また、配管ラインL5は、第1処理槽210および第2処理槽220のうち、吸着槽として機能している槽に接続されて当該吸着槽から二次処理水を排出し、配管ラインL7は、第1処理槽210および第2処理槽220のうち、脱着槽として機能している槽に接続されて脱着ガスを排出する。
吸着素子211、221は、活性炭、活性炭素繊維またはゼオライトの少なくともいずれかを含む吸着材にて構成されている。好適には、吸着素子211、221としては、粒状、粒体状、ハニカム状等の活性炭やゼオライトが利用されるが、より好適には、活性炭素繊維が利用される。活性炭素繊維は、表面にミクロ孔を有する繊維状構造を有しているため、水との接触効率が高く、特に水中の有機物質の吸着速度が速くなり、他の吸着材に比べて極めて高い吸着効率を実現できる部材である。
吸着素子211、221に利用可能な活性炭素繊維の物性は、特に限定されるものではないが、BET比表面積が700〜2000m2/g、細孔容積が0.4〜0.9cm3/g、平均細孔径が17〜18Åのものが好ましい。これは、BET比表面積が700m2/g未満、細孔容積が0.4m3/g未満、平均細孔径が17Å未満のものでは、有機物質の吸着量が低くなるためであり、またBET比表面積が2000m2/gを超え、細孔容積が0.9m3/gを超え、平均細孔径が18Åを超えるのものでは、細孔径が大きくなることで分子量の小さな物質等の吸着能力が低下したり、強度が弱くなったり、素材のコストが高くなって経済的に不利になったりするためである。
燃焼装置300は、曝気槽100から排出される曝気ガス、および排水処理装置200から排出される脱着ガスの混合排ガスを燃焼させて酸化分解させるための装置であり、配管ラインL8、L9、L10、L11に接続されている。燃焼装置300は、熱交換器310と加熱炉320とを有しており、熱交換器310は、加熱炉320に導入される曝気ガスおよび脱着ガスの混合排ガスを予め予熱するためのものであり、加熱炉320は、電熱ヒーター321を用いて、導入された脱着ガスを燃焼させるためのものである。
配管ラインL8は、曝気槽100の配管ラインL4から排出された曝気ガスと、排水処理装置200の配管ラインL7から排出された脱着ガスを混合させ、混合排ガスとして熱交換器310に供給するための配管ラインであり、配管ラインL9は、熱交換器310で予熱された脱着ガスを加熱炉320に導入するための配管ラインである。また、配管ラインL10、L11は、加熱炉320にて脱着ガスが燃焼することによって生成される分解ガスを熱交換器310を経由させて外部に排出するための配管ラインである。
燃焼装置300としては、特にその種類が限定されるものではないが、例えば脱着ガスを650〜800℃の高温で直接的に酸化分解させる直接燃焼装置や、白金触媒等を利用して脱着ガスを触媒酸化反応させて酸化分解する触媒燃焼装置、蓄熱体を利用して熱回収を行ないつつ経済的に直接酸化分解を行なう蓄熱式直接燃焼装置、白金触媒等と蓄熱体とを組み合わせて効率的に脱着ガスを触媒酸化反応させて酸化分解する蓄熱式触媒燃焼装置等を使用することが可能である。当該燃焼装置300を用いて脱着ガスを酸化分解させることにより、有機物質は完全に除去される。
次に、図1を参照して、本実施の形態における排水処理システム1Aにおいて行なわれる排水の清浄化処理の詳細について説明する。なお、以下の説明は、排水処理装置200の第1処理槽210が吸着槽として機能し、第2処理槽220が脱着槽として機能している状態に基づいたものであるが、これら吸着槽と脱着槽とが入れ替わった場合にも、同様の処理が行なわれる。
図1で示すように、有機溶剤を含有した排水は、配管ラインL1を経由して曝気槽100に導入される。導入された排水は、配管ラインL3から曝気装置111へ導入されたガスにより曝気処理されて、排水中より有機溶剤を揮発することで排水中から有機溶剤が除去され、有機物質が除去された後の水は、配管ラインL2に導入されて一次処理水として曝気槽から排出され、排水処理装置200に導入される。曝気処理により排水中から揮発除去された有機物質を含有する曝気ガスは配管ラインL4に導入されて曝気ガスとして排出させる。
曝気槽100から排出された一次処理水は、第1処理槽210に送られて吸着素子211と接触し、当該一次処理水に含有される有機物質が吸着素子211によって吸着される。有機物質が吸着素子211によって吸着された後の水は、配管ラインL5に導入されて二次処理水として、排水処理装置200から排出される。
一方、排水処理装置200には、上記排水の導入と並行して、配管ラインL6を経由して加熱ガスが導入される。導入された加熱ガスは、第2処理槽220に送られて吸着素子221と接触し、吸着素子221に吸着されている有機物質を脱着させる。吸着素子221から脱着された有機物質を含む加熱ガスは、配管ラインL7に導入されて脱着ガスとして排水処理装置200から排出される。
曝気槽100から排出された曝気ガスおよび、排水処理装置200から排出された脱着ガスは、配管ラインL8にて混合され、混合排ガスとして燃焼装置300に送られ、加熱炉320にて燃焼することで酸化分解する。加熱炉320にて生成された分解ガスは、配管ラインL11に導入されて燃焼装置300から排出される。この分解ガスは、主として二酸化炭素と水蒸気とを含む人体に対して無害なガスである。
以上の如くの排水処理システム1Aを使用することにより、排水処理装置200の前処理装置として曝気槽100が機能することになる。具体的には、曝気槽にて排水中の特に低沸点の有機物質を大幅に除去させて、排水処理装置への有機物質負荷量を下げることができるため、排水処理装置200が大型化することやランニングコストが増大することを防止しつつ、高効率に、かつ安定的に排水を処理することが可能な排水処理システムとすることができる。
また、排水中の有機物質の物性によっては、排水処理装置200から排出される脱着ガスは濃度変動が大きい場合があるが、曝気槽100から排出される曝気ガスは、高濃度、かつ一定の濃度であるため、曝気ガスと脱着ガスを混合することで、脱着ガスの濃度変動は抑制される。そのため、燃焼装置300へ供給される排ガスの有機物質ガス濃度を安定化させることができ、燃焼装置の大型化やランニングコストの増大することを防止しつつ、高効率に、かつ安定的に曝気槽100および排水処理装置200から排出される排ガスを処理することが可能な排水処理システムとすることができる。
また、上述の如くの排水処理システム1Aとすることにより、基本的に吸着材の交換がないため、システムを停止させることなく連続的に排水の清浄化を行なうことが可能になる。つまり、曝気槽100の後処理排水処理装置としてカートリッジ式の吸着材を備えた交換式排水処理装置を使用した場合に比べ、カートリッジ式の吸着材の新品への交換作業や取り外しての再生処理作業が不要となり、その労力やランニングコストの増大が生じないことになる。
また、上述の如くの排水処理システム1Aとすることにより、排水処理装置200の第1処理槽210および第2処理槽220において、吸着処理および脱着処理が交互に連続的に繰り返されることになる。このように吸着処理および脱着処理が交互に連続的に繰り返されるように構成することにより、低コストで安定的に、高い能力で排水に含まれる有機物質を除去することができる。したがって、上記構成を採用することにより、高効率に、かつ安定的に排水を清浄化処理できる排水処理システムとすることができる。
また、上述の本実施の形態における排水処理システム1Aにおいては、第1処理槽210および第2処理槽220が吸着槽および脱着槽に交互に入れ替わる構成の排水処理装置200を採用した場合を例示して説明を行なったが、これとは異なる構成の排水処理装置を採用してもよい。以下に、その例を図2および図3を参照して説明する。
図2および図3は、本実施の形態における排水処理システムにおいて利用可能な他の排水処理装置の例を示す模式図である。なお、これら図2および図3においては、排水処理装置に具備される吸着材、および当該吸着材近傍に配置される構成要素のみを図示し、その他の構成要素の図示は省略している。
図2は、円柱状の外形を有する吸着材250を利用した場合を示している。図2に示すように、円柱状の外形を有する吸着材250を利用する場合には、軸方向に流体が流動可能となるように構成された吸着材250の軸中心に回転軸261を設け、この回転軸261をアクチュエータ等によって回転駆動する。そして、吸着材250の軸方向の両端面に近接して図2においては示さない配管ラインL2、L5、L6、L7(図1参照)を接続し、吸着材250の一部を吸着処理を行なうための部分(図2において符号251で示す部分)として利用し、吸着材250の他の一部を脱着処理を行なうための部分(図2において符号252で示す部分)として利用する。すなわち、吸着材250の符号251で示す部分には、軸方向の一方から一次処理水が導入され、軸方向の他方から二次処理水が排出されることになり、吸着材250の符号252で示す部分には、軸方向の一方から加熱ガスが導入され、軸方向の他方から脱着ガスが排出されることになる。
ここで、図2に示す排水処理装置においては、吸着材250が回転軸261を回転中心として図中矢印A方向に所定の速度で回転する。これにより、吸着材250の吸着処理が完了した部分は脱着処理を行なうゾーンへと移動するとともに、吸着材250の脱着処理が完了した部分は吸着処理を行なうゾーンへと移動することになる。したがって、当該排水処理装置においては、同時に吸着処理と脱着処理とが行なわれることになり、連続的に清浄化処理を行なうことが可能となる。
また、図3は、円筒状の外形を有する吸着材270を利用した場合を示している。図3に示すように、円筒状の外形を有する吸着材270を利用する場合には、径方向に流体が流動可能となるように、例えば金属製の枠体285によって囲われた単位吸着ユニット275を周方向に複数並べて円筒状とし、これを図示しないアクチュエータ等によって軸中心に回転駆動する。そして、吸着材270に近接して図3においては示さない配管ラインL2、L5、L6、L7(図1参照)を接続し、吸着材270の単位吸着ユニットの一部を吸着処理を行なうための部分(図3において符号271で示す部分)として利用し、単位吸着ユニットの他の一部を脱着処理を行なうための部分(図3において符号272で示す部分)として利用する。すなわち、吸着材270の符号271で示す単位吸着ユニットには、径方向外側から一次処理水が導入され、径方向内側に向けて二次処理水が排出されて軸方向の一方に向けて排出されることになり、吸着材270の符号272で示す単位吸着ユニットには、導入管281を介して径方向内側から加熱ガスが導入され、径方向外側に向けて脱着ガスが排出され、導出管282を介して排出されることになる。
ここで、図3に示す排水処理装置においては、吸着材270が軸中心に図中矢印A方向に所定の速度で段階的に回転する。これにより、吸着材270の吸着処理が完了した単位吸着ユニットは脱着処理を行なうゾーンへと移動するとともに、吸着材270の脱着処理が完了した単位吸着ユニットは吸着処理を行なうゾーンへと移動することになる。したがって、当該排水処理装置においては、同時に吸着処理と脱着処理とが行なわれることになり、連続的に清浄化処理を行なうことが可能となる。
なお、図2および図3に示す如くの形状の吸着材250、270を利用する場合には、当該吸着材250、270を、粒状物を充填したものや繊維状物を充填したもので構成することとしてもよいが、ハニカム状の構造を有するもので構成するとなおよい。これは、吸着材250、270をハニカム状の構造を有するもので構成することにより、圧力損失を極めて低く抑えることが可能となって処理能力が増大するとともに、ゴミ等の固形物による目詰まりの発生も比較的低く抑えることができるためである。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における排水処理システムの構成を示す模式図である。なお、図4においては、上述の本発明の実施の形態1における排水処理システム1Aと同様の部分の図示は省略している。以下においては、この図4を参照して本実施の形態における排水処理システム1Bの構成について説明する。
図4に示すように、本実施の形態における排水処理システム1Bは、上述した本発明の実施の形態1における排水処理システム1Aと、排水処理装置200の構成において相違している。本実施の形態における排水処理システム1Bにおいては、排水処理装置200に加熱ガスを導入するための配管ラインL6に、排水処理装置200にガスを導入するための配管ラインL12が接続されており、これら配管ラインL6、L12の排水処理装置200に対する接続/非接続状態を切り替えるためのバルブV209、V210が、配管ラインL6、L12にそれぞれ設けられている。また、本実施の形態における排水処理システム1Bにおいては、排水処理装置200から脱着ガスを排出するための配管ラインL7に、排水処理装置200から除去排水を排出するための配管ラインL13が接続されており、これら配管ラインL7、L13の排水処理装置200に対する接続/非接続状態を切り替えるためのバルブV211、V212が、配管ラインL7、L13にそれぞれ設けられている。なお、配管ラインL13の他端は、排水処理装置200に一次処理水を導入するための配管ラインL2に接続されている。
本実施の形態における排水処理システム1Bの排水処理装置200においては、吸着処理と脱着処理との間に脱水処理(パージ処理)が実施される。具体的には、上述の本発明の実施の形態1における排水処理システム1Aの場合と同様に、排水処理装置200においては、バルブV201〜208の開閉が操作されることによって第1処理槽210と第2処理槽220とが交互に吸着槽および脱着槽に切り替わるが、脱着槽に切り替わった際には、まず当該脱着槽と配管ラインL12および配管ラインL13とが接続され、配管ラインL12を介して脱着槽にガスが導入され、吸着素子に吹き付けられることによって吸着素子の表面に付着した余剰の排水を吹き飛ばす脱水処理が行なわれる。吹き飛ばされた除去排水は、配管ラインL13および配管ラインL2を経由して排水処理装置200へと再度供給される。そして、当該脱水処理を所定時間行なった後に脱着槽と配管ラインL12および配管ラインL13の接続が解除され、配管ラインL6および配管ラインL7が脱着槽に接続されて脱着処理が行なわれる。なお、脱水処理の際に脱着槽に導入されるガスとしては、高温でより低湿なガスが利用されることが好ましく、例えば所定の温度に昇温された乾燥空気を利用することが好適である。
以上において説明した本実施の形態における排水処理システム1Bの如くの構成を採用することにより、上述した本発明の実施の形態1における排水処理システム1Aの如くの構成を採用した場合に得られる効果に加え、吸着素子211、221からの有機物質の脱着効率が大幅に増加する。そのため、より高効率に、かつ安定的に排水を清浄化処理できる排水処理システムとできる効果が得られる。なお、上述した本実施の形態においては、排水処理装置200から排出される除去排水が当該排水処理装置200に再度供給されるように構成した場合を例示して説明を行なったが、当該除去排水は、交換式の吸着素子を備えた排水処理装置等を別途用いて清浄化処理されるように構成してもよい。
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3における排水処理システムの構成を示す模式図である。なお、図5においては、上述の本発明の実施の形態1における排水処理システム1Aおよび実施の形態2における排水処理システム1Bと同様の部分の図示は省略している。以下においては、この図5を参照して本実施の形態における排水処理システム1Cの構成について説明する。
図5に示すように、本実施の形態における排水処理システム1Cは、上述した本発明の実施の形態1における排水処理システム1Aおよび実施の形態2における排水処理システム1Bの燃焼装置300の構成が相違している。本実施の形態における排水処理システム1Cにおいては、燃焼装置300に熱交換311がさらに1個接続されており、燃焼装置300において熱交換器310から排出された分解ガスとガスを熱交換することで、排水処理装置200の脱着工程に必要な加熱ガスを予熱するためのものである。配管ラインL14は、ガスを熱交換器311に供給するための配管ラインであり、配管ラインL6は、熱交換器311で予熱された加熱ガスを排水処理装置200に導入するための配管ラインとなる。また、配管ラインL14、L11は、熱交換器310から排出される分解ガスを熱交換器311を経由させて外部に排出するための配管ラインである。
本実施の形態における排水処理システム1Cの燃焼装置300においては、熱交換器311において、排水処理装置200の加熱ガスの予熱を燃焼装置300から排出される分解ガスを用いて実施される。
以上において説明した本実施の形態における排水処理システム1Cの如くの構成を採用することにより、上述した本発明の実施の形態1における排水処理システム1Aおよび排水処理システム1Bの如くの構成を採用した場合に得られる効果に加え、排水処理装置200に必要な加熱ガスの昇温に必要な熱量が削減できるため、より省エネルギーに排水を清浄化処理できる排水処理システムとできる効果が得られる。なお、上述した本実施の形態においては、必要に応じ、ヒーターなどの加熱手段を追加してもよい。
以上において説明した本発明の実施の形態1から3における排水処理システム1A、1B、1Cの特徴的な構成は、相互に組み合わせることが可能である。例えば、図2および図3に示した如くの構成の吸着材250、270を含む排水処理装置を本発明の実施の形態2おける排水処理システム1Bの排水処理装置200に適用してもよい。なお、その場合には、吸着材250、270の脱着処理を行なうためのゾーンに脱水処理を行なうためのゾーンが設けられ、当該脱水処理を行なうためのゾーンに位置する部分の吸着材250、270に近接して上述した配管ラインL12、L13が接続され、吸着処理と脱着処理の間に脱水処理が行なわれるように排水処理装置200が構成されることになる。
また、以上において説明した本発明の実施の形態1から3においては、ポンプやファン等の流体搬送手段やストレージタンク等の流体貯留手段などの構成要素を特に示すことなく説明を行なったが、これら構成要素は必要に応じて適宜の位置に配置すればよい。
このように、今回開示した上記各実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
以下、実施の形態3の実施例によりさらに本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、評価は下記の方法によりおこなった。
(BET比表面積)
BET比表面積は、液体窒素の沸点(−195.8℃)雰囲気下、相対圧力0.0〜0.15の範囲で上昇させたときの試料への窒素吸着量を数点測定し、BETプロットにより試料単位質量あたりの表面積(m/g)を求めた。
(細孔容積)
細孔容積は、相対圧0.95における窒素ガスの気体吸着法により測定した。
(平均細孔径)
平均細孔径は、以下の式で求めた。
dp=40000Vp/S(ただし、dp:平均細孔径(Å))
Vp:細孔容積(cc/g)
S:BET比表面積(m/g)
(有機物質除去効果)
原水は1,4−ジオキサン1000mg/L、アセトアルデヒド14000mg/L含む水とした。500時間運転後の曝気槽、排水処理装置、燃焼装置の入出の1,4−ジオキサン、アセトアルデヒド濃度を測定し、各有機物質排出量を算出して除去効果を確認した。
(有機物質濃度評価)
入口・出口の水濃度およびガスをガスクロマトグラフ法により分析し測定した。
<実施例1>
有効曝気容量20Lの曝気槽に曝気温度60℃、曝気強度2.5min−1、風量50L/min、滞留時間2hrの条件で処理水量10L/hrの1,4−ジオキサン1000mg/L、アセトアルデヒド14000mg/Lを含む原水を導入し、一次処理水を得た。その際の出口濃度は、1,4−ジオキサン500mg/L以下、アセトアルデヒド5mg/L以下であり、1,4−ジオキサンを50%以上、アセトアルデヒドを99.9%以上原水から除去することができた。また、曝気槽から排出される曝気ガスの有機物質濃度は、1,4−ジオキサン420ppm、アセトアルデヒド24000ppmとなった。使用蒸気量は0.4kg/hrと非常に少量であった。
次に、排水処理装置の吸着材として平均細孔径17.1Å、BET比表面積1500m/g、全細孔容積0.47m/gの活性炭素繊維を使用した130mmφで、厚み150mmの重量200gの吸着素子を2個作成し、図2のダンパー切替方式の排水処理装置に設置して前述の曝気処理後の一次処理水を処理水量10L/hrになるように導入し、二次処理水を得た。
次に、排水処理装置の脱水工程時におけるガスとして空気を使用し、脱水の風速を40cm/sec、風量を300L/minとした。脱着工程における加熱ガスとして130℃の空気を使用し、脱着の風速を40cm/sec、風量を300L/minとした。吸着工程における吸着時間は60min、脱水工程における脱水時間は5min、脱着工程における脱着時間は55minとして切替サイクルとした。その際、表1に示すように、二次処理水中の1,4−ジオキサン濃度は10mg/L以下、アセトアルデヒド濃度は1mg/L以下であり、1,4−ジオキサンの除去率は98%以上、アセトアルデヒドの除去率は80%以上が可能であった。また、脱着ガス中の各有機物質平均濃度は1,4−ジオキサン80ppm、アセトアルデヒド20ppmであった。
本実施例の排水処理システムにより浄化された水は、500時間後でも99.5%以上の効率で1,4−ジオキサンおよびアセトアルデヒドの処理が可能であった。曝気槽で各有機物質を揮発除去させ後、排水処理装置にて吸着と脱着を連続して行いて高度処理するため、性能低下がなく、安定して高い効率で処理ができた。
次に、上記曝気槽から排出される曝気ガスのダクトと排水処理装置から排出される脱着ガスのダクトを接続させて、混合排ガスの濃度を測定したところ、表2に示すとおり、1,4−ジオキサン130ppm、アセトアルデヒド3400ppmであった。混合排ガスの合計有機物質濃度変動は、図6に示すとおり、非常に小さかった。
次に、燃焼装置の触媒として白金触媒0.5Lを図1の燃焼装置に設置して、上述の混合排ガスを風量350L/minで供給し、300℃に昇温した後、触媒に接触させ、混合排ガス中の有機物質を酸化分解させて、分解ガスを得た。運転開始500hr後の分解ガス中の各有機物質の濃度を表2に示す。分解ガス中の1,4−ジオキサン、アセトアルデヒドはそれぞれ0.1ppm以下であり、良好に処理できた。
また、燃焼装置の出口温度を経時的に測定したところ、出口平均温度は450℃であり、図7に示す通り、温度変動が小さく、図1に示す熱交換器310へ温度の安定したガスを供給できた。また、熱交換率60%で試算すると、燃焼装置からの分解ガスとの熱交換のみで、混合排ガスを300℃まで昇温がほぼ可能であるので、予熱ヒーターに使用する電力は0.1kWh以下にすることが可能となった。
また、図1に示す熱交換器310から排出された熱交換後の分解ガスの温度を測定したところ、平均温度300℃であり、図1に示す熱交換器311の熱交換率50%で試算すると、熱交換のみで排水処理装置200に必要な加熱ガスの昇温が可能であるので、加熱に使用する蒸気量は0.1kg/hr以下にすることが可能であった。
<比較例1>
排水処理装置の吸着材として平均細孔径17.1Å、BET比表面積1500m/g、全細孔容積0.47m/gの活性炭素繊維を使用した190mmφで、厚み150mmの重量400gの吸着素子を2個作成し、図2のダンパー切替方式の排水処理装置に設置して、1,4−ジオキサン1000mg/L、アセトアルデヒド14000mg/Lを含む原水を処理水量10L/hrになるように導入し、一次処理水を得た。
次に、排水処理装置の脱水工程時におけるガスとして空気を使用し、脱水の風速を40cm/sec、風量を600L/minとした。脱着工程における加熱ガスとして130℃の空気を使用し、脱着の風速を40cm/sec、風量を600L/minとした。吸着工程における吸着時間は60min、脱水工程における脱水時間は5min、脱着工程における脱着時間は55minとして切替サイクルとした。その際、表1に示すとおり、二次処理水(現実には一次処理水であるが、実施例1との比較を容易にするため、二次処理水と記載する)中の1,4−ジオキサン濃度は10mg/L以下、アセトアルデヒド濃度は13000mg/Lであり、1,4−ジオキサンの除去率は97%以上の除去率であったが、アセトアルデヒドの除去率は約4%であった。また、脱着ガス中の各有機物質平均濃度は1,4−ジオキサン70ppm、アセトアルデヒド200ppmであるが、脱水工程および脱着工程の初期に脱着ガス中のアセトアルデヒドの濃度が8000ppmまで上昇し、非常に濃度変動の大きい結果となった。
本実施例の排水処理システムにより浄化された水は、500時間後でも97%以上の効率で1,4−ジオキサンの処理が可能であったが、アセトアルデヒドに関しては4%と実施例1と比較すると処理効率が著しく低下した。
次に、燃焼装置の触媒として白金触媒0.9Lを図1の燃焼装置に設置して、排水処理装置から排出された脱着ガスを風量600L/minで供給し、300℃に昇温した後、触媒に接触させ、脱着ガス中の有機物質を酸化分解させて、分解ガスを得た。運転開始500時間後の分解ガス中の各有機物質濃度を表2に示す。分解ガス中の1,4−ジオキサン、アセトアルデヒドはそれぞれ0.1ppm以下であり、良好に処理できた。
燃焼装置の出口温度を経時的に測定したところ、出口平均温度は370℃であるが、図7に示す通り、310〜500℃まで温度変動あり、図1に示す熱交換器310の熱交換率60%で試算すると、燃焼装置からの分解ガスとの熱交換に加え、予熱ヒーターによる昇温が不可避であり、混合排ガスを300℃まで昇温するために、予熱ヒーターに使用電力が15kWh以上必要となり、実施例1の150倍以上の電力が必要であった。
また、図1に示す熱交換器310から排出された熱交換後の分解ガスの温度を測定したところ、平均温度300℃であり、図1に示す熱交換器311の熱交換率50%で試算すると、熱交換のみで排水処理装置200に必要な加熱ガスの昇温が可能であるので、加熱に使用する蒸気量は0.1kg/hr以下にすることが可能となった。
<比較例2>
有効曝気容量100Lの曝気槽に曝気温度90℃、曝気強度5.0min−1、風量500L/min、滞留時間10hrの条件で処理水量10L/hrの1,4−ジオキサン1000mg/L、アセトアルデヒド14000mg/Lを含む原水を導入した。その際、表1に示すとおり、二次処理水(現実には一次処理水であるが、実施例1との比較を容易にするため、二次処理水と記載する)中の1,4−ジオキサン10mg/L以下、アセトアルデヒド1mg/L以下であり、1,4−ジオキサンを99%以上、アセトアルデヒドを99.9%以上原水から除去することができた。また、曝気槽から排出される曝気ガスの有機物質濃度は、1,4−ジオキサン80ppm、アセトアルデヒド2400ppmとなった。しかし、使用蒸気量は18kg/hr以上であり、実施例1と比較して45倍以上必要であった。
次に、燃焼装置の触媒として白金触媒0.8Lを図1の燃焼装置に設置して、上述の曝気ガスを風量500L/minで供給し、300℃に昇温した後、触媒に接触させ、曝気ガス中の有機物質を酸化分解させて、分解ガスを得た。運転開始500hr後の分解ガス中の各有機物質の濃度を表2に示す。分解ガス中の1,4−ジオキサン、アセトアルデヒドはそれぞれ0.1ppm以下であり、良好に処理できた。
また、燃焼装置の出口温度を経時的に測定したところ、出口平均温度は360℃であり、図7に示す通り、温度変動は小さく、図1に示す熱交換器310へ温度の安定したガスを供給できた。しかし、出口平均温度が低いため、熱交換率60%で試算すると、燃焼装置からの分解ガスとの熱交換に加え予熱ヒーターによる予熱が不可避であり、曝気ガスを300℃まで昇温させるために、予熱ヒーターに使用する電力が8kWh必要であった。
<比較例3>
排水処理装置の吸着材として平均細孔径17.1Å、BET比表面積1500m/g、全細孔容積0.47m/gの活性炭素繊維を使用した130mmφで、厚み150mmの重量200gの吸着素子を2個作成し、図2のダンパー切替方式の排水処理装置に設置して、1,4−ジオキサン1000mg/L、アセトアルデヒド14000mg/Lを含む原水を処理水量10L/hrになるように導入し、一次処理水を得た。
次に、排水処理装置の脱水工程時におけるガスとして空気を使用し、脱水の風速を40cm/sec、風量を300L/minとした。脱着工程における加熱ガスとして130℃の空気を使用し、脱着の風速を40cm/sec、風量を300L/minとした。吸着工程における吸着時間は60min、脱水工程における脱水時間は5min、脱着工程における脱着時間は55minとして切替サイクルとした。その際の一次処理水中の1,4−ジオキサン濃度は400mg/L以下、アセトアルデヒド濃度は13500mg/L以下であり、1,4−ジオキサンの除去率は約60%、アセトアルデヒドの除去率は約4%であった。また、脱着ガス中の各有機物質平均濃度は1,4−ジオキサン80ppm、アセトアルデヒド500ppmであるが、脱水工程および脱着工程の初期に脱着ガス中のアセトアルデヒドの濃度が12000ppmまで上昇し、非常に濃度変動の大きい結果となった。
次に、有効曝気容量20Lの曝気槽に曝気温度60℃、曝気強度2.5min−1、風量50L/min、滞留時間2hrの条件で前述の排水処理装置から排出された一次処理水を処理水量10L/hrで導入し、二次処理水を得た。その際、表1に示すとおり、二次処理水中の1,4−ジオキサン濃度は200mg/L以下、アセトアルデヒド濃度は5mg/L以下であり、1,4−ジオキサンを約50%、アセトアルデヒドを99.9%の除去率であった。また、曝気槽から排出される曝気ガスの有機物質濃度は、1,4−ジオキサン90ppm、アセトアルデヒド23000ppmとなった。
本実施例の排水処理システムにより浄化された水は、500時間後でも99.5%以上の効率でアセトアルデヒドの処理が可能であったが、1,4−ジオキサンに関しては80%と実施例1と比較すると処理効率が著しく低下した。
次に、上記曝気槽から排出される曝気ガスのダクトと排水処理装置から排出される脱着ガスのダクトを接続させて、混合排ガスの濃度を測定したところ、1,4−ジオキサン130ppm、アセトアルデヒド3400ppmとなったが、図6に示す通り、実施例1の場合と比較して、排水処理装置から排出される脱着ガスの濃度変動の影響を受けて、混合排ガスの濃度変動も大きい結果となった。
次に、燃焼装置の触媒として白金触媒0.5Lを図1の燃焼装置に設置して、上述の混合排ガスを風量350L/minで供給し、300℃に昇温した後、触媒に接触させ、混合排ガス中の有機物質を酸化分解させて、分解ガスを得た。運転開始500時間後の分解ガス中の各有機物質濃度を表2に示す。分解ガス中の有機物質濃度は1,4−ジオキサン40ppm、アセトアルデヒド500ppmであり、実施例1と比較して触媒燃焼効率が非常に低い結果となった。
燃焼装置の出口温度を経時的に測定したところ、出口平均温度は430℃であるが、図7に示す通り、温度変動が不安定であり、一時的に790℃まで上昇した。白金触媒は500℃以上で燃焼させると、シンタリング(粒状化)を引き起こし、触媒活性が徐々に低下するため、比較例3の場合、出口温度を下げる手段を講じなければ触媒燃焼装置として処理機能を維持できない結果となった。
<比較例4>
比較例3と同様の条件で排水処理を実施し、排出された混合排ガス350L/minを外気で2倍に希釈し、白金触媒1.0Lの燃焼装置にて、同様の処理をおこない、分解ガスを得た。運転開始500時間後の分解ガス中の各有機物質濃度を表2に示す。分解ガス中の1,4−ジオキサン、アセトアルデヒド濃度は0.1ppm以下であり、良好な処理能であった。
燃焼装置の出口温度を経時的に測定したところ、図7に示す通り、一時的な温度上昇は500℃までに抑えられたが、出口平均温度は370℃まで低下した。図1に示す熱交換器310の熱交換率60%で試算すると、燃焼装置からの分解ガスとの熱交換に加え、予熱ヒーターによる昇温が不可避であり、混合排ガスを300℃まで昇温するために、予熱ヒーターに使用電力が15kWh必要となり、実施例1の150倍の電力が必要であった。
1A,1B,1C 排水処理システム、100 曝気槽、111 曝気装置、200 排水処理装置、210 第1処理槽、211 吸着素子、220 第2処理槽、221 吸着素子、250 吸着材、261 回転軸、270 吸着材、275 単位吸着ユニット、281 導入管、282 導出管、285 枠体、300 燃焼装置、310 熱交換器、311 熱交換器、320 燃焼炉、321 電熱ヒーター、L1〜L14 配管ライン、V201〜V212 バルブ。

Claims (5)

  1. 有機物質を含有する排水から有機物質を除去することで当該排水を清浄化する排水処理システムであって、
    有機物質を含有する排水を曝気処理することで、排水中から有機物質を揮発除去させ、有機物質を含有する曝気ガスを排出させる曝気槽と、
    前記曝気槽に接続され、有機物質を含有する排水を接触させることで有機物質を吸着し、加熱ガスを接触させることで吸着した有機物質を脱着する吸着素子を含み、前記吸着素子に排水を供給することで有機物質を前記吸着素子に吸着させて処理水として排出し、前記吸着素子に加熱ガスを供給することで有機物質を前記吸着素子から脱着させて有機物質を含有する脱着ガスとして排出する排水処理装置と、
    前記曝気槽および前記排水処理装置に接続され、前記曝気槽および排水処理装置から排出された有機物質を含有する曝気ガスと脱着ガスの混合ガスを燃焼させて酸化分解して分解ガスを排出する燃焼装置を備え、
    前記排水処理装置は、前記吸着素子の脱着処理が完了した部分を吸着処理を行なう部分に移行させるとともに前記吸着素子の吸着処理が完了した部分を脱着処理を行なう部分に移行させることで連続的に処理水を処理可能なものである排水処理システム。
  2. 前記排水処理装置は、前記吸着素子にガスを吹き付けることで前記吸着素子に付着した余剰の排水を吹き飛ばしてこれを除去排水として排出する請求項1に記載の排水処理システム。
  3. 前記排水処理装置から排出された除去排水が、排水として前記排水処理装置に再度供給されるように構成された請求項2に記載の排水処理システム。
  4. 前記吸着素子が、活性炭、活性炭素繊維およびゼオライトからなる群から選ばれる少なくとも1種の吸着材を含んでいる請求項1から3のいずれかに記載の排水処理システム。
  5. 前記燃焼装置から排出される分解ガスを熱交換し、前記排水処理装置の加熱ガスを予熱するように構成された請求項1から4のいずれかに記載の排水処理システム。
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