JP2010142728A - 排ガス処理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】システムを停止させることなく連続的に排ガスの清浄化が可能で、高効率にかつ安定的に排ガスを処理できる排ガス処理システムを提供する。
【解決手段】排ガス処理システム1Aは、排ガス処理装置100と、分液回収装置200と、排水処理装置300とを備える。排ガス処理装置100は、排ガス中に含まれる有機溶剤を吸着および脱着可能な吸着材111,121を含み、排ガスを連続的に処理することで清浄ガスと脱着ガスとを排出する。分液回収装置200は、排ガス処理装置100から排出された脱着ガスを液化して分液することで回収液と分離排水とに分離して排出する。排水処理装置300は、分液回収装置200から排出された排水中に含まれる有機溶剤を吸着および脱着可能な吸着材311,321を含み、排水を連続的に処理することで浄水と脱着ガスとを排出する。排水処理装置300から排出された脱着ガスは、分液回収装置200に戻される。
【選択図】図1
【解決手段】排ガス処理システム1Aは、排ガス処理装置100と、分液回収装置200と、排水処理装置300とを備える。排ガス処理装置100は、排ガス中に含まれる有機溶剤を吸着および脱着可能な吸着材111,121を含み、排ガスを連続的に処理することで清浄ガスと脱着ガスとを排出する。分液回収装置200は、排ガス処理装置100から排出された脱着ガスを液化して分液することで回収液と分離排水とに分離して排出する。排水処理装置300は、分液回収装置200から排出された排水中に含まれる有機溶剤を吸着および脱着可能な吸着材311,321を含み、排水を連続的に処理することで浄水と脱着ガスとを排出する。排水処理装置300から排出された脱着ガスは、分液回収装置200に戻される。
【選択図】図1
Description
本発明は、有機溶剤を含有する排ガスから有機溶剤を回収することで当該排ガスを清浄化する排ガス処理システムに関し、特に、各種工場や研究施設等から排出される有機溶剤を含有する産業排ガスから有害有機溶剤を効率的に回収することで当該産業排ガスを清浄化する排ガス処理システムに関する。
従来、有機溶剤を含有する排ガスを清浄化する排ガス処理システムとして、吸着素子としての吸着材を利用したものが知られている。一般に、当該吸着材を利用した排ガス処理システムは、排ガスを吸着材に接触させて有機溶剤を吸着させ、これに高温のガスを吹き付けて有機溶剤を脱着させて高濃度の有機溶剤を含有する脱着ガスとして回収する排ガス処理装置と、当該排ガス処理装置にて回収された高濃度の有機溶剤を含有するガスを液化させて分液することで高濃度の有機溶剤を回収する分液回収装置との組み合わせにて構成されている(たとえば、実公昭07−002028号公報(特許文献1)、実公昭07−002029号公報(特許文献2)、実公昭07−002030号公報(特許文献3)等参照)。当該排ガス処理システムにおいては、清浄化後のクリーンなガスが清浄ガスとして排ガス処理装置から排出されることになる。
ここで、吸着材としては、活性炭素材やゼオライトが広く利用されており、中でも活性炭素繊維が特に好適に利用されている。活性炭素繊維は、低濃度の有機化合物を吸着する機能に優れており、古くから吸着材として各種の装置に利用されている。
ところで、上述した排ガス処理システムにおいては、分液回収装置から排出される分離排水(すなわち、高濃度の有機溶剤を含有するガスを液化させたものから有機溶剤を回収した後に残る残液)にも依然として排出基準値を超える濃度の有機溶剤が含有されている場合があり、その場合には、当該分離排水を下水としてそのまま排出することはできない。そのため、当該分離排水は、吸着材としてカートリッジ式の活性炭を用いた交換式排水処理装置を用いて処理されることが一般的に行なわれており、その場合には、分離排水に含まれる有機溶剤がカートリッジ式の活性炭によって除去され、クリーンな浄水として交換式排水処理装置から排出されることになる。
実公昭07−002028号公報
実公昭07−002029号公報
実公昭07−002030号公報
しかしながら、交換式排水処理装置においては、有機溶剤を一定時間吸着し続けることによって吸着材の吸着能力が飽和に達すれば、それ以降吸着が実質的には行なわれず、新品への交換作業、もしくは一旦装置から吸着材を取り外して再生処理を行なう作業が必要になる。したがって、交換式排水処理装置を利用して分離排水を処理する排ガス処理システムとした場合には、連続的に分離排水を処理することができず、排ガス処理システム自体をその都度停止させる必要があった。
また、水の清浄化は、空気の清浄化とは異なり、微生物の繁殖が不可避であり、吸着材の寿命は短くなってしまう。したがって、交換式排水処理装置を利用して分離排水を処理する排ガス処理システムとした場合には、上述した吸着材の交換作業や再生処理作業を頻繁に行なう必要が生じ、その労力やランニングコストが増大するといった問題もあった。
したがって、本発明は、上述の如くの問題を解決すべくなされたものであり、システムを停止させることなく連続的に排ガスの清浄化が可能で、高効率にかつ安定的に排ガスを処理できる排ガス処理システムを提供することを目的とする。
本発明の第1の局面に基づく排ガス処理システムは、有機溶剤を含有する排ガスから有機溶剤を回収することで当該排ガスを清浄化するものであって、排ガス処理装置と、分液回収装置と、排水処理装置とを備えている。上記排ガス処理装置は、排ガスを接触させることで有機溶剤を吸着し、水蒸気を接触させることで吸着した有機溶剤を脱着する第1吸着素子を含んでおり、上記第1吸着素子に排ガスを供給することで有機溶剤を上記第1吸着素子に吸着させて清浄ガスとして排出し、上記第1吸着素子に水蒸気を供給することで有機溶剤を上記第1吸着素子から脱着させて有機溶剤を含有する脱着ガスとして排出するものである。ここで、上記排ガス処理装置は、上記第1吸着素子の脱着処理が完了した部分を吸着処理を行なう部分に移行させるとともに上記第1吸着素子の吸着処理が完了した部分を脱着処理を行なう部分に移行させることで連続的に排ガスを処理することが可能である。上記分液回収装置は、脱着ガスを凝縮し、凝縮後の液を比重差に基づいて分液することで有機溶剤を高濃度に含有する回収液と有機溶剤を低濃度に含有する排水とに分離して排出するものである。上記排水処理装置は、排水を接触させることで有機溶剤を吸着し、水蒸気を接触させることで吸着した有機溶剤を脱着する第2吸着素子を含んでおり、上記第2吸着素子に排水を供給することで有機溶剤を上記第2吸着素子に吸着させて浄水として排出し、上記第2吸着素子に水蒸気を供給することで有機溶剤を上記第2吸着素子から脱着させて有機溶剤を含有する脱着ガスとして排出するものである。ここで、上記排水処理装置は、上記第2吸着素子の脱着処理が完了した部分を吸着処理を行なう部分に移行させるとともに上記第2吸着素子の吸着処理が完了した部分を脱着処理を行なう部分に移行させることで連続的に排水を処理することが可能である。上記排ガス処理装置と上記分液回収装置とは、上記排ガス処理装置から排出された脱着ガスが上記分液回収装置に供給されるように接続されており、上記分液回収装置と上記排水処理装置とは、上記分液回収装置から排出された排水が上記排水処理装置に供給されるように接続されている。
本発明の第2の局面に基づく排ガス処理システムは、有機溶剤を含有する排ガスから有機溶剤を回収することで当該排ガスを清浄化するものであって、排ガス処理装置と、分液回収装置と、曝気装置と、排水処理装置とを備えている。上記排ガス処理装置は、排ガスを接触させることで有機溶剤を吸着し、水蒸気を接触させることで吸着した有機溶剤を脱着する第1吸着素子を含んでおり、上記第1吸着素子に排ガスを供給することで有機溶剤を上記第1吸着素子に吸着させて清浄ガスとして排出し、上記第1吸着素子に水蒸気を供給することで有機溶剤を上記第1吸着素子から脱着させて有機溶剤を含有する脱着ガスとして排出するものである。ここで、上記排ガス処理装置は、上記第1吸着素子の脱着処理が完了した部分を吸着処理を行なう部分に移行させるとともに上記第1吸着素子の吸着処理が完了した部分を脱着処理を行なう部分に移行させることで連続的に排ガスを処理可能である。上記分液回収装置は、脱着ガスを凝縮し、凝縮後の液を比重差に基づいて分液することで有機溶剤を高濃度に含有する回収液と有機溶剤を低濃度に含有する排水とに分離して排出するものである。上記曝気装置は、排水を加熱して気化させ、これをバブリングすることで有機溶剤を低濃度に含有する排水と有機溶剤を高濃度に含有する排ガスとに分離して排出するものである。上記排水処理装置は、排水を接触させることで有機溶剤を吸着し、水蒸気を接触させることで吸着した有機溶剤を脱着する第2吸着素子を含んでおり、上記第2吸着素子に排水を供給することで有機溶剤を上記第2吸着素子に吸着させて浄水として排出し、上記第2吸着素子に水蒸気を供給することで有機溶剤を上記第2吸着素子から脱着させて有機溶剤を含有する脱着ガスとして排出するものである。ここで、上記排水処理装置は、上記第2吸着素子の脱着処理が完了した部分を吸着処理を行なう部分に移行させるとともに上記第2吸着素子の吸着処理が完了した部分を脱着処理を行なう部分に移行させることで連続的に排水を処理することが可能である。上記排ガス処理装置と上記分液回収装置とは、上記排ガス処理装置から排出された脱着ガスが上記分液回収装置に供給されるように接続されており、上記分液回収装置と上記曝気装置とは、上記分液回収装置から排出された排水が上記曝気装置に供給されるように接続されており、上記曝気装置と上記排水処理装置とは、上記曝気装置から排出された排水が上記排水処理装置に供給されるように接続されている。
上記本発明の第2の局面に基づく排ガス処理システムにあっては、上記曝気装置と上記排ガス処理装置とが、上記曝気装置から排出された排ガスが上記排ガス処理装置に再度供給されるように接続されていることが好ましい。
上記本発明の第1および第2の局面に基づく排ガス処理システムにあっては、上記排水処理装置と上記分液回収装置とが、上記排水処理装置から排出された脱着ガスが上記分液回収装置に再度供給されるように接続されていることが好ましい。
上記本発明の第1および第2の局面に基づく排ガス処理システムにあっては、上記排水処理装置が、上記第2吸着素子にガスを吹き付けることで上記第2吸着素子に付着した余剰の排水を吹き飛ばしてこれを除去排水として排出することが好ましい。なお、その場合には、上記排水処理装置から排出された除去排水が、上記排水処理装置に再度供給されるように構成されていることが好ましい。
上記本発明の第1および第2の局面に基づく排ガス処理システムにあっては、上記第1吸着素子および上記第2吸着素子のそれぞれが、活性炭、活性炭素繊維およびゼオライトからなる群から選ばれる少なくとも1の部材を含んでいることが好ましい。
本発明によれば、システムを停止させることなく連続的に排ガスの清浄化が可能で、高効率にかつ安定的に排ガスを処理できる排ガス処理システムとすることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一または対応する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さないことにする。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における排ガス処理システムのシステム構成図である。以下においては、この図1を参照して、本実施の形態における排ガス処理システム1Aの構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における排ガス処理システムのシステム構成図である。以下においては、この図1を参照して、本実施の形態における排ガス処理システム1Aの構成について説明する。
図1に示すように、本実施の形態における排ガス処理システム1Aは、排ガス処理装置100と、分液回収装置200と、排水処理装置300とを備えている。
排ガス処理装置100は、第1吸着素子としての吸着材111,121がそれぞれ収容された第1処理槽110および第2処理槽120を有している。吸着材111,121は、排ガスを接触させることで排ガスに含有される有機溶剤を吸着する。したがって、排ガス処理装置100においては、吸着材111,121に排ガスを供給することで有機溶剤が吸着材111,121によって吸着され、これにより排ガスが清浄化されて清浄ガスとして排出されることになる。また、吸着材111,121は、水蒸気を接触させることで吸着した有機溶剤を脱着する。したがって、排ガス処理装置100においては、吸着材111,121に水蒸気を供給することで有機溶剤が吸着材111,121から脱着され、これにより水蒸気が有機溶剤を含有する脱着ガスとして排出されることになる。
第1処理槽110および第2処理槽120には、配管ラインL1,L2,L3,L4がそれぞれ接続されている。配管ラインL1は、有機溶剤を含有する排ガスを第1処理槽110および第2処理槽120に供給するための配管ラインであり、バルブV101,V102によって第1処理槽110および第2処理槽120に対する接続/非接続状態が切り替えられる。配管ラインL2は、水蒸気を第1処理槽110および第2処理槽120に供給するための配管ラインであり、バルブV103,V104によって第1処理槽110および第2処理槽120に対する接続/非接続状態が切り替えられる。配管ラインL3は、清浄ガスを第1処理槽110および第2処理槽120から排出するための配管であり、バルブV105,V106によって第1処理槽110および第2処理槽120に対する接続/非接続状態が切り替えられる。配管ラインL4は、脱着ガスを第1処理槽110および第2処理槽120から排出するための配管ラインであり、バルブV101,V102によって第1処理槽110および第2処理槽120に対する接続/非接続状態が切り替えられる。
第1処理槽110と第2処理槽120とは、上述したバルブV101〜V106の開閉を操作することによって交互に吸着槽および脱着槽として機能し、具体的には、第1処理槽110が吸着槽として機能している場合には、第2処理槽120が脱着槽として機能し、第1処理槽110が脱着槽として機能している場合には、第2処理槽120が吸着槽として機能する。すなわち、本実施の形態における排ガス処理装置100においては、吸着槽と脱着槽とが経時的に交互に切り替わるように構成されている。なお、配管ラインL1は、第1処理槽110および第2処理槽120のうち、吸着槽として機能している槽に接続されて当該吸着槽に排ガスを供給し、配管ラインL2は、第1処理槽110および第2処理槽120のうち、脱着槽として機能している槽に接続されて当該脱着槽に水蒸気を供給する。また、配管ラインL3は、第1処理槽110および第2処理槽120のうち、吸着槽として機能している槽に接続されて当該吸着槽から清浄ガスを排出し、配管ラインL4は、第1処理槽110および第2処理槽120のうち、脱着槽として機能している槽に接続されて脱着ガスを排出する。
吸着材111,121は、活性炭、活性炭素繊維またはゼオライトの少なくともいずれかを含む部材にて構成されている。好適には、吸着材111,121としては、粒状、粒体状、ハニカム状等の活性炭やゼオライトが利用されるが、より好適には、活性炭素繊維が利用される。活性炭素繊維は、表面にミクロ孔を有する繊維状構造を有しているため、ガスとの接触効率が高く、他の吸着素子に比べて高い吸着効率を実現できる部材である。
分液回収装置200は、コンデンサ210と、セパレータ220とを有している。コンデンサ210は、冷却水等を用いて脱着ガスを凝縮させて液化させる装置であり、セパレータ220は、脱着ガスを液化させることで得られる液を比重差に基づいて分液することで有機溶剤を高濃度に含有する回収液と有機溶剤を低濃度に含有する分離排水とに分離する装置である。
コンデンサ210は、配管ラインL4,L5にそれぞれ接続されており、セパレータ220は、配管ラインL5,L6,L7にそれぞれ接続されている。配管ラインL4は、上述した排ガス処理装置100から排出された脱着ガスをコンデンサ210に供給するための配管ラインであり、配管ラインL5は、コンデンサ210で生成された液をセパレータ220に供給するための配管ラインである。配管ラインL6は、セパレータ220で分液された回収液をセパレータ220から排出するための配管ラインであり、配管ラインL7は、セパレータ220で分液された分離排水をセパレータ220から排出するための配管ラインである。
排水処理装置300は、第2吸着素子としての吸着材311,321がそれぞれ収容された第3処理槽310および第4処理槽320を有している。吸着材311,321は、排水を接触させることで分離排水に含有される有機溶剤を吸着する。したがって、排水処理装置300においては、吸着材311,321に分離排水を供給することで有機溶剤が吸着材311,321によって吸着され、これにより分離排水が清浄化されて浄水として排出されることになる。また、吸着材311,321は、水蒸気を接触させることで吸着した有機溶剤を脱着する。したがって、排水処理装置300においては、吸着材311,321に水蒸気を供給することで有機溶剤が吸着材311,321から脱着され、これにより水蒸気が有機溶剤を含有する脱着ガスとして排出されることになる。
第3処理槽310および第4処理槽320には、配管ラインL7,L8,L9,L10がそれぞれ接続されている。配管ラインL7は、分液回収装置200から排出された分離排水を第3処理槽310および第4処理槽320に供給するための配管ラインであり、バルブV301,V302によって第3処理槽310および第4処理槽320に対する接続/非接続状態が切り替えられる。配管ラインL8は、水蒸気を第3処理槽310および第4処理槽320に供給するための配管ラインであり、バルブV303,V304によって第3処理槽310および第4処理槽320に対する接続/非接続状態が切り替えられる。配管ラインL9は、浄水を第3処理槽310および第4処理槽320から排出するための配管であり、バルブV305,V306によって第3処理槽310および第4処理槽320に対する接続/非接続状態が切り替えられる。配管ラインL10は、脱着ガスを第3処理槽310および第4処理槽320から排出するための配管ラインであり、バルブV307,V308によって第3処理槽310および第4処理槽320に対する接続/非接続状態が切り替えられる。
第3処理槽310と第4処理槽320とは、上述したバルブV301〜V308の開閉を操作することによって交互に吸着槽および脱着槽として機能し、具体的には、第3処理槽310が吸着槽として機能している場合には、第4処理槽320が脱着槽として機能し、第3処理槽310が脱着槽として機能している場合には、第4処理槽320が吸着槽として機能する。すなわち、本実施の形態における排水処理装置300においては、吸着槽と脱着槽とが経時的に交互に切り替わるように構成されている。なお、配管ラインL7は、第3処理槽310および第4処理槽320のうち、吸着槽として機能している槽に接続されて当該吸着槽に分離排水を供給し、配管ラインL8は、第3処理槽310および第4処理槽320のうち、脱着槽として機能している槽に接続されて当該脱着槽に水蒸気を供給する。また、配管ラインL9は、第3処理槽310および第4処理槽320のうち、吸着槽として機能している槽に接続されて当該吸着槽から浄水を排出し、配管ラインL10は、第3処理槽310および第4処理槽320のうち、脱着槽として機能している槽に接続されて脱着ガスを排出する。
吸着材311,321は、活性炭、活性炭素繊維またはゼオライトの少なくともいずれかを含む部材にて構成されている。好適には、吸着材311,321としては、粒状、粒体状、ハニカム状等の活性炭やゼオライトが利用されるが、より好適には、活性炭素繊維が利用される。活性炭素繊維は、表面にミクロ孔を有する繊維状構造を有しているため、水との接触効率が高く、特に水中の有機溶剤の吸着速度が速くなり、他の吸着素子に比べて極めて高い吸着効率を実現できる部材である。
吸着材311,321として利用可能な活性炭素繊維の物性は、特に限定されるものではないが、BET比表面積が700〜2000m2/g、細孔容積が0.4〜0.9cm3/g、平均細孔径が17〜18Åのものが好ましい。これは、BET比表面積が700m2/g未満、細孔容積が0.4m3/g未満、平均細孔径が17Å未満のものでは、有機溶剤の吸着量が低くなるためであり、またBET比表面積が2000m2/gを超え、細孔容積が0.9m3/gを超え、平均細孔径が18Åを超えるのものでは、細孔径が大きくなることで分子量の小さな物質等の吸着能力が低下したり、強度が弱くなったり、素材のコストが高くなって経済的に不利になったりするためである。
本実施の形態における排ガス処理システム1Aにおいては、排水処理装置300に接続された配管ラインL10の他端が、排ガス処理装置100と分液回収装置200とを接続する配管ラインL4に接続されている。これにより、排水処理装置300から排出された脱着ガスは、配管ラインL10および配管ラインL4を経由して分液回収装置200に再度供給されることになる。
次に、上記図1を参照して、本実施の形態における排ガス処理システム1Aにおいて行なわれる排ガス、分離排水等の処理の詳細について説明する。なお、以下の説明は、排ガス処理装置100の第1処理槽110が吸着槽として機能し、第2処理槽120が脱着槽として機能しているとともに、排水処理装置300の第3処理槽310が吸着槽として機能し、第4処理槽320が脱着槽として機能している状態に基づいたものであるが、これら吸着槽と脱着槽とが入れ替わった場合にも、同様の処理が行なわれる。
図1に示すように、排ガスは、配管ラインL1を経由して排ガス処理装置100に導入される。導入された排ガスは、第1処理槽110に送られて吸着材111と接触し、当該排ガスに含有される有機溶剤が吸着材111によって吸着される。有機溶剤が吸着材111によって吸着された後のガスは、配管ラインL3に導入されて清浄ガスとして排ガス処理装置100から排出される。
一方、排ガス処理装置100には、上記排ガスの導入と並行して、配管ラインL2を経由して水蒸気が導入される。導入された水蒸気は、第2処理槽120に送られて吸着材121と接触し、吸着材121に吸着された有機溶剤を脱着させる。吸着材121から脱着された有機溶剤を含む水蒸気は、配管ラインL4に導入されて脱着ガスとして排ガス処理装置100から排出される。
排ガス処理装置100から排出された脱着ガスは、配管ラインL4を経由して分液回収装置200に導入される。導入された脱着ガスは、コンデンサ210に送られて凝縮されて液化する。コンデンサ210で生成された液は、配管ラインL5を経由してセパレータ220に送られ、セパレータ220において比重差に基づいて分液され、有機溶剤を高濃度に含有する回収液と有機溶剤を低濃度に含有する分離排水とに分離される。有機溶剤を高濃度に含有する回収液は、配管ラインL6に導入されて分液回収装置200から排出されて回収され、有機溶剤を低濃度に含有する分離排水は、配管ラインL7に導入されて分液回収装置200から排出される。
分液回収装置200から排出された分離排水は、配管ラインL7を経由して排水処理装置300に導入される。導入された分離排水は、第3処理槽310に送られて吸着材311と接触し、当該分離排水に含有される有機溶剤が吸着材311によって吸着される。有機溶剤が吸着材311によって吸着された後の水は、配管ラインL9に導入されて浄水として排水処理装置300から排出される。
一方、排水処理装置300には、上記分離排水の導入と並行して、配管ラインL8を経由して水蒸気が導入される。導入された水蒸気は、第4処理槽320に送られて吸着材321と接触し、吸着材321に吸着された有機溶剤を脱着させる。吸着材321から脱着された有機溶剤を含む水蒸気は、配管ラインL10に導入されて脱着ガスとして排水処理装置300から排出される。排水処理装置300から排出された脱着ガスは、配管ラインL10を経由して配管ラインL4に導入され、その後、排ガス処理装置100から排出された脱着ガスとともに分液回収装置200へと導入される。
以上の如くの排ガス処理システム1Aとすることにより、排ガス処理装置100に導入される排ガスのみならず、分液回収装置200から排出される分離排水についても、これを排水処理装置300において連続的に処理することが可能になる。そのため、上記構成を採用することにより、システムを停止させることなく連続的に排ガスの清浄化を行なうことが可能な排ガス処理システムとすることができる。したがって、従来必要であった交換式排水処理装置におけるカートリッジ式の吸着材の新品への交換作業や取り外しての再生処理作業が不要となり、その労力やランニングコストの増大を防止することができる。
また、上述の如くの排ガス処理システム1Aとすることにより、排ガス処理装置100および排水処理装置300のいずれにおいても、各処理槽において吸着処理および脱着処理が交互に連続的に繰り返されることになる。このように吸着処理および脱着処理が交互に連続的に繰り返されるように構成することにより、低コストで安定的に高い能力で排ガスおよび分離排水に含まれる有害有機溶剤を除去することができる。したがって、上記構成を採用することにより、高効率にかつ安定的に排ガスを清浄化処理できる排ガス処理システムとすることができる。なお、特に上述の如くの排水処理装置300とすることにより、微生物の繁殖が抑制でき、そのため藻の発生等を防止することも可能になる。
なお、上述の本実施の形態における排ガス処理システム1Aにおいては、排水処理装置300から排出される脱着ガスを分液回収装置200に再度供給する構成を採用していたが、必ずしもこのような構成にする必要はない。たとえば、排水処理装置300から排出される脱着ガスを直接燃焼装置や触媒燃焼装置、蓄熱式燃焼装置等の燃焼装置で加熱分解することとしてもよいし、排ガス処理装置100の如くの有機溶剤回収装置を利用して清浄化処理を行なうこととしてもよい。しかしながら、排水処理装置300から排出される脱着ガスの濃度は非常に低濃度であるため、本実施の形態の如く分液回収装置200に戻すことが経済性の観点からは好ましい。
また、上述の本実施の形態における排ガス処理システム1Aにおいては、第3処理槽310および第4処理槽320が吸着槽および脱着槽に交互に入れ替わる構成の排水処理装置300を採用した場合を例示して説明を行なったが、これとは異なる構成の排水処理装置を採用しても連続処理が可能である。以下に、その例を図2および図3を参照して説明する。
図2および図3は、本実施の形態における排ガス処理システムにおいて利用可能な他の排水処理装置の例を示す模式図である。なお、これら図2および図3においては、排水処理装置に具備される吸着材および当該吸着材近傍に配置される構成要素のみを図示し、その他の構成要素の図示は省略している。
図2は、円柱状の外形を有する吸着材350を利用した場合を示している。図2に示すように、円柱状の外形を有する吸着材350を利用する場合には、軸方向に流体が流動可能となるように構成された吸着材350の軸中心に回転軸361を設け、この回転軸361をアクチュエータ等によって回転駆動する。そして、吸着材350の軸方向の両端面に近接して図2においては示さない配管ラインL7〜L10(図1参照)を接続し、吸着材350の一部を吸着処理を行なうための部分(図2において符号351で示す部分)として利用し、吸着材350の他の一部を脱着処理を行なうための部分(図2において符号352で示す部分)として利用する。すなわち、吸着材350の符号351で示す部分には、軸方向の一方から分離排水が導入され、軸方向の他方から浄水が導出されることになり、吸着材350の符号352で示す部分には、軸方向の一方から水蒸気が導入され、軸方向の他方から脱着ガスが導出されることになる。
ここで、図2に示す排水処理装置においては、吸着材350が回転軸361を回転中心として図中矢印A方向に所定の速度で回転する。これにより、吸着材350の吸着処理が完了した部分は脱着処理を行なうゾーンへと移動するとともに、吸着材350の脱着処理が完了した部分は吸着処理を行なうゾーンへと移動することになる。したがって、当該排水処理装置においては、同時に吸着処理と脱着処理とが行なわれることになり、連続的に清浄化処理を行なうことが可能となる。
また、図3は、円筒状の外形を有する吸着材370を利用した場合を示している。図3に示すように、円筒状の外形を有する吸着材370を利用する場合には、径方向に流体が流動可能となるように、たとえば金属製の枠体385によって囲われた単位吸着ユニット375を周方向に複数並べて円筒状とし、これを図示しないアクチュエータ等によって軸中心に回転駆動する。そして、吸着材370に近接して図3においては示さない配管ラインL7〜L10(図1参照)を接続し、吸着材370の単位吸着ユニットの一部を吸着処理を行なうための部分(図3において符号371で示す部分)として利用し、単位吸着ユニットの他の一部を脱着処理を行なうための部分(図3において符号372で示す部分)として利用する。すなわち、吸着材370の符号371で示す単位吸着ユニットには、径方向外側から分離排水が導入され、径方向内側に向けて浄水が導出されて軸方向の一方に向けて排出されることになり、吸着材370の符号372で示す単位吸着ユニットには、導入管381を介して径方向内側から水蒸気が導入され、径方向外側に向けて脱着ガスが導出されて導出管382を介して排出されることになる。
ここで、図3に示す排水処理装置においては、吸着材370が軸中心に図中矢印A方向に所定の速度で段階的に回転する。これにより、吸着材370の吸着処理が完了した単位吸着ユニットは脱着処理を行なうゾーンへと移動するとともに、吸着材370の脱着処理が完了した単位吸着ユニットは吸着処理を行なうゾーンへと移動することになる。したがって、当該排水処理装置においては、同時に吸着処理と脱着処理とが行なわれることになり、連続的に清浄化処理を行なうことが可能となる。
なお、図2および図3に示す如くの形状の吸着材350,370を利用する場合には、当該吸着材350,370を、粒状物を充填したものや繊維状物を充填したもので構成することとしてもよいが、ハニカム状の構造を有するもので構成するとなおよい。これは、吸着材350,370をハニカム状の構造を有するもので構成することにより、圧力損失を極めて低く抑えることが可能となって処理能力が増大するとともに、ゴミ等の固形物による目詰まりの発生も比較的低く抑えることができるためである。
以下、実施例に沿ってさらに本発明の詳細について説明する。なお、以下に示す実施例は、上述した本発明の実施の形態1における排ガス処理システム1Aを実際に構築し、当該排ガス処理システムを実際に稼動してその性能を確認した検証試験に基づいたものである。
まず、本検証試験における評価方法について説明する。以下において使用するBET比表面積、細孔容積、平均細孔径、酢酸エチル溶剤の濃度および除去率については、それぞれ以下により求めた。BET比表面積S(m2/g)は、液体窒素の沸点(−195.8℃)雰囲気下において、相対圧力を0.0〜0.15の範囲で上昇させたときの試料への窒素吸着量を数点測定し、BETプロットに基づいて試料の単位質量あたりの表面積として求めた。細孔容積Vp(cc/g)は、相対圧0.95における窒素ガスの気体吸着法により測定した。平均細孔径dp(Å)は、dp=40000Vp/Sの式に基づいて算出した。酢酸エチル溶剤の濃度は、装置の入口および出口を通過する水濃度をガスクロマトグラフ法により分析することで測定した。除去率は、除去率(%)=((装置の入口の水濃度−装置の出口の水濃度)/装置の入り口の水濃度)×100の式に基づいて算出した。
検証試験では、酢酸エチルを2000ppm含む40℃の溶剤混合被処理ガス(排ガス)を排ガス処理装置100に導入した。その際、溶剤混合被処理ガスは、送風ファンを用いて風量100Nm3/minで排ガス処理装置100に送風した。吸着材111,121としては、平均細孔径が17.4Å、BET比表面積が1650m2/g、細孔容積が0.66cm3/gの活性炭素繊維を使用した。
まず、溶剤混合被処理ガスを第1処理槽110に導入し、9分間にわたって吸着材111にて吸着処理を行ない、溶剤混合被処理ガスを清浄化して清浄ガスとして排出した。その後、自動ダンパーで第1処理槽110への溶剤混合被処理ガスの送風を封鎖し、これに代えて吸着材111に水蒸気を供給した。この処置と同時に、第2処理槽120の自動ダンパーを開放し、第2処理槽120に溶剤混合被処理ガスを送風し、吸着材121で吸着処理を行った。この吸着処理と脱着処理の操作を各処理槽で交互に繰り返し実施した。なお、排ガス処理装置100から排出される清浄ガスの酢酸エチル濃度は、実測値で20ppmであり、99%の除去率での処理が可能であった。
排ガス処理装置100から排出された脱着ガスは、分液回収装置200に送ってコンデンサー210で冷却し、その後セパレータ220で分液し、酢酸エチル主体の回収液と酢酸エチルが微量に含まれた分離排水とに分離した。分離排水の酢酸エチル濃度は、実測値で1000ppmであり、その量は310kg/hrであった。
この分離排水を排水処理装置300に導入した。吸着材311,321としては、平均細孔径が17.1Å、BET比表面積が1100m2/g、細孔容積が0.47m3/gの活性炭素繊維を使用した。
まず、分離排水を第3処理槽310に導入し、30分間にわたって吸着材311にて吸着処理を行ない、分離排水を清浄化して浄水として排出した。その後、自動ダンパーで第3処理槽310への分離排水の供給を封鎖し、これに代えて吸着材311に130℃の水蒸気を53cm/secの流量で供給した。なお、その際に得られた脱着ガスは、その酢酸エチル濃度が実測値で476ppmであり、そのガスを分液回収装置200に戻した。この処置と同時に、第4処理槽320の自動ダンパーを開放し、第4処理槽320に分離排水を供給し、吸着材321で吸着処理を行った。この吸着処理と脱着処理の操作を各処理槽で交互に繰り返し実施した。なお、排水処理装置300から排出される浄水の酢酸エチルの濃度は、実測値で1ppm以下であり、除去率99.9%にて処理が可能であった。
本実施例の排ガス処理システムにおいては、100時間後でも排ガス処理装置100の除去率および排水処理装置300の除去率共に99%の効率で処理が可能であった。本実施例の排ガス処理システムは、吸着処理と脱着処理とを連続して行なう構成であるため、性能低下がなく安定して高い効率で排ガスおよびこの排ガスの処理に伴って生ずる分離排水の清浄化処理ができた。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における排ガス処理システムの構成を示す模式図である。なお、図4においては、上述の本発明の実施の形態1における排ガス処理システム1Aと同様の部分の図示は省略している。以下においては、この図4を参照して本実施の形態における排ガス処理システム1Bの構成について説明する。
図4は、本発明の実施の形態2における排ガス処理システムの構成を示す模式図である。なお、図4においては、上述の本発明の実施の形態1における排ガス処理システム1Aと同様の部分の図示は省略している。以下においては、この図4を参照して本実施の形態における排ガス処理システム1Bの構成について説明する。
図4に示すように、本実施の形態における排ガス処理システム1Bは、上述した本発明の実施の形態1における排ガス処理システム1Aと、排水処理装置300の構成において相違している。本実施の形態における排ガス処理システム1Bにおいては、排水処理装置300に水蒸気を導入するための配管ラインL8に、排水処理装置300にガスを導入するための配管ラインL11が接続されており、これら配管ラインL8,L11の排水処理装置300に対する接続/非接続状態を切り替えるためのバルブV391,V392が、配管ラインL8,L11にそれぞれ設けられている。また、本実施の形態における排ガス処理システム1Bにおいては、排水処理装置300から脱着ガスを排出するための配管ラインL10に、排水処理装置300から除去排水を排出するための配管ラインL12が接続されており、これら配管ラインL10,L12の排水処理装置300に対する接続/非接続状態を切り替えるためのバルブV393,V394が、配管ラインL10,L12にそれぞれ設けられている。なお、配管ラインL12の他端は、排水処理装置300に分離排水を導入するための配管ラインL7に接続されている。
本実施の形態における排ガス処理システム1Bの排水処理装置300においては、吸着処理と脱着処理との間に脱水処理(パージ処理)が実施される。具体的には、上述の本発明の実施の形態1における排ガス処理システム1Aの場合と同様に、排水処理装置300においては、バルブV301〜308の開閉が操作されることによって第3処理槽310と第4処理槽320とが交互に吸着槽および脱着槽に切り替わるが、脱着槽に切り替わった際には、まず当該脱着槽と配管ラインL11および配管ラインL12とが接続され、配管ラインL11を介して脱着槽にガスが導入されて吸着材に吹き付けられることによって吸着材の表面に付着した余剰の排水を吹き飛ばす脱水処理が行なわれ、吹き飛ばされた除去排水は、配管ラインL12および配管ラインL7を経由して排水処理装置300へと再度供給される。そして、当該脱水処理を所定時間行なった後に脱着槽と配管ラインL11および配管ラインL12の接続が解除され、配管ラインL8および配管ラインL10が脱着槽に接続されて脱着処理が行なわれる。なお、脱水処理の際に脱着槽に導入されるガスとしては、高温でより低湿なガスが利用されることが好ましく、たとえば所定の温度に昇温された乾燥空気を利用することが好適である。
以上において説明した本実施の形態における排ガス処理システム1Bの如くの構成を採用することにより、上述した本発明の実施の形態1における排ガス処理システム1Aの如くの構成を採用した場合に得られる効果に加え、吸着材からの有機溶剤の脱着効率が大幅に増加するため、より高効率にかつ安定的に排ガスおよびこれに伴って発生する分離排水を清浄化処理できる排ガス処理システムとできる効果が得られる。なお、上述した本実施の形態においては、排水処理装置300から排出される除去排水が当該排水処理装置300に再度供給されるように構成した場合を例示して説明を行なったが、当該除去排水は、カートリッジ式の活性炭を用いた交換式排水処理装置等を用いて別途清浄化処理されるように構成してもよい。
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3における排ガス処理システムの構成を示す模式図である。なお、図5においては、上述の本発明の実施の形態1における排ガス処理システム1Aと同様の部分の図示は省略している。以下においては、この図5を参照して本実施の形態における排ガス処理システム1Cの構成について説明する。
図5は、本発明の実施の形態3における排ガス処理システムの構成を示す模式図である。なお、図5においては、上述の本発明の実施の形態1における排ガス処理システム1Aと同様の部分の図示は省略している。以下においては、この図5を参照して本実施の形態における排ガス処理システム1Cの構成について説明する。
図5に示すように、本実施の形態における排ガス処理システム1Cは、上述した本発明の実施の形態1における排ガス処理システム1Aの構成に加え、曝気装置400を備えている。曝気装置400は、分離排水を加熱して気化させ、これをバブリングすることで有機溶剤を低濃度に含有する排水と有機溶剤を高濃度に含有する排ガスとに分離して排出するものである。曝気装置400は、分液回収装置200と排水処理装置300とを接続する配管ラインL7の途中位置に設けられており、分液回収装置200から導入された分離排水に含まれる有機溶剤の濃度をより低濃度化して排水処理装置300に導出するための装置である。
より詳細には、曝気装置400は、有機溶剤を含有した分離排水が導入される曝気槽401と、曝気槽401を複数の領域に区画する隔壁402と、曝気槽401においてガスを散気する散気管403とを有している。曝気槽401に導入された分離排水は、散気管403から放出されるガスによって曝気される。曝気槽401においては、分離排水中に含まれる有機溶剤が蒸気となって脱離し、脱離した有機溶剤がガスと共に運び去られて分離排水から除去されることで分離排水の有機溶剤含有量が低減される。ここで、上述のように曝気槽401は複数の領域に区画されているため、分離排水がこれら曝気槽401の複数の領域を移動する間に、分離排水の有機溶剤含有量は徐々に低減されることになる。
ここで、曝気装置400には、当該曝気装置400にて分離排水から除去されて分離された排ガスを排出するための配管ラインL13が接続されており、当該配管ラインL13の他端は、排ガス処理装置100に排ガスを供給するための配管ラインL1に接続されている。これにより、曝気装置400にて分離排水から分離された高濃度に有機溶剤を含有する排ガスは、配管ラインL13および配管ラインL1を経由して排ガス処理装置100へと再度供給されることになる。
以上において説明した本実施の形態における排ガス処理システム1Cの如くの構成を採用することにより、上述した本発明の実施の形態1における排ガス処理システム1Aの如くの構成を採用した場合に得られる効果に加え、排水処理装置300へ供給される分離排水に含まれる有機溶剤の濃度が低く抑えられることになるため、当該排水処理装置300への負荷が低減され、排ガス処理システム全体としてより高効率にかつ安定的に排ガスおよびこれに伴って発生する分離排水を清浄化処理できる効果が得られる。なお、上述した本実施の形態においては、曝気装置400から排出される排ガスが排ガス処理装置100に再度供給されるように構成した場合を例示して説明を行なったが、当該排ガスは、直接燃焼装置や触媒燃焼装置、蓄熱式燃焼装置等の燃焼装置で加熱分解することとしてもよいし、排ガス処理装置100の如くの有機溶剤回収装置を別途利用して清浄化処理を行なうこととしてもよい。
以上において説明した本発明の実施の形態1ないし3における排ガス処理システム1A〜1Cの特徴的な構成は、相互に組み合わせることが可能である。たとえば、図2および図3に示した如くの構成の吸着材350,370を含む排水処理装置を本発明の実施の形態2および3における排ガス処理システム1B,1Cの排水処理装置300に適用してもよい。なお、その場合には、吸着素子350,370の脱着処理を行なうためのゾーンに脱水処理を行なうためのゾーンが設けられ、当該脱水処理を行なうためのゾーンに位置する部分の吸着素子350,370に近接して上述した配管ラインL11,L12が接続され、吸着処理と脱着処理の間に脱水処理が行なわれるように排水処理装置300が構成されることになる。また、本発明の実施の形態3において示した曝気装置400を本発明の実施の形態2における排ガス処理システム1Bに適用することとしてもよい。
また、以上において説明した本発明の実施の形態1ないし3においては、ポンプやファン等の流体搬送手段やストレージタンク等の流体貯留手段などの構成要素を特に示すことなく説明を行なったが、これら構成要素は必要に応じて適宜の位置に配置すればよい。
このように、今回開示した上記各実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
1A〜1C 排ガス処理システム、100 排ガス処理装置、110 第1処理槽、111 吸着材、120 第2処理槽、121 吸着材、200 分液回収装置、210 コンデンサ、220 セパレータ、300 排水処理装置、310 第3処理槽、311 吸着材、320 第4処理槽、321 吸着材、350 吸着材、361 回転軸、370 吸着材、375 単位吸着ユニット、381 導入管、382 導出管、385 枠体、400 曝気装置、L1〜L13 配管ライン、V101〜V106,V301〜V308,V391〜V394 バルブ。
Claims (7)
- 有機溶剤を含有する排ガスから有機溶剤を回収することで当該排ガスを清浄化する排ガス処理システムであって、
排ガスを接触させることで有機溶剤を吸着し、水蒸気を接触させることで吸着した有機溶剤を脱着する第1吸着素子を含み、前記第1吸着素子に排ガスを供給することで有機溶剤を前記第1吸着素子に吸着させて清浄ガスとして排出し、前記第1吸着素子に水蒸気を供給することで有機溶剤を前記第1吸着素子から脱着させて有機溶剤を含有する脱着ガスとして排出する排ガス処理装置と、
脱着ガスを凝縮し、凝縮後の液を比重差に基づいて分液することで有機溶剤を高濃度に含有する回収液と有機溶剤を低濃度に含有する排水とに分離して排出する分液回収装置と、
排水を接触させることで有機溶剤を吸着し、水蒸気を接触させることで吸着した有機溶剤を脱着する第2吸着素子を含み、前記第2吸着素子に排水を供給することで有機溶剤を前記第2吸着素子に吸着させて浄水として排出し、前記第2吸着素子に水蒸気を供給することで有機溶剤を前記第2吸着素子から脱着させて有機溶剤を含有する脱着ガスとして排出する排水処理装置とを備え、
前記排ガス処理装置は、前記第1吸着素子の脱着処理が完了した部分を吸着処理を行なう部分に移行させるとともに前記第1吸着素子の吸着処理が完了した部分を脱着処理を行なう部分に移行させることで連続的に排ガスを処理可能であり、
前記排水処理装置は、前記第2吸着素子の脱着処理が完了した部分を吸着処理を行なう部分に移行させるとともに前記第2吸着素子の吸着処理が完了した部分を脱着処理を行なう部分に移行させることで連続的に排水を処理可能であり、
前記排ガス処理装置から排出された脱着ガスが前記分液回収装置に供給されるように前記排ガス処理装置と前記分液回収装置とが接続され、
前記分液回収装置から排出された排水が前記排水処理装置に供給されるように前記分液回収装置と前記排水処理装置とが接続された、排ガス処理システム。 - 有機溶剤を含有する排ガスから有機溶剤を回収することで当該排ガスを清浄化する排ガス処理システムであって、
排ガスを接触させることで有機溶剤を吸着し、水蒸気を接触させることで吸着した有機溶剤を脱着する第1吸着素子を含み、前記第1吸着素子に排ガスを供給することで有機溶剤を前記第1吸着素子に吸着させて清浄ガスとして排出し、前記第1吸着素子に水蒸気を供給することで有機溶剤を前記第1吸着素子から脱着させて有機溶剤を含有する脱着ガスとして排出する排ガス処理装置と、
脱着ガスを凝縮し、凝縮後の液を比重差に基づいて分液することで有機溶剤を高濃度に含有する回収液と有機溶剤を低濃度に含有する排水とに分離して排出する分液回収装置と、
排水を加熱して気化させ、これをバブリングすることで有機溶剤を低濃度に含有する排水と有機溶剤を高濃度に含有する排ガスとに分離して排出する曝気装置と、
排水を接触させることで有機溶剤を吸着し、水蒸気を接触させることで吸着した有機溶剤を脱着する第2吸着素子を含み、前記第2吸着素子に排水を供給することで有機溶剤を前記第2吸着素子に吸着させて浄水として排出し、前記第2吸着素子に水蒸気を供給することで有機溶剤を前記第2吸着素子から脱着させて有機溶剤を含有する脱着ガスとして排出する排水処理装置とを備え、
前記排ガス処理装置は、前記第1吸着素子の脱着処理が完了した部分を吸着処理を行なう部分に移行させるとともに前記第1吸着素子の吸着処理が完了した部分を脱着処理を行なう部分に移行させることで連続的に排ガスを処理可能であり、
前記排水処理装置は、前記第2吸着素子の脱着処理が完了した部分を吸着処理を行なう部分に移行させるとともに前記第2吸着素子の吸着処理が完了した部分を脱着処理を行なう部分に移行させることで連続的に排水を処理可能であり、
前記排ガス処理装置から排出された脱着ガスが前記分液回収装置に供給されるように前記排ガス処理装置と前記分液回収装置とが接続され、
前記分液回収装置から排出された排水が前記曝気装置に供給されるように前記分液回収装置と前記曝気装置とが接続され、
前記曝気装置から排出された排水が前記排水処理装置に供給されるように前記曝気装置と前記排水処理装置とが接続された、排ガス処理システム。 - 前記曝気装置から排出された排ガスが前記排ガス処理装置に再度供給されるように前記曝気装置と前記排ガス処理装置とが接続された、請求項2に記載の排ガス処理システム。
- 前記排水処理装置から排出された脱着ガスが前記分液回収装置に再度供給されるように前記排水処理装置と前記分液回収装置とが接続された、請求項1から3のいずれかに記載の排ガス処理システム。
- 前記排水処理装置は、前記第2吸着素子にガスを吹き付けることで前記第2吸着素子に付着した余剰の排水を吹き飛ばしてこれを除去排水として排出する、請求項1から4のいずれかに記載の排ガス処理システム。
- 前記排水処理装置から排出された除去排水が前記排水処理装置に再度供給されるように構成された、請求項5に記載の排ガス処理システム。
- 前記第1吸着素子および前記第2吸着素子のそれぞれが、活性炭、活性炭素繊維およびゼオライトからなる群から選ばれる少なくとも1の部材を含んでいる、請求項1から6のいずれかに記載の排ガス処理システム。
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