JP2014012246A - 排水処理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】水処理装置の大型化やランニングコストが増大することを防止しつつ、高効率にかつ安定的に排水を処理することが可能な排水処理システムを提供する。
【解決手段】有機物質を含有する排水を曝気処理することで、排水中から有機物質を揮発除去させ、有機物質を含有する曝気ガスを排出させる曝気槽100と、前記曝気槽100に接続され、吸着素子に排水を供給することで有機物質を前記吸着素子に吸着させて処理水として排出し、前記吸着素子に加熱ガスを供給することで有機物質を前記吸着素子から脱着させて有機物質を含有する脱着ガスとして排出する排水処理装置200と、前記曝気槽100および前記排水処理装置200に接続され、前記曝気槽および排水処理装置から排出された有機物質を含有する曝気ガスと脱着ガスの混合ガスに含まれる有機物質を回収する回収装置300を備える排水処理システム。
【選択図】図5

Description

本発明は、排水処理システムに関し、有機物質を含有する排水から有機物質を除去することで当該排水を清浄化する排水処理システムに関する。
各種工場や研究施設等から排出される水(以下、排水または原水という)は、有機物質を含有している。有機物質には有害な物質が含まれている場合もあり、排水を下水中等にそのまま排出することはできない。排水処理システムは、排水に含まれる有機物質を除去することによって清浄化された処理水を排出する。
特許文献1〜3記載の排水処理システムは、排水を清浄化するために吸着素子を備えている。吸着素子に排水を接触させることで、排水中の有機物質は吸着素子によって吸着される。吸着素子からは清浄化された処理水が排出される。吸着素子に高温の加熱ガスを接触させることで、吸着素子に吸着していた有機物質は吸着素子から脱着される。吸着素子からは有機物質を含有する脱着ガスが排出される。また、吸着処理効率を高めるためなどの目的で、吸着処理前に曝気装置にて曝気処理し、曝気処理後の排水を吸着素子へ導入することも行なわれている。曝気装置からも有機物質を含有する曝気ガスが排出される。
排出された脱着ガスおよび曝気ガスは、混合排ガスとして所定のガス処理が施される。たとえば、特許文献1〜3においては、混合排ガスは、燃焼装置によって処理され、混合排ガス中に含まれる有機物質は酸化分解される。
しかし、排水中の有機物質の中には、排水中から有機物質を分離させて回収することができれば、回収有機物質として、再利用可能な場合があるが、特許文献1〜3においては、酸化分解することのみを想定し、再利用については考慮されていない。
特開2006−55713号公報 特開2012−040479号公報 特開2012−040534号公報
本発明は、従来技術の課題を背景になされたものであり、排水中の有機物質のうち、排水中から有機物質を分離させて回収することができれば、回収有機物質として、再利用可能な場合ものを、排水処理と同時に回収し、排水処理と有機物質の回収システムの両方として機能するシステムを提供することを課題とするものである。
また、排水中の有機物質を高除去率で処理することができれば、処理水を再利用することも可能である。そのため、排水処理と同時に排水の再利用システムとしても提供することも課題とするものである。
本発明は、排水中から有機物質を回収し、かつ排水を高度に清浄化する排水処理システムを提供することを目的とする。
本発明に基づく排水処理システムは、有機物質を含有する排水から有機物質を除去することで当該排水を清浄化する排水処理システムであって、
有機物質を含有する排水を曝気処理することで、排水中から有機物質を揮発除去させ、有機物質を含有する曝気ガスを排出させる曝気槽と、
前記曝気槽に接続され、有機物質を含有する排水を接触させることで有機物質を吸着し、加熱ガスを接触させることで吸着した有機物質を脱着する吸着素子を含み、前記吸着素子に排水を供給することで有機物質を前記吸着素子に吸着させて処理水として排出し、前記吸着素子に加熱ガスを供給することで有機物質を前記吸着素子から脱着させて有機物質を含有する脱着ガスとして排出する排水処理装置と、
前記曝気槽および前記排水処理装置に接続され、前記曝気槽および排水処理装置から排出された有機物質を含有する曝気ガスと脱着ガスの混合ガスに含まれる有機物質を回収する回収装置と、を備える。
上記本発明に基づく排水処理装置にあっては、上記排水処理装置が、上記吸着素子にガスを吹き付けることで上記吸着素子に付着した余剰の排水を吹き飛ばしてこれを除去排水として排出するものであることが好ましい。その場合には、上記排水処理装置から排出された除去排水が、排水として上記排水処理装置に再度供給されるように構成されていることが好ましい。
上記本発明に基づく排水処理装置にあっては、上記吸着素子が、活性炭、活性炭素繊維およびゼオライトからなる群から選ばれる少なくとも1の部材を含んでいることが好ましい。
上記本発明に基づく回収装置にあっては、蒸留設備や冷却凝縮設備なども考えられるが、上記混合ガスを吸着材を充填した吸着槽に導入することで、有機物質を吸着処理して有機物質濃度が減少した処理済みガスを排出し、該吸着槽における吸着処理が完了した後に、前記吸脱着装置へ加熱ガスを導入し、吸着材から有機物質を脱着処理し、それによって吸着材を再生する吸脱着装置と、吸脱着装置における吸着材の再生の際に発生する有機物質含有加熱ガスを液化し、分離排水と有機物質に分離し、有機物質を回収する有機物質分離装置とからなる回収装置であることが好ましい。
また、前記回収装置から排出された分離排水が、排水として前記曝気槽もしくは前記排水処理装置に再度供給されるように構成されていることが好ましい。
本発明による排水処理システムは、有機物質を高い効率で連続的に除去することができ、基本的に吸着材の交換の必要が無く、ガス化した有機物を回収装置へ供給することで、排水中から有機物質を回収することができる。そのため、低コストで、安定に、高い能力で排水中からの有機物質の除去ができ、さらに有機物質の回収ができる利点がある。
本発明の実施の形態1における排水処理システムのシステム構成図である。 本発明の実施の形態1における排水処理システムにおいて利用可能な他の排水処理装置の例を示す模式図である。 本発明の実施の形態1における排水処理システムにおいて利用可能なさらに他の排水処理装置の例を示す模式図である。 本発明の実施の形態2における排水処理システムのシステム構成図である。 本発明の実施の形態2における排水処理システムのシステム構成図である。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一または対応する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さないことにする。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における排水処理システムのシステム構成図である。以下においては、この図1を参照して、本実施の形態における排水処理システム1Aの構成について説明する。
図1に示すように、本実施の形態における排水処理システム1Aは、曝気槽100と、排水処理装置200と、回収装置300とを主として備えている。
曝気槽100は、気泡を発生させる曝気装置111を含んでおり、曝気槽100は、配管ラインL1から有機物質を含有する排水を供給し、曝気処理により排水中の有機物質が揮発され、配管ラインL2から一次処理水として排出されることで排水中から有機物質を除去させる。また、配管ラインL3からガスを曝気装置111へ導入することにより、排水中から有機物質を揮発除去し、配管ラインL4から有機物質を含有する曝気ガスとして排出させる。
排水処理装置200は、吸着素子としての吸着材211、221がそれぞれ収容された第1処理槽210および第2処理槽220を有している。吸着材211、221は、排水を接触させることで一次処理水に含有される有機物質を吸着する。したがって、排水処理装置200においては、吸着材211、221に排水を供給することで有機物質が吸着材211。221によって吸着され、これにより排水が清浄化されて二次処理水として排出されることになる。また、吸着材211、221は、加熱ガスを接触させることで吸着した有機物質を脱着する。したがって、排水処理装置200においては、吸着材211、221に加熱ガスを供給することで有機物質が吸着材211、221から脱着され、これにより加熱ガスが有機物質を含有する脱着ガスとして排出されることになる。
第1処理槽210および第2処理槽220には、配管ラインL2、L5、L6、L7がそれぞれ接続されている。配管ラインL2は、曝気槽100から排出された一次処理水を第1処理槽210および第2処理槽220に供給するための配管ラインであり、バルブV201、V202によって第1処理槽210および第2処理槽220に対する接続/非接続状態が切り替えられる。配管ラインL6は、加熱ガスを第1処理槽210および第2処理槽220に供給するための配管ラインであり、バルブV203、V204によって第1処理槽210および第2処理槽220に対する接続/非接続状態が切り替えられる。配管ラインL5は、二次処理水を第1処理槽210および第2処理槽220から排出するための配管であり、バルブV205、V206によって第1処理槽210および第2処理槽220に対する接続/非接続状態が切り替えられる。配管ラインL7は、脱着ガスを第1処理槽210および第2処理槽220から排出するための配管ラインであり、バルブV207、V208によって第1処理槽210および第2処理槽220に対する接続/非接続状態が切り替えられる。
第1処理槽210と第2処理槽220とは、上述したバルブV201〜V208の開閉を操作することによって交互に吸着槽および脱着槽として機能し、具体的には、第1処理槽210が吸着槽として機能している場合には、第2処理槽220が脱着槽として機能し、第1処理槽210が脱着槽として機能している場合には、第2処理槽220が吸着槽として機能する。すなわち、本実施の形態における排水処理装置200においては、吸着槽と脱着槽とが経時的に交互に切り替わるように構成されている。なお、配管ラインL2は、第1処理槽210および第2処理槽220のうち、吸着槽として機能している槽に接続されて当該吸着槽に一次処理水を供給し、配管ラインL6は、第1処理槽210および第2処理槽220のうち、脱着槽として機能している槽に接続されて当該脱着槽に加熱ガスを供給する。また、配管ラインL5は、第1処理槽210および第2処理槽220のうち、吸着槽として機能している槽に接続されて当該吸着槽から二次処理水を排出し、配管ラインL7は、第1処理槽210および第2処理槽220のうち、脱着槽として機能している槽に接続されて脱着ガスを排出する。
吸着材211、221は、活性炭、活性炭素繊維またはゼオライトの少なくともいずれかを含む部材にて構成されている。好適には、吸着材211、221としては、粒状、粒体状、ハニカム状等の活性炭やゼオライトが利用されるが、より好適には、活性炭素繊維が利用される。活性炭素繊維は、表面にミクロ孔を有する繊維状構造を有しているため、水との接触効率が高く、特に水中の有機物質の吸着速度が速くなり、他の吸着素子に比べて極めて高い吸着効率を実現できる部材である。
吸着材211、221として利用可能な活性炭素繊維の物性は、特に限定されるものではないが、BET比表面積が700〜2000m/g、細孔容積が0.4〜0.9cm/g、平均細孔径が17〜18Åのものが好ましい。これは、BET比表面積が700m/g未満、細孔容積が0.4m/g未満、平均細孔径が17Å未満のものでは、有機物質の吸着量が低くなるためであり、またBET比表面積が2000m/gを超え、細孔容積が0.9m/gを超え、平均細孔径が18Åを超えるのものでは、細孔径が大きくなることで分子量の小さな物質等の吸着能力が低下したり、強度が弱くなったり、素材のコストが高くなって経済的に不利になったりするためである。
回収装置300は、曝気槽100から排出される曝気ガスおよび排水処理装置200から排出される脱着ガスの混合排ガスから有機物質を分離させる吸脱着装置300Aと、吸脱着装置300Aから排出される有機物質含有水蒸気を液化凝縮し、有機物質と水蒸気に分離する有機物質分離装置300Bで構成されている。吸脱着装置300Aは、吸着素子として吸着材311、321がそれぞれ収容された第1処理槽310および第2処理槽320を有している。吸着材311、321は、混合排ガスを接触させることで混合排ガスに含有される有機物質を吸着する。したがって、吸脱着装置300Aにおいては、吸着材311、321に混合排ガスを供給することで有機物質が吸着材311、321によって吸着され、これにより混合排ガスが清浄化されて清浄ガスとして排出されることになる。特に図示しないが、吸着処理に最適な操作条件にするために、必要に応じて混合排ガス中の水分量や温度を調整する設備を吸脱着装置300Aの前に導入しても良い。また、吸着材311、321は、加熱ガスを接触させることで吸着した有機物質を脱着する。したがって、吸脱着装置300Aにおいては、吸着材311、321に加熱ガスとして水蒸気を供給することで有機物質が吸着材311、321から脱着され、これにより有機物質を含有する水蒸気として排出されることになる。
第1処理槽310および第2処理槽320には、配管ラインL8、L9、L10、L11がそれぞれ接続されている。配管ラインL8は、曝気槽100および排水処理装置200から排出された混合排ガスを第1処理槽310および第2処理槽320に供給するための配管ラインであり、ダンパーD301、D302によって第1処理槽310および第2処理槽320に対する接続/非接続状態が切り替えられる。配管ラインL10は、加熱ガスである水蒸気を第1処理槽310および第2処理槽320に供給するための配管ラインであり、バルブV301、V302によって第1処理槽310および第2処理槽320に対する接続/非接続状態が切り替えられる。配管ラインL9は、清浄ガスを第1処理槽310および第2処理槽320から排出するための配管であり、ダンパーD303、D304によって第1処理槽310および第2処理槽320に対する接続/非接続状態が切り替えられる。配管ラインL11は、有機物質含有水蒸気を第1処理槽310および第2処理槽320から排出するための配管ラインである。
第1処理槽310と第2処理槽320とは、上述したダンパーD301〜D304およびバルブV301〜V302の開閉を操作することによって交互に吸着槽および脱着槽として機能し、具体的には、第1処理槽310が吸着槽として機能している場合には、第2処理槽320が脱着槽として機能し、第1処理槽310が脱着槽として機能している場合には、第2処理槽320が吸着槽として機能する。すなわち、本実施の形態における吸脱着装置300Aにおいては、吸着槽と脱着槽とが経時的に交互に切り替わるように構成されている。なお、配管ラインL8は、第1処理槽310および第2処理槽320のうち、吸着槽として機能している槽に接続されて当該吸着槽に混合排ガスを供給し、配管ラインL10は、第1処理槽310および第2処理槽320のうち、脱着槽として機能している槽に接続されて当該脱着槽に水蒸気を供給する。その際、配管ラインL11を介して、有機物質含有蒸気が排出され、有機物質分離装置300Bへ送られる。また、配管ラインL9は、第1処理槽310および第2処理槽320のうち、吸着槽として機能している槽に接続されて当該吸着槽から清浄ガスを排出する。
有機物質分離装置300Bは、コンデンサー330およびセパレーター340から構成されている。吸脱着装置300Aから排出された有機物質含有水蒸気は、配管ラインL11を介してコンデンサー330へ送られる。コンデンサー330では、間接的に冷却水と有機物質含有水蒸気を接触させて、有機物質含有水蒸気を液化凝縮させる。液化凝縮した有機物質含有水蒸気は、配管ラインL12を介してセパレーター340へ送られる。セパレーター340では、液化凝縮した有機物質と水分とを分離させ、回収有機物質と分離排水を排出させる。
次に、上記図1を参照して、本実施の形態における排水処理システム1Aにおいて行なわれる排水の清浄化処理の詳細について説明する。なお、以下の説明は、排水処理装置200の第1処理槽210が吸着槽として機能し、第2処理槽220が脱着槽として機能し、回収装置300の吸脱着装置300Aの第1処理槽310が吸着槽として機能し、第2処理槽320が脱着槽として機能している状態に基づいたものであるが、これら吸着槽と脱着槽とが入れ替わった場合にも、同様の処理が行なわれる。
図1に示すように、排水は、配管ラインL1を経由して曝気槽100に導入される。導入された排水は曝気処理されて、排水中より有機物質が揮発し、配管ラインL4より曝気ガスとして排出される。有機物質が除去された後の水は、配管ラインL2に導入されて一次処理水として曝気槽から排出され、排水処理装置200に導入される。
曝気槽100から排出された一次処理水は、第1処理槽210に送られて吸着材211と接触し、当該一次処理水に含有される有機物質が吸着材211によって吸着される。有機物質が吸着材211によって吸着された後の水は、配管ラインL5に導入されて二次処理水として排水処理装置200から排出される。
一方、排水処理装置200には、上記排水の導入と並行して、配管ラインL6を経由して加熱ガスが導入される。導入された加熱ガスは、第2処理槽220に送られて吸着材221と接触し、吸着材221に吸着された有機物質を脱着させる。吸着材221から脱着された有機物質を含む加熱ガスは、配管ラインL7に導入されて脱着ガスとして排水処理装置200から排出される。
曝気槽100から排出された曝気ガスと、排水処理装置200から排出された脱着ガスとの混合ガスは、配管ラインL8を介して吸脱着装置300Aに送られる。混合排ガスは、第1処理槽310に送られて吸着材311と接触し、当該混合排ガスに含有される有機物質が吸着材311によって吸着される。有機物質が吸着材311によって吸着された後のガスは、配管ラインL9に導入されて清浄ガスとして吸脱着装置300Aから排出される。
一方、吸脱着装置300Aには、上記混合ガスの導入と並行して、配管ラインL10を経由して加熱ガスとして水蒸気が導入される。導入された水蒸気は、第2処理槽320に送られて吸着材321と接触し、吸着材321に吸着された有機物質を脱着させる。吸着材321から脱着された有機物質含有水蒸気は、配管ラインL11を介して、吸脱着装置300Aから排出される。有機物質含有水蒸気は、前述の通り、有機物質分離装置300Bにて液化凝縮された後に、分離され回収有機物質として、排水中の有機物質を回収する。
以上の如くの排水処理システム1Aとすることにより、曝気槽100の後処理装置として排水処理装置200が機能し、両装置から排出される排ガスの処理装置として回収装置300が機能することになる。具体的には、曝気槽にて排水中の特に揮発性の高い有機物質を大幅に除去させて、排水処理装置200への負荷を下げることができ、特に曝気処理できなかった有機物質を排水処理装置にて除去させることで、例えば排水基準まで確実に排水中から有機物質の除去が可能であり、曝気槽100や排水処理装置200が大型化することやランニングコストが増大することを防止しつつ、高効率にかつ安定的に排水を処理することが可能な排水処理システムとすることができる。加えて、回収装置300を用いて曝気槽100および排水処理装置200から排出される混合排ガスを処理することで、排水中の有機物質を回収し、再利用することが可能となる。
また、上述の如くの排水処理システム1Aとすることにより、基本的に吸着材の交換がないため、システムを停止させることなく連続的に排水の清浄化を行なうことが可能になる。つまり、曝気槽100の後処理排水処理装置としてカートリッジ式の吸着材を備えた交換式排水処理装置を使用した場合に比べ、カートリッジ式の吸着材の新品への交換作業や取り外しての再生処理作業が不要となり、その労力やランニングコストの増大が生じないことになる。
また、上述の如くの排水処理システム1Aとすることにより、排水処理装置200の第1処理槽210および第2処理槽220において吸着処理および脱着処理が交互に連続的に繰り返されることになる。このように吸着処理および脱着処理が交互に連続的に繰り返されるように構成することにより、低コストで安定的に高い能力で排水に含まれる有機物質を除去することができる。したがって、上記構成を採用することにより、高効率にかつ安定的に排水を清浄化処理できる排水処理システムとすることができる。
また、上述の本実施の形態における排水処理システム1Aにおいては、第1処理槽210および第2処理槽220が吸着槽および脱着槽に交互に入れ替わる構成の排水処理装置200を採用した場合を例示して説明を行なったが、これとは異なる構成の排水処理装置を採用してもよい。以下に、その例を図2および図3を参照して説明する。
図2および図3は、本実施の形態における排水処理システムにおいて利用可能な他の排水処理装置の例を示す模式図である。なお、これら図2および図3においては、排水処理装置に具備される吸着材および当該吸着材近傍に配置される構成要素のみを図示し、その他の構成要素の図示は省略している。
図2は、円柱状の外形を有する吸着材250を利用した場合を示している。図2に示すように、円柱状の外形を有する吸着材250を利用する場合には、軸方向に流体が流動可能となるように構成された吸着材250の軸中心に回転軸261を設け、この回転軸261をアクチュエータ等によって回転駆動する。そして、吸着材250の軸方向の両端面に近接して図2においては示さない配管ラインL2、L5、L6、L7(図1参照)を接続し、吸着材250の一部を吸着処理を行なうための部分(図2において符号251で示す部分)として利用し、吸着材250の他の一部を脱着処理を行なうための部分(図2において符号252で示す部分)として利用する。すなわち、吸着材250の符号251で示す部分には、軸方向の一方から一次処理水が導入され、軸方向の他方から一次処理水が導出されることになり、吸着材250の符号252で示す部分には、軸方向の一方から加熱ガスが導入され、軸方向の他方から脱着ガスが導出されることになる。
ここで、図2に示す排水処理装置においては、吸着材250が回転軸261を回転中心として図中矢印A方向に所定の速度で回転する。これにより、吸着材250の吸着処理が完了した部分は脱着処理を行なうゾーンへと移動するとともに、吸着材250の脱着処理が完了した部分は吸着処理を行なうゾーンへと移動することになる。したがって、当該排水処理装置においては、同時に吸着処理と脱着処理とが行なわれることになり、連続的に清浄化処理を行なうことが可能となる。
また、図3は、円筒状の外形を有する吸着材270を利用した場合を示している。図3に示すように、円筒状の外形を有する吸着材270を利用する場合には、径方向に流体が流動可能となるように、例えば金属製の枠体285によって囲われた単位吸着ユニット275を周方向に複数並べて円筒状とし、これを図示しないアクチュエータ等によって軸中心に回転駆動する。そして、吸着材270に近接して図3においては示さない配管ラインL2、L5、L6、L7(図1参照)を接続し、吸着材270の単位吸着ユニットの一部を吸着処理を行なうための部分(図3において符号271で示す部分)として利用し、単位吸着ユニットの他の一部を脱着処理を行なうための部分(図3において符号272で示す部分)として利用する。すなわち、吸着材270の符号271で示す単位吸着ユニットには、径方向外側から一次処理水が導入され、径方向内側に向けて二次処理水が導出されて軸方向の一方に向けて排出されることになり、吸着材270の符号272で示す単位吸着ユニットには、導入管281を介して径方向内側から加熱ガスが導入され、径方向外側に向けて脱着ガスが導出されて導出管282を介して排出されることになる。
ここで、図3に示す排水処理装置においては、吸着材270が軸中心に図中矢印A方向に所定の速度で段階的に回転する。これにより、吸着材270の吸着処理が完了した単位吸着ユニットは脱着処理を行なうゾーンへと移動するとともに、吸着材270の脱着処理が完了した単位吸着ユニットは吸着処理を行なうゾーンへと移動することになる。したがって、当該排水処理装置においては、同時に吸着処理と脱着処理とが行なわれることになり、連続的に清浄化処理を行なうことが可能となる。
なお、図2および図3に示す如くの形状の吸着材250、270を利用する場合には、当該吸着材250、270を、粒状物を充填したものや繊維状物を充填したもので構成することとしてもよいが、ハニカム状の構造を有するもので構成するとなおよい。これは、吸着材250、270をハニカム状の構造を有するもので構成することにより、圧力損失を極めて低く抑えることが可能となって処理能力が増大するとともに、ゴミ等の固形物による目詰まりの発生も比較的低く抑えることができるためである。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における排水処理システムの構成を示す模式図である。なお、図4においては、上述の本発明の実施の形態1における排水処理システム1Aと同様の部分の図示は省略している。以下においては、この図4を参照して本実施の形態における排水処理システム1Bの構成について説明する。
図4に示すように、本実施の形態における排水処理システム1Bは、上述した本発明の実施の形態1における排水処理システム1Aと、排水処理装置200の構成において相違している。本実施の形態における排水処理システム1Bにおいては、排水処理装置200に加熱ガスを導入するための配管ラインL6に、排水処理装置200にガスを導入するための配管ラインL15が接続されており、これら配管ラインL6、L15の排水処理装置200に対する接続/非接続状態を切り替えるためのバルブV209、V210が、配管ラインL6、L15にそれぞれ設けられている。また、本実施の形態における排水処理システム1Bにおいては、排水処理装置200から脱着ガスを排出するための配管ラインL7に、排水処理装置200から除去排水を排出するための配管ラインL16が接続されており、これら配管ラインL7、L16の排水処理装置200に対する接続/非接続状態を切り替えるためのバルブV211、V212が、配管ラインL7、L16にそれぞれ設けられている。なお、配管ラインL16の他端は、排水処理装置200に排水を導入するための配管ラインL2に接続されている。
本実施の形態における排水処理システム1Bの排水処理装置200においては、吸着処理と脱着処理との間に脱水処理(パージ処理)が実施される。具体的には、上述の本発明の実施の形態1における排水処理システム1Aの場合と同様に、排水処理装置200においては、バルブV201〜208の開閉が操作されることによって第1処理槽210と第2処理槽220とが交互に吸着槽および脱着槽に切り替わるが、脱着槽に切り替わった際には、まず当該脱着槽と配管ラインL15および配管ラインL16とが接続され、配管ラインL15を介して脱着槽にガスが導入されて吸着材に吹き付けられることによって吸着材の表面に付着した余剰の排水を吹き飛ばす脱水処理が行なわれ、吹き飛ばされた除去排水は、配管ラインL16および配管ラインL2を経由して排水処理装置200へと再度供給される。そして、当該脱水処理を所定時間行なった後に脱着槽と配管ラインL15および配管ラインL16の接続が解除され、配管ラインL6および配管ラインL7が脱着槽に接続されて脱着処理が行なわれる。なお、脱水処理の際に脱着槽に導入されるガスとしては、高温でより低湿度なガスが利用されることが好ましく、例えば所定の温度に昇温された乾燥空気を利用することが好適である。
以上において説明した本実施の形態における排水処理システム1Bの如くの構成を採用することにより、上述した本発明の実施の形態1における排水処理システム1Aの如くの構成を採用した場合に得られる効果に加え、吸着材211、221からの有機物質の脱着効率が大幅に増加するため、より高効率にかつ安定的に排水を清浄化処理できる排水処理システムとできる効果が得られる。なお、上述した本実施の形態においては、排水処理装置200から排出される除去排水が当該排水処理装置200に再度供給されるように構成した場合を例示して説明を行なったが、当該除去排水は、交換式の吸着素子を備えた排水処理装置等を別途用いて清浄化処理されるように構成してもよい。
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3における排水処理システムの構成を示す模式図である。以下においては、この図5を参照して本実施の形態における排水処理システム1Cの構成について説明する。
図5に示すように、本実施の形態における排水処理システム1Cは、上述した本発明の実施の形態1における排水処理システム1Aおよび実施の形態2における排水処理システム1Bの構成は同じであるが、回収装置300の構成において相違している。本実施の形態における排水処理システム1Cにおいては、回収装置300から排出される分離排水を、配管ラインL14を介して曝気槽100の配管ラインL1へ返送する配管構成となっており、分離排水を再度排水処理することで、有機物質の回収量を向上させ、本発明における排水処理システムからの分離排水を排出させないようにするためのものである。特に図示しないが、排水の組成および操作条件などによって、配管ラインL14を排水処理装置200の配管ラインL2に返送するような構成にしても良い。
有機物質分離装置300Bから排出される分離排水は、有機物質の物性等によって、水分側に溶解し、有機物質の回収量が低減する場合や、分離排水を再度排水処理する場合がある。そのような場合には、分離排水を曝気槽100や排水処理装置200を用いて再度排水処理できるように、配管構成することにより、効率的に排水処理が可能となる。
以上において説明した本実施の形態における排水処理システム1Cの如くの構成を採用することにより、上述した本発明の実施の形態1における排水処理システム1Aおよび排水処理システム1Bの如くの構成を採用した場合に得られる効果に加え、回収装置300から分離排水が排出されなくなり、有機物質の回収量が増大し、分離排水を排水処理システム系外から排出しなくなるので、より効率的に排水を清浄化および有機物質の回収処理できる排水処理システムとできる効果が得られる。
以上において説明した本発明の実施の形態1から3における排水処理システム1A、1B、1Cの特徴的な構成は、相互に組み合わせることが可能である。例えば、図2および図3に示した如くの構成の吸着材250、270を含む排水処理装置を本発明の実施の形態2おける排水処理システム1Bの排水処理装置200に適用してもよい。なお、その場合には、吸着素子250、270の脱着処理を行なうためのゾーンに脱水処理を行なうためのゾーンが設けられ、当該脱水処理を行なうためのゾーンに位置する部分の吸着素子250、270に近接して上述した配管ラインL15、L16が接続され、吸着処理と脱着処理の間に脱水処理が行なわれるように排水処理装置200が構成されることになる。
また、以上において説明した本発明の実施の形態1から3においては、排水の組成や要求される除去効率等から必要に応じて、例えば、排水処理装置200を2台以上設置して、1台目の排水処理装置200から排出される二次処理水を、2台目の排水処理装置200にて再度排水処理を行い、三次処理水として排出させるなど、本発明にて説明した各装置の多段設置による高度排水処理を行っても良い。
また、以上において説明した本発明の実施の形態1から3においては、ポンプやファン等の流体搬送手段やストレージタンク等の流体貯留手段などの構成要素を特に示すことなく説明を行なったが、これら構成要素は必要に応じて適宜の位置に配置すればよい。
このように、今回開示した上記各実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
以下、実施の形態3の実施例によりさらに本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、評価は下記の方法によりおこなった。
(BET比表面積)
BET比表面積は、液体窒素の沸点(−195.8℃)雰囲気下、相対圧力0.0〜0.15の範囲で上昇させたときの試料への窒素吸着量を数点測定し、BETプロットにより試料単位質量あたりの表面積(m/g)を求めた。
(細孔容積)
細孔容積は、相対圧0.95における窒素ガスの気体吸着法により測定した。
(平均細孔径)
平均細孔径は、以下の式で求めた。
dp=40000Vp/S(ただし、dp:平均細孔径(Å))
Vp:細孔容積(cc/g)
S:BET比表面積(m/g)
(有機物質除去効果)
原水は塩化メチレンもしくは酢酸エチルを含む水とした。曝気槽、排水処理装置、回収装置の入出の塩化メチレン濃度を測定して除去効果を確認した。
(有機物質濃度評価)
入口・出口の水およびガスの有機物質濃度は、ガスクロマトグラフ法、もしくはヘッドスペース−GC/MS法で分析した。
[実施例1]
曝気槽に水蒸気を加えながら曝気温度40℃に調整し、風量100L/min、滞留時間2hrの条件で処理水量20L/hrの塩化メチレン20000mg/Lを含む原水を導入し、一次処理水を得た。その際の出口塩化メチレン濃度は、0.3mg/L以下であり、塩化メチレンを99.9%以上原水から除去することができた。また、曝気槽から排出される曝気ガス中の塩化メチレン濃度は、17500ppmとなった。また、曝気槽の加温に必要な水蒸気量は、3kg/hであった。
次に、排水処理装置の吸着材として平均細孔径14Å、BET比表面積1100m/g、全細孔容積0.5m/gの活性炭素繊維を使用した130mmφで、厚み150mmの重量200gの吸着素子を2個作成し、図5の排水処理装置に設置して前述の曝気処理後の一次処理水を処理水量20L/hrになるように導入し、二次処理水を得た。
次に、排水処理装置の脱水工程時におけるガスとして外気を使用し、脱水の風量を225L/minとした。脱着工程における加熱ガスとして130℃の空気を使用し、脱着の風量を225L/minとした。吸着工程における吸着時間は60min、脱水工程における脱水時間は5min、脱着工程における脱着時間は55minとして切替サイクルとした。その際の二次処理水中の塩化メチレン濃度は0.003mg/L以下であり、表1に示すように塩化メチレンの除去率は99.9%以上が可能であった。また、脱着ガス中の塩化メチレン平均濃度は0.2ppmであった。
本実施例の水処理システムにより浄化された水は、10時間後でも99.9999%以上の効率で塩化メチレンの除去が可能であった。曝気槽で塩化メチレンを揮発除去させ後、排水処理装置にて吸着と脱着を連続して行いて高度処理するため、性能低下がなく安定して高い効率で処理ができる。
次に、上記曝気槽から排出される曝気ガスのダクトと排水処理装置から排出される脱着ガスのダクトを接続させて、混合排ガスの濃度を測定したところ、塩化メチレン6600ppmであった。
次に、回収装置における吸脱着装置の吸着材として、平均細孔径14Å、BET比表面積1100m/g、全細孔容積0.5m/gの活性炭素繊維を使用した吸着素子を2個作成し、図5の吸脱着装置に設置して、混合排ガスを外気で3倍に希釈したガスを回収装置の原ガスとして導入し、清浄ガスを得た。吸着工程における吸着時間は8minとした。その際の清浄ガス中の塩化メチレン濃度は10ppm以下であり、表2に示すように塩化メチレンの除去率は99.5%以上が可能であった。
次に、吸脱着装置の脱着工程時において水蒸気を導入した。その際の、回収塩化メチレン量は388g/h、分離排水は3l/h、塩化メチレン濃度4000mg/lであった。
最後に分離排水を曝気槽へ返送し、上述の操作条件で同様の実験を実施した。その結果、表1に示す通り、二次処理水(装置出口水)の塩化メチレン濃度0.003mg/l以下、清浄空気の塩化メチレン濃度10ppm以下、塩化メチレン回収量400g/h、分離排水は系外に排出されなくなった。
[実施例2]
曝気槽に水蒸気を加えながら曝気温度40℃に調整し、風量100L/min、滞留時間2hrの条件で処理水量20L/hrの酢酸エチル30000mg/Lを含む原水を導入し、一次処理水を得た。その際の出口酢酸エチル濃度は、500mg/L以下であり、酢酸エチルを99.3%以上除去することができた。また、曝気槽から排出される曝気ガス中の酢酸エチル濃度は、25000ppmとなった。また、曝気槽の加温に必要な水蒸気量は、3kg/hであった。
次に、排水処理装置の吸着材として平均細孔径14Å、BET比表面積1650m/g、全細孔容積0.7m/gの活性炭素繊維を使用した130mmφで、厚み150mmの重量200gの吸着素子を2個作成し、図5の排水処理装置に設置して前述の曝気処理後の一次処理水を処理水量20L/hrになるように導入し、二次処理水を得た。
次に、排水処理装置の脱水工程時におけるガスとして外気を使用し、脱水の風量を255L/minとした。脱着工程における加熱ガスとして130℃の空気を使用し、脱着の風量を255L/minとした。吸着工程における吸着時間は60min、脱水工程における脱水時間は5min、脱着工程における脱着時間は55minとして切替サイクルとした。その際の二次処理水中の酢酸エチル濃度は0.01mg/L以下であり、表3に示すように酢酸エチルの除去率は99.9%以上が可能であった。また、脱着ガス中の酢酸エチル平均濃度は167ppmであった。
本実施例の水処理システムにより浄化された水は、10時間後でも99.9999%以上の効率で酢酸エチルの除去が可能であった。曝気槽で酢酸エチルを揮発除去させ後、排水処理装置にて吸着と脱着を連続して行いて高度処理するため、性能低下がなく安定して高い効率で処理ができる。
次に、上記曝気槽から排出される曝気ガスのダクトと排水処理装置から排出される脱着ガスのダクトを接続させて、混合排ガスの濃度を測定したところ、酢酸エチル7200ppmであった。
次に、回収装置における吸脱着装置の吸着材として、平均細孔径14Å、BET比表面積1100m/g、全細孔容積0.5m/gの活性炭素繊維を使用した吸着素子を2個作成し、図5の吸脱着装置に設置して、混合排ガスを外気で3倍に希釈したガスを回収装置の原ガスとして導入し、清浄ガスを得た。吸着工程における吸着時間は8minとした。その際の清浄ガス中の酢酸エチル濃度は1ppm以下であり、表4に示すように酢酸エチルの除去率は99.9%以上が可能であった。
次に、吸脱着装置の脱着工程時において水蒸気を導入した。脱着された酢酸エチルを含有水蒸気をコンデンサーで液化凝縮し、セパレーターで酢酸エチルと分離排水に分離させた。その際の、回収酢酸エチル量は564g/h、分離排水は3.6l/h、酢酸エチル濃度10000mg/lであった。
最後に分離排水を曝気槽へ返送し、上述の操作条件で同様の実験を実施した。その結果、表3に示す通り、二次処理水(装置出口水)の酢酸エチル濃度0.003mg/l以下、清浄空気の酢酸エチル濃度1ppm以下、酢酸エチル回収量600g/h、分離排水は系外に排出されなくなった。
[比較例1]
排水処理装置の吸着材として平均細孔径15Å、BET比表面積1200m/g、全細孔容積0.54m/gの粒状活性炭を使用した130mmφで、厚み150mmの重量200gの吸着素子を2個作成し、図2のダンパー切替方式の排水処理装置に設置し、それ以外の操作条件は実施例1と同様にして排水処理を行った。
その際の二次処理水中の塩化メチレン濃度は0.15mg/Lであり、実施例1と比較して50倍以上の塩化メチレン濃度であり、除去率が低かった。
[比較例2]
曝気槽に水蒸気を加えながら曝気温度90℃に調整し、風量200L/min、滞留時間3hrの条件で処理水量20L/hrの塩化メチレン20000mg/Lを含む原水を導入し、一次処理水を得た。その際の出口塩化メチレン濃度は、0.003mg/L以下であり、曝気装置単独で、実施例1と同等の塩化メチレン除去性能を得る事ができた。しかし、曝気槽の加温に必要な水蒸気量は、27kg/hであり、大量の水蒸気を必要とした。また、大量の水分を蒸発させるため、回収装置の原ガス中の湿度が高くなるので、回収装置の吸着効率が低下し、清浄ガスの塩化メチレン濃度は660ppm、除去率70%と低性能であった。
[比較例3]
実施例1と同一の操作条件で、回収装置から排出される分離排水を曝気槽に返送せずに、二次処理水と混合し、処理水として排出させた。その際の、塩化メチレン濃度は190mg/lであり、実施例1と比べて装置しての除去性能は著しく低下する結果となった。
[比較例4]
排水処理装置の吸着材として平均細孔径15Å、BET比表面積1200m/g、全細孔容積0.54m/gの粒状活性炭を使用した130mmφで、厚み150mmの重量200gの吸着素子を2個作成し、図2のダンパー切替方式の排水処理装置に設置し、それ以外の操作条件は実施例2と同様にして排水処理を行った。
その際の二次処理水中の酢酸エチル濃度は10mg/Lであり、実施例2と比較して1000倍以上の酢酸エチル濃度であり、除去性能が低かった。
[比較例5]
曝気槽に水蒸気を加えながら曝気温度90℃に調整し、風量200L/min、滞留時間5hrの条件で処理水量20L/hrの酢酸エチル30000mg/Lを含む原水を導入し、一次処理水を得た。その際の出口酢酸エチル濃度は、0.01mg/L以下であり、実施例2と同等の酢酸エチル除去性能を得る事ができた。しかし、曝気槽の加温に必要な水蒸気量は、41kg/hであり、大量の水蒸気を必要とした。また、大量の水分を蒸発させるため、回収装置の原ガス中の湿度が高くなるので、回収装置の吸着効率が低下し、清浄ガスの塩化メチレン濃度は720ppm、除去率70%と低性能であった。
[比較例6]
実施例2と同一の操作条件で、回収装置から排出される分離排水を曝気槽に返送せずに、二次処理水と混合し、処理水として排出させた。その際の、酢酸エチル濃度は566mg/lであり、実施例2と比べて装置しての除去性能は著しく低下する結果となった。
1A,1B,1C 排水処理システム、100 曝気槽、111 曝気装置、200 排水処理装置、210 第1処理槽、211 吸着材、220 第2処理槽、221 吸着材、250 吸着材、261 回転軸、270 吸着材、275 単位吸着ユニット、281 導入管、282 導出管、285 枠体、300 回収装置、300A 吸脱着装置、300B 有機物質分離装置、310 第1処理槽、311 吸着材、320 第2処理槽、321 吸着材、330 コンデンサー、340 セパレーター、L1〜L16 配管ライン、V101〜V302 バルブ D301〜D304 ダンパー。

Claims (7)

  1. 有機物質を含有する排水から有機物質を除去することで該排水を清浄化する排水処理システムであって、
    有機物質を含有する排水を曝気処理することで、排水中から有機物質を揮発除去させ、有機物質を含有する曝気ガスを排出させる曝気槽と、
    前記曝気槽に接続され、有機物質を含有する排水を接触させることで有機物質を吸着し、加熱ガスを接触させることで吸着した有機物質を脱着する吸着素子を含み、前記吸着素子に排水を供給することで有機物質を前記吸着素子に吸着させて処理水として排出し、前記吸着素子に加熱ガスを供給することで有機物質を前記吸着素子から脱着させて有機物質を含有する脱着ガスとして排出する排水処理装置と、
    前記曝気槽および前記排水処理装置に接続され、前記曝気槽および排水処理装置から排出された有機物質を含有する曝気ガスと脱着ガスの混合ガスに含まれる有機物質を回収する回収装置を備え、
    前記排水処理装置は、前記吸着素子の脱着処理が完了した部分を吸着処理を行なう部分に移行させるとともに前記吸着素子の吸着処理が完了した部分を脱着処理を行なう部分に移行させることで連続的に処理水を処理可能なものである、
    排水処理システム。
  2. 前記排水処理装置は、前記吸着素子にガスを吹き付けることで前記吸着素子に付着した余剰の排水を吹き飛ばしてこれを除去排水として排出する請求項1に記載の排水処理システム。
  3. 前記排水処理装置から排出された除去排水が、排水として前記排水処理装置に再度供給されるように構成された請求項2に記載の排水処理システム。
  4. 前記吸着素子が、活性炭、活性炭素繊維およびゼオライトからなる群から選ばれる少なくとも1の部材を含んでいる請求項1から3のいずれかに記載の排水処理システム。
  5. 前記回収装置が、前記混合ガスを吸着材を充填した吸着槽に導入することで、有機物質を吸着処理して有機物質濃度が減少した処理済みガスを排出し、該吸着槽における吸着処理が完了した後に、前記吸脱着装置へ水蒸気を導入し、吸着材から有機物質を脱着処理し、それによって吸着材を再生する吸脱着装置と、吸脱着装置における吸着材の再生の際に発生する有機物質含有水蒸気を液化し、分離排水と有機物質に分離し、有機物質を回収する有機物質分離装置とからなる回収装置である請求項1から4のいずれかに記載の排水処理システム。
  6. 前記回収装置が、前記混合ガスを冷却によって、有機物質を液化凝縮させて有機物質濃度が減少した処理済みガスを排出する冷却設備と、液化凝縮した有機物質を、分離排水と有機物質に分離し、有機物質を回収する有機物質分離装置とからなる回収装置である、請求項1から5のいずれかに記載の排水処理システム。
  7. 前記回収装置から排出された分離排水が、排水として前記曝気槽もしくは前記排水処理装置に再度供給されるように構成された請求項1から6のいずれかに記載の排水処理システム。
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