JP4603169B2 - 半径方向の距離制限及び緩衝媒体通路を備えたゴム軸受 - Google Patents
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Description
本発明は、半径方向の距離制限及び緩衝媒体通路を備えたゴム軸受であって、該ゴム軸受が、管状の内側輪郭を有する内側部分、内側部分を取り囲みかつ内側部分に加硫によって結合されたエラストマ、並びに1つ若しくは複数のプラスチック部分によって形成された通路保持体から成っている形式のものに関する。さらにエラストマ内に、鋳造物若しくは薄板から成る保持器が加硫に際して埋め込まれている。
【0002】
特に自動車には種々の構造のゴム軸受が多様に用いられる。使用目的に応じて軸受の緩衝特性に極めて異なる要求が課せられる。幾つかの例では軸受は、エラストマの材料特性による緩衝のほかに半径方向に作用する力に対する液圧的な緩衝を生ぜしめるように形成されている。このために、内側部分に加硫によって結合されたエラストマが一般にプラスチックから形成されたリング状の部材によって取り囲まれており、エラストマの外側輪郭及び前記部材の内側輪郭の形状付与によって、若しくは組立に際してエラストマに被せはめられたスリーブによって両方の部分間に流動性の緩衝媒体の受容のためのチャンバーが形成されている。液圧的な緩衝に基づき構成された別の装置によっても周知であるように、緩衝はチャンバー内にある緩衝媒体の押し退けによって生ぜしめられる。このために、チャンバーが通路によって互いに接続されており、通路が緩衝媒体を軸受の負荷に応じて1つのチャンバーから別のチャンバーへ移動させる。緩衝媒体通路の形成のために種々の手段が公知である。1つの手段が、緩衝媒体通路をエラストマに設けることにある。しかしながら、より有利にはエラストマがプラスチック部材によって取り囲まれており、プラスチック部材が距離制限のためのストッパ面を備えていてかつ通路保持体として用いられる。この場合、通路は通路保持体に設けられた溝によって、一般的には通路保持体と軸受の外側スリーブとの間に形成されている。
【0003】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第3617787号明細書によって前述の軸受は公知である。該明細書に記載の手段においては、エラストマが通路保持体として役立つ二部構造の部材によって取り囲まれており、通路が該部材の外側の周面に形成されている。別の例がドイツ連邦共和国特許出願公開第19729290号明細書により公知である。該明細書に記載の手段においては欠点として、通路のための、エラストマの周囲に配置された部材が二部構造である。従って、通路保持体を一体に形成することが提案される。前記部材を組み込むために、該部材は開口を有していて、エラストマを完全には取り囲んでいない。該明細書から明らかなように、開口の内法幅はエラストマに結合された内側部分の直径よりも大きくなっている。従って、通路長さがドイツ連邦共和国特許出願公開第3617787号明細書に記載の手段に比べて短くなっており、このことは、緩衝流体の往復振動する質量に基づく減衰効果によって生ぜしめられる所望の質量減衰にとって不都合である。
【0004】
本発明の課題は、半径方向の距離制限及び緩衝媒体通路を備えたゴム軸受を改善して、通路保持体に設けられる緩衝媒体通路の長さが、種々の緩衝特性を実施するために任意に規定できかつ通路保持体の組立が容易になるようにすることである。
【0005】
前記課題が独立請求項に記載の特徴を有するゴム軸受によって達成される。本発明に基づく軸受の有利な構成若しくは改良構造が従属請求項に記載してある。
【0006】
該軸受は公知の形式で内側管を有しており、内側管にエラストマが加硫によって結合されている。エラストマが通路保持体によって取り囲まれており、通路保持体が1つ若しくは複数のプラスチック部分から成っていて、支持部材を用いてエラストマに支えられている。通路保持体の外周面に設けられた緩衝媒体通路が、緩衝媒体のための、エラストマと通路保持体との間に形成されたチャンバーを互いに接続している。本発明に基づき、通路保持体が通路保持体がチャンバーの領域に緩衝媒体の流出若しくは流入のための切欠きを有しており、切欠きが通路保持体の周囲に支持部材の領域と該領域に相対して配置されていてかつ緩衝媒体通路によって互いに接続されている。さらに通路保持体が内側輪郭に及び/又はエラストマが外側輪郭に、半径方向の距離制限のためのストッパ面の領域で、軸受の半径方向に作用する力によって生ぜしめられるたわみ(圧縮)に基づくエラストマと対応のストッパ面との当接に際して緩衝媒体を閉じ込めるための凹所を有している。
【0007】
本発明に基づく構成では、ストッパ面内に形成された凹所の領域で通路保持体に、緩衝媒体の逃がしのための孔が設けられている。切欠きを配置すること、場合によっては孔をも配置することによって、チャンバー間の緩衝媒体の循環、並びに1つのチャンバー内での緩衝媒体の循環が可能である。さらに、ストッパ面内に形成された凹所内の孔が、所定の力の作用に際して凹所に閉じ込められた緩衝媒体の循環を可能にする。
【0008】
本発明の構成では、通路保持体の外周面に設けられた緩衝媒体通路が、チャンバーの領域に設けられた切欠きを越えて延長されている。これによって、チャンバー間の緩衝媒体の循環によって生ぜしめられる粘性の緩衝作用のほかに、流体質量の減衰効果による緩衝作用(質量緩衝作用)が生ぜしめられる。この場合、ストッパ面の凹所内に設けられる孔は、通路延長部に配置されている。該孔及び、該孔の横でストッパ面に隣接する切欠きによって、緩衝媒体が1つのチャンバー内でも循環させられる。
【0009】
有利なさらなる改善が緩衝媒体のための付加的な通路の構造にあり、該通路は、軸受軸線を中心として延びていて切欠きを互いに接続する緩衝媒体通路に対して横方向に延びており、半径方向ストッパの凹所内の孔が、該付加的な通路内に配置されている。前述の構成に対応して、軸受軸線を中心として延びる通路が通路保持体の切欠きを越えて延長されている場合に、軸受軸線を中心として延びる通路と軸線方向に延びる通路とがそれぞれ、半径方向ストッパの凹所内に設けられた孔内で交差している。
【0010】
本発明に基づく軸受の有利な別の構成では、エラストマに支持部材の領域でリップを一体成形して若しくは取り付けてあり、該リップが緩衝媒体通路内を移動する緩衝媒体のための弁として作用する。リップの運動、若しくは弁の開放特性、ひいては軸受の緩衝特性が、支持部材の幾何学構造によって規定されている。
【0011】
通路保持体が一体構造若しくは複数構造で形成されていてよい。しかしながら、一体構造がより有利であり、この場合、通路保持体がエラストマをほぼ300°の角度で取り囲んでいる。該実施態様では、通路保持体内に支持部材に相対して設けられた切欠きが貫通孔として形成されている。
【0012】
別の構成手段において、通路保持体が2つのプラスチック部分から成っており、プラスチック部分が形によって互いに位置固定可能に形成されている。通路保持体を形成する2つのプラスチック部分の相互の位置固定をピンによって実施することも可能である。
【0013】
さらに別の構成手段において、通路保持体が2つのプラスチック部分から成っており、該プラスチック部分が互いにヒンジによって結合されている。本発明に基づく軸受は、特に通路保持体の構成に特徴があり、通路保持体が容易に組み立てられ、通路長さが通路保持体の基本形状を維持して、所望の緩衝特性に合わせて容易に変化させられ得る。
【0014】
次に本発明を図示の実施例に基づき詳細に説明する。
【0015】
図1には、軸受の基本構造が断面で示してあり、この場合断面は軸受軸線に対して平行に延びている。管状の内側部分1がエラストマ2によって取り囲まれており、エラストマが加硫によって内側部分1に結合されている。エラストマ2の周囲に通路保持体3が配置されている。該構造全体が外側のスリーブ14内に収容されている。図面から明らかなように、通路保持体3がストッパ面4の領域に凹所5を有している。半径方向に作用する力に基づく軸受のたわみに際して、通路保持体3のストッパ面4とエラストマ2のストッパ面4との間に緩衝媒体が閉じ込められる。これによって、半径方向の距離が制限され、同時に緩衝作用が得られる。通路保持体3の、凹所5を備えるストッパ面4の領域に、孔6が設けられており、該孔を介して緩衝媒体がさらなるたわみ、ひいては増大する圧力に際して、軸受軸線を中心として延びる緩衝媒体通路10若しくは図示の実施例では設けられた横通路11内へ流出する。
【0016】
図2に、同じ軸受の構造が軸受の半径方向の断面で示してある。図面から明らかなように、通路保持体3が、支持部材8の成形によって形成された切欠き9のほかに、支持部材8に相対して配置された切欠き9を有しており、該切欠きが同じく緩衝媒体通路10に接続されていて、チャンバー7間に緩衝媒体の循環を可能にする。エラストマ2での通路保持体3の支持を可能にするために、エラストマ内に支持部材8の領域にも、支持部材に相対する側にも保持器(Kaefig)13が加硫に際して埋め込まれている。保持器材料として、周知のように例えば鋳造物若しくは薄板が用いられる。緩衝媒体の逃がしのための孔6を備える半径方向距離制限のためのストッパ面4も、明瞭に見て取れる。
【0017】
図3a及び図3bに、通路保持体3の構造が三次元的に示してある。図3aから、支持部材8に相対して配置されていてかつ緩衝媒体通路10によって互いに接続された切欠き9が見て取れる。緩衝媒体通路10は図示の実施例では切欠き9を越えて延長されている。これによって減衰効果に基づき、通路内に適当に分配された緩衝媒体の質量による付加的な質量緩衝(質量減衰)が得られる。さらに、半径方向距離制限のためのストッパ面4の領域で付加的な緩衝が得られる。このために、通路保持体3のストッパ面4が浅い凹所5を備えて形成されており、凹所の中央に孔6が、切欠き9を越えて延長された通路内へ若しくは横通路11内への緩衝媒体の流出のために設けられている。図3bは通路保持体3の構造を180°だけ回転させられた状態で示している。図面から、軸受軸線を中心として延びる通路10に対して付加的に設けられて軸線方向に延びる通路11が明瞭に見て取れる。該横に延びる緩衝媒体通路11は、軸受軸線を中心として延びる通路10とちょうど、ストッパ面4に孔6を設けてある箇所で交差している。該図面に示す通路保持体3は一体構造で形成されている。通路保持体の組立はプラスチック部分をわずかに広げたわめることによって行われ、プラスチック部分はエラストマ2上への被せ嵌めの後にゴムの周囲にほぼ300°の角度にわたって延びている。
【0018】
可能な別の実施例が図4に示してある。この場合、図4aが2つのプラスチック部分から成る1つの通路保持体3の一方の半部を示している。通路保持体3の他方の半部は、一方の半部に対応して形成され、かつ一方の半部に形状係合(形状による束縛)によって固定される。図4bには、図4aに示す半部が種々の面を投影して示してある。すべての図で、ストッパ面4の領域に設けられた孔6が見て取れる。孔6は有利には、軸受軸線を中心として延びる通路10とこれに対して付加的に設けられた横通路11との交点に配置されている。
【0019】
図5は、本発明の原理に基づき構成された軸受の斜視図であり、この場合、緩衝特性の付加的な調節のために支持部材8の領域でエラストマ2に軸線方向へ延びるリップ12が成形されている。該ゴムリップ12は、通路10に設けられた弁として機能する。この場合、リップ12の運動、ひいてはリップ12によって形成された弁の開放特性が、リップ12の厚さのほかに、支持部材8の幾何学形状及び支持部材とリップ12との間の間隔によって規定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に基づく軸受の縦断面図。
【図2】 図1に示す実施例の半径方向に切断した断面図。
【図3】 図3aは通路保持体の斜視図、及び図3bは図3aの通路保持体を、軸受軸線を中心として108°回転させた状態で示す図。
【図4】 図4aは2つのプラスチック部分から形成された通路保持体の1つのプラスチック部分の斜視図、及び図4bは平面投影して示す図。
【図5】 弁を備えた軸受全体の斜視図。
【符号の説明】
1 内側部分、2 エラストマ、3 通路保持体、4 ストッパ面、5 凹所、6 孔、7 チャンバー、8 支持部材、9 切欠き、10 緩衝媒体通路、11 横通路、12 リップ、13 保持器、14 スリーブ
Claims (7)
- 半径方向の距離制限及び緩衝媒体通路を備えたゴム軸受であって、管状の内側輪郭を有する内側部分、内側部分を取り囲みかつ内側部分に加硫によって結合されたエラストマ、並びに1つ若しくは複数のプラスチック部分によって形成されてエラストマを部分的に取り囲みかつエラストマに支持部材を介して支持された通路保持体から成っており、通路保持体の内周面に半径方向の距離制限のためのストッパ面が形成されており、通路保持体の外周面に少なくとも1つの緩衝媒体通路を設けてあり、緩衝媒体通路が流動性の緩衝媒体の受容のためにエラストマと通路保持体との間に形成された複数のチャンバーを互いに接続している形式のものにおいて、通路保持体(3)がチャンバー(7)の領域に緩衝媒体の流出若しくは流入のための切欠き(9)を有しており、切欠きが通路保持体(3)の周囲に支持部材(8)の領域と該領域に相対して配置されていて、かつ緩衝媒体通路(10)によって互いに接続されており、ストッパ面(4)の領域で通路保持体(3)の内側輪郭及び/又はエラストマ(2)の外側輪郭に、軸受の半径方向に作用する力によって生ぜしめられるたわみに基づくエラストマ(2)と対応のストッパ面(4)との当接に際して緩衝媒体を閉じ込めるための凹所(5)が形成されており、通路保持体(3)の外周面に付加的に通路(11)を設けてあり、該通路が、軸受軸線を中心として延びていて切欠き(9)を互いに接続する緩衝媒体通路(10)に対して横方向に延びており、ストッパ面(4)の凹所(5)内に設けられた孔(6)が、前記横方向に延びる通路(11)内に配置されていることを特徴とする、半径方向の距離制限及び緩衝媒体通路を備えたゴム軸受。
- 通路保持体(3)の外周面に設けられた緩衝媒体通路(10)が、チャンバー(7)の領域に設けられた切欠き(9)を越えて延長されており、その結果、チャンバー(7)間の緩衝媒体の循環によって生ぜしめられる粘性の緩衝作用のほかに、流体質量の減衰効果による緩衝作用(質量緩衝作用)が生ぜしめられるようになっており、場合によってはストッパ面(4)の凹所(5)内に設けられた孔(6)が、延長された緩衝媒体通路(10)内に配置されている請求項1記載のゴム軸受。
- エラストマ(2)が支持部材(8)の領域に、軸線方向に延びていて緩衝媒体通路(10)内を移動する緩衝媒体のための弁として作用するリップ(12)を有しており、リップ(12)の運動、ひいては弁の開放特性がリップ(12)の厚さ、支持部材(8)の幾何学形状及び支持部材(8)とリップ(12)との間の間隔によって規定されている請求項1又は2記載のゴム軸受。
- 通路保持体(3)が一体構造のプラスチック部分として形成されており、プラスチック部分が内側部分(1)に結合されたエラストマ(2)をほぼ300°にわたって取り囲んでおり、支持部材(8)に相対して通路保持体(3)に設けられた切欠き(9)が貫通部として形成されている請求項1から3のいずれか1項記載のゴム軸受。
- 通路保持体(3)が2つのプラスチック部分から形成されており、プラスチック部分が形によって互いに位置固定されている請求項1から3のいずれか1項記載のゴム軸受。
- 通路保持体(3)が2つのプラスチック部分から形成されており、プラスチック部分がピンによって互いに位置固定されている請求項1から3のいずれか1項記載のゴム軸受。
- 通路保持体(3)が、ヒンジによって互いに結合された2つのプラスチック部分から形成されている請求項1から3のいずれか1項記載のゴム軸受。
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