JPH0716127Y2 - 流体封入式筒型マウント - Google Patents

流体封入式筒型マウント

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JPH0716127Y2
JPH0716127Y2 JP1989004207U JP420789U JPH0716127Y2 JP H0716127 Y2 JPH0716127 Y2 JP H0716127Y2 JP 1989004207 U JP1989004207 U JP 1989004207U JP 420789 U JP420789 U JP 420789U JP H0716127 Y2 JPH0716127 Y2 JP H0716127Y2
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伸夫 松本
慶太 白木
芳樹 船橋
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Sumitomo Riko Co Ltd
Toyota Motor Corp
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Sumitomo Riko Co Ltd
Toyota Motor Corp
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Description

【考案の詳細な説明】 (技術分野) 本考案は、内部に封入された流体の流動に基づいて振動
の伝達を抑制するようにした流体封入式筒型マウントに
係り、特に低周波数域の入力振動に対する高減衰効果を
確保しつつ、高周波数域の入力振動に対する防振性能の
向上が有利に達成され得る流体封入式筒型マウントの構
造に関するものである。
(背景技術) 従来から、自動車におけるサスペンションブッシュやエ
ンジンマウントの如き、振動伝達系を構成する二つの部
材間に介装されて、かかる両部材を防振連結するマウン
トの一種として、互いに同心的に若しくは偏心して配さ
れた内筒金具と外筒金具とを、それらの間に介装された
ゴム弾性体にて一体的に連結せしめてなる構造の筒型マ
ウントが、用いられてきている。
ところで、このようなマウントにおける防振特性として
は、一般に、低周波数域の入力振動に対する高減衰効果
と高周波数域の入力振動に対する低動ばね効果とが要求
されることとなるが、従来では、それらの入力振動に対
する防振機能が、専らゴム弾性体の弾性変形のみに基づ
いて発揮されるようになっていたために、かかる要求を
満足させることが極めて難しく、特に低周波数域の入力
振動に対して充分な減衰効果を得ることができないとい
った問題を有していた。
そのため、近年、特公昭48−36151号公報や特公昭52−1
6554号公報等において、ゴム弾性体内に、振動入力方向
たる径方向で対向するように一対の流体室を形成すると
共に、それら両流体室をオリフィス通路で連通させるこ
とにより、振動入力時に惹起せしめられる、該オリフィ
ス通路を通じての流体の流動に基づく共振作用によっ
て、低周波数域の入力振動に対する高減衰効果を得るよ
うにした、所謂流体封入式筒型マウントが提案されてい
る。
しかしながら、このような流体封入式筒型マウントにあ
っては、該オリフィス通路がチューニングされた、その
内部を流動せしめられる流体の共振作用によって高減衰
効果が発揮され得る周波数域よりも、更に高周波数域の
振動入力時において、かかるオリフィス通路が実質的に
閉塞状態となるために、動ばね定数の著しい上昇が惹起
され、却って防振性能が低下してしまうといった大きな
問題を内在していたのである。
一方、かかる問題に対処すべく、特開昭53−5376号公報
や特開昭57−9340号公報等に開示の流体封入式防振支持
体に用いられている如き、可動板を備えた液圧吸収機構
を設けることによって、高周波数域の振動入力時におけ
る動ばね定数を低下させることも考えられるが、このよ
うな液圧吸収機構の筒型マウントへの採用は、構造の著
しい複雑化と製造コストの大幅な上昇を伴うこととなる
ために、容易には採用し難いのである。
(解決課題) ここにおいて、本考案は、上述の如き事情を背景として
為されたものであって、その解決課題とするところは、
低周波数域の入力振動に対する、オリフィス通路内にお
ける流体の共振作用に基づく高減衰効果を有利に確保し
つつ、高周波数域の振動入力時におけるマウントの低動
ばね化が、簡単な構造にて有利に実現され得る、流体封
入式の筒型マウントを提供することにある。
(解決手段) そして、かかる課題を解決するために、本考案にあって
は、径方向に所定距離を隔てて配された内筒金具と金属
スリーブとを、それらの間に介装されたゴム弾性体にて
弾性的に連結し、更に該金属スリーブに対して外筒金具
を外挿せしめることにより、かかる金属スリーブを貫通
して開口する該ゴム弾性体に設けられたポケット部を該
外筒金具にて閉塞せしめて、前記内外筒金具間への振動
入力時に内圧変動が生ぜしめられる受圧室を形成すると
共に、該受圧室とは周方向に隔たった位置に、少なくと
も一部が可撓性膜にて画成されて内圧変動が回避される
平衡室を形成し、それら受圧室および平衡室内にそれぞ
れ所定の非圧縮性流体を封入する一方、前記金属スリー
ブと前記外筒金具との間に、外周面に凹溝を備えたオリ
フィス部材を、前記ポケット部の開口を跨いで配設せし
めて、その凹溝の開口をかかる外筒金具にて閉塞せしめ
ることにより、周方向に所定長さで延び、且つ両端部に
おいて前記受圧室および平衡室内に開口せしめられてそ
れら両室を相互に連通するオリフィス通路を形成せしめ
てなる流体封入式筒型マウントにおいて、前記受圧室の
内部に、合成樹脂材料若しくは金属材料からなる、該受
圧室の内周面形状に略対応した外周面形状を有する可動
部材を、所定距離自由に移動可能に収容、配置せしめ、
マウントの装着状態下、該可動部材を該受圧室の底面に
沈下状態と為し、そして内外筒金具間への振動入力によ
って該受圧室の底面から浮上せしめて、該可動部材と受
圧室内面との間にそれらの対向面間に広がる所定間隙の
振動作用部を形成すると共に、前記内外筒金具の振動入
力方向における相対的変位量を、該可動部材を介しての
それら内筒金具側と外筒金具側との間接的な当接によっ
て規制せしめるようにする一方、かかる可動部材におけ
る、前記オリフィス通路の開口部に対向位置する外周面
部位に凹部を設け、且つ該凹部を該可動部材の側方に開
口せしめて、該可動部材の前記オリフィス部材に対する
当接時にも、かかる凹部を通じて、該オリフィス通路が
前記受圧室内に連通せしめられ得るようにして、該受圧
室内と前記平衡室内との連通状態を確保したことを、そ
の特徴とするものである。
(実施例) 以下、本考案を更に具体的に明らかにするために、本考
案の実施例について、図面を参照しつつ、詳細に説明す
ることとする。
先ず、第1図及び第2図には、本考案の一実施例とし
て、本考案をFF型自動車のエンジンマウントに対して適
用したものの一具体例が示されている。これらの図にお
いて、10は内筒金具、16は金属スリーブであって、径方
向に互いに所定量偏心して配されており、それらの間に
介装されたゴム弾性体14によって、弾性的に連結されて
いると共に、かかる金属スリーブ16の外周面には、更に
外筒金具12が外挿されて嵌着せしめられている。
そして、かかるエンジンマウントにあっては、内筒金具
10及び外筒金具12において、車体側及びエンジンを含む
パワーユニット側の各一方に取り付けられて、パワーユ
ニットを車体に対して防振支持せしめるようになってお
り、かかる取付状態において、パワーユニットの重量
が、それら内外筒金具10、12の偏心方向に及ぼされ、ゴ
ム弾性体14が弾性変形せしめられることによって、それ
ら両金具10、12が、略同心的に位置せしめられることと
なる(第12図参照)。また、かかるエンジンマウントに
あっては、内筒金具10と外筒金具12との偏心方向(第1
図中、上下方向)に入力される振動を主として防振する
ものであり、かかる防振すべき振動の入力に際して、ゴ
ム弾性体14は、専らそれら両金具10、12の偏心方向に変
形せしめられることとなる。
ここにおいて、前記内筒金具10は、比較的厚肉の円筒形
状をもって形成されており、その径方向外側には、所定
距離を隔てて、略薄肉円筒形状の金属スリーブ16が、所
定量偏心して位置せしめられている。そして、第3図及
び第4図に示されている如く、これら内筒金具10と金属
スリーブ16との間において、前記ゴム弾性体14が介装さ
れており、該ゴム弾性体14が、内筒金具10の外周面と金
属スリーブ16の内周面とに、それぞれ加硫接着された一
体加硫成形品として形成されている。
また、かかるゴム弾性体14には、内筒金具10と金属スリ
ーブ16との偏心方向における離間距離の小なる側におい
て、金属スリーブ16の内周面に沿って周方向に所定長さ
で延びる、略円弧状断面の貫通空所18が、軸方向に貫通
して形成されている。そして、それによってかかるゴム
弾性体14は、実質的に、内筒金具10と外筒金具12との偏
心方向における離間距離が大なる側においてのみ、それ
ら両金具10、12を弾性的に連結するようにして存在せし
められており、前述の如き、装着状態下に及ぼされるパ
ワーユニットの重量によってゴム弾性体14に生ぜしめら
れる引張応力が低減され得るようになっている。
さらに、該ゴム弾性体14内には、上記貫通空所18に対し
て内筒金具10を挟んで径方向に対向する位置において、
換言すれば内筒金具10と金属スリーブ16との偏心方向に
おける離間距離の大なる側において、金属スリーブ16を
貫通して外周面上に開口する凹所状形態をもって、ポケ
ット部20が形成されている。要するに、金属スリーブ16
には、ゴム弾性体14に設けられたポケット部20の開口部
位において、窓部22が設けられており、この窓部22を通
じて、ポケット部20が、外部に開口せしめられているの
である。
また一方、前記金属スリーブ16にあっては、その軸方向
の中央部が、周方向全周に亘って幅広の凹溝状に縮径さ
れて、小径部24とされている。そして、特に、かかる小
径部24における、内筒金具10と金属スリーブ16との偏心
方向の離間距離が小なる側に位置する部位には、更に深
絞り加工が施されることによって、前記貫通空所18内に
入り込む凹陥状の凹所26が形成されていると共に、かか
る凹所26の周方向両端部を接続するように、小径部24を
底部とする周方向に延びる周溝28が形成されている。
更にまた、かかる一体加硫成形品における空所18内に
は、ゴム材料にて形成された湾曲板状のリバウンドスト
ッパ29が、軸方向に貫通して配されており、ゴム弾性体
14に対して挿入されて、その一端側に設けられた円環板
状の取付部31において、内筒金具10の軸方向端部に外嵌
固定せしめられることにより、内筒金具10側に一体的に
取り付けられている。
そして、このような構造とされた一体加硫成形品にあっ
ては、必要に応じて、金属スリーブ16に縮径加工が施さ
れてゴム弾性体14に予備圧縮が加えられた後、第1図及
び第2図に示されているように、金属スリーブ16におけ
る凹所26及び周溝28内に対して、それぞれ、略半円筒形
状を呈する第一及び第二のオリフィス金具30、32が、そ
れぞれ、前記内筒金具10と金属スリーブ16との偏心方向
両側から嵌入されて円筒状に組み付けられ、更にその
後、かかる金属スリーブ16の外周面に対して、前記外筒
金具12が、外嵌、固定せしめられることとなる。
そして、それによって、ゴム弾性体14におけるポケット
部20の開口が、外筒金具12にて閉塞せしめられて、該ポ
ケット部20の内部に、密閉された受圧室36が形成されて
いるのであり、また一方、前記金属スリーブ16における
凹所26の開口が、外筒金具12にて閉塞されることによ
り、該凹所26内に収容空間38が画成されているのであ
る。
また、ポケット部20側に組み付けられた第一のオリフィ
ス金具30にあっては、第5図乃至第7図に示されている
ように、その外周面において、略中央部から渦巻状に拡
がり、該第一のオリフィス金具30の周方向一端側に至る
凹溝41を備えている。そして、第1図及び第2図に示さ
れている如く、該凹溝41の開口が、外筒金具12によって
閉塞せしめられることにより、該外筒金具12との間にお
いて、その中央部において連通孔47を通じて受圧室36内
に連通せしめられると共に、渦巻状形態をもって延び
て、第一のオリフィス金具30の周方向一端側に開口する
オリフィス通路48が形成されているのである。
また一方、凹所26側に組み付けられた第二のオリフィス
金具32にあっては、第8図乃至第10図に示されているよ
うに、かかる凹所26の開口部に臨む中央部分に二つの切
欠窓42、42を有しており、それらの切欠窓42、42を内側
から閉塞する状態で、それぞれ、弾性変形の容易なダイ
ヤフラム44が、該切欠窓42の開口周縁部に対して、その
外周縁部が加硫接着せしめられることによって配設され
ている。
そして、第1図及び第2図に示されている如く、かかる
ダイヤフラム44、44にて、前記収容空間38内が、金属ス
リーブ16側と外筒金具12側とに二分されることにより、
金属スリーブ16の凹所26内に、かかるダイヤフラム44の
弾性変形に基づく容積変化によって内圧変動が回避され
る平衡室50が形成されている一方、該ダイヤフラム44と
外筒金具12との間に、該ダイヤフラム44の変形を許容す
る空間52が形成されているのである。
また、かかる第二のオリフィス金具32の周方向両端部分
には、それぞれ、周方向端部から所定長さで延びる切欠
部46が設けられており、そして該切欠部46の内周面側が
金属スリーブ16の小径部24によって、またその外周面側
が外筒金具12によって、それぞれ覆蓋されることによ
り、該切欠部46にて、前記オリフィス通路48の開口端に
接続されて、該オリフィス通路48を平衡室50内に導き、
以てかかる平衡室50をオリフィス通路48を通じて前記受
圧室36内に連通せしめる接続流路54が形成されているの
である。なお、かかる切欠部46、46のうち、実際にオリ
フィス通路48に接続されて接続流路54を構成するのはそ
の一方であるが、その組付作業性を考慮して、周方向両
側に形成されている。
さらに、上述の如くして形成された受圧室36および平衡
室50内には、前記外筒金具12の組付けが所定の流体中に
て行なわれること等によって、所定の低粘度の非圧縮性
流体が封入されている。なお、かかる封入流体として
は、充分な流体の流動性を確保する上において、500セ
ンチストークス以下、好ましくは100センチストークス
以下の動粘度を有するものが望ましく、例えば、水やエ
チレングリコール、プロピレングリコール、その他のア
ルキレングリコール、低粘度のポリアルキレングリコー
ルやシリコーンオイル、或いはこれらの混合液等が、好
適に用いられることとなる。また、前記外筒金具12の内
周面には、略全面に亘って薄肉のシールゴム層56が一体
的に設けられており、該シールゴム層56が、金属スリー
ブ16乃至は第一及び第二のオリフィス金具30、32との間
で挟圧されることにより、上記受圧室36、平衡室50およ
びオリフィス通路48の液密性が有利に確保され得るよう
になっている。
そして、それによって、かかるエンジンマウントにあっ
ては、内外筒金具10、12間に振動が入力された際、受圧
室36内に液圧変動が生ぜしめられて、平衡室50との間
で、オリフィス通路48を通じての流体の流動が生ぜしめ
られることとなり、以て良く知られているように、かか
るオリフィス通路48の長さや断面積等を調節することに
よって、該オリフィス通路48内を流動せしめられる流体
の共振作用に基づいて、エンジンシェイクやバウンス等
の低周波数域の入力振動に対し、優れた減衰性能が発揮
され得ることとなるのである。
なお、特に、本実施例におけるオリフィス通路48にあっ
ては、渦巻状形態にて形成されて、その長さが有利に確
保され得るようになっていることから、低周波数域への
チューニングに際して、その流路断面積を大きく設定す
ることができるのであり、それによって流体の流動量が
有利に確保され得て、目的とする減衰効果がより有効に
発揮され得ることとなるのである。
更にまた、上記受圧室36には、前述の如き外筒金具12の
組付けに際し、その内部に可動ブロック34が挿入され
て、配置せしめられることとなる。この可動ブロック34
は、マウントの装着状態、即ちエンジンユニットの重量
負荷状態下における、受圧室36の内周面形状に略対応
し、且つ該内周面よりも一回り小さな外周面形状を有す
る円弧状に湾曲した厚肉板状をもって形成されており
(第12図参照)、かかる受圧室36内を、軸方向、径方向
及び周方向において所定距離だけ自由に移動し得る状態
で配置せしめられている。
また、かかる可動ブロック34にあっては、第11図に示さ
れている如く、その外周面上に、幅方向中央部を全周に
亘って延びる溝状の凹部57が形成されている。そして、
第1図及び第2図に示されているように、受圧室36内に
配された際、かかる可動ブロック34の凹部57が、該受圧
室36内へのオリフィス通路48の開口部たる連通孔47に対
して対向位置せしめられるようになっているのである。
なお、本実施例における可動ブロック34は、所定の合成
樹脂材料にて形成されており、マウントの装着状態下に
おける静置時には、受圧室36内において、鉛直下方に沈
下して底面上に位置せしめられることとなる。
そして、かかる可動ブロック34は、内外筒金具10、12間
への振動入力に際して、受圧室36内に惹起される流体の
流動に基づいて、第12図に示されている如く、受圧室36
の底面から浮上せしめられ、以てその周囲において、受
圧室36内面との間に流体流路が形成されることとなる。
そして更に、振動入力に際しての、該受圧室36の内側寸
法の変化に基づいて、かかる流体流路、なかでも特に、
可動ブロック34のマウント径方向両側にそれぞれ形成さ
れた、所定厚さ:tで、振動入力方向に対して略直角なマ
ウント周方向に所定面積をもって拡がる、振動作用部と
しての流体作用領域62において、流体の流動が有効に生
ぜしめられることとなるのである。即ち、かかる流体作
用領域62、62においては、内外筒金具10、12間への振動
の入力に際して、それぞれの厚さ:tが変化せしめられる
ことによって、そこに存在する流体に対して駆動力が付
与され、以て各流体作用領域62におけるマウント周方向
及び軸方向の流体の繰返し流動が生ぜしめられることと
なるのであり、それ故かかる流体の流動に基づく流動作
用乃至は共振作用を利用することによって、所定周波数
域の振動入力時におけるマウント動ばねの低減が有効に
図られ得ることとなるのである。
ところで、このマウント動ばねの低減効果が発揮され得
る周波数領域は、ゴム弾性体14の弾性率(マウントばね
定数)や可動ブロック34の重量、或いは封入流体の粘度
等に応じて、流体作用領域62の厚さ:tや、その大きさ
(広さ)を調節して、かかる流体作用領域62内を流動せ
しめられる流体の共振周波数をチューニングすることに
よって、所望の周波数域に設定することが可能であり、
そして、特に、かかる流体作用領域62においては、そこ
を流動せしめられる流体の共振周波数の、高周波数域へ
の設定が容易であることから、例えば100〜500Hz程度の
高周波数域にチューニングすることによって、前記オリ
フィス通路48が閉塞状態となる中乃至高周波数域の振動
入力時におけるマウントの高動ばね化が回避され得ると
共に、車両走行時におけるこもり音や振動の原因となる
高周波数域の入力振動に対するマウント防振特性の向上
が極めて有利に達成され得ることとなるのである。
なお、かかる流体作用領域62内における流体の共振作用
が有効に生ぜしめられ得るように、通常のエンジンマウ
ントでは、可動ブロック34の振動入力方向における可動
寸法が、2〜16mm、好ましくは3〜10mmとなるように、
且つ該可動寸法の受圧室36内側寸法に対する比が、0.05
〜0.50、好ましくは0.10〜0.40となるように、また、該
可動ブロック34における外側周面および内側周面の受圧
室36内面に対する対向面積の合計値が、1000mm2以上、
好ましくは2000mm2以上となるように設定することが望
ましい。
また、上述の如き構造のエンジンマウントにあっては、
可動ブロック34が、受圧室36内において、振動入力方向
に所定距離だけ自由に移動可能に収容、配置されている
ことにより、かかるエンジンマウントに対して、内外筒
金具10、12間に過大な振動荷重が入力された際におけ
る、内筒金具10の外筒金具12に対する受圧室36側(バウ
ンド方向)への相対的変位が、かかる可動ブロック34を
介しての、内筒金具10側と外筒金具12側との間接的な当
接によって効果的に規制され得るのであり、それによっ
てエンジンユニットの車体に対する過大な変位を規制す
るストッパ機能が発現され得ると共に、ゴム弾性体14の
過大な変形が防止されてマウント耐久性の向上が図られ
得ることとなるのである。
そして、そこにおいて、かかる可動ブロック34にあって
は、外周面に、該可動ブロック34を1周する凹部57を有
しており、上述の如き内外筒金具11、12の変位規制時に
おいて第一のオリフィス金具30内面に当接された際、オ
リフィス通路48の受圧室36内への開口部たる連通孔47
が、該凹部57内に開口せしめられ、そして該凹部57が該
可動ブロック34の側面において開口することとなるとこ
ろから、かかる変位規制時においても、連通孔47が閉塞
されることなく、オリフィス通路48の受圧室36内への連
通状態が、かかる凹部57を通じて、良好に維持され得る
のであり、従って該受圧室36と前記平衡室50との間の連
通状態が良好に確保され得、それによって、前述の如
き、オリフィス通路48を通じての流体の流動に基づく振
動減衰効果が有効に且つ安定して発揮され得るのであ
る。
以上、本考案の一実施例について詳述してきたが、これ
は文字通りの例示であって、本考案は、かかる具体例に
のみ限定して解釈されるものではない。
例えば、可動ブロック34の形成材料やその具体的形状
は、前記実施例のものに限定されるものではなく、アル
ミニウム合金やステンレス等を用いて形成することも可
能であり、また受圧室36の形状に応じて、矩形ブロック
状や円柱形状等の各種形状が適宜設定されるものであ
る。
また、かかる可動ブロック34を中空形状にて形成するこ
とも可能であり、封入流体の比重を考慮して、該可動ブ
ロック34を、マウントの静置状態下で、受圧室36中に浮
いた状態で配することも、勿論可能である。
更にまた、そのような可動ブロック34に設けられる凹部
は、オリフィス金具30に対する当接時に、連通孔47を受
圧室36内に連通せしめ得る形状のものであれば良く、該
連通孔47の受圧室36内への開口位置等に応じて適宜決定
されるものであって、例示の如き溝状のものに限定され
るものでは、決してない。因みに、前記実施例のものと
は異なる形態の凹部57の具体例として、第13図(a)〜
(g)に、可動ブロック64,66,68,70,72,74,76を、それ
ぞれ示しておくこととする。
さらに、オリフィス通路の形態も、例示の如き渦巻状の
ものに限定されることなく、周方向に延びる直線状形態
や蛇行形態などを採用することも可能である。
また、平衡室50の構造も、実施例のものに限定されるも
のではなく、例えば、空間52側を平衡室として構成した
り、或いは金属スリーブ16の凹所26の一部を可撓性膜に
て構成することにより、収容空間38全体を平衡室として
構成することも可能である。
加えて、本考案は、例示の如きエンジンマウントの他、
サスペンションブッシュや自動車以外の各種装置におけ
るマウント装置に対しても、良好に適用され得るもので
あることは、勿論である。
その他、一々列挙はしないが、本考案は当業者の知識に
基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様にお
いて実施され得るものであり、またそのような実施態様
が、本考案の趣旨を逸脱しない限り、何れも本考案の範
囲内に含まれるものであることは、言うまでもないとこ
ろである。
(考案の効果) 以上の説明から明らかなように、本考案に従う構造とさ
れた流体封入式筒型マウントにあっては、オリフィス通
路内および振動作用部内に生ぜしめられる流体の共振作
用に基づいて、それぞれ、低周波数域の入力振動に対す
る高減衰効果と、高周波数域の入力振動に対する低動ば
ね効果とが、共に有効に発揮され得ることによって、広
い周波数域に亘る防振性能の向上が有利に図られ得ると
共に、受圧室内に収容配置された可動部材を介しての内
外筒金具の当接によって、過大な振動荷重入力時におけ
る、それら両金具の相対的変位量が効果的に規制され得
のである。
そして、そこにおいて、かかる可動部材にあっては、そ
の外周面上に設けられた凹部によって、外筒金具側への
当接時にも、オリフィス通路の受圧室内への連通状態を
維持し得るようになっていることから、該オリフィス通
路内を流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効
果が、有効に且つ安定して発揮され得ることとなるので
ある。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本考案の一実施例たるエンジンマウントを示
す横断面図であり、第2図は、第1図におけるII−II断
面図であり、第3図は、かかるエンジンマウントを構成
する一体加硫成形品を示す横断面図であり、第4図は、
第3図におけるIV−IV断面図である。また、第5図は、
第1図に示されているエンジンマウントに用いられてい
る第一のオリフィス金具を取り出して示す断面図であ
り、第6図は、第5図におけるa視展開図である、第7
図は、第5図におけるVII−VII断面図である。更に、第
8図は、第1図に示されているエンジンマウントに用い
られている第二のオリフィス金具を取り出して示す断面
図であり、第9図は、第8図における底面図であり、第
10図は、第8図におけるX−X断面図である。また、第
11図は、第11図に示されているエンジンマウントに用い
られている可動ブロックを取り出して示す斜視図であ
る。更に、第12図は、第1図に示されているエンジンマ
ウントの装着状態下における振動入力状態を示す横断面
図である。更にまた、第13図(a)〜(g)は、それぞ
れ、第1図に示されているエンジンマウントに用いられ
ている可動ブロックとは異なる形態の凹部を備えた可動
ブロックの具体例を示す斜視図である。 10:内筒金具、12:外筒金具 14:ゴム弾性体、20:ポケット部 30:第一のオリフィス金具 32:第二のオリフィス金具 34:可動ブロック、36:受圧室 44:ダイヤフラム、48:オリフィス通路 50:平衡室、57:凹部 62:流体作用領域(振動作用部) 64,66,68,70,72,74,76:可動ブロック
フロントページの続き (72)考案者 船橋 芳樹 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600 東海 ゴム工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−45131(JP,A) 特開 昭61−294235(JP,A) 特開 昭63−158335(JP,A) 特開 昭61−236943(JP,A)

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】径方向に所定距離を隔てて配された内筒金
    具と金属スリーブとを、それらの間に介装されたゴム弾
    性体にて弾性的に連結し、更に該金属スリーブに対して
    外筒金具を外挿せしめることにより、かかる金属スリー
    ブを貫通して開口する該ゴム弾性体に設けられたポケッ
    ト部を該外筒金具にて閉塞せしめて、前記内外筒金具間
    への振動入力時に内圧変動が生ぜしめられる受圧室を形
    成すると共に、該受圧室とは周方向に隔たった位置に、
    少なくとも一部が可撓性膜にて画成されて内圧変動が回
    避される平衡室を形成し、それら受圧室および平衡室内
    にそれぞれ所定の非圧縮性流体を封入する一方、前記金
    属スリーブと前記外筒金具との間に、外周面に凹溝を備
    えたオリフィス部材を、前記ポケット部の開口を跨いで
    配設せしめて、その凹溝の開口をかかる外筒金具にて閉
    塞せしめることにより、周方向に所定長さで延び、且つ
    両端部において前記受圧室および平衡室内に開口せしめ
    られてそれら両室を相互に連通するオリフィス通路を形
    成せしめてなる流体封入式筒型マウントにおいて、 前記受圧室の内部に、合成樹脂材料若しくは金属材料か
    らなる、該受圧室の内周面形状に略対応した外周面形状
    を有する可動部材を、所定距離自由に移動可能に収容、
    配置せしめ、マウントの装着状態下、該可動部材を該受
    圧室の底面に沈下状態と為し、そして内外筒金具間への
    振動入力によって該受圧室の底面から浮上せしめて、該
    可動部材と受圧室内面との間にそれらの対向面間に広が
    る所定間隙の振動作用部を形成すると共に、前記内外筒
    金具の振動入力方向における相対的変位量を、該可動部
    材を介してのそれら内筒金具側と外筒金具側との間接的
    な当接によって規制せしめるようにする一方、かかる可
    動部材における、前記オリフィス通路の開口部に対向位
    置する外周面部位に凹部を設け、且つ該凹部を該可動部
    材の側方に開口せしめて、該可動部材の前記オリフィス
    部材に対する当接時にも、かかる凹部を通じて、該オリ
    フィス通路が前記受圧室内に連通せしめられ得るように
    して、該受圧室内と前記平衡室内との連通状態を確保し
    たことを特徴とする流体封入式筒型マウント。
JP1989004207U 1989-01-18 1989-01-18 流体封入式筒型マウント Expired - Lifetime JPH0716127Y2 (ja)

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