JP4598150B2 - 非水電解質二次電池用電極の製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池用電極の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、集電体および集電体に担持された活物質を含む電気化学素子用電極およびその製造方法に関する。
近年、パーソナルコンピュータ、携帯電話などのポータブル機器の開発に伴い、その電源としての電池の需要が増大している。上記のような用途に用いられる電池には、高いエネルギー密度と優れたサイクル特性が望まれている。
上記要望に対して、有機電解液、有機電解液をポリマーやゲル化剤を用いて非流動化したゲルポリマー電解質のような各種の非水電解質を電解質に用い、リチウムイオンを電荷移動用媒体とする非水電解質リチウム二次電池が注目されている。非水電解質リチウム二次電池の正極材料として、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24などのように各種電解質との間でリチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出し高い可逆電位を示す材料が使用され、また、負極材料としては、黒鉛、カーボンなどの各種炭素体のように低い可逆電位を示す材料が使用されている。
しかしながら、ポータブル機器の機能向上に伴い、電源に対してこれまで以上の高いエネルギー密度が求められている。そこで、負極材料として、黒鉛、カーボンなどの炭素材料に代えて、Liと金属間化合物を形成し、リチウムを吸蔵、放出することにより非常に高い容量が得られる高容量負極材料を用いることが提案されている。これらの高容量負極材料として、例えばSi(ケイ素)やSn(スズ)あるいはこれらを主成分とした合金材料が挙げられる。Siの理論放電容量は約4199mAh/gであり、黒鉛の理論放電容量の約11倍である。
これらの高容量負極材料(以下、単に「負極活物質」ともいう)は、充放電時において、リチウムイオンを吸蔵・放出する際に大きく膨張および収縮する。このため、負極活物質を含む薄膜(以下、「活物質層」という)を集電体上に堆積させて負極を形成すると、リチウムイオンの吸蔵・放出により活物質層は膨張・収縮するが、集電体はほとんど膨張・収縮しないために、集電体を含む負極に大きな応力が発生して歪みが生じる。その結果、集電体に皺や切れが生じたり、集電体から活物質層が剥離するおそれがある。また、負極に歪み、皺が生じると、負極とセパレータとの間に空間が生じて充放電反応が不均一になり、局部的に電池の特性低下を引き起こす懸念もある。さらに、集電体からの活物質層の剥離に起因して負極の電子伝導性が低下し、十分な充放電サイクル特性が得られない可能性もある。
上述したような負極活物質の膨張・収縮に起因する問題点を解決するために、集電体上に、負極活物質を含む複数の柱状体(以下、「活物質体」とする)を配置し、隣接する活物質体間に空隙を形成することにより、負極活物質の膨張応力を緩和する構成が提案されている。
例えば特許文献1には、集電体の表面に、集電体の法線方向に対して傾斜した方向から負極活物質を蒸着(斜め蒸着)することにより、後述するシャドウイング効果を利用して、集電体の法線方向に対して傾斜した複数の活物質体を間隔を空けて成長させることが提案されている。
特許文献2には、集電体の表面に規則的な凹凸パターンを形成し、その各凸部上に、斜め蒸着によって活物質体を成長させることが提案されている。この構成によると、凹凸パターンのサイズや配列ピッチによって、活物質体の間隔を制御することできるので、活物質体の膨張応力を効果的に低減できる。また、特許文献2には、斜め蒸着によって、シート状の集電体を移動させながら、その表面に連続的に活物質体を形成する方法および装置も開示されている。
さらに、集電体にかかる活物質の膨張応力をより効果的に緩和するために、蒸着方向を切り換えながら複数回の斜め蒸着を行うことにより、ジグザグ状に成長させた活物質体を形成することも提案されている(例えば特許文献2〜4)。ジグザグ状の活物質体は、例えば次のようにして形成される。
まず、表面に突起(凸部)が形成された集電体上に、集電体の法線方向から傾斜した第1の方向から蒸着を行い、各凸部上に第1層を形成する。次いで、集電体の法線方向に対して第1の方向と反対側に傾斜した第2の方向から蒸着を行って、第1部分の上に第2層を形成する。その後、さらに第1の方向から蒸着を行って第3層を形成する。このようにして、任意の積層数に達するまで、蒸着方向を切り換えながら蒸着工程を繰り返し、活物質体を得る。
このような活物質体の形成には、次のような蒸着装置が用いられる。蒸着装置の真空チャンバー内には、蒸発源と、集電体を固定する固定台とが配置されている。固定台は、その表面が蒸発源における蒸発面(蒸着原料の上面)と平行な平面に対して傾斜するように配置されており、これによって、集電体の法線方向に対して任意の角度だけ傾斜した方向から集電体表面に蒸着原料を入射させることができる。また、固定台の傾斜方向を切り換えることにより、蒸着原料の入射方向(蒸着方向)を切り換えることができる。従って、固定台の傾斜方向を切り換えながら複数回の蒸着工程を繰り返すと、上述したようなジグザグ状の活物質体が得られる。
さらに、特許文献4には、ジグザグ状に活物質体を成長させるために、蒸発源の位置を変えたり、あるいは複数の蒸発源を交互に用いることによって、蒸着原料の入射方向を切り換えることが提案されている。
特開2005−196970号公報 国際公開第2007/094311号パンフレット 国際公開第2007/086411号パンフレット 国際公開第2007/052803号パンフレット
特許文献1〜4の構成によると、集電体表面に形成された凸部上に活物質体を配置できるので、活物質体間に、活物質体の膨張のための空間をより確実に確保することが可能になる。
しかしながら、本発明者が検討したところ、例えば特許文献2に開示された装置を用いて活物質体を連続的に形成すると、斜め蒸着の際の蒸着粒子の入射角度や凸部のサイズによっては、蒸着粒子が活物質体間の隙間から回り込んで集電体の凹部(隣接する凸部間の領域、溝)上にも活物質が成長してしまう場合がある。この理由については後述する。凹部上に成長する活物質の量が多くなり、厚い活物質膜が形成されてしまうと、活物質膜の膨張応力によって集電体に皺や切れが生じやすくなる可能性がある。
また、凸部上に活物質体を成長させた場合、活物質体と集電体との接触面積が小さくなり、集電体と活物質体と密着強度が小さくなってしまうという問題もある。そのため、充放電時の活物質の膨張応力による電極の皺や切れは抑制されるものの、集電体からの活物質体の剥離が生じて、充放電サイクル特性が低下する可能性がある。
さらに、特許文献1〜4に提案された方法で活物質体を形成すると、活物質体の幅が大きくなり、隣接する活物質体間に十分な膨張空間を確保することが困難になる場合がある。ここでいう「活物質体の幅」は、集電体表面に平行な面内における各活物質体の最大幅を指すものとする。なお、「集電体表面に平行な面」とは、集電体表面における凹凸を平均化して得られる仮想的な平面に平行な面をいうものとする。
また、上述したジグザグ状の活物質体を形成する場合、特許文献2〜4に開示された蒸着装置を用いることができるが、これらの蒸着装置では、固定台の大きさに応じたサイズに予め切断された集電体に対して蒸着が行われる。そのため、生産性が低く、量産プロセスに適用することは困難である。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、高い容量を有し、かつ、充放電サイクル特性に優れた電気化学素子用電極を、生産性に優れた方法で製造することにある。
本発明の電気化学素子用電極の製造方法は、表面に複数の凸部を有するシート状の集電体を用意する工程と、前記集電体の各凸部上に、それぞれ、積層構造を有する活物質体を形成する工程とを包含し、前記活物質体を形成する工程は、前記集電体の法線に対して傾斜した方向から、蒸発させた蒸着原料を前記集電体の前記表面に入射させることによって、各活物質体の最も集電体側に位置する第1層を前記各凸部上に形成する第1層蒸着工程と、前記集電体の法線に対して前記第1層蒸着工程における前記蒸着原料の入射方向と反対側に傾斜した方向から、蒸発させた蒸着原料を前記集電体の前記表面に入射させることによって、前記第1層の少なくとも一部上に第2層を形成する第2層蒸着工程とを含み、前記第1層蒸着工程では、前記集電体の法線に対する前記蒸着原料の入射角度が小さくなる方向に前記集電体を移動させながら蒸着を行う。
ある好ましい実施形態において、前記第2層蒸着工程では、前記集電体の法線に対する前記蒸着原料の入射角度が大きくなる方向に前記集電体を移動させながら蒸着を行う。
本発明によると、各活物質体は集電体の凸部上に形成されるので、活物質体間に活物質の膨張応力を緩和するための空間をより確実に確保でき、活物質の膨張応力に起因する電極の変形やしわの発生を抑えることができる。
具体的には、第1層蒸着工程において、集電体の凹部(凸部の形成されていない部分)上に堆積する活物質の量を抑えつつ、集電体の凸部側面から凸部上面に選択的に活物質を堆積させることができる。続いて、第2層蒸着工程において、集電体の法線に対して第1層蒸着工程における蒸着原料の入射方向と反対側に傾斜した方向から蒸着を行うので、凸部の表面のうち第1層で覆われていない方の側面に活物質を堆積させることができる。このように、凸部表面の全体を覆うように第1および第2層を形成できるので、第1および第2層を含む活物質体と集電体の凸部との密着強度を高めることができる。従って、活物質の剥離による充放電サイクル特性の低下を抑制できる。さらに、集電体の凹部上に堆積する活物質の量を低減できるので、集電体にかかる膨張応力を緩和できる。
第2層蒸着工程では、集電体の法線に対する蒸着原料の入射角度が大きくなる方向に集電体を移動させながら蒸着を行うことが好ましい。これにより、集電体凹部への活物質の堆積を抑制しつつ、凸部の側面上にも十分な厚さで活物質を堆積させることができるので、凸部上面のみでなく凸部側面と活物質体との密着性を効果的に高めることができる。また、チャンバー内で、第1層と第2層とを連続して形成することが可能となり、生産効率を高めることができる。
従って、高容量であり、かつ、信頼性の高い電気化学素子用電極を、生産性に優れた簡便なプロセスで製造できる。
本発明によれば、活物質体間に、活物質の膨張応力を緩和するための空間を確保しつつ、活物質体と集電体の凸部表面との接触面積を増大させて、これらの間の密着性を高めることができる。また、集電体の凹部上に堆積する活物質の量を低減することができる。
従って、充放電の繰り返しによって電極に歪、皺、切れが生じたり、活物質体が集電体からの剥離することを抑制でき、膨張・収縮の大きな活物質を用いて、充放電サイクル特性などの信頼性に優れた電気化学素子用電極を提供することができる。
また、本発明によると、上記のような電極を、簡便かつ生産性に優れた方法で製造できる。
(a)〜(e)は、本発明による第1の実施形態の電極の製造方法を説明するための工程断面図である。 (a)〜(d)は、本発明による第1の実施形態の電極の製造方法を説明するための工程断面図である。 (a)〜(d)は、本発明による第1の実施形態の電極の製造方法を説明するための工程断面図である。 (a)〜(c)は、本発明による第1の実施形態の電極の製造方法を説明するための工程断面図である。 本発明による第1の実施形態の電極の製造方法を説明するための工程断面図である。 (a)は、本発明による第1の実施形態の方法で用いる蒸着装置を模式的に示す断面図であり、(b)は、(a)の蒸着装置の蒸着領域における蒸着原料の入射角度を説明するための模式的な拡大断面図である。 (a)は、本発明による第1の実施形態の方法で用いる他の蒸着装置を模式的に示す断面図であり、(b)は、(a)の蒸着装置の蒸着領域における蒸着原料の入射角度を説明するための模式的な拡大断面図である。 (a)および(b)は、本発明による第1の実施形態の電極の製造方法によって形成された活物質体の他の構成を示す断面図である。 本発明による電極を用いたリチウム二次電池の一例を示す模式的な断面図である。 (a)および(b)は、それぞれ、実施例および比較例で用いる集電体の断面図および上面図である。 (a)は、実施例1における活物質体の断面を示す図であり、(b)は、実施例1における活物質層の上面図である。 (a)は、本発明による参考の実施形態の方法で用いる蒸着装置を模式的に示す断面図であり、(b)は、(a)の蒸着装置の蒸着領域における蒸着原料の入射角度を説明するための模式的な拡大断面図である。 (a)は、比較例1における活物質体の断面を示す図であり、(b)は、比較例1における活物質層の上面図である。 (a)〜(c)は、本発明による参考の実施形態の電極の製造方法を説明するための工程断面図である。 (a)および(b)は、本発明による参考の実施形態の電極の製造方法を説明するための工程断面図である。 本発明による参考の実施形態の電極の模式的な部分拡大断面図である。 本発明による参考の実施形態の方法で用いる他の蒸着装置を模式的に示す断面図である。 本発明による参考の実施形態の方法で用いるさらに他の蒸着装置を模式的に示す断面図である。 参考例2における活物質体の断面を示す図である。 比較例2における活物質体の断面を示す図である。 (a)〜(c)は、本発明の実施形態における第1層蒸着工程を示す模式的な工程断面図である。
本発明は、高さが3μm以上10μm以下である複数の凸部を表面に有する集電体と、各凸部上にそれぞれ形成された、積層構造を有する活物質体とを備えた電気化学素子用電極の製造方法であって、各活物質体の最も集電体側に位置する第1層を、集電体の法線と蒸着原料が集電体表面に入射する方向(以下、「入射方向」という)とのなす角度(以下、「蒸着原料の入射角度」という)が小さくなる方向に集電体を移動させながら斜め蒸着を行うことによって形成することを特徴としている。また、集電体の法線に対して第1層の入射方向と反対側に傾斜した方向から蒸着原料を入射させることによって、第1層の少なくとも一部上に第2層を形成することを特徴としている。
まず、図面を参照しながら、上記方法による利点を説明する。
図21(a)〜(c)は、本発明による好ましい実施形態における活物質体の第1層を形成するための蒸着工程の一例を説明するための模式的な拡大断面図であり、図21(a)、図21(b)および図21(c)の順に蒸着工程が進む。
本実施形態によると、蒸着工程初期には、図21(a)に示すように、集電体の法線方向Hに対して比較的大きな角度ωaをなす方向から蒸着原料が入射する。このとき、集電体4の凸部4Aの入射側の側面4As1および上面に選択的に蒸着原料が入射し、活物質101が成長する。このとき、凸部4Aの間の凹部(溝)上には蒸着原料が堆積しにくい。入射角度ωが大きいため、隣接する凸部4Aの影となって蒸着原料が入射しにくいからである(シャドウイング効果)。
次いで、入射角度ωが小さくなる方向に集電体を移動させながら蒸着を行うと(ωc<ωb<ωa)、凸部4Aの表面を被覆するように活物質101が堆積し、活物質体の第1層101aが得られる。
このように、活物質体の第1層101aを形成する際に、蒸着原料の入射角度ωを上記のように変化させることにより、凸部4Aの表面(上面および蒸着原料の入射側の側面4As1)を覆うように蒸着原料を選択的に堆積させることができる。よって、入射角度を一定のままで第1層を形成する場合や、入射角度ωが大きくなる方向に集電体を移動させながら第1層を形成する場合よりも、集電体4の表面と各活物質体の第1層101aとの接触面積を増大でき、その結果、両者の密着性をより高めることができる。
一方、図示しないが、入射角度ωが大きくなる方向に集電体を移動させながら第1層を形成すると、蒸着工程初期に、入射角度ωが小さいためにシャドウイング効果が十分に得られず、凸部のみでなく集電体の凹部上にも蒸着原料が堆積されやすくなる。これに対し、本実施形態の方法によると、図21(a)を参照しながら上述したように、蒸着工程初期には、入射角度ωaが十分大きいため、シャドウイング効果により集電体4の凹部上に活物質が堆積されにくい。なお、凸部4Aのサイズおよび入射角度ωaによっては、集電体4の凹部上に活物質が堆積される場合があるが、その場合でも堆積する活物質の量は少ない。さらに、図21(c)に示すように、蒸着工程終期には、集電体4の凹部上は、凸部4Aに堆積した活物質によって影となるため、入射角度ωcが小さくても集電体の凹部上に活物質が堆積し難い。よって、活物質体間に膨張空間をより確実に確保できるとともに、凹部上に堆積する活物質の量を低減できるので凹部上の活物質によって集電体にかかる膨張応力を抑えることができる。
また、本実施形態における第1層101aの成長方向は、入射角度ωの変化に応じて、集電体法線Hからの傾斜角度が大きい方から小さい方へ変化する。従って、蒸着時間を長く設定した場合でも、第1層101aは上方向(起き上がる方向)に沿った形状となる。このため、入射角度ωを一定のままで第1層を形成する場合や、入射角度ωが大きくなる方向に集電体を移動させながら第1層を形成する場合と比べて、集電体4の表面に平行な面内における第1層101aの幅wを抑えることができ、隣接する第1層101aとの間に十分な空間を形成しやすい。
さらに、第1層101aが上方向に沿っているため、第2層の蒸着原料を凸部4Aの表面のうち第1層101aと接していない部分(特に凸部4Aの側面4s1と対向する側面4As2)に堆積させやすく、これにより、活物質体と凸部4Aの表面との接触面積を増大させることができ、より高い密着性が得られる。第2層を形成する際の蒸着原料の入射方向は、集電体の法線Hに対して第1層101aを形成する際の入射方向と反対側に傾斜していることが好ましく、これにより、より確実に凸部4Aの側面4As2に蒸着原料を堆積させることができる。このようにして、凸部表面を覆うように第1および第2層を形成し、その後、必要に応じてさらに積層させて活物質体を形成すると、得られた活物質体は、上記第1および第2層が下地層なるため、集電体凸部4に対して高い密着強度を有し得る。
なお、第2層を形成する際の蒸着原料の入射角度ωは、一定であってもよいし、大きくなる方向、あるいは小さくなる方向へ変化してもよい。好ましくは、入射角度ωが大きくなる方向へ変化するように集電体4を移動させながら、第2層を形成する。これにより、蒸着装置のチャンバー内で、シート状の集電体4に連続的に複数層を形成することが可能になる。さらに、次のような利点もある。
第2層を形成する際には、集電体の凸部上に既に第1層が形成されているので、第1層の蒸着工程よりもシャドウイング効果が大きい。このため、入射角度が小さくなる方向に第2層を形成しようとすると、凸部側面に堆積しない領域ができるおそれがある。その結果、凸部の表面全体を活物質で被覆することが困難となり、密着強度が低下する可能性がある。これに対し、入射角度が大きくなる方向に第2層の蒸着を行うと、凸部の側面上にも十分な厚さで活物質を堆積させることができるので、凸部上面のみでなく凸部側面と活物質体との密着性を効果的に高めることができる。
なお、第1層蒸着工程では、入射角度が大きくなる方向に移動しながら蒸着を行うと、凹部上に堆積する活物質量が多くなるという問題がある。これに対し、第2層蒸着工程では、集電体の凸部上に既に第1層が形成されており、シャドウイング効果が増大しているので、入射角度が大きくなる方向に移動して蒸着を行っても、集電体の凹部上に活物質が堆積しにくい。従って、第1層を入射角度が小さくなる方向に移動しながら蒸着し、第2層を入射角度が大きくなる方向に移動しながら蒸着すると、何れの蒸着工程でも凹部に活物質が堆積することを抑えつつ、第1および第2層を連続的に形成することができる。
また、第2層以降も、集電体4の法線に対して第1層101aと同じ側に傾斜した方向から蒸着を行い、一方向に傾斜した成長方向を有する活物質体を形成してもよいし、交互に反対側に傾斜した方向から蒸着を行って、集電体表面から離れる方向に向かってジグザグ状に延びる成長方向を有する活物質体を形成してもよい。
以下、本発明による実施形態をより具体的に説明する。
(第1実施形態)
本発明による第1実施形態の電気化学素子用電極(以下、単に「電極」という)の製造方法を説明する。本実施形態の電気化学素子用電極は、活物質としてケイ素酸化物を用いたリチウム二次電池用負極である。
図1〜図5は、本実施形態の電極の製造方法を説明するための模式的な工程断面図である。また、図6(a)は、本実施形態の製造方法に用いられる蒸着装置の一例を示す模式的な断面図であり、図6(b)は、図6(a)に示す蒸着装置における蒸着原料の入射角度ωを説明するための断面図である。
<蒸着装置の構成>
まず、本実施形態で用いる真空蒸着装置を説明する。図6(a)に示すように、真空蒸着装置50は、チャンバー1と、チャンバー1の外部に設けられ、チャンバー1を排気するための排気ポンプ2と、図示しないが、チャンバー1の外部からチャンバー1に酸素ガスなどのガスを導入するガス導入管とを備える。チャンバー1の内部には、蒸着原料を蒸発させる蒸発源9と、シート状の集電体4を巻き付けて保持し得る第1および第2のロール3、8と、基板4を搬送するための搬送ローラ5a〜5eと、集電体4を冷却し、かつ、支持する冷却支持体6a〜6c、7a〜7cと、ガス導入管(図示せず)と接続され、集電体4の表面にガスを供給するためのノズル部31a〜31dとが設けられている。
蒸発源9は、例えば蒸着原料を収容する坩堝などの容器10と、蒸着原料を蒸発させるための加熱装置32とを含み、蒸着材料および容器10は適宜着脱可能に構成されている。加熱装置32としては、例えば抵抗加熱装置、誘導加熱装置、電子ビーム加熱装置などを用いることができる。蒸着を行う際には、坩堝10内に収容された蒸着原料が上記加熱装置32によって加熱されて、その上面(蒸発面)9Sから蒸発し、集電体4の表面に供給される。
集電体4の搬送経路のうち冷却支持体6a、6bの間、冷却支持体6b、6cの間は、集電体4に対する蒸着を行う第1蒸着領域35、第2蒸着領域36となる。同様に、冷却支持体7a、7bの間、冷却支持体7b、7cの間は、集電体4に対する蒸着を行う第3蒸着領域37、第4蒸着領域38となる。真空蒸着装置50では、第1および第2蒸着領域35、36で集電体4の一方の表面に対する蒸着を行い、第3および第4蒸着領域37、38で集電体4の他方の表面に対する蒸着を行う。また、各蒸着領域35〜37の両端は、蒸着原料を遮蔽するマスク33a〜33d、34a〜34dによって規定されている。
真空蒸着装置50では、第1および第2のロール3、8の何れか一方が集電体4を繰り出し、搬送ローラ5a〜5cおよび冷却支持体6a〜6c、7a〜7cによって集電体4を搬送経路に沿って案内し、第1および第2のロール3、8の他方が集電体4を巻き取る。巻き取られた集電体4は、必要に応じて、上記他方のロールによってさらに繰り出され、搬送経路を、上記正方向とは逆の方向に搬送される。このように、本実施形態における第1および第2のロール3、8は、搬送方向によって巻き出しロールとしても巻き取りロールとしても機能することができる。また、正方向および逆方向の搬送を交互に繰り返すことによって、所望の回数の蒸着工程を連続して実施できる。
<電極の形成方法>
まず、図1(a)に示すように、シート状の金属箔の両面に、それぞれ、規則的に配列された複数の凸部4A、4Bが形成された集電体4を形成する。集電体4の材料は、銅、ニッケルなどの金属であってもよい。
次いで、上記真空蒸着装置50を用いて集電体4上に活物質体を形成する。活物質体の形成は、チャンバー1内の各蒸着領域35、36、37、38に集電体4を走行させ、走行する集電体4の表面に、蒸発させた蒸着原料を入射させることにより行う。本実施形態では、例えば蒸着原料としてケイ素を用い、また、蒸着の際に、ノズル部31a〜31dから対応する蒸着領域35、36、37、38に酸素ガスを供給する。これにより、ケイ素と酸素ガスとが反応し、集電体4の凸部4A、4B上にケイ素酸化物からなる活物質体が形成される。
以下、4層からなる活物質体を例に、活物質体の形成工程をより詳しく説明する。
まず、集電体4を第1のロール3に巻き付けて設置する。この後、第1のロール3から集電体4を繰り出して蒸着領域35に搬送する。蒸着領域35において、集電体4を蒸発源9(蒸発面9S)に近づく方向に移動させながら、蒸発させた蒸着原料(例えばケイ素)を集電体4の表面に入射させる(第1層蒸着工程)。これにより、図1(b)および(c)示すように、集電体4の各凸部4A上に、活物質体の第1層101aを得る。
第1層蒸着工程をより詳しく説明する。図1(b)に示すように、集電体4が蒸着領域35の上端部近傍を通過するときには、蒸着原料の入射角度ωはω11である(図6(b))。ここでは、蒸着原料であるケイ素は、集電体4の表面でノズル部31aから出射した酸素ガスと反応し、活物質であるケイ素酸化物101が凸部4A上に選択的に堆積される。このとき、ケイ素酸化物は集電体4の表面に形成された凸部4Aの上面および入射側の側面4As1上に蒸着しやすく、従って、ケイ素酸化物101は凸部4A上で柱状に成長する。一方、集電体4の表面には、凸部4Aや柱状に成長していくケイ素酸化物101の影となり、蒸着原料が入射せずにケイ素酸化物101が蒸着しない領域が形成される(シャドウイング効果)。図1(b)に示す例では、シャドウイング効果により、集電体4の表面のうち隣接する凸部4Aの間の凹部の上には蒸着原料が付着せず、ケイ素酸化物101は成長しない。
集電体4を蒸着領域35の上端部近傍から下端部に移動させていくにつれて、蒸着原料の入射角度ωは小さくなる(図6(b)参照)。ここでいう入射角度ωは、蒸着原料が蒸着面9Sの中心から蒸着領域35に入射する角度を指す。
集電体4が蒸着領域35の下端部近傍を通過するときには、図1(c)に示すように、蒸着原料の入射角度ωはω12(ω12<ω11)となる。このようにして、集電体4の各凸部4A上に選択的にケイ素酸化物が柱状に成長し、第1層101aが得られる。得られた第1層101aの成長方向は、集電体4の法線Hに対して傾斜しており、その傾斜角度は、集電体側で大きく、集電体から離れるにつれて小さくなるように変化している。
この後、集電体4を蒸着領域36に搬送し、蒸着領域36において、集電体4を蒸発源9(蒸着面9S)から離れる方向に移動させながら、蒸発させた蒸着原料を集電体4の表面に入射させる(第2層蒸着工程)。これにより、図1(d)および(e)示すように、集電体4の各凸部4A上に、活物質体の第2層102aをそれぞれ形成する。
図1(d)に示すように、集電体4が蒸着領域36の下端部近傍を通過するときには、蒸着原料の入射角度ωはω13である。ここでは、蒸着原料であるケイ素はノズル部31bからの酸素ガスと反応し、活物質であるケイ素酸化物102が凸部4Aの側面4As2および第1層101aの上に選択的に堆積される。集電体4の表面には、凸部4Aや隣接する凸部上の第1層101aの影となり、蒸着原料が入射せずにケイ素酸化物102が蒸着しない領域が形成される(シャドウイング効果)。図1(d)に示す例では、このようなシャドウイング効果により、集電体4の表面のうち隣接する凸部4Aの間の凹部の上には蒸着原料は付着せず、ケイ素酸化物102は成長しない。
集電体4を蒸着領域36の下端部近傍から上端部に移動させていくにつれて、蒸着原料の入射角度ωは大きくなる(図6(b)参照)。集電体4が蒸着領域36の上端部近傍を通過するときには、図1(e)に示すように、蒸着原料の入射角度ωはω14(ω14>ω13)となる。このようにして、集電体4の各第1層101a上に、それぞれ、第2層102aが形成される。得られた第2層102aの成長方向は、集電体4の法線Hに対して傾斜しており、その傾斜角度は、集電体側で小さく、集電体から離れるにつれて大きくなるように変化している。
続いて、集電体4の蒸着原料によって照射される表面を裏返すとともに、集電体4を蒸着領域37および蒸着領域38にこの順に搬送する。
蒸着領域37では、集電体4の第1層101aおよび102aが形成された面と反対側の面(単に「裏面」という)に対して、集電体4を蒸発源9に近づく方向に移動させながら蒸着原料を集電体4の裏面に入射させる(第1層蒸着工程)。本工程は、第1層101aを形成する際の第1層蒸着工程と同様であり、図2(a)に示すように、蒸着領域37の上端部では、蒸着原料が角度ω21で集電体4に入射し、集電体4の各凸部4B上にケイ素酸化物101が選択的に堆積する。集電体4が蒸発源9に近づくにつれて入射角度ωは小さくなり、蒸着領域37の下端部では入射角度ωはω22となる。これにより、図2(b)に示すように、各凸部4Bの上面および側面4Bs1を覆うように、第1層101bが間隔をあけて形成される。
蒸着領域38では、集電体4を蒸発源9から離れる方向に移動させながら、集電体4の裏面に蒸着原料を入射させる(第2層蒸着工程)。本工程は、第2層102aを形成する際の第2層蒸着工程と同様であり、図2(c)に示すように、蒸着領域38の下端部では、蒸着原料が角度ω23で集電体4に入射し、凸部4Aの側面4Bs2および第1層101bの上に選択的にケイ素酸化物102が堆積される。集電体4が蒸発源9から離れるにつれて入射角度ωは大きくなり、蒸着領域38の上端部では入射角度ωはω24となる。これにより、図2(d)に示すように、各第1層101b上に第2層102bが間隔をあけて形成される。
このようにして、集電体4の両面に、それぞれ、第1および第2層101a、101b、102a、102bが形成された後、集電体4は第2のロール8に一旦巻き取られる。
続いて、集電体4を第2のロール8から繰り出し、集電体4が蒸着領域38、37、36および35をこの順で通過するように、図1および図2を参照しながら上述した第1および第2層蒸着工程とは逆方向に集電体4を搬送する。なお、本明細書では、第1および第2のロール3、8およびその間に配置された複数の蒸着領域からなる集電体4の搬送経路において、第1層を形成する際の集電体4の搬送方向を「正方向」、搬送方向を反転させ、正方向と反対向きに集電体を搬送する方向を「逆方向」という。
蒸着領域38では、集電体4を蒸発源9に近づく方向に移動させながら蒸着原料を集電体4の裏面に照射し、図3(a)および(b)に示すように、第2層102b上に活物質103を堆積させて第3層103bを得る(第3層蒸着工程)。本蒸着工程では、集電体4が蒸発源9に近づくにつれて蒸着原料の入射角度ωがω24からω23まで小さくなる方向に変化する。第3層103bは、第2層102bの上に形成され、集電体4の法線Hに対して第2層102bの成長方向と同じ方向に傾斜した成長方向を有する。
蒸着領域37では、集電体4を蒸発源9から離れる方向に移動させながら蒸着原料を集電体4の裏面に照射し、図3(c)および(d)に示すように、凸部4B上に活物質104を堆積させて第4層104bを形成する(第4層蒸着工程)。これにより、4層からなる活物質体120を得る。本蒸着工程では、集電体4が蒸発源9から離れるにつれて蒸着原料の入射角度ωがω22からω21まで大きくなる方向に変化する。図示する例では、第4層104bは、第1層101bの上に形成されているが、入射角度ωによっては第1および第3層101b、103b上に形成される場合もあるし、第3層103bのみに接するように形成される場合もある。第4層104bは、集電体4の法線Hに対して第1層101bの成長方向と同じ方向に傾斜した成長方向を有する。
第4層104bを形成した後、集電体4の蒸着面を裏返し、蒸着領域36まで搬送する。蒸着領域36では、集電体4を蒸発源9に近づく方向に移動させながら蒸着原料を集電体4の表面に照射し、図4(a)および(b)に示すように、第2層102a上に活物質103を堆積させて第3層103aを得る(第3層蒸着工程)。本蒸着工程では、集電体4が蒸発源9に近づくにつれて蒸着原料の入射角度ωがω14からω13まで小さくなる方向に変化する。第3層103aは、第2層102aの上に形成され、集電体4の法線Hに対して第2層102aの成長方向と同じ方向に傾斜した成長方向を有する。
蒸着領域35では、集電体4を蒸発源9から離れる方向に移動させながら蒸着原料を集電体4の表面に照射し、図4(c)および図5に示すように、凸部4A上に活物質104を堆積させて第4層104aを形成する(第4層蒸着工程)。これにより、4層からなる活物質体110を得る。本蒸着工程では、集電体4が蒸発源9から離れるにつれて蒸着原料の入射角度ωがω12からω11まで大きくなる方向に変化する。第4層104aは、集電体4の裏面に形成された第4層104bと同様に、第1層101a上または第3層103a上に形成されてもよいし、第3層103aのみに接するように形成されてもよい。第4層104aは、集電体4の法線Hに対して第1層101aの成長方向と同じ方向に傾斜した成長方向を有する。
このようにして、集電体4の両面にそれぞれ4層からなる活物質体110、120が間隔を空けて配置された電極300が作製される。
上記方法では、4層からなる活物質体110、120を形成したが、正方向および逆方向に集電体4を交互に複数回搬送することにより、5層以上の活物質体を形成してもよい。あるいは、正方向に1回だけ集電体4を搬送することにより、2層の活物質体を形成してもよい。なお、本明細書では、活物質体110、120の「層」とは、単一の蒸着領域を通過する間に、集電体4の法線Hに対して何れか一方向に傾いた方向から蒸着原料を入射させることによって形成された部分を指す。
なお、本実施形態の方法で使用する蒸着装置は、上述した第1層蒸着工程を実施できるものであればよく、図6に示す蒸着装置50に限定されない。例えば、5つ以上の蒸着領域を有し、集電体4を正方向に1回搬送するだけでより多くの層を集電体4の両面に形成することもできる。あるいは、搬送経路において、集電体4の蒸着面を裏返さず、集電体4の一方の表面に対して複数層を形成する構造であってもよい。
図7(a)は、本実施形態の方法で使用する他の蒸着装置の構成を例示する模式的な断面図であり、図7(b)は、図7(a)に示す装置の蒸着原料の入射角度ωを示す断面図である。簡単のため、図6(a)および(b)に示す装置と同様の構成要素には同じ参照符号を付し、説明を省略する。
蒸着装置51は、搬送経路において、第1および第2のロール3、8の間に4つの蒸着領域45、46、47、48を有しており、これらの蒸着領域ではいずれも集電体4の一方の表面に対して蒸着が行われる。従って、集電体4を第1ロール3から繰り出し、第2ロール8で巻き取るまでの間に、集電体4の一方の表面に対して、入射角度ωを小さくなる方向に変化させながら蒸着を行う蒸着工程(i)と、入射角度ωを大きくなる方向に変化させながら蒸着を行う蒸着工程(ii)とを交互に2回繰り返し、4層からなる活物質体を形成できる。この後、第2ロール8から逆方向に集電体4を搬送し、さらに積層数の多い活物質体を形成してもよい。このように、1回の正方向の搬送において、上記工程(i)および(ii)を2回またはそれ以上繰り返す構成によると、集電体4の法線Hに対して成長方向が交互に反対側に傾斜した複数段からなる活物質体を形成できる。このとき、蒸着領域45〜48は、蒸着領域45、48で形成された活物質体の厚さtp1、tp4が蒸着領域46、47で形成された活物質体の厚さtp2、tp3の1/2となるように構成されている。また、例えば第2層蒸着工程後、速やかに第3層蒸着工程が行われるので、第2層上に表面酸化膜などが形成されることを防止できる。このように、同一の段を構成する2つの層の各界面において、ケイ素酸化物(SiOx、0<x<2)の組成が大きく変化することを抑制できるので、充放電時の膨張収縮によって、各界面から活物質が剥離してしまうことを抑制でき、信頼性を向上できる。
また、本実施形態で使用する蒸着装置は、蒸着装置50、51における蒸着領域35〜38、45〜48のように、集電体4の蒸着面が平面となるように集電体4が搬送される平面搬送領域を含む蒸着領域を有していることが好ましい。すなわち、図示する断面において、集電体4が直線状に搬送される。このような構成によると、蒸発面9Sとの距離に応じて、蒸発粒子の飛来数とノズル部から供給される酸素量が変化する。つまり、蒸発面9Sとの距離が短い蒸着領域下端部では、酸素比率xの小さいSiOxが形成され、蒸発面9Sとの距離が長くなるにしたがって、酸素比率xの大きいSiOxが形成される。従って、得られた活物質体201aの酸素比率xは、集電体側で大きく、厚さ方向に沿って順次低くなる。酸素比率xが小さいほど、リチウムの吸蔵量が大きく、リチウム吸蔵による体積膨張率も大きくなることから、活物質体201aの集電体側では体積膨張を抑えて密着性の低下を防止し、活物質体201aの上面側ではリチウムの吸蔵量を確保することが可能となる。よって、充放電容量を高く維持しつつ、活物質体201aの剥離を抑制できるので有利である。
本実施形態の電極の構成は、上記電極300の構成に限定されない。例えば本実施形態の電極における各活物質層は、入射角度ωを小さくなる方向に変化させながら蒸着を行うことによって形成された第1層101a、101bと、その上に形成された少なくとも1つの層とを含む積層構造を有していればよく、これにより、図21を参照しながら上述したように、凸部4A、4Bと活物質体との密着性を向上でき、かつ、活物質体間に十分な膨張空間を確保できる。
集電体4の法線Hに対して交互に反対方向に傾斜した成長方向を有する複数の部分(「段」と称する)が積み重ねられた構造を有することが好ましい。以下、図面を参照しながら、4層および6層からなる活物質体を例に、活物質体の構造を説明する。
図8(a)は、蒸着装置51を用いて、上記と同様の方法で形成された4層からなる活物質体111を示す模式的な断面図であり、図8(b)は、蒸着装置50を用いて、上記と同様の方法で形成された6層からなる活物質体112を示す模式的な断面図である。
図8(a)に示すように、活物質体111は、第1層〜第4層からそれぞれ構成された第1段P1〜第4段P4を有している。第1段P1の厚さtP1および第4段P4の厚さtP4は、その間に形成される第2および第3段P2、P3の厚さtP2、tP3の1/2となる。このように、蒸着装置51を用いて、集電体4の搬送方向を切り換えながら蒸着を行うと、第1段P1の厚さおよび最後に形成された層からなる部分の厚さは、その間に形成される各段の厚さの1/2となる。
図8(b)に示すように、蒸着装置50を用いて、集電体4の搬送方向を切り換えながら形成された活物質体112は、集体4の法線Hに対して傾斜した成長方向(傾斜角度θ1)を有する第1層101aからなる第1段P1と、集電体4の法線Hに対して第1段P1と反対側に傾斜した成長方向(傾斜角度θ2)を有し、第2および第3層102a、103aからなる第2段P2と、集電体4の法線Hに対して第1段P1と同じ側に傾斜した成長方向(傾斜角度θ3)を有し、第4層104aおよび第5層105aからなる第3段P3と、集電体4の法線Hに対して第1段P1と同じ側に傾斜した成長方向を有し、第6層106aからなる第4段P4とが積み重ねられている。なお、傾斜角度θ1〜θ3は、各層の成長方向の、集電体4の法線Hに対する傾斜角度の平均値であり、典型的には、図示する断面において、各層の厚さ1/2における傾斜角度をいう。
本実施形態における活物質体に含まれる部分の数は特に限定しないが、例えば集電体4の法線Hに沿った高さが10μm以上の活物質体を形成する場合には、少なくとも4以上の部分を有することが好ましい。また、例えば集電体4の法線Hに沿った高さが20μm以上の活物質体を形成する場合には、少なくとも8以上の部分を有することが好ましい。これにより、活物質体の幅(径)が集電体4から離れるに従って増大してしまうことを抑制できるので、活物質体間の膨張空間をより確実に確保できる。
なお、各部分の厚さが大きいと、入射角度ωによっては、活物質体における隣接する部分の間に、成長方向の切り換えに対応して屈曲部が形成される場合がある。部分の数をNとすると、屈曲部の数はN−1となる。4つの段P1〜P4からなる活物質体を例に説明すると、活物質体を構成する4つの部分のうち隣接する部分間には、それぞれ、屈曲部が形成される。従って、例えば集電体4の法線Hに沿った高さが10μm以上の活物質体では、少なくとも3以上の屈曲部を有し、例えば集電体4の法線Hに沿った高さが20μm以上の活物質体では、少なくとも7以上の屈曲部を有することが好ましい。
蒸着装置50では、集電体4の表面および裏面にそれぞれ第1層101a、101bを形成するための第1および第3蒸着領域35、37が、蒸発面9Sの上方に互いに対向して配置している。第1および第3蒸着領域35、37は、蒸発面9Sの法線方向からの互いに反対側に傾斜しており、傾斜角度の絶対値は互いに略等しいことが好ましい。このような構成によると、集電体4の表面および裏面にそれぞれ第1層101a、101bが同時に形成され、かつ、第1層101aの成長方向と第1層101bの成長方向とは略対称となる。例えば第1層101aは、集電体4の法線Hに対して右側に傾斜した方向に成長し、第1層101bは左側に傾斜した方向に成長する。従って、集電体4の表面および裏面で生じる膨張応力を互いに打ち消しあうことが可能となるので、充放電による集電体4の変形を抑制できる。
また、蒸着装置50では、単一の蒸発源9を備え、蒸発源9から蒸着原料が出射し得る範囲内に複数の蒸着領域を配置している。これにより、簡単な装置構成で、生産性に優れたプロセスを実現できるので有利である。
以下、再び図1〜図5、図6(a)および(b)を参照しながら、本実施形態の電極の製造方法をより具体的に説明する。
・集電体の作製
まず、図1(a)に示すように、厚さが18μmの合金銅箔の表面に、機械加工により複数の凸部4Aを形成し、集電体4を得る。図示する断面(集電体4に垂直で、かつ、入射方向ωを含む断面)において、各凸部4Aの高さを6μm、幅を20μmとし、隣接する凸部4Aの間隔を20μmとする。
・活物質体の第1層の形成
得られた集電体4を、図2に示す蒸着装置50の第1のロール3に設置する。また、蒸着装置50のチャンバー1の内部を、例えば圧力0.02Paの酸素雰囲気とする。
次に、集電体4を、冷却支持体6a、6b間に設けられた蒸着領域35において、蒸発源9に近づく方向に移動させる。このとき、蒸発源9から、例えばケイ素(スクラップシリコン:純度99.999%)や錫などの活物質を加熱装置(例えば電子ビーム)32で加熱して蒸発させる。
蒸着領域35の上端部、すなわちマスク11a近傍では、図1(b)に示すように、集電体4の表面に蒸発粒子が入射角度ω11で入射する。入射角度ω11は例えば75°とする。蒸発粒子は、ノズル31aから供給される酸素と反応して、SiOxの組成を有する活物質(ケイ素酸化物)101が集電体4Aの凸部4A上に成長する。
この後、集電体4の移動に伴って、蒸発粒子の入射角度ωがω11(75°)から小さくなる方向に変化しながら、ケイ素酸化物101が成長する。蒸着領域35の下端部では、図1(c)に示すように、蒸発粒子は入射角度ω12で入射する。入射角度ω12は例えば62°とする。このようにして、ケイ素酸化物からなる第1層(厚さd1:例えば0.2μm)101aを得る。なお、第1層101aの厚さd1は、集電体4の法線Hに沿った、凸部4Aの上面からの厚さを指すものとする。
ここで、蒸着領域35では、蒸発面9Sからの距離により蒸発粒子の飛来数およびノズル部31aから供給される酸素量が変化する。従って、蒸着領域35のうち蒸発面9Sとの距離が短い領域(下端部近傍)では、酸素比率xの小さいケイ素酸化物(SiOx)が形成され、蒸発面9Sからの距離が長くなるにつれて、酸素比率xの大きいケイ素酸化物(SiOx)が形成される。その結果、得られた第1層101aでは、酸素比率xが集電体側で大きく、厚さ方向に沿って小さくなる。
また、上記の第1層101aの形成工程と同時に、蒸発面9Sの法線に対して蒸着領域35と略対称となるように配置された蒸着領域37において、集電体4が蒸発源9に近づく方向に移動し、これにより、図2(a)および(b)に示すように、集電体4の裏面に形成された凸部4B上にも第1層(厚さ:例えば0.2μm)101bが形成される。第1層101bの形成工程は、上記第1層101aの形成工程と同様である。蒸着領域35の上端部の入射角度ω21は75°、下端部の入射角度ω22は62°とする。
なお、第1層101a、101bを形成するための第1層蒸着工程の初期の蒸着原料の入射角度ω11、ω21は、60°以上75°以下であることが好ましく、70°以上75°以下がより好ましい。入射角度ω11、ω21が75°を超えると、集電体4の法線Hからの傾斜が大きすぎて、シャドウイング効果により凸部4A、4Bの側面を覆う下地層が形成されにくい。その結果、集電体4と第1層101a、101bとの接触面積が小さく、両者の密着性が低下する。また、入射角度ω11、ω12が60°より小さいと、凸部4A、4Bの間の凹部にもケイ素酸化物101が成長してしまうおそれがある。よって、活物質体間に十分な空隙を確保できず、充電時の膨張により集電体に皺が入る可能性がある。一方、第1層蒸着工程の終期の蒸着原料の入射角度ω12、ω22は、45°以上70°以下であることが好ましく、より好ましくは60°以上70°以下である。入射角度ω12、ω22が45°より小さいと、活物質体が厚さ方向に沿って(集電体4から離れるにつれて)太くなるように成長するため空隙が減少する。また、入射角度ω12、ω22が70°を超えると蒸着可能領域が減少するため生産性が低下する。入射角度ω11、ω12、ω21、ω21は、各蒸着領域35、37と蒸発面9Sとの間に配置されたマスクの位置、蒸着領域35、37の傾斜角度によって調整される。
次いで、集電体4を、冷却支持体6b、6c間に設けられた蒸着領域36において、蒸発源9から離れる方向に移動させる。
蒸着領域36の下端部、すなわちマスク11c近傍では、図1(d)に示すように、集電体4の表面に蒸発粒子が入射角度ω13で入射する。入射角度ω13は例えば45°とする。蒸発粒子は、ノズル31bから供給される酸素と反応して、SiOxの組成を有する活物質(ケイ素酸化物)102が集電体4の凸部4Aの側面4As2および第1層101a上に成長する。
この後、集電体4の移動に伴って、蒸発粒子の入射角度ωがω13(62°)から大きくなる方向に変化しながら、ケイ素酸化物102が成長する。蒸着領域36の上端部では、図1(e)に示すように、蒸発粒子は入射角度ω14で入射する。入射角度ω14は例えば75°とする。このようにして、ケイ素酸化物からなる第2層(厚さd2:例えば0.2μm)102aを得る。なお、第2層102aの厚さd2は、その下にある層(ここでは第1層101a)の頂点部、すなわち集電体4からの距離が最も大きい部分からの、集電体4の法線Hに沿った厚さを指すものとする。
蒸着領域36でも、蒸着領域35と同様に、蒸発面9Sからの距離により蒸発粒子の飛来数およびノズル部31bから供給される酸素量が変化する。すなわち、蒸発面9Sからの距離が長くなるにつれて、酸素比率xの大きいケイ素酸化物(SiOx)が形成される。従って、得られた第2層102aでは、酸素比率xが集電体側で小さく、厚さ方向に沿って大きくなる。
また、上記の第2層102aの形成工程と同時に、蒸発面9Sの法線に対して蒸着領域36と略対称となるように配置された蒸着領域38において、集電体4が蒸発源9から離れる方向に移動し、これにより、図2(c)および(d)に示すように、集電体4の裏面に形成された凸部4B上にも第2層(厚さ:例えば0.2μm)102bが形成される。第2層102bの形成工程は、上記第2層102aの形成工程と同様である。蒸着領域38の下端部の入射角度ω23は62°上端部の入射角度ω24は75°とする。
これにより、集電体4の表面の凸部4A上に、第1層101aおよび第2層102bからなる活物質体の下地層110uが形成され、集電体4の裏面に凸部4B上に、第1層101bおよび第2層102bからなる下地層120uが形成される。下地層110u、120uの厚さ(集電体4の法線Hに沿った厚さ)tuは、0.1μm以上3μm以下であることが好ましい。下地層110u、120uの厚さtが0.1μm以上であれば、下地層110u、120uの上に堆積される層と集電体4との密着性をより効果的に確保することができる。また、下地層110u、120uの厚さtuが3μm以下であれば、活物質体の幅が厚さ方向に増大することを抑制できる。よって、充電時の膨張による活物質の割れや剥離を防止できる。
この後、下地層110u、120uが形成された集電体4は、一旦第2ロール8に巻き取られる。
続いて、第2ロール8から第1ロール3に向かって、集電体4を搬送させる。第2ロール8から繰り出された集電体4は、冷却支持体7d、7c間に設けられた蒸着領域38において、蒸発源9に近づく方向に移動させる。
蒸着領域38の上端部、すなわちマスク34d近傍では、図3(a)に示すように、集電体4の裏面に蒸発粒子が入射角度ω24(75°)で入射する。蒸発粒子は、ノズル31dから供給される酸素と反応して、SiOxの組成を有する活物質(ケイ素酸化物)103が下地層120u上に成長する。
この後、集電体4の移動に伴って、蒸発粒子の入射角度ωがω24(75°)から小さくなる方向に変化しながら、ケイ素酸化物103が成長する。蒸着領域38の下端部では、図3(b)に示すように、蒸発粒子は入射角度ω23(62°)で入射する。このようにして、ケイ素酸化物からなる第3層(厚さ:例えば0.2μm)103bを得る。
上述したように、蒸着領域38では、蒸発面9Sからの距離により蒸発粒子の飛来数およびノズル部31dから供給される酸素量が変化し、蒸発面9Sからの距離が長くなるにつれて、酸素比率xの大きいケイ素酸化物(SiOx)が形成される。その結果、得られた第3層103bでは、酸素比率xが集電体側で大きく、厚さ方向に沿って小さくなる。
なお、このとき、蒸着領域36において、集電体4が蒸発源9に近づく方向に移動し、これにより、図4(a)および(b)に示すように、集電体4の表面の凸部4Aを覆う下地層110u上にも第3層(厚さ:例えば0.2μm)103aが形成される。第1層103aの形成工程は、上記第3層103bの形成工程と同様である。蒸着領域36の上端部の入射角度ω14は75°、下端部の入射角度ω13は62°である。
次いで、集電体4を、冷却支持体7b、7a間に設けられた蒸着領域37において、蒸発源9から離れる方向に移動させる。
蒸着領域37の下端部、すなわちマスク34b近傍では、図3(c)に示すように、集電体4の裏面に蒸発粒子が入射角度ω22(62°)で入射する。蒸発粒子は、ノズル31cから供給される酸素と反応して、SiOxの組成を有する活物質(ケイ素酸化物)104が集電体4の凸部4B上に形成された第3層103b上に成長する。
この後、集電体4の移動に伴って、蒸発粒子の入射角度ωがω22(62°)から大きくなる方向に変化しながら、ケイ素酸化物104が成長する。蒸着領域37の上端部では、図3(d)に示すように、蒸発粒子は入射角度ω21(75°)で入射する。このようにして、ケイ素酸化物からなる第4層(厚さ:例えば0.2μm)104bを得る。
蒸着領域37でも、蒸発面9Sからの距離により蒸発粒子の飛来数およびノズル部31dから供給される酸素量が変化し、蒸発面9Sからの距離が長くなるにつれて、酸素比率xの大きいケイ素酸化物(SiOx)が形成される。従って、得られた第4層104bでは、酸素比率xが集電体側で小さく、厚さ方向に沿って大きくなる。
なお、このとき、蒸着領域35において、集電体4が蒸発源9から離れる方向に移動し、これにより、図4(c)および図5に示すように、集電体4の表面に形成された凸部4A上にも第4層(厚さ:例えば0.2μm)104aが形成される。第4層104aの形成工程は、上記第4層104bの形成工程と同様である。蒸着領域35の下端部の入射角度ω12は45°、上端部の入射角度ω11は75°とする。
このようにして、図5に示すように、4層からなる活物質体110、120が形成される。
本実施形態における集電体4の構成材料は特に限定されないが、銅、ニッケル、チタンから選ばれる少なくとも1つの元素を含む金属が好ましく、これらを主成分とした合金材料を用いることもできる。特に、屈曲性および延伸性に優れ、かつ、リチウムと反応しない銅または銅合金を用いることが好ましい。例えば、電解銅箔、電解銅合金箔、さらにあらかじめ粗化処理を施した電解銅箔、粗化処理を施した圧延銅箔などの金属箔を用いることができる。これらの金属箔は、算術平均粗さRaが0.3〜5.0μm程度の凹凸箔であることが好ましい。算術平均粗さRaは、日本工業規格(JISB 0601−1994)に定められており、例えば表面粗さ計等により測定することができる。このような凹凸箔に凸部4A、4Bを形成することによって集電体4を作製すると、凸部4A、4Bの表面の表面粗さが大きくなるので、集電体4と活物質体110、120との付着強度をさらに高めることができる。
集電体4に形成される凸部4A、4Bの高さは3.0μm以上10μm以下であることが好ましく、これにより、活物質体110、120の間に十分な空隙をより確実に形成することができる。凸部4A、4Bは、レジスト法、メッキ法または機械加工によって金属箔の表面に規則的な凹凸パターンを形成することによって形成できる。集電体4の凸部4A、4Bが形成されていない部分の厚さは特に限定されないが、例えば6μm以上50μm以下である。
集電体4の表面に規則的に凸部4A、4Bを形成する場合、隣接する凸部の間隔は、5μm以上50μm以下であることが好ましい。50μm以下であれば、シャドウイング効果を利用して、より確実に、凸部4A、4Bの表面に選択的に活物質を蒸着させることができる。一方、5μm以上であれば、凸部4A,4Bの上面のみでなく側面全体にも活物質を蒸着させることが可能になるので、活物質体と凸部4A、4Bとの接触面積を十分に確保できる。従って、凸部4A、4Bと活物質体との密着強度をより効果的に高めることができる。
電解質と活物質との接触面積を増大させるとともに、活物質の膨張による応力を緩和するためには、活物質体110または活物質体120から構成される活物質層は所定の空隙率を有することが望まれる。活物質層の空隙率Pは、集電体4における一定面積上に堆積された活物質層の重量、活物質層の厚さ、および活物質の密度から簡便に求めることができる。なお、本実施形態では、「活物質層の厚さt」は、図5に示すように、活物質層を構成する複数の活物質体110または活物質体120の、集電体4の凸部4A、4Bの上面から集電体4の法線Hに沿った高さtの平均値となる。また、ガス吸着または水銀圧入によるポロシメーターを用いると、活物質層の空隙率Pをより正確に測定することができる。
本実施形態における活物質層の空隙率Pは10%以上70%以下であることが望ましく、より好ましくは、30%以上60%以下である。空隙率Pが10%以上であれば、柱状粒子の膨張および収縮による応力を十分に緩和できる。よって、各活物質体と電解質との接触面積も十分に確保できる。なお、空隙率Pが70%を超えても、電池の用途によっては、負極の活物質層として好適に用いることができる。ただし、負極のエネルギー密度が小さくなるため、活物質層を厚くする必要があり、その結果、充放電時の膨張収縮によって集電体に皺が生じるおそれがある。
活物質体が不可逆容量に相当するリチウムを含むとき、活物質層の厚さtは例えば1μm以上100μm以下であることが好ましく、より好ましくは8μm以上30μm以下である。活物質層の厚さtが1μm以上であれば、ある程度のエネルギー密度を確保できる。よって、ケイ素を含む活物質の高容量特性を十分に活かすことができる。また、活物質層の厚さtが100μm以下であれば、各活物質体が隣接する他の活物質体で遮蔽されて、その活物質体の表面のうちリチウムが達しない領域の割合を低く抑えることができる。また、各活物質体からの集電抵抗も低く抑制できる。よって、ハイレートでの充放電に有利である。
蒸発源9の蒸発面9Sの中心から蒸発した蒸着粒子の集電体4の表面に対する入射角度ωは、45°以上75°以下であることが好ましい。入射角度ωが45°未満であれば、活物質体が立ち上がる方向に反り、集電体4の表面上に、隣接する活物質体110、129間に隙間を設けた蒸着膜(活物質層)を形成することが困難になる。充放電による活物質体110、120の膨張時に集電体4に皺が生じるなどの課題がある。また、入射角度ωが75°以上であれば、活物質体110、120の成長方向が集電体4の法線Hに対して大きく傾斜するので、集電体4の表面に対する活物質体110、120の付着力が弱くなる。そのため、集電体4との密着性の低い蒸着膜が形成されてしまい、充放電によって集電体4の表面から活物質が剥がれてしまうなどの課題が生じる。
活物質体110、120の幅(太さ)Dは、特に限定されず、活物質体110、120の厚さ方向において変化してもよい。ただし、充電時の膨張によって活物質体110、120が割れたり、集電体4(例えば銅箔)から離脱することを防止するためには、活物質体110、120の幅Dは100μm以下が好ましく、より好ましくは3〜30μmである。なお、活物質体110、120の幅Dは、例えば任意の2〜10個の活物質体110、120の中心高さにおける活物質体110、120の幅(活物質体110、120が略円柱形を有する場合には、中心高さにおける活物質体の直径の平均値)として求められる。ここで、中心高さとは、集電体4の法線Hに沿った活物質体4の厚さ(高さ)tの中心(t/2)である。また、幅Dまたは直径とは、図5に示すように、集電体4の表面と平行な面における各活物質体110、120の幅または直径の最大値をいう。
また、活物質体110、120は、集電体4の凸部4A、4B上から、集電体4と離れる方向に重なるように成長していればよく、その形状は円柱、角柱に限定されない。
上述した活物質層の空隙率P、活物質層の厚さtおよび活物質体110、120の幅Dの測定は、活物質が不可逆量に相当するリチウムを含み、かつ、可逆容量に相当するリチウムを含まない状態(可逆容量が0の状態)、すなわち完全放電状態で行うことが望ましい。完全放電状態は、完成した電池内において、負極の活物質層の体積が最小となる状態に相当する。
不可逆容量に相当するリチウムを含まない状態で活物質層の空隙率P、活物質層の厚さtおよび活物質体の幅Dを測定してもよい。その場合には、測定値を補正することにより、完全放電状態の値を得ることができる。例えば、リチウムを全く含まない活物質層の空隙率Pは、水銀ポロシメーターを用いて測定することができる。この場合、不可逆容量に相当するリチウムを含む完全放電状態の活物質層の体積と、リチウムを全く含まない活物質層の体積との体積差ΔVを用いて、空隙率Pの値を補正する。不可逆容量に相当するリチウムを含む空隙率P’は、P’=P−ΔVより求められる。
活物質体110,120の材料は特に限定されず、例えばシリコン、スズ、シリコン酸化物、シリコン窒化物、スズ酸化物およびスズ窒化物からなる群から選択される1以上の活物質を含んでいてもよい。電極の高容量化という観点からは、ケイ素元素を含むことが好ましい。より好ましくは、活物質体110、120は、例えばケイ素単体、ケイ素合金、ケイ素と酸素とを含む化合物、および、ケイ素と窒素とを含む化合物よりなる群から選択される少なくとも1種からなる。これらは単独で活物質層を構成してもよく、複数種が同時に活物質層を構成してもよい。なお、ケイ素と窒素とを含む化合物は、更に酸素を含んでいても構わない。複数種が同時に活物質層を構成する例として、ケイ素と酸素と窒素を含む化合物からなる活物質層が挙げられる。また、ケイ素と酸素との比率が異なる複数の酸化ケイ素の複合物からなる活物質層が挙げられる。ケイ素と酸素とを含む化合物は、一般式:SiOX(ただし、0<x<2)で表される組成を有することが望ましい。ここで、酸素元素の含有量を示すx値は、0.1≦x≦1.2であることが更に好ましい。
本実施形態の電極300は、円筒型、扁平型、コイン型、角形等の様々な形状のリチウムイオン二次電池に適用できる。リチウムイオン二次電池は、公知の方法により製造できる。具体的には、電極300を所定の電極幅にスリットし、セパレータを介して正極板と対向して捲回、または積層される。セパレータとしてポリプロピレン製のセパレータ(セルガード社製、厚さ20μm)等を用いることができる。正極板は、例えば厚さ15μmの圧延Al箔の集電体上に、活物質としてLiCoO2、LiNiO2、LiMn24などの粉体とアセチレンブラック(AB)とを、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の有機バインダとともに混練したものを塗布・乾燥後、圧延することによって形成できる。この後、電解液の注液を行うことにより、捲回電池、積層電池などを製造することができる。
あるいは、図9に示すようなコイン型の電池に適用してもよい。コイン型の電池の負極64は、集電体61の片面のみに、本実施形態の蒸着方法を用いて複数の活物質体からなる活物質層62を形成することによって得られる。得られた負極64を、正極活物質65が形成された正極板66と、微多孔性フィルムなどからなるセパレータ69を介して対向させて極板群を形成し、この極板群とリチウムイオン伝導性を有する電解液(図示せず)と共にケース70内に収容する。これにより、コイン型の電池を製造できる。正極活物質や電解液としては、リチウムイオン二次電池に一般的に使用される材料を用いることができる。例えば、正極活物質としてLiCoO2、LiNiO2、LiMn24などを用い、電解液として、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネートなどの環状カーボネート類に6フッ化リン酸リチウムなどを溶解することによって得られる電解液を用いてもよい。また、電池の封止形態も特に限定されない。
(実施例および比較例1)
実施例および比較例の電極およびそれを用いた電極を作製し、特性の評価を行ったので、以下に説明する。
<実施例1>
まず、本発明による電極の実施例1を説明する。
1.集電体の作製
厚さが18μmの合金銅箔(日立電線(株)製、Zr添加量:0.02重量%)に、略菱形の底面を有する複数の凹部が形成されたローラを用いて、線圧1トン/cmでロールプレスを行った。これにより、表面に複数の凸部を有する集電体を形成した。
図10(a)および(b)は、それぞれ、実施例1における集電体の模式的な断面図および上面図である。図示するように、各凸部4Aは、上面が菱形(対角線の長さ:10μm×20μm)の四角柱状(平均高さ:6μm)であった。また、菱形の短い方の対角線に沿ったX方向における凸部4AのピッチPXは30μmであった。また、X方向に沿った凸部4Aの列と、この列をピッチPXの1/2だけX方向に平行移動させた列とを、X方向と直交するY方向に沿って25μmのピッチPYで交互に配列した。
2.活物質層の形成
図6(a)および図6(b)に示す蒸着装置を用いて、図1〜図5を参照しながら前述した方法と同様の方法で集電体の両面に活物質層を形成した。再びこれらの図面を参照しながら、本実施例における活物質層の形成方法を説明する。
本実施例では、蒸着装置50のチャンバー1内において、第1ロール3と第2ロール8との間を走行させる集電体4の速度を11cm/分の速度とした。また、蒸発源9として、蒸着領域35〜38の下方に配置されたカーボン製の坩堝10に、純度99.9999%のケイ素を保持したものを用いた。蒸着の際には、電子銃32より、加速電圧を−10kV、エミッション電流を450mAに設定した電子ビームを照射して蒸発材料の加熱を行った。
また、ノズル部31a〜31dをガス配管(図示せず)に接続し、ガス配管は、マスフローコントローラを経由して酸素ボンベと接続した。ノズル部31a〜31dは、それぞれ、蒸着領域35〜38を走行する集電体4の蒸着面に向かって配置し、ノズル部31a〜31dから酸素ガスを71sccmの流量でチャンバー1内に供給した。このとき、排気ポンプ2によってチャンバー1内を真空度0.034Paまで排気した。この状態で、活物質体の第1および第2層を形成するための蒸着工程を行った。
まず、図1(b)〜(e)を参照しながら前述したように、蒸着領域35および36において、集電体4の各凸部4A上に、第1層101aおよび第2層102aを堆積させた。第1層101aおよび第2層102aの厚さは、何れも、0.2μm以上0.3μm以下とした。続いて、図2(a)〜(d)を参照しながら前述したように、蒸着領域37および38において、集電体4の各凸部4B上に、第1層101bおよび第2層102bを堆積させた。この後、集電体4を第2ロール8に巻き取った。
第1層101bおよび第2層102bの厚さは、何れも、0.2μm以上0.3μm以下とした。このとき、第2層102a、102bは、集電体4の法線Hに対して、第1層101a、101bの成長方向と反対側に傾斜した方向に成長した。また、集電体4の表面および裏面に形成された第1層101a、101bの成長方向(傾斜方向)は、集電体4の法線Hに対して略対称となり、第2層102a、102bの成長方向(傾斜方向)は、集電体4の法線Hに対して略対称となった。さらに、本実施例では、第1層101a、101bの厚さと第2層102a、102bの厚さとが略等しくなるように、電子銃32の照射位置およびパワーを調整した。
次に、酸素ガスの流量を70sccmに切り替え、排気ポンプ2によってチャンバー1内を真空度0.033Paまで排気した。この状態で、活物質体の第3および第4層を形成するための蒸着工程を行った。
第2ロール8に巻き取られた集電体4を第1ロール3に向かって逆方向に搬送させた。図3(a)〜(d)を参照しながら前述したように、蒸着領域38において、集電体4の各凸部4B上に形成された第2層102b上に第3層103bを堆積させ、蒸着領域37において、第2および第3層102b、103b上に第4層104bを形成した。続いて、図4(a)〜(c)および図5を参照しながら前述したように、蒸着領域36において、集電体4の各凸部4A上に形成された第2層102a上に第3層103aを堆積させ、蒸着領域35において、第2および第3層102a、103a上に第4層104aを形成した。この後、集電体4を第1ロール3に巻き取った。
第3層103b、103aの傾斜方向(成長方向)は第2層102b、102aの傾斜方向(成長方向)と同じであり、第2および第3層で1つの柱状の部分(第2部分)を構成した。第4層104b、104aは、集電体4の法線Hに対して、第2および第3層102b、103b、102a、103aの成長方向と反対側に傾斜した方向に成長した。
この後の工程は図示していないが、続いて、酸素ガスの流量を67sccmに切り替え、排気ポンプ2によって真空度0.032Paまで排気した。この状態で、集電体4の搬送方向を切り替えて、正方向(第1層の蒸着工程の際の搬送方向と同じ方向)に移動させながら、活物質体の第5および第6層を形成するための蒸着工程を行った。第5層の傾斜方向(成長方向)は第4層の傾斜方向(成長方向)と同じであり、第4および第5層で1つの柱状の部分(第3部分)を構成した。第6層は、集電体4の法線Hに対して、第4および第5層の成長方向と反対側に傾斜した方向に成長した。
さらに、酸素ガスの流量を63sccmに切り替え、排気ポンプ2によって真空度0.030Paまで排気した。この状態で、集電体4の搬送方向を切り替えて、逆方向(第1層の蒸着工程の際の搬送方向と逆方向)に移動させながら、活物質体の第7および第8層を形成するための蒸着工程を行った。第7層の傾斜方向(成長方向)は第6層の傾斜方向(成長方向)と同じであり、第6および第7層で1つの柱状の部分(第4部分)を構成した。第8層は、集電体4の法線Hに対して、第6および第7層の成長方向と反対側に傾斜した方向に成長した。
この後も、同様にして、搬送方向を切り替えながら蒸着工程を行った。各工程の蒸着条件を表1にまとめて示す。表1に示すように、活物質体の第9および第10層を形成するための蒸着工程は、酸素ガスの流量を56sccm、チャンバー1内の真空度を0.028Paとし、集電体4を正方向に移動させながら行った。また、活物質体の第11および第12層を形成するための蒸着工程は、酸素ガスの流量を46sccm、チャンバー1内の真空度を0.022Paとし、集電体4を逆方向に移動させながら行った。活物質体の第13および第14層を形成するための蒸着工程は、酸素ガスの流量を33sccm、チャンバー1内の真空度を0.014Paとし、集電体4を正方向に移動させながら行った。活物質体の第15および第16層を形成するための蒸着工程は、酸素ガスをチャンバー1内に導入せず、集電体4を逆方向に移動させながら行った。
続いて、酸素ガスをチャンバー1内に導入せずに、集電体4を正方向および逆方向に交互にさらに27回の搬送を繰り返し、第17〜第70層まで形成し、活物質体を得た。各活物質体の成長方向は、集電体4の表面から離れる方向に向かってジグザグ状に延びている。また、各活物質体は、集電体4の法線Hに対して成長方向が交互に反対側に傾斜した36の部分が積み重ねられた構造を有する。
このようにして、複数の活物質体が形成された集電体4が得られた。本実施例では、シート状の集電体4の一端には一方の表面にのみ活物質体が形成され、他端には反対側の表面(裏面)にのみ活物質体が形成され、両端部を除く中央部分には両面に活物質体が形成された。これは、以下に詳しく説明するように、シート状の集電体4の表面および裏面に対する蒸着が、集電体4の端部からずれた位置から開始・終了されるからである。
蒸着装置50では、蒸着領域35〜38は、第1ローラ3および第2ローラ8の間の搬送経路の一部に設けられている。特に、蒸着領域36と蒸着領域37間には、蒸着が行われない経路が存在している。このため、一方のローラから他方のローラへ集電体4の巻き取りを開始する際および停止する際、シート状の集電体4の先頭部分および後尾部分は、蒸着領域35、36または蒸着領域37、38を通過せずに集電体4の巻き取りが完了する。従って、蒸着工程を繰り返しても、集電体4の一端は常に蒸着領域35、36を通過せず、他端は常に蒸着領域37、38を通過しない。その結果、上述したように、両端部では片面にのみ活物質体が形成され、中央部分では両面に活物質体が形成された集電体4が得られる。
この後、得られた集電体4のうち片面(表面または裏面)にのみ活物質体が形成された部分を切り出して、負極1Aを作製した。
3.活物質体の組成
実施例1の負極1Aにおける活物質体(ケイ素酸化物)の酸素比率(SiOxにおけるx値)を、EPMAを用いて、活物質体の断面方向の線分析測定により求めた。ここでは、集電体4の表面に垂直であり、かつ、活物質の成長方向を含む断面における活物質体の線分析測定を行った。
測定結果を表1に示す。表1に示すように、第1層101a、101b(第1部分)のx値は1.2であった。また、第1層101a、101b(第1部分)から第15層(第8部分)に向かって、活物質体の酸素比率(x値)は連続的に減少し、第15層以降(第8部分以降)のx値は0.2であった。測定結果から、活物質層の厚さ方向において、酸素元素の含有比率が異なることを確認した。これは、活物質体の各層を形成する際の蒸着条件(酸素ガス流量)に起因するものと考えられる。
さらに、複数の活物質体からなる活物質層に含まれる酸素比率(x値)を燃焼法により定量すると、0.27であった。
Figure 0004598150
4.活物質体の断面観察
負極1Aの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で様々な角度から観察した。図11(a)は、負極1Aにおける活物質体の、集電体4の表面に垂直であり、かつ、活物質体の成長方向を含む断面を観察した図であり、図11(b)は、集電体4の法線方向から見た活物質層の上面図である。図11(a)は、図11(b)のII−II’線に沿った断面図である。
観察の結果、各活物質体80は、それぞれ、集電体4の凸部4A上を覆うように堆積していることを確認できた。さらに、活物質体80は、集電体4の凸部4A上に、紙面に向かって左方向から堆積した部分と、右方向から堆積した部分とが交互に積み重ねられた構造を有することがわかった。負極1Aにおける各活物質体の平均厚さtは15μmであった。
5.活物質層の空隙率P
水銀ポロシメーター((株)島津製作所製のオートポアIII9410)を用いて、負極1Aにおける活物質層の空隙率Pを測定した。
まず、集電体の片面に、上記と同様の条件で活物質層を形成した空隙率測定用サンプルを作製した。空隙率測定用サンプルのサイズは3cm×3cmとした。このサンプルの重量から、集電体(銅箔)の重量を差し引いて、活物質層の重量を求めた。続いて、SiO0.27の密度から、活物質層の真体積(VT)を求めた。次に、水銀ポロシメーターにより、サンプルの空隙に水銀を侵入させて、侵入した水銀の体積(VH)を求めた。活物質層の真体積(VT)および試料の空隙に侵入した水銀の体積(VH)から空隙率Pを求めたところ、50%であった。
6.活物質層の密着力の測定
タッキング試験機(株式会社レスカ製 TAC−II)を用い、集電体4に対する活物質の密着強度を測定した。
まず、タッキング試験機の測定子(先端直径2mm)の先端に両面テープ(日東電工製No.515)を取り付けた。また、負極1Aを2cm×3cmのサイズに切り出し、密着強度測定用サンプルを作製した。このサンプルの活物質層のうち、測定子に対向する位置に上記両面テープを貼り付け、固定した。測定は、押し込み速度:30mm/min、押し込み時間:10秒、荷重:400gf、引き上げ速度:600mm/minの条件で行った。その結果、活物質の密着強度が30kgf/cm2以上(剥離が確認されなかったために測定限界以上)であることを確認した。
7.試験電池用負極の作製
負極1Aを31mm×31mmのサイズに裁断し、負極表面に真空蒸着法によって15μmのLi金属を蒸着し、電池用負極を得た。さらに、電池用負極の内周側であって、正極と対向しない部分に集電体(Cu箔)を露出する露出部を設け、Cu製の負極リードを溶接した。
8.試験電池用正極の作製
正極活物質である平均粒径10μmのコバルト酸リチウム(LiCoO2)粉末を10gと、導電剤であるアセチレンブラック0.3gと、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)の粉末0.8gと、適量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(呉羽化学工業(株)製の品番♯1320)を充分に混合して、正極合剤用ペーストを調製した。得られた正極合剤用ペーストを厚さが20μmのアルミニウム(Al)箔からなる正極集電体(厚さ15μm)の片面にドクターブレード法を用いて塗布した。次いで、正極合剤用ペーストを、厚さが70μmとなるように圧延し、85℃で充分に乾燥させて正極活物質層を形成した。この後、正極活物質層が形成された正極集電体を30mm×30mmのサイズに裁断して電池用正極を得た。電池用正極の内周側であって、負極と対向しない部分に集電体(Al箔)を露出する露出部を設け、Al製の正極リードを溶接した。
9.試験電池の作製
上記試験電池用負極および正極を用いて、図9に示すようなコイン型電池を作製し、試験電池Aとした。
まず、旭化成(株)製の厚さが20μmのポリエチレン微多孔膜からなるセパレータ69を介して、正極活物質層65と負極活物質層62とが対向するように試験電池用正極68および試験電池用負極64を配置し、薄い極板群を構成した。この極板群を、電解質とともに、アルミニウムラミネートシールからなる外装ケース70に挿入した。電解質には、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比1:1で混合し、これにLiPF6を1.0mol/Lの濃度で溶解した非水電解液を用いた。非水電解液は、正極活物質層65、負極活物質層62およびセパレータ69にそれぞれ含浸させた。その後、正極リードおよび負極リード(図示せず)を外部に導出させた状態で、真空減圧しながら外装ケース70の端部を溶着して、試験電池Aを得た。
<比較例1>
比較のため、蒸着原料の入射角度ωが大きくなる方向へ集電体を移動させながら、集電体の凸部と接するように活物質体を形成し、比較例1の負極1Bを作製した。
比較例1では、実施例1と同様の集電体を用いた。活物質層の形成には、図12に示すような蒸着装置52を用いた。簡単のため、図6に示す蒸着装置50と同様の構成要素には同じ参照符号を付して説明を省略する。蒸着装置52のチャンバー1内において、第2ロール8から集電体4を繰り出し、1cm/分の速度で蒸着領域91を通過させて第1ロール3まで搬送した。蒸着領域91では、集電体4を蒸着面9Sから離れる方向、すなわち、蒸着原料の入射角度ωが大きくなる方向に移動させながら、蒸着を行った。ケイ素の入射角度ωは、蒸着領域91の下端部で62°、上端部で75°とした。
蒸発源9としては、カーボン製の坩堝10に、純度99.9999%のケイ素を保持したものを用いた。電子銃32から、加速電圧を−10kV、エミッション電流を600mAに設定した電子ビームを照射してケイ素を加熱し、蒸発させた。また、ノズル部31aをガス配管(図示せず)に接続し、ガス配管は、マスフローコントローラを経由して酸素ボンベと接続した。ノズル部31a、31bは、それぞれ、蒸着領域91の下端部および上端部に、蒸着領域91を走行する集電体4の蒸着面に向かって配置した。蒸着領域91の下端部に配置したノズル部31aから酸素ガスを40sccmの流量で、蒸着領域91の上端部に配置したノズル部31bからは酸素ガス20のsccm流量でチャンバー1内に供給した。このとき、排気ポンプ2によってチャンバー1内を真空度0.02Paまで排気した。
蒸着領域91では、蒸発源9から蒸発したケイ素がノズル部31aから供給される酸素ガスと反応し、集電体4の凸部上に選択的にケイ素と酸素とを含む化合物(SiOx)が堆積した。このとき、蒸着領域91を走行する集電体4の上に形成される活物質層の厚さが略均一となるように電子銃2のパワーを適宜調整した。このようにして、複数の活物質体からなる活物質層を有する比較例1の負極1Bを作製した。
得られた負極1Bの活物質層の酸素比率(x値)を燃焼法により定量したところ、0.6であった。
次に、負極1Bの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。図13(a)は、負極1Bにおける活物質体の、集電体4の表面に垂直であり、かつ、活物質体の成長方向を含む断面を観察した図であり、図13(b)は、集電体4の法線方向から見た活物質層の上面図である。図13(a)は、図13(b)のIII−III’線に沿った断面図である。
観察の結果、各活物質体85は、集電体4の法線Hに対して一方向に傾斜した成長方向を有していることを確認した。また、各活物質体85は集電体4の凸部4Aの入射側(蒸着工程におけるケイ素の入射側)の側面を覆っているが、その対向側面を覆っておらず、活物質体85と集電体4の凸部4Aとの接触面積は、実施例1の電極と比べて小さいことがわかった。また、図13(a)からわかるように、各活物質体85は、集電体4の近傍で太く、活物質体85の先端に向かうにつれて細くなっていた。これは、蒸着工程における入射角度ωが大きくなる方向に変化し、これに応じて、活物質体85の成長方向が集電体4の法線に対してより傾斜する方向に変化したためと考えられる。比較例1では、活物質体85の集電体4の法線に対する傾斜角度(平均値)θは47°であり、集電体4の法線に沿った活物質体85の厚さtは18μmであった。
また、水銀ポロシメーターを用いて、負極1Bの空隙率Pを求めたところ、42%であった。
さらに、実施例1と同様の方法でタッキング試験を行ったところ、負極1Bの密着強度は17kgf/cm2であり、タッキング試験によって負極活物質の一部が集電体4の表面から剥離した。
実施例1と同様に、比較例1の負極1Bを用いてコイン型電池を作製し、試験電池Bとした。
<実施例1および比較例1の電池の評価>
(i)充放電特性
試験電池AおよびBに対し、以下の方法で充放電特性の評価を行った。
まず、試験電池A、Bを、それぞれ、20℃の恒温槽に収納し、定電流定電圧方式で充電を行った。ここでは、電池電圧が4.2Vになるまで1Cレート(1Cとは1時間で全電池容量を使い切ることができる電流値)の定電流で充電し、4.2Vに達した後は電流値が0.05Cになるまで定電圧で充電した。
充電後、20分間休止し、1Cレートのハイレートの定電流で、電池電圧が2.5Vになるまで放電を行った。ハイレートでの放電後、さらに0.2Cの定電流で、電池電圧が2.5Vになるまで再放電を行った。再放電後、20分間休止した。
上記の充放電を300サイクル繰り返した。
サイクル初期において、充放電効率として、充電容量に対する全放電容量(ハイレート放電と再放電との合計)の割合を百分率値で求めた。また、サイクル初期において、ハイレート比率として、全放電容量に対するハイレート放電での放電容量の割合を百分率値で求めた。さらに、容量維持率として、サイクル初期の全放電容量に対する300サイクル目の全放電容量の割合を百分率値で求めた。
これらの測定結果を表2に示す
Figure 0004598150
表2より、試験電池A、Bでは、サイクル初期の充放電効率およびハイレート比率が略等しく、高い値を示すことがわかった。これは、これらの試験電池における各活物質体が集電体に対して傾斜した領域を有するので、活物質体の表面のうち電解質と接する部分の面積が従来よりも大きくなるからと考えられる。また、負極活物質と正極活物質との対向部分が増加し、充放電反応が均一化されるので、リチウム析出反応や、正極の局所的な過充電や過放電が抑制されたためと考えられる。
しかし、300サイクル目では、試験電池Aの容量維持率は80%程度であったのに対して、試験電池Bの容量維持率は50%程度まで低下していた。これは、試験電池Aの活物質体を集電体の凸部を覆うように複数段で構成したことにより、集電体表面と活物質体との間の密着力が向上し、活物質体の剥離、切れなどを抑制できるためと考えられる。また、試験電池Aでは、活物質体間に十分な空隙が形成される結果、充放電時に隣接する活物質体同士の接触が低減され、集電体に皺、歪などが発生することを抑えることができるからと考えられる。
上記評価の結果から、集電体の凸部を覆うように形成された下地層を有し、かつ、複数段から構成された活物質体を形成することにより、二次電池のサイクル特性をより効果的に向上できることが確認できた。
(参考の実施形態)
以下、本発明による電極の製造方法の参考の実施形態を説明する。本実施形態は、集電体の法線に対して一方向に傾斜した活物質体を形成する点で第1の実施形態と異なる。
図14および図15は、本実施形態の電極の製造方法を説明するための模式的な部分工程断面図である。
まず、図14(a)に示すように、表面および裏面に複数の凸部4A、4Bがそれぞれ形成された集電体4を作製する。ここでは、集電体4として、表面に凹凸を設けた銅、ニッケルなどからなるシート状の箔を用いる。集電体4の作製方法は、第1の実施形態で説明した方法と同様であってもよい。
次に、図12(a)および(b)に示す蒸着装置52を用いて、集電体4の両面に活物質体を形成する。図12では、前述した蒸着装置50、51と同様の構成要素には同じ参照符号を付し、説明を省略する。
まず、集電体4を蒸着装置52の第1ロール3に設置する。蒸発源10には、ケイ素などに入れられている。蒸発源10は抵抗加熱装置、誘導加熱装置、電子ビーム加熱装置などの加熱装置(図示せず)により加熱され、ケイ素が蒸発する。また、チャンバー1内に酸素ガスを導入するとともに、チャンバー1内を排気ポンプ2より排気する。この状態で、集電体4を第1ロール3から繰り出し、矢印の方向に回転している基板冷却支持体6の周面に沿って走行させ、第2ロール8で巻き取る。基板冷却支持体6の集面には、蒸着領域91が設けられており、蒸着領域91において集電体4に対して蒸着が行われる。
蒸着領域91では、集電体4が蒸発面9Sに近づく方向に移動する間に、集電体4の表面の凸部4A上に蒸発粒子が選択的に入射する。具体的には、図14(b)に示すように、蒸着領域91の上端部において、集電体4の法線Hに対してω16の角度(入射角度)で蒸発粒子(ケイ素)が集電体4の表面に入射する。ケイ素は酸素ガスと反応し、集電体4の凸部4A上に活物質(ケイ素酸化物)201が堆積する。このとき、凸部4Aの間(凹部)にも活物質201が薄く堆積する。集電体4が蒸着領域91を移動するにつれて、蒸発粒子の入射角度ωがω16から小さくなる方向に変化しながら活物質201が成長する。蒸着領域91の下端部では、蒸発粒子の入射角度ωはω17となる。これにより、集電体4の表面の凸部4A上に活物質体201aが形成される(第1層蒸着工程)。この後、集電体4は第2ロール8に巻き取られる。
次に、集電体4を第2ロール8から繰り出し、矢印の方向に回転している基板冷却支持体6の周面に沿って走行させ、第1ロール3で巻き取る。この間に、蒸着領域91において集電体4に対して蒸着が行われる。
蒸着領域91では、集電体4が蒸発面9Sに近づく方向に移動する間に、集電体4の表面の凸部4B上に蒸発粒子が選択的に入射する。具体的には、図15(a)に示すように、蒸着領域91の上端部において、集電体4の法線Hに対してω16の角度(入射角度)で蒸発粒子(ケイ素)が集電体4の表面に入射する。ケイ素は酸素ガスと反応し、集電体4の凸部4B上に活物質(ケイ素酸化物)201が堆積する。このとき、凸部4Aの間(凹部)にも活物質202が薄く堆積する。集電体4が蒸着領域91を移動するにつれて、蒸発粒子の入射角度ωがω16から小さくなる方向に変化しながら活物質201が成長する。蒸着領域91の下端部では、蒸発粒子の入射角度ωはω17となる。これにより、図15(b)に示すように、集電体4の裏面の凸部4B上に活物質体201bが形成される(第1層蒸着工程)。この後、集電体4は第2ロール8に巻き取られる。このようにして、集電体4の両面にそれぞれ複数の活物質体201a、201bが形成された電極400が得られる。
図16は、電極400の模式的な部分拡大断面図である。図16からわかるように、活物質体201a、201bは、集電体4の法線Hに対して略対称になる。すなわち、活物質体201a、201bは、集電体4の法線Hに対して互いに反対側に傾斜しており、その平均傾斜角度θ5、θ6の絶対値は等しくなる。
以下、再び図14を参照しながら、電極400のより具体的な製造方法を説明する。
まず、図14(a)に示すように、厚さが18μmの合金銅箔の両面に機械加工で凹凸パターンを形成することにより、集電体4を得る。各面の凸部4A、4Bの高さは、例えば6μmとする。また、図示する断面において、凸部4A、4Bの幅を20μm、隣接する凸部間の間隔を20μmとする。
次いで、図12(a)に示す第1ロール3に集電体4を設置する。集電体4は、第1ロール3から繰り出され、冷却支持体6上の蒸着領域91で、蒸発源9に近づく方向に移動し、第2ロール8でまきとられる。蒸着領域91では、集電体4の移動に伴い、入射角度ωがω16(75°)からω17(62°)まで小さくなる方向に変化する。このとき、蒸発源9から、例えばケイ素(スクラップシリコン:純度99.999%)や錫などの活物質を電子ビーム加熱装置などの加熱装置32で加熱して蒸発させる。また、チャンバー1の内部は、圧力が0.02Paの酸素雰囲気中とする。これにより、図14(b)に示すように、集電体4の表面に蒸発粒子が入射角度ω16(75°)で入射する。蒸発粒子は、マスク11aの近傍の酸素導入ノズル31aから供給される酸素と反応し、SiOx組成を有する活物質201が集電体4の各凸部4A上に選択的に堆積する。このとき、入射角度ω16が十分に大きいので、活物質201は、各凸部4Aにおける入射側の側面上にも堆積するので、活物質201と集電体4との接触面積を大きくすることができる。なお、図示する例では、隣接する凸部4Aの間の凹部にも薄く活物質202が堆積しているが、入射角度ω16および凸部4Aの高さ、間隔によっては、ほとんど堆積されない場合もある。このような場合でも、活物質201が、凸部4Aの上面のみでなく、凸部4Aの入射側の側面の少なくとも一部にも堆積されることにより、活物質201と集電体4との密着性を高めることが可能になる。従って、充放電時の膨張収縮による活物質の剥離を抑制し、高い信頼性を得ることができる。
この後、図14(c)および図12(b)に示すように、蒸着領域91では、集電体4の移動に伴って、蒸発粒子の入射角度ωがω16(75°)からω17(62°)に連続的に変わりながら、凸部4A上に活物質201が成長し、SiOx組成を有する活物質体201aが得られる。
本実施形態における蒸着領域91では、集電体4の蒸着面が平面となるように集電体4が搬送される平面搬送領域を含んでいる。すなわち、図示する断面において、集電体4が直線状に搬送される。このような構成によると、第1実施形態で詳しく説明したように、蒸発面9Sとの距離に応じて、蒸発粒子の飛来数と酸素導入ノズル(31a、31b)から供給される酸素量が連続的に変化する。つまり、蒸発面9Sとの距離が短い蒸着領域91の下端部では、酸素比率xの小さいSiOxが形成され、蒸発面9Sとの距離が長くなるにしたがって、酸素比率xの大きいSiOxが形成される。従って、得られた活物質体201aの酸素比率xは、集電体側で大きく、厚さ方向に沿って順次低くなる。酸素比率xが小さいほど、リチウムの吸蔵量が大きく、リチウム吸蔵による体積膨張率も大きくなることから、活物質体201aの集電体側では体積膨張を抑えて密着性の低下を防止し、活物質体201aの上面側ではリチウムの吸蔵量を確保することが可能となる。従って、本実施形態によると、充放電容量を高く維持しつつ、活物質体201aの剥離を抑制できるので有利である。
本実施形態における活物質体201aは、各凸部40A上に形成され、集電体4の法線Hに対して角度θ1で傾斜している。集電体4の法線Hに沿った活物質体201aの厚さ(凸部4Aの上面からの厚さ)tは例えば18μmである。また、集電体4の表面の凸部4Aの間(凹部)には、集電体4の法線Hに沿った厚さTが0.5μmの活物質202が堆積される。活物質体201aの厚さtは、例えば3μm以上30μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以上20μm以下である。活物質体201aの厚さtが3μm未満であれば、十分な充電容量を確保できないおそれがある。また、活物質体201aの厚さtが大きくなるにつれて、すなわち、活物質体201aの先端部に向かうにつれて活物質体201aの幅が増大するので、厚さtが大きくなりすぎると(例えば30μm超)、活物質体201a間に十分な空隙が確保できなくなり、充電時に膨張応力によって活物質の割れや剥離が発生する可能性がある。また、集電体4の凹部上の活物質202の厚さTは、例えば0.1μm以上2μm以下である。上述したように、活物質202が堆積されなくてもよい(T=0)。活物質202の厚さTは、3μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以下である。活物質202の厚さTが3μmを超えると、充電時の膨張応力によって集電体4に皺が発生し、サイクル特性が劣化する場合がある。
活物質体201aが形成された集電体4は、この後、一旦第2ロール8に巻き取られる。蒸着装置52では、集電体4は、活物質体201aが形成された集電体4の表面がボビンの外側になるように巻き取られる。
次いで、チャンバー1内の真空を一旦破り、第2ロール8に巻き取られた集電体4を、第1ロール3に取り付けなおす。このとき、集電体4の活物質体201aが形成された面と反対側の面(裏面)が蒸着面となるように、集電体4を取り付ける。
続いて、第1ロール3から集電体4を繰り出し、蒸着領域91を経て、第2ロール8まで搬送する。このとき、蒸発源9から、例えばケイ素(スクラップシリコン:純度99.999%)や錫などの活物質を電子ビーム加熱装置などの加熱装置32で加熱して蒸発させる。また、チャンバー1の内部は、圧力が0.02Paの酸素雰囲気中とする。これにより、図15(a)および(b)に示すように、上述した活物質体201aの形成工程と同様の工程により、集電体4の裏面に形成された各凸部4B上に活物質体201bが選択的に形成される。また、集電体4の凹部上にも活物質202が薄く堆積する。活物質体201bを形成する際の入射角度ωなどの条件、活物質体201bの好適な厚さなどは、上述した活物質体201aの形成工程で説明した条件や厚さと同様であるので、ここでは説明を省略する。
このようにして、集電体4の両面上に、それぞれ、複数の活物質体201a、201bが形成された電極400を得る。
上記方法では、1層のみからなる活物質体201a、201bを形成したが、第1層を蒸着した後、第2ロール8に巻き取られた集電体4を再び蒸着領域91を通過させて第1ロール3まで搬送し、蒸着領域91において第2層目を形成してもよい。さらに、第1ロール3と第2ロール8との間を、搬送方向を切り換えながら集電体4を所望の回数走行させて、所望の積層数の活物質体を連続的に形成してもよい。このような場合であっても、第2層目以降も集電体4の法線Hに対して第1層と同じ側に傾斜した成長方向を有するので、集電体4の法線Hに対して一方向に傾斜した形状を有する活物質体が得られる。
なお、上記方法では蒸着装置52を用いたが、代わりに図17に示す蒸着装置53を用いることもできる。蒸着装置53では、冷却支持体6a、6bが、蒸発面9Sの中心を通り、蒸発面9Sに垂直な線を挟んで略対称となるように配置され、蒸着領域95、96を形成している。このような構成の蒸着装置53を用いると、集電体4の表面における活物質体201aの成長方向と集電体4の裏面に形成される活物質体201bの成長方向は、集電体4の法線を挟んで略対称となる。このように、蒸着装置53を用いると、チャンバー1内を真空に保ったまま、1つの蒸発源9により、集電体4の両面に連続して活物質体201a、201bを形成することができる。従って、簡単な装置構成で、生産性に優れたプロセスを実現できるので有利である。
あるいは、図18に示すように、蒸着領域97が水冷キャンからなる蒸着装置54を用いてもよい。これにより、熱負荷による集電体4の変形および強度の低下を防止することができ、充電時の極板の伸びを抑制し、高い信頼性を得ることができる。
本実施形態における集電体4の材料、表面粗さRaおよび厚さ、活物質体201a、201bの材料などは、第1の実施形態と同様であってもよい。また、活物質体201a、201bからなる活物質層の空隙率Pの好適な範囲や測定方法も第1の実施形態と同様であってもよい。
活物質層の厚さ、すなわち活物質体201a、201bの厚さtは、活物質が不可逆容量に相当するリチウムを含む場合、例えば3μm以上30μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以上20μm以下である。活物質層の厚さtが3μm以上であれば、十分なエネルギー密度を確保できるので、ケイ素を含む活物質の高容量特性を十分に活かすことが可能になる。また、活物質層の厚さtが30μm以下であれば、各活物質体が隣接する他の活物質体で遮蔽されて、その活物質体の表面全体に対するリチウムが達しない領域の割合を低く抑えることができる。また、各活物質体からの集電抵抗も低く抑制できる。よって、ハイレートでの充放電に有利である。
本実施形態では、蒸着領域91の入射角度ωは45°以上75°以下範囲内であることが好ましい。入射角度ωが45°未満になると、活物質体201a、201bが立ち上がる方向に成長し、活物質体201a、201bの間に十分な隙間を形成することが困難になる。そのため充放電を行うと、活物質の膨張応力により集電体4の皺が生じる可能性がある。一方、入射角度ωが75°を越えると、入射角度ω16の集電体4の法線Hからの傾斜が大きくなりすぎるため、凸部4Aの側面に活物質が堆積されず、集電体と活物質体との密着性が低下するおそれがある。
また、マスク33aによって規定される初期入射角度ω16は、60°以上75°以下であることが好ましく、より好ましくは70°以上75°以下である。初期入射角度ω16が60°未満になると、集電体の凸部4Aの間(凹部)に堆積される活物質202の厚さが大きくなりすぎて、充電時の活物質202の膨張によって集電体4に皺が入ってしまう可能性がある。一方、マスク33bによって規定される終期入射角度ω17は、45°以上であることが好ましい。なお、終期入射角度ω17は、初期入射角度ω16よりも小さければ本実施形態の効果が得られるが、これらの入射角度の差(ω16−ω17)が15°以上であれば、活物質体201a、201bと集電体4との密着性をより確実に高めることができる。
活物質体201a、201bの幅(太さ)Dの好ましい範囲は、第1の実施形態で説明した範囲と同じである。また、幅Dの定義および測定方法も同様である。なお、活物質体201a、201bの形状は、円柱、角柱に限定されない。
活物質体201a、201bの厚さtおよび幅Dは、第1実施形態で説明した方法と同様の方法で測定できる。
本実施形態では、集電体4に接するように活物質体201a、201bを形成しているが、集電体4の上に、下地膜を介して、活物質体201a、201bを形成してもよい。あるいは、集電体4に表面処理が施されていてもよい。下地膜としては、活物質体201a、201bと同じ材料を含んでいてもよい。活物質体201a、201bがケイ素酸化物(SiOx(0<x<2))を含む場合、下地膜は活物質体201a、201bと同じ組成または異なるx値を有するケイ素酸化物を含んでいてもよい。なお、下地膜が形成される場合、本発明の効果が発揮されるためには、下地膜の表面が、集電体4の表面凹凸を反映した形状を有する必要がある。そのような下地膜は、例えば集電体4の表面に蒸着粒子を垂直入射させることによって形成することができる。下地膜は、例えば連続膜である。
上記方法で作製された電極400を用いて、第1実施形態で説明した方法と同様の方法により、リチウムイオン二次電池を作製できる。電極400は、円筒型、扁平型、コイン型、角形等の様々な形状のリチウムイオン二次電池に適用できる。
(実施例および比較例2)
実施例および比較例の電極およびそれを用いた電極を作製し、特性の評価を行ったので、以下に説明する。
<参考例2>
まず、本発明による電極の参考例2を説明する。
1.集電体の作製
図10(a)および(b)を参照しながら前述した方法と同様の方法で、実施例1で用いた集電体と同様の集電体を作製した。
2.活物質層の形成
図12(a)および(b)に示す蒸着装置52を用いて、図14および図15を参照しながら前述した方法と同様の方法で集電体の両面に活物質層を形成した。再びこれらの図面を参照しながら、本実施例における活物質層の形成方法を説明する。
本実施例では、蒸着装置52のチャンバー1内において、第1ロール3と第2ロール8との間を走行させる集電体4の速度を1cm/分の速度とした。また、蒸発源9として、蒸着領域91の下方に配置されたカーボン製の坩堝10に、純度99.9999%のケイ素を保持したものを用いた。また、蒸着の際には、電子銃32より、加速電圧を−10kV、エミッション電流を600mAに設定した電子ビームを照射して蒸発材料の加熱を行った。
また、ノズル部31a、31bをガス配管(図示せず)に接続し、ガス配管は、マスフローコントローラを経由して酸素ボンベと接続した。蒸着領域91の上端部(入射角度ωが大きい側)に配置した酸素ノズル31aから流量40sccm、蒸着領域91の下端部(入射角度ωが小さい側)に配置した酸素ノズル31bから流量20sccmの酸素ガスを導入した。このとき、排気ポンプ2によってチャンバー1内を真空度0.02Paまで排気した。この状態で、活物質体201aを形成するための蒸着工程を行った。
まず、図14(b)および(c)を参照しながら前述したように、蒸着領域91において、蒸発源9からの蒸気により、集電体4の凸部4A上に、ケイ素と酸素とを含む化合物(SiOx)からなる活物質体201a(厚さ:18μm)を形成した。活物質体201aは、集電体4の法線Hに対して傾斜した方向に成長した。また、活物質体201aからなる活物質層の厚さtが一定になるように、電子銃32の照射位置およびパワーを調整した。この後、活物質体201aが形成された集電体4を第2ロール8に巻き取った。
次に、チャンバー1内の真空を一旦破り、第2ロール8に巻き取られていた集電体4を、第1ロール3に取り付けなおした。このとき、集電体4の活物質体201aが形成された面と反対側の面(裏面)が蒸着面となるように、集電体4をセットした。
この後、活物質体201aを形成する工程と同様の条件で、集電体4の裏面上に活物質体bを形成した。具体的には、酸素ノズル31aから流量40sccm、酸素ノズル31bから流量20sccmの酸素ガスをチャンバー1内に導入し、排気ポンプ2によってチャンバー1内を真空度0.02Paまで排気した。
次に、図15(a)および(b)を参照しながら前述したように、蒸着領域91において、蒸発源9からの蒸気により、集電体4の凸部4B上に、ケイ素と酸素とを含む化合物(SiOx)からなる活物質体201b(厚さ:18μm)を形成した。活物質体201bは、集電体4の法線Hに対して傾斜した方向に成長した。また、活物質体201bからなる活物質層の厚さtが一定になるように、電子銃32の照射位置およびパワーを調整した。この後、集電体4を第2ロール8に巻き取った。このようにして、参考例の負極2Cが得られた。
参考例の負極2Cでは、活物質体201a、202bの成長方向は、集電体4の法線Hを挟んで略対称であった。
3.活物質体の組成
参考例2の負極2Cにおける活物質体(ケイ素酸化物)201a、201bの酸素比率(SiOxにおけるx値)を、EPMAを用いて、活物質体の断面方向の線分析測定により求めた。ここでは、集電体4の表面に垂直であり、かつ、活物質の成長方向を含む断面における活物質体の線分析測定を行った。
その結果、活物質体201a、201bにおける集電体4との界面近傍のx値は0.8であった。活物質体201a、201bの酸素比率xは、集電体4から離れるにつれて減少し、活物質体201a、201bの上面のx値は0.4であった。このように、活物質体201a、201bの厚さ方向に、酸素元素の含有比率が異なることを確認した。
さらに、複数の活物質体からなる活物質層に含まれる酸素比率(x値)を燃焼法により定量すると、0.6であった。
4.活物質体の断面観察
次に、負極2Cの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて様々な角度から観察した。図19は、負極2Cの活物質体の、集電体4の表面に垂直であり、かつ、活物質体の成長方向を含む断面を観察した図である。
観察の結果、各活物質体87は、それぞれ、集電体4の凸部4A上に選択的に堆積していることを確認できた。活物質体87の厚さtは18μmであった。また、集電体4の凹部上には、活物質が薄く堆積しており、その厚さTは0.5μmであった。また、活物質体87の幅は、集電体側で大きく、先端部で小さくなっていることがわかった。集電体4の法線Hに対する活物質体87の傾斜角度は47°であった。
5.活物質層の空隙率P
水銀ポロシメーター((株)島津製作所製のオートポアIII9410)を用いて、負極2Cにおける活物質層の空隙率Pを測定した。
まず、集電体の片面に、上記と同様の条件で活物質層を形成した空隙率測定用サンプルを作製した。空隙率測定用サンプルのサイズは3cm×3cmとした。このサンプルの重量から、集電体(銅箔)の重量を差し引いて、活物質層の重量を求めた。続いて、SiO0.27の密度から、活物質層の真体積(VT)を求めた。次に、水銀ポロシメーターにより、サンプルの空隙に水銀を侵入させて、侵入した水銀の体積(VH)を求めた。活物質層の真体積(VT)および試料の空隙に侵入した水銀の体積(VH)から空隙率Pを求めたところ、48%であった。
6.試験電池の作製
負極2Cを用いて、<実施例1>で説明した方法と同様の方法で試験電池用負極を作製した。また、<実施例1>で説明した方法と同様の方法で試験電池用正極を作製し、これらを用いてコイン型電池を得た。得られた電池を試験電池Cとした。
<比較例2>
比較のため、蒸着原料の入射角度ωが大きくなる方向へ集電体を移動させながら、集電体の凸部と接するように活物質体を形成し、比較例2の電極2Dを作製したので、その作製方法を説明する。
比較例2では、参考例2と同様の集電体および蒸着装置52を用いた。蒸着装置52のチャンバー1内において、第2ロール8から集電体4を繰り出し、1cm/分の速度で蒸着領域91を通過させて第1ロール3まで搬送した。蒸着領域91では、集電体4を蒸着面9Sから離れる方向、すなわち、蒸着原料の入射角度ωが大きくなる方向に移動させながら、蒸着を行った。ケイ素の入射角度ωは、蒸着領域91の下端部で62°、上端部で75°とした。
蒸発源9としては、カーボン製の坩堝10に、純度99.9999%のケイ素を保持したものを用いた。電子銃32から、加速電圧を−10kV、エミッション電流を600mAに設定した電子ビームを照射してケイ素を加熱し、蒸発させた。また、ノズル部31a、31bをガス配管(図示せず)に接続し、ガス配管は、マスフローコントローラを経由して酸素ボンベと接続した。蒸着領域91の下端部に配置したノズル部31bから酸素ガスを20sccmの流量でチャンバー1内に供給し、蒸着領域91の上端部に配置したノズル部31aから酸素ガスを40sccmの流量でチャンバー1内に供給した。このとき、排気ポンプ2によってチャンバー1内を真空度0.02Paまで排気した。
蒸着領域91では、蒸発源9から蒸発したケイ素がノズル部31a、31bから供給される酸素ガスと反応し、集電体4の凸部上に選択的にケイ素と酸素とを含む化合物(SiOx)が堆積し、活物質体が形成された。このとき、蒸着領域91を走行する集電体4の上に形成される活物質層の厚さが略均一となるように電子銃2のパワーを適宜調整した。
次に、チャンバー1内の真空を一旦破り、第1ロール3に巻き取られた集電体4を、集電体4の裏面が蒸着面となるように第2ロール8に取り付けなおした。この後、上記と同様の方法で、蒸着領域91において、集電体4の裏面にも活物質体を形成し、比較例2の負極2Dを得た。集電体4の表面および裏面に形成された活物質体の成長方向は、集電体4の法線Hに対して略対称となった。
得られた負極2Dの活物質体の酸素比率(x値)を、EPMAを用いて、活物質体の断面方向の線分析測定によって求めたところ、活物質体における集電体4との界面近傍のx値は0.4であった。また、x値は、集電体4から離れる方向に向かって減少し、活物質体の上面(頭部)では0.8であった。
次に、負極2Dの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。図20は、負極2Dにおける活物質体の、集電体4の表面に垂直であり、かつ、活物質体の成長方向を含む断面を観察した図である。
観察の結果、各活物質体88は、それぞれ、集電体4の凸部4A上のみでなく、凹部上にも形成されていることがわかった。活物質体88の厚さtは18μmであった。また、集電体4の凹部のうち活物質体88が形成されていない部分上には、活物質が薄く堆積しており、その厚さTは3μmであった。
また、各活物質体88の幅(太さ)は、集電体側で大きく、先端部に近いほど小さくなっていた。集電体4の法線Hに対する活物質体88の傾斜角度は42°であった。
参考例2および比較例2の負極2C、2Dの観察結果から、入射角度ωが小さくなる方向に移動させながら蒸着を行うと(参考例2)、入射角度ωが大きくなる方向に移動させながら蒸着を行う場合(比較例2)と比べて、集電体4の凹部上に堆積する活物質の量を低減できることを確認した。また、参考例2では、活物質体をより確実に凸部上に選択的に形成でき、活物質体間に十分な空隙を確保できることがわかった。さらに、参考例2では、集電体側で細く、先端部で太い活物質体が形成されるので、活物質の膨張応力による集電体の変形をより効果的に抑えることができることも確認できた。
また、水銀ポロシメーターを用いて、負極2Dの空隙率Pを求めたところ、46%であった。
参考例2と同様に、比較例2の負極2Dを用いてコイン型電池を作製し、試験電池Dとした。
<参考例2および比較例2の電池の評価>
(i)充放電特性
試験電池CおよびDに対し、以下の方法で充放電特性の評価を行った。
まず、試験電池C、Dを、それぞれ、20℃の恒温槽に収納し、定電流定電圧方式で充電を行った。ここでは、電池電圧が4.2Vになるまで1Cレート(1Cとは1時間で全電池容量を使い切ることができる電流値)の定電流で充電し、4.2Vに達した後は電流値が0.05Cになるまで定電圧
で充電した。
充電後、20分間休止し、1Cレートのハイレートの定電流で、電池電圧が2.5Vになるまで放電を行った。ハイレートでの放電後、さらに0.2Cの定電流で、電池電圧が2.5Vになるまで再放電を行った。再放電後、20分間休止した。
上記の充放電を200サイクル繰り返した。
サイクル初期において、充放電効率として、充電容量に対する全放電容量(ハイレート放電と再放電との合計)の割合を百分率値で求めた。また、サイクル初期において、ハイレート比率として、全放電容量に対するハイレート放電での放電容量の割合を百分率値で求めた。さらに、容量維持率として、サイクル初期の全放電容量に対する200サイクル目の全放電容量の割合を百分率値で求めた。
これらの測定結果を表3に示す。
Figure 0004598150
表3より、試験電池C、Dでは、サイクル初期の充放電効率およびハイレート比率が略等しく、高い値を示すことがわかった。これは、これらの試験電池における各活物質体が集電体に対して傾斜した領域を有するので、活物質体の表面のうち電解質と接する部分の面積が従来よりも大きくなるからと考えられる。また、負極活物質と正極活物質との対向部分が増加し、充放電反応が均一化されるので、リチウム析出反応や、正極の局所的な過充電や過放電が抑制されたためと考えられる。
しかし、200サイクル目では、試験電池Cの容量維持率は85%程度であったのに対して、試験電池Dの容量維持率は73%程度まで低下していた。この理由は次のように考えられる。
試験電池Cの活物質体を、入射角度ωが小さくなる方向に集電体を移動させながら形成したことにより、活物質体を凸部上に選択的に配置することができ、集電体の凹部上に堆積する活物質の量を低減するとともに、活物質体間に十分な空隙を確保できた。その結果、充放電の際に、集電体の凹部上の活物質の膨張・収縮や隣接する活物質体同士の接触によって集電体にかかる応力を低減でき、集電体の皺、歪、活物質体の剥離や切れなどを抑制できたからである。
上記評価の結果から、集電体の凸部上に選択的に活物質体を形成し、かつ、集電体の凹部上に堆積される活物質の量を低減することによって、充放電サイクル特性を向上できることが確認された。
本発明は、様々な形態の電気化学用素子用電池の製造に適用することができるが、特に、高容量と良好なサイクル特性が要求されるリチウム二次電池の製造に適用すると有利である。本発明を適用可能なリチウム二次電池の形状は、特に限定されず、例えばコイン型、ボタン型、シート型、円筒型、偏平型、角型などの何れの形状でもよい。また、正極、負極およびセパレータからなる極板群の形態は、捲回型でも積層型でもよい。また、電池の大きさは、小型携帯機器などに用いる小型でも電気自動車等に用いる大型でもよい。本発明の製造方法を用いて製造されたリチウムイオン二次電池は、例えば携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等の電源に用いることができるが、用途は特に限定されない。
1 チャンバー
2 排気ポンプ
3 第1ローラ(巻き取り・巻き出しローラ)
4 集電体
4A、4B 集電体の凸部
5a、5b、5c、5d、5e 搬送ローラ
6a、6b、6c、7a、7b、7c 冷却支持体
8 第2ローラ(巻き取り・巻き出しローラ)
9 蒸発源
9S 蒸発面
10 容器
32 加熱装置
33a、33b、33c、33d マスク
34a、34b、34c、34d マスク
31a、31b、31c、31d 酸素ノズル
50、51、52、53、54 蒸着装置
101、102、103、104、202 活物質
101a、101b 活物質体の第1層
102a、102b 活物質体の第2層
103a、103b 活物質体の第3層
104a、104b 活物質体の第4層
110、120 活物質体
64 負極
68 正極
66 正極集電体
65 正極活物質層
61 負極集電体
62 負極活物質層
69 セパレータ
70 外装ケース

Claims (12)

  1. 高さが3μm以上10μm以下である複数の凸部を表面に有するシート状の集電体を用意する工程と、
    前記集電体の各凸部上に、それぞれ、積層構造を有する活物質体を形成する工程と
    を包含し、
    前記活物質体を形成する工程は、
    前記集電体の法線に対して傾斜した方向から、蒸発させた蒸着原料を前記集電体の前記表面に入射させることによって、各活物質体の最も集電体側に位置する第1層を前記各凸部上に形成する第1層蒸着工程と、
    前記集電体の法線に対して前記第1層蒸着工程における前記蒸着原料の入射方向と反対側に傾斜した方向から、蒸発させた蒸着原料を前記集電体の前記表面に入射させることによって、前記第1層の少なくとも一部上に第2層を形成する第2層蒸着工程と
    を含み、
    前記第1層蒸着工程では、前記集電体の法線に対する前記蒸着原料の入射角度が小さくなる方向に前記集電体を移動させながら蒸着を行い、
    前記第1層蒸着工程の後、前記集電体の法線方向から前記蒸着原料を前記集電体の前記表面に入射させることなく、前記第2層蒸着工程に移行する非水電解質二次電池用電極の製造方法。
  2. 前記第2層蒸着工程は、前記集電体の法線に対する前記蒸着原料の入射角度が大きくなる方向に前記集電体を移動させながら蒸着を行う請求項1に記載の非水電解質二次電池用電極の製造方法。
  3. 各活物質体の前記第1層を、前記各凸部の表面の一部に接するように形成し、前記第2層を、前記各凸部の表面のうち前記第1層と接していない部分と接するように形成する請求項2に記載の非水電解質二次電池用電極の製造方法。
  4. 表面に複数の凸部を有するシート状の集電体を用意する工程と、前記集電体の各凸部上に、それぞれ、積層構造を有する活物質体を形成する工程とを包含する非水電解質二次電池用電極の製造方法であって、
    前記活物質体を形成する工程は、
    チャンバーと、前記チャンバー内に配置され、蒸着原料を蒸発させる蒸発源と、前記蒸着原料が集電体に入射しないように遮蔽するマスクとを備え、前記チャンバー内に、前記蒸発源に対して互いに重ならないように第1蒸着領域および第2蒸着領域が設けられており、前記第1蒸着領域および前記第2蒸着領域の間には、前記マスクによって、前記蒸発源からの前記蒸着原料が到達しない遮蔽領域が形成された蒸着装置を用いて行われ、
    前記集電体を前記第1蒸着領域および第2蒸着領域にこの順で移動させながら蒸着を行う正方向搬送工程(A)と、前記工程(A)の後に、前記工程(A)における前記集電体の搬送方向と逆方向に、前記集電体を前記第2蒸着領域および前記第1蒸着領域にこの順で移動させながら蒸着を行う逆方向搬送工程(B)とを少なくとも1回ずつ含み、
    1回目の正方向搬送工程は、
    (a1)前記第1蒸着領域において、前記集電体の法線に対する前記蒸着原料の入射角度を減少させながら、前記集電体の法線に対して傾斜した第1方向から前記集電体の前記表面に前記蒸着原料を入射させることにより、前記集電体の前記各凸部上に、前記活物質体の最も集電体側に位置する第1層を形成する第1層蒸着工程と、
    (a2)前記第2蒸着領域において、前記集電体の法線に対する前記蒸着原料の入射角度を増加させながら、前記集電体の法線に対して前記第1方向と反対側に傾斜した第2方向から前記集電体の前記表面に前記蒸着原料を入射させることにより、前記第1層の少なくとも一部上に第2層を形成する第2層蒸着工程と
    を含み、
    前記工程(a1)と前記工程(a2)との間に、前記第1蒸着領域を通過した後の前記集電体を、前記遮蔽領域を通って前記第2蒸着領域まで移動させることにより、前記第1蒸着領域を通過した後の前記集電体を、前記集電体の法線方向から前記集電体の前記表面に前記蒸着材料を入射させることなく、前記第2蒸着領域まで移動させる工程をさらに含む、非水電解質二次電池用電極の製造方法。
  5. 1回目の逆方向搬送工程は、
    (b1)前記第2蒸着領域において、前記集電体の法線に対する前記蒸着原料の入射角度を減少させながら、前記集電体の法線に対して前記第2方向から前記集電体の前記表面に前記蒸着原料を入射させることにより、第3層を形成する第3層蒸着工程と、
    (b2)前記第1蒸着領域において、前記集電体の法線に対する前記蒸着原料の入射角度を増加させながら、前記集電体の法線に対して前記第1方向から前記集電体の前記表面に前記蒸着原料を入射させることにより、第4層を形成する第4層蒸着工程と
    を含む請求項4に記載の非水電解質二次電池用電極の製造方法。
  6. 前記第1および第2の蒸着領域は、前記集電体の前記表面が平面となるように前記集電体を搬送する平面搬送領域を含む請求項4または5に記載の非水電解質二次電池用電極の製造方法。
  7. 前記正方向搬送工程および前記逆方向搬送工程を交互に複数回繰り返す請求項4から6のいずれかに記載の非水電解質二次電池用電極の製造方法。
  8. 前記第1層蒸着工程および前記第2層蒸着工程における前記蒸着原料の入射角度は45°から75°の間で変化させる請求項2または4に記載の非水電解質二次電池用電極の製造方法。
  9. 前記集電体を用意する工程は、表面粗さRaが0.3μm以上5.0μm以下の金属箔に前記複数の凸部を形成する工程を含み、前記複数の凸部は前記集電体の表面に規則的に配置されている請求項1から8のいずれかに記載の非水電解質二次電池用電極の製造方法
  10. 前記活物質体は、シリコン、スズ、シリコン酸化物、シリコン窒化物、スズ酸化物およびスズ窒化物からなる群から選択される1以上の活物質を含む請求項1から9に記載の非水電解質二次電池用電極の製造方法。
  11. 前記第1層および前記第2層の厚さの合計が0.1μm以上3μm以下である請求項2から10のいずれかに記載の非水電解質二次電池用電極の製造方法。
  12. 請求項1から11のいずれかの方法で製造された非水電解質二次電池用電極。
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