JP2008192594A - 非水電解質二次電池用負極とその製造方法およびそれを用いた非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用負極とその製造方法およびそれを用いた非水電解質二次電池 Download PDF

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克巨 柏木
Masaya Ugaji
正弥 宇賀治
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Abstract

【課題】容量維持率、ハイレート特性や低温特性や信頼性に優れた非水電解質二次電池用負極とその製造方法およびそれを用いた非水電解質二次電池を提供する。
【解決手段】非水電解質二次電池用負極であって、少なくとも片面に凹部12と凸部13が形成された集電体11と、集電体11の凸部13上に斜立して形成された柱状体部をn(n≧2)段に積層した構成を有する柱状体15と、を備え、柱状体15の内部に、リチウムイオンの吸蔵・放出による膨張・収縮の小さい層155bを設けた構成を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、充放電特性に優れた非水電解質二次電池に関し、より詳しくは容量維持率、ハイレート特性や低温特性に優れた非水電解質二次電池用負極とその製造方法およびそれを用いた非水電解質二次電池に関する。
非水電解質二次電池を代表するリチウムイオン二次電池は、軽量でありながら、起電力が高く、高エネルギー密度であるという特徴を有している。そのため、携帯電話やデジタルカメラ、ビデオカメラ、ノート型パソコンなどの様々な種類の携帯型電子機器や移動体通信機器の駆動用電源としてリチウムイオン二次電池の需要が拡大している。
リチウムイオン二次電池は、リチウム含有複合酸化物よりなる正極と、リチウム金属やリチウム合金またはリチウムイオンを吸蔵・放出する負極活物質を含む負極と、電解質とから構成されている。
そして、近年では、従来から負極材料として用いられてきた黒鉛などの炭素材料に代えて、リチウムイオンの吸蔵性を有し、理論容量密度が833mAh/cmを超える元素に関する研究が報告されている。例えば、理論容量密度が833mAh/cmを超える負極活物質の元素として、リチウムと合金化するケイ素(Si)、スズ(Sn)、ゲルマニウム(Ge)やこれらの酸化物および合金などがある。それらの中でも、Si粒子や酸化ケイ素粒子などの含ケイ素粒子は安価なため、幅広く検討されている。
しかし、これらの元素は、充電時において、リチウムイオンを吸蔵する際に、その体積が増加する。例えば、負極活物質がSiの場合、リチウムイオンが最大量吸蔵された状態ではLi4.4Siで表され、SiからLi4.4Siへ変化することにより、その体積は、放電時の4.12倍に増加する。
そのため、特にCVD法やスパッタリング法などによって上記元素の薄膜を集電体上に堆積させて負極活物質を形成した場合、リチウムイオンの吸蔵・放出により負極活物質は膨張・収縮し、充放電サイクルを繰り返す間に負極活物質と負極集電体との密着性の低下による剥離などが発生する可能性があった。
上記課題を解決するために、集電体の表面に凹凸を設け、その上に負極活物質薄膜を堆積して、エッチングにより厚み方向に空隙を形成する方法(例えば、特許文献1参照)が開示されている。また、集電体の上方にメッシュを配置し、メッシュを通して負極活物質薄膜を堆積させることにより、メッシュの枠に相当する領域への負極活物質の堆積を抑制する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
本発明者等も、集電体の表面に凹凸を設けて、その上に薄膜状の負極材料を、負極材料の主面に垂直な面に対して傾斜して形成する方法を提案した(例えば、特許文献3参照)。これにより、充放電の膨張・収縮によって発生する応力を負極材料の主面に平行な方向と垂直な方向とに分散させ、皺や剥離の発生を抑制できることを示した。
特開2003−17040号公報 特開2002−279974号公報 特開2005−196970号公報
特許文献1や特許文献2に示す二次電池では、負極活物質の薄膜を柱状に形成し、それぞれの柱間に空隙部を形成して、剥離や皺を防止する構成である。しかし、充電開始時には負極活物質が収縮しているため、空隙部を介して集電体の金属面が露出する場合がある。それにより、充電時に正極に対して露出した集電体が対向するため、リチウム金属が析出しやすく、安全性や容量低下の要因となっていた。また、電池容量を大きくするために、柱状の負極活物質の高さを高く、または空隙部の間隔を小さくすると、特に柱状の負極活物質の先端(開放側)は、集電体などで規制されないため、充電が進むにつれて集電体近傍に比べて、負極活物質が大きく膨張する。その結果、柱状の負極活物質同士が先端近傍で接触し、押し合うことに起因して集電体と負極活物質との剥離や集電体に皺が発生するという課題があった。そのため、集電体と負極活物質との剥離や集電体の皺の発生の防止と高容量化を同時に実現できなかった。さらに、膨張し接触した柱状の負極活物質間の空隙に電解液が閉じ込められるため、放電初期における、リチウムイオンの移動が妨げられ、特に高率放電(以下、「ハイレート放電」と記す)や低温環境下における放電特性などに課題があった。
また、特許文献3に示す本発明者等の上記提案の構造においては、図21(a)に示すように、傾斜(θ)させて形成した負極活物質553により、集電体551の露出を防止しリチウム金属の析出を未然に防止することができる。しかし、特許文献1、2と同様に、図21(b)に示すように、充電が進むにつれて集電体551近傍に比べて、負極活物質553が大きく膨張するため、柱状の負極活物質同士が先端近傍で接触し、図面中の矢印で示すように押し合う結果、集電体551と負極活物質553との剥離や集電体551に皺が発生しやすいという課題があった。
さらに、充放電に伴う負極活物質の膨張・収縮は、上記で説明したように、その構成元素の比率により大きく異なる。例えば、SiOxからなる負極活物質においては、xの値が非常に小さい場合、その膨張・収縮量が大きいため、特に集電体の界面に形成された場合、その応力により剥離を生じやすかった。その結果、充放電サイクルが進むにつれて、負極活物質がその応力により凸部表面から剥離しやすく、信頼性が低下するという課題があった。
また、膨張し接触した柱状の負極活物質間の空隙555に電解液が閉じ込められるため、放電初期における、リチウムイオンの移動が妨げられ、特にハイレート放電や低温環境下における放電特性などに課題があった。
本発明は、上記の課題を解決するものであり、高容量化とともに、充放電サイクル特性、ハイレート放電特性や低温特性に優れた非水電解質二次電池用負極とその製造方法およびそれを用いた非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出する非水電解質二次電池用負極であって、少なくとも片面に凹部と凸部が形成された集電体と、少なくとも片面に凹部と凸部が形成された集電体と、集電体の凸部上に斜立して形成された柱状体部をn(n≧2)段に積層した構成を有する柱状体と、を備え、柱状体の内部に、リチウムイオンの吸蔵・放出による膨張・収縮の小さい層を設けた構成を有する。
これにより、柱状体の形状変化を部分的に抑制して柱状体間の空隙を維持し、長寿命で、放電時においてハイレート放電や低温特性を大幅に改善できる負極を実現できる。
また、本発明の非水電解質二次電池用負極の製造方法は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出する非水電解質二次電池用負極の製造方法であって、少なくとも集電体の片面に凹部と凸部を形成する第1ステップと、蒸着源と集電体の法線との成す角度が大きくなる方向に集電体を移動させながら、凸部に1段目の柱状体部を斜立させて形成する第2ステップと、角度が小さくなる方向に集電体を移動させながら、1段目の柱状体部の斜立方向と異なる方向に斜立する2段目の柱状体部を形成する第3ステップと、を含み、第2ステップと第3ステップを少なくとも1回以上繰り返して奇数段目と偶数段目の柱状体部の斜立方向が異なる、n(n≧2)段からなる柱状体を形成するとともに、少なくとも柱状体部を形成するいずれかのステップにおいて、リチウムイオンの吸蔵・放出による膨張・収縮の小さい層を形成するステップを含む。
これにより、柱状体の形状変化を部分的に抑制して柱状体間の空隙を維持し、集電体に皺などが発生しない信頼性に優れた負極を容易に作製できる。
また、本発明の非水電解質二次電池は、上述の非水電解質二次電池用負極と、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出できる正極と、非水電解質とを備えている。これにより、安全性が高く信頼性に優れた非水電解質二次電池が得られる。
本発明の非水電解質二次電池用負極とその製造方法およびそれを用いた非水電解質二次電池によれば、膨張・収縮の大きな負極活物質を用いて、高容量を維持しながら、充放電サイクル特性などの信頼性に優れた非水電解質二次電池を実現できる。
本発明の第1の発明は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出する非水電解質二次電池用負極であって、少なくとも片面に凹部と凸部が形成された集電体と、少なくとも片面に凹部と凸部が形成された集電体と、集電体の凸部上に斜立して形成された柱状体部をn(n≧2)段に積層した構成を有する柱状体と、を備え、柱状体に、リチウムイオンの吸蔵・放出による膨張・収縮の小さい層を設けている構成を有する。
これにより、柱状体の形状変化を部分的に抑制して柱状体間の空隙を維持し、長寿命で、放電時においてハイレート放電や低温特性を大幅に改善できる負極を実現できる。
本発明の第2の発明は、第1の発明において、膨張・収縮の小さい層を、柱状体部の高さ方向の両端部近傍に設けている。これにより、柱状体と凸部間や、n段構成からなる柱状体の柱状体部間の膨張・収縮を抑制して剥離強度を向上させ、信頼性に優れた負極を実現できる。
本発明の第3の発明は、第1の発明または第2の発明において、膨張・収縮の小さい層を、柱状体部の高さ方向の中間部近傍に設けている。これにより、同じ斜立方向で連続して形成される柱状体部間の膨張・収縮を抑制して剥離強度を向上させた生産性の高い負極を実現できる。
本発明の第4の発明は、第1の発明から第3の発明のいずれかにおいて、膨張・収縮の小さい層を、柱状体の外周表面または2段以上に積層した柱状体部の外周表面に設けている。これにより、柱状体の膨張・収縮を抑制して剥離強度を向上させることができる。さらに、膨張時に柱状体間の空隙を維持するため、放電時においてハイレート放電や低温特性を向上させることができる。
本発明の第5の発明は、第1から第4の発明のいずれかにおいて、柱状体に設けられた膨張・収縮の小さい層を、柱状体を構成する元素の含有比率を順次変化させることにより設けている。これにより、柱状体の形状変化を段階的に抑制して、形状変化に伴う応力集中を分散させ、さらに寿命などの信頼性を向上した負極を実現できる。
本発明の第6の発明は、第1から第5の発明のいずれかにおいて、柱状体を構成する柱状体部の偶数段と奇数段において、集電体の長手方向に対して元素の含有比率の変化方向が異なる。これにより、柱状体の形状、特に高さ方向の形状を可逆的に変化させることができる。
本発明の第7の発明は、第1の発明または第6の発明において、少なくとも放電状態において、柱状体のn段の柱状体部は、集電体の凸部上に斜立して形成されるとともに、その奇数段と偶数段が厚み方向につづら折り状に積層されている。これにより、リチウムイオンの吸蔵・放出時に、集電体に対して、斜立した活物質からなる柱状体の斜立角度を可逆的に変化させるとともに、柱状体間の空隙を維持することができる。
本発明の第8の発明は、第1の発明または第6の発明において、少なくとも充電状態において、柱状体部の斜立方向の中心線と集電体の厚み方向の中心線との交差して成す鋭角側の角度が、放電状態の角度より大きくなる。これにより、リチウムイオンの吸蔵による柱状体の膨張に対して、柱状体間の空隙を維持しリチウムイオンの移動を容易にできる。
本発明の第9の発明は、第1の発明において、柱状体および柱状体部として、少なくともリチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出する理論容量密度が833mAh/cmを超える負極活物質を用いたものである。これにより、高容量の負極活物質を用いた非水電解質二次電池用負極が得られる。
本発明の第10の発明は、第9の発明において、負極活物質として、少なくともケイ素を含むSiOxで表される材料を用いたものである。これにより、電極反応効率が高く、高容量で比較的安価な非水電解質二次電池用負極が得られる。
本発明の第11の発明は、第10の発明において、ケイ素を含むSiOxで表される材料のxの値が、柱状体部の斜立方向の中心線と集電体の厚み方向の中心線との交差角度に対して、鋭角を形成する側から鈍角を形成する側へ向かって連続的に増加しているものである。これにより、充放電時における膨張に伴う急激な応力変動による機械的ストレスから柱状体を保護しながら柱状体の斜立角度を可逆的に変化させることができる。
本発明の第12の発明は、第2の発明または第3の発明において、ケイ素を含むSiOxで表される材料のxの値を柱状体部の高さ方向の両端部近傍または中間部近傍で大きくして、膨張・収縮の小さい層を設けた構成を有する。これにより、柱状体の形状変化を膨張・収縮量の少ないSiOxを形成して部分的に抑制し、柱状体間の空隙を維持するとともに、長寿命で、放電時においてハイレート放電や低温特性を大幅に改善できる負極を実現できる。
本発明の第13の発明は、第4の発明において、ケイ素を含むSiOxで表される材料のxの値を柱状体の外周表面で大きくして、膨張・収縮の小さい層を設けた構成を有する。これにより、柱状体の膨張・収縮を抑制して剥離強度を向上させるとともに、膨張時に柱状体間の空隙を維持するため、放電時においてハイレート放電や低温特性を向上させることができる。さらに、膨張・収縮により外周表面にクラックが形成されるため、このクラックが電解液の通り道となり、放電時においてハイレート放電や低温特性を向上させることができる。
本発明の第14の発明は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出する非水電解質二次電池用負極の製造方法であって、少なくとも集電体の片面に凹部と凸部を形成する第1ステップと、蒸着源と集電体の法線との成す角度が大きくなる方向に集電体を移動させながら、凸部に1段目の柱状体部を斜立させて形成する第2ステップと、角度が小さくなる方向に集電体を移動させながら、1段目の柱状体部の斜立方向と異なる方向に斜立する2段目の柱状体部を形成する第3ステップと、を含み、第2ステップと第3ステップを少なくとも1回以上繰り返して奇数段目と偶数段目の柱状体部の斜立方向が異なる、n(n≧2)段からなる柱状体を形成するとともに、少なくとも柱状体部を形成するいずれかのステップにおいて、リチウムイオンの吸蔵・放出による膨張・収縮の小さい層を形成する。
これにより、柱状体の形状変化を部分的に抑制して柱状体間の空隙を維持し、長寿命で、放電時においてハイレート放電や低温特性を大幅に改善できる負極を容易に作製できる。
本発明の第15の発明は、第14の発明において、膨張・収縮の小さい層を、柱状体部の高さ方向の両端部近傍に形成する。これにより、柱状体と凸部間や、n段構成からなる柱状体の柱状体部間の膨張・収縮を抑制して剥離強度を向上させ、信頼性に優れた負極を作製できる。
本発明の第16の発明は、第14または第15の発明において、膨張・収縮の小さい層を、柱状体部の高さ方向の中間部近傍に形成する。これにより、同じ斜立方向で連続して形成される柱状体部間の膨張・収縮を抑制して剥離強度を向上させた負極を生産性よく作製できる。
本発明の第17の発明は、第14から第16の発明のいずれかにおいて、膨張・収縮の小さい層を、柱状体の外周表面または2段以上に積層した柱状体部の外周表面に形成する。これにより、柱状体の膨張・収縮を抑制して剥離強度を向上させることができる。さらに、膨張時に柱状体間の空隙を維持するため、放電時においてハイレート放電や低温特性を向上させることができる。
本発明の第18の発明は、第14の発明において、蒸着源に対する集電体の角度の変化する方向が、奇数段目と偶数段目で異なる。これにより、柱状体部間の結合界面の負極活物質の元素比率を等しくして膨張・収縮量を小さくし、剥離しにくい界面を形成することができる。
本発明の第19の発明は、第1から第13の発明のいずれかの非水電解質二次電池用負極と、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出する正極と、非水電解質とを備えた非水電解質二次電池である。これにより、安全性が高く、ハイレート特性や低温特性に優れた非水電解質二次電池が得られる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら、同一部分には同一符号を付して説明する。なお、本発明は、本明細書に記載された基本的な特徴に基づく限り、以下に記載の内容に限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における非水電解質二次電池の断面図である。
図1に示すように、積層型の非水電解質二次電池(以下、「電池」と記す場合がある)は、以下で詳述する負極1と、負極1に対向し放電時にリチウムイオンを還元する正極2と、これらの間に介在し負極1と正極2との直接接触を防ぐ多孔質のセパレータ3とで構成される電極群4を具備する。電極群4とリチウムイオン伝導性を有する非水電解質(図示せず)は、外装ケース5の内部に収容されている。リチウムイオン伝導性を有する非水電解質は、セパレータ3に含浸されている。また、正極集電体2aおよび負極集電体1aには、それぞれ正極リード(図示せず)および負極リード(図示せず)の一端が接続されており、その他端は外装ケース5の外部に導出されている。さらに、外装ケース5の開口部は、樹脂材料により封止されている。そして、正極2は、正極集電体2aと、正極集電体2aに担持された正極合剤層2bから構成されている。
さらに、以下で詳細に説明するように、負極1は、凹部と凸部を有する負極集電体1aと、少なくとも負極集電体1aの凸部上に斜立して設けられたn(n≧2)段の柱状体部が、例えばつづら折り形状で折り畳まれて積層された柱状体1bとで構成されている。
そして、柱状体の内部には、リチウムイオンの吸蔵・放出に対して膨張・収縮の小さい層が設けられている。なお、膨張・収縮の小さい層は、少なくとも1つの柱状体部間、少なくとも1つの柱状体部の内部や柱状体部に設けられている。この時、膨張・収縮の小さい層は、柱状体を構成する負極活物質の元素の含有比率を、例えば順次変化させて形成してもよい。例えば、柱状体部が、含ケイ素を含むSiOxからなる負極活物質の場合、膨張・収縮の小さい層近傍のxの値が、それ以外の柱状体部のxの値よりも大きくした、すなわち構成元素である酸素(O)の構成比率を大きくする。
また、n(n≧2)段に積層して構成された柱状体部は、その奇数段目と偶数段目の元素の含有比率の変化方向が異なるように形成されていてもよい。
ここで、正極合剤層2bは、LiCoOやLiNiO、LiMnO、またはこれらの混合あるいは複合化合物などの含リチウム複合酸化物を正極活物質として含む。正極活物質としては上記以外に、LiMPO(M=V、Fe、Ni、Mn)の一般式で表されるオリビン型リン酸リチウム、LiMPOF(M=V、Fe、Ni、Mn)の一般式で表されるフルオロリン酸リチウムなども利用可能である。さらに、これら含リチウム化合物の一部を異種元素で置換してもよい。金属酸化物、リチウム酸化物、導電剤などで表面処理してもよく、表面を疎水化処理してもよい。
正極合剤層2bは、さらに、導電剤と結着剤とを含む。導電剤としては、天然黒鉛や人造黒鉛のグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類、炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維類、フッ化カーボン、アルミニウムなどの金属粉末類、酸化亜鉛やチタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー類、酸化チタンなどの導電性金属酸化物、フェニレン誘導体などの有機導電性材料を用いることができる。
また結着剤としては、例えばPVDF、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチルエステル、ポリアクリル酸エチルエステル、ポリアクリル酸ヘキシルエステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチルエステル、ポリメタクリル酸エチルエステル、ポリメタクリル酸ヘキシルエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル、ポリエーテルサルフォン、ヘキサフルオロポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロースなどが使用可能である。また、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、エチレン、プロピレン、ペンタフルオロプロピレン、フルオロメチルビニルエーテル、アクリル酸、ヘキサジエンより選択された2種以上の材料の共重合体を用いてもよい。またこれらのうちから選択された2種以上を混合して用いてもよい。
正極2に用いる正極集電体2aとしては、アルミニウム(Al)、炭素、導電性樹脂などが使用可能である。また、このいずれかの材料に、カーボンなどで表面処理してもよい。
非水電解質には有機溶媒に溶質を溶解した電解質溶液や、これらを含み高分子で非流動化されたいわゆるポリマー電解質層が適用可能である。少なくとも電解質溶液を用いる場合には正極2と負極1との間にポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂、アミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミドなどからなる不織布や微多孔膜などのセパレータ3を用い、これに電解質溶液を含浸させるのが好ましい。またセパレータ3の内部あるいは表面には、アルミナ、マグネシア、シリカ、チタニアなどの耐熱性フィラーを含んでもよい。セパレータ3とは別に、これらのフィラーと、正極2および負極1に用いるのと同様の結着剤とから構成される耐熱層を設けてもよい。
非水電解質材料としては、各活物質の酸化還元電位などを基に選択される。非水電解質に用いるのが好ましい溶質としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAlCl、LiSbF、LiSCN、LiCFSO、LiNCFCO、LiAsF、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiF、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、ビス(1,2−ベンゼンジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(2,3−ナフタレンジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(2,2’−ビフェニルジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(5−フルオロ−2−オレート−1−ベンゼンスルホン酸−O,O’)ホウ酸リチウムなどのホウ酸塩類、(CFSONLi、LiN(CFSO)(CSO)、(CSONLi、テトラフェニルホウ酸リチウムなど、一般にリチウム電池で使用されている塩類を適用できる。
さらに、上記塩を溶解させる有機溶媒には、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、ジメトキシメタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、エトキシメトキシエタン、トリメトキシメタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのテトラヒドロフラン誘導体、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソランなどのジオキソラン誘導体、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、スルホラン、3−メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、エチルエーテル、ジエチルエーテル、1,3−プロパンサルトン、アニソール、フルオロベンゼンなどの1種またはそれ以上の混合物など、一般にリチウム電池で使用されているような溶媒を適用できる。
さらに、ビニレンカーボネート、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ビニルエチレンカーボネート、ジビニルエチレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート、ジアリルカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、カテコールカーボネート、酢酸ビニル、エチレンサルファイト、プロパンサルトン、トリフルオロプロピレンカーボネート、ジベンゾフラン、2,4−ジフルオロアニソール、o−ターフェニル、m−ターフェニルなどの添加剤を含んでいてもよい。
なお、非水電解質は、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリホスファゼン、ポリアジリジン、ポリエチレンスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレンなどの高分子材料の1種またはそれ以上の混合物などに上記溶質を混合して、固体電解質として用いてもよい。また、上記有機溶媒と混合してゲル状で用いてもよい。さらに、リチウム窒化物、リチウムハロゲン化物、リチウム酸素酸塩、LiSiO、LiSiO−LiI−LiOH、LiPO−LiSiO、LiSiS、LiPO−LiS−SiS、硫化リン化合物などの無機材料を固体電解質として用いてもよい。ゲル状の非水電解質を用いる場合、ゲル状の非水電解質をセパレータ3の代わりに負極1と正極2との間に配置してもよい。または、ゲル状の非水電解質は、セパレータ3に隣接するように配置してもよい。
そして、負極1の負極集電体1aは、ステンレス鋼、ニッケル、銅、チタンなどの金属箔、炭素や導電性樹脂の薄膜などが用いられる。さらに、カーボン、ニッケル、チタンなどで表面処理を施してもよい。
また、負極1の柱状体1bを構成する柱状体部としては、ケイ素(Si)やスズ(Sn)などのようにリチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出する理論容量密度が833mAh/cmを超える負極活物質を用いることができる。このような活物質であれば、単体、合金、化合物、固溶体および含ケイ素材料や含スズ材料を含む複合活物質のいずれであっても、本発明の効果を発揮させることは可能である。すなわち、含ケイ素材料として、Si、SiOx(0<x≦2.0)、またはこれらのいずれかにAl、In、Cd、Bi、Sb、B、Mg、Ni、Ti、Mo、Co、Ca、Cr、Cu、Fe、Mn、Nb、Ta、V、W、Zn、C、N、Snからなる群から選択される少なくとも1つの元素でSiの一部を置換した合金や化合物、または固溶体などを用いることができる。含スズ材料としてはNiSn、MgSn、SnOx(0<x≦2.0)、SnO、SnSiO、LiSnOなどを適用できる。
これらの負極活物質は単独で構成してもよく、また複数種の負極活物質により構成してもよい。上記複数種の負極活物質により構成する例として、Siと酸素と窒素とを含む化合物やSiと酸素とを含み、Siと酸素との構成比率が異なる複数の化合物の複合物などが挙げられる。
以下、本発明の実施の形態1における非水電解質二次電池用負極(以下、「負極」と記す場合がある)について、図2と図3を用いて詳細に説明する。なお、以下では、例えば少なくともケイ素を含むSiOx(0≦x≦2.0)で表される負極活物質(以下、「活物質」と記す)を例に説明するが、これに限定されるものではない。
図2(a)は本発明の実施の形態1における負極の構造を示す部分断面模式図で、図2(b)は本発明の実施の形態1の負極の充電時の状態を説明する部分断面模式図である。
図2(a)に示すように、例えば銅箔などの導電性金属材料よりなる負極集電体(以下、「集電体」と記す)11の少なくとも上面には凹部12と凸部13が設けられている。そして、凸部13の上部には、負極1を構成する、SiOxで表される活物質が、例えばスパッタリング法または真空蒸着法などを用いた斜方蒸着法により斜立してn段(n≧2)の柱状体部からなる柱状体15の形状で形成されている。
以下では、n=8段からなる第1柱状体部151〜第8柱状体部158を折り畳んだ状態で積層して構成した柱状体15を例に、具体的に説明するが、n≧2であればよく、これに限られない。
まず、柱状体15の第1柱状体部151は、少なくとも集電体11の凸部13の上で第1柱状体部151の斜立方向の中心線(図示せず)と集電体11の厚み方向の中心線(AA−AA)とが交差角度(以下、「斜立角度」と記す)θ(図示せず)を成すように形成されている。そして、柱状体15の第2柱状体部152は、第1柱状体部151の上に、その斜立方向が第1柱状体部151の斜立方向と異なる、例えば斜立角度θ(図示せず)(180°−θ)を成すように形成されている。同様に、奇数段目の第3柱状体部153、第5柱状体部155と第7柱状体部157は第1柱状体部151の斜立方向と同じ方向で形成され、偶数段目の第4柱状体部154、第6柱状体部156と第8柱状体部158は第2柱状体部152の斜立方向と同じ方向で形成され、柱状体15を構成している。この時、各柱状体部の斜立角度は、90°以内の範囲であれば同じでも異なっていてもよい。
ここで、柱状体15の第5柱状体部155は、例えばSiOxからなる活物質のxの値が大きい、リチウムイオンの吸蔵・放出に対して膨張・収縮の小さい層155bと、その層よりもxの値が小さい、つまりリチウムイオンの吸蔵・放出に対して膨張・収縮の大きい層155a、155cとから構成されている。この時、柱状体15の膨張・収縮の小さい層155b以外の部分のxの値は、膨張・収縮の小さい層155bのxの値より小さければ、例えば、幅方向や高さ方向で異なっていても同じであってもよく、各柱状体部内でxの値を変化させて形成してもよい。
上記のように構成された柱状体15を有する負極は、図2(b)に示すように、充電時、リチウムイオンの吸蔵により、膨張・収縮の小さい層155b以外の柱状体15は膨張する。一般に、膨張・収縮の小さい層155bを形成しない場合、例えば集電体11の凸部13から上方に向かって逆円錐形状に膨張するが、膨張・収縮の小さい層155bで膨張を抑制することにより、例えば膨張・収縮の小さい層155bを挟んで太鼓状に膨張する。これにより、柱状体15同士の上端部近傍での接触を防止または緩和できるため、柱状体の剥離やクラックまたは集電体の皺や変形を抑制し、サイクル特性などの長寿命化、ハイレート放電や低温特性などの信頼性や電池特性に優れた負極を実現できる。
なお、図2(a)では、膨張・収縮の小さい層155bと膨張・収縮の大きい層155a、155cで、xの値が明確に異なる図で示したが、これに限られない。例えば、膨張・収縮の小さい層155bから膨張・収縮の大きい層155a、155cに向かってxの値を順次小さくなるように変化させて形成してもよい。これにより、膨張・収縮の応力が界面に集中しないので、さらに信頼性を向上させることができる。
また、本実施の形態では、膨張・収縮の小さい層155bを柱状体15に1つ形成した例で説明したが、これに限られない。例えば、複数の柱状体部の内部あるいは柱状体部全体に形成してもよい。これにより、柱状体の形状変化を任意に抑制できるため、柱状体の高さ、間隔などの設計自由度を大幅に向上できる。
以下に、本実施の形態の非水電解質二次電池用負極を用いて構成した二次電池の充放電時の動作について、図3を用いて説明する。
図3(a)は本発明の実施の形態1における非水電解質二次電池の充電前の状態を示す部分断面模式図であり、図3(b)は本発明の実施の形態1における非水電解質二次電池の充電後の状態を示す部分断面模式図である。
集電体11の凸部13の上に斜立してn=8段の柱状体部で形成された柱状体15は、非水電解質二次電池の充電時、リチウムイオンの吸蔵により、膨張・収縮の小さい層155b以外の柱状体15の体積が膨張する。これにより、図3(b)に示すように、膨張・収縮の小さい層155bで形状変化が抑制され、その上下で太鼓状に膨張する。逆に、放電時、リチウムイオンの放出により、図3(a)に示すように、柱状体の太鼓状に膨張した体積が収縮し、初期の状態の柱状体15になる。
この時、図3(b)に示すように、完全充電された電池を放電する場合、充電により膨張した柱状体15は、膨張・収縮の小さい層155bで膨張が抑制されるため、隣接する柱状体15間の接触などが防止されるとともに、非水電解質などからなる電解液18は、図面中の矢印で示すように、柱状体15の間を容易に移動することができる。また、柱状体15間にある電解液18は、柱状体15間の空隙を介して容易に対流できるので、リチウムイオンの移動などが妨げられない。その結果、ハイレート放電や低温時の放電特性を大幅に改善できる。
上記で説明したように、例えばSiOxからなる柱状体の内部に、元素の構成比率(xの値)を高めて膨張・収縮の小さい層を形成し、柱状体の形状変化を抑制することで、充放電サイクルにおける柱状体同士の接触を防止して、剥離などのしにくい信頼性に優れた負極を実現できる。
本発明の実施の形態1によれば、高容量化を可能としながら、充放電サイクルにおける高い容量維持率を実現するとともに、柱状体同士の接触による柱状体の剥離や集電体の皺などを生じない信頼性に優れた非水電解質二次電池を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態1における非水電解質二次電池用負極の柱状体の製造方法について、図4、図5と図6を用いて、詳細に説明する。
図4と図5は、本発明の実施の形態1における非水電解質二次電池用負極のn段の柱状体部からなる柱状体の製造方法を説明する部分断面模式図であり、図6はその製造装置を説明する模式図である。なお、以下では、n=8段の柱状体部からなる柱状体を例に説明する。
ここで、図6に示す柱状体を形成する製造装置40は、真空容器41中に、加熱手段である電子ビーム(図示せず)と、酸素ガスを真空容器41内に導入するガス導入配管42と、集電体を固定する固定台43とを備え、真空ポンプ47で減圧される構成を有している。ガス導入配管42は、真空容器41内に酸素ガスを放出するノズル45を備え、集電体を固定する固定台43はノズル45の上方に設置されている。また、固定台43の鉛直下方には、集電体の表面に堆積して柱状体を形成する蒸着源46が設置されている。そして、製造装置40では、固定台43の角度により、集電体と蒸着源46との位置関係を変更可能である。すなわち、n段から構成される柱状体の各段の斜立方向が、集電体の表面の法線方向と水平方向とが成す角ωを固定台43により変更することにより制御される。
なお、本製造装置は、集電体の片面にn段の柱状体部を形成して柱状体を作製する一例を示したものであるが、実際には、集電体の両面に柱状体を作製する装置構成が一般的である。
まず、図4(a)と図6に示すように、厚さ30μmの帯状電解銅箔を用いて、その表面にメッキ法で凹部12と凸部13を形成し、凸部13が、例えば高さ7.5μm、幅10μm、間隔20μmで形成された集電体11を準備する。そして、図6に示す固定台43に集電体11が装着される。
つぎに、図4(b)と図6に示すように、蒸着源46に対して、固定台43を集電体11の法線方向に対して角度ω(例えば60°)で配置し、例えばSi(スクラップシリコン:純度99.999%)などの活物質を、電子ビームで加熱して蒸発させ、集電体11の凸部13上に、図4(b)中の矢印方向から入射させる。この時、例えば真空容器41の内部は、圧力4×10−2Pa程度の真空度とした。これにより、Siからなる活物質が、角度ωに配置された固定台43に設置された集電体11の凸部13上に角度θで、例えば斜立方向の厚み3μmの第1柱状体部151が形成される。
つぎに、図4(c)と図6に示すように、凸部13上に第1柱状体部151が形成された集電体11を、図面中の破線で示すように固定台43を回転させて、集電体11の法線方向に対して角度(180−ω)(例えば120°)の位置に配置する。そして、蒸着源46から、例えばSi(スクラップシリコン:純度99.999%)などの活物質を蒸発させ、集電体11の第1柱状体部151に、図4(c)中の矢印方向から入射させる。この時、例えば真空容器41の内部は、圧力4×10−2Pa程度の真空度とした。これにより、Siからなる活物質が第1柱状体部151上に角度θで、例えば斜立方向の厚み(高さ)3μmの第2柱状体部152が形成される。この時、第1柱状体部151と第2柱状体部152とは、集電体11の面方向に対して、斜立する角度と斜立方向が異なって形成される。
つぎに、図4(d)と図6に示すように、図4(b)と図4(c)を繰り返すことにより、第2柱状体部152上に、第3柱状体部153および第4柱状体部154を形成する。そして、図4(b)と同様な方法により、第4柱状体部154上に、第5柱状体部の一部をなすSiからなる活物質で膨張・収縮の大きい層155aを形成する。
つぎに、図5(a)と図6に示すように、膨張・収縮の大きい層155aの上に、SiOxからなる活物質で膨張・収縮の小さい層155bを、以下に方法により形成する。
まず、蒸着源46から、例えばSi(スクラップシリコン:純度99.999%)などの活物質を蒸発させ、膨張・収縮の大きい層155aの上に、図5(a)中の矢印方向から入射させる。この時、例えば真空容器41の内部には、ガス導入配管42から酸素(O)ガスが導入され、ノズル45から集電体11に向けて供給される。そして、例えば真空容器41の内部を、圧力1.3×10−1Pa程度の酸素雰囲気とした。これにより、例えばx=1.8程度にSiと酸素の結合したSiOxの活物質が、膨張・収縮の小さい層155bとして形成される。
つぎに、図5(b)に示すように、図4(d)と同様の方法により、膨張・収縮の小さい層155b上に、第5柱状体部の一部をなすSiからなる活物質で膨張・収縮の大きい層155cを形成する。これにより、膨張・収縮の小さい層155bを膨張・収縮の大きい層155a、155cで挟んで第5柱状体部155が形成される。
つぎに、図5(c)に示すように、図4(c)と図4(b)の工程を繰り返すことにより、斜立方向の厚み(高さ)3μmからなる第6柱状体部156〜第8柱状体部158を形成する。
上記工程により、第1柱状体部151〜第8柱状体部158からなり、少なくとも一部に膨張・収縮の小さい層155bを有する柱状体15が形成される。この時、図2に示すように、奇数段目の第1柱状体部151、第3柱状体部153、第5柱状体部155、第7柱状体部157と偶数段目の第2柱状体部152、第4柱状体部154、第6柱状体部156、第8柱状体部158は、斜立角度と斜立方向が異なって形成される。
なお、上記では、柱状体15の膨張・収縮の小さい層155b以外では、酸素を導入しない状態で各柱状体部などを形成した例で説明したが、これに限られない。例えば、膨張・収縮の小さい層155bのxの値より、小さいxの値を有する活物質で形成してもよい。これにより、膨張・収縮の小さい層155bの界面における応力を低減して信頼性を向上できる。
以上により、n=8段の柱状体部からなる柱状体15を有する負極1が作製される。
なお、上記ではn=8段の柱状体部からなる柱状体を例に説明したが、これに限られず、任意のn段(n≧2)の柱状体部からなる柱状体を形成してもよい。
また、上記では膨張・収縮の小さい層155bを柱状体15に1つ形成した例で説明したが、これに限られない。例えば、複数の柱状体部の内部あるいは柱状体部全体に形成してもよい。
また、上記製造装置では、所定の大きさを有する集電体に、柱状体を作製する例で説明したが、これに限られず各種装置構成が可能である。例えば、ロール状の集電体を送り出しロールと巻取りロール間に配置して、その間に成膜ロールをシリーズに複数個配置して、集電体を一方方向に移動しながらn段の柱状体を作製してもよい。さらに、集電体の片面に柱状体を形成した後、集電体を反転させて集電体の他方の面に柱状体を形成してもよい。これにより、生産性よく負極を作製できる。
以下に、本発明の実施の形態1における非水電解質二次電池用負極の別の例について、図7から図9を用いて説明する。
図7は、本発明の実施の形態1における非水電解質二次電池用負極の別の例1の構造を示す部分断面模式図で、図8は本発明の実施の形態1における非水電解質二次電池用負極の別の例2の構造を示す部分断面模式図で、図9は本発明の実施の形態1における非水電解質二次電池用負極の別の例3の構造を示す部分断面模式図である。
図7に示す負極1cは、柱状体15の外周表面に膨張・収縮の小さい層159を設けた点で、上記負極1とは異なる。
そして、柱状体15の外周表面の膨張・収縮の小さい層159は、上記実施の形態1の負極1を形成した後、例えば真空容器中から大気中に戻すことにより形成できる。また、図6に示す製造装置40の固定台43の蒸着源46に対する角度ωを0°とした状態で、ノズル45から酸素を導入して、例えば蒸着源46からSiを蒸発させ柱状体15の外周表面に膨張・収縮の小さい層を形成してもよい。
これにより、膨張・収縮の小さい層155bの界面における応力を低減できる。さらに、膨張・収縮の小さい層159が柱状体の外周表面の応力を低減することにより、柱状体間の空隙を維持し、放電時においてハイレート放電や低温特性を向上させることができる。
また、図8に示す負極1dは、柱状体15の外周表面に膨張・収縮の小さい層159を設け、第5柱状体部155の膨張・収縮の小さい層155bを省略した点で、上記負極1とは異なる。
これにより、膨張・収縮の小さい層159が柱状体の外周表面の応力を低減するとともに、柱状体間の空隙を維持して放電時においてハイレート放電や低温特性を向上させることができる。この時、膨張・収縮の小さい層159に応力が繰り返して加わることでクラックが形成された場合でも、クラックが電解液の通り道となり、電池の信頼性を維持できる。
また、図9に示す負極1eは、柱状体15の所定の柱状体部の外周表面に膨張・収縮の小さい層160を設け、第5柱状体部155の膨張・収縮の小さい層155bを省略した点で、上記負極1とは異なる。
これにより、膨張・収縮の小さい層160が第1柱状体部151〜第4柱状体部154の外周表面の応力を低減することで柱状体間の集電体付近における膨張を抑制し剥離強度を向上させることができる。さらに、集電体周辺の空隙を維持することで、電解液が空隙を介して容易に対流できるため、放電時においてハイレート放電や低温特性を向上させることができる。
以下、本実施の形態を実施例を用いてより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない限りにおいて、用いる材料などを変更して実施することが可能である。
(実施例1)
(1)負極の作製
図6に示す製造装置を用いて、n=8段の柱状体部からなる柱状体を備えた負極を作製した。この時、5段目の柱状体部に膨張・収縮の小さい層を形成した。
まず、集電体として、メッキ法を用いて、その表面に凸部を幅10μm、高さ7.5μm、間隔20μmで形成した厚さ30μmの帯状電解銅箔を用いた。
そして、負極の活物質材料としてSiを用い、蒸着ユニット(蒸着源、るつぼ、電子ビーム発生装置をユニット化したもの)を用いて、例えばx=0.2のSiOxからなる第1柱状体部を作製した。この時、真空容器の内部は、圧力4×10−2Paの真空度とした。また、蒸着時には、電子ビーム発生装置により発生させた電子ビームを偏向ヨークにより偏向させ、蒸着源に照射した。なお、蒸着源には半導体ウェハを形成する際に生じる端材(スクラップシリコン:純度99.999%)を用いた。
この時、1段目の柱状体部は、固定台の角度を調整し、角度ωが60°になるようにし、約8nm/sの成膜速度で、例えば、高さ3.0μmで形成した。
そして、実施の形態1で説明した形成方法で、第2柱状体部から第4柱状体部を第1柱状体部と同様の条件で、各高さ3μmで形成した。
同様に、第5柱状体部の膨張・収縮の大きい層を第1柱状体部と同じ条件で、高さ0.5μm程度で形成した。そして、第5柱状体部の膨張・収縮の小さい層を、純度99.7%の酸素ガスをノズル45から真空容器内に導入して、例えばx=1.8のSiOxで形成した、さらに、酸素ガスの導入を停止して、第5柱状体部の膨張・収縮の大きい層を第1柱状体部と同じ条件で、高さ0.5μm程度で形成し、第5柱状体部を形成した。
また、同様に、第6柱状体部から第8柱状体部を第1柱状体部と同様の条件で、各高さ3μmで形成した。
上記により、高さ24μmで、第5柱状体部に膨張・収縮の小さい層を有するn=8段からなる柱状体を作製した。
なお、負極中の柱状体の集電体の中心線に対する角度を走査型電子顕微鏡(日立製S−4700)を用い、断面観察により評価したところ各段の柱状体部の斜立角度は約41°であるが、柱状体としては集電体の凸部の鉛直上に形成されていた。
また、EPMAを用い負極の柱状体を構成する各段の柱状体部の集電体の法線方向の線分布測定で酸素分布を調べたところ、膨張・収縮の小さい層以外は、各柱状体部の高さ方向において、平均含有酸素比率(xの値)は、x=0.18〜x=0.23であり、膨張・収縮の小さい層では平均含有酸素比率(xの値)が、x=1.85程度で形成されていた。
上記により、集電体の凸部上に8段の柱状体部からなる柱状体を備えた負極を得た。
その後、負極表面に真空蒸着法によって10μmのLi金属を蒸着した。さらに、負極の内周側に、正極と対向しないCu箔に露出部を設け、Cu製の負極リードを溶接した。
(2)正極の作製
リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極活物質を有する正極を、以下の方法で作製した。
まず、正極活物質であるLiCoO粉末を93重量部と、導電剤であるアセチレンブラックを4重量部とを混合した。得られた粉末に結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(呉羽化学工業(株)製の品番♯1320)を、PVDFの重量が3重量部となるように混合した。得られた混合物に適量のNMPを加えて、正極合剤用ペーストを調製した。得られた正極合剤用ペーストをアルミニウム(Al)箔からなる正極集電体(厚さ15μm)上にドクターブレード法を用いて集電体の両面に塗布して、正極合剤層の密度が3.5g/cc、厚さ160μmとなるように圧延し、85℃で充分に乾燥させ、これを裁断して正極を得た。正極の内周側に負極と対向しないAl箔に露出部を設け、Al製の正極リードを溶接した。
(3)電池の作製
上記のようにして作製した負極と正極を、厚さが25μmの多孔質ポリプロピレンからなるセパレータを介して、積層して、40mm×30mm角の電極群を構成した。そして、電極群に、電解液としてLiPFのエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート混合溶液を含浸して外装ケース(材質:アルミニウム)に収容し、外装ケースの開口部を封止して、積層型電池を作製した。なお、電池の設計容量は21mAhとした。これを、サンプル1とする。
(実施例2)
柱状体の外周表面に、膨張・収縮の小さい層を、厚さ0.3μmで形成した以外は、実施例1と同様にして、負極を作製した。この時、膨張・収縮の小さい層は、柱状体を形成した後、真空容器から、大気中で曝すことにより形成した。
上記負極を用いた以外は、実施例1と同様の方法により作製した非水電解質二次電池をサンプル2とした。
(実施例3)
柱状体の内部に、膨張・収縮の小さい層を形成せずに、実施例1と同様の方法によりn=8段の柱状体部を形成した後、柱状体の外周表面に膨張・収縮の小さい層を、厚さ0.3μmで実施例2と同様の方法で形成し負極を作製した。
上記負極を用いた以外は、実施例1と同様の方法により作製した非水電解質二次電池をサンプル3とした。
(実施例4)
第1柱状体部から第4柱状体部までを実施例1と同様の方法により形成した後、その外周表面に膨張・収縮の小さい層を、厚さ0.3μmで実施例2と同様の方法で形成した。さらに、その上に、第5柱状体部から第8柱状体部を実施例1と同様の方法で形成し、n=8段からなる柱状体を作製して、負極を作製した。
上記負極を用いた以外は、実施例1と同様の方法により作製した非水電解質二次電池をサンプル4とした。
(比較例1)
膨張・収縮の小さい層を形成せずに、n=8段からなる柱状体部を、各高さ(厚み)3μmで柱状体を形成した以外は、実施例1と同様の方法で負極を作製した。
この時、各段の柱状体部の集電体の法線方向の線分布測定で酸素分布を調べたところ、平均含有酸素比率(xの値)は、x=0.18〜x=0.23で形成されていた。
上記負極を用いた以外は、実施例1と同様の方法により作製した非水電解質二次電池をサンプルC1とする。
以上のように作製した各非水電解質二次電池に対し、以下に示す評価を行った。
(電池容量の測定)
各非水電解質二次電池を、25℃環境温度において以下の条件で充放電した。
まず、設計容量(21mAh)に対し、時間率1.0C(21mA)の定電流で電池電圧が4.2Vになるまで充電し、4.2Vの定電圧で時間率0.05C(1.05mA)の電流値に減衰させる定電圧充電を行った。その後、30分間休止した。
その後、時間率0.2C(4.2mA)の電流値で、電池電圧が3.0Vに低下するまで定電流で放電した。
そして、上記を1サイクルとして、3サイクル目の放電容量を電池容量とした。
(充放電サイクル特性)
各非水電解質二次電池を、25℃環境温度において、以下の条件で充放電を繰り返した。
まず、設計容量(21mAh)に対し、時間率1.0C(21mA)の定電流で電池電圧が4.2Vになるまで充電し、4.2Vの定電圧で充電電流が時間率0.05C(1.05mA)の電流値に低下するまで充電した。そして、充電後30分間休止した。
その後、時間率0.2C(4.2mA)の電流値で電池電圧が3.0Vに低下するまで定電流で放電した。そして、放電後30分間休止した。
上記充放電サイクルを1サイクルとして、それを500回繰り返した。そして、1サイクル目の放電容量に対する500サイクル目の放電容量の割合を、百分率で表した値を容量維持率(%)とした。すなわち、容量維持率が100に近いほど充放電サイクル特性が優れていることを示す。
また、充電容量に対する、0.2C(4.2mA)放電での放電容量の割合を、百分率で表した値を充放電効率(%)とした。さらに、0.2C(4.2mA)放電での放電容量に対する、1.0C(21mA)ハイレート放電での放電容量の割合を、百分率で表した値をハイレート比率(%)とした。
そして、上記容量維持率、充放電効率とハイレート比率を、10サイクル目と500サイクル目で測定した。
以下に、サンプル1〜4とサンプルC1の諸元と評価結果を(表1)および(表2)に示す。
Figure 2008192594
Figure 2008192594
また、図20に、充放電サイクル特性の一例としてサンプル1とサンプルC1の評価結果を示す。
(表1)、(表2)と図20に示すように、サンプル1とサンプルC1とを比較すると、サイクル初期の10サイクル目程度では、容量維持率の差がなかった。しかし、500サイクル目では、サンプル1は80%程度の容量維持率を示したのに対して、サンプルC1は容量維持率が35%程度まで低下している。これは、柱状体の内部に膨張・収縮の小さい層を設けることにより、柱状体の膨張・収縮を抑制して、充放電時に集電体との界面への応力を低減し、サイクル評価時に集電体から剥がれにくくなったと考えられる。よって、柱状体の内部に膨張・収縮の小さい層を備えた負極とすることが、サイクル特性向上において効果的であることが確認された。
また、(表1)、(表2)に示すように、サンプル1からサンプル4において、柱状体の構成において、膨張・収縮の小さい層の形成位置を変えても、容量維持率、充放電効率およびハイレート比率の差はほとんどなく、優れたサイクル特性を維持できることがわかった。
以上から、柱状体の内部、および外部に少なくとも1つ以上の膨張・収縮の小さい層を備えた構造を持つ負極とすることが、ハイレート特性、サイクル特性の向上において効果的であることが確認された。
(実施の形態2)
以下に、本発明の実施の形態2における負極の構造を、図10を用いて説明する。
図10(a)は本発明の実施の形態2における負極の構造を示す部分断面模式図で、図10(b)は本発明の実施の形態2の各柱状体部を構成する活物質の幅方向のxの値の変化を説明する模式図で、図10(c)は本発明の実施の形態2の各柱状体部を構成する活物質の高さ方向のxの値の変化を説明する模式図である。なお、本実施の形態においても、図1と同様の積層型の電池を用いるので、詳細な説明は省略する。また、正極合剤層、正極集電体、集電体や柱状体部などの構成材料も、実施の形態1と同様であるので、詳細な説明は省略する。また、以下では、例えば少なくともケイ素を含むSiOx(0≦x≦2.0)で表される活物質を例に説明するが、これに限定されるものではない。
図10(a)に示すように、例えば銅箔などの導電性金属材料よりなる集電体11の少なくとも上面には凹部12と凸部13が設けられている。そして、凸部13の上部には、負極20を構成する、SiOxで表される活物質が、例えばスパッタリング法または真空蒸着法などを用いた斜方蒸着法により斜立してn段(n≧2)の柱状体部からなる柱状体25の形状で形成されている。
以下では、n=2段からなる第1柱状体部251と第2柱状体部252を積層して構成した柱状体25を例に、具体的に説明するが、n≧2であればよく、これに限られない。
まず、柱状体25の第1柱状体部251は、少なくとも集電体11の凸部13の上で第1柱状体部251の斜立方向の中心線(A)と集電体11の厚み方向の中心線(AA−AA)とが斜立角度θを成すように形成されている。そして、柱状体25の第2柱状体部252は、第1柱状体部251の上に、その斜立方向の中心線(B)と集電体11の厚み方向の中心線(AA−AA)とが斜立角度θを成すように形成されている。この時、柱状体25を構成する第1柱状体部251と第2柱状体部252は、図10(b)で模式的に示すように、例えばSiOxからなる第1柱状体部251と第2柱状体部252の幅方向の元素の含有比率、例えばxの値の変化する方向が異なるように設けられる。すなわち、第1柱状体部251と第2柱状体部252の鋭角を成す斜立角度側から、鈍角を成す側に向かって、xの値を順次大きくするものである。なお、図10(b)では、xの値が直線的に変化するように示しているが、これに限られない。
さらに、図10(c)に示すように、第1柱状体部251では、集電体11の凸部13近傍と先端近傍のxの値が、第1柱状体部の中間部のxの値より大きく酸素原子の含有比率の高い、リチウムイオンの吸蔵・放出に対して膨張・収縮の小さい層(図示せず)が形成されている。同様に、第2柱状体部252では、第1柱状体部251と結合する近傍と先端近傍のxの値が、第2柱状体部252の中間部のxの値より大きく酸素原子の含有比率の高い、リチウムイオンの吸蔵・放出に対して膨張・収縮の小さい層(図示せず)が形成されている。
ここで、第1柱状体部251や第2柱状体部252の高さは、電池の設計容量や隣接する柱状体と接触しない高さであれば任意である。同様に、斜立角度θ、θは、隣接する柱状体25が、リチウムイオンの吸蔵・放出時の膨張・収縮により接触しなければ、同じ角度でも異なる角度であってもよい。
以下に、本実施の形態の非水電解質二次電池用負極を用いて構成した二次電池の充放電時の動作について、図11を用いて説明する。
図11(a)は本発明の実施の形態2における非水電解質二次電池の充電前の状態を示す部分断面模式図であり、図11(b)は本発明の実施の形態2における非水電解質二次電池の充電後の状態を示す部分断面模式図である。
集電体11の凸部13の上に斜立して2段の柱状体部で形成された柱状体25は、非水電解質二次電池の充電時、リチウムイオンの吸蔵により、その体積が膨張する。この時、体積の膨張とともに、以下に図12を用いて詳細にその動作を説明するように、柱状体25の第1柱状体部251と第2柱状体部252の斜立角度θ、θが大きくなることにより、結果的に柱状体25は、例えば図11(b)に示すように、立ち上がるように変形する。逆に、放電時、リチウムイオンの放出により、図11(a)に示すように、その体積が収縮するとともに、斜立角度θ、θが小さくなり、初期の状態の柱状体25になる。この時、図11(b)では、誇張して図示しているが、柱状体25を構成するxの値の大きい、膨張・収縮の小さい層は、リチウムイオンの吸蔵による膨張量が小さい。一方、第1柱状体部251と第2柱状体部252のxの値の小さい中間部においては、負極活物質が大きく膨張した柱状体25の形状となる。
ここで、図11(a)に示すように、充電開始状態において、第1柱状体部251と第2柱状体部252の2段からなる柱状体25は、集電体11の凸部13の上に斜立しているため、柱状体25を正極17からの投影で見た場合、正極17に対して集電体11の凹部12を柱状体25で部分的に遮蔽した状態となる。したがって、充電時に正極17から放出されたリチウムイオンは、負極の柱状体25によって集電体11の凹部12への直接の到達が遮られ、そのほとんどが柱状体25に吸蔵されるため、リチウム金属の析出が抑制される。そして、リチウムイオンの吸蔵に伴って、第1柱状体部251と第2柱状体部252の斜立角度が大きくなり、最終的に、柱状体25は集電体11に対してほぼ直立した状態になる。なお、必ずしも直立した状態になるものではなく、柱状体部の段数や斜立角度などの設計要因により、斜立角度が90°以下で、つづら折り形状であってもよいが、望ましくは斜立角度90°に設計することが好ましい。
さらに、図11(b)に示すように、完全充電された電池を放電する場合、充電により膨張した各柱状体部からなる柱状体25は、集電体11に対して直立した状態となる。そのため、隣接する柱状体25間の非水電解質などからなる電解液18は、図面中の矢印で示すように、柱状体25の間を容易に移動することができる。また、柱状体25間にある電解液18は、柱状体25間の空隙を介して容易に対流できるので、リチウムイオンの移動などが妨げられない。さらに、柱状体25が立ち上がっているため、充電初期の斜立時に比べて、電解液18の移動距離が短くなる。これは、リチウムイオンが直線的に移動できるためである。その結果、ハイレート放電や低温時の放電特性を大幅に改善できる。
また、一般に、スパッタリング法や真空蒸着法などで成膜する場合、断続的に膜を成長させると、断続時にその界面が汚染され、接続界面に不連続部が形成されやすい。そのため、例えば応力などが接続界面に加わると剥離などを生じやすくなる。しかし、本実施の形態によれば、たとえ接続界面に不連続部が形成されても、不連続部にリチウムイオンの吸蔵・放出時の膨張・収縮の小さい層を設けることにより膨張・収縮による応力がほとんど発生しないので、信頼性に優れたn段構成の柱状体とできるという大きな効果も同時に得ることができる。
以下に、上記柱状体25が、リチウムイオンの吸蔵・放出により、斜立角度が可逆的に変化するメカニズムについて、図12を用いて説明する。
なお、本発明は柱状体がn(n≧2)段の柱状体部で構成されるものであるが、説明を容易にするために、図12においては、少なくとも集電体の凸部に設けられた1つの柱状体部からなる柱状体を例に説明する。また、n段構成でも同様のメカニズムで機能することはいうまでもない。
図12(a)は本発明の実施の形態2における負極20の柱状体の充電前の状態を示す部分断面模式図であり、図12(b)は本発明の実施の形態2における負極20の柱状体の充電後の状態を示す部分断面模式図である。
図12に示す柱状体25は、柱状体25の中心線(A−A)と集電体11の中心線(AA−AA)とが鋭角を形成する下部側25aから柱状体25の鈍角を形成する上部側25bへ向けて、xの値が連続的に大きくなるように、SiOxからなる活物質の元素の含有比率(xの値)を変化させている。同様に、柱状体25の集電体11の凸部13の界面近傍と先端部は、その中間部に比べてSiOxからなる活物質の元素の含有比率が大きくなるように変化させて、膨張・収縮の小さい層が設けられている。一般に、上記で説明したように、SiOxからなる活物質は、xの値が0〜2へと増加するにしたがって、リチウムイオンの吸蔵による膨張量が小さくなる。
すなわち、図12(a)に示すように、充電時にリチウムイオンを吸蔵することによる膨張により発生する膨張応力は、柱状体25の下部側25aの膨張応力F1から上部側25bの膨張応力F2へと連続的に小さくなる。その結果、柱状体25の中心線(A−A)と集電体11の中心線(AA−AA)とが成す斜立角度θが、θ10からθ11へと変化し、図12(a)の矢印で示す方向に、柱状体25が立ち上がることになる。逆に、放電時にはリチウムイオンを放出することによる収縮により膨張応力は小さくなる。その結果、柱状体25の斜立角度θが、θ11からθ10へと変化し、図12(b)の矢印で示す方向に、柱状体25が変形することになる。
以上により、柱状体25は、リチウムイオンの吸蔵・放出により、その斜立角度が可逆的に変化することになる。
この時、柱状体25の集電体11の凸部13の界面近傍と先端部に設けた膨張・収縮の小さい層は、xの値が大きいため、ほとんど膨張・収縮に寄与しないので、中間部のみが膨張・収縮することになる。つまり、集電体11の凸部13近傍においては、柱状体25の膨張・収縮による応力が生じないので、付着(接続)強度が低下しにくいものとなる。
上記で説明したように、SiOxからなる柱状体の高さ方向における集電体の凸部の界面近傍および先端部の元素の構成比率(xの値)を高めることにより、膨張・収縮の小さい層を有するn段構成の柱状体が得られる。その結果、充放電サイクルにより柱状体が膨張・収縮を繰り返しても、集電体の凸部と柱状体の接合界面に大きな応力が生じないので、剥離などのしにくい信頼性に優れた負極を実現できる。
また、少なくとも2段以上の柱状体部を積層して柱状体を構成するため、リチウムイオンの吸蔵・放出できる活物質の量を等しくした場合においても、各段の柱状体部の高さ(厚み)を小さくできるものである。その結果、1つの柱状体で構成した場合と比較すると、各段の柱状体部の膨張量が小さくなる。さらに、柱状体部の先端部での膨張量が小さいため、隣接する柱状体の間隔が狭くなりにくいので、柱状体間の押し合いが発生しにくい。そのため、柱状体の膨張に対する許容量を大幅に大きくできるため、集電体に形成できる柱状体の密度を高め、より多くのリチウムイオンを吸蔵・放出することを可能とし、電池容量を向上できる。
また、n段の柱状体部からなる柱状体により、柱状体が膨張しても隣接する柱状体間の空隙を大きく維持できる。そして、隣接する柱状体が接触しにくいため、接触による応力の発生を防ぐとともに、それによる集電体の皺や集電体からの剥離を未然に防止できる。そのため、充放電サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を実現できる。
本発明の実施の形態によれば、高容量化を可能としながら、充放電サイクルにおける高い容量維持率を実現するとともに、剥離強度の高い信頼性に優れた非水電解質二次電池を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態における非水電解質二次電池用負極の柱状体の製造方法について、図13と図14を用いて、詳細に説明する。
図13は、本発明の実施の形態2における非水電解質二次電池用負極のn段の柱状体部からなる柱状体の製造方法を説明する部分断面模式図であり、図14はその製造装置を説明する模式図である。なお、以下では、n=2段の柱状体を例に説明する。
ここで、図14に示す柱状体を形成する製造装置80は、真空容器86中に、巻出しロール81、成膜ロール84a、84b、84c、巻取りロール85、蒸着源83a、83b、マスク82a、82b、82c、82dと酸素導入ノズル88a、88b、88c、88dを備え、真空ポンプ87で減圧される構成を有している。そして、成膜ロール84a、84b間のマスク82a、82b間を集電体11が図面中の実線で示す矢印の方向に移動する間に、第1柱状体部が形成される。さらに、成膜ロール84b、84c間のマスク82c、82d間を集電体11が図面中の実線で示す矢印の方向に移動する間に、第1柱状体部上に第2柱状体部が形成される構成である。この時、集電体11は、成膜ロール84a、84b間では、蒸着源から遠ざかる方向に移動し、成膜ロール84b、84c間では、蒸着源に近づく方向に、所定の傾斜角度を維持しながら移動する。つまり、マスク82a近傍において、集電体11はその法線に対して、蒸着源83aから入射角度ωで蒸発粒子が集電体に入射し、マスク82b近傍において、入射角度ωで蒸発粒子が集電体に入射する。そのため、集電体11の移動に伴って、蒸発粒子の入射角度がωからωと変わりながら第1柱状体部が形成される。また、同様に第2柱状体部は、まず、集電体11はその法線に対して、蒸着源83bから入射角度ωで蒸発粒子が入射し、集電体11の移動に伴って蒸発粒子の入射角度がωからωと変わりながら形成される。
また、酸素導入ノズル88a、88b、88c、88dは、それぞれマスク82a、82b、82c、82d近傍で、活物質の成膜領域に酸素を供給する。
なお、本製造装置は、集電体の片面にn段の柱状体部を形成して柱状体を作製する一例を示したものであるが、実際には、集電体の両面に柱状体を作製する装置構成が一般的である。
以下、各柱状体部の具体的な形成状態を参考にしながら説明する。
まず、図13(a)と図14に示すように、厚さ30μmの帯状電解銅箔を用いて、その表面にメッキ法で凹部12と凸部13を形成し、凸部13が、例えば高さ7.5μm、幅10μm、間隔20μmで形成された集電体11を準備する。そして、図14に示す巻出しロール81と巻取りロール85間に集電体11が準備される。
つぎに、図13(b)と図14に示すように、集電体11は、成膜ロール84a、84b間では、蒸着源83aから遠ざかる方向に所定の傾斜角度を維持しながら移動させる。この時、蒸着源83aから、例えばSi(シリコン:純度99.999%)などの活物質を、例えば真空容器86の内部は、圧力3.5Paの酸素雰囲気中において、電子ビームで加熱して蒸発させる。これにより、集電体11の凸部13上に蒸発粒子が、図13(b)中の矢印方向から入射する。
そして、まず、成膜の初期段階であるマスク82a近傍において、集電体11はその法線に対して、入射角度ωで入射する蒸発粒子の回り込み成分とマスク82a近傍の酸素導入ノズル88aから供給される酸素とにより、膨張・収縮の小さい層として、SiOxでxの値の大きなSiOに近い組成を有する活物質が集電体11の凸部13との界面に形成される。
その後、成膜ロール84aから成膜ロール84bへの集電体11の移動に伴って、入射角度ωからωに変わりながら蒸発粒子の入射により第1柱状体部251が成長する。この時、マスク82a、82bで蒸発粒子が遮蔽されない成膜領域では、蒸着源83aとの距離により、蒸発粒子の粒子数と酸素導入ノズル88a、88bから供給される酸素量が変化する。つまり、蒸着源83aとの距離が短い場合、xの値の小さいSiOxが形成され、距離が長くなるにしたがって、xの値が大きいSiOxが形成される。これにより、幅方向にxの値が順次変化した状態で、第1柱状体部251が成長する。例えば、図13(b)においては、図面中の右側のxの値は小さく、図面中の左側のxの値は大きくなる。
そして、図13(c)と図14に示すように、蒸発粒子が入射角度ωで入射するマスク82b近傍において、酸素導入ノズル88bから供給される酸素により、先端部に、膨張・収縮の小さい層として、SiOxでxの値の大きなSiOに近い組成が成膜された第1柱状体部251が形成される。特に、マスク82b下に集電体11が移動する時に回り込んだ蒸発粒子により、xの値の大きなSiOに近い組成が効率的に先端部近傍に形成される。これにより、角度θで、斜立方向の厚み15μm第1柱状体部251が、少なくとも集電体11の凸部13上に形成される。
つぎに、図13(d)と図14に示すように、成膜ロール84aと対称の位置に配置された成膜ロール84cと成膜ロール84b間で、蒸着源83bに近づく方向に所定の傾斜角度を維持しながら第1柱状体部が形成された集電体11を移動させる。この時、蒸着源83bから、例えばSi(シリコン:純度99.999%)などの活物質を、電子ビームで加熱して蒸発させ、入射角度ω(180°−ω)で第1柱状体部251の先端部上に蒸発粒子を、図13(d)中の矢印方向から入射させる。
その時、図13(b)と同様に、マスク82c近傍において、集電体11はその法線に対して、入射角度ωで入射する蒸発粒子の回り込み成分とマスク82c近傍の酸素導入ノズル88cから供給される酸素とにより、膨張・収縮の小さい層としてSiOxでxの値の大きなSiOに近い組成を有する活物質が、集電体11に形成された第1柱状体部251の先端部との界面に形成される。
その後、成膜ロール84bから成膜ロール84cへの集電体11の移動に伴って、入射角度ωからω(180°−ω)に変わりながら蒸発粒子の入射により第2柱状体部252が成長する。この時、マスク82c、82dで蒸発粒子が遮蔽されない成膜領域では、蒸着源83bとの距離により、蒸発粒子の粒子数と酸素導入ノズル88c、88dから供給される酸素量が変化する。つまり、蒸着源83bとの距離が短い場合、xの値の小さいSiOxが形成され、距離が長くなるにしたがって、xの値が大きいSiOxが形成される。これにより、幅方向にxの値が順次変化した状態で、第2柱状体部252が成長する。例えば、図13(d)においては、図面中の左側のxの値は小さく、図面中の右側のxの値は大きくなる。
そして、図13(e)と図14に示すように、蒸発粒子が入射角度ωで入射するマスク82d近傍において、酸素導入ノズル88dから供給される酸素により、先端部に、膨張・収縮の小さい層として、SiOxでxの値の大きなSiOに近い組成が成膜された第2柱状体部252が形成される。特に、マスク82d下に集電体が移動する時に回り込んだ蒸発粒子により、xの値の大きなSiOに近い組成が効率的に先端部近傍に形成される。これにより、角度θで斜立方向の厚み15μmの第2柱状体部252が、第1柱状体部251上に形成される。
上記工程により、第1柱状体部251と第2柱状体部252とが、高さ方向の両端部にxの値が、その中間部より大きい、膨張・収縮の小さい層を有する柱状体25が形成される。同時に、集電体11の幅方向に対して、第1柱状体部251と第2柱状体部252とのxの値の変化方向が反対であるとともに、斜立する角度と斜立方向が異なる柱状体25を有する負極20が作製される。
なお、本実施の形態では、n=2段の柱状体部からなる柱状体を例に説明したが、これに限られない。例えば、上記図13(b)と図13(e)の工程を繰り返すことにより、任意のn段(n≧2)の柱状体部からなる柱状体を形成できる。例えば、図15に示すように、n=3段の場合、第3柱状体部253は、第1柱状体部251の斜立方向やSiOxのxの値の変化方向が同じに形成することが望ましい。また、斜立角度θは同じであっても異なっていてもよい。ここで、斜立角度θは、その斜立方向の中心線(C)と集電体11の厚み方向の中心線(AA−AA)との成す角度である。
この時、上記製造装置80として、成膜ロールと蒸着源をシリーズに配置して、集電体を一方方向に移動しながらn段の柱状体を作製する構成が好ましい。さらに、集電体の片面に柱状体を形成した後、集電体を反転させて集電体の他方の面に柱状体を形成してもよい。これにより、生産性よく負極を作製できる。
また、本実施の形態では、製造装置80に複数の蒸着源を配置した例で説明したが、これに限られない。例えば、n=2段構成の場合、成膜ロール84bの対向する位置に1つ設ける構成であってもよい。これにより、簡単な装置構成にできる。
以下、本発明を実施例を用いてより具体的に説明する。
(実施例1)
(1)負極の作製
負極の柱状体は、図14に示す製造装置を用いて作製した。
まず、集電体として、メッキ法を用いて、その表面に凸部を幅7.5μm、高さ10、間隔20μmで形成した厚さ30μmの帯状電解銅箔を用いた。
そして、負極の活物質材料としてSiを用い、蒸着ユニット(蒸着源、るつぼ、電子ビーム発生装置をユニット化したもの)を用いて、純度99.7%の酸素ガスを酸素導入ノズルから真空容器内に導入して、SiOxからなる幅方向にxの値を変化させて第1柱状体部を作製した。この時、真空容器の内部は、圧力3.5Paの酸素雰囲気とした。また、蒸着時には、電子ビーム発生装置により発生させた電子ビームを偏向ヨークにより偏向させ、蒸着源に照射した。なお、蒸着源には半導体ウェハを形成する際に生じる端材(スクラップシリコン:純度99.999%)を用いた。
また、第1柱状体部は、集電体が移動する所定の傾斜角度を調整し、角度ω、ωの平均角度が60°になるようにし、約8nm/sの成膜速度で形成した。これにより、1段目の第1柱状体部(例えば、高さ15μm、断面積150μm))を形成した。同様に、実施の形態で説明した形成方法で、2段目の第2柱状体部(例えば、高さ15μm、断面積150μm)を形成し、2段からなる柱状体を形成した。
なお、負極中の柱状体の集電体の中心線に対する角度を走査型電子顕微鏡(日立製S−4700)を用い、断面観察により評価したところ各段の柱状体部の斜立角度θは平均約41°であった。この時、形成した柱状体の厚み(高さ)は、法線方向に対して、30μmで形成されていた。
また、EPMAを用い負極の柱状体を構成する各段の柱状体部の断面方向の線分布測定で酸素分布を調べたところ、第1柱状体部および第2柱状体部の幅方向において、斜立角度θ側から(180−θ)方向において酸素濃度(xの値)が連続的に増加していた。そして、酸素濃度(xの値)の増加方向は、第1柱状体部と第2柱状体部では、反対方向であった。この時のxの範囲は、0.1〜2で、平均0.6であった。
また、同様に、柱状体の高さ方向において、各柱状体部の両端近傍の酸素濃度(xの値)と、中間部の酸素濃度(xの値)が異なる膨張・収縮の小さい層が形成されていた。そして、この時、柱状体部の両端近傍の酸素濃度(xの値)は1.5〜2範囲であり、中間部の酸素濃度(xの値)は0.1〜1.5の範囲であった。
上記により、少なくとも各柱状体部の高さ方向の両端部と中間部で、酸素元素の含有比率の異なる、膨張・収縮の小さい層を有する柱状体を備えた負極を得た。
その後、負極表面に真空蒸着法によって15μmのLi金属を蒸着した。さらに、負極の内周側に、正極と対向しないCu箔に露出部を設け、Cu製の負極リードを溶接した。
(2)正極の作製
リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極活物質を有する正極を、実施の形態1の実施例1と同様の方法により作製した。
(3)電池の作製
上記のようにして作製した負極を用いて、実施の形態1の実施例1と同様の方法により、設計容量は21mAhの積層型電池を作製した。これを、サンプル1とする。
(実施例2)
柱状体を、n=4段で各柱状体部の高さを約7.5μmで形成した以外は、実施例1と同様にして、負極を作製した。
なお、各段の柱状体部の斜立角度は平均約41°であり、形成した柱状体の厚み(高さ)は30μmであった。
また、EPMAより、各柱状体部の幅方向において、斜立角度θ側から(180−θ)方向において酸素濃度(xの値)が連続的に増加していた。そして、酸素濃度(xの値)の増加方向は、1段目および3段目の柱状体部と2段目および4段目の柱状体部では、反対方向であった。この時のxの範囲は、0.1〜2で、平均0.6であった。
上記負極を用いた以外は、実施例1と同様の方法により作製した非水電解質二次電池をサンプル2とした。
(実施例3)
柱状体を、n=6段で各柱状体部の高さを約5μmで形成した以外は、実施例1と同様にして、負極を作製した。
なお、各段の柱状体部の斜立角度は平均約41°であり、形成した柱状体の厚み(高さ)は30μmであった。
また、EPMAより、各柱状体部の幅方向において、斜立角度θ側から(180−θ)方向において酸素濃度(xの値)が連続的に増加していた。そして、酸素濃度(xの値)の増加方向は、1段目、3段目および5段目の柱状体部と2段目、4段目および6段目の柱状体部では、反対方向であった。この時のxの範囲は、0.1〜2で、平均0.6であった。
上記負極を用いた以外は、実施例1と同様の方法により作製した非水電解質二次電池をサンプル3とした。
(実施例4)
柱状体を、n=10段で各柱状体部の高さを約3μmで形成した以外は、実施例1と同様にして、負極を作製した。
なお、各段の柱状体部の斜立角度は平均約41°であり、形成した柱状体の厚み(高さ)は30μmであった。
また、EPMAより、各柱状体部の幅方向において、斜立角度θ側から(180−θ)方向において酸素濃度(xの値)が連続的に増加していた。そして、酸素濃度(xの値)の増加方向は、1段目、3段目、5段目、7段目および9段目の柱状体部と2段目、4段目、6段目、8段目および10段目の柱状体部では、反対方向であった。この時のxの範囲は、0.1〜2で、平均0.6であった。
上記負極を用いた以外は、実施例1と同様の方法により作製した非水電解質二次電池をサンプル4とした。
(実施例5)
柱状体は、固定台の角度を調整し、平均角度ωが50°になるようにした以外は、実施例3と同様にして、負極を作製した。
なお、各段の柱状体部の斜立角度は平均約31°であり、形成した柱状体の厚み(高さ)は30μmであった。
また、EPMAより、各柱状体部の幅方向において、斜立角度θ側から(180−θ)方向において酸素濃度(xの値)が連続的に増加していた。そして、酸素濃度(xの値)の増加方向は、1段目、3段目、5段目の柱状体部と2段目、4段目、6段目の柱状体部では、反対方向であった。この時のxの範囲は、0.1〜2で、平均0.6であった。
上記負極を用いた以外は、実施例1と同様の方法により作製した非水電解質二次電池をサンプル5とした。
(実施例6)
真空容器の内部の圧力を1.7Paの酸素雰囲気で、各段の柱状体部の厚みを4μmに形成した以外は、実施例3と同様にして、負極を作製した。
なお、各段の柱状体部の斜立角度は平均約41°であり、形成した柱状体の厚み(高さ)は24μmであった。
また、EPMAより、各柱状体部の幅方向において、斜立角度θ側から(180−θ)方向において酸素濃度(xの値)が連続的に増加していた。そして、酸素濃度(xの値)の増加方向は、1段目、3段目、5段目の柱状体部と2段目、4段目、6段目の柱状体部では、反対方向であった。この時のxの範囲は、0.1〜2で、平均0.3であった。
その後、負極表面に真空蒸着法によって10μmのLi金属を蒸着した。
上記負極を用いた以外は、実施例1と同様の方法により作製した非水電解質二次電池をサンプル6とした。
(比較例1)
高さ(厚み)30μmで1段に斜立して柱状体を構成した以外は、実施例1と同様の方法で負極を作製した。
なお、負極中の柱状体の集電体の中心線に対する角度を走査型電子顕微鏡(日立製S−4700)を用い、断面観察により評価したところ柱状体の斜立角度は約41°であった。この時、形成した柱状体の厚み(高さ)は30μmで形成されていた。
また、EPMAを用い負極の柱状体を構成する断面方向の線分布測定で酸素分布を調べたところ、幅方向において、斜立角度θ側から(180−θ)方向において酸素濃度(xの値)が連続的に増加していた。xの範囲は、0.1〜2で、平均0.6であった。
上記負極を用いた以外は、実施例1と同様の方法により作製した非水電解質二次電池をサンプルC1とする。
以上のように作製した各非水電解質二次電池に対し、実施の形態2と同様の方法により、電池容量の測定、充放電サイクル特性で評価した。
以下に、サンプル1〜6とサンプルC1の諸元と評価結果を(表3)および(表4)に示す。
Figure 2008192594
Figure 2008192594
(表3)、(表4)に示すように、サンプル1とサンプルC1とを比較すると、サイクル初期の10サイクル目程度では、容量維持率の差がなかった。しかし、500サイクル目では、サンプル1は80%程度の容量維持率を示したのに対して、サンプルC1は容量維持率が50%程度まで低下している。これは、柱状体を構成する柱状体部間の接続界面の活物質の元素比率を等しい膨張・収縮の小さい層を設けることにより、充放電時に剥離しにくい界面が形成されたためと考えられる。
よって、集電体の凸部に柱状体間の接続界面の活物質の元素比率を等しい柱状体を備えた負極とすることが、サイクル特性向上において効果的であることが確認された。
また、(表3)、(表4)に示すように、サンプル3とサンプル5において、柱状体の各柱状体部の斜立角度を41°から34°と変化させても、容量維持率、充放電効率およびハイレート比率の差はほとんどなく、優れた特性を維持できることがわかった。
また、(表3)、(表4)に示すように、サンプル1からサンプル4において、柱状体を構成する柱状体部の段数を変えても、容量維持率、充放電効率およびハイレート比率の差はほとんどなく、優れた特性を維持できることがわかった。
また、(表3)、(表4)に示すように、サンプル3とサンプル6において、柱状体を構成するSiOxのxの平均値が0.3と0.6の場合、xの平均値が小さいサンプル6は、xの平均値が大きいサンプル3と比較して、500サイクル後の容量維持率が若干低下する傾向が見られた。これは、xの平均値が小さいことは充放電時の膨張・収縮が大きいことに対応する。そのため、柱状体の膨張・収縮による、柱状体間や集電体と柱状体間との応力や歪が大きくなり、容量維持率が若干低下する傾向が現れたものと考えられる。
(実施の形態3)
以下に、本発明の実施の形態3における負極の構造を、図16を用いて説明する。
図16(a)は本発明の実施の形態3における負極の構造を示す部分断面模式図で、図16(b)は本発明の実施の形態3の各柱状体部を構成する活物質の幅方向のxの値の変化を説明する模式図で、図16(c)は本発明の実施の形態3の各柱状体部を構成する活物質の高さ方向のxの値の変化を説明する模式図である。なお、本実施の形態においても、図1と同様の積層型の電池を用いるので、詳細な説明は省略する。また、正極合剤層、正極集電体、集電体や柱状体部などの構成材料も、実施の形態1と同様であるので、詳細な説明は省略する。また、以下では、例えば少なくともケイ素を含むSiOx(0≦x≦2.0)で表される活物質を例に説明するが、これに限定されるものではない。
図16(a)に示すように、例えば銅箔などの導電性金属材料よりなる集電体11の少なくとも上面には凹部12と凸部13が設けられている。そして、凸部13の上部には、負極30を構成する、SiOxで表される活物質が、例えばスパッタリング法または真空蒸着法などを用いた斜方蒸着法により斜立してn段(n≧2)の柱状体部からなる柱状体35の形状で形成されている。
以下では、n=3段からなる第1柱状体部351、第2柱状体部352と第3柱状体部353を積層して構成した柱状体35を例に、具体的に説明するが、n≧2であればよく、これに限られない。
まず、柱状体35の第1柱状体部351は、少なくとも集電体11の凸部13の上で第1柱状体部351の斜立方向の中心線(A)と集電体11の厚み方向の中心線(AA−AA)とが斜立角度θを成すように形成されている。そして、柱状体35の第2柱状体部352は、第1柱状体部351の上に、その斜立方向の中心線(B)と集電体11の厚み方向の中心線(AA−AA)とが斜立角度θを成すように形成されている。さらに、柱状体35の第3柱状体部353は、第2柱状体部352の上に、その斜立方向の中心線(C)と集電体11の厚み方向の中心線(AA−AA)とが斜立角度θを成すように形成されている。
この時、柱状体35を構成する第1柱状体部351、第2柱状体部352と第3柱状体部353は、図16(b)で模式的に示すように、例えばSiOxからなる各柱状体部の幅方向の元素の含有比率、例えばxの値の変化する方向が異なるように設けられる。すなわち、第1柱状体部351、第2柱状体部352、第3柱状体部353の鋭角を成す斜立角度側から、鈍角を成す側に向かって、xの値を順次大きくするものである。なお、図16(b)では、xの値が直線的に変化するように示しているが、これに限られない。
さらに、図16(c)に示すように、第1柱状体部351では、集電体11の凸部13近傍と先端近傍のxの値が、第1柱状体部の中間部のxの値より大きく酸素原子の含有比率の高い、リチウムイオンの吸蔵・放出に対して膨張・収縮の小さい層(図示せず)が形成されている。同様に、第2柱状体部352および第3柱状体部353では、高さ方向の両端部および中間部近傍のxの値が、それ以外の部分のxの値より大きく酸素原子の含有比率の高い、リチウムイオンの吸蔵・放出に対して膨張・収縮の小さい層(図示せず)が形成されている。
ここで、第1柱状体部351、第2柱状体部352、第3柱状体部353の高さ(厚み)は、電池の設計容量や隣接する柱状体と接触しない高さであれば任意である。同様に、斜立角度θ、θ2、θは、隣接する柱状体35が、リチウムイオンの吸蔵・放出時の膨張・収縮により接触しなければ、同じ角度でも異なる角度であってもよく、成膜できる角度であれば任意である。
以下に、本実施の形態の非水電解質二次電池用負極を用いて構成した二次電池の充放電時の動作について、図17を用いて説明する。
図17(a)は本発明の実施の形態3における非水電解質二次電池の充電前の状態を示す部分断面模式図であり、図17(b)は本発明の実施の形態3における非水電解質二次電池の充電後の状態を示す部分断面模式図である。
集電体11の凸部13の上に斜立して3段の柱状体部で形成された柱状体35は、非水電解質二次電池の充電時、リチウムイオンの吸蔵により、その体積が膨張する。この時、体積の膨張とともに、以下に図12を用いて実施の形態2で説明したように、柱状体35の第1柱状体部351、第2柱状体部352、第3柱状体部353の斜立角度θ、θ、θが大きくなることにより、結果的に柱状体35は、例えば図17(b)に示すように、立ち上がるように変形する。逆に、放電時、リチウムイオンの放出により、図17(a)に示すように、その体積が収縮するとともに、斜立角度θ、θ、θが小さくなり、初期の状態の柱状体35になる。この時、図17(b)では誇張して図示しているが、柱状体35を構成する膨張・収縮の小さい層である活物質のxの値の大きい部分では、リチウムイオンの吸蔵による膨張量が小さいため、第1柱状体部351ではその中間部が、第2柱状体部352と第3柱状体部353では、両端部と中間部近傍以外の部分の活物質が大きく膨張した形状となる。つまり、第2柱状体部や第3柱状体部の中間部近傍では、膨張・収縮量が小さいので、充電時において、中間部でくびれた形状となる場合がある。
ここで、図17(a)では明確に描いていないが、現実には充電開始状態において、3段の第1柱状体部351、第2柱状体部352、第3柱状体部353からなる柱状体35は、集電体11の凸部13の上に斜立し、柱状体35を正極17からの投影で見た場合、正極17に対して集電体11の凹部12を柱状体35で部分的に遮蔽した状態となる。したがって、充電時に正極17から放出されたリチウムイオンは、負極の柱状体15によって集電体11の凹部12への直接の到達が遮られ、そのほとんどが柱状体35に吸蔵されるため、リチウム金属の析出が抑制される。そして、リチウムイオンの吸蔵に伴って、第1柱状体部351、第2柱状体部352、第3柱状体部353の斜立角度が大きくなり、最終的に、柱状体35は集電体11に対してほぼ直立した状態になる。なお、必ずしも直立した状態になるものではなく、柱状体部の段数や斜立角度などの設計要因により、斜立角度が90°以下で、つづら折り形状であってもよいが、望ましくは斜立角度90°に設計することが好ましい。
さらに、図17(b)に示すように、完全充電された電池を放電する場合、充電により膨張した各柱状体部からなる柱状体35は、集電体11に対して直立した状態となる。そのため、隣接する柱状体35間の電解液18は、図面中の矢印で示すように、柱状体35の間を容易に移動することができる。また、柱状体35間にある電解液18は、柱状体35間の空隙を介して容易に対流できるので、リチウムイオンの移動などが妨げられない。さらに、柱状体35が立ち上がっているため、充電初期の斜立時に比べて、電解液18の移動距離が短くなる。これは、リチウムイオンが直線的に移動できるためである。その結果、ハイレート放電や低温時の放電特性を大幅に改善できる。
また、一般に、スパッタリング法や真空蒸着法などで成膜する場合、断続的に膜を成長させると、断続時にその界面が汚染され、接続界面に不連続部が形成されやすい。そのため、例えば応力などが接続界面に加わると剥離などが生じやすくなる。しかし、本実施の形態によれば、たとえば接続界面に不連続部が形成されても、不連続部にリチウムイオンの吸蔵・放出時の膨張・収縮の小さい層を設けることにより、その膨張・収縮による応力がほとんど発生しないので、信頼性に優れたn段構成の柱状体とできるという大きな効果も同時に得ることができる。
上記で説明したように、SiOxからなる柱状体の高さ方向における集電体の凸部との界面近傍および先端部などの元素の構成比率(xの値)を高めることにより、膨張・収縮の小さい層を有するn段構成の柱状体が得られる。その結果、充放電サイクルにより柱状体が膨張・収縮を繰り返しても、集電体の凸部と柱状体の接合界面に大きな応力が生じないので、剥離などが生じにくい信頼性に優れた負極を実現できる。
また、少なくとも2段以上の柱状体部を積層して柱状体を構成するため、リチウムイオンの吸蔵・放出できる活物質の量を等しくした場合においても、各段の柱状体部の高さ(厚み)を小さくできる。その結果、1つの柱状体で構成した場合と比較すると、各段の柱状体部の膨張量が小さくなる。さらに、柱状体部の先端部や中間部での膨張量が小さいため、隣接する柱状体の間隔が狭くなりにくいので、柱状体間の押し合いが発生しにくい。そのため、柱状体の膨張に対する許容量を大幅に大きくできるので、集電体に形成できる柱状体の密度を高め、より多くのリチウムイオンを吸蔵・放出することを可能とし、電池容量を向上できる。
また、n段の柱状体部からなる柱状体により、柱状体が膨張しても隣接する柱状体間の空隙を大きく維持できる。そして、隣接する柱状体が接触しにくいため、接触による応力の発生を防ぐとともに、それによる集電体の皺や集電体からの剥離を未然に防止できる。そのため、充放電サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を実現できる。
本実施の形態によれば、高容量化を可能としながら、充放電サイクルにおける高い容量維持率を実現するとともに、剥離強度の高い信頼性に優れた非水電解質二次電池を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態3における非水電解質二次電池用負極の柱状体の製造方法について、図18、図19と図14を用いて、詳細に説明する。
図18と図19は、本発明の実施の形態3における非水電解質二次電池用負極のn段の柱状体部からなる柱状体の製造方法を説明する部分断面模式図である。ここで、上記非水電解質二次電池用負極の製造装置は、基本的に図14と同じであるので、図14を参照して説明する。また、以下では、n=3段の柱状体を例に説明する。
ここで、本実施の形態の負極30は、図14に示す製造装置80を用いて、まず、成膜ロール84a、84b間のマスク82a、82b間を集電体11が図面中の点線で示す矢印の蒸着源83aから遠ざかる方向に移動する間に、第1柱状体部を形成する。さらに、成膜ロール84b、84c間のマスク82c、82d間を集電体11が図面中の点線で示す矢印の蒸着源83bに近づく方向に移動する間に、第1柱状体部上に第2柱状体部Aが形成され、巻取りロール85で巻き取られる。その後、再度巻取りロール85から集電体11を送り出し、成膜ロール84b、84c間のマスク82c、82d間を集電体11が図面中の点線で示す矢印の蒸着源83bから遠ざかる方向に移動する間に、第2柱状体部A上に第2柱状体部Bが形成され、第2柱状体部Aと第2柱状体部Bで第2柱状体部が形成される。そして、同様に、成膜ロール84b、84a間のマスク82b、82a間を集電体11が図面中の点線で示す矢印の蒸着源83aに近づく方向に移動する間に、第2柱状体部上に第3柱状体部Aが形成され、巻出しロール81で巻き取られる。その後、再度巻出しロール81から集電体11を送り出し、成膜ロール84a、84b間のマスク82a、82b間を集電体11が図面中の点線で示す矢印の蒸着源83aから遠ざかる方向に移動する間に、第3柱状体部A上に第3柱状体部Bが形成され、第3柱状体部Aと第3柱状体部Bで第3柱状体部が形成される。なお、第3柱状体部は、第3柱状体部Aだけとしてもよい。つまり、最終段目の柱状体部は、柱状体部A、Bの対でなくてもよいものである。この時、マスク82a近傍において、集電体11はその法線に対して、蒸着源83aから入射角度ωで蒸発粒子が集電体に入射し、マスク82b近傍において、入射角度ωで蒸発粒子が集電体に入射する。そのため、集電体11の移動に伴って、蒸発粒子の入射角度がωからωと変わりながら第1柱状体部が形成される。また、同様に第2柱状体部においては、まず、集電体11はその法線に対して、蒸着源83bから入射角度ωで蒸発粒子が入射し、集電体11の移動に伴って蒸発粒子の入射角度がωからωと変わりながら第2柱状体部Aが形成される。その後、集電体11はその法線に対して、蒸着源83bから入射角度ωで蒸発粒子が入射し、集電体11の移動に伴って蒸発粒子の入射角度がωからωと変わりながら第2柱状体部Bが形成され、第2柱状体部が形成される。さらに、第3柱状体部においては、まず、集電体11はその法線に対して、蒸着源83aから入射角度ωで蒸発粒子が入射し、集電体11の移動に伴って蒸発粒子の入射角度がωからωと変わりながら第3柱状体部Aが形成される。その後、集電体11はその法線に対して、蒸着源83aから入射角度ωで蒸発粒子が入射し、集電体11の移動に伴って蒸発粒子の入射角度がωからωと変わりながら第3柱状体部Bが形成され、第3柱状体部が形成される。
以下、各柱状体部の具体的な形成状態を参考にしながら説明する。
まず、図18(a)と図14に示すように、厚さ30μmの帯状電解銅箔を用いて、その表面にメッキ法で凹部12と凸部13を形成し、凸部13が、例えば高さ7.5μm、幅10、間隔20μmで形成された集電体11を準備する。そして、図14に示す巻出しロール81と巻取りロール85間に集電体11が準備される。
つぎに、図18(b)と図14に示すように、集電体11は、成膜ロール84a、84b間では、蒸着源83aから遠ざかる方向に所定の傾斜角度を維持しながら移動する。この時、蒸着源83aから、例えばSi(スクラップシリコン:純度99.999%)などの活物質を、例えば真空容器86の内部は、圧力3.5Paの酸素雰囲気中において、電子ビームで加熱して蒸発させる。これにより、集電体11の凸部13上に蒸発粒子が、図18(b)中の矢印方向から入射する。
そして、まず、成膜の初期段階であるマスク82a近傍において、集電体11はその法線に対して、入射角度ωで入射する蒸発粒子の回り込み成分とマスク82a近傍の酸素導入ノズル88aから供給される酸素とにより、膨張・収縮の小さい層として、SiOxでxの値の大きなSiOに近い組成を有する活物質が集電体11の凸部13との界面に形成される。
その後、成膜ロール84aから成膜ロール84bへの集電体11の移動に伴って、入射角度ωからωに変わりながら蒸発粒子の入射により第1柱状体部351が成長する。この時、マスク82a、82bで蒸発粒子が遮蔽されない成膜領域では、蒸着源83aとの距離により、蒸発粒子の粒子数と酸素導入ノズル88a、88bから供給される酸素量が変化する。つまり、蒸着源83aとの距離が短い場合、xの値の小さいSiOxが形成され、距離が長くなるにしたがって、xの値が大きいSiOxが形成される。これにより、幅方向にxの値が順次変化した状態で、第1柱状体部351が成長する。例えば、図18(b)においては、図面中の右側のxの値は小さく、図面中の左側のxの値は大きくなる。
そして、図18(c)と図14に示すように、蒸発粒子が入射角度ωで入射するマスク82b近傍において、酸素導入ノズル88bから供給される酸素により、先端部に、膨張・収縮の小さい層として、SiOxでxの値の大きなSiOに近い組成が成膜された第1柱状体部351が形成される。特に、マスク82b下に集電体11が移動する時に回り込んだ蒸発粒子により、xの値の大きなSiOに近い組成が効率的に先端部近傍に形成される。これにより、角度θで、斜立方向の厚み7.5μmの第1柱状体部351が、少なくとも集電体11の凸部13上に形成される。
つぎに、図18(d)と図14に示すように、成膜ロール84aと対称の位置に配置された成膜ロール84cと成膜ロール84b間で、蒸着源83bに近づく方向に所定の傾斜角度を維持しながら第1柱状体部351が形成された集電体11を移動させる。この時、蒸着源83bから、例えばSi(シリコン:純度99.999%)などの活物質を、電子ビームで加熱して蒸発させ、入射角度ω(180°−ω)で第1柱状体部351の先端部上に蒸発粒子を、図18(d)中の矢印方向から入射させる。
その時、図18(b)と同様に、マスク82c近傍において、集電体11はその法線に対して、入射角度ωで入射する蒸発粒子の回り込み成分とマスク82c近傍の酸素導入ノズル88cから供給される酸素とにより、膨張・収縮の小さい層として、SiOxでxの値の大きなSiOに近い組成を有する活物質が集電体11に形成された第1柱状体部351の先端部との界面に形成される。
その後、成膜ロール84bから成膜ロール84cへの集電体11の移動に伴って、入射角度ωからω(180°−ω)に変わりながら蒸発粒子の入射により第2柱状体部A352Aが成長する。この時、マスク82c、82dで蒸発粒子が遮蔽されない成膜領域では、蒸着源83bとの距離により、蒸発粒子の粒子数と酸素導入ノズル88c、88dから供給される酸素量が変化する。つまり、蒸着源83bとの距離が短い場合、xの値の小さいSiOxが形成され、距離が長くなるにしたがって、xの値が大きいSiOxが形成される。これにより、幅方向にxの値が順次変化した状態で、第2柱状体部A352Aが成長する。例えば、図18(d)においては、図面中の左側のxの値は小さく、図面中の右側のxの値は大きくなる。
そして、蒸発粒子が入射角度ωで入射するマスク82d近傍において、酸素導入ノズル88dから供給される酸素により、先端部に、膨張・収縮の小さい層として、SiOxでxの値の大きなSiOに近い組成が成膜された第2柱状体部A352Aが形成される。特に、マスク82d下に集電体が移動する時に回り込んだ蒸発粒子により、xの値の大きなSiOに近い組成が効率的に先端部近傍に形成される。
この状態で、本実施の形態の製造装置の場合、一旦巻取りロール85に巻き取られる。
つぎに、図19(a)と図14に示すように、再度、巻取りロール85から巻出しロール81に向けて、第1柱状体部と第2柱状体部Aが形成された集電体11を送り出す。そして、成膜ロール84cと成膜ロール84b間で、蒸着源83bから遠ざかる方向に所定の傾斜角度を維持しながら第2柱状体部A352Aが形成された集電体11を移動させる。この時、蒸着源83bから、Siなどの活物質を、電子ビームで加熱して蒸発させ、入射角度ω(180°−ω)で第2柱状体部A352Aの先端部上に蒸発粒子を入射させる。
その時、マスク82d近傍において、集電体11はその法線に対して、入射角度ωで入射する蒸発粒子の回り込み成分とマスク82d近傍の酸素導入ノズル88dから供給される酸素とにより、膨張・収縮の小さい層として、SiOxでxの値の大きなSiOに近い組成を有する活物質が集電体11に形成された第2柱状体部A352Aの先端部との界面に形成される。
その後、成膜ロール84cから成膜ロール84bへの集電体11の移動に伴って、入射角度ωからω(180°−ω)に変わりながら蒸発粒子の入射により第2柱状体部B352Bが成長する。この時、マスク82c、82dで蒸発粒子が遮蔽されない成膜領域では、幅方向にxの値が順次変化した状態で、第2柱状体部B352Bが成長する。例えば、図19(a)においては、図面中の左側のxの値は小さく、図面中の右側のxの値は大きくなる。
そして、蒸発粒子が入射角度ωで入射するマスク82c近傍において、酸素導入ノズル88cから供給される酸素により、先端部に、膨張・収縮の小さい層として、SiOxでxの値の大きなSiOに近い組成で成膜された第2柱状体部B352Bが形成される。特に、マスク82c下に集電体が移動する時に回り込んだ蒸発粒子により、xの値の大きなSiOに近い組成が効率的に先端部近傍に形成される。
これにより、第2柱状体部Aと第2柱状体部Bが、斜立方向や斜立角度が同じで、xの値の変化方向も等しく成長した、角度θで斜立方向の厚み15μmの第2柱状体部352が第1柱状体部351上に形成される。
つぎに、図19(b)と図14に示すように、成膜ロール84bと成膜ロール84a間で、蒸着源83aに近づく方向に所定の傾斜角度を維持しながら第2柱状体部352が形成された集電体11を移動させる。この時、蒸着源83aから、Siなどの活物質を、電子ビームで加熱して蒸発させ、入射角度ωで第2柱状体部352の先端部上に蒸発粒子を入射させる。
その時、マスク82b近傍において、集電体11はその法線に対して、入射角度ωで入射する蒸発粒子の回り込み成分とマスク82b近傍の酸素導入ノズル88bから供給される酸素とにより、膨張・収縮の小さい層として、SiOxでxの値の大きなSiOに近い組成を有する活物質が集電体11に形成された第2柱状体部352の先端部との界面に形成される。
その後、成膜ロール84bから成膜ロール84aへの集電体11の移動に伴って、入射角度ωからωに変わりながら蒸発粒子の入射により第3柱状体部353が成長する。この時、マスク82a、82bで蒸発粒子が遮蔽されない成膜領域では、幅方向にxの値が順次変化した状態で、第3柱状体部353が成長する。例えば、図19(b)においては、図面中の右側のxの値は小さく、図面中の左側のxの値は大きくなる。
そして、蒸発粒子が入射角度ωで入射するマスク82b近傍において、酸素導入ノズル88bから供給される酸素により、先端部に、膨張・収縮の小さい層として、SiOxでxの値の大きなSiOに近い組成が成膜された第3柱状体部353が形成される。特に、マスク82b下に集電体が移動する時に回り込んだ蒸発粒子により、xの値の大きなSiOに近い組成が効率的に先端部近傍に形成される。
これにより、斜立角度θで斜立方向の厚み7.5μmの第3柱状体部353が第2柱状体部B352B上に形成される。
上記工程により、第1柱状体部351および第3柱状体部353では、高さ方向の両端部にxの値が、その中間部より大きく、第2柱状体部352では、高さ方向の両端部および中間部でxの値が、それ以外の部分より大きい膨張・収縮の小さい層を有する柱状体35が形成される。同時に、集電体11の幅方向に対して、第1柱状体部351および第3柱状体部353と、第2柱状体部352とのxの値の変化方向が反対であるとともに、斜立する角度と斜立方向が異なる柱状体35を有する負極30が作製される。
なお、本実施の形態では、第3柱状体部は、1つの柱状体部で構成した例で説明したが、これに限られない。例えば、第2柱状体部と同様に、第3柱状体部A、第3柱状体部Bで第3柱状体部を構成としてもよい。すなわち、n段構成からなる柱状体においては、最終段目の柱状体部は、柱状体部A、Bの対でも1つの柱状体部のみでもよい。
また、本実施の形態では、n=3段の柱状体部からなる柱状体を例に説明したが、これに限られない。例えば、上記図18(d)から図19(b)の工程を繰り返すことにより、任意のn段(n≧2)の柱状体部からなる柱状体を形成できる。
なお、上記では集電体の片面に柱状体を形成した例で説明したが、これに限られない。例えば、集電体を反転させて集電体の他方の面に、同様の形態を備えた柱状体を形成してもよい。これにより、生産性よく負極を作製できる。
以下、本発明を実施例を用いてより具体的に説明する。
(実施例1)
(1)負極の作製
負極の柱状体は、図6に示す製造装置を用いて作製した。
まず、集電体として、メッキ法を用いて、その表面に凸部を幅7.5μm、高さ10、間隔20μmで形成した厚さ30μmの帯状電解銅箔を用いた。
そして、負極の活物質材料としてSiを用い、蒸着ユニット(蒸着源、るつぼ、電子ビーム発生装置をユニット化したもの)を用いて、純度99.7%の酸素ガスを酸素導入ノズルから真空容器内に導入して、SiOxからなる幅方向にxの値を変化させて第1柱状体部を作製した。この時、真空容器の内部は、圧力3.5Paの酸素雰囲気とした。また、蒸着時には、電子ビーム発生装置により発生させた電子ビームを偏向ヨークにより偏向させ、蒸着源に照射した。なお、蒸着源には半導体ウェハを形成する際に生じる端材(スクラップシリコン:純度99.999%)を用いた。
また、第1柱状体部は、集電体が移動する所定の傾斜角度を調整し、角度ω、ωの平均角度が60°になるようにし、約8nm/sの成膜速度で形成した。これにより、1段目の第1柱状体部(例えば、高さ5μm、断面積150μm)を形成した。同様に、実施の形態で説明した製造方法で、第2柱状体部と第3柱状体部(例えば、高さ12.5μm、断面積150μm)を形成し、3段からなる柱状体を形成した。
なお、負極中の柱状体の集電体の中心線に対する角度を走査型電子顕微鏡(日立製S−4700)を用い、断面観察により評価したところ各段の柱状体部の斜立角度θは平均約41°であった。この時、形成した柱状体の厚み(高さ)は、法線方向に対して、30μmで形成されていた。
また、EPMAを用い負極の柱状体を構成する各段の柱状体部の断面方向の線分布測定で酸素分布を調べたところ、第1柱状体部および第2柱状体部の幅方向において、斜立角度θ側から(180−θ)方向において酸素濃度(xの値)が連続的に増加していた。そして、酸素濃度(xの値)の増加方向は、第1柱状体部と第2柱状体部では、反対方向であった。この時のxの範囲は、0.1〜2で、平均0.6であった。
また、同様に、柱状体の高さ方向において、第1柱状体部では両端近傍の酸素濃度(xの値)と、中間部の酸素濃度(xの値)が異なり、第2柱状体部と第3柱状体部では両端近傍および中間部の酸素濃度(xの値)と、それ以外の酸素濃度(xの値)が異なる膨張・収縮の小さい層が形成されていた。そして、この時、第1柱状体部の両端近傍の酸素濃度(xの値)は1.5〜2範囲であり、中間部の酸素濃度(xの値)は0.1〜1.5の範囲であった。同様に、第2柱状体部と第3柱状体部では両端近傍および中間部の酸素濃度(xの値)は1.5〜2範囲であり、それ以外の部分の酸素濃度(xの値)は0.1〜1.5の範囲であった。
上記により、少なくとも各柱状体部の高さ方向において、酸素元素の含有比率の異なる膨張・収縮の小さい層を有する柱状体を備えた負極を得た。
その後、負極表面に真空蒸着法によって15μmのLi金属を蒸着した。さらに、負極の内周側に、正極と対向しないCu箔に露出部を設け、Cu製の負極リードを溶接した。
(2)正極の作製
リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極活物質を有する正極を、実施の形態1の実施例1と同様の方法により作製した。
(3)電池の作製
上記のようにして作製した負極を用いて、実施の形態1の実施例1と同様の方法により、設計容量は21mAhの積層型電池を作製した。これを、サンプル1とする。
(実施例2)
柱状体を、n=4段で1段目、4段目の柱状体部の高さは5μm、2段目、3段目の柱状体部の高さを約10μmで形成した以外は、実施例1と同様にして、負極を作製した。
なお、各段の柱状体部の斜立角度は約41°であり、形成した柱状体の厚み(高さ)は30μmであった。
また、EPMAより、各柱状体部の幅方向において、斜立角度θ側から(180−θ)方向において酸素濃度(xの値)が連続的に増加していた。そして、酸素濃度(xの値)の増加方向は、1段目および3段目の柱状体部と2段目および4段目の柱状体部では、反対方向であった。この時のxの範囲は、0.1〜2で、平均0.6であった。
上記負極を用いた以外は、実施例1と同様の方法により作製した非水電解質二次電池をサンプル2とした。
(実施例3)
柱状体を、n=6段で1段目、6段目の柱状体部の高さは3μm、2段目〜5段目の柱状体部の高さを約6μmで形成した以外は、実施例1と同様にして、負極を作製した。
なお、各段の柱状体部の斜立角度は約41°であり、形成した柱状体の厚み(高さ)は30μmであった。
また、EPMAより、各柱状体部の幅方向において、斜立角度θ側から(180−θ)方向において酸素濃度(xの値)が連続的に増加していた。そして、酸素濃度(xの値)の増加方向は、1段目、3段目および5段目の柱状体部と2段目、4段目および6段目の柱状体部では、反対方向であった。この時のxの範囲は、0.1〜2で、平均0.6であった。
上記負極を用いた以外は、実施例1と同様の方法により作製した非水電解質二次電池をサンプル3とした。
(実施例4)
柱状体を、n=11段で1段目、11段目の柱状体部の高さは1.5μm、2段目〜10段目の柱状体部の高さを約3μmで形成した以外は、実施例1と同様にして、負極を作製した。
なお、各段の柱状体部の斜立角度は約41°であり、形成した柱状体の厚み(高さ)は30μmであった。
また、EPMAより、各柱状体部の幅方向において、斜立角度θ側から(180−θ)方向において酸素濃度(xの値)が連続的に増加していた。そして、酸素濃度(xの値)の増加方向は、1、3、5、7、9段目および11段目の柱状体部と2、4、6、8段目および10段目の柱状体部では、反対方向であった。この時のxの範囲は、0.1〜2で、平均0.6であった。
上記負極を用いた以外は、実施例1と同様の方法により作製した非水電解質二次電池をサンプル4とした。
(実施例5)
柱状体は、固定台の角度を調整し、角度ωが50°になるようにした以外は、実施例3と同様にして、負極を作製した。
なお、各段の柱状体部の斜立角度は平均約31°であり、形成した柱状体の厚み(高さ)は30μmであった。
また、EPMAより、各柱状体部の幅方向において、斜立角度θ側から(180−θ)方向において酸素濃度(xの値)が連続的に増加していた。そして、酸素濃度(xの値)の増加方向は、1段目、3段目および5段目の柱状体部と2段目、4段目および6段目の柱状体部では、反対方向であった。この時のxの範囲は、0.1〜2で、平均0.6であった。
上記負極を用いた以外は、実施例1と同様の方法により作製した非水電解質二次電池をサンプル5とした。
(実施例6)
真空容器の内部の圧力を1.7Paの酸素雰囲気で、1段目と6段目の柱状体部の厚みを2.4μmおよび2段目〜5段目の柱状体部の厚みを4.8μmに形成した以外は、実施例3と同様にして、負極を作製した。
なお、各段の柱状体部の斜立角度は約41°であり、形成した柱状体の厚み(高さ)は24μmであった。
また、EPMAより、各柱状体部の幅方向において、斜立角度θ側から(180−θ)方向において酸素濃度(xの値)が連続的に増加していた。そして、酸素濃度(xの値)の増加方向は、1段目、3段目および5段目の柱状体部と2段目、4段目および6段目の柱状体部では、反対方向であった。この時のxの範囲は、0.1〜2で、平均0.3であった。
その後、負極表面に真空蒸着法によって10μmのLi金属を蒸着した。
上記負極を用いた以外は、実施例1と同様の方法により作製した非水電解質二次電池をサンプル6とした。
(比較例1)
高さ(厚み)30μmで1段に斜立して柱状体を構成した以外は、実施例1と同様の方法で負極を作製した。
なお、負極中の柱状体の集電体の中心線に対する角度を走査型電子顕微鏡(日立製S−4700)を用い、断面観察により評価したところ柱状体の斜立角度は約41°であった。この時、形成した柱状体の厚み(高さ)は30μmで形成されていた。
また、EPMAを用い負極の柱状体を構成する断面方向の線分布測定で酸素分布を調べたところ、幅方向において、斜立角度θ側から(180−θ)方向において酸素濃度(xの値)が連続的に増加していた。xの範囲は、0.1〜2で、平均0.6であった。
上記負極を用いた以外は、実施例1と同様の方法により作製した非水電解質二次電池をサンプルC1とする。
以上のように作製した各非水電解質二次電池に対し、実施の形態2と同様の方法により、電池容量の測定、充放電サイクル特性で評価した。
以下に、サンプル1〜6とサンプルC1の諸元と評価結果を(表5)および(表6)に示す。
Figure 2008192594
Figure 2008192594
(表5)と(表6)に示すように、サンプル1とサンプルC1とを比較すると、サイクル初期の10サイクル目程度では、容量維持率の差がなかった。しかし、500サイクル目では、サンプル1は80%程度の容量維持率を示したのに対して、サンプルC1は容量維持率が50%程度まで低下している。これは、柱状体を構成する柱状体部間および柱状体部A、Bで構成される柱状体部内の接続界面の活物質の元素比率を等しい膨張・収縮の小さい層を設けることにより、充放電時に剥離しにくい界面が形成されたためと考えられる。
よって、集電体の凸部に柱状体間および柱状体部A、Bで構成される柱状体部内の接続界面の活物質の元素比率の等しい柱状体を備えた負極とすることが、サイクル特性向上において効果的であることが確認された。
また、(表5)、(表6)に示すように、サンプル3とサンプル5において、柱状体の各柱状体部の斜立角度を41°から34°と変化させても、容量維持率、充放電効率およびハイレート比率の差はほとんどなく、優れた特性を維持できることがわかった。
また、(表5)、(表6)に示すように、サンプル1からサンプル4において、柱状体を構成する柱状体部の段数を変えても、容量維持率、充放電効率およびハイレート比率の差はほとんどなく、優れた特性を維持できることがわかった。
また、(表5)、(表6)に示すように、サンプル3とサンプル6において、柱状体を構成するSiOxのxの平均値が0.3と0.6の場合、xの平均値が小さいサンプル6は、xの平均値が大きいサンプル3と比較して、500サイクル後の容量維持率が若干低下する傾向が見られた。これは、xの平均値が小さいことは充放電時の膨張・収縮が大きいことに対応する。そのため、柱状体の膨張・収縮による、柱状体間や集電体と柱状体間との応力や歪が大きくなり、容量維持率が若干低下する傾向が現れたものと考えられる。
なお、上記各実施の形態の実施例では、柱状体の活物質として、Si、SiOxを用いた例について説明したが、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出できる元素である限り、特に限定されず、例えばAl、In、Zn、Cd、Bi、Sb、Ge、PbおよびSnなどからなる少なくとも1種の元素が好ましい。さらに、活物質としては、上記各元素以外の材料が含まれていてもよい。例えば遷移金属や2A族元素が含まれていてもよい。
なお、本発明において、集電体上に形成された凸部の形状および形成間隔は、上記各実施の形態に記載した内容に制限されるものでなく、斜立する柱状体を形成し得るものであればいかなる形状でもよい。
また、柱状体の中心線と集電体の中心線とが形成する斜立角度および柱状体の形状、寸法は、上記実施の形態に限定されるものでなく、負極の製造方法や用いられる非水電解質二次電池の必要な特性に応じて適宜変更されるものである。
本発明の非水電解質二次電池用負極は、高容量を可能としながら、ハイレート特性、充放電サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を提供することができる。そのため、今後大きな需要が期待される携帯電話やPDAなどの携帯型電子機器から大型の電子機器までの二次電池として有用である。
本発明の実施の形態1における非水電解質二次電池の断面図 (a)本発明の実施の形態1における負極の構造を示す部分断面模式図(b)本発明の実施の形態1の負極の充電時の状態を説明する部分断面模式図 (a)本発明の実施の形態1における非水電解質二次電池の充電前の状態を示す部分断面模式図(b)本発明の実施の形態1における非水電解質二次電池の充電後の状態を示す部分断面模式図 本発明の実施の形態1における非水電解質二次電池用負極のn段の柱状体部からなる柱状体の製造方法を説明する部分断面模式図 本発明の実施の形態1における非水電解質二次電池用負極のn段の柱状体部からなる柱状体の製造方法を説明する部分断面模式図 本発明の実施の形態1における非水電解質二次電池用負極の柱状体を形成する製造装置を説明する模式図 本発明の実施の形態1における非水電解質二次電池用負極の別の例1の構造を示す部分断面模式図 本発明の実施の形態1における非水電解質二次電池用負極の別の例2の構造を示す部分断面模式図 本発明の実施の形態1における非水電解質二次電池用負極の別の例3の構造を示す部分断面模式図 (a)本発明の実施の形態2における負極の構造を示す部分断面模式図(b)本発明の実施の形態2の各柱状体部を構成する活物質の幅方向のxの値の変化を説明する模式図(c)本発明の実施の形態2の各柱状体部を構成する活物質の高さ方向のxの値の変化を説明する模式図 (a)本発明の実施の形態2における非水電解質二次電池の充電前の状態を示す部分断面模式図(b)本発明の実施の形態2における非水電解質二次電池の充電後の状態を示す部分断面模式図 (a)本発明の実施の形態2における負極の柱状体の充電前の状態を示す部分断面模式図(b)本発明の実施の形態2における負極の柱状体の充電後の状態を示す部分断面模式図 本発明の実施の形態2における非水電解質二次電池用負極のn段の柱状体部からなる柱状体の製造方法を説明する部分断面模式図 本発明の実施の形態2における非水電解質二次電池用負極のn段の柱状体部からなる柱状体を形成する製造装置を説明する模式図 (a)本発明の実施の形態2における負極の構造を示す部分断面模式図(b)本発明の実施の形態2の各柱状体部を構成する活物質の幅方向のxの値の変化を説明する模式図(c)本発明の実施の形態2の各柱状体部を構成する活物質の高さ方向のxの値の変化を説明する模式図 (a)本発明の実施の形態3における負極の構造を示す部分断面模式図(b)本発明の実施の形態3の各柱状体部を構成する活物質の幅方向のxの値の変化を説明する模式図(c)本発明の実施の形態3の各柱状体部を構成する活物質の高さ方向のxの値の変化を説明する模式図 (a)本発明の実施の形態3における非水電解質二次電池の充電前の状態を示す部分断面模式図(b)本発明の実施の形態3における非水電解質二次電池の充電後の状態を示す部分断面模式図 本発明の実施の形態における非水電解質二次電池用負極のn段の柱状体部からなる柱状体の製造方法を説明する部分断面模式図 本発明の実施の形態における非水電解質二次電池用負極のn段の柱状体部からなる柱状体の製造方法を説明する部分断面模式図 実施例と比較例のサンプルにおける充放電サイクル特性の一例を示す図 (a)従来の負極の充電前の状態の構造を示す部分断面模式図(b)従来の負極の充電後の状態の構造を示す部分断面模式図
符号の説明
1,1c,1d,1e,20,30 負極
1a 負極集電体
1b,15,25,35 柱状体
2,17 正極
2a 正極集電体
2b 正極合剤層
3 セパレータ
4 電極群
5 外装ケース
11 集電体
12 凹部
13 凸部
18 電解液(非水電解質)
25a 下部側
25b 上部側
40,80 製造装置
41,86 真空容器
42 ガス導入配管
43 固定台
45 ノズル
46,83a,83b 蒸着源
47,87 真空ポンプ
81 巻出しロール
82a,82b,82c,82d マスク
84a,84b,84c 成膜ロール
85 巻取りロール
88a,88b,88c,88d 酸素導入ノズル
151,251,351 第1柱状体部
152,252,352 第2柱状体部
153,253,353 第3柱状体部
154 第4柱状体部
155 第5柱状体部
155a,155c 膨張・収縮の大きい層
155b,159,160 膨張・収縮の小さい層
156 第6柱状体部
157 第7柱状体部
158 第8柱状体部
352A 第2柱状体部A
352B 第2柱状体部B

Claims (19)

  1. リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出する非水電解質二次電池用負極であって、
    少なくとも片面に凹部と凸部が形成された集電体と、
    前記集電体の前記凸部上に斜立して形成された柱状体部をn(n≧2)段に積層した構成を有する柱状体と、を備え、
    前記柱状体の内部に、前記リチウムイオンの吸蔵・放出による膨張・収縮の小さい層を設けていることを特徴とする非水電解質二次電池用負極。
  2. 前記膨張・収縮の小さい層を、前記柱状体部の高さ方向の両端部近傍に設けていることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極。
  3. 前記膨張・収縮の小さい層を、前記柱状体部の高さ方向の中間部近傍に設けていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の非水電解質二次電池用負極。
  4. 前記膨張・収縮の小さい層を、前記柱状体の外周表面または2段以上に積層した前記柱状体部の外周表面に設けていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極。
  5. 前記柱状体に設けられた前記膨張・収縮の小さい層を、前記柱状体を構成する元素の含有比率を順次変化させることにより設けていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極。
  6. 前記柱状体を構成する前記柱状体部の偶数段と奇数段において、前記集電体の長手方向に対して前記元素の含有比率の変化方向が異なることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極。
  7. 少なくとも放電状態において、前記柱状体のn段の前記柱状体部は、前記集電体の前記凸部上に斜立して形成されるとともに、その奇数段と偶数段が厚み方向につづら折り状に積層されていることを特徴とする請求項1または請求項6に記載の非水電解質二次電池用負極。
  8. 少なくとも充電状態において、前記柱状体部の斜立方向の中心線と前記集電体の厚み方向の中心線との交差して成す鋭角側の角度が、放電状態の角度より大きくなっていることを特徴とする請求項1または請求項6に記載の非水電解質二次電池用負極。
  9. 前記柱状体および前記柱状体部として、少なくともリチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出する理論容量密度が833mAh/cmを超える負極活物質を用いたことを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極。
  10. 前記負極活物質として、少なくともケイ素を含むSiOxで表される材料を用いたことを特徴とする請求項9に記載の非水電解質二次電池用負極。
  11. 前記ケイ素を含むSiOxで表される材料のxの値が、前記柱状体部の斜立方向の中心線と前記集電体の厚み方向の中心線との交差角度に対して、鋭角を形成する側から鈍角を形成する側へ向かって連続的に増加していることを特徴とする請求項10に記載の非水電解質二次電池用負極。
  12. 前記ケイ素を含むSiOxで表される材料のxの値を前記柱状体部の高さ方向の両端部近傍または中間部近傍で大きくして、前記膨張・収縮の小さい層を設けたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の非水電解質二次電池用負極。
  13. 前記ケイ素を含むSiOxで表される材料のxの値を前記柱状体の外周表面で大きくして、前記膨張・収縮の小さい層を設けたことを特徴とする請求項4に記載の非水電解質二次電池用負極。
  14. リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出する非水電解質二次電池用負極の製造方法であって、
    少なくとも集電体の片面に凹部と凸部を形成する第1ステップと、
    蒸着源と前記集電体の法線との成す角度が大きくなる方向に前記集電体を移動させながら、前記凸部に1段目の柱状体部を斜立させて形成する第2ステップと、
    前記角度が小さくなる方向に前記集電体を移動させながら、1段目の前記柱状体部の斜立方向と異なる方向に斜立する2段目の柱状体部を形成する第3ステップと、を含み、
    前記第2ステップと前記第3ステップを少なくとも1回以上繰り返して奇数段目と偶数段目の前記柱状体部の斜立方向が異なる、n(n≧2)段からなる柱状体を形成するとともに、
    少なくとも前記柱状体部を形成するいずれかのステップにおいて、前記リチウムイオンの吸蔵・放出による膨張・収縮の小さい層を形成するステップを含むことを特徴とする非水電解質二次電池用負極の製造方法。
  15. 前記膨張・収縮の小さい層を、前記柱状体部の高さ方向の両端部近傍に形成することを特徴とする請求項14に記載の非水電解質二次電池用負極の製造方法。
  16. 前記膨張・収縮の小さい層を、前記柱状体部の高さ方向の中間部近傍に形成することを特徴とする請求項14または請求項15に記載の非水電解質二次電池用負極の製造方法。
  17. 前記膨張・収縮の小さい層を、前記柱状体の外周表面または2段以上に積層した前記柱状体部の外周表面に形成することを特徴とする請求項14から請求項16のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極の製造方法。
  18. 前記蒸着源に対する前記集電体の前記角度の変化する方向が、奇数段目と偶数段目で異なることを特徴とする請求項14に記載の非水電解質二次電池用負極の製造方法。
  19. 請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極と、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出する正極と、非水電解質とを備えたことを特徴とする非水電解質二次電池。
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