JP4590045B2 - 1,3−オキサチオラン−5−オン類およびそれを含有する香料組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な1,3−オキサチオラン−5−オン類およびそれを有効成分として含有する香料組成物に関する。
【0002】
更に詳しくは、本発明は、下記式
【0003】
【化3】
式中、R1およびR2は同一もしくは相異なり、それぞれ水素、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数10以下のアルカジエニル基またはR3S−R4−を示し、ここで、R3は水素、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基または炭素原子数5以下のアルカジエニル基を示し、R4は炭素原子数1〜8のアルキレン基、炭素原子数2〜8のアルケニレン基または炭素原子数8以下のアルカジエニレン基を示す、ただし、R1が水素であり且つR2が炭素原子数1〜3のアルキル基である場合は除く、
で表される1,3−オキサチオラン−5−オン類、及び下記式(1)
【0004】
【化4】
式中、R1およびR2は同一もしくは相異なり、それぞれ水素、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数10以下のアルカジエニル基またはR3S−R4−を示し、ここで、R3は水素、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基または炭素原子数5以下のアルカジエニル基を示し、R4は炭素原子数1〜8のアルキレン基、炭素原子数2〜8のアルケニレン基または炭素原子数8以下のアルカジエニレン基を示す、
で表される1,3−オキサチオラン−5−オン類を有効成分として含有する香料組成物に関する。
【0005】
【従来の技術】
1,3−オキサチオラン−5−オン類として、例えば、2,4−ジメチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−エチル−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オンおよび2−プロピル−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オンは既知の化合物であり、チオ乳酸を、対応するアルデヒド、即ち、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド又はブチルアルデヒドと反応することにより得られることが知られている(Bulletin of the Chemical Society of Japan,vol.45,913−915,1972参照)。
【0006】
また、チオグリコール酸またはα−メルカプトプロピオン酸をハロゲノプロピオンアルデヒドと反応させるか、α−メルカプトプロピオン酸をハロゲノアセトアルデヒドと反応させることにより1,3−オキサチオラン−5−オン誘導体を製造する方法が提案されている(特公昭43−25497号公報参照)。
【0007】
しかしながら、上記の文献には、本発明の特定の1,3−オキサチオラン−5−オン類については記載されておらず、またそれらの1,3−オキサチオラン−5−オン類の香気特性については何ら開示されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
近年、消費者の嗜好性は多様化し、それに伴って各種各様の香気香味を有する香粧品、飲食品などが製造されている。これらの多様化に対して、従来既知の香料化合物だけでは各種各様の香気香味を有する香粧品、飲食品用香料の需要には対応しきれず、従来にない新しいタイプのユニークな香料素材の開発が強く求められている。
【0009】
従って、本発明の目的は、これらの要望に応えるユニークな香気を賦与することのできる香料化合物および該化合物を含有する香料組成物を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するため、各種の1,3−オキサチオラン−5−オン類を合成し、その香気特性について精査したところ、前記式(1)で表される1,3−オキサチオラン−5−オン類が、従来の香料物質に比して、著しくマイルドで、ユニークなミート様、ナッツ様、調理臭様などの香気香味を有し、嗜好品、飲食品類などの広い分野において優れた且つユニークな持続性香気香味賦与乃至変調剤として極めて有用であることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0011】
従って、本発明は、下記式
【0012】
【化5】
式中、R1およびR2は同一もしくは相異なり、それぞれ水素、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数10以下のアルカジエニル基またはR3S−R4−を示し、ここで、R3は水素、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基または炭素原子数5以下のアルカジエニル基を示し、R4は炭素原子数1〜8のアルキレン基、炭素原子数2〜8のアルケニレン基または炭素原子数8以下のアルカジエニレン基を示す、ただし、R1が水素であり且つR2が炭素原子数1〜3のアルキル基である場合は除く、
で表される1,3−オキサチオラン−5−オン類を提供するものである。
【0013】
本発明はまた下記式(1)
【0014】
【化6】
式中、R1およびR2は同一もしくは相異なり、それぞれ水素、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数10以下のアルカジエニル基またはR3S−R4−を示し、ここで、R3は水素、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基または炭素原子数5以下のアルカジエニル基を示し、R4は炭素原子数1〜8のアルキレン基、炭素原子数2〜8のアルケニレン基または炭素原子数8以下のアルカジエニレン基を示す、
で表される1,3−オキサチオラン−5−オン類を有効成分として含有する香料組成物を提供するものである。
【0015】
なお、上記式(1)において、R1が水素であり且つR2が炭素原子数1〜3のアルキル基である場合の化合物を除き、式(1)の化合物は従来の文献に未載の新規化合物である。
【0016】
【発明の実施の形態】
R1およびR2のいずれか一方が水素を示す場合の本発明の上記式(1)の化合物、すなわち下記式(1a)の化合物は、例えば、下記反応式Aに示すように、式(3)で示されるアルデヒドを式(2)で示されるチオ乳酸と反応させることにより容易に且つ好収率で製造することができる。
【0017】
【化7】
式中、R5は水素、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数10以下のアルカジエニル基、またはR3S−R4−を示し、ここでR3およびR4は前記定義のとおりである。
【0018】
上記反応は、式(3)のアルデヒドを式(2)のチオ乳酸と直接あるいは触媒の存在下に接触せしめることにより容易に実施することができる。
【0019】
該反応に使用しうる触媒としては、例えば、p−トルエンスルホン酸、硫酸、リン酸、塩酸などの酸を好ましく例示することができる。
【0020】
該反応に使用する上記式(3)のアルデヒド類は、それ自体既知のものであり、市販品として容易に入手することができる。その具体例としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロパナール、ブタナール、ペンタナール、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、イソブチルアルデヒド、イソバレロアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、トランス−2−ペンテナール、トランス−2−オクテナール、トランス−2−ヘキセナール、シス−3−ヘキセナール、2,4−ヘキサジエナール、2,4−ヘプタジエナール、2,4−オクタジエナール、2,4−ノナジエナール、2,6−ノナジエナール、2,4−デカジエナール、メチオナール(3−メチルチオプロパナール)、6−メチルチオヘキサナール等を挙げることができる。
【0021】
上記式(3)のアルデヒド類のうちR5がR3S−R4−である場合のチオエーテル体は、例えば、下記の反応式BまたはCに示す方法により容易に合成することができる。即ち、式(a)のアルケニルアルデヒドを、ラジカル発生剤の存在下に、式(b)のメルカプタン類と反応させるか[反応式B]、あるいは式(c)のハロゲン化アルデヒドを式(d)のアルキルメルカプタンナトリウム塩と反応させる[反応式C]ことにより得ることができる。
【0022】
【化8】
【0023】
【化9】
式中、R3は前記定義のとおりであり、Xはハロゲン原子を示し、nは1〜6の整数である。
【0024】
また、式(2)のチオ乳酸も市販品として容易に入手することができ、その使用量は特に制限されるものではなく、反応条件等に応じて適宜選択することができるが、一般には、式(3)の化合物1モルに対して、約0.2〜約5モル、特に約0.5〜約2モルの範囲内で使用することができる。さらに、触媒の使用量も特に制限されるものではなく、触媒の種類や反応条件等に応じて適宜選択することができるが、一般には、式(3)の化合物に対して、0〜5重量%程度を好ましく例示することができる。
【0025】
反応は、通常、有機溶媒の存在下または不存在下、好ましくは有機溶媒の存在下に、約50℃〜約140℃の温度で、10分〜4時間攪拌しながら行うことができる。ここで使用しうる有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ジイソプロピルエーテル等が挙げられ、その使用量は、式(3)の化合物に対して重量で、通常、5〜20倍量とすることができる。
【0026】
反応終了後、所望により、例えば、トルエンの如き抽出剤で抽出し、アルカリ水溶液で洗浄し、減圧下に蒸留することにより、目的とする前記式(1a)の化合物を容易に好収率で製造することができる。
【0027】
前記反応式Aに従って得られる式(1a)の1,3−オキサチオラン−5−オン類の具体例を挙げれば、次のとおりである:4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2,4−ジメチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−エチル−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−プロピル−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−イソプロピル−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−ブチル−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−イソブチル−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−ペンチル−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−ヘキシル−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−ヘプチル−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−オクチル−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−ノニル−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−デシル−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−ビニル−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−(1’E−プロペニル)−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−(1’E−ブテニル)−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−(1’E−ペンテニル)−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−(2’Z−ペンテニル)−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−(3’Z−ペンテニル)−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−(1’E−ヘプテニル)−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−(1’,3’−ペンタジエニル)−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−(1’,3’−ヘキサジエニル)−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−(1’,3’−ヘプタジエニル)−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−(1’,3’−オクタジエニル)−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−(1’,5’−オクタジエニル)−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−(1’,3’−ノナジエニル)−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−(2’−メチルチオエチル)−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−(5’−メチルチオペンチル)−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン等。 また、本発明の前記式(1)の化合物は、例えば、下記反応式Dに示すように、式(4)で示されるケトンを式(2)で示されるチオ乳酸と反応させることによっても容易に合成することができる。
【0028】
【化10】
式中、R1’およびR2’は同一もしくは相異なり、それぞれ炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数10以下のアルカジエニル基またはR3S−R4−を示し、ここで、R3およびR4は前記定義のとおりである。
【0029】
上記の反応は式(4)のケトンを、式(2)のチオ乳酸と直接あるいは触媒の存在下に接触せしめることにより容易に実施することができる。該反応に使用しうる触媒としては、例えば、p−トルエンスルホン酸、硫酸、リン酸、塩酸などの酸を好ましく例示することができる。
【0030】
該反応に使用する上記式(4)のケトン類は、それ自体既知のものであり、市販品として容易に入手することができる。その具体例としては、例えば、アセトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン、2−ノナノン、3−ペンタノン、3−ヘキサノン、3−ヘプタノン、3−オクタノン、3−ノナノン、3−デカノン、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、3−ペンテン−2−オン、4−ヘキセン−3−オン、5−ヘキセン−2−オン、3−ノネン−2−オン、4−メチルチオ−2−ブタノン、5−メチルチオ−3−ペンタノン、6−メチルチオ−2−ヘキサノン等を挙げることができる。
【0031】
上記式(4)のケトン類のうちR1’またはR2’がR3S−R4−である場合のチオエーテル体は、例えば、下記の反応式EまたはFに示す反応により容易に合成することができる。即ち、式(e)のアルケニルケトンを、ラジカル発生剤の存在下に、式(f)のメルカプタン類と反応させるか[反応式E]、あるいは式(g)のハロゲン化ケトンを式(h)のアルキルメルカプタンナトリウム塩と反応させる[反応式F]ことにより、前記反応式BまたはCについて述べたと同様にして得ることができる。
【0032】
【化11】
【0033】
【化12】
式中、R7は炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基または炭素原子数10以下のアルカジエニル基を示し、R8は水素、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基または炭素原子数5以下のアルカジエニル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、nは1〜6の整数である。
【0034】
前記反応式Dの反応において、チオ乳酸の使用量は特に制限されるものではなく、反応条件等に応じて適宜選択することができるが、一般には、式(4)の化合物1モルに対して、約0.1〜約5モル、特に約0.2〜約2モルの範囲内で使用することができる。また、触媒の使用量も特に制限されるものではなく、触媒の種類や反応条件等に応じて適宜選択することができるが、一般に、式(4)の化合物に対して、0〜5重量%程度を好ましく例示することができる。
【0035】
反応は、通常、有機溶媒の存在下または不存在下、好ましくは有機溶媒の存在下に、約50℃〜約140℃の温度で、4時間以内攪拌しながら行うことができる。ここで使用しうる有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ジイソプロピルエーテル等が挙げられ、その使用量は、式(4)の化合物に対して重量で、通常、5〜20倍量とすることができる。
【0036】
反応終了後、所望により、例えば、トルエンの如き抽出剤で抽出し、アルカリ水溶液で洗浄し、減圧下に蒸留することにより目的とする上記式(1b)の化合物を容易に好収率で製造することができる。
【0037】
前記反応式Dに従って得られる式(1b)の1,3−オキサチオラン−5−オン類の具体例を挙げれば次のとおりである:2,2,4−トリメチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2,4−ジメチル−2−エチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2,4−ジメチル−2−プロピル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2,4−ジメチル−2−ブチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2,4−ジメチル−2−ペンチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2,4−ジメチル−2−ヘキシル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2,4−ジメチル−2−ヘプチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2,2−ジエチル−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−エチル−4−メチル−2−プロピル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−エチル−4−メチル−2−ブチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−エチル−4−メチル−2−ペンチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−エチル−4−メチル−2−ヘキシル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−エチル−4−メチル−2−ヘプチル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2,4−ジメチル−2−ビニル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−エチル−4−メチル−2−ビニル−1,3−オキサチオラン−5−オン、2,4−ジメチル−2−(1’−プロペニル)−1,3−オキサチオラン−5−オン、2,4−ジメチル−2−(3’−ブテン)−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−エチル−4−メチル−2−(1’−プロペニル)−1,3−オキサチオラン−5−オン、2,4−ジメチル−2−(1’−ヘプテン)−1,3−オキサチオラン−5−オン、2,4−ジメチル−2−(2’−メチルチオエチル)−1,3−オキサチオラン−5−オン、2−エチル−4−メチル−2−(2’−メチルチオエチル)−1,3−オキサチオラン−5−オン、2,4−ジメチル−2−(4’−メチルチオブチル)−1,3−オキサチオラン−5−オン等。
【0038】
本発明の式(1)の1,3−オキサチオラン−5−オン類は、香気賦与乃至変調剤として優れた持続性を有し極めて有用である。式(1)化合物は、著しくマイルドで且つ丸味に富んだユニークな香気及び優れた持続性を有するミート様、ナッツ様、調理臭様などの香気を有する。かくして、本発明によれば、前記式(1)で表される1,3−オキサチオラン−5−オン類を有効成分として含有する香料組成物が提供される。式(1)の化合物を香料組成物に用いる場合、その添加量は、その目的あるいは香料組成物の種類によっても異なるが、一般的には、香料組成物全体量の0.0001〜30重量%、好ましくは0.001〜20重量%の範囲内を例示することができる。なお、本発明の1,3−オキサチオラン−5−オン類は、前記したように対応するアルデヒド類又はケトン類と、チオ乳酸との反応により容易に生成するので、香料組成物にあらかじめアルデヒド類又はケトン類とチオ乳酸を配合しておき、その場で本発明の1,3−オキサチオラン−5−オン類を生成させるようにすることもできる。
【0039】
また、本発明によれば、前記式(1)の化合物を有効成分として含有する香気香味賦与組成物を利用して、式(1)の化合物を香気香味成分として含有することを特徴とする飲食品類、式(1)の化合物を香気香味成分として含有することを特徴とする香粧品類、式(1)の化合物を香気香味成分として含有することを特徴とする保健・衛生・医薬品などを提供することができる。
【0040】
例えば、果汁飲料類、果実酒類、乳飲料類、炭酸飲料類のごとき飲料類;アイスクリーム類、シャーベット類、アイスキャンディーのごとき冷菓類;和洋菓子類、ジャム類、チューインガム類、パン類、コーヒー、ココア、紅茶、お茶、タバコのごとき嗜好品類;和風スープ類、洋風スープ類のごときスープ類;ハム、ソーセージなどの畜肉加工品;風味調味料、各種インスタント飲料乃至食品類、各種スナック食品類などに、式(1)の化合物を有効成分として含有する香料組成物の適当量を添加することにより、そのユニークな香気香味が付与された飲食品類を提供することができる。また、例えば、シャンプー類、ヘアークリーム類、ポマード類、その他の毛髪用化粧料基剤;オシロイ、口紅、その他の化粧料基剤や化粧料洗剤基剤などに、式(1)の化合物を有効成分として含有する香料組成物の適当量を添加することにより、そのユニークな香気が付与された化粧品類を提供することができる。さらにまた、式(1)の化合物を有効成分として含有する香料組成物の適当量が配合された洗濯用洗剤類、消毒用洗剤類、室内芳香剤、その他各種の保健・衛生材料類;医薬品の服用を容易にするための矯味、賦香剤などの保健・衛生・医薬品類を提供することができる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例および製造例により本発明を更に具体的に説明する。
【0042】
製造例1:4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オンの製造
200ml反応フラスコ中に、パラホルムアルデヒド10.8g(0.36mol)、チオ乳酸19.0g(0.18mol)とジイソプロピルエーテル100gを仕込み、p−トルエンスルホン酸0.2gを加えて攪拌する。フラスコ内は徐々に発熱し、27℃から38℃となる。発熱がおさまるまで室温で攪拌した後、加熱還流下にアゼオ脱水反応を4時間行う。冷却後、水300g中に加え、エーテル300mlで抽出し、飽和重曹水溶液300mlで2回洗浄後、さらに水200mlにて2回洗浄する。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、減圧下に蒸留して、沸点91〜94℃/25mmHgの留分を8.2g(収率38.8%)得る。
(分析値)
IRcm-1(VAPOUR PHASE)3584,2990,2902,1802,1457,1327,1207,1136,1042
MS 45,46,59,60(100),74,118(M+)。
【0043】
製造例2:2,4−ジメチル−1,3−オキサチオラン−5−オンの製造
200ml反応フラスコ中に、アセトアルデヒド17.6g(0.40mol)、チオ乳酸21.2g(0.20mol)とジイソプロピルエーテル100gを仕込み、p−トルエンスルホン酸0.2gを加えて攪拌する。フラスコ内は徐々に発熱し、22℃から43℃となる。水冷し室温で攪拌後、約50℃にて加熱還流下に7時間攪拌反応した。冷却後、水300g中に加え、エーテル300mlで抽出し、飽和重曹水溶液300mlで2回洗浄後、さらに水200mlにて2回洗浄する。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、減圧下に蒸留して、沸点44〜45℃/2mmHgの留分を17.2g(収率65.2%)得る。
(分析値)
IRcm-1(VAPOUR PHASE)2992,2937,1799,1453,1384,1257,1156,1088,936
MS 45,59,60(100),88,132(M+)。
【0044】
製造例3:4−メチル−2−ペンチル−1,3−オキサチオラン−5−オンの製造
200ml反応フラスコ中に、ヘキサナール20g(0.20mol)、チオ乳酸10.6g(0.10mol)およびトルエン100gを仕込み、加熱還流下、生成する水を除きながら3時間反応を行う。冷却後、水300g中に加え分液し、飽和重曹水溶液300mlで3回洗浄後、さらに水200mlにて洗浄する。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、減圧下に蒸留して、沸点86〜90℃/2mmHgの留分を8.7g(収率46.3%)得る。
(分析値)
IRcm-1(VAPOUR PHASE)3572,2943,1797,1458,1300,1208,1149,1022
MS 27,60(100),61,88,89,99,117,188(M+)。
【0045】
製造例4:4−メチル−2−(2’−メチルチオエチル)−1,3−オキサチオラン−5−オンの製造
200ml反応フラスコ中に、メチオナール15g(0.144mol)、チオ乳酸30.5g(0.288mol)およびトルエン150gを仕込み、加熱還流下に生成する水を除きながら4時間反応を行った。冷却後、水300g中に加え分液し、飽和重曹水溶液300mlで3回洗浄後、さらに水300mlにて洗浄する。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、減圧下に蒸留して、沸点100〜106℃/2mmHgの留分を12.7g(収率45.7%)得る。
(分析値)
IRcm-1(VAPOUR PHASE)3580,2933,1799,1443,1263,1209,1142,1029
MS 27,45,47,48,56,59,60,61(100),76,80,89,192(M+)。
【0046】
製造例5:2,4−ジメチル−2−エチル−1,3−オキサチオラン−5−オンの製造
200ml反応フラスコ中に、2−ブタノン36g(0.5mol)、チオ乳酸21.2g(0.2mol)およびp−トルエンスルホン酸0.1gを仕込み、加熱還流下に生成する水を除きながら4時間反応を行った。冷却後、水300gとエーテル100g中に加え分液し、飽和重曹水溶液300mlで3回洗浄後、さらに水200mlにて洗浄する。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、減圧下に蒸留して、沸点77〜79℃/7mmHgの留分を17g(収率53%)得る。
(分析値)
IRcm-1(VAPOUR PHASE)3566,2987,1792,1457,1383,1292,1210,1106,1041,947,871
MS 27,59,60,73(100),103,160(M+)。
【0047】
製造例6:4−メチル−2−ビニル−1,3−オキサチオラン−5−オンの製造
200ml反応フラスコ中に、アクロレイン22.4g(0.4mol)、チオ乳酸21.2g(0.2mol)およびジイソプロピルエーテル100gを仕込み、50℃で5時間攪拌反応を行った。反応液を水300g中に加え、飽和重曹水溶液300mlで2回洗浄後、さらに水200mlにて2回洗浄する。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、減圧下に蒸留して、沸点70〜75℃/7mmHgの留分を9.5g(収率33%)得る。
(分析値)
IRcm-1(VAPOUR PHASE)3581,3101,2992,1800,1422,1235,1135,1031,939,791
MS 27,45,59,60(100),88,115,144(M+)。
【0048】
製造例7:2−イソブチル−4−メチル−1,3−オキサチオラン−5−オンの製造
200ml反応フラスコ中に、イソバレルアルデヒド17.2g(0.2mol)、チオ乳酸21.2g(0.2mol)およびトルエン100gを仕込み、加熱還流下にて生成してくる水を系外に除きつつ4時間反応を行った。反応液を水300g中に加え、エーテル200mlで抽出し、飽和重曹水溶液300mlで2回洗浄後、さらに水200mlにて2回洗浄する。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、減圧下に蒸留して、沸点82〜85℃/7mmHgの留分を21.2g(収率58%)得る。
(分析値)
IRcm-1(VAPOUR PHASE)3572,2978,1796,1463,1384,1314,1252,1153,1041
MS 27,45,59,60,61,88,89,(100),117,160(M+)。
【0049】
製造例8:4−メチル−2−ノニル−1,3−オキサチオラン−5−オンの製造
200ml反応フラスコ中に、n−デシルアルデヒド15.6g(0.1mol)、チオ乳酸21.2g(0.2mol)およびトルエン100gを仕込み、加熱還流下にて生成してくる水を系外に除去しながら4時間反応を行った。反応液を水300g中に加え、エーテル200mlで抽出し、飽和重曹水溶液300mlで2回洗浄後、さらに水200mlにて2回洗浄する。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、減圧下に蒸留して、沸点140〜146℃/2mmHgの留分を15.6g(収率64%)得る。
(分析値)
IRcm-1(VAPOUR PHASE)3573,2936,2869,1796,1459,1302,1209,1147,1042
MS 60,61,88(100),89,117,155,171,244(M+)。
【0050】
製造例9〜17
製造例1〜8と同様の方法により、各種のアルデヒド類およびケトン類を用いて反応を行った。製造した1,3−オキサチオラン−5−オン類の化合物名、構造式、沸点、収率及び香気特性を表1に示す(製造例1〜8の化合物についても併記する)。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
実施例1
チキン用香料組成物を下記の各成分(重量)を混合して調製した。
【0053】
上記組成物100gに4−メチル−2−(2−メチルチオエチル)−1.3−オキサチオラン−5−オンの1%エタノール溶液10g〜20gを加えることにより、チキンの香気および香味成分として非常に優れた持続性香料組成物が得られた。この新規組成物と該化合物を加えていない上記組成物について専門パネラー10人による比較法により比較した。その結果、専門パネラー全員が該化合物を加えた新規組成物は、該化合物を加えない組成物と比べてマイルドで且つ肉感に富んだチキン様フレーバーとして格段に優れていると判定し、香気の賦与剤あるいは変調剤として効果のあることが確認された。
【0054】
また、4−メチル−2−(2−メチルチオエチル)−1.3−オキサチオラン−5−オンの代わりに、前記表1に示した化合物をそれぞれ使用することによって前記と同様な結果が得られた。
【0055】
【発明の効果】
本発明の式(1)の1,3−オキサチオラン−5−オン類は、著しくマイルドで、ユニークなミート様、ナッツ様、調理臭様などの香気香味を有し、嗜好品、飲食品類などの広い分野において優れた且つユニークな持続性香気香味賦与乃至変調剤として極めて有用である。
Claims (2)
- 下記式
で表される1,3−オキサチオラン−5−オン類、ただし、R1およびR2の一方がCH(CH3)2またはC(CH3)3であり且つ他方がCH3である場合の上記式の化合物、R1およびR2の一方がC(CH3)3であり且つ他方が水素である場合の上記式の化合物、及びR1およびR2がCH3である場合の上記式の化合物を除く。
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