JP3635178B2 - 香料組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フローラル様、フルーティー様、ウッディー様、イリス様、バイオレット様などの香気香味特性を有し、香料化合物として有用な下記式(A)
【0002】
【化2】
【0003】
で表される1−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)プロパン−2−オンを有効成分として含有する新規な香料組成物に関する。
【0004】
【従来の技術】
上記式(A)の化合物の類似化合物として、例えば下記一般式(B)で表されるヨノン類または下記一般式(C)で表されるメチルヨノン類が知られている。これらのヨノン類およびメチルヨノン類はウッディー様、イリス様、バイオレット様の香気を有し、広く調合香料の素材として使用されている(「合成香料」印藤元一著,化学工業日報社発行,P382−391,1996年)
【0005】
【化3】
【0006】
式中、点線は単結合または二重結合を表す。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
近年、消費者の嗜好性が多様化してきていることに伴い、各種各様の商品の開発が望まれている。特に、飲食品・香粧品業界はこの傾向が強く、消費者の嗜好性に合うバラエティーに富んだ飲食品、香粧品の開発が強く要求されている。これらの要求に対して、飲食品、香粧品の一つの原料素材である香料についても、従来から提案されている香料化合物だけでは十分には対応しきれず、従来にないユニークな香気香味特性を有し且つその持続性に優れた香料化合物の開発が緊急の課題となっている。
【0008】
そこで、本発明者らは、上記の課題を解決するため、各種メチルヨノン関連化合物の香気特性について検討した結果、今回、従来の文献に未記載の上記式(A)の化合物が、フローラル様、フルーティー様、ウッディー様、イリス様、バイオレット様などの香気香味特性を有し、調合香料の素材として従来用いられている上記のヨノン類又はメチルヨノン類とは香気香味特性が異なり、特にフローラル様及びフルーティー様の香気香味特性が強調され、さらにその持続性に優れており、香料物質として極めて有用であることを見い出し本発明を完成した。
【0009】
従って、本発明の目的は、前記式(A)の化合物を有効成分として含有する香料組成物を提供することにある。更に、本発明の他の目的は、前記式(A)化合物の製造方法を提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の前記式(A)の1−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)プロパン−2−オンは、例えば、下記反応式に示す方法によって容易に合成することができる。
【0011】
【化4】
【0012】
すなわち、式(A)の化合物は、式(1)で表される2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オールを、式(3)で表されるピバリン酸の存在下に、式(2)で表されるイソプロペニルメチルエーテルを加熱条件下に接触反応させることにより、工業的に容易に合成することができる。
【0013】
また、式(2)の化合物のかわりに、例えば、2,2−ジメトキシプロパンを用いることもでき、さらに、例えば、α−シクロシトラール等を出発原料として用いて式(A)の化合物を製造することもできる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、上記反応式に示す式(A)の化合物の製造法をさらに詳細に説明する。本発明の上記式(A)の化合物は、式(1)の化合物と式(2)の化合物を、式(3)の化合物の存在下に加熱条件下に反応させることにより、容易に合成することができる。上記反応は静置または攪拌下に実施することができ、また、不活性ガス雰囲気下に密閉容器中で行うのが好ましい。さらに、所望により有機溶媒の存在下に行うこともできる。
【0015】
この反応に使用する式(1)の化合物は、文献記載の方法(K.Mori et al,Liebigs Ann.chem.1991,1053)により容易に合成することができる。また、式(2)及び(3)の化合物は市場で容易に入手可能であるが、必要により合成することもできる。
【0016】
上記反応における式(2)の化合物の使用量は、式(1)の化合物1モルに対し、例えば約1モル〜約50モルの範囲内を挙げることができる。また、式(3)の化合物は、式(1)の化合物1モルに対し、例えば約0.01モル〜1モル程度の割合で使用することができる。
【0017】
また、加熱条件としては、一般に、約100℃〜約300℃の温度範囲内で約1時間〜約20時間の条件を採用することができる。
【0018】
本発明で使用することのできる不活性ガスとしては、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴンを好ましく例示することができる。また、上記反応を有機溶媒の存在下に行う場合の溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の非極性溶媒を挙げることができる。
【0019】
かくして得られる反応生成物を、蒸留、洗浄、抽出、乾燥、カラムクロマトグラフィーなどの通常の分離手段を適宜に採用して精製することにより、好収率且つ好純度で式(A)の化合物を得ることができる。
【0020】
以上に述べた如くして得ることのできる式(A)の化合物は、フローラル様、フルーティー様、ウッディー様、イリス様、バイオレット様などの香気香味特性を有しており、更に該化合物は極めて優れた持続性を保有しており、各種の香料組成物に添加して利用することができる。式(A)の化合物を香料組成物に用いる場合、その添加量は、その目的あるいは香料組成物の種類によっても異なるが、一般的には、香料組成物全体量の約0.001〜約30重量%、好ましくは約0.01〜約20重量%の範囲内を例示することができる。
【0021】
かくして、本発明によれば、前記式(A)の化合物を有効成分として含有する香気香味賦与組成物を提供することができ、更に、該組成物を利用して、式(A)の化合物を香気香味成分として含有することを特徴とする飲食品類、式(A)の化合物を香気成分として含有することを特徴とする香粧品類、式(A)の化合物を香気香味成分として含有することを特徴とする保健・衛生・医薬品などを提供することができる。
【0022】
例えば、果汁飲料類、果実酒類、乳飲料類、炭酸飲料類のごとき飲料類;アイスクリーム類、シャーベット類、アイスキャンディーのごとき冷菓類;和洋菓子類、ジャム類、チューインガム類、パン類、コーヒー、ココア、紅茶、お茶、タバコのごとき嗜好品類;和風スープ類、洋風スープ類のごときスープ類;風味調味料、各種インスタント飲料乃至食品類、各種スナック食品類などに式(A)の化合物の適当量を添加することにより、そのユニークな香気香味が付与された飲食品類を提供することができる。また、例えば、シャンプー類、ヘアークリーム類、ポマード類、その他の毛髪用化粧料基剤;オシロイ、口紅、その他の化粧料基剤や化粧料洗剤基剤などに式(A)の化合物の適当量を添加することにより、そのユニークな香気が付与された化粧品類を提供することができる。さらにまた、式(A)の化合物の適当量が配合された洗濯用洗剤類、消毒用洗剤類、室内芳香剤その他各種の保健・衛生材料類;医薬品の服用を容易にするための矯味、賦香剤など香気、香味の改善された保健・衛生・医薬品類を提供することができる。
【0023】
以下、実施例および参考例により本発明を更に具体的に説明する。
【0024】
【実施例】
実施例1:1−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)プロパン−2−オンの合成例その1
100mlオートクレーブ中に、2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オール2.8g(0.02モル)、イソプロペニルメチルエーテル25.0g(0.35モル)及びピバリン酸0.6gを仕込む。窒素置換後、130℃で5時間、加圧下(9Kg/cm2)に攪拌反応する。この時点で反応率は約50%程度であった。更に、180℃で5時間、加圧下(11Kg/cm2)に攪拌反応する。冷却後、釜出しし、反応物をエバポレーターにて濃縮する。得られた粗製物4.2gをシリカゲルカラムクロマト(200ml,n−ヘキサン/酢酸=95/5)にて精製することにより、1−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)プロパン−2−オンを2.0g(収率56%)得た。
【0025】
沸点:73〜74℃/2mmHg
IR(cm-1):2956,2912,1716,1450,1362,1159,822,573
1H−NMR(ppm)δ=0.76(S,3H),0.98(S,3H),1.0〜1.5(m,2H),1.6(S,3H),1.8〜2.1(m,2H),2.2(S,3H),2.2〜2.7(m,3H),5.3(b.s,1H)
13C−NMR(ppm)δ=22.8,23.0,26.6,26.8,30.2,31.6,32.1,43.7,45.5,121.0,135.7,208.7
実施例2:1−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)プロパン−2−オンの合成例その2
実施例1において、イソプロペニルメチルエーテルのかわりに2,2−ジメトキシプロパンを用いた以外は実施例1と同様に反応を行い、1−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)プロパン−2−オンを1.7g(収率48%)得た。
【0026】
実施例3:ローズタイプ調合香料の調製
ローズタイプの調合香料組成物として下記の各成分(重量部)を混合した。
【0027】
上記組成物97gに1−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)プロパン−2−オンを3g混合して新規調合香料組成物を調製した。この新規調合香料組成物と該化合物を加えていない上記のローズタイプの調合香料組成物について、専門パネラー10人により比較した。その結果、専門パネラー10人の全員が該化合物を加えた新規調合香料組成物は、すっきりとしたナチュラル感を有する花様の香気香味特性が強調され、天然のローズの特徴をよくとらえているとした。
【0028】
実施例4:ジャスミンタイプ調合香料の調製
ジャスミンタイプの調合香料組成物として下記の各成分(重量部)を混合し
た。
【0029】
上記組成物95gに1−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)プロパン−2−オンを5g混合して新規調合香料組成物を調製した。この新規調合香料組成物と該化合物を加えていない上記のジャスミンタイプの調合香料組成物について、専門パネラー10人により比較した。その結果、専門パネラー10人の全員が該化合物を加えた新規調合香料組成物は、すっきりとしたナチュラル感を有する花様の香気香味特性が強調され、天然のジャスミンの特徴をよくとらえているとした。
【0030】
実施例5:フルーツタイプ調合香料の調製
フルーツタイプの調合香料組成物として下記の各成分(重量部)を混合した。
上記組成物94gに1−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)プロパン−2−オンを6g混合して新規調合香料組成物を調製した。この新規調合香料組成物と該化合物を加えていない上記のフルーツタイプ調合香料組成物について、専門パネラー10人により比較した。その結果、専門パネラー10人の全員が該化合物を加えた新規調合香料組成物は、フレッシュな清涼感のある果実様で甘いアップル様の特性が強調され、天然アップルの特徴をよくとらえているとした。
【0031】
実施例6:タバコ用調合香料の調製
タバコ用の調合香料組成物として下記の各成分(重量部)を混合した。
【0032】
上記組成物97gに1−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)プロパン−2−オンを3g混合して新規調合香料組成物を調製した。この新規調合香料組成物と該化合物を加えていない上記のタバコ用の調合香料組成物について、専門パネラー10人により比較した。その結果、専門パネラー10人の全員が該化合物を加えた新規調合香料組成物は、香質が明るく煙量が増加し、からっとして軽快でヤニ感を伴う黄色種様の香気が強調され、天然のタバコの特徴をとらえ持続性の点でも格段に優れているとした。
【0033】
【発明の効果】
本発明により提供される1−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)プロパン−2−オンは、フローラル様、フルーティー様、ウッディー様、イリス様、バイオレット様などの香気香味特性を有し、さらにその持続性に優れており、香料物質として極めて有用であり、持続性のある香料組成物の調合素材として有利に使用することができる。
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