JP2818511B2 - テトラヒドロフルフリル3−メルカプトプロピオネートおよび香料組成物 - Google Patents
テトラヒドロフルフリル3−メルカプトプロピオネートおよび香料組成物Info
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Description
様、トロピカルフルーツ様、グレープフルーツ様、ブル
ジョンカシス様、ゴマ様、ステーキ様、ナッツ様、コー
ヒー様、煎餅様などの香気香味を有し香料化合物として
有用な従来の文献に未載の下記式(A)−1
ルカプトプロピオネートに関する。
および該化合物と同様の香気香味を有し香料化合物とし
て有用な下記式(A)−2
ルカプトプロピオネートを包含する下記式(A)
カプト基を示すか、或はR1はメルカプト基を示しかつ
R2は水素原子を示す、で表されるテトラヒドロフルフ
リルメルカプトプロピオネート類を有効成分として含有
する新規な香料組成物にも関する。
物は、特徴のある独特の強い香気香味特性を有しており
香料化合物として有用であるため、香料分野では従来か
らよく研究されるとともに調合香料素材として利用され
ている。硫黄原子を含む化合物としては、例えば、スル
フィド類、チオフェン類、メルカプタン類などがよく香
料として用いられている。本発明の化合物と同一の官能
基を有し、構造類似のメルカプトカルボン酸エステル類
についても研究され、これに関するいくつかの提案がな
されている。例えば、2−アルケン酸エステル類を塩基
性触媒の存在下に硫化水素と反応させて、香料として有
用な3−メルカプトカルボン酸エステル類を製造する方
法(特開昭47−12317号公報)、また、3−メル
カプト−2−メチルプロピオン酸のメチルあるいはエチ
ルエステルを有効成分とする香料組成物(特開平1−5
2711号公報)などが提案されている。更に、本出願
人も従来から硫黄化合物に関する研究を行い、すでにい
くつかの提案を行ってきた。例えば、香料として有用な
2−メルカプトプロピオン酸のアルキルまたはアルケニ
ルエステル類(特開昭57−200355号公報)、ぶ
どう様の香気香味を有する3−メチルチオ−2−プロペ
ン酸のアルキルエステル類(特公昭60−49187号
公報)などの提案がある。
に記載されており、塩化ビニル樹脂の熱安定化剤として
有用であることが知られている(フランス特許第255
2440号公報)。しかしながら、該化合物が香気香味
特性を有すること及び調合香料素材として利用できるこ
とに関しては全く記載されていない。
が多様化してきていることに伴い、各種各様の商品の出
現が望まれている。特に、飲食品・香粧品業界はこの傾
向が強く、消費者の嗜好性に合うバラエティーに富んだ
飲食品、香粧品の開発が強く要求されている。これらの
要求に対して、飲食品、香粧品の一つの原料素材である
香料も従来から提案された香料化合物からだけでは十分
には対応しきれず、従来にないユニークな香気香味特性
を有する香料化合物の開発が緊急の課題となってきてい
る。
するため従来からの研究を更に推し進めて鋭意研究を行
った結果、マイルドなシトラス様、フルーツ様、トロピ
カルフルーツ様、グレープフルーツ様、ブルジョンカシ
ス様、ゴマ様、ステーキ様、ナッツ様、コーヒー様、煎
餅様などの香気香味を有し、更に香気香味の持続性に優
れている従来の文献に未載の前記式(A)−1の化合物
を見い出し、また、塩化ビニル樹脂の安定化剤として知
られている前記式(A)−2の化合物が前記式(A)−
1の化合物と同様の香気香味を有し、香料物質として極
めて有用であることを見い出し本発明を完成した。
載の前記式(A)−1の化合物を提供すること、ならび
に前記式(A)−1および(A)−2の化合物の両者を
包含する前記式(A)の化合物を有効成分とする香料組
成物を提供することにある。
(A)−1の化合物は、テトラヒドロフルフリルアルコ
ール(以下、単にTHFAと称する)を、有機溶媒中で
酸性触媒の存在下に、3−メルカプトプロピオン酸と、
また、前記式(A)−2の化合物は、2−メルカプトプ
ロピオン酸とそれぞれ反応させることにより容易に合成
することができる。以下、本発明の式(A)−1の化合
物および式(A)−2の化合物の合成法をさらに詳細に
説明する。
からよく知られた化合物であり、市場で安価に且つ容易
に入手することができる。また、フルフラールを水素で
接触還元することにより得ることもできる。
約50℃〜約100℃程度、より好ましくは約80℃〜
約85℃の温度範囲内で、約1時間〜約10時間程度を
採用することができる。この反応に用いるTHFAの使
用量は、3−メルカプトプロピオン酸1モルに対して約
1モル以上、より好ましくは約1.5モル〜約2モルの
範囲内を例示することができる。
は、例えばp−トルエンスルホン酸、硫酸、p−トルエ
ンスルホン酸ピリジニウム塩などを挙げることができ、
その使用量は3−メルカプトプロピオン酸1モルに対し
て、約0.001モル〜約0.01モル程度を採用する
ことができる。また、有機溶媒としては、例えばベンゼ
ン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、塩化メチレ
ンなどを挙げることができ、これらの有機溶媒の使用量
は、例えば3−メルカプトプロピオン酸1重量部に対し
て約5〜約20重量部の範囲内を好ましく例示すること
ができる。反応終了後、洗浄、抽出、乾燥、蒸留、カラ
ムクロマトグラフィーなどの通常の分離手段を適宜に採
用して好収率、好純度で式(A)−1の化合物を得るこ
とができる。
−1の化合物の合成法に準じて行うことができる。即
ち、3−メルカプトプロピオン酸の代わりに2−メルカ
プトプロピオン酸を用いる以外は、反応温度、反応時
間、反応モル比、酸性触媒、有機溶媒などの反応条件
は、(A)−1の化合物の合成の条件と同様にして行う
ことができる。
−1の化合物は、シトラス様、フルーツ様、トロピカル
フルーツ様、グレープフルーツ様、ブルジョンカシス
様、ゴマ様、ステーキ様、ナッツ様、コーヒー様、煎餅
様などの香気香味を有しており、また式(A)−2の化
合物は、式(A)−1の化合物と同様の香気香味を保有
し、さらにこれらの化合物は極めて優れた持続性を有し
ており、各種の香料組成物に添加して利用することがで
きる。式(A)−1及び式(A)−2の化合物、すなわ
ち前記式(A)の化合物を香料組成物に用いる場合、そ
の添加量は、その目的あるいは香料組成物の種類によっ
ても異なるが、例えば、一般的には香料組成物全体量の
約0.001〜約30重量%の範囲内を例示することが
できる。
の化合物を有効成分とする香気香味賦与組成物を提供す
ることができ、該組成物を利用して式(A)の化合物を
香気香味成分として含有することを特徴とする飲食品
類、式(A)の化合物を香気成分として含有することを
特徴とする香粧品類、式(A)の化合物を香気香味成分
として含有することを特徴とする保健・衛生・医薬品な
どを提供することができる。
類、炭酸飲料類のごとき飲料類;アイスクリーム類、シ
ャーベット類、アイスキャンディーのごとき冷菓類;和
洋菓子類、ジャム類、チューインガム類、パン類、コー
ヒー、ココア、紅茶、お茶のごとき嗜好品類;和風スー
プ類、洋風スープ類のごときスープ類;風味調味料、各
種インスタント飲料乃至食品類、各種スナック食品類な
どにそのユニークな香気香味を付与できる式(A)の化
合物の適当量を添加した飲食品類を提供することができ
る。また、例えば、シャンプー類、ヘアークリーム類、
ポマード類、その他の毛髪用化粧料基剤;オシロイ、口
紅、その他の化粧料基剤や化粧料洗剤基剤などに、その
ユニークな香気を付与できる式(A)の化合物の適当量
を添加した化粧品類を提供することができる。さらにま
た、洗濯用洗剤類、消毒用洗剤類、室内芳香剤その他各
種の保健・衛生材料類;医薬品の服用を容易にするため
の矯味、賦香剤などの保健・衛生・医薬品類を提供する
ことができる。
更に詳細に説明する。
[式(A)−1の化合物]の合成。
径のフラスコにテトラヒドロフルフリルアルコール24
1g(2.36モル)、3−メルカプトプロピオン酸1
25g(1.18モル)、ベンゼン1500ml、p−
トルエンスルホン酸2.5gを仕込む。反応中、生成す
る水を反応系外に除去させながら還流条件下に6時間反
応させた。反応終了後、冷却し、生成物を飽和炭酸ナト
リウム水溶液で洗浄、更に飽和食塩水で洗浄した後、エ
バポレーターでベンゼンを回収して粗生成物225gを
得た。この粗生成物を減圧蒸留して純粋な式(A)−1
の化合物を210g得た。
ロピオネート[式(A)−2の化合物]の合成。
オン酸の代わりに2−メルカプトプロピオン酸を用いた
以外は、実施例1の方法に準じて式(A)−2の化合物
を合成した。
記の各成分を(重量部)を混合した。
プトプロピオネートを1g混合して新規な炒りゴマタイ
プの調合組成物を調製した。この新規調合組成物と該化
合物を加えていない上記の炒りゴマタイプ調合香料組成
物について、専門パネラー10人により比較した。その
結果、専門パネラー10人の全員が該化合物を加えた新
規調合香料組成物は、炒った時の香ばしいゴマ様の香気
が強調された天然炒りゴマの特徴をとらえ持続性の点で
も格段に優れているとした。
ルカプトプロピオネートに代えてテトラヒドロフルフリ
ル2−メルカプトプロピオネートを配合した新規な炒り
ゴマタイプの調合組成物を調製した。実施例3の方法に
準じてこの新規調合組成物と該化合物を加えていない上
記の炒りゴマタイプの調合香料組成物について、専門パ
ネラー10人により比較したところ、実施例3と同様の
結果となった。
物として下記の各成分を(重量部)を混合した。
プトプロピオネートの1%ジプロピレングリコール溶液
5gを混合して新規なシトラスフロールタイプの調合組
成物を調製した。この新規調合組成物と該化合物を加え
ていない上記のシトラスフローラルタイプの調合香料組
成物について、専門パネラー10人により比較した。そ
の結果、専門パネラー10人の全員が該化合物を加えた
新規調合香料組成物は、フレッシュなフローラル様の香
気が強調された天然のシトラスフローラルの特徴をとら
え持続性の点でも格段に優れているとした。
ルカプトプロピオネートに代えてテトラヒドロフルフリ
ル3−メルカプトプロピオネートを配合した新規なシト
ラスフローラルタイプの調合組成物を調製した。実施例
5の方法に準じてこの新規調合組成物と該化合物を加え
ていない上記のシトラスフローラルタイプの調合香料組
成物について、専門パネラー10人により比較したとこ
ろ、実施例5と同様の結果となった。
(A)−1で表されるテトラヒドロフルフリル3−メル
カプトプロピオネートおよび公知ではあるが香料に利用
することは知られていない前記式(A)−2で表される
テトラヒドロフルフリル2−メルカプトプロピオネート
を提供するにある。式(A)−1の化合物は持続性のあ
るシトラス様、フルーツ様、トロピカルフルーツ様、グ
レープフルーツ様、ブルジョンカシス様、ゴマ様、ステ
ーキ様、ナッツ様、コーヒー様、煎餅様などの香気香
味、また式(A)−2の化合物は、式(A)−1の化合
物と同様の香気香味を有し、香料物質として有用であ
り、持続性のある香料組成物の調合素材として使用する
ことができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 下記式(A)−1 【化1】 で表されるテトラヒドロフルフリル3−メルカプトプロ
ピオネート - 【請求項2】 下記式(A) 【化2】 式中、R1は水素原子を示しかつR2はメルカプト基を示
すか、或はR1はメルカプト基を示しかつR2は水素原子
を示す、で表されるテトラヒドロフルフリルメルカプト
プロピオネート類を有効成分として含有することを特徴
とする香料組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3360492A JP2818511B2 (ja) | 1991-12-28 | 1991-12-28 | テトラヒドロフルフリル3−メルカプトプロピオネートおよび香料組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3360492A JP2818511B2 (ja) | 1991-12-28 | 1991-12-28 | テトラヒドロフルフリル3−メルカプトプロピオネートおよび香料組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05186450A JPH05186450A (ja) | 1993-07-27 |
JP2818511B2 true JP2818511B2 (ja) | 1998-10-30 |
Family
ID=18469635
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3360492A Expired - Lifetime JP2818511B2 (ja) | 1991-12-28 | 1991-12-28 | テトラヒドロフルフリル3−メルカプトプロピオネートおよび香料組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2818511B2 (ja) |
-
1991
- 1991-12-28 JP JP3360492A patent/JP2818511B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05186450A (ja) | 1993-07-27 |
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