JP4583373B2 - エポキシ樹脂用硬化剤及びエポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は新規なエポキシ樹脂用硬化剤及び組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、低温硬化性と貯蔵安定性が共に優れ、かつエポキシ樹脂との配合が容易であり、また、良好な硬化物特性を与える潜在硬化性を有するエポキシ樹脂用硬化剤、及び高温時の貯蔵安定性に優れるエポキシ樹脂組成物、及びそれを用いたエポキシ樹脂系材料に関する。
エポキシ樹脂は、その硬化物が、機械的特性、電気的特性、熱的特性、耐薬品性、接着性等の点で優れた性能を有することから、塗料、電気電子用絶縁材料、接着剤等の幅広い用途に利用されている。現在一般に使用されているエポキシ樹脂組成物は、使用時にエポキシ樹脂と硬化剤の二液を混合する、いわゆる二液性のものである。
二液性エポキシ樹脂組成物は室温で硬化し得る反面、エポキシ樹脂と硬化剤を別々に保管し、必要に応じて両者を計量、混合した後、使用する必要があるため、保管や取り扱いが煩雑である。
その上、可使用時間が限られているため、予め大量に混合しておくことができず、配合頻度が多くなり、能率の低下を免れない。
こうした二液性エポキシ樹脂配合品の問題を解決する目的で、これまでいくつかの一液性エポキシ樹脂組成物が提案されてきている。例えば、ジシアンジアミド、BF−アミン錯体、アミン塩、変性イミダゾール化合物等の潜在性硬化剤をエポキシ樹脂に配合したものがある。
しかし、これらの潜在性硬化剤は、貯蔵安定性に優れているものは、硬化性が低く、硬化に高温又は長時間必要であり、一方、硬化性が高い物は貯蔵安定性が低く、例えば−20℃等の低温で貯蔵する必要がある。例えば、ジシアンジアミドは、配合品の貯蔵安定性は、常温保存の場合に6ヵ月以上であるが、170℃以上の硬化温度が必要であり、この硬化温度を低下させるために、硬化促進剤を併用すると、例えば130℃での硬化が可能であるが、一方、室温での貯蔵安定性が不十分であり、低温での貯蔵を余儀なくされる。従って、高い硬化性と優れた貯蔵安定性を両立し得る組成物が強く求められていた。また、フィルム状成形品や、基材にエポキシ樹脂を含浸した製品を得る場合、溶剤や反応性希釈剤等を含む配合品となることが多く、従来の潜在性硬化剤をかかる配合品の硬化剤として用いると、貯蔵安定性が極端に下がり、実質的に二液性とする必要があり、かかる不都合の改善が求められていた。
その要求に対し、数多くの研究がなされ、例えば、特許文献1にイソシアネート化合物の反応物により表面が被覆されたエポキシ樹脂用硬化剤が記載されている。
しかし近年、特に電子機器分野において、回路の高密度化や接続信頼性の向上に対応するため、またモバイル機器の軽量化として耐熱性の低い材料を使用するために、あるいは生産性を大幅に改善する目的で、接続材料の一つとして用いられる一液性エポキシ樹脂組成物に対して、貯蔵安定性を損なわずに、硬化性の一層の向上が強く求められるようになり、従来技術ではその達成は困難であった。
特開平1−70523号公報
本発明は、高い硬化性と貯蔵安定性を両立し得る一液性エポキシ樹脂組成物及びそれを得るための潜在性硬化剤、並びに、貯蔵安定性が高く、低温又は短時間の硬化条件であっても、高い接続信頼性、接着強度、高い封止性が得られる異方導電材料、導電性接着材料、絶縁接着材料、封止材料、構造用接着剤等を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定分子量分布のアミンアダクトに特定比率の低分子アミン化合物を含有するアミン系硬化剤を用いて、特定のエポキシ樹脂を使用し、好ましくは環状ホウ酸エステル化合物を含有させることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、下記の通りである。
1)アミンアダクト(A)と低分子アミン化合物(B)を特定比率で含有するエポキシ樹脂用アミン系硬化剤であって、アミンアダクト(A)の重量平均分子量と数平均分子量の比として定義される分子量分布が3以下であって、低分子アミン化合物(B)の含有量がアミンアダクト(A)100質量部に対して0.001〜1質量部である上記硬化剤。
2)25℃で固体状である上記1)記載の上記硬化剤。
3)前記アミンアダクト(A)がエポキシ樹脂(a1)とアミン化合物(b1)との反応により得られる上記1)又は2)記載の上記硬化剤。
4)前記低分子アミン化合物(B)がイミダゾール類である上記1)〜3)のいずれか1項に記載の上記硬化剤。
5)コア及びシェルを含んでなるエポキシ樹脂用マイクロカプセル型硬化剤(D)であって、該コアは上記1)〜4)の硬化剤からなる群から選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂用硬化剤(C)を含んでなり、該シェルは合成樹脂又は無機酸化物を含み、該コアを被覆する上記エポキシ樹脂用マイクロカプセル型硬化剤(D)、及び
該マイクロカプセル型硬化剤(D)100重量部に対して10〜50000重量部のエポキシ樹脂(E)
を含んでなり、該マイクロカプセル型硬化剤(D)が該エポキシ樹脂(E)に分散されているエポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤(F)であるエポキシ樹脂組成物において、溶解度パラメーターが8.900〜12.00であり、硬化後の架橋間分子量が105〜150である高溶解性エポキシ樹脂(G)をエポキシ樹脂(E)に対して0.1重量%以上含み、該エポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤(F)の全塩素量が2000ppm以下である上記エポキシ樹脂組成物。
6)前記高溶解性エポキシ樹脂(G)が、該高溶解性エポキシ樹脂の基本構造成分の0.001〜30%に相当するジオール末端不純成分を有する上記5)に記載のエポキシ樹脂組成物。
7)前記エポキシ樹脂(E)の全塩素量が2000ppm以下である上記5)又は6)に記載のエポキシ樹脂組成物。
8)前記エポキシ樹脂用マイクロカプセル型硬化剤(D)は、上記1)〜4)の硬化剤からなる群から選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂用硬化剤(C)を含んでなるコアを、イソシアネート化合物(H)と活性水素化合物(I)の反応により得られた皮膜(c1)及び/又はエポキシ樹脂用硬化剤(C)とエポキシ樹脂(E)の反応より得られた皮膜(c2)を含んでなるシェルで被覆してなる、波数1630〜1680cm-1の赤外線を吸収する結合基(x)と波数1680〜1725cm-1の赤外線を吸収する結合基(y)を少なくとも表面に有するものである上記5)〜7)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
9)エポキシ樹脂(J)100質量部と、上記1)〜8)のいずれか1項に記載の上記硬化剤または前記エポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤(F)からなる群から選ばれる少なくとも1種の硬化剤を含むアミン系硬化剤0.1〜100質量部とを、それらを加熱硬化性成分の60%以上で含有するエポキシ樹脂組成物。
10)前記エポキシ樹脂(E)100質量部に対して、酸無水物類、フェノール類、ヒドラジド類、及びグアニジン類からなる群から選ばれる少なくとも1種の硬化剤(K)を1〜200質量部含む上記5)〜9)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
11)エポキシ樹脂用マイクロカプセル型硬化剤(D)、エポキシ樹脂(E)、及び環状ホウ酸エステル化合物(L)を含有する上記5)〜10)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
12)前記環状ホウ酸エステル化合物(L)は、2,2’−オキシビス(5,5’−ジメチル−1,3,2−オキサボリナン)である上記11)に記載のエポキシ樹脂組成物。
13)前記環状ホウ酸エステル化合物(L)の配合量は、前記のエポキシ樹脂(E)100質量部に対して0.001〜10質量部である上記11)又は12)に記載のエポキシ樹脂組成物。
14)上記5)〜13)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする異方導電性材料。
15)上記5)〜13)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする接合用フィルム。
16)上記5)〜13)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする半導体接合用ペースト。
17)上記5)〜13)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする封止材。
18)上記5)〜13)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする構造用接着剤。
本発明のエポキシ樹脂用硬化剤及びエポキシ樹脂組成物は、高い硬化性と貯蔵安定性の両立に効果を有するとともに、その硬化物が信頼性、耐水性、接着性、電気的特性に優れた特性を発現する。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明のアミン系硬化剤は、アミンアダクト(A)と低分子アミン化合物(B)を主成分として含み、これらを特定比率で含有する。
アミンアダクト(A)は、カルボン酸化合物、スルホン酸化合物、イソシアネート化合物、尿素化合物及びエポキシ樹脂(a1)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とアミン化合物(b1)とを反応して得られるアミノ基を有する化合物である。
アミンアダクト(A)の原料として用いられる、カルボン酸化合物、スルホン酸化合物、イソシアネート化合物、尿素化合物及びエポキシ樹脂(a1)を下記に示す。
カルボン酸化合物としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、ダイマー酸等が挙げられる。
スルホン酸化合物としては、例えば、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。
イソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、脂肪族トリイソシアネート、ポリイソシアネートを挙げることができる。脂肪族ジイソシアネートの例としては、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。脂環式ジイソシアネートの例としては、イソホロンジイソシアネート、4−4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、1,4−イソシアナトシクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、1,3−ビス(2−イソシアナトプロピル−2イル)−シクロヘキサン等を挙げることができる。芳香族ジイソシアネートの例としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等を挙げることができる。脂肪族トリイソシアネートの例としては、1,3,6−トリイソシアネートメチルヘキサン、2,6−ジイソシアナトヘキサン酸−2−イソシアナトエチル等を挙げることができる。ポリイソシアネートとしては、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートや上記ジイソシアネート化合物から誘導されるポリイソシアネートが例示される。上記ジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートとしては、イソシアヌレート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート、ウレタン型ポリイソシアネート、アロハネート型ポリイソシアネート、カルボジイミド型ポリイソシアネート等がある。
尿素化合物としては、例えば、尿素、メチル尿素、ジメチル尿素、エチル尿素、t−ブチル尿素等が挙げられる。
エポキシ樹脂(a1)としては、モノエポキシ化合物、多価エポキシ化合物のいずれか又はそれらの混合物が用いられる。モノエポキシ化合物としては、ブチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、パラ−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、パラキシリルグリシジルエーテル、グリシジルアセテート、グリシジルブチレート、グリシジルヘキソエート、グリシジルベンゾエート等を挙げることができる。多価エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、テトラフルオロビスフェノールA等のビスフェノール類をグリシジル化したビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のその他の2価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4−(1−(4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール等のトリスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;1,1,2,2,−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のテトラキスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、臭素化フェノールノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック等のノボラック類をグリシジル化したノボラック型エポキシ樹脂等;多価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、グリセリンやポリエチレングリコール等の多価アルコールをグリシジル化した脂肪族エーテル型エポキシ樹脂;p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸をグリシジル化したエーテルエステル型エポキシ樹脂;フタル酸、テレフタル酸のようなポリカルボン酸をグリシジル化したエステル型エポキシ樹脂;4,4−ジアミノジフェニルメタンやm−アミノフェノール等のアミン化合物のグリシジル化物やトリグリシジルイソシアヌレート等のアミン型エポキシ樹脂等のグリシジル型エポキシ樹脂と、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環族エポキシド等が例示される。
アミンアダクト(A)の原料として用いられる、カルボン酸化合物、スルホン酸化合物、イソシアネート化合物、尿素化合物及びエポキシ樹脂(a1)のうち、エポキシ樹脂(a1)が高い硬化性と貯蔵安定性に優れており好ましい。
エポキシ樹脂(a1)としては、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性を高めることができるので、多価エポキシ化合物が好ましい。多価エポキシ化合物としては、アミンアダクトの生産性が圧倒的に高いので、グリシジル型エポキシ樹脂が好ましく、より好ましくは、硬化物の接着性や耐熱性が優れるため多価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂であり、更に好ましくはビスフェノール型エポキシ樹脂である。ビスフェノールAをグリシジル化したエポキシ樹脂とビスフェノールFをグリシジル化したエポキシ樹脂が一層好ましい。ビスフェノールAをグリシジル化したエポキシ樹脂が更に一層好ましい。
エポキシ樹脂(a1)の全塩素量は、硬化性と貯蔵安定性のバランスの取れたエポキシ樹脂組成物を得るためには、1500ppm以下が好ましい。
より好ましくは1000ppm以下であり、より好ましくは800ppm以下であり、より好ましくは400ppm以下であり、より好ましくは180ppm以下であり、より好ましくは171ppm以下であり、より好ましくは100ppm以下であり、より好ましくは80ppm以下であり、さらに好ましくは50ppm以下である。
また、シェル形成反応のコントロールを容易にするためには全塩素量は、0.01ppm以上が好ましい。より好ましくは0.02ppm以上であり、より好ましくは0.05ppm以上であり、より好ましくは0.1ppm以上であり、より好ましくは0.2ppm以上であり、さらに好ましくは0.5ppm以上である。たとえば、全塩素量の好ましい範囲は0.1ppm以上200ppm以下であり、より好ましい範囲は0.2ppm以上80ppm以下であり、より好ましい範囲は0.5ppm以上50ppm以下である。全塩素の内、1,2−クロロヒドリン基に含まれる塩素は一般に加水分解性塩素と呼ばれるが、また、アミンアダクトの原料として用いられるエポキシ樹脂中の加水分解性塩素量は、好ましくは50ppm以下、より好ましくは0.01から20ppm、更に好ましくは、0.05から10ppmである。加水分解性塩素量が50ppm以下で、高い硬化性と貯蔵安定性の両立に対し有利であり、優れた電気特性を示し好ましい。
これらエポキシ樹脂は単独で使用しても併用してもよい。
アミン化合物(b1)は、少なくとも1個の一級アミノ基及び/又は二級アミノ基を有するが三級アミノ基を有さない化合物と、少なくとも1個の三級アミノ基と少なくとも1個の活性水素基を有する化合物が挙げられる。
少なくとも1個の一級アミノ基及び/又は二級アミノ基を有するが三級アミノ基を有さない化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、シクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン、アニリン、トルイジン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の三級アミノ基を有さない第一アミン類、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ピペリジン、ピペリドン、ジフェニルアミン、フェニルメチルアミン、フェニルエチルアミン等の三級アミノ基を有さない第二アミン類を挙げることができる。
少なくとも1個の三級アミノ基と少なくとも1個の活性水素基を有する化合物において、活性水素基としては一級アミノ基、二級アミノ基、水酸基、チオール基、カルボン酸、ヒドラジド基が例示される。
少なくとも1個の三級アミノ基と少なくとも1個の活性水素基を有する化合物としては、例えば、2−ジメチルアミノエタノール、1−メチル−2−ジメチルアミノエタノール、1−フェノキシメチル−2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−ブトキシメチル−2−ジメチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−β−ヒドロキシエチルモルホリン等のアミノアルコール類;2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等のアミノフェノール類;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−フェニルイミダゾリン、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾリン、2−メチルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、2−エチルイミダゾリン、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、2−ベンジルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−(o−トリル)−イミダゾリン、テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,1,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,3,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,1,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−4−メチルイミダゾリン、1,3,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−4−メチルイミダゾリン、1,2−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,3−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,4−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,4−フェニレン−ビス−4−メチルイミダゾリン等のイミダゾリン類;ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジプロピルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、ジプロピルアミノエチルアミン、ジブチルアミノエチルアミン、N−メチルピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、ジエチルアミノエチルピペラジン等の三級アミノアミン類;2−ジメチルアミノエタンチオール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトピリジン、4−メルカプトピリジン等のアミノメルカプタン類;N,N−ジメチルアミノ安息香酸、N,N−ジメチルグリシン、ニコチン酸、イソニコチン酸、ピコリン酸等のアミノカルボン酸類;N,N−ジメチルグリシンヒドラジド、ニコチン酸ヒドラジド、イソニコチン酸ヒドラジド等のアミノヒドラジド類を挙げることができる。
アミン化合物(b1)としては、貯蔵安定性と硬化性のバランスが優れているので、少なくとも1個の三級アミノ基と少なくとも1個の活性水素基を有する化合物が好ましく、イミダゾール類が更に好ましく、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールが一層好ましい。
本発明においては、アミンアダクト(A)の分子量分布を特定範囲にすることで一液性エポキシ樹脂組成物の硬化性を劇的に向上させることができることを見出した。
即ち、本発明に用いられるアミンアダクト(A)の分子量分布は3以下である。ここで分子量分布は重量平均分子量と数平均分子量の比として定義され、ゲルパーミッションクロマトグラフィー(以下GPCと称す)法を用いてポリスチレン換算で求めた分子量から計算される。アミンアダクト(A)の分子量分布は1.01以上2.5以下が好ましく、1.03以上2.0以下が更に好ましく、1.05以上1.5以下が更に一層好ましい。3以下の分子量分布のアミンアダクト(A)を用いることで、硬化性の高いエポキシ樹脂組成物が得られる。
本発明に用いられるアミンアダクト(A)は、例えばエポキシ樹脂(a1)とアミン化合物(b1)を、エポキシ樹脂(a1)のエポキシ基1当量に対して、アミン化合物(b1)中の活性水素基が好ましくは0.8当量〜5当量(更に好ましくは0.9当量〜4当量、一層好ましくは0.95当量〜3当量)となる範囲で、必要に応じて溶剤の存在下において、例えば50〜250℃の温度で0.1〜10時間反応させることにより得られる。エポキシ基に対する活性水素基の当量比を0.8以上にすると、分子量分布が3以下のアミンアダクト(A)を得るのに有利であり、当量比を5以下とすると、本発明のアミン系硬化剤に含まれるアミン化合物(b1)の含量を所望の値にするために行う未反応のアミン化合物(b1)の回収が経済的にでき、有利である。
アミンアダクト(A)の製造において、必要に応じて用いられる溶剤としては、特別に制限するものではないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ミネラルスピリット、ナフサ等の炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール等のアルコール類、水、等であり、これらの溶剤は併用しても構わない。用いられた溶剤は蒸留等により除去されることが好ましい。
本発明に用いられる低分子アミン化合物(B)は、一級、二級及び/又は三級アミノ基を有する化合物が挙げられる。これらは併用することができる。
一級アミノ基を有する化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、シクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン、アニリン、トルイジン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等を挙げることができる。
二級アミノ基を有する化合物としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ピペリジン、ピペリドン、ジフェニルアミン、フェニルメチルアミン、フェニルエチルアミン等を挙げることができる。
三級アミノ基を有する化合物としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、べンジルジメチルアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7,1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5等の三級アミン類;2−ジメチルアミノエタノール、1−メチル−2−ジメチルアミノエタノール、1−フェノキシメチル−2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−ブトキシメチル−2−ジメチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−β−ヒドロキシエチルモルホリン等のアミノアルコール類;2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等のアミノフェノール類;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−フェニルイミダゾリン、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾリン、2−メチルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、2−エチルイミダゾリン、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、2−ベンジルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−(o−トリル)−イミダゾリン、テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,1,3?トリメチル?1,4−テトラメチレン?ビス?イミダゾリン、1,3,3?トリメチル?1,4−テトラメチレン?ビス?イミダゾリン、1,1,3?トリメチル?1,4−テトラメチレン?ビス?4?メチルイミダゾリン、1,3,3?トリメチル?1,4−テトラメチレン?ビス?4?メチルイミダゾリン、1,2?フェニレン?ビス?イミダゾリン、1,3?フェニレン?ビス?イミダゾリン、1,4?フェニレン?ビス?イミダゾリン、1,4?フェニレン?ビス?4?メチルイミダゾリン等のイミダゾリン類、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジプロピルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、ジプロピルアミノエチルアミン、ジブチルアミノエチルアミン、N−メチルピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、ジエチルアミノエチルピペラジン等の三級アミノアミン類;2−ジメチルアミノエタンチオール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトピリジン、4−メルカプトピリジン等のアミノメルカプタン類;N,N−ジメチルアミノ安息香酸、N,N−ジメチルグリシン、ニコチン酸、イソニコチン酸、ピコリン酸等のアミノカルボン酸類;N,N−ジメチルグリシンヒドラジド、ニコチン酸ヒドラジド、イソニコチン酸ヒドラジド等のアミノヒドラジド類を挙げることができる。
低分子アミン化合物(B)としては、貯蔵安定性に優れた一液性エポキシ樹脂組成物が得られるため、三級アミノ基を有する化合物が好ましく、イミダゾール類が更に好ましく、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールが一層好ましい。
本発明者らは、アミンアダクト(A)に特定量の低分子アミン化合物を含有させることにより貯蔵安定性の高い一液性エポキシ樹脂組成物が得られることを見出した。
即ち、本発明において、アミンアダクト(A)100質量部に対する低分子アミン化合物(B)の量は、貯蔵安定性の高いエポキシ樹脂組成物を得るために、0.001質量部以上1質量部以下の範囲である。好ましくは、0.01質量部以上0.8質量部以下、一層好ましくは、0.02質量部以上0.6質量部以下、更に一層好ましくは0.03質量部以上0.4質量部以下である。
低分子アミン化合物(B)は、アミンアダクト(A)の製造後にアミンアダクト(A)に混合しても構わないし、アミンアダクト(A)の製造前及び/又は製造中に混合しても構わない。また、アミンアダクト(A)の原料であるアミン化合物(b1)の未反応物を低分子アミン化合物(B)として用いても構わない。
本発明のアミン系硬化剤の全塩素量は1500ppm以下が好ましい。より好ましくは1000ppm以下であり、より好ましくは800ppm以下であり、より好ましくは400ppm以下であり、より好ましくは180ppm以下であり、より好ましくは171ppm以下であり、より好ましくは100ppm以下であり、より好ましくは80ppm以下であり、さらに好ましくは50ppm以下である。全塩素量が1500ppm以下であれば、硬化性と貯蔵安定性のバランスの高いエポキシ樹脂組成物を得ることができる。
アミン系硬化剤の形態としては、25℃で固体状であること、即ち、軟化点が25℃を超えることが好ましい。より好ましくは、軟化点が40℃以上、一層好ましくは軟化点が60℃以上、より一層好ましくは70℃以上である。25℃で固体状であるアミン系硬化剤を用いることにより、貯蔵安定性の高いエポキシ樹脂組成物が得られる。
固体状のアミン系硬化剤としては、更に、塊状、顆粒状、粉末状などが挙げられるが、好ましくは顆粒状又は粉末状であり、さらに好ましくは粉末状である。本発明において粉末状とは、特別に制限するものではないが、0.1〜50μmの平均粒径が好ましく、さらに好ましくは0.5〜10μmの平均粒径である。50μm以下にすることにより、均質な硬化物を得ることができる。本発明でいう粒径とは、光散乱法で測定されるストークス径を指すものである。また平均粒径は、メディアン径を指すものである。また、その形状は特に制限は無く、球状、不定形いずれでもよく、一液性エポキシ樹脂組成物の低粘度化のためには、球状が好ましい。ここで球状とは、真球のほか、不定形の角が丸みを帯びた形状をも包含する。
本発明に記載のエポキシ樹脂用マイクロカプセル型硬化剤(D)は、エポキシ樹脂用硬化剤(C)からなるコアの表面を、合成樹脂又は無機酸化物からなるシェルによって被覆されている構造を持つものである。これらの中でも膜の安定性と加熱時の破壊しやすさ、及び硬化物の均一性の観点から、合成樹脂が好ましい。
合成樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリスチレン樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられ、モノ又は多価アルコールとモノ又は多価イソシアネートの付加生成物であるウレタン系樹脂、アミン系硬化剤とエポキシ樹脂との反応生成物、フェノール樹脂が望ましく、中でも膜の安定性と加熱時の破壊しやすさの観点から、アミン系硬化剤とエポキシ樹脂との反応生成物が好ましい。
無機酸化物の例としては、酸化ホウ素、ほう酸エステル等のホウ素化合物、二酸化珪素、酸化カルシウムが等挙げられ、膜の安定性と加熱時の破壊しやすさの観点から、酸化ホウ素が好ましい。
また、本発明のエポキシ樹脂用硬化剤(C)をコアとして使用する場合は、波数1630〜1680cm−1の赤外線を吸収する結合基(x)と波数1680〜1725cm−1の赤外線を吸収する結合基(y)を少なくともその表面に有するものが、貯蔵安定性と反応性のバランスの観点から好ましい。
結合基(x)と結合基(y)は、フーリエ変換式赤外分光光度計(FT−IRと称す)を用いて測定することができる。また、結合基(x)及び/又は結合基(y)がエポキシ樹脂用硬化剤(C)の少なくとも表面に有することは、顕微FT−IRを用いて測定することができる。
結合基(x)のうち、特に有用なものとして、ウレア結合を挙げることができる。結合
基(y)のうち、特に有用なものとして、ビュレット結合を挙げることができる。
このウレア結合、ビュレット結合を有するものは、イソシアネート化合物(H)と活性水素化合物(I)の反応により生成される皮膜(c1)である。
結合基(x)の代表であるウレア結合、及び結合基(y)の代表であるビュレット結合を生成するために用いられるイソシアネート化合物(H)としては、1分子中に1個以上のイソシアネート基を有する化合物であればよいが、好ましくは1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物を用いることである。好ましいイソシアネートとしては、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、低分子トリイソシアネート、ポリイソシアネートを挙げることができる。脂肪族ジイソシアネートの例としては、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。脂環式ジイソシアネートの例としては、イソホロンジイソシアネート、4−4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、1,4−イソシアナトシクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、1,3−ビス(2−イソシアナトプロピル−2イル)−シクロヘキサン等を挙げることができる。芳香族ジイソシアネートの例としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等を挙げることができる。低分子トリイソシアネートの例としては、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、2,6−ジイソシアナトヘキサン酸−2−イソシアナトエチル、2,6−ジイソシアナトヘキサン酸−1−メチル−2−イソシアネートエチル等の脂肪族トリイソシアネート化合物、トリシクロヘキシルメタントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等の脂環式トリイソシアネート化合物、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等の芳香族トリイソシアネート化合物等を挙げることができる。ポリイソシアネートとしては、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートや上記ジイソシアネート、低分子トリイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートが例示される。上記ジイソシアネート、トリイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートとしては、イソシアヌレート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート、ウレタン型ポリイソシアネート、アロハネート型ポリイソシアネート、カルボジイミド型ポリイソシアネート等がある。
これらイソシアネート化合物(H)は併用して用いることができる。
イソシアネート化合物(H)としては、脂肪族トリイソシアネート化合物が好ましく、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、2,6−ジイソシアナトヘキサン酸−2−イソシアナトエチルが更に好ましい。
結合基(x)及び(y)の代表であるウレア結合又はビュレット結合を生成させるための活性水素化合物(I)としては、水、1分子中に1個以上の一級及び/又は二級アミノ基を有する化合物、1分子中に1個以上の水酸基を有する化合物が例示される。これらは併用することもできる。水又は1分子中に1個以上の水酸基を有する化合物が好ましい。1分子中に1個以上の一級及び/又は二級アミノ基を有する化合物としては、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミンを使用することができる。脂肪族アミンの例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン等のアルキルアミン;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアルキレンポリアミン;ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシエチレンジアミン等のポリオキシアルキレンポリアミン類等を挙げることができる。脂環式アミンの例としては、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン等を挙げることができる。芳香族アミンとしては、アニリン、トルイジン、べンジルアミン、ナフチルアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等を挙げることができる。
活性水素化合物(I)として用いられる1分子中に1個以上の水酸基を有する化合物としては、アルコール化合物とフェノール化合物が例示される。アルコール化合物としては、メチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、ドテシルアルコール、ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、アリルアルコール、クロチルアルコール、プロパルギルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、べンジルアルコール、シンナミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチル等のモノアルコール類、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、水添ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類を挙げることができる。また、1分子中に1個以上のエポキシ基を有する化合物と、1分子中に1個以上の水酸基、カルボキシル基、一級又は二級アミノ基、又はメルカプト基を有する化合物との反応により得られる二級水酸基を1分子中に2個以上有する化合物も多価アルコール類として例示される。これらのアルコール化合物は、第一、第二又は第三アルコールのいずれでもよい。フェノール化合物としては、石炭酸、クレゾール、キシレノール、カルバクロール、モチール、ナフトール等のモノフェノール類、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ピロガロール、フロログルシン等の多価フェノール類を挙げることができる。これら1分子中に1個以上の水酸基を有する化合物としては、多価アルコール類や多価フェノール類等が好ましい。多価アルコール類が更に好ましい。
エポキシ樹脂用硬化剤(C)からなるコアの表面において、結合基(x)及び結合基(y)は、それぞれ1〜1000meq/kg及び1〜1000meq/kgの範囲の濃度を有していることが好ましい。ここで言う濃度はエポキシ樹脂硬化剤(C)に対する値である。結合基(x)の濃度が1meq/kg以上であれば、機械的剪断力に対して高い耐性を有するカプセル型硬化剤を得るのに有利である。また、1000meq/kg以下であれば、高い硬化性を得るのに有利である。さらに好ましい結合基(x)の濃度範囲は10〜300meq/kgである。
結合基(y)の濃度が1meq/kg以上であれば、機械的剪断力に対して高い耐性を有するカプセル型硬化剤を得るのに有利である。また、1000meq/kg以下であれば、高い硬化性を得るのに有利である。さらに好ましい結合基(y)の範囲は10〜200meq/kgである。
また、エポキシ樹脂用硬化剤(C)からなるコアの表面は、結合基(x)及び結合基(y)の他に、波数が1730〜1755cm−1の赤外線を吸収する結合基(z)を有することが好ましい。結合基(z)についても、フーリエ変換式赤外分光光度計(FT−IR)を用いて測定することができる。また、結合基(z)をエポキシ樹脂用硬化剤(C)の少なくとも表面に有することは、顕微FT−IRを用いて測定することができる。
この結合基(z)のうち、特に有用なものは、ウレタン結合である。このウレタン結合は、イソシアネート化合物(H)と1分子中に1個以上の水酸基を有する化合物との反応により生成される。ここで用いられるイソシアネート化合物(H)としては、ウレア結合、ビュレット結合を生成するために用いられるイソシアネート化合物(H)が使用できる。
結合基(z)の代表であるウレタン結合を生成するために用いられる1分子中に1個以上の水酸基を有する化合物としては、脂肪族飽和アルコール、脂肪族不飽和アルコール、脂肪式アルコール、芳香族アルコール等のアルコール化合物、フェノール化合物を用いることができる。脂肪族アルコールとしては、メチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、ドテシルアルコール、ステアリルアルコール、エイコシルアルコール等のモノアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の二価アルコール類;グリセリン、トリメチロール、プロパン等の三価アルコール類;ペンタエリスリトール等の四価アルコール類を挙げることができる。脂肪族不飽和アルコールとしては、アリルアルコール、クロチルアルコール、プロパルギルアルコール等を挙げることができる。脂環式アルコールとしては、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。芳香族アルコールとしては、べンジルアルコール、シンナミルアルコール等のモノアルコール類を挙げることができる。これらのアルコールは、第一、第二又は第三アルコールのいずれでもよい。また、1分子中に1個以上のエポキシ基を有する化合物と、1分子中に1個以上の水酸基、カルボキシル基、1級又は2級アミノ基、メルカプト基を有する化合物との反応により得られる2級水酸基を1分子中に1個以上有する化合物もアルコール化合物として用いることができる。フェノール化合物としては、石炭酸、クレゾール、キシレノール、カルバクロール、モチール、ナフトール等の一価フェノール、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF等の二価フェノール、ピロガロール、フロログルシン等の三価フェノールを挙げることができる。これら1分子中に1個以上の水酸基を有する化合物として好ましいのは、二価以上の水酸基を有するアルコール化合物又はフェノール化合物である。
エポキシ樹脂用硬化剤(C)を含んでなるコアの表面の結合基(z)の好ましい濃度範囲は、1〜200meq/kgである。ここで言う濃度はエポキシ樹脂用硬化剤(C)に対する値である。結合基(z)の濃度が1meq/kg以上であれば、機械的剪断力に対して高い耐性を有するシェルを形成するのに有利であり、200meq/kg以下であれば、高い硬化性を得るのに有利である。さらに好ましい結合基(z)の濃度範囲は、5〜100meq/kgである。結合基(x)、結合基(y)及び結合基(z)の濃度の定量は、特許文献1に開示された方法で行うことができる。
エポキシ樹脂用硬化剤(C)を含んでなるコアの表面の結合基(x)、結合基(y)及び結合基(z)の存在域の合計厚みは、平均層厚で5〜1000nmが好ましい。5nm以上で貯蔵安定性が得られ、1000nm以下で実用的な硬化性が得られる。ここでいう層の厚みは、透過型電子顕微鏡により測定することができる。特に好ましいエポキシ樹脂硬化剤(C)からなるコア表面の結合基の合計厚みは、平均層厚で10〜100nmである。
エポキシ樹脂硬化剤(C)を含んでなるコアに対する該表面の結合基の比は、質量比で100/1〜100/100である。この範囲において貯蔵安定性と硬化性が両立する。好ましくは100/2〜100/80、より好ましくは100/5〜100/60、一層好ましくは100/10〜100/50である。
エポキシ樹脂硬化剤(C)を含んでなるコアの表面に結合基を存在させる方法としては、結合基の成分を溶解し、エポキシ樹脂硬化剤(C)を分散させた分散媒中で、結合基の成分の溶解度を下げて、エポキシ樹脂硬化剤(C)の表面に析出させる方法、エポキシ樹脂硬化剤(C)を分散させた分散媒中で、結合基の形成反応を行い、エポキシ樹脂硬化剤(C)の表面に結合基を析出させる、あるいはエポキシ樹脂硬化剤(C)の表面を反応の場として、そこで結合基を生成させる方法等が挙げられる。後者の方法が反応と被覆を同時に行なうことができ好ましい。
ここで分散媒としては、溶媒、可塑剤、樹脂類等が例示される。また、エポキシ樹脂を分散媒として用いることもできる。
溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ミネラルスピリット、ナフサ等の炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエチルエーテルアセテート等のエステル類;メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール等のアルコール類;水等が例示される。可塑剤としては、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシシル)等のフタル酸ジエステル系、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシシル)等の脂肪族二塩基酸エステル系、リン酸トリクレジル等のリン酸トリエステル系、ポリエチレングリコールエステル等のグリコールエステル系等が例示される。樹脂類としては、シリコーン樹脂類、エポキシ樹脂類、フェノール樹脂類等が例示される。
結合基でエポキシ樹脂硬化剤(C)を被覆する方法において、分散媒として使用できるエポキシ樹脂としては例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、テトラフルオロビスフェノールA等のビスフェノール類をグリシジル化したビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゼン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のその他の2価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4−(1−(4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール等のトリスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;1,1,2,2,−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のテトラキスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、臭素化フェノールノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック等のノボラック類をグリシジル化したノボラック型エポキシ樹脂等;多価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、グリセリンやポリエチレングリコール等の多価アルコールをグリシジル化した脂肪族エーテル型エポキシ樹脂;p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸をグリシジル化したエーテルエステル型エポキシ樹脂;フタル酸、テレフタル酸のようなポリカルボン酸をグリシジル化したエステル型エポキシ樹脂;4,4−ジアミノジフェニルメタンやm−アミノフェノール等のアミン化合物のグリシジル化物やトリグリシジルイソシアヌレート等のアミン型エポキシ樹脂等のグリシジル型エポキシ樹脂と、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環族エポキシド等が例示される。
それらの中で、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性が高いので、グリシジル型エポキシ樹脂が好ましく、より好ましくは、硬化物の接着性や耐熱性が優れるため多価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂であり、更に好ましくはビスフェノール型エポキシ樹脂である。ビスフェノールAをグリシジル化したエポキシ樹脂とビスフェノールFをグリシジル化したエポキシ樹脂が一層好ましい。ビスフェノールAをグリシジル化したエポキシ樹脂が更に一層好ましい。
エポキシ樹脂硬化剤(C)の表面を反応の場として、そこで結合基を生成させる方法において、イソシアネート化合物(H)と活性水素化合物(I)の反応は、通常−10℃〜150℃の温度範囲で、10分〜12時間の反応時間で行われる。
イソシアネート化合物(H)と活性水素化合物(I)との量比は、特に制限はないが通常、イソシアネート化合物(H)中のイソシアネート基と活性水素化合物(I)中の活性水素との当量比は1:0.1〜1:1000の範囲である。
本発明に記載のエポキシ樹脂用マイクロカプセル型硬化剤(D)のシェルとして、エポキシ樹脂用硬化剤(C)とエポキシ樹脂(E)との反応生成物からなる皮膜(c2)成分を用いる場合の反応は、通常10℃〜150℃、好ましくは0℃〜100℃の温度範囲で、1〜168時間、好ましくは2時間〜72時間の反応時間で行われ、分散媒中で行なうこともできる。分散媒としては、溶媒、可塑剤等が例示される。また、エポキシ樹脂(E)自体を分散媒として用いることもできる。
溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ミネラルスピリット、ナフサ等の炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエチルエーテルアセテート等のエステル類;メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール等のアルコール類;水、等が例示される。可塑剤としては、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシシル)等のフタル酸ジエステル系、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシシル)等の脂肪族二塩基酸エステル系、リン酸トリクレジル等のリン酸トリエステル系、ポリエチレングリコールエステル等のグリコールエステル系等が例示される。
エポキシ樹脂硬化剤(C)とエポキシ樹脂(E)とを反応させる時の質量比は、特に制限はないが通常、1:0.001〜1:1000の範囲、好ましくは1:0.01〜1:100の範囲である。
皮膜(c2)で、エポキシ樹脂硬化剤(C)を含んでなるコアを被覆する方法としては、皮膜(c2)を溶解し、エポキシ樹脂硬化剤(C)を分散させた分散媒中で、皮膜(c2)の溶解度を下げて、エポキシ樹脂硬化剤(C)の表面に皮膜(c2)を析出させる方法、エポキシ樹脂硬化剤(C)を分散させた分散媒中で、皮膜(c2)の形成反応を行い、エポキシ樹脂硬化剤(C)の表面に皮膜(c2)を析出させる方法、又はエポキシ樹脂硬化剤(C)からなるコアの表面を反応の場として、そこで皮膜(c2)を生成させる方法等が挙げられる。後2者の方法が反応と被覆を同時に行うことができ好ましい。
また、後者の場合、本発明のアミン系硬化剤は、本コア中のエポキシ樹脂用硬化剤を使用してもよいし、別途添加しても構わない。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤(C)の表面を被覆するシェルの皮膜(c2)の厚みは、平均層厚で5〜1000nmが好ましい。5nm以上で貯蔵安定性が得られ、1000nm以下で、実用的な硬化性が得られる。ここでいう層の厚みは、透過型電子顕微鏡により観察される。特に好ましいシェルの厚みは、平均層厚で50〜700nmである。
また、本発明のエポキシ樹脂(E)に含まれる高溶解性エポキシ樹脂(G)は溶解度パラメーターが8.900〜12.00であることを特徴とする。溶解度パラメーターが12.00よりも大きいと、硬化物の耐水性が低下してしまい、8.900よりも小さいとエポキシ樹脂組成物の硬化性が低下してしまう。このような観点から高溶解性エポキシ樹脂(F)の溶解度パラメーターは好ましくは、8.95〜9.5であり、より好ましくは9.00〜9.16であり、特に好ましくは、9.05〜9.15であり、殊に好ましくは9.10〜9.14である。
また、本発明のエポキシ樹脂(E)に含まれる高溶解性エポキシ樹脂(G)の溶解性パラメーターは該エポキシ樹脂基本構造中のエポキシ基が末端炭素と酸素分子間の結合が開裂し、末端炭素原子が直接他の分子に結合し、酸素原子が水酸基を形成した構造に対して、表1に示すパラメーターを下記式(1)に代入することにより計算により求められる。
Figure 0004583373

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そのような高溶解性エポキシ樹脂(G)の例を挙げると、1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,4−ジヒドロキシベンゼン、3−メチル−1,2−ジヒドロキシベンゼン、4−メチル−1,2−ジヒドロキシベンゼン、2−メチル−1,3−ジヒドロキシベンゼン、4−メチル−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2−メチル−1,4−ジヒドロキシベンゼン、3−エチル−1,2−ジヒドロキシベンゼン、4−エチル−1,2−ジヒドロキシベンゼン、2−エチル−1,3−ジヒドロキシベンゼン、4−エチル−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2−エチル−1,4−ジヒドロキシベンゼン、3−プロピル−1,2−ジヒドロキシベンゼン、4−プロピル−1,2−ジヒドロキシベンゼン、2−プロピル−1,3−ジヒドロキシベンゼン、4−プロピル−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2−プロピル−1,4−ジヒドロキシベンゼン、3−イソプロピル−1,2−ジヒドロキシベンゼン、4−イソプロピル−1,2−ジヒドロキシベンゼン、2−イソプロピル−1,3−ジヒドロキシベンゼン、4−イソプロピル−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2−イソプロピル−1,4−ジヒドロキシベンゼン、3−ターシャリブチル−1,2−ジヒドロキシベンゼン、4−ターシャリブチル−1,2−ジヒドロキシベンゼン、2−ターシャリブチル−1,3−ジヒドロキシベンゼン、4−ターシャリブチル−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2−ターシャリブチル−1,4−ジヒドロキシベンゼン、3−ブチル−1,2−ジヒドロキシベンゼン、4−ブチル−1,2−ジヒドロキシベンゼン、2−ブチル−1,3−ジヒドロキシベンゼン、4−ブチル−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2−ブチル−1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレンのグリシジル化合物などが例示される。中でも、1,3−ジヒドロキシベンゼン、2−メチル−1,4−ジヒドロキシベンゼン、2−ターシャリブチル−1,4−ジヒドロキシベンゼンなどが好ましい。
また、本発明のエポキシ樹脂(E)に含まれる高溶解性エポキシ樹脂(G)のジオール末端不純成分が、高溶解性エポキシ樹脂基本構造成分の0.001〜30%に相当することが望ましい。
本明細書において、ジオール末端不純成分とは、高溶解性エポキシ樹脂の基本構造が両末端にエポキシ基を持つのに対して、少なくともどちらか一方のエポキシ基がOH基を有する構造(ジオール構造)になっているものとする。
高溶解性エポキシ樹脂(G)のジオール末端不純成分の高溶解性エポキシ樹脂基本構造成分に対する比率が30%よりも大きいと、硬化物の耐水性が低下することがあり、0.001%よりも小さいとエポキシ樹脂組成物の硬化性が低下してしまうことがある。このような観点から高溶解性エポキシ樹脂のジオール末端不純成分の高溶解性エポキシ樹脂基本構造成分に対する比率は好ましくは、0.01〜25%であり、より好ましくは0.1%〜20%であり、特に好ましくは、1.0%〜15%であり、殊に好ましくは10%〜14%である。
本発明のエポキシ樹脂(E)に含まれる高溶解性エポキシ樹脂(G)のジオール末端不純成分の高溶解性エポキシ樹脂基本構造成分に対する比率は実施例の項に記載の方法により求められる。
また、本発明のエポキシ樹脂(E)に含まれる高溶解性エポキシ樹脂(G)の硬化後の架橋間分子量は105〜150であることを特徴とする。架橋間分子量が150よりも大きいと硬化物の耐熱性が低下したり硬化時の硬化収縮が小さいために被着体同士の接着力が不足し、また105より小さいと、硬化物が脆弱になってしまう。このような観点からエポキシ樹脂(E)に含まれる高溶解性エポキシ樹脂(G)の硬化後の架橋間分子量は好ましくは、107〜145であり、より好ましくは108〜140であり、さらに好ましくは109〜130。特に好ましくは110〜120である。
高溶解性エポキシ樹脂(G)の硬化後の架橋間分子量はエポキシ樹脂の基本構造式の単量体の分子量を基本構造式に含まれるエポキシ基の数で除した値で規定される。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(E)をエポキシ樹脂用マイクロカプセル型硬化剤(D)100重量部に対して10〜50000重量部配合されていること特徴とする。エポキシ樹脂(E)が50000より多いと、硬化性が低下してしまい、10より小さいとエポキシ樹脂組成物の粘度が高まり、作業性が低下する。このような観点から、エポキシ樹脂(E)の配合量は好ましくはエポキシ樹脂用マイクロカプセル型硬化剤(D)100重量部に対して100〜5000であり、より好ましくは130〜400であり、特に好ましくは150〜300である。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、溶解度パラメーターが8.900〜12.00である高溶解性エポキシ樹脂(G)をエポキシ樹脂(E)に対して0.1重量%以上含むことを特徴とする。0.1重量%未満の場合は本発明の効果(特に、低温硬化性と貯蔵安定性)が充分発揮されないことがある。また上限値は特に制限されないが、高溶解性エポキシ樹脂の含有量が高まると吸水率が上昇する傾向がある。このような観点から高溶解性エポキシ樹脂(G)の含有率は好ましくは1%〜99%、より好ましくは5%〜50%、さらに好ましくは10%〜40%、特に好ましくは20%〜30%である。
エポキシ樹脂(E)の全塩素量は、高い硬化性と貯蔵安定性の両立のためには、2000ppm以下であることが望ましい。
より好ましくは1000ppm以下であり、より好ましくは500ppm以下であり、より好ましくは300ppm以下であり、より好ましくは200ppm以下であり、より好ましくは100ppm以下であり、より好ましくは80ppm以下であり、さらに好ましくは50ppm以下である。
また、シェル形成反応のコントロールを容易にするためには、全塩素量は、0.01ppm以上が好ましい。より好ましくは0.02ppm以上であり、より好ましくは0.05ppm以上であり、より好ましくは0.1ppm以上であり、より好ましくは0.2ppm以上であり、さらに好ましくは0.5ppm以上である。たとえば、全塩素量の好ましい範囲は0.1ppm以上200ppm以下であり、より好ましい範囲は0.2ppm以上80ppm以下であり、より好ましい範囲は0.5ppm以上50ppm以下である。本発明において全塩素量とは、化合物中に含まれる有機塩素及び無機塩素の総量のことであり、化合物に対する質量基準の値である。
本発明のエポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤(F)であるエポキシ樹脂組成物は全塩素量が2000ppm以下であることを特徴とする。全塩素量が低いほど、反応性が高まり、また、該エポキシ樹脂組成物を電子材料に使用した場合、信頼性が高いという観点から望ましい。全塩素量は、より好ましくは1500ppm、より好ましくは1000ppm以下であり、より好ましくは500ppm以下であり、より好ましくは400ppm、より好ましくは300ppm以下であり、より好ましくは200ppm以下であり、より好ましくは100ppm以下であり、さらに好ましくは50ppm以下である。
本発明のエポキシ樹脂組成物の全塩素量は実施例の項に記載の方法により規定される。
本発明のエポキシ樹脂(E)は本願明細書記載の高溶解性エポキシ樹脂(G)を0.1%以上含むことを特徴とするが、エポキシ樹脂(E)は本発明の目的とする効果を損なわない範囲内において特に制限されない。そのようなエポキシ樹脂(E)の一例を挙げると、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、テトラフルオロビスフェノールA等のビスフェノール類をグリシジル化したビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のその他の2価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4−(1−(4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール等のトリスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;1,1,2,2,−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のテトラキスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、臭素化フェノールノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック等のノボラック類をグリシジル化したノボラック型エポキシ樹脂等;多価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、グリセリンやポリエチレングリコール等の多価アルコールをグリシジル化した脂肪族エーテル型エポキシ樹脂;p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸をグリシジル化したエーテルエステル型エポキシ樹脂;フタル酸、テレフタル酸のようなポリカルボン酸をグリシジル化したエステル型エポキシ樹脂;4,4−ジアミノジフェニルメタンやm−アミノフェノール等のアミン化合物のグリシジル化物やトリグリシジルイソシアヌレート等のアミン型エポキシ樹脂等のグリシジル型エポキシ樹脂と、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環族エポキサイド等が例示される。但し、高溶解性エポキシ樹脂を除く。
これらエポキシ樹脂は単独で使用しても併用してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物を製造する方法として、先に製造されたエポキシ樹脂用硬化剤(C)及び/又はエポキシ樹脂用カプセル型硬化剤(D)を、例えば、三本ロール等を用いてエポキシ樹脂(E)中に分散させる方法や、エポキシ樹脂(E)の中でエポキシ樹脂用硬化剤(C)及び/又はエポキシ樹脂用カプセル型硬化剤(D)の被覆反応を行い、硬化剤を得ると同時に、エポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤(F)を得る方法等が例示される。後者が、生産性が高く好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は室温で液状又は25℃での粘度が1000万mPa・s以下のペースト状が好ましい。より好ましくは、25℃での粘度が50万mPa・s以下、更に好ましくは1000〜30万mPa・s、一層好ましくは3000〜20万mPa・sである。
粘度が低いほど作業性が高く、容器への付着量を下げて廃棄物の低減が可能であり好ましい。
本発明のエポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤(F)は、エポキシ樹脂用硬化剤(C)及び/又はエポキシ樹脂用カプセル型硬化剤(D)とエポキシ樹脂(E)と高溶解性エポキシ樹脂(G)から構成されるが、その機能を低下させない範囲で、その他の成分を含有することができる。その他の成分の含有量は、好ましくは30質量%未満である。
エポキシ樹脂(J)に、本発明のエポキシ樹脂用硬化剤(C)及び/又はエポキシ樹脂用マイクロカプセル型硬化剤(D)及び/又はエポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤(F)を混合して一液性エポキシ樹脂組成物が得られる。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いられるエポキシ樹脂(J)は、平均して1分子当たり2個以上のエポキシ基を有するものであればよく、エポキシ樹脂(E)と同じであってもよい。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、テトラフルオロビスフェノールA等のビスフェノール類をグリシジル化したビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のその他の2価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4−(1−(4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール等のトリスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;1,1,2,2,−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のテトラキスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、臭素化フェノールノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック等のノボラック類をグリシジル化したノボラック型エポキシ樹脂等;多価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;グリセリンやポリエチレングリコールのような多価アルコールをグリシジル化した脂肪族エーテル型エポキシ樹脂;p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸のようなヒドロキシカルボン酸をグリシジル化したエーテルエステル型エポキシ樹脂;フタル酸、テレフタル酸のようなポリカルボン酸をグリシジル化したエステル型エポキシ樹脂;4,4−ジアミノジフェニルメタンやm−アミノフェノール等のアミン化合物のグリシジル化物やトリグリシジルイソシアヌレート等のアミン型エポキシ樹脂と、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環族エポキシド等が例示される。
本発明のエポキシ樹脂組成物とエポキシ樹脂(J)との混合比は、硬化性、硬化物の特性の面から決定されるものであるが、好ましくはエポキシ樹脂(J)100質量部に対して、本発明のエポキシ樹脂組成物が0.1〜100質量部となる量で用いればよい。より好ましくは、0.2〜80質量部、更に好ましくは、0.5〜60質量部である。0.1質量部以上で実用的に満足し得る硬化性能を得ることができ、100質量部以下で、本発明のエポキシ樹脂組成物が偏在することなく、バランスの良い硬化性能を有する硬化剤を与える。
また、本発明に用いられるエポキシ樹脂用硬化剤(C)及び/又はエポキシ樹脂用マイクロカプセル型硬化剤(D)及び/又はエポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤(F)には、エポキシ樹脂の高分子量体で、自己成膜性を有する一般にフェノキシ樹脂と呼ばれる樹脂をも混合することができる。
本発明に用いられるエポキシ樹脂用硬化剤(C)及び/又はエポキシ樹脂用マイクロカプセル型硬化剤(D)及び/又はエポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤(F)には、酸無水物類、フェノール類、ヒドラジド類、及びグアニジン類からなる群から選ばれる少なくとも1種の硬化剤(K)を併用することができる。
酸無水物類としては、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水−3−クロロフタル酸、無水−4−クロロフタル酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水コハク酸、無水メチルコハク酸、無水ジメチルコハク酸、無水ジクロールコハク酸、メチルナジック酸、ドテシルコハク酸、無水クロレンデックク酸、無水マレイン酸等が例示される。フェノール類としては、例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック等が例示される。ヒドラジド類としては、例えば、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドテレフタル酸ジヒドラジド、p−オキシ安息香酸ヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、フェニルアミノプロピオン酸ヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド等が例示される。グアニジン類としては、例えば、ジシアンジアミド、メチルグアニジン、エチルグアニジン、プロピルグアニジン、ブチルグアニジン、ジメチルグアニジン、トリメチルグアニジン、フェニルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トルイルグアニジン等が例示される。
硬化剤(K)の中で好ましいものは、グアニジン類及び酸無水物類である。さらに好ましくは、ジシアンジアミド、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水メチルナジック酸である。硬化剤(K)を使用する場合、エポキシ樹脂(E)100質量部に対して、硬化剤(K)を1〜200質量部となる量で用いるのが好ましい。この範囲で用いることにより硬化性と貯蔵安定性に優れた組成物を与え、耐熱性、耐水性に優れた硬化物を得ることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂用マイクロカプセル型硬化剤(D)、エポキシ樹脂(E)、及び環状ホウ酸エステル化合物(L)を含有することができる。
これにより、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性、特に高温時における貯蔵安定性を向上させることができる。
上記環状ホウ酸エステル化合物(L)とは、ホウ素が環式構造に含まれる化合物であり、特に2,2’−オキシビス(5,5’−ジメチル−1,3,2−オキサボリナン)が好ましい。
上記環状ホウ酸エステル化合物(L)の含有量としては、エポキシ樹脂(E)100質量部に対して0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜2質量部、さらに好ましくは0.05〜0.9質量部である。この範囲で用いることで組成物の高温時の貯蔵安定性に優れた硬化を与え、かつ、本来の短時間硬化性、耐熱性、接着性、接続信頼性を損なわない、優れた硬化物を得ることができる。
本発明に用いられるエポキシ樹脂用硬化剤(C)及び/又はエポキシ樹脂用マイクロカプセル型硬化剤(D)及び/又はエポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤(F)には、所望によって、増量剤、補強材、充填材、導電微粒子、顔料、有機溶剤、反応性希釈剤、非反応性希釈剤、樹脂類、カップリング剤等を添加することができる。充填剤の例としては、例えば、コールタール、ガラス繊維、アスベスト繊維、ほう素繊維、炭素繊維、セルロース、ポリエチレン粉、ポリプロピレン粉、石英粉、鉱物性ケイ酸塩、雲母、アスベスト粉、スレート粉、カオリン、酸化アルミニウム三水和物、水酸化アルミニウム、チョーク粉、石こう、炭酸カルシウム、三酸化アンチモン、ペントン、シリカ、エアロゾル、リトポン、バライト、二酸化チタン、カーボンブラック、グラファイト、酸化鉄、金、アルミニウム粉、鉄粉等を挙げることができ、これらはいずれもその用途に応じて有効に用いられる。有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。反応性希釈剤としては、例えば、ブチルグリシジルエーテル、N,N’−グリシジル−o−トルイジン、フェニルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等が挙げられる。非反応性希釈剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルアジベート、石油系溶剤等が挙げられる。樹脂類としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、メラミン樹脂やウレタン変性エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、アルキッド変性エポキシ樹脂等の変性エポキシ樹脂が挙げられる。
本発明に用いられるエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂用硬化剤(C)及び/又はエポキシ樹脂用マイクロカプセル型硬化剤(D)とエポキシ樹脂(E)と高溶解性エポキシ樹脂(G)と、必要に応じてエポキシ樹脂(J)及び硬化剤(K)が主成分である。本発明のエポキシ樹脂組成物は、加熱により硬化することで所望の性能が発現されるが、ここで言う主成分とは、加熱による硬化反応の主体をなす成分であることを意味し、加熱硬化性成分の60%以上であることが好ましい。更に好ましくは70%以上である。
一液性エポキシ樹脂組成物の内、硬化に関与しない成分としては、例えば、増量剤、補強材、充填材、導電粒子、顔料、有機溶剤、樹脂類等が挙げられるが、これらの成分は一液性エポキシ樹脂組成物全体に対して0〜90質量%の範囲で使用されるのが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、接着剤、封止材、充填材料、絶縁材料、導電材料、異方導電材料、シール材料、構造用接着剤、プリプレグ等として有用であり、接着剤としては、液状接着剤やフィルム状接着剤、ダイボンディング材等として有用であり、封止材としては、固形封止材や液状封止材、フィルム状封止材等として有用であり、液状封止材としては、アンダーフィル材、ポッティング材、ダム材等として有用であり、絶縁材料としては、絶縁接着フィルム、絶縁接着ペースト、ソルダーレジスト等として有用であり、導電材料としては導電フィルム、導電ペースト等として有用であり、異方導電材料としては、異方導電性フィルム、異方導電性ペースト等として有用である。導電材料や異方導電材料として用いる場合は、本発明の一液性エポキシ樹脂組成物に導電粒子を分散させて用いられる。導電粒子としては半田粒子、ニッケル粒子、金属の表面を他の金属で被覆した粒子、銅と銀の傾斜粒子等の金属粒子や、例えば、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等の樹脂粒子に金、ニッケル、銀、銅、半田などの導電性薄膜で被覆を施した粒子等が使用される。一般に導電粒子は1〜20μm程度の球形の微粒子である。フィルムにする場合は、一液性エポキシ樹脂組成物に溶剤を配合し、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン等の基材に塗布後溶剤を乾燥させる方法等がある。
絶縁材料や封止材として用いる場合は、本発明のエポキシ樹脂組成物に、シリカ等のフィラーを充填剤として添加する。フィルムにする場合は、エポキシ樹脂組成物に溶剤を配合し、ポリエステル等の基材に塗布後溶剤を乾燥させる方法等がある。
本発明を実施例に基づき、更に詳しく説明するが本発明は、その技術範囲及び実施態様を含めて、これらに限定されるものではない。実施例及び比較例中の「部」又は「%」は特記しない限り質量基準である。
以下に述べる手法により、本実施例及び比較例に係る樹脂及びその硬化物の物性評価試験を行った。
(1)エポキシ当量
1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量(g)であり、JIS K−7236に準拠して求めた。
(2)全塩素量
試料1gを25mlのエチレングリコールモノブチルエーテルに溶解し、これに1規定KOHのプロピレングリコール溶液25mlを加えて20分間煮沸した後、硝酸銀水溶液で滴定した。
(3)エポキシ樹脂(E)の全塩素量
エポキシ樹脂組成物を、キシレンを用いて、エポキシ樹脂が無くなるまで洗浄と濾過を繰り返す。次にろ液を100℃以下で減圧留去し、エポキシ樹脂を得る。得られたエポキシ樹脂試料1〜10gを、滴定量が3〜7mlになるよう精秤し、25mlのエチレングリコールモノブチルエーテルに溶解し、これに1規定KOHのプロピレングリコール溶液25mlを加えて20分間煮沸した後、硝酸銀水溶液で滴定した。
(4)加水分解性塩素量
試料3gを50mlのトルエンに溶解し、これに0.1規定KOHのメタノール溶液20mlを加えて15分間煮沸した後、硝酸銀水溶液で滴定した。
(5)粘度
25℃でBM型粘度計を使用して測定した。
(6)軟化点
JIS K−7234(環球法)に準拠した。
(7)FT−IR測定
日本分光(株)社製FT/IR−410を使用し吸光度を測定した。
(8)分子量分布
東ソー(株)製HLC8220GPC(検出器:RI)を用い、カラム:PLgel3μMIXED−E(ポリマーラボラトリー社製)2本、溶離液:ジメチルホルムアミド1%リチウムブロマイド溶液、検量線:ポリスチレンの条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィを行い、重量平均分子量を数平均分子量で割った値で分子量分布を示した。
(9)ゲルタイム測定
(株)テイ・エスエンジニアリング社製のキュラストメーターV型を使用し、JIS K6300に準拠して求めた。
(10)エポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤(F)からのエポキシ樹脂用マイクロカプセル型硬化剤(D)の分離
エポキシ樹脂組成物を、キシレンを用いて、エポキシ樹脂が無くなるまで洗浄と濾過を繰り返す。次に、キシレンが無くなるまでシクロヘキサンで洗浄と濾過を繰り返す。シクロヘキサンを濾別し、50℃以下の温度でシクロヘキサンを完全に除去乾燥する。
(11)エポキシ樹脂用マイクロカプセル型硬化剤(D)からのカプセル膜の分離
カプセル型硬化剤を、メタノールを用いて、アミン系硬化剤が無くなるまで洗浄と濾過を繰り返し、50℃以下の温度でメタノールを完全に除去乾燥する。
(12)高溶解性エポキシ樹脂基本構造
エポキシ樹脂組成物を、キシレンを用いて、エポキシ樹脂が無くなるまで洗浄と濾過を繰り返す。次にろ液を100℃以下で減圧留去し、エポキシ樹脂を得る。
得られたエポキシ樹脂を高速液体クロマトグラフィで分析し、分離液をフラクションごとに減圧、留去し残渣をMS、NMR及びIRで分析し、両末端エポキシ基を含む構造を基本構造とする。
(13)高溶解性エポキシ樹脂のジオール末端不純成分、及びその構造
高溶解性エポキシ樹脂基本構造と同様にしてLC分析チャート上のジオール末端不純成分分子ピークを同定し、その面積比で高溶解性エポキシ樹脂のジオール末端不純成分の高溶解性エポキシ樹脂基本構造成分に対する面積比率を求める。なお、検出波長を254nmとした。
(14)溶融粘度
東機産業(株)製のRE−550H型粘度計(ローターR−H HH4)を用い、回転数20rpm、測定温度160℃の条件で測定した。
(15)一液性エポキシ樹脂組成物の硬化性−1
実施例又は比較例で製造したエポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤30部をエポキシ樹脂E−1の100部と混合して、一液性エポキシ樹脂を製造し、100℃でゲルタイムを測定し、一液性エポキシ樹脂組成物の硬化性の指標にした。
(16)一液性エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性−1
実施例又は比較例で製造したエポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤30部をビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量189g/当量、全塩素量1200ppm:以下エポキシ樹脂E−1と称す)100部と混合して一液性エポキシ樹脂を製造し、40℃で1週間貯蔵し、貯蔵後の粘度を貯蔵前の粘度で割った値(以下粘度倍率と称す)により貯蔵安定性を評価した。粘度倍率が1.5倍未満を◎、2倍未満を○、2倍以上3倍未満を△、3倍以上を×、貯蔵途中でゲル化したものを××とした。
(17)エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性−2
エポキシ樹脂組成物に酢酸エチル/トルエン1/1の混合溶媒を不揮発分が70%となるように混合し、25℃で1時間静置した。これを乾燥膜厚30μとなる様に塗布、70℃で5分加熱乾燥し、組成物中の溶剤を除去し、50℃で3日貯蔵した。50℃3日間貯蔵前後でFT−IR測定を行い、914cm−1のピーク高さよりエポキシ基残存率を算出し、貯蔵安定性を評価した。
(18)エポキシ樹脂組成物の硬化性−2
エポキシ樹脂組成物のゲルタイムを測定し、ゲルタイムが5分未満となる温度を測定し、硬化性を評価した。
(19)エポキシ樹脂組成物のエポキシ基反応率
エポキシ樹脂組成物に酢酸エチル/トルエン1/1の混合溶媒を不揮発分が70%とな
るように混合し、25℃で1時間静置した。これを乾燥膜厚30μとなるように塗布、70℃で5分加熱乾燥し、組成物中の溶剤を除去し、200℃のホットプレート上で30kg/cm、20秒間熱圧着を行った。圧着前後でFT−IR測定を行い、914cm−1のピーク高さよりエポキシ基消失率を算出し、エポキシ基反応率を評価した。
製造例1−1
(アミンアダクト(A−1)の製造)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量175g/当量、全塩素量1600ppm:以下エポキシ樹脂a1−1と称す)1当量と、2−メチルイミダゾール1当量(活性水素換算)を、n−ブタノールとトルエンの1/1混合溶媒中(樹脂分50%)80℃で6時間反応させた。その後、減圧下200℃で未反応の2−メチルイミダゾールが10ppm未満になるまで蒸留を行い、溶剤と共に留去し、アミンアダクトA−1を得た。得られたアミンアダクトの分子量分布は1.4であった。
製造例1−2
(アミンアダクト(A−2)の製造)
2−メチルイミダゾールの仕込み量を2当量にした以外は製造例1−1と同様にしてアミンアダクトの製造を行い、アミンアダクトA−2を得た。得られたアミンアダクトの分子量分布は1.1であった。
製造例1−3
(アミンアダクト(A−3)の製造)
2−メチルイミダゾールの仕込み量を0.85当量にした以外は製造例1−1と同様にしてアミンアダクトの製造を行い、アミンアダクトA−3を得た。得られたアミンアダクトの分子量分布は2.1であった。
製造例1−4
(アミンアダクト(A−5)の製造)
2−メチルイミダゾールの仕込み量を0.7当量にした以外は製造例1−1と同様にしてアミンアダクトの製造を行い、アミンアダクトA−5を得た。得られたアミンアダクトの分子量分布は3.7であった。
製造例2−1
(エポキシ樹脂G−1)
撹拌装置、温度計を備えた2リットルの三つ口フラスコに、tert−ブチルヒドロキノン166g(1モル)、エピクロルヒドリン1850g(20モル)、グリシドール296g(4モル)、テトラメチルアンモニウムクロリド0.55gを仕込み、加熱還流下で2時間付加反応させた。次いで内容物を60℃に冷却し、水分除去装置を装着してから、48.5%水酸化ナトリウムを183g(2.2モル)加え、反応温度55〜60℃、減圧度100〜150mmHgで生成する水を連続的に共沸除去させ、留出液のうちエピクロルヒドリン層を反応系にもどしながら閉環反応を行わせた。生成水が56.5mlに達した点を反応終了点とした。
その後、減圧ろ過、水洗を繰り返し、さらに減圧蒸留により残存エピクロルヒドリンを回収し粗エポキシ樹脂を得た。
得られた粗エポキシ樹脂を繰返し減圧蒸留にかけ、エポキシ樹脂G−1(エポキシ当量155、加水分解性塩素含有量25ppm、全塩素含有量670ppm、25℃における粘度750センチポイズ、ジオール末端不純成分/基本構造成分=0.13、架橋間分子量139、溶解度パラメーター8.93)を得た。
製造例2−2
(エポキシ樹脂G−2)
tert−ブチルヒドロキノン166g(1モル)の代わりにレゾルシン110g(1モル)を使用した以外は製造例2−1と同様の操作を行い、エポキシ樹脂G−2(エポキシ当量115、加水分解性塩素含有量18ppm、全塩素含有量600ppm、25℃における粘度110センチポイズ、ジオール末端不純成分/基本構造成分ジオール末端/基本構造=0.12、架橋間分子量111、溶解度パラメーター9.13)を得た。
製造例2−3
(エポキシ樹脂G−3)
反応時にグリシドールを添加しなかった以外は製造例2−1と同様の操作を行い、エポキシ樹脂G−3(エポキシ当量113、加水分解性塩素含有量30ppm、全塩素含有量600ppm、25℃における粘度100センチポイズ、ジオール末端不純成分/基本構造成分=0.03、架橋間分子量111、溶解度パラメーター9.13)を得た。
製造例3
(エポキシ樹脂X)
48.5%水酸化ナトリウムを158g(1.9モル)とした以外は製造例2−1と同様の操作を行い、エポキシ樹脂X(エポキシ当量122、加水分解性塩素含有量1000ppm、全塩素含有量10000ppm、25℃における粘度120センチポイズ、ジオール末端不純成分/基本構造成分=0.10、架橋間分子量111、溶解度パラメーター9.13)を得た。
合成したエポキシ樹脂G−1〜G−3、Xの性状を表2に示す。
Figure 0004583373
実施例1
製造例1−1で得たアミンアダクトA?1の100質量部を溶融し、これに0.8質量部の2?エチル?4?メチルイミダゾールを均一に混合し、室温に冷却後粉砕して、軟化点が97℃、平均粒径2.5μmのエポキシ樹脂用硬化剤C−1を得た。200質量部のエポキシ樹脂E−1に、アミン系硬化剤A?1を100質量部、水1.5質量部、トリレンジイソシアネート5質量部を加えて、40℃で攪拌しながら3時間反応を続けた。その後、シェル形成反応を50℃で8時間行い、エポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤F?1を得た。
マスターバッチ型硬化剤F?1からキシレンを用いてエポキシ樹脂用マイクロカプセル型硬化剤を分離し、FT?IR測定により、結合基(x)、(y)、(z)を有することが確認された。
更に、100部のエポキシ樹脂E−1に、得られたエポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤F−1を30部配合したときの一液性エポキシ樹脂組成物の硬化性−1と貯蔵安定性−1を評価した。得られた結果を表3に示す。
実施例2及び3
表3に示す配合で、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂用硬化剤C?2及びC?3を得た。得られたエポキシ樹脂用硬化剤の特性を表3に示す。
更に、表3の配合で実施例1と同様にしてエポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤F?2及びF?3を得た。何れも実施例1と同様にして結合基(x)、(y)、及び(z)を有することを確認し、実施例1と同様にしてマスターバッチ型硬化剤F?2及びF?3を硬化剤としたときの一液性エポキシ樹脂組成物の硬化性−1と貯蔵安定性−1を評価した。評価結果を表3に示す。
実施例4
1当量のビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量165g/当量、全塩素量300ppm:以下エポキシ樹脂a1?2と称す)と、2?メチルイミダゾール1当量(活性水素換算)を、n?ブタノールとトルエンの1/1混合溶媒中(樹脂分50%)80℃で6時間反応させた。その後、減圧下200℃で未反応の2?メチルイミダゾールと溶剤を留去し、2?メチルイミダゾールが0.05質量%(樹脂分に対して)になった時点で蒸留を終了し、分子量分布が1.4のアミンアダクト(アミンアダクトA?4と称す)と低分子アミン化合物(B)として0.05質量%の2?メチルイミダゾールからなるアミン系硬化剤を得た。それを室温下で粉砕して、軟化点が101℃、平均粒径2.4μmのエポキシ樹脂用硬化剤C?4を得た。
更に、表3の配合で実施例1と同様にしてマスターバッチ型硬化剤F?4を得た。実施例1と同様にして結合基(x)、(y)、及び(z)を有することを確認し、実施例1と同様にしてマスターバッチ型硬化剤F?4を硬化剤としたときの一液性エポキシ樹脂組成物の硬化性−1と貯蔵安定性−1を評価した。評価結果を表3に示す。
比較例1
表3に示す配合で、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂用硬化剤C?5を得た。得られたエポキシ樹脂用硬化剤の特性を表1に示す。
更に、表3の配合で実施例1と同様にしてマスターバッチ型硬化剤K?5を得た。実施例1と同様にしてマスターバッチ型硬化剤K?5を硬化剤としたときの一液性エポキシ樹脂組成物の硬化性−1と貯蔵安定性−1を評価した。評価結果を表3に示す。
表3に示すように、アミンアダクト(A−5)の分子量分布が3を超える本比較例では、硬化温度条件でアミンアダクト(A−5)のエポキシ樹脂(E)への拡散性が低下するため、硬化性が低い結果となっている。
比較例2
1当量のエポキシ樹脂E?1と、2?メチルイミダゾール0.85当量(活性水素換算)を、n?ブタノールとトルエンの1/1混合溶媒中(樹脂分50%)80℃で6時間反応させた。その時の未反応の2?メチルイミダゾール量は2.0質量%(樹脂分に対して)であった。その後、減圧下180℃で溶剤を留去し、分子量分布が2.1のアミンアダクト(アミンアダクトA?6と称す)と低分子アミン化合物(B)として2?メチルイミダゾールを2.0質量%含有するアミン系硬化剤を得た。
それを室温下で粉砕して、軟化点が94℃、平均粒径2.5μmのエポキシ樹脂用硬化剤C?6を得た。
更に、表3の配合で実施例1と同様にしてマスターバッチ型硬化剤F?6を得た。実施例1と同様にしてマスターバッチ型硬化剤F?6を硬化剤としたときの一液性エポキシ樹脂組成物の硬化性−1と貯蔵安定性−1を評価した。評価結果を表3に示す。
表3に示すように低分子アミン化合物(B)が1質量部を超える本比較例では、低分子アミン化合物(B)が貯蔵中にエポキシ樹脂(E)と反応し、貯蔵安定性の低い結果となっている。
比較例3
表3に示す配合(アミンアダクトA?1のみ)で、実施例1と同様にしてアミン系硬化剤を得た。得られたアミン系硬化剤の特性を表3に示す。
更に、表3の配合で実施例1と同様にしてマスターバッチ型硬化剤F?7を得、実施例1と同様にしてマスターバッチ型硬化剤F?7を硬化剤としたときの一液性エポキシ樹脂組成物の硬化性−1と貯蔵安定性−1を評価した。評価結果を表3に示す。
表3に示すように低分子アミン化合物(B)が0.001質量部未満の本比較例ではマスターバッチ型硬化剤を製造する時に緻密なシェルを形成することができず、貯蔵安定性の低い結果となっている。
比較例4
1当量のエポキシ樹脂E?1と、2?メチルイミダゾール2当量(活性水素換算)を、n?ブタノールとトルエンの1/1混合溶媒中(樹脂分50%)80℃で6時間反応させた。その後、減圧下180℃で溶剤を留去し、分子量分布が1.1のアミンアダクト(アミンアダクトA−7と称す)と低分子アミン化合物(B)として2?メチルイミダゾールを20質量%含有するアミン系硬化剤を得た。
それを冷却下で粉砕して、軟化点が60℃、平均粒径7.1μmのエポキシ樹脂用硬化剤C−7を得た。
更に、表3の配合で実施例1と同様にしてマスターバッチ型硬化剤の製造を試みたが、途中でゲル化し、マスターバッチ型硬化剤は得られなかった。
Figure 0004583373
実施例5
予め平均粒径3μmに粉砕したジシアンジアミド8質量部に、実施例3で得られたマスターバッチ型硬化剤F−3の3質量部とエポキシ樹脂E?3の95質量部、EP?4023(アデカ(株)製CTBN変性エポキシ樹脂)5質量部、炭酸カルシウム20質量部を加えて均一に混合し、一液性エポキシ樹脂組成物を得た。得られた組成物は40℃×1週間貯蔵後も使用可能であり、140℃で硬化した。
実施例6
エポキシ樹脂E−1の100質量部に無水メチルヘキサヒドロフタル酸80質量部、球状溶融シリカ粉末(平均粒径10μm)300質量部を加えて均一に混合し、それに実施例4で得られたマスターバッチ型硬化剤F−4の6質量部を加え均一に混合し、液状封止材を得た。
得られた液状封止材を基板とLSIとの間に挟み、100℃で3時間加熱した後更に150℃で3時間加熱した結果、液状封止材は硬化し、封止材として有用であった。本組成物の液状封止材は、絶縁接着ペーストとしても有用であった。
実施例7
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量2500g/当量)100質量部を酢酸エチル40質量部に溶解し、それに、実施例3で得られたマスターバッチ型硬化剤F−3の50質量部と粒径5μmの導電粒子(金メッキを施した架橋ポリスチレン)8質量部とを加え均一に混合し、一液性エポキシ樹脂組成物を得た。これをポリエステルフィルム上に塗布し、60℃で酢酸エチルを乾燥除去し、異方導電性フィルムを得た。
得られた異方導電性フィルムを電極間に挟み、200℃のホットプレート上で30kg/cm、20秒間熱圧着を行った結果、電極間が接合し、導通がとれ、異方導電性材料として有用であった。
実施例8〜10及び比較例5〜6
表4に本発明としての実施例5〜7、比較として比較例5〜6を示す。仕込み欄の各成分の数字はアミン系硬化剤P100質量部に対する質量部を示す。
表4に記載のエポキシ樹脂(E)、アミン系硬化剤P、水、MDI(4,4’?ジフェニルメタンジイソシアネート)をノンバブリングニーダーのカップに投入し、室温で3時間撹拌した。更にエポキシ樹脂2を加えエポキシ樹脂組成物を得た。
実施例11〜13及び比較例7〜8
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量2500g/当量)40部を酢酸エチル30部に溶解し、それに、表5に示すエポキシ樹脂組成物1〜5の60部と粒径8μmの導電粒子(金メッキを施した架橋ポリスチレン)10部とを加え均一に混合し、エポキシ樹脂組成物を得た。これをポリエステルフィルム上に塗布し、70℃で酢酸エチルを乾燥除去し、異方導電性フィルムを得た。
得られた異方導電性フィルムを電極間に挟み、200℃のホットプレート上で30kg/cm、20秒間熱圧着を行った。その結果を表5及び表6に示す。
実施例14
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量165g/当量、全塩素量1200ppm、加水分解塩素量400ppm)100部に無水メチルヘキサヒドロフタル酸80部、球状溶融シリカ粉末(平均粒径10μm)300部を加えて均一に混合し、それに表4に示すエポキシ樹脂組成物1〜3のいずれか6部を加え均一に混合し、液状封止材を得た。
得られた液状封止材を基板とLSIとの間に挟み、100℃で3時間後更に150℃で3時間加熱した結果、液状封止材は硬化し、封止材として有用であった。本組成物の液状封止材は、絶縁接着ペーストとしても有用であった。
Figure 0004583373

Figure 0004583373

Figure 0004583373
実施例15
製造例1−1で得たアミンアダクトA−1の100質量部を溶融し、これに低分子アミン化合物(B)として0.6質量部の2−エチル−4メチルイミダゾールを均一に混合し、室温に冷却後粉砕して、軟化点が97℃、平均粒径2.5μmのエポキシ樹脂用硬化剤C−1を得た。150質量部のエポキシ樹脂E−1に、エポキシ樹脂用硬化剤C−1を100質量部、水1.5質量部、トリレンジイソシアネート5質量部を加えて、40℃で攪拌しながら3時間反応を続けた。その後、高溶解性エポキシ樹脂G−1を50部と環状ホウ酸エステル化合物(L)を2部加えて、潜在性硬化剤となるエポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤F−1を得た。エポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤F−1の全塩素量は700ppmであった。エポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤F−1からキシレンを用いてエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセル型硬化剤D−1を分離し、FT−IR測定により、結合基(x)、(y)、及び(z)を有することが確認された。
更に、100部のエポキシ樹脂E−1に、得られたエポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤F−1を30部配合したときの一液性エポキシ樹脂組成物の硬化性−1と貯蔵安定性−1を評価した。得られた結果を表7に示す。
実施例16〜17
表7に示す配合で、実施例15と同様にしてエポキシ樹脂用硬化剤C−2〜C−3を得た。得られた硬化剤のエポキシ樹脂用硬化剤の特性を表7に示す。更に、表7の配合で実施例15と同様にしてエポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤F−2〜F−3を得た。何れも実施例15と同様にして結合基(x)、(y)、及び(z)を有することを確認し、実施例15と同様にしてエポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤F−2〜F−3を硬化剤としたときの一液性エポキシ樹脂組成物の硬化性−1と貯蔵安定性−1を評価した。評価結果を表7に示す。
実施例18
1当量のビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量165g/当量、全塩素量300ppm :以下エポキシ樹脂a1−2と称す)と、2−メチルイミダゾール1当量(活性水素換算)を、n−ブタノールとトルエンの1/1混合溶媒中(樹脂分50%)80℃で6時間反応させた。その後、減圧下200℃で未反応の2−メチルイミダゾールと溶剤を留去し、2−メチルイミダゾールが0.05質量%(樹脂分に対して)になった時点で蒸留を終了し、分子量分布が1.4のアミンアダクト(アミンアダクトA−4と称す)と低分子アミン化合物(B)として0.05質量%の2−メチルイミダゾールを含有するアミン系硬化剤を得た。それを室温下で粉砕して、軟化点が101℃、平均粒径2.4μmのエポキシ樹脂用硬化剤C−4を得た。
更に、表7の配合で実施例15と同様にしてエポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤F−4を得た。実施例15と同様にして結合基(x)、(y)、及び(z)を有することを確認し、実施例15と同様にしてエポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤F−4を硬化剤としたときの一液性エポキシ樹脂組成物の硬化性−1と貯蔵安定性−1を評価した。評価結果を表7に示す。
比較例9
製造例1−4で得たアミンアダクトA−5を用いて、これに低分子アミン化合物(B)として0.2質量部のトリエチレンジアミンを用いて、実施例15と同様にしてエポキシ樹脂用硬化剤C−5を得た。得られたエポキシ樹脂用硬化剤C−5の特性を表−7に示す。
更に、表7の配合で実施例15と同様にしてエポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤F−5を得た。実施例15と同様にしてエポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤F−5を硬化剤としたときの一液性エポキシ樹脂組成物の硬化性−1と貯蔵安定性−1を評価した。評価結果を表7に示す。
表7に示すように、アミンアダクト(A−5)の分子量分布が3を越える本比較例では、硬化温度条件でアミンアダクト(A−5)のエポキシ樹脂への拡散性が低下するため、硬化性が低い結果となっている。
比較例10
表7に示す配合(アミンアダクトA?1のみ)を粉砕して、軟化点が103℃、平均粒径2.5μmのアミン系硬化剤を得た。得られた硬化剤のエポキシ樹脂用硬化剤の特性を表7に示す。
更に、表7の配合で実施例15と同様にしてエポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤を得た。実施例15と同様にしてエポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤を硬化剤としたときの一液性エポキシ樹脂組成物の硬化性−1と貯蔵安定性−1を評価した。評価結果を表7に示す。
比較例11
製造例1−1で得たアミンアダクトA−1を用いて、これに低分子アミン化合物(B)として2質量部の2−メチルイミダゾールを均一に混合し、室温に冷却後粉砕して、軟化点が94℃、平均粒径1.9μmのエポキシ樹脂用硬化剤C−6を得た。得られたエポキシ樹脂用硬化剤C−6の特性を表7に示す。
更に、表7の配合で実施例15と同様にしてエポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤F−6を得た。実施例15と同様にしてエポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤F−6を硬化剤としたときの一液性エポキシ樹脂組成物の硬化性−1と貯蔵安定性−1を評価した。評価結果を表7に示す。
比較例12
1当量のエポキシ樹脂E?1と、2?メチルイミダゾール2当量(活性水素換算)を、n?ブタノールとトルエンの1/1混合溶媒中(樹脂分50%)80℃で6時間反応させた。その後、減圧下180℃で溶剤を留去し、分子量分布が1.1のアミンアダクト(アミンアダクトA−7と称す)と低分子アミン化合物(B)として2?メチルイミダゾールを20質量%含有するアミン系硬化剤を得た。
それを冷却下で粉砕して、軟化点が60℃、平均粒径7.1μmのエポキシ樹脂用硬化剤C−7を得た。
更に、表7の配合で実施例15と同様にしてマスターバッチ型硬化剤の製造を試みたが、途中でゲル化し、マスターバッチ型硬化剤は得られなかった。
Figure 0004583373
本発明によれば、低温硬化性と貯蔵安定性を両立させ、更に電気特性、機械的強度、耐熱性、耐湿性等の性能もバランス良く有する硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物が得られる。本発明のカプセル型硬化剤を用いたエポキシ樹脂組成物は、接着剤、封止材、充填材、絶縁材料、導電材料、プリプレグ、フィルム状接着剤、異方導電性フィルム、異方導電性ペースト、絶縁接着フィルム、絶縁接着ペースト、アンダーフィル材、ポッティング材、ダイボンディング材、導電ペースト、ソルダーレジスト等として優れた性能を発揮する。

Claims (18)

  1. アミンアダクト(A)と低分子アミン化合物(B)を特定比率で含有するエポキシ樹脂用アミン系硬化剤であって、アミンアダクト(A)の重量平均分子量と数平均分子量の比として定義される分子量分布が3以下であって、低分子アミン化合物(B)の含有量がアミンアダクト(A)100質量部に対して0.001〜1質量部である上記硬化剤。
  2. 25℃で固体状である請求項1記載の上記硬化剤。
  3. 前記アミンアダクト(A)がエポキシ樹脂(a1)とアミン化合物(b1)との反応により得られる請求項1又は2記載の上記硬化剤。
  4. 前記低分子アミン化合物(B)がイミダゾール類である請求項1〜3のいずれか1項に記載の上記硬化剤。
  5. コア及びシェルを含んでなるエポキシ樹脂用マイクロカプセル型硬化剤(D)であって、該コアは請求項1〜4の硬化剤からなる群から選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂用硬化剤(C)を含んでなり、該シェルは合成樹脂又は無機酸化物を含み、該コアを被覆する上記エポキシ樹脂用マイクロカプセル型硬化剤(D)、及び
    該マイクロカプセル型硬化剤(D)100重量部に対して10〜50000重量部のエポキシ樹脂(E)
    を含んでなり、該マイクロカプセル型硬化剤(D)が該エポキシ樹脂(E)に分散されているエポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤(F)であるエポキシ樹脂組成物において、溶解度パラメーターが8.900〜12.00であり、硬化後の架橋間分子量が105〜150である高溶解性エポキシ樹脂(G)をエポキシ樹脂(E)に対して0.1重量%以上含み、該エポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤(F)の全塩素量が2000ppm以下である上記エポキシ樹脂組成物。
  6. 前記高溶解性エポキシ樹脂(G)が、該高溶解性エポキシ樹脂の基本構造成分の0.001〜30%に相当するジオール末端不純成分を有する請求項5に記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 前記エポキシ樹脂(E)の全塩素量が2000ppm以下である請求項5又は6に記載
    のエポキシ樹脂組成物。
  8. 前記エポキシ樹脂用マイクロカプセル型硬化剤(D)は、請求項1〜4の硬化剤からなる群から選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂用硬化剤(C)を含んでなるコアを、イソシアネート化合物(H)と活性水素化合物(I)の反応により得られた皮膜(c1)及び/又はエポキシ樹脂用硬化剤(C)とエポキシ樹脂(E)の反応より得られた皮膜(c2)を含んでなるシェルで被覆してなる、波数1630〜1680cm-1の赤外線を吸収する結合基(x)と波数1680〜1725cm-1の赤外線を吸収する結合基(y)を少なくとも表面に有するものである請求項5〜7のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  9. エポキシ樹脂(J)100質量部と、請求項1〜8のいずれか1項に記載の上記硬化剤または前記エポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤(F)からなる群から選ばれる少なくとも1種の硬化剤を含むアミン系硬化剤0.1〜100質量部とを、それらを加熱硬化性成分の60%以上で含有するエポキシ樹脂組成物。
  10. 前記エポキシ樹脂(E)100質量部に対して、酸無水物類、フェノール類、ヒドラジド類、及びグアニジン類からなる群から選ばれる少なくとも1種の硬化剤(K)を1〜200質量部含む請求項5〜のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  11. エポキシ樹脂用マイクロカプセル型硬化剤(D)、エポキシ樹脂(E)、及び環状ホウ酸エステル化合物(L)を含有する請求項〜10のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  12. 前記環状ホウ酸エステル化合物(L)は、2,2’−オキシビス(5,5’−ジメチル−1,3,2−オキサボリナン)である請求項11に記載のエポキシ樹脂組成物。
  13. 前記環状ホウ酸エステル化合物(L)の配合量は、前記のエポキシ樹脂(E)100質量部に対して0.001〜10質量部である請求項11又は12に記載のエポキシ樹脂組成物。
  14. 請求項〜13のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする異方導電性材料。
  15. 請求項〜13のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする接合用フィルム。
  16. 請求項〜13のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする半導体接合用ペースト。
  17. 請求項〜13のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする封止材。
  18. 請求項〜13のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする構造用接着剤。
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