JP2004269721A - マスターバッチ型硬化剤および一液性エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、流動性が高く、貯蔵安定性と低温硬化性を両立し得る一液性エポキシ樹脂組成物、およびそれを得るための低粘度のマスターバッチ型硬化剤を提供することを目的とする。
【解決の手段】アミン化合物(A)を表面処理したコアと、上記アミン化合物(A)とエポキシ樹脂(B)の反応生成物をシェルとしてなる硬化剤(I)と、上記硬化剤(I)100質量部に対して10〜50,000質量部のエポキシ樹脂(B)より構成されるマスターバッチ型硬化剤において、アミン化合物(A)がエポキシ樹脂(B)に対して熱潜在性硬化能を有する事を特徴とする一液性エポキシ樹脂組成物用マスターバッチ型硬化剤およびそれを用いた一液性エポキシ樹脂組成物。
【選択図】選択図なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な一液性エポキシ樹脂組成物およびそれを得るためのマスターバッチ型硬化剤に関する。さらに詳しくは、流動性が高く、貯蔵安定性と低温硬化性を両立し得る一液性エポキシ樹脂組成物およびそれを得るための低粘度のマスターバッチ型硬化剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂は、その硬化物が、機械的特性、電気的特性、熱的特性、耐薬品性、接着性等の点で優れた性能を有することから、塗料、電気電子用絶縁材料、接着剤等の幅広い用途に利用されている。現在一般に使用されているエポキシ樹脂組成物は、使用時にエポキシ樹脂と硬化剤の二液を混合する、いわゆる二液性のものである。
【0003】
二液性エポキシ樹脂組成物は室温で硬化しうる反面、エポキシ樹脂と硬化剤を別々に保管し、必要に応じて両者を計量、混合した後、使用する必要があるため、保管や取り扱いが煩雑である。
その上、可使用時間が限られているため、予め大量に混合しておくことができず、配合頻度が多くなり、能率の低下を免れない。
こうした二液性エポキシ樹脂配合品の問題を解決する目的で、これまでいくつかの一液性エポキシ樹脂組成物が提案されてきている。例えば、ジシアンジアミド、BF−アミン措体、アミン塩、変性イミダゾール化合物等の潜在性硬化剤をエポキシ樹脂に配合したものがある。
【0004】
しかし、これらの潜在性硬化剤は、貯蔵安定性に優れているものは、硬化温度が高く、一方、低温で硬化するものは貯蔵安定性が低く、例えば−20℃等の低温で貯蔵する必要がある。例えば、ジシアンジアミドは、配合品の貯蔵安定性は、常温保存の場合に6ヵ月以上であるが、170℃以上の硬化温度が必要であり、この硬化温度を低下させるために、硬化促進剤を併用すると、例えば130℃での硬化が可能であるが、一方、室温での貯蔵安定性が不十分であり、低温での貯蔵を余儀なくされ、低温硬化性と貯蔵安定性が共に優れる組成物が強く求められている。
【0005】
また、フィルム状成形品や、基材にエポキシ樹脂を含浸した製品を得る場合、溶剤や反応性希釈剤等を含む配合品となる場合が多く、従来の潜在性硬化剤をかかる配合品の硬化剤として用いた場合、貯蔵安定性が極端に下がり、実質的に二液性とする必要がありその改善が求められていた。
その要求に対し、粉末状アミン化合物のコアを特定なシェルで被覆した所謂マイクロカプセル型の硬化剤が提案され、低温硬化性と貯蔵安定性の両立に関して一定の成果を上げている。例えば、特開平1−70523号公報では、特定の粉末状アミン化合物をコアとし、上記アミン化合物とエポキシ樹脂の反応生成物をシェルとしてなる硬化剤と、エポキシ樹脂とからなる一液性エポキシ樹脂組成物用マスターバッチ型硬化剤が開示されている。
【0006】
しかし、ここで開示されているマスターバッチ型硬化剤は一般に高粘度のペースト状であり、作業性の向上や廃棄物の減少のために前もって加熱して粘度を下げる等の対策が必要であった。また、近年、特に電子機器分野において、回路の高密度化や接続信頼性の向上に対応するため、接続材料の一つとして用いられる一液性エポキシ樹脂組成物に対して、狭い隙間へ充填する際の高い流動性が求められ、そのためにマスターバッチ型硬化剤の低粘度化が強く求められている。
【0007】
【特許文献1】
特開平1−70523号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、流動性が高く、貯蔵安定性と低温硬化性を両立し得る一液性エポキシ樹脂組成物およびそれを得るための低粘度のマスターバッチ型硬化剤を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のアミン化合物をコアとするマスターバッチ型硬化剤が上記目的に適合しうることを見出した。この知見に基づいて、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、下記の通りである。
1)アミン化合物(A)を表面処理したコアと、上記アミン化合物(A)とエポキシ樹脂(B)の反応生成物をシェルとしてなる硬化剤(I)と、上記硬化剤(I)100質量部に対して10〜50,000質量部のエポキシ樹脂(B)より構成されるマスターバッチ型硬化剤において、アミン化合物(A)がエポキシ樹脂(B)に対して熱潜在性硬化能を有する事を特徴とする一液性エポキシ樹脂組成物用マスターバッチ型硬化剤。
2)コアがアミン化合物(A)を表面処理し、波数1630〜1680cm−1の赤外線を吸収する結合基(x)と波数1680〜1725cm−1の赤外線を吸収する結合基(y)を少なくともその表面に有する事を特徴とする上記1)記載のマスターバッチ型硬化剤。
3)アミン化合物(A)が、分子中に少なくとも1個の活性水素基と3級アミノ基を共に有する化合物と、カルボン酸化合物、スルホン酸化合物、イソシアネート化合物、尿素化合物およびエポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種との反応生成物である事を特徴とする上記1)または2)記載のマスターバッチ型硬化剤。
4) エポキシ樹脂(C)100質量部に対して、上記1)〜3)いずれか1項に記載のマスターバッチ型硬化剤0.1〜1000質量部を含有し、それらを主成分とする事を特徴とする一液性エポキシ樹脂組成物。
5) エポキシ樹脂(C)100質量部に対して酸無水物類、フェノール類、ヒドラジド類、およびグアニジン類よりなる群より選ばれる少なくとも1種の硬化剤(D)を1〜200質量部、上記1)〜3)いずれか1項記載のマスターバッチ型硬化剤0.1〜200質量部を含有し、それらを主成分とする事を特徴とする一液性エポキシ樹脂組成物。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明を更に詳しく述べる。
本発明のマスターバッチ型硬化剤は、硬化剤(I)とエポキシ樹脂(B)が一定の比率で混合されているものである。
まず、硬化剤(I)の説明を行なう。
硬化剤(I)は、アミン化合物(A)を表面処理したコアと、このアミン化合物(A)とエポキシ樹脂(B)の反応生成物からなるシェルから構成されている。
【0011】
本発明に用いられるアミン化合物(A)はエポキシ樹脂(B)に対して熱潜在性硬化能を有する。ここで熱潜在性硬化能を有するとは、アミン化合物(A)とエポキシ樹脂(B)を混合した組成物の架橋反応における見かけの活性化エネルギーが、貯蔵温度での値の方が硬化温度での値よりも大きい事として定義され、現象的には、貯蔵温度では長期未反応のまま安定に存在するが、比較的低温の加熱により速やかに反応が進行する性質のことである。具体的には、アミン化合物(A)とエポキシ樹脂(B)の質量比1:5で混合した組成物を40℃で1週間貯蔵したときの粘度が、貯蔵前粘度の5倍以下であり(以下、潜在性粘度倍数と称す)かつ、30分以内にゲル化する温度(以下、潜在性ゲル化温度と称す)が120℃以下である性質のことである。熱潜在性硬化能として好ましくは、潜在性粘度倍数が3倍以下、潜在性ゲル化温度が110℃以下、更に好ましくは潜在性粘度倍数が2倍以下、潜在性ゲル化温度が100℃以下である。
【0012】
アミン化合物(A)がエポキシ樹脂(B)に対して熱潜在性硬化能を有することにより、硬化剤(I)のシェル形成反応をコアの表層で進行させることができ、マスターバッチ型硬化剤中のエポキシ樹脂(B)を増粘させないため、低粘度で、作業性に優れたマスターバッチ型硬化剤が得られる。
特開平1−70523号公報等の従来技術においては、当該公報の比較例1、比較例2(それぞれ実施例1、実施例2に用いられるアミン化合物(A)自身のエポキシ樹脂(B)への熱潜在性硬化能が評価されている。)に記載されている様に、そこで用いられるアミン化合物(A)は、エポキシ樹脂(B)に対して熱潜在性硬化能を有さない。その場合、得られるマスターバッチ型硬化剤は、当該公報の実施例1に記載されている様に、高粘度となる。
【0013】
本発明で用いられるアミン化合物(A)は、エポキシ樹脂(B)に対して熱潜在性硬化能を有する物であれば特に制限なく用いることができ、選択するエポキシ樹脂(B)によって使用できるアミン化合物(A)は異なる。
まず、アミン化合物(A)を例示する。
アミン化合物(A)としては、1級、2級およびまたは3級アミノ基を有するアミン系化合物が挙げられる。
【0014】
1級アミノ基を有するアミン系化合物としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3メチルジンクロヘキシル)メタン、ジアミノジンクロヘキシルメタン、メタキシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、メタフェニレンジアミン等が例示される。
【0015】
2級アミノ基を有するアミン系化合物としては、ピペリジン、ピロリジン、ジフェニルアミン、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物や、分子中に1級アミノ基を有するアミン化合物とフェニルグリシジルエーテル等のエポキシ化合物との反応生成物が例示される。
3級アミノ基を有するアミン系化合物としては、以下のものを挙げることができる。
【0016】
(1)1−シアノエチル−2−ウンデシル−イミダゾール−トリメリテート、イミダゾリルコハク酸、2−メチルイミダゾールコハク酸、2−エチルイミダゾールコハク酸、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類や、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N’−ジメチルピペラジン、ピリジン、ピコリン等の低分子アミン類。
【0017】
(2)分子中に一個以上の1級アミノ基を有する化合物および/または2級アミノ基を有する化合物と、エポキシ化合物との反応生成物(A−1)。
(3)少なくとも1個の活性水素基と3級アミノ基を共に有する化合物と、カルボン酸化合物、スルホン酸化合物、イソシアネート化合物、尿素化合物およびエポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種との反応生成物(A−2)。
【0018】
次に、反応生成物(A−1)の原料について説明する。
1分子中に1個以上の1級アミノ基を有する化合物としては、脂肪族第一アミン、脂環式第一アミン、芳香族第一アミンのいずれを用いてもよい。脂肪族第一アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、エタノールアミン、プロパノールアミン等を挙げることができる。脂環式第一アミンとしては、例えばシクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン等を挙げることができる。芳香族第一アミンとしては、例えば、アニリン、トルイジン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等を挙げることができる。1分子中に1個以上の2級アミノ基を有する化合物としては、脂肪族第二アミン、脂環式第二アミン、芳香族第二アミン等のいずれを用いてもよい。脂肪族第二アミンとしては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン等を挙げることができる。脂環式第二アミンとしては、例えば、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルピペラジン等を挙げることができる。芳香族第二アミンとしては、例えば、ジフェニルアミン、フェニルメチルアミン、フェニルエチルアミン等を挙げることができる。
【0019】
反応生成物(A−1)の原料であるエポキシ化合物としては、モノエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、多価エポキシ化合物のいずれか又はそれらの混合物が用いられる。モノエポキシ化合物としては、ブチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、パラ−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、パラキシリルグリシジルエーテル、グリシジルアセテート、グリシジルブチレート、グリシジルヘキソエート、グリシジルベンゾエート等を挙げることができる。
【0020】
ジエポキシ化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、カテコール、レゾルシンテトラブロモビスフェノールA、ナフタレン型、ポリオキシアルキレン型等の二価のフェノール化合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオぺンチルグリコール等の二価アルコール化合物、p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸等とエピクロルヒドリンを反応させて得られるジグリシジル化合物。3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート等の脂環式エポキシ化合物を挙げることができる。多価エポキシ化合物としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等を用いることができる。
【0021】
次に、反応生成物(A−2)の原料について説明する。
分子中に少なくとも1個の活性水素基と3級アミノ基を共に有する化合物において活性水素基としては1級アミノ基、2級アミノ基、水酸基、チオール基、カルボン酸、ヒドラジド基が例示される。分子中に少なくとも1個の活性水素基と3級アミノ基を共に有する化合物としては、例えば、2−ジメチルアミノエタノール、1−メチル−2−ジメチルアミノエタノール、1−フェノキシメチル−2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−ブトキシメチル−2−ジメチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−β−ヒドロキシエチルモルホリン等のアミノアルコール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等のアミノフェノール類、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−フェニルイミダゾリン、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾリン、2−メチルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、2−エチルイミダゾリン、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、2−ベンジルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−(o−トリル)−イミダゾリン、テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,1,3−トリメチル−1,4―テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,3,3−トリメチル−1,4―テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,1,3−トリメチル−1,4―テトラメチレン−ビス−4−メチルイミダゾリン、1,3,3−トリメチル−1,4―テトラメチレン−ビス−4−メチルイミダゾリン、1,2−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,3−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,4−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,4−フェニレン−ビス−4−メチルイミダゾリン等のイミダゾリン類、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジプロピルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、ジプロピルアミノエチルアミン、ジブチルアミノエチルアミン、N−アミノエチルピペラジン、ジエチルアミノエチルピペラジン等の3級アミノアルキルアミン類、2−ジメチルアミノエタンチオール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトピリジン、4−メルカプトピリジン等のアミノメルカプタン類、N,N−ジメチルアミノ安息香酸、N,N−ジメチルグリシン、ニコチン酸、イソニコチン酸、ピコリン酸等のアミノカルボン酸類、N,N−ジメチルグリシンヒドラジド、ニコチン酸ヒドラジド、イソニコチン酸ヒドラジド等のアミノヒドラジド類を挙げることができる。
【0022】
更に、反応生成物(A−1)も水酸基と3級アミノ基を有する化合物として反応生成物(A−2)の原料として使用できる。
反応生成物(A−2)の原料として、分子中に少なくとも1個の活性水素基と3級アミノ基を共に有する化合物と反応する化合物を下記に示す。
カルボン酸化合物としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、ダイマー酸等が挙げられる。
スルホン酸化合物としては、例えば、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。
【0023】
イソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、脂肪族トリイソシアネート、ポリイソシアネートを挙げることができる。脂肪族ジイソシアネートの例としては、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。脂環式ジイソシアネートの例としては、イソホロンジイソシアネート、4−4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、1,4−イソシアナトシクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、1,3−ビス(2−イソシアナトプロピル−2イル)−シクロヘキサン等を挙げることができる。芳香族ジイソシアネートの例としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等を挙げることができる。脂肪族トリイソシアネートの例としては、1,3,6−トリイソシアネートメチルヘキサン、リジントリイソシアネート等を挙げることができる。ポリイソシアネートとしては、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートや上記ジイソシアネート化合物より誘導されるポリイソシアネートが例示される。上記ジイソシアネートより誘導されるポリイソシアネートとしては、イソシアヌレート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート、ウレタン型ポリイソシアネート、アロハネート型ポリイソシアネート、カルボジイミド型ポリイソシアネート等がある。
【0024】
尿素化合物としては、例えば、尿素、メチル尿素、ジメチル尿素、エチル尿素、t−ブチル尿素等が挙げられる。
エポキシ化合物としては、反応生成物(A−1)の原料として例示したエポキシ化合物が挙げられる。
反応生成物(A−2)を得るときに第3成分として1分子内に活性水素を2個以上有する化合物を併用することができる。1分子内に活性水素を2個以上有する化合物としては、特に制限はないが例えば、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、エタノールアミン、メタキシレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、フェニレンジアミン、トルイレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ピペラジン、ベンジルアミン、シクロヘキシルアミン等のアミン類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、フェノールノボラック樹脂等の多価フェノール類、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、アジピン酸、フタル酸等の多価カルボン酸類、1,2−ジメルカプトエタン、2−メルカプトエタノール、1−メルカプト−3−フェノキシ−2−プロパノール、メルカプト酢酸、アントラニル酸、乳酸等を挙げることができる。これらは併用しても良い。
【0025】
更に反応生成物(A−2)は、分子中に一個以上の1級アミノ基を有する化合物および/または2級アミノ基を有する化合物を第3成分として併用することができる。その例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、シクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン、アニリン、トルイジン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の分子中に一個以上の1級アミノ基を有する化合物、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルピペラジン、ジフェニルアミン、フェニルメチルアミン、フェニルエチルアミンの等の2級アミノ基を有する化合物を挙げることができる。
【0026】
反応生成物(A−1)あるいは反応生成物(A−2)は、例えば、原料を一括あるいは分割して混合し、必要に応じ溶剤の存在下、通常、40〜250℃の温度範囲で0.1〜24時間に反応が行われ、必要に応じ未反応の原料と溶剤を除去することにより得ることができる。
原料の比率は、反応生成物(A−1)を得る場合は、分子中に一個以上の1級アミノ基を有する化合物および/または2級アミノ基を有する化合物中の1級アミノ基および2級アミノ基とエポキシ化合物中のエポキシ基の比率が当量比で1/5〜5/1の範囲が好ましい。反応生成物(A−2)を得る場合は、少なくとも1個の活性水素基と3級アミノ基を共に有する化合物中の活性水素基と、カルボン酸化合物、スルホン酸化合物、イソシアネート化合物、尿素化合物および/またはエポキシ化合物中の、カルボン酸、スルホン酸、イソシアネート基、尿素基およびエポキシ基合計との比率が当量比で1/5〜5/1の範囲が好ましい。
【0027】
ここで必要に応じ用いられる溶剤としては、特別に制限するものではないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ミネラルスピリット、ナフサ等の炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエチルエーテルアセテート等のエステル類、メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール等のアルコール類、水、等であり、これらの溶剤は併用しても良い。
【0028】
本発明に用いられるアミン化合物(A)として好ましいのは、3級アミノ基を有するアミン系化合物であり、更に好ましくは反応生成物(A−2)である。一層好ましくは、分子中に少なくとも1個の活性水素基と3級アミノ基を共に有する化合物が水酸基と3級アミノ基を有する化合物である反応性成物(A−2)、および/または分子中に少なくとも1個の活性水素基と3級アミノ基を共に有する化合物と反応する化合物が尿素化合物である反応性成物(A−2)である。
【0029】
アミン化合物(A)の形態としては液状、塊状、顆粒状、粉末状、などが挙げられるが、好ましくは顆粒状または粉末状であり、さらに好ましくは粉末状である。本願において粉末状とは、特別に制限するものではないが、0.1〜50μmの平均粒径が好ましく、さらにこのましくは0.5〜10μmの平均粒径である。50μm以下にすることで、均質な硬化物を得ることができる。また、その形状は特に制限は無く、球状、不定形いずれでも良く、マスターバッチあるいは一液性エポキシ樹脂組成物の低粘度化のためには、球状が好ましい。ここで球状とは真球は勿論の事、不定形の角が丸みを帯びた形状をも包含する。
【0030】
本発明でいう粒径とは、光散乱法で測定されるストークス径を指すものである。また平均粒径は、メディアン径を指すものである。
本発明に使用されるアミン化合物(A)としては、固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化剤として市販されている化合物が好ましく使用できる。その代表的な例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
例えば、「アミキュア PN−23」(味の素ファインテクノ(株)商品名)、「アミキュア PN−H」(味の素ファインテクノ(株)商品 名)、「アミキュア MY−24」(味の素(株)商品 名)、「ハードナー H−3615S」(旭電化(株)商品名)、「ハードナーH−3293S」(旭電化(株)商品名)、[Ancamine2014AS」(パシフィックアンカーケミカル商品名)、[Ancamine2014FG」(パシフィックアンカーケミカル商品名)等が挙げられ、また尿素型アダクトとしては、「フジキュア FXE−1000」(富士化成(株)商品名)、「フジキュア FXR−1080」(富士化成(株)商品名)等が挙げられる。
【0031】
硬化剤(I)はアミン化合物(A)を表面処理したコアをシェルが覆っている。表面処理方法としては、特に制限はないが、イソシアネート化合物等により処理する方法が好ましく、硬化剤(I)のコア成分は1630〜1680cm−1および1680〜1725cm−1の赤外線を吸収する結合基(x)および結合基(y)をアミン化合物(A)の少なくとも表面に有することが好ましい。
アミン化合物(A)の少なくとも表面にある結合基(x)および結合基(y)は、フーリエ変換式赤外分光光度計を用いて測定することができる。また、結合基(x)と結合基(y)がアミン化合物(A)の少なくとも表面に有することは、顕微FT−IRを用いて測定することができる。1630〜1680cm−1の吸収を有する結合基(x)のうち、特に好ましいものとして、ウレア結合を挙げることができる。1680〜1725cm−1の吸収を有する結合基(y)のうち、特に好ましいものとして、ビュレット結合を挙げることができる。
【0032】
このウレア結合、ビュレット結合はイソシアネート化合物と水または1分子中に1個以上の1級アミノ基を有するアミン化合物との反応により生成される。結合基(x)の代表であるウレア結合、及び(y)の代表であるビュレット結合を生成するために用いられるイソシアネート化合物としては、1分子中に1個以上のイソシアネート基を有する化合物であればよいが、好ましくは1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物を用いることである。代表的なイソシアネート化合物としては、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、脂肪族トリイソシアネート、ポリイソシアネートを挙げることができる。脂肪族ジイソシアネートの例としては、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。脂環式ジイソシアネートの例としては、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、1,4−イソシアナトシクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、1,3−ビス(2−イソシアナトプロピル−2イル)−シクロヘキサン等を挙げることができる。芳香族ジイソシアネートの例としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等を挙げることができる。脂肪族トリイソシアネートの例としては、1,3,6−トリイソシアネートメチルヘキサン、リジントリイソシアネート等を挙げることができる。ポリイソシアネートとしては、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートや上記ジイソシアネート化合物より誘導されるポリイソシアネートが例示される。上記ジイソシアネートより誘導されるポリイソシアネートとしては、イソシアヌレート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート、ウレタン型ポリイソシアネート、アロハネート型ポリイソシアネート、カルボジイミド型ポリイソシアネート等がある。
【0033】
結合基(x)および(y)の代表であるウレア結合またはビュレット結合を生成させるための1分子中に1個以上の1級アミノ基を有するアミン化合物としては、脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族アミンを使用することができる。脂肪族アミンの例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等のアルキルアミン。エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン。ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアルキレンポリアミン等を挙げることができる。脂環式アミンの例としては、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン等を挙げることができる。芳香族アミンとしては、アニリン、トルイジン、べンジルアミン、ナフチルアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等を挙げることができる。
【0034】
アミン化合物(A)において、結合基(x)および結合基(y)は、アミン化合物(A)に対して、それぞれ1〜1000meq/kgおよび1〜1000meq/kgの範囲の濃度を有していることが好ましい。結合基(x)の濃度が1meq/kg以上で、機械的剪断力に対して充分な強度を有するシェルが形成でき、安定性の高い組成物が得ることができる。また、1000meq/kg以下で、高い硬化性が得られる。さらに好ましい結合基(x)の濃度範囲は10〜300meq/kgである。
【0035】
結合基(y)の濃度が1meq/kg以上で機械的剪断力に対して充分な強度を有するシェルが形成でき、安定性の高い組成物が得ることができる。また、1000meq/kg以下で高い硬化性が得られる。さらに好ましい結合基(y)の範囲は10〜200meq/kgである。
本発明に用いられる硬化剤(I)のコアとして好ましいのは、結合基(x)および結合基(y)の他に、波数が1730〜1755cm−1の赤外線を吸収する結合基(z)がアミン化合物(A)の少なくとも表面に有することである。この結合基(z)のうち、特に好ましいものは、ウレタン結合等である。このウレタン結合は、イソシアネート化合物と1分子中に1個以上の水酸基を有する化合物との反応により生成される。結合基(z)の代表であるウレタン結合を生成するために用いられる1分子中に1個以上の水酸基を有する化合物としては、脂肪族飽和アルコール、脂肪族不飽和アルコール、脂肪式アルコール、芳香族アルコール等のアルコール化合物、フェノール化合物を用いることができる。脂肪族アルコールとしては、メチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、ドテシルアルコール、ステアリルアルコール、エイコシルアルコール等のモノアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類を挙げることができる。その他エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の二価アルコール類、グリセリン、トリメチロール、プロパン等の三価アルコール類、ペンタエリスリトール等の四価アルコール類を挙げることができる。脂肪族不飽和アルコールとしては、アリルアルコール、クロチルアルコール、プロパルギルアルコール等を挙げることができる。脂環式アルコールとしては、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、等を挙げることができる。芳香族アルコールとしては、べンジルアルコール、シンナミルアルコール等のモノアルコール類を挙げることができる。これらのアルコールにおいては、第一、第二、または第三アルコールのいずれでもよい。また、1分子中に1個以上のエポキシ基を有する化合物と、1分子中に1個以上の水酸基、カルボキシル基、1級または2級アミノ基、メルカプト基を有する化合物との反応により得られる2級水酸基を1分子中に1個以上有する化合物もアルコール化合物として用いることができる。フェノール化合物としては、石炭酸、クレゾール、キシレノール、カルバクロール、モチール、ナフトール等の一価フェノール、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF等の二価フェノール、ピロガロール、フロログルシン等の三価フェノールを挙げることができる。これら1分子中に1個以上の水酸基を有する化合物として好ましいのは、二価以上の水酸基を有するアルコール化合物またはフェノール化合物である。
【0036】
アミン化合物(A)の少なくとも表面に有する結合基(z)の好ましい濃度範囲は、アミン化合物(A)に対して、1〜200meq/kgである。結合基(z)の濃度が1meq/kg以上で機械的剪断力に対して充分な強度を有するシェルが形成でき、200meq/kg以下で高い硬化性が得られる。さらに好ましい結合基(z)の濃度範囲は、5〜100meq/kgである。
また結合基(x)と結合基(y)の濃度の合計に対する結合基(z)の濃度比が0.05〜10までの範囲が好ましい。濃度比が0.05〜10の範囲で、粉末状硬化剤(A)は適度な凝集力を有し、貯蔵安定性と硬化性の両立に有効に働く。結合基(x)および結合基(y)の濃度の定量は、特開平1−70523号公報に開示された方法で行なうことができる。
【0037】
本発明のマスターバッチ型硬化剤の1成分である硬化剤(I)は、アミン化合物(A)とエポキシ樹脂(B)の反応生成物からなるシェルで被覆されている。
エポキシ樹脂(B)に対して熱潜在性硬化能を有するアミン化合物(A)を更にシェルで被覆することは、一見無意味な事と思われ従来検討されることがなかったが、熱潜在性硬化能が、一液性エポキシ樹脂組成物の配合組成に大きく依存することを見出し本発明に至った。即ち、アミン化合物(A)を更にシェルで被覆することで、例えば、溶剤や反応性希釈剤が配合された組成物においても、高い熱潜在性硬化能を発現することができる。
【0038】
本発明で用いられるエポキシ樹脂(B)としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、テトラフルオロビスフェノールA等のビスフェノール類をグリシジル化したビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のその他の2価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4−(1−(4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール等のトリスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、1,1,2,2,−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のテトラキスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、臭素化フェノールノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック等のノボラック類をグリシジル化したノボラック型エポキシ樹脂、グリセリンやポリエチレングリコール等の多価アルコールをグリシジル化した脂肪族エーテル型エポキシ樹脂、p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸をグリシジル化したエーテルエステル型エポキシ樹脂、フタル酸、テレフタル酸のようなポリカルボン酸をグリシジル化したエステル型エポキシ樹脂、4,4−ジアミノジフェニルメタンやm−アミノフェノール等のアミン化合物のグリシジル化物やトリグリシジルイソシアヌレート等のアミン型エポキシ樹脂、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環族エポキサイド等が例示される。
【0039】
これらエポキシ樹脂は単独で使用しても併用しても良い。好ましいエポキシ樹脂(B)としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂であり、より好ましくは、ビスフェノールAのグリシジルエーテルである。
本発明のアミン化合物(A)とエポキシ樹脂(B)との好ましい組み合わせの例としては、例えば、エポキシ樹脂(B)がビスフェノール型エポキシ樹脂であり、アミン化合物(A)が反応生成物(A−2)である組み合わせが例示される。
【0040】
本発明のマスターバッチ型硬化剤を製造する方法として、例えばエポキシ樹脂(B)中にアミン化合物(A)を予め分散させておき、これにイソシアネート化合物を添加し、水の存在下でアミン化合物(A)の表面処理を行ない、その後シェル形成反応を行なう方法を挙げることができる。本法は生産性が高くマスターバッチ型硬化剤を製造する方法として特に好ましい。
本発明のマスターバッチ型硬化剤を製造する他の方法としては、例えばアミン化合物(A)の表面にまずイソシアネート化合物を水の存在下に反応させて、結合基(x)、(y)を有する皮膜、あるいは結合基(x)、(y)、(z)を有する皮膜を形成させて表面処理したアミン化合物(A)を製造後、それをエポキシ樹脂(B)中に分散させ、アミン化合物(A)とエポキシ樹脂(B)によりシェル形成反応を行ない、緻密なシェルを形成する方法が例示される。
【0041】
シェル形成反応は、−50℃〜100℃の範囲で行なうのが好ましい。−50℃〜100℃の範囲でシェル形成反応を行なうことにより、生産効率上可能な時間内に、マスターバッチ型硬化剤の極端な粘度上昇やゲル化を起こすことなく、緻密なシェルを形成することができ、高い硬化性と貯蔵安定性を両立できるマスターバッチ型硬化剤を製造することができる。
アミン化合物(A)を表面処理したコア中の結合基(x)、(y)、(z)の濃度調節は(1)3級アミノ基を有するアミン化合物(A)に対する水分量、(2)3級アミノ基を有するアミン化合物(A)に対するイソシアネート化合物量及びイソシアネートの種類を変えることによって行なうことができる。エポキシ樹脂(B)中にアミン化合物(A)を予め分散させるには、三本ロール等の機械的剪断力を加えながら混合することが好ましい。エポキシ樹脂(B)は前記のエポキシ樹脂(B)の中からえらばれるものである。アミン化合物(A)からなるコアの表面を覆うシェル厚みは、平均層厚で5〜1000nmが好ましい。5nm以上で貯蔵安定性が得られ、1000nm以下で、実用的な硬化性が得られる。ここでいう層の厚みは、透過型電子顕微鏡により観察される。特に好ましいシェルの厚みは、平均層厚で10〜100nmである。
【0042】
本発明のマスターバッチ型硬化剤の1成分であるエポキシ樹脂(B)は、アミン化合物(A)を表面処理するための媒体としての役割を有しているが、さらにエポキシ樹脂(B)の一部がアミン化合物(A)と反応してシェルを形成し、硬化剤としての貯蔵安定性を発現させるという重要な役割を果たしている。
本発明で使用するアミン化合物(A)とエポキシ樹脂(B)との質量比率は1/0.1〜1/500の範囲である。
1/0.1以上で、アミン化合物(A)はエポキシ樹脂(B)中に分散できる。1/500以下で、硬化剤としての性能を発揮する。好ましくは1/1〜1/5である。
【0043】
本発明のマスターバッチ型硬化剤は室温で液状又はペースト状が好ましい。より好ましくは、25℃での粘度が50万mPa・s以下、更に好ましくは、1000〜30万mPa・s、一層好ましくは3000〜20万mPa・sである。
粘度が50万mPa・s以下で作業性が高く、容器への付着量を下げて廃棄物の低減が可能である。
また、硬化剤(I)とエポキシ樹脂(B)の質量比率を1/2に調整したときの25℃での粘度は、20万mPa・s以下が好ましく、更に好ましくは1000〜15万mPa・s、一層好ましくは2000〜10万mPa・s、更に一層好ましくは、3000〜7万mPa・sである。20万mPa・s以下で、流動性が高く、狭部への進入性の高い一液性エポキシ樹脂組成物が得られる。
【0044】
本発明のマスターバッチ型硬化剤は硬化剤(I)とエポキシ樹脂(B)より構成されるが、その機能を低下させない範囲で、その他の成分を含有することができる。その他の成分の含有量は、好ましくは30質量%未満である。
エポキシ樹脂に本発明のマスターバッチ型硬化剤を均一に混合して配合品を得るためには、特別の装置を必要とせず十分に攪拌するだけでよい。また三本ロールなどの機械的剪断力を加えながら混合してもよい。
【0045】
本発明の一液性エポキシ樹脂組成物に用いられるエポキシ樹脂(C)は、平均して1分子当たり2個以上のエポキシ基を有するものであればよい。
例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、テトラフルオロビスフェノールA等のビスフェノール類をグリシジル化したビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のその他の2価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4−(1−(4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール等のトリスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、1,1,2,2,−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のテトラキスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、臭素化フェノールノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック等のノボラック類をグリシジル化したノボラック型エポキシ樹脂、グリセリンやポリエチレングリコールのような多価アルコールをグリシジル化した脂肪族エーテル型エポキシ樹脂、p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸のようなヒドロキシカルボン酸をグリシジル化したエーテルエステル型エポキシ樹脂、フタル酸、テレフタル酸のようなポリカルボン酸をグリシジル化したエステル型エポキシ樹脂、4,4−ジアミノジフェニルメタンやm−アミノフェノール等のアミン化合物のグリシジル化物やトリグリシジルイソシアヌレート等のアミン型エポキシ樹脂、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環族エポキサイド等が例示される。
【0046】
また、本発明に用いられるエポキシ樹脂(C)は、エポキシ樹脂の高分子量体で、自己成膜性を有する一般にフェノキシ樹脂と呼ばれる樹脂をも包含される。
本発明のマスターバッチ型硬化剤とエポキシ樹脂(C)の混合比は、硬化性、硬化物の特性の面から決定されるものであるが、好ましくはエポキシ樹脂(C)100質量部に対して、マスターバッチ型硬化剤0.1〜1000質量部を用いればよい。より好ましくは、0.2〜500質量部、更に好ましくは、0.5〜200質量部である。0.1質量部以上で実用的に満足し得る硬化性能を得ることができ、1000質量部以下で、粉末状アミン硬化剤が偏在することなく、バランスの良い硬化性能を有する硬化剤を与える。
【0047】
本発明の一液性エポキシ樹脂組成物は、本発明のマスターバッチ型硬化剤以外に硬化剤(D)を併用する事ができる。併用する硬化剤(D)としては、例えば、ジシアンジアミド、メチルグアニジン、エチルグアニジン、プロピルグアニジン、ブチルグアニジン、ジメチルグアニジン、トリメチルグアニジン、フェニルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トルイルグアニジン等のグアニジン類、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドテレフタル酸ジヒドラジド、p−オキシ安息香酸ヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、フェニルアミノプロピオン酸ヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド等の酸ヒドラジド類、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、ジアミノトルエン、ジアミノキシレン、ジアミノジフェニルアミン、ジアミノビフェニル、ビス(3−クロール−4−アミノフェニル)メタン、ジアミノ安息香酸などの芳香族アミン類、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水−3−クロロフタル酸、無水−4−クロロフタル酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水コハク酸、無水メチルコハク酸、無水ジメチルコハク酸、無水ジクロールコハク酸、メチルナジック酸、ドテシルコハク酸、無水クロレンデックク酸、無水マレイン酸等の酸無水物類、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック等のフェノール類等が例示される。
【0048】
硬化剤(D)として好ましいのは、グアニジン類および酸無水物類である。さらに好ましくは、ジシアンジアミド、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水メチルナジック酸である。
硬化剤(D)を使用する場合、エポキシ樹脂(C)100質量部に対して、硬化剤(D)を1〜200質量部、本発明のマスターバッチ型硬化剤を0.1〜200質量部用いるのが好ましい。
この範囲で用いる事で硬化性と貯蔵安定性に優れた組成物を与え、耐熱性、耐水性に優れた硬化物を得ることができる。
【0049】
本発明のマスターバッチ型硬化剤を用いて一液性エポキシ樹脂組成物を製造する場合には、所望によって、増量剤、補強材、充填材、顔料、有機溶剤、反応性希釈剤、非反応性希釈剤、変性エポキシ樹脂、カップリング剤等を添加することができる。充填剤の例としては、例えば、コールタール、ガラス繊維、アスベスト繊維、ほう素繊維、炭素繊維、セルロース、ポリエチレン粉、ポリプロピレン粉、石英紛、鉱物性けい酸塩、雲母、アスベスト粉、スレート粉、カオリン、酸化アルミニュウム三水和物、水酸化アルミニュウム、チョーク粉、石こう、炭酸カルシュウム、三酸化アンチモン、ペントン、シリカ、エアロゾル、リトポン、バライト、二酸化チタン、カーボンブラック、グラファイト、酸化鉄、金、アルミニュウム粉、鉄粉等を挙げることができ、これらはいずれもその用途に応じて有効に用いられる。有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。反応性希釈剤としては、例えば、ブチルグリシジルエーテル、N,N’−グリシジル−o−トルイジン、フェニルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等が挙げられる。非反応性希釈剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルアジベート、石油系溶剤等が挙げられる。変性エポキシ樹脂としては、例えば、ウレタン変性エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、アルキッド変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0050】
本発明の一液性エポキシ樹脂組成物は、本発明のマスターバッチ型硬化剤とエポキシ樹脂(C)および必要に応じ硬化剤(D)が主成分である。本発明の一液性エポキシ樹脂組成物は加熱により硬化することで所望の性能が発現されるが、ここで言う主成分とは、加熱による硬化反応の主体をなす成分である事を意味し、加熱硬化性成分の60%以上である事が好ましい。更に好ましくは70%以上である。
一液性エポキシ樹脂組成物の内、硬化に関与しない成分としては、例えば、増量剤、補強材、充填材、顔料、有機溶剤等が挙げられるが、これらの成分は一液性エポキシ樹脂組成物全体に対して0〜90質量%の範囲で使用されるのが好ましい。
【0051】
本発明の一液性エポキシ樹脂組成物は、接着剤、封止材、充填材料、絶縁材料、導電材料、異方導電材料、シール材料、プリプレグ等として有用である。接着剤としては、液状接着剤やフィルム状接着剤、ダイボンディング材等として有用である。封止材としては、固形封止材や液状封止材、フィルム状封止材等として有用であり、液状封止材としては、アンダーフィル材、ポッティング材、ダム材等として有用である。絶縁材料としては、絶縁接着フィルム、絶縁接着ペースト、ソルダーレジスト等として、導電材料としては導電フィルム、導電ペースト等として、異方導電材料としては、異方導電性フィルム、異方導電性ペースト等として有用である。
【0052】
導電材料や異方導電材料として用いる場合は、本発明の一液性エポキシ樹脂組成物に導電粒子を分散させて用いられる。導電粒子としては半田粒子、ニッケル粒子、銅と銀の傾斜粒子等の金属粒子や例えば、架橋ポリスチレンやエポキシ樹脂等の樹脂粒子に金、ニッケル、銀、銅、半田などの導電性薄膜で被覆を施した粒子等が使用される。一般に導電粒子は1〜20μm程度の球形の微粒子である。フィルムにする場合は、一液性エポキシ樹脂組成物に溶剤を配合し、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン等の基材に塗布後溶剤を乾燥させる方法等がある。
絶縁材料や封止材として用いる場合は、本発明の一液性組成物に、シリカ等のフィラーを充填剤として添加する。フィルムにする場合は、一液性エポキシ樹脂組成物に溶剤を配合し、ポリエステル等の基材に塗布後溶剤を乾燥させる方法等がある。
【0053】
【実施例】
本発明を実施例に基づき、更に詳しく説明するが本発明の技術範囲およびその実施態様はこれらに限定されるものではない。実施例及び比較例中の「部」または「%」は特記しない限り質量基準である。
以下に述べる手法により、本実施例および比較例に係る樹脂およびその硬化物の物性評価試験を行った。
【0054】
(1)エポキシ当量
1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量(g)であり、JIS K−7236に準拠して求めた。
(2)ゲルタイム
(株)テイ・エスエンジニアリング社製のキュラストメーターVを使用し熱板上のストロークキュア法により求めた。
【0055】
(3)粘度
25℃でBM型粘度計を使用して測定した。
(4)FT−IR測定
日本分光(株)社製FT/IR−660Plusを使用し吸光度を測定した。
(5)潜在性粘度倍数
アミン化合物(A)とエポキシ樹脂(B)の質量比1:5で混合した組成物を40℃で1週間貯蔵したときの粘度の貯蔵前粘度に対する倍数を測定し、粘度の倍数が2倍以下を◎、2倍を超え3倍以下を○、3倍を超え5倍以下を△、5倍を超える場合を×とした。また、貯蔵途中でゲル化した場合を××とした。
【0056】
(6)潜在性ゲル化温度
アミン化合物(A)とエポキシ樹脂(B)の質量比1:5で混合した組成物のゲルタイムを測定し、ゲルタイムが30分未満となる温度が100℃以下を◎、100℃を超えて110℃以下を○、110℃を超えて120℃以下を△、120℃超える場合を×とした。
(7)一液性エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性
一液性エポキシ樹脂組成物を40℃で1週間貯蔵したときの粘度を測定し、貯蔵前粘度に対する倍数で貯蔵安定性を評価した。
粘度の倍数が2倍以下を◎、2倍を超え3倍以下を○、3倍を超え5倍以下を△、5倍を超える場合を×とした。また、貯蔵途中でゲル化した場合を××とした。
【0057】
(8)一液性エポキシ樹脂組成物の硬化性
一液性エポキシ樹脂組成物のゲルタイムを測定し、ゲルタイムが30分未満となる温度が100℃以下の場合を○、100℃を超えて130℃以下の場合を△、130℃超える場合を×とした。
(9)一液性エポキシ樹脂組成物の流動性
ステンレス製の板の上に幅1cmのステンレス製の板を、クリアランスが10μmとなる様にスペーサー入れて挟み、それを50℃に加熱した。クリアランスの一端に一液性エポキシ樹脂組成物を滴下し、1cm離れた他端まで組成物が到達するかどうかで流動性を評価した。到達した物を○、到達しなかった物を×とした。
【0058】
[製造例1]
(アミン化合物(A)の製造)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185g/当量:以下エポキシ樹脂b−1と称す)2当量と、o−ジメチルアミノメチルフェノール0.66モルおよびジメチルアミン0.33モルを、メタノールとトルエンの1/1混合溶媒中(樹脂分50%)80℃で8時間反応させた後、溶媒を減圧下180℃で留去することによって、固体状化合物を得た。これを粉砕して、平均粒径2.5μmのアミン化合物a−1を得た。
【0059】
[製造例2]
(アミン化合物(A)の製造)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量189g/当量:以下エポキシ樹脂b−2と称す)1モルと1、3−ビスアミノメチルシクロヘキサン1.5モルおよびメタキシレンジアミン1.5モルを120℃で2時間反応させた。これに、ジメチルアミノプロピルアミン1.5モル、シクロヘキシルアミン0.5モル及び尿素3.5モルを加え、200℃で2時間反応させて、固体状化合物を得た。これを粉砕して、平均粒径2μmのアミン化合物a−2を得た。
【0060】
[製造例3]
(アミン化合物(A)の製造)
エポキシ樹脂b−1を1モルと2−メチルイミダゾール1.5モルを、180℃で2時間反応させて、固体状化合物を得た。これを粉砕して、平均粒径2μmのアミン化合物a−3を得た。
【0061】
[実施例1]
攪拌器、温度検出器を備えた1リットルのセパラブルフラスコ中で、エポキシ樹脂b−2を200部とアミン化合物a−1を100部、さらに水1部を加えて均一に混合したのち、トリレンジイソシアネート(TDIと称す)11部を加えて、40℃で攪拌しながら2時間反応を続けたところ、TDIの99%以上が反応した。その後シェル形成反応を50℃で8時間行ない、マスターバッチ型硬化剤H−1を得た。得られたマスターバッチ型硬化剤の粘度を測定した。結果を表1に示す。またエポキシ樹脂b−2に対するアミン化合物a−1の熱潜在性硬化能の評価として潜在性粘度倍数と潜在性ゲル化温度を測定した。結果を表1に示す。
【0062】
マスターバッチ型硬化剤H−1からキシレンを用いて硬化剤(I)を分離し、FT−IR測定により、結合基(x)、(y)、(z)の濃度を求めたところ、アミン化合物1kgに対して、それぞれ、45meq、15meq、20meqであった。
得られたマスターバッチ型硬化剤H−1の28部にエポキシ樹脂b−2を100部、トルエン32部を加えて、十分に混合し、一液性エポキシ樹脂組成物を得た。
得られた一液性エポキシ樹脂組成物の流動性、貯蔵安定性と硬化性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0063】
[実施例2〜4]
表1で示した配合で、実施例1と同様にしてマスターバッチ型硬化剤H−2〜H−4を得、粘度測定を行った。結果を表1に示す。更に表1に示した配合で実施例1と同様にして一液性エポキシ樹脂組成物を得て、流動性、貯蔵安定性と硬化性を評価した。評価結果を表1に示す。またエポキシ樹脂(B)に対するアミン化合物(A)の熱潜在性硬化能の評価として潜在性粘度倍数と潜在性ゲル化温度を測定した。結果を表1に示す。
【0064】
[比較例1]
表1で示した配合で、実施例1と同様にしてマスターバッチ型硬化剤H−5を得、粘度測定を行った。結果を表1に示す。更に表1に示した配合で実施例1と同様にして一液性エポキシ樹脂組成物を得て、流動性、貯蔵安定性と硬化性を評価した。評価結果を表1に示す。またエポキシ樹脂(B)に対するアミン化合物(A)の熱潜在性硬化能の評価として潜在性粘度倍数と潜在性ゲル化温度を測定した。結果を表1に示す。
【0065】
[比較例2]
表1に示した配合で実施例1と同様にして一液性エポキシ樹脂組成物を得て、流動性、貯蔵安定性と硬化性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
Figure 2004269721
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、電気特性、機械的強度、耐熱性、耐湿性等の性能のバランスに優れる硬化物を与え、流動性が高く、貯蔵安定性と低温硬化性を両立し得る一液性エポキシ樹脂組成物、およびそれを得るための低粘度のマスターバッチ型硬化剤が得られる。
本発明のマスターバッチ型硬化剤を用いた一液性エポキシ樹脂組成物は、接着剤、封止材、充填材、絶縁材料、導電材料、プリプレグ、フィルム状接着剤、異方導電性フィルム、異方導電性ペースト、絶縁接着フィルム、絶縁接着ペースト、アンダーフィル材、ポッティング材、ダイボンディング材、導電ペースト、ソルダーレジスト等として優れた性能を発揮する。

Claims (5)

  1. アミン化合物(A)を表面処理したコアと、上記アミン化合物(A)とエポキシ樹脂(B)の反応生成物をシェルとしてなる硬化剤(I)と、上記硬化剤(I)100質量部に対して10〜50,000質量部のエポキシ樹脂(B)より構成されるマスターバッチ型硬化剤において、アミン化合物(A)がエポキシ樹脂(B)に対して熱潜在性硬化能を有する事を特徴とする一液性エポキシ樹脂組成物用マスターバッチ型硬化剤。
  2. コアがアミン化合物(A)を表面処理して、波数1630〜1680cm−1の赤外線を吸収する結合基(x)と波数1680〜1725cm−1の赤外線を吸収する結合基(y)を少なくともその表面に有する事を特徴とする請求項1記載のマスターバッチ型硬化剤。
  3. アミン化合物(A)が、分子中に少なくとも1個の活性水素基と3級アミノ基を共に有する化合物と、カルボン酸化合物、スルホン酸化合物、イソシアネート化合物、尿素化合物およびエポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種との反応生成物である事を特徴とする請求項1または2記載のマスターバッチ型硬化剤。
  4. エポキシ樹脂(C)100質量部に対して、請求項1〜3いずれか1項に記載のマスターバッチ型硬化剤0.1〜1000質量部を含有し、それらを主成分とする事を特徴とする一液性エポキシ樹脂組成物。
  5. エポキシ樹脂(C)100質量部に対して酸無水物類、フェノール類、ヒドラジド類、およびグアニジン類よりなる群より選ばれる少なくとも1種の硬化剤(D)を1〜200質量部、請求項1〜3いずれか1項記載のマスターバッチ型硬化剤0.1〜200質量部を含有し、それらを主成分とする事を特徴とする一液性エポキシ樹脂組成物。
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