JP4574471B2 - 歪補償直交変調器及び無線送信機 - Google Patents
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Description
第二に、アナログ変調信号I(t)、Q(t)の平均振幅比は本来の1に対しずれが生じイメージ周波数領域に歪成分が重畳する。
第三に、直交変調器に必要なπ/2移相器を正確に製造することが困難であり、直交度のズレはイメージ周波数領域に歪成分が重畳する原因となる。
特にベースバンド信号を直接RF周波数に変換することにより回路規模小型化が期待されるダイレクトコンバージョン方式では、アナログ素子に起因する問題解決がますます重要となってきている。
図において、120は歪補償回路、3は直交変調器、150はRF送信信号を検波する検波器、160は検波出力の平均化を行うLPF、170は歪補償係数及びテストパターンを発生する制御回路、である。アフィン変換器121は図2に示すような構成となっており、a0、b0、α、θを与えることにより直交変調器に内在するDCオフセット、IQゲイン差、直交度ずれを補正するように機能するものである。具体的な制御方法としてはSW2、SW3を制御器側としてテストパターン信号を出力し、LPF160の出力を観測することにより、まずDCオフセットa’、b’を求めて設定する、次にSW2、SW3をアフィン変換器121側とし、SW0、SW1を制御回路側に切り替え、テストパターン信号を送出しながらLPF160出力レベルを観測することによりα、θを求めるものである。
或いは従来技術を改良し、テストパターン信号の送出中は、変調信号を別系の直交変調器にスイッチで切り替えて変調出力を確保することも考えられるが、完全な無停波切替はやはり困難であり、コストや追従性能の面でも現実的でない。
また、本発明は、処理対象となる複素振幅信号に発生するDCオフセットを効率的に補償することができる補償器を提供することを目的とする。
入力された前記補償済信号に基づき局部発振信号を直交変調し、実信号である変調波信号(modulated signal)を出力する直交変調器と、
入力された前記変調波信号若しくは前記変調波信号に周波数変換若しくは増幅の少なくとも一方が施された信号から搬送波成分を除去し、複素フィードバック信号I’(t)及びQ’(t) を出力する直交検波手段と、
前記複素フィードバック信号I’(t)及びQ’(t)に残留する線形歪を歪係数として抽出し、前記歪係数を含んだ更新式に従って現在の前記アフィン変換係数を新しい前記アフィン変換係数に更新してアフィン変換手段に再設定する制御手段と、
を有する歪補償直交変調器。
入力された複素試験信号を、与えられたアフィン変換係数に基づいてアフィン変換し、補償済信号a(t)及びb(t)を出力するアフィン変換手段と、
入力された前記補償済信号に基づき局部発振信号を直交変調し、実信号である変調波信号を出力する直交変調器と、
入力された前記変調波信号若しくは前記変調波信号に基づく実信号から搬送波成分を除去し、複素フィードバック信号を出力する直交検波手段と、
前記複素フィードバック信号に残留する線形歪を、DCオフセットのI相成分、DCオフセットのQ相成分、IQゲイン比、及び直交度ずれに夫々対応する4個の歪係数として抽出する線形歪検出手段と、を備える歪補償直交変調器であって、
前記線形歪検出手段は、前記試験信号が有するIQ平面上で原点を中心に点対称の2点に対し、対応する複素フィードバック信号のIQ平面上での2点の中点と原点との距離を求め、前記中点と原点との距離に少なくとも基づいて前記DCオフセットのI相成分及びQ相成分を決定する処理と、
前記試験信号が有するIQ平面上で原点を中心に90度間隔で且つ点対称に配置された2点の組である4点に対し、対応する複素フィードバック信号のIQ平面上での各組の2点間の距離を夫々求め、前記各組の2点間の距離に基づいて前記IQゲイン比を決定する処理と、
前記試験信号が有するIQ平面上で原点を中心に90度間隔で且つ点対称に配置された2点の組である4点に対し、対応する複素フィードバック信号のIQ平面上での各組の2点の連結線が互いに交差する角度の直角からのずれに相当する値を求め、前記直交度ずれを決定する処理と、を行うことを特徴とする歪補償直交変調器。
入力されたN(Nは1以上の整数)キャリア分の複素ベースバンド信号に基づき、各キャリアに対応する周波数でデジタル変調を行って合成し、複素IF信号I(t)及びQ(t)として出力するデジタル変調回路と、
入力された複素振幅信号I(t)及びQ(t)に、a、b、tanθ、1/(αcosθ)をアフィン変換係数とする
a(t)=I(t)+Q(t)・tanθ+a
b(t)=Q(t)/(αcosθ)+b
で表されるアフィン変換を施し、DCオフセット、IQゲイン比、直交度ずれが補償された補償済信号a(t)及びb(t)を出力するアフィン変換回路と、
入力された前記補償済信号a(t)及びb(t)をデジタルからアナログへ変換して出力するD/A変換器と、
入力された前記D/A変換器出力に基づき搬送波信号を直交変調し、RF信号を出力する直交変調器と、
入力されたRF信号を電力増幅して出力する電力増幅器と、
入力された前記電力増幅器出力に基づく信号をデジタル直交検波し、デジタル変調部と実質的に等しいIF周波数の複素フィードバック信号I’(t)及びQ’(t) を出力する直交検波回路と、
入力された前記複素IF信号と前記複素フィードバック信号を複素共役乗算し、その偏角を前記複素IF信号と前記複素フィードバック信号との間の位相差分φとして検出し、前記複素フィードバック信号から位相回転を除去して回転除去信号Ir(t)及びQr(t)を出力する位相回転除去回路と、
前記複素フィードバック信号I’(t)及びQ’(t)に残留する線形歪を、DCオフセットのI相成分及びQ相成分、IQゲイン比、直交度ずれに夫々対応する4個の歪係数a’、b’、α、sinθをとして抽出する線形歪検出手段と、
前記歪係数を含んだ更新式に従って現在の前記アフィン変換係数を新しい前記アフィン変換係数に更新して前記アフィン変換手段に再設定する係数更新手段と、を備える無線送信機であって、
前記無線送信機が運用中で無いときに線形歪を検出する場合は、前記線形歪検出手段は、I相若しくはQ相上の矩形波からなる試験信号が有する原点を中心に点対称の信号点2点に対し、対応する複素フィードバック信号のIQ平面上での中点を求め、前記中点と原点との距離をDCオフセットの大きさとし、位相を変化させたDCオフセットを前記アフィン変換手段に設定しながら前記中点を検出して、前記中点と原点との距離を最小にするDCオフセットの大きさと位相から前記DCオフセットのI相成分及びQ相成分を決定する処理と、時分割されたI相上の矩形波とQ相上の矩形波からなる試験信号が有する原点を中心に点対称の信号点2点の組に対し、対応する複素フィードバック信号のIQ平面上での各組の2点間の距離を夫々求め、各組の前記2点間の距離に基づいて前記IQゲイン比を決定する処理と、1周期間隔で時分割された振幅の異なるI相上の矩形波とQ相上の矩形波からなる試験信号が有する原点を中心に点対称の信号点2点の組に対し、対応する複素フィードバック信号のIQ平面上での各組の2点の連結線が互いに交差する角度の直角からのずれに対応する値を求め、前記直交度ずれを決定する処理と、を行い、
前記無線送信機が運用中に線形歪を検出する場合は、前記線形歪検出手段は前記4個の歪係数を
a’=<Ir(t)>
b’=<Qr(t)>
α’=(<Ir(t)2>/<Qr(t)2>)1/2
sinθ’=−<Ir(t) Qr(t)>/{<Ir(t)2><Qr(t)2>}1/2
(ただし<>は長期間平均値を意味する)により算出し、前記係数更新手段は前記更新式として
an=an−1−μa’
bn=bn−1−μb’
αn=αn−1×(α’)1/m
sinθn=sinθn−1+μsinθ’
cosθn=(1−sin2θn)1/2
tanθn=sinθn/cosθn
を用いること特徴とする無線送信機。
更に前記長期間平均は4096チップ相当もしくはそれ以上の時間平均であることを特徴とする。
前記無線送信機は、更に前記複素IF信号と前記複素フィードバック信号との遅延を、前記複素IF信号のサンプルレートの逆数未満の時間精度で制御して一致させる遅延ロックループを備え、前記遅延ロックループはレイトパス及びアーリパスに与える遅延時間差として、前記複素IF信号の帯域幅の2倍の逆数以下で、且つFDFの遅延時間の可変ステップ単位の2倍以上の時間を与えることを特徴とする無線送信機。
前記入力される複素振幅信号のI相成分及びQ相成分にそれぞれDCオフセットのI相補正値及びQ相補正値を与えるDCオフセット補正手段と、
前記DCオフセット補正手段により補正値が与えられた複素振幅信号をフィードバックして当該フィードバック信号のレベルを検出するレベル検出手段と、
前記レベル検出手段により検出されるレベルに基づいて前記DCオフセット補正手段により与える前記I相補正値及び前記Q相補正値を制御する補正値制御手段と、を備え、
前記補正値制御手段は、初期において、IQ平面上に所定間隔で設けられた複数の点の中で、各点のI相成分値及びQ相成分値を前記I相補正値及び前記Q相補正値として前記DCオフセット補正手段に設定した場合に前記入力される複素振幅信号のレベルが0であるときに前記レベル検出手段により検出されるレベルが最小になる点を検索し、以降において、前回に検索された点を今回の中心点とし且つ前記所定間隔を前回と比べて今回には小さくして、当該検索を1回以上行い、そして、最終的に検索された点のI相成分値及びQ相成分値を前記I相補正値及び前記Q相補正値として採用して前記DCオフセット補正手段に設定する、
ことを特徴とする補償器。
また、本発明にかかる補償器によれば、複素振幅信号に発生するDCオフセットを効率的に補償することができる。
2はアフィン変換器、3は直交変調器、5はRF周波数を中間周波数帯に変換する周波数変換器、6はアナログの中間周波数信号をデジタル化し、直交検波信号I’(t)、Q’(t)に変換するデジタル直交検波器である。アフィン変換器2は従来技術で示した図2と同一に構成される。デジタル直交検波器6は、直交検波器のDCオフセット、IQゲイン比、IQ直交度の歪が原理的に発生しないことから、デジタル直交検波器の使用を前提としている。7はアフィン変換器で使用する各歪補償係数の更新を行う制御部である。
原理的にはある時刻にアフィン変換器2に設定されている各アフィン変換係数による出力であるディジタル直交検波出力I’(t)、Q’(t)信号より、補正誤差分を抽出し、更新式を持って最適値に引き込んでいくものである。
初期状態からn回、係数更新を行って求めたI(t)側のDCオフセット分をan、Q(t)側のDCオフセット分をbn、IQゲイン比をαn、IQ直交度ずれ角の正弦をsinθnと置き、現在のディジタル直交検波出力に残留しているI(t)側のDCオフセット分をa’、Q(t)側のDCオフセット分をb’、IQゲイン比をα’、IQ直交度ずれ角の正弦をsin’θと置くとき、ディジタル直交検波出力I’(t)、Q’(t)を用いて、次のような計算を行う。
φ=Arg[(I(t)+jQ(t))(I’(t)−jQ’(t))] …〈式1〉
Ir(t)=I’(t)cosφ−Q’(t)sinφ …〈式2〉
Qr(t)=Q’(t)cosφ+I’(t)sinφ …〈式3〉
ここでArg[]は複素数の偏角を表す。なお上記〈式1〉〜〈式3〉ではアフィン変換器2、直交変調器3、周波数変換器5内の遅延は特に考慮していない。
a’=<Ir(t)> …〈式4〉
b’=<Qr(t)> …〈式5〉
α’=(<Ir(t)2>/<Qr(t)2>)1/2 …〈式6〉
sinθ’=−<Ir(t) Qr(t)>/{<Ir(t)2><Qr(t)2>}1/2…〈式7〉
ここで<>は長期間平均値を表す。
an=an−1−μa’ …〈式8〉
bn=bn−1−μb’ …〈式9〉
αn=αn−1×(α’)1/m …〈式10〉
sinθn=sinθn−1+μsinθ’ …〈式11〉
(θ≒0ではsinθ≒θと見做せるため近似を用いることが可能。)
cosθn=(1−sin2θn)1/2 …〈式12〉
tanθn=sinθn/cosθn …〈式13〉
ただしμ、mはステップパラメータで、通常μは1/4〜1/512程度、mは1以上の整数である。
デジタル変調部1は、入力された各キャリアのベースバンド信号(IQ信号)に対し、帯域制限、デジタル直交変調等をした後、合成して出力する。デジタル変調部1の出力はIF(Intermediate Frequency)帯のIQ信号になっている。
歪補正部21は、デジタル変調部1の出力に対し、アフィン変換を用いてDCオフセット、IQゲイン比、直交度ずれの補正を行うほか、DPD(Digital PreDistortion)処理を行う。
D/A変換器22は、歪補正部21から入力されるデジタル信号のI相、Q相それぞれをアナログ信号に変換する。
LPF23は、D/A変換器22の出力から、目的のIF周波数帯以外の周波数成分を除去する。
アナログ直交変調器3は、LPF23の出力を用いてアナログ直交変調を行い、目的のRF(Radio Frequency)帯の変調波信号(実信号)を出力する。
電力増幅器4は、アナログ直交変調器3の出力を無線送信に必要な電力まで電力増幅を行う。
ミキサ51は、電力増幅器4の出力の一部が入力されると、IF周波数へダウンコンバートする。
帯域制限フィルタ52は、ミキサ51の出力に対し、目的のIF周波数帯以外の周波数成分を除去する帯域制限を行う。
A/D変換器62は、帯域制限フィルタ52から入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
デジタル直交検波器61は、A/D変換器62の出力をデジタル直交検波し、デジタル変調部1の出力と等しいIF周波数を有するIQ信号を出力する。
制御部70は、DCオフセット、IQゲイン比、直交度ずれを検出し、4つの歪係数a’、b’、α’、sinθ’を更新して出力する。これらの検出は、運用時はデジタル変調部1の出力とデジタル直交検波器61の出力に基づいて行われ、非運用時(工場調整時等)は制御部70が歪補正部21に与える特殊な試験信号とデジタル直交検波器61の出力に基づいて行われる。
スイッチ63は、歪補正部21の入力を、運用時にはデジタル変調部1の出力に接続し、工場調整時には制御部70の出力する試験信号に接続する。
デジタル変調部1には、チップレート(3.84MHz)をサンプリング周波数とするデジタル複素ベースバンド信号(IQ信号)が4キャリア分入力される。各デジタル複素ベースバンド信号は、拡散符号で多重化された複数チャネルの合成信号であり、各チャネルは夫々電力制御され異なる振幅を持つので、各デジタル複素ベースバンド信号はIQ平面上で任意の値を取り得る。各デジタル複素ベースバンド信号はまず、4個のFIRフィルタによりI、Q成分に対して個別にルートロールオフ特性のフィルタリングを夫々施され、サンプリング周波数が92.16MHz(3.84MHzの24倍)までオーバサンプルされるとともに、イメージ成分は除去される。次に、各キャリアのFIRフィルタの出力(IQ信号)は、(cos(2πfi),sin(2πfi)),(i=1..4)で表される複素ローカル信号とそれぞれ複素乗算される。複素乗算しているので、これによる新たなイメージの発生はなく、単に周波数がIF帯に変換される。f1〜f4は例えば、15.36、20.36、25.36、30.36MHzである。次に、各キャリアの複素乗算出力(IQ信号)は加算的に合成される。最後に、合成出力は、ピーク付近の信号を窓関数の重み付きで抑圧するリミッタ(窓関数方式)によりピーク抑圧処理を施され、デジタル変調部1の出力となる。
バッファ72、73は、デジタル変調部1からの入力(IF信号I(t)、Q(t))、およびデジタル直交検波器61からの入力(ディジタル直交検波信号I’(t)、Q’(t))をそれぞれ一時記憶する。バッファ73は、読み出しタイミングが制御されるので可変遅延手段として機能する。
DLL(Delay Locked Loop)71は、バッファ72、73から一時記憶された信号をそれぞれ読み出し、信号間の相関が最大になるように読み出し(或いは書き込み)タイミングを制御する。DLL71内のスライディングコリレータ(SC)は、<式1>で表されるような複素共役乗算と、その乗算結果を重み付き平均とを行っており、SC出力の実部、虚部をSC出力の大きさで除算したものが<式2><式3>におけるcosφ、sinφにそれぞれ相当する。送信系と戻り系で共通の原振に基づく局部発振信号を用いている場合、φの変動はほとんど無いので、cosφ、sinφをサンプル毎に常時更新して出力する必要は必ずしもない。
デシメータ74は、DLL71により読み出されたディジタル直交検波信号を間引くことにより、サンプルレートをチップレート(すなわち変調信号のサンプルレート)の2〜4倍程度まで下げる。なぜならば、サンプルレートがそれ以上あっても、同じ変調信号について重複して計算しているだけで統計上意味がなく、精度もあまり向上しないからである。
乗算器75は、デシメータ74から出力されたディジタル直交検波信号に<式2><式3>の演算を施し、位相回転を補償する。
線形歪検出部76は、乗算器75出力を使って<式4>〜<式7>の演算を行い、長期間平均する時間毎にa’、b’、α’、sinθ’を出力する。シミュレーションによれば、線形歪を60dBc以上抑圧するためには、長期間平均を5000チップ程度(4096チップ以上が一つの目安であり、サンプル数としてはその2〜4倍程度)行う必要がある。長期間平均は、重み付き平均で行うより、前回のアフィン変換係数の更新以降の全サンプルを足しこみ最後にサンプル数で割ったほうが収束性の面からも良い。
係数更新部77は、<式8>〜<式13>の演算を行い、4つのアフィン変換係数を更新して出力する。なお〈式11〉は以下の〈式11’〉のようにも解釈できる。最初の近似はテイラー展開を意味し、2番目の近似はsinθ≒θ、およびcosθnを1に近似してμの中に組み入れたことによる。
sinθn+1=sin(θn+μθ’)
≒sinθn+cosθn・μθ’
≒sinθn+μsinθ’ …〈式11’〉
この他、θ→0、α→1において適切な近似を与えるものであれば適宜近似を用いることができる。本実施例では、4つのアフィン変換係数a、b、tanθ、1/(αcosθ)は、アフィン変換器2で補償し切れなかった残留歪を表す歪係数a’、b’、α’、sinθ’から直接更新されるのではなく、直交変調器3の歪の逆特性(或いは歪そのもの)を示すパラメータan、bn、αn、sinθnをまず真値に近づけるように更新し、求まったパラメータから一意にアフィン変換係数を決定している。つまりパラメータを介してアフィン変換係数を更新している。
DPD制御部78は、DLL71により遅延を等しくされた送信系及び戻り系の信号を入力され、戻り系信号に含まれる歪成分が最小になるようにLUTを更新する適応制御を行う。図4では戻り系の信号をFFT(高速フーリエ変換)し、帯域外電力を歪成分として評価するものを例示しているが、これに限らず、送信系及び戻り系の信号の差分を誤差ベクトルとして検出するものでもよい。
試験信号発生部79は、非運用時の歪検出に使用する試験信号を発生する。試験信号の詳細は後述する通りであるが、デジタル変調部1にベースバンド信号として与えても、歪補正部2にIF信号として与えても、どちらでも良い。
一般に、図3に示される送信系信号と戻り系信号の間には遅延、レベル差、位相差が発生し、その値はアナログ回路を含んでいるために未知である。遅延、レベル差は独立に検出・補正が可能であるが、位相差はDCオフセット、IQゲイン比、直交度ずれが存在すると正しく検出できない。逆にDCオフセット、IQゲイン比、直交度ずれは位相差が存在すると正しく検出できない。このため、[発明を実施するための最良の形態]に記載した歪補償直交変調器では位相差φを求めた上でDCオフセットa,b、IQゲイン比α、直交度ずれθ、位相差φの4つの誤差項目に対して少しずつ補正をかけていき、最適値へと追い込んでいる。しかし、4つの誤差項目を一緒に少しずつ最適値へと追い込む方法では、それらの誤差が未知のまま始めると、各誤差の検出時間(検出値の収束時間)が長くなってしまう。
そこで本実施例では、矩形波の試験信号を用いてより直接的に歪検出を行う。矩形波信号を用いた歪検出方法を(i)DCオフセット、(ii)IQゲイン比、(iii)直交度ずれの3つに分けて説明する。
まず入力信号として図7に示すような試験信号を送出する。ここで矩形波の振幅、周期は送信増幅器装置システムに対して最適なものをとればよい。直交検波された戻り系信号は、送信信号に対して位相がずれた矩形波信号となる。ここで図8に示すように、送信信号はIQ平面上でI軸(もしくはQ軸でも問題はない)上にある原点を挟んで対称な位置にある2点が送信されている。この2点は戻り系側ではDCオフセットが重畳し位相がずれた位置(座標)にくる。よって戻り系信号の2点の中点を求めることにより、DCオフセットの大きさが判明する。DCオフセットの大きさが判明したので、この大きさをもつベクトルを任意の位相に設定して、再度同じ矩形波信号を送信し、戻り系信号の2点の中点が最も原点に近づいたときの位相がDCオフセットの位相となる。従って、検出したDCオフセットの大きさと位相からI相、ならびにQ相のDCオフセット値が決定される。中点は、適当に2点をシンボル判定して2点夫々の平均値の平均により求めても良いが、2点の出現確率が等しくなるような平均時間(例えば矩形波周期の倍数)とすれば、測定した全サンプルの単なる平均値でもよい。また、試験信号と戻り系信号の矩形波の立上りの遅延時間を計測すれば、遅延のおよその値が求まり、DLL71に初期値として与えることができる。
入力信号として図7に示すようなDCオフセット検出時と同じ試験信号をI相、Q相1度ずつ送出する。まずI相のみ矩形波信号を送信したときに図9に示すように戻り系で検出したIQ平面上の2点の距離がI相ゲインとして検出される。同様にQ相のみ矩形波信号を送信したときに戻り系で検出したIQ平面上の2点の距離がQ相ゲインとして検出される。I相ゲインとQ相ゲインの比を求めることにより、IQゲイン比が検出される。
IQゲイン比を補正する前後の周波数スペクトル図を図13に示す。このスペクトル図は図12と同様の計算機シミュレーションで得られたものである。補正前スペクトルにおいてセンター周波数230.4MHzの反対側の周波数(236.16MHz)に見える成分(IQゲイン比によって現れる)が補正後にノイズフロア付近のレベルまで落ちているのが分かる。
入力信号として図10に示すようなI、Q相が1周期毎に異なる振幅で交互に励振される矩形波信号を送信する。戻り系では図11に示すようにIQ平面上に4点が検出される。I相側に対応する2点を結ぶ線とQ相側に対応する2点を結ぶ線の直交度がずれてでてくるので(I相とQ相は振幅値の違いによって区別可能)、4点の座標から直交度ずれθが検出される。
具体的には、2点差ベクトルをI、Q相夫々求め、差ベクトルの内積を正規化(大きさを1にする)すればcos(π/2−θ)=sinθが得られる。I、Q相の区別は信号点の原点からの距離により行えば実用上問題ないが、もしsinθが0に近い値となったときは、原点からの距離が2番目と3番目の信号点のI、Q判定を入れかえればよい。或いは、試験信号の送信タイミングと対応させれば容易に区別できる。
直交度ずれを補正する前後の周波数スペクトル図を図14に示す。このスペクトル図は図12と同様の計算機シミュレーションで得られたものである。補正前スペクトルにおいてセンター周波数230.4MHzの反対側の周波数(236.16MHz)に見える成分(直交度ずれによって現れる)が補正後にノイズフロア付近のレベルまで落ちているのが分かる。
ならばl12=−m21m22、l22=1/m22である。従って図2の線形変換はm12=−αsinθ、m22=αcosθで与えられる線形歪の逆変換だったことが分かる。また、
もML=Eとなり、
におけるl21=−m21/m22、l22=1/m22もML=Eとなり、l21=tanθ、l22=1/(αcosθ)、m21=−αsinθ、m22=αcosθとおいた線形変換で図2を置き換えることもできる。
上記のように様々な類型があるが、直交状態からθずらすのか、θずれた座標を直交化するのかといったθの測り方による相違もある。一般に前者と後者の測り方ではθの値は異なり、例えば<式17>において、Mのθの符号を反転させ、αの逆数をとってもLに一致しないが、θ→0、α→1とすると一致する。
となる。しかし、1/cosθ=2−(1−sin2θ)等の近似を用いたとしても、逆行列のLに比べ式が複雑になりがちである。
また、[発明を実施するための最良の形態]では、直交変調器3のトータルの歪の逆特性をパラメータとし、パラメータの真値を反復計算で求めてから、一意にアフィン変換係数に変換している。
別の近似として、例えばθ=0、α=1において値が0で、その近傍において、L’(又はL(n+1)=L’L(n))と同符号の微係数(θ、αの偏微分係数)を持ち、微係数の大きさが前述のLの微係数にステップサイズμ等を乗算した値を下回るような単純な関数f(θ,α)を、現在のL(n)に直接足しこむことも考えられる。f(θ,α)としては、θ=0、α=1近傍にて収束に十分な精度が得られればどんな近似を用いても良い。一例として、以下の更新式を<式10>〜<式13>の代わりに用いることができる。
初期値のL(0)は[発明を実施するための最良の形態]と同様に求めている。
72’および73’はデュアルポートメモリ(DPM)であり、実施例1のバッファ72、73に相当する。デュアルポートメモリはアドレスバス及びデータバスからなる2つのポートA及びBを有し、各ポートから独立にアクセスが可能なものである。DPM72’および73’は、IF信号I(t),Q(t)と、デジタル直交検波信号I(t)',Q(t)'とがポートAより夫々入力され、アドレス発生器701により共通に与えられる書き込みアドレスにより同じアドレスに夫々記憶する。この動作は常時行っている。
アドレス発生器702は、DPM72’および73’のポートBに読み出しアドレスを与える。ただし、DPM73’に与えられるアドレスは、オフセット付与部703によりオフセットが付され、このオフセットを調整することにより、DPM72’および73’に一次記憶されて読み出される信号の相対的な遅延時間を変化させることができる。
FDF705は、I相、Q相独立のFIR(Finite Impulse Response)フィルタで構成され、DPM72'から読み出された信号を入力されると、タップ数の半分のサンプル数の時間に近い遅延を行って出力する。遅延時間は与えられるタップ係数によって決まり、公知の方法により1サンプル時間以下の単位で遅延時間を制御する。
ディレイ711は、FDF705の出力を1サンプル時間(Ts)だけ遅延し、DLL本体およびDPD制御部78(図4参照)へ送信系信号として出力する。ディレイ711は無くてもよい。
ディレイ715は、DPM73'の出力を1サンプル時間(Ts)だけ遅延し、デシメータ74(図4参照)およびDPD制御部78等へ戻り系信号として出力する。
まず、ディレイ712、713がDPM73'の出力をそれぞれ2Ts、Ts遅延して出力し、乗算器721〜723が、ディレイ711の出力と、ディレイ712、DPM73'、ディレイ713の出力とをそれぞれ複素乗算して出力する。
平均化部731〜733は、乗算器72 1〜723の出力を予め決められたサンプル数(例えば256)だけ累積加算して、それぞれレイトパス(late path)、アーリパス(early path)、ノーマルパス(normal path)相関値として出力する。平均化部731〜733および734〜736は同一の構造を有し、731のみ内部構成を図示してある。
正規化部741は、平均化部733が出力するノーマルパス相関値の大きさに基づき、平均化部731〜733が出力する各相関値の大きさを正規化してそれぞれ出力する。これにより相関値を、振幅に依存せず遅延時間誤差のみを反映する値に近づける。また、正規化されたノーマルパス相関値は、そのI相がcosφ、Q相がsinφとなので、位相回転φの補償量として乗算器75(図4参照)へ出力される。
電力化部751,752は、正規化部741で正規化されたレイトパスおよびアーリパス相関値を入力されると、それらのI相、Q相の自乗和を算出してそれぞれ出力する。
加算器761は、電力化部751から出力されたレイトパス相関値パワーから、電力化部752から出力されたアーリパス相関値パワーを減算して出力する。加算器761の出力は、送信系信号が戻り系信号より遅れると正、進むと負となる。
なお、以上説明した構成と類似のものがディレイ714、715、乗算器724〜726、平均化部734〜736、正規化部744、電力化部754,755、加算器762により構成され、自己相関に関しても同様に相関値パワーの差を算出して加算器762より出力する。
加算器763は、加算器761の出力から加算器762の出力を減算して出力する。CDMA信号といえども自己相関は完全に0ではないので、自己相関成分を減算して除去することにより、相互相関値を遅延時間誤差のみを反映する値に更に近づける。
平均化部738は、加算器763の出力を予め決められた数(例えば8)だけ累積加算して、出力する。
制御部770は、平均化部738の出力の符号を判定し、正であればFDF705に設定する遅延を予め定める量(例えばTs/4)減らし、負であれば増やすような指示信号を出力する。もし、FDF705の可変範囲を超えるようであれば、オフセット付与部703に設定するオフセット量を制御してもよい。
タップ係数記憶部772は、さまざまな遅延時間に対応するタップ係数を記憶しており、制御部770の指示にしたがってFDF705にタップ係数を設定する。本実施例では、256×8=2048サンプル毎にFDF705のタップ係数が更新されることになる。
またFDF705の替わりに、アップサンプルフィルタのより補間を行ってサンプルレートをn倍し、任意のタイミングでnサンプル毎に取り出すことでダウンサンプルしてもよい。
またDPM72’、73’は、書込み及び読出しを非同期で行うために用いているが、書込みと読出しを同時に行わなければデュアルポートである必要はない。
本例の補正回路では、I相の入力信号Iin及びQ相の入力信号Qinに対して次のような演算処理が行われて、I相の出力信号Iout及びQ相の出力信号Qoutが得られる。
I相については、乗算器201により、Q相の入力信号Qinと直交度補正値tanθとを乗算する。加算器202により、I相の入力信号Iinと乗算器201による乗算結果(Qin×tanθ)とを加算する。乗算器203により、加算器202による加算結果{Iin+Qin×tanθ}とI相ゲイン補正値Igainとを乗算する。加算器204により、乗算器203による乗算結果Igain{Iin+Qin×tanθ}とI相DCオフセット補正値Idcとを加算する。加算器204による加算結果がI相の出力信号Ioutとなる。
以上のように、次の式が成り立つ。
Iout=Igain{Iin+Qin×tanθ}+Idc
Qout=Qgain×(1/cosθ)×Qin+Qdc
まず、本例におけるDCオフセットを定義する。
本例では、デジタル処理された信号がD/Aコンバータを通ってアナログ信号へ変換される際に発生する直流成分と、アナログ直交変調器を通って直交変調されるときに発生する基準周波数信号の漏れ(キャリアリーク)の両方を総称してDCオフセットと呼ぶ。
これを実現するために、本例では、変調波などの希望波の送信信号レベルを0としたときにDCオフセットそのものの大きさが測定されることを利用する。具体的には、希望波の送信を停止してつまり希望波の送信レベルを0として、I相オフセット補正値IdcやQ相DCオフセット補正値Qdcを変化させながら回路に与えることで、完全にDCオフセットを消すことができる補正値を検出する。
例えば、このような補正値の正解値を発見するために、まず、図18(c)に示されるように、Q相補正値を固定したままI相補正値を変更して、フィードバック受信電力値が最小となるI相補正値を発見し、その後に、図18(d)に示されるように、I相補正値をその正解値に固定したまま、Q相補正値を変更してフィードバック受信電力値が最小となる組み合わせを発見する方法が考えられる。しかしながら、このような方法では、I相の検索とQ相の検索を別々のステップで行って、I相の補正値とQ相の補正値を個別に探すため、時間がかかってしまうといった不具合がある。
図17(a)、(b)を参照して、このような検出を行うためのアルゴリズムの一例を示す。
本例のアルゴリズムでは、I相の補正値とQ相の補正値を同時に変化させて正しい補正値を検索する。
具体的には、まず、図17(a)に示されるように、IQ平面上に正方形上に25個の点を設ける。これら各点間の距離は均等であり、例えば、I軸方向に沿って隣り合う2点間の距離(格子間距離)及びQ軸方向に沿って隣り合う2点間の距離(格子間距離)をSDCとする。図17(a)の例では、例えば原点に位置する1番目の点を中心として、その周りに、一辺の長さが(2×SDC)である正方形を形成する2番目から9番目までの8点が設けられ、その周りに、一辺の長さが(4×SDC)である正方形を形成する10番目から25番目までの16点が設けられている。この一番外側の格子からなる正方形の領域を、仮り探索範囲と呼ぶ。
これにより、25点の中から補正後のDCオフセットが最小となる点を検出した場合には、この点を選択して、続く処理を行う。図17(a)の例では、3番目の点が選択されている。
このような処理手順を繰り返して行うことで、I相DCオフセット補正値Idc及びQ相DCオフセット補正値Qdcのずれ範囲を徐々に狭めていき、適当な時点で、選択された点のI相成分及びQ相成分を最適なI相DCオフセット補正値Idc及びQ相DCオフセット補正値Qdcとして採用する。例えば、最終的に点間距離(格子間距離)が1になったときにフィードバック電力値が最小であった点を最適な補正値として採用するようなことが可能である。
(1)IQ平面上の原点を中心にした正方形エリアに25点の検索格子を設ける。各格子間の距離をSDCとする。
(2)I相及びQ相のDCオフセット補正値を(I,Q)=(0,0)として、つまり図17(a)に示される1番目の点(原点)に設定して、送信レベルが0である信号を送信し、このときにおけるフィードバック信号の電力値を測定する。
(3)次に、I相及びQ相のDCオフセット補正値を(I,Q)=(−SDC,0)として、つまり図17(a)に示される2番目の点に設定して、送信レベルが0である信号を送信し、このときにおけるフィードバック信号の電力値を測定する。
(5)このように番号順に補正値を変更しながら、各点におけるフィードバック信号の電力値を測定し、25点の中で当該電力値が最小であった1点つまり補正後のDCオフセットが最も小さい値となった1点を最小点として見つける。図17(a)の例では、3番目の点を見つける。
(7)そして、前回の最小点から開始して、今回の25点について最小点を検索する。
図17(a)の例の続きでは、まず、検索開始位置を前回における3番目の点である(I,Q)=(−SDC,−SDC)として、送信レベルが0である信号を送信し、このときにおけるフィードバック信号の電力値を測定する。次に、DCオフセット補正値を(I,Q)=(−SDC−1/4×SDC,−SDC)として、送信レベルが0である信号を送信し、このときにおけるフィードバック信号電力値を測定する。以降も同様に、25点について検索する。
(8)このように、25点の中でフィードバック信号の電力値が最小となる点を見つけて格子間距離を1/4倍にするという処理を、例えば格子間距離が1になるまで繰り返して行い、格子間距離が1であるときにフィードバック信号の電力値が最小であった点を最適点として採用する。
すなわち、DCオフセット補正手段が、前記入力される複素振幅信号のI相成分及びQ相成分にそれぞれDCオフセットのI相補正値及びQ相補正値を与える。
レベル検出手段が、前記DCオフセット補正手段により補正値が与えられた複素振幅信号をフィードバックして、当該フィードバック信号のレベルを検出する。
補正値制御手段が、前記レベル検出手段により検出されるレベルに基づいて、前記DCオフセット補正手段により与える前記I相補正値及び前記Q相補正値を制御する。
この場合に、前記補正値制御手段は、初期において、IQ平面上に所定間隔で設けられた複数の点の中で、各点のI相成分値及びQ相成分値を前記I相補正値及び前記Q相補正値として前記DCオフセット補正手段に設定した場合に前記入力される複素振幅信号のレベルが0であるときに前記レベル検出手段により検出されるレベルが最小になる点(最小点)を検索する。以降において、前記補正値制御手段は、前回に検索された点を今回の中心点とし且つ前記所定間隔を前回と比べて今回には小さくして、当該検索を1回以上行う。つまり、初期の検索も含めて、同様な検索を2回以上行う。そして、前記補正値制御手段は、最終的に検索された点のI相成分値及びQ相成分値を前記I相補正値及び前記Q相補正値として採用して、前記DCオフセット補正手段に設定する。
従って、処理対象となる複素振幅信号に発生するDCオフセットを効率的に補償することができる。
本例では、入力される複素振幅信号として、送信対象となる複素振幅信号が用いられる。また、本例では、入力される処理対象となる複素振幅信号に対して、まず、歪補正部21によりDCオフセットのI相補正値及びQ相補正値が与えられ、その後に、D/A変換器22によるD/A変換やアナログ直交変調器3によるアナログ直交変調によりDCオフセットのI相成分値及びQ相成分値が発生し、これらが総じて打ち消されることにより、出力される信号に含まれるDCオフセットが低減される。レベル検出手段は、このようにDCオフセットが低減された信号をフィードバックしてそのレベルを検出し、この場合に、入力される複素振幅信号のレベルが0であれば、検出されるレベルは残存するDCオフセットのレベルに相当する。本例では、制御部70により、このレベルを検出して、このレベルが小さくなるように制御する。
また、補正値制御手段による最小点の検索に関して、初期の所定間隔としては種々な距離の間隔が用いられてもよく、また、検索毎に所定間隔を小さくしていく割合としては種々な割合が用いられてもよい。また、検索を行う対象となる複数の点の数としては、種々な数が用いられてもよく、例えば、全ての検索において同一であってもよく、或いは、検索の度に次第に減少させていくなど異なっていてもよい。また、検索を行う対象となる複数の点の配置としては、種々な配置が用いられてもよい。
また、複素振幅信号のレベルを0にする態様としては、例えば、完全に0であるときが用いられるのが好ましいが、実用上で有効であれば、完全に0ではないが小さいレベルであるようなときが用いられてもよい。
本例の構成や方法は、例えば、無線送信機や歪補償直交変調器などの種々な機器、装置、システム等に適用することが可能である。
また、本例の構成や方法は、例えば、他の実施例で示した構成や方法と組み合わせて使用することも可能である。
2 アフィン変換器、
21 歪補正部、 22 D/A変換器、 23 LPF、
3 直交変調器、
4 電力増幅器、
5 周波数変換器、
51 ミキサ、 52 帯域制限フィルタ、
6,61 デジタル直交検波器、
62 A/D変換器、
7,70 制御部、
72,73 バッファ、 71 DLL、 74 デシメータ、 75,201,203,205,206 乗算器、
76 線形歪検出部、 77 係数更新部、 78 DPD制御部、 79・・試験信号発生部、
13 D/A、
202,204,207 加算器、
Claims (4)
- 入力された複素振幅信号I(t)及びQ(t)をアフィン変換係数に基づいてアフィン変換し、補償済信号a(t)及びb(t)を出力するアフィン変換手段と、
入力された前記補償済信号に基づき局部発振信号を直交変調し、実信号である変調波信号を出力する直交変調器と、
入力された前記変調波信号若しくは前記変調波信号に周波数変換若しくは増幅の少なくとも一方が施された信号から搬送波成分を除去し、複素フィードバック信号I’(t)及びQ’(t) を出力する直交検波手段と、
前記複素フィードバック信号I’(t)及びQ’(t)に残留する線形歪を歪係数として抽出し、前記歪係数を含んだ更新式に従って現在の前記アフィン変換係数を新しい前記アフィン変換係数に更新してアフィン変換手段に再設定する制御手段と、
を有する歪補償直交変調器。 - IQ平面上の複数の点を信号点として有する複素試験信号を発生する試験信号発生手段と、
入力された複素試験信号を、与えられたアフィン変換係数に基づいてアフィン変換し、補償済信号a(t)及びb(t)を出力するアフィン変換手段と、
入力された前記補償済信号に基づき局部発振信号を直交変調し、実信号である変調波信号を出力する直交変調器と、
入力された前記変調波信号若しくは前記変調波信号に基づく実信号から搬送波成分を除去し、複素フィードバック信号を出力する直交検波手段と、
前記複素フィードバック信号に残留する線形歪を、DCオフセットのI相成分、DCオフセットのQ相成分、IQゲイン比、及び直交度ずれに夫々対応する4個の歪係数として抽出する線形歪検出手段と、を備える歪補償直交変調器であって、
前記線形歪検出手段は、前記試験信号が有するIQ平面上で原点を中心に点対称の2点に対し、対応する複素フィードバック信号のIQ平面上での2点の中点と原点との距離を求め、前記中点と原点との距離に少なくとも基づいて前記DCオフセットのI相成分及びQ相成分を決定する処理と、
前記試験信号が有するIQ平面上で原点を中心に90度間隔で且つ点対称に配置された2点の組である4点に対し、対応する複素フィードバック信号のIQ平面上での各組の2点間の距離を夫々求め、前記各組の2点間の距離に基づいて前記IQゲイン比を決定する処理と、
前記試験信号が有するIQ平面上で原点を中心に90度間隔で且つ点対称に配置された2点の組である4点に対し、対応する複素フィードバック信号のIQ平面上での各組の2点の連結線が互いに交差する角度の直角からのずれに相当する値を求め、前記直交度ずれを決定する処理と、を行うことを特徴とする歪補償直交変調器。 - 複数の通信チャネルの送信を行う送信機において、
入力されたN(Nは1以上の整数)キャリア分の複素ベースバンド信号に基づき、各キャリアに対応する周波数でデジタル変調を行って合成し、複素IF信号I(t)及びQ(t)として出力するデジタル変調回路と、
入力された複素振幅信号I(t)及びQ(t)に、a、b、tanθ、1/(αcosθ)をアフィン変換係数とする
a(t)=I(t)+Q(t)・tanθ+a
b(t)=Q(t)/(αcosθ)+b
で表されるアフィン変換を施し、DCオフセット、IQゲイン比、直交度ずれが補償された補償済信号a(t)及びb(t)を出力するアフィン変換回路と、
入力された前記補償済信号a(t)及びb(t)をデジタルからアナログへ変換して出力するD/A変換器と、
入力された前記D/A変換器出力に基づき搬送波信号を直交変調し、RF信号を出力する直交変調器と、
入力されたRF信号を電力増幅して出力する電力増幅器と、
入力された前記電力増幅器出力に基づく信号をデジタル直交検波し、デジタル変調部と実質的に等しいIF周波数の複素フィードバック信号I’(t)及びQ’(t) を出力する直交検波回路と、
入力された前記複素IF信号と前記複素フィードバック信号を複素共役乗算し、その偏角を前記複素IF信号と前記複素フィードバック信号との間の位相差分φとして検出し、前記複素フィードバック信号から前記位相回転φを除去して回転除去信号Ir(t)及びQr(t)を出力する位相回転除去回路と、
前記複素フィードバック信号I’(t)及びQ’(t)に残留する線形歪を、DCオフセットのI相成分及びQ相成分、IQゲイン比、直交度ずれに夫々対応する4個の歪係数a’、b’、α、sinθとして抽出する線形歪検出手段と、
前記歪係数を含んだ更新式に従って現在の前記アフィン変換係数を新しい前記アフィン変換係数に更新して前記アフィン変換手段に再設定する係数更新手段と、を備える無線送信機であって、
前記無線送信機が運用中で無いときに線形歪を検出する場合は、前記線形歪検出手段は、I相若しくはQ相上の矩形波からなる試験信号が有する原点を中心に点対称の信号点2点に対し、対応する複素フィードバック信号のIQ平面上での中点を求め、前記中点と原点との距離をDCオフセットの大きさとし、位相を変化させたDCオフセットを前記アフィン変換手段に設定しながら前記中点を検出して、前記中点と原点との距離を最小にするDCオフセットの大きさと位相から前記DCオフセットのI相成分及びQ相成分を決定する処理と、時分割されたI相上の矩形波とQ相上の矩形波からなる試験信号が有する原点を中心に点対称の信号点2点の組に対し、対応する複素フィードバック信号のIQ平面上での各組の2点間の距離を夫々求め、各組の前記2点間の距離に基づいて前記IQゲイン比を決定する処理と、時分割された振幅の異なるI相上の矩形波とQ相上の矩形波からなる試験信号が有する原点を中心に点対称の信号点2点の組に対し、対応する複素フィードバック信号のIQ平面上での各組の2点の連結線が互いに交差する角度の直角からのずれに対応する値を求め、前記直交度ずれを決定する処理と、を行い、
前記無線送信機が運用中に線形歪を検出する場合は、前記線形歪検出手段は前記4個の歪係数を
a’=<Ir(t)>
b’=<Qr(t)>
α’=(<Ir(t)2>/<Qr(t)2>)1/2
sinθ’=−<Ir(t) Qr(t)>/{<Ir(t)2><Qr(t)2>}1/2
(ただし<>は長期間平均値を意味する)により算出し、前記係数更新手段は前記更新式として
an=an−1−μa’
bn=bn−1−μb’
αn=αn−1×(α’)1/m
sinθn=sinθn−1+μsinθ’
cosθn=(1−sin2θn)1/2
tanθn=sinθn/cosθn
を用いること特徴とする無線送信機。 - 入力される複素振幅信号のDCオフセットを補償する補償器において、
前記入力される複素振幅信号のI相成分及びQ相成分にそれぞれDCオフセットのI相補正値及びQ相補正値を与えるDCオフセット補正手段と、
前記DCオフセット補正手段により補正値が与えられた複素振幅信号をフィードバックして当該フィードバック信号のレベルを検出するレベル検出手段と、
前記レベル検出手段により検出されるレベルに基づいて前記DCオフセット補正手段により与える前記I相補正値及び前記Q相補正値を制御する補正値制御手段と、を備え、
前記補正値制御手段は、初期において、IQ平面上に所定間隔で設けられた複数の点の中で、各点のI相成分値及びQ相成分値を前記I相補正値及び前記Q相補正値として前記DCオフセット補正手段に設定した場合に前記入力される複素振幅信号のレベルが0であるときに前記レベル検出手段により検出されるレベルが最小になる点を検索し、以降において、前回に検索された点を今回の中心点とし且つ前記所定間隔を前回と比べて今回には小さくして、当該検索を1回以上行い、そして、最終的に検索された点のI相成分値及びQ相成分値を前記I相補正値及び前記Q相補正値として採用して前記DCオフセット補正手段に設定する、
ことを特徴とする補償器。
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