JP4573929B2 - ポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体組成物、防汚剤組成物、防汚塗膜、防汚処理基材、並びに基材の防汚処理方法 - Google Patents
ポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体組成物、防汚剤組成物、防汚塗膜、防汚処理基材、並びに基材の防汚処理方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、防汚剤組成物、防汚処理基材、並びに基材の防汚処理方法に関し、さらに詳しくは漁網、漁具、船舶または水中構造物など、海水または真水と接触する基材に含浸・塗布すれば優れた防汚性能を発揮し得るような防汚剤組成物、防汚処理基材、並びに基材の防汚処理方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
漁網、水中構造物などは、水中、特に海水中で長期に亘って使用されるため、海水との接触部分に、ヒドロ虫、フサコケムシ、アオサ、アオノリ、セルプラ、カキなど多数の海中生物が付着、繁殖すると、漁網等の本来の機能が損なわれる恐れがある。漁網のなかでも、養殖網や定置網は長期間海水中に静置されるため海中生物の腐食、繁殖が顕著であり、頻繁に取り替えなければならず、経済的損失が大きい。
【0003】
このような問題を解決するために、海中生物の付着防止を目的として、漁網などの表面への防汚剤ないし防汚塗料の塗装が広く行われている。海中生物付着防止法としては、亜酸化銅あるいは有機防汚剤に、これらの防汚剤を適正に溶出させるために下記のような種々の展色剤が配合されたものが挙げられる。
該展色剤としては、
(a):加水分解性樹脂、例えば、有機錫ポリマー、シリルエステルポリマー、あるいはアクリル酸ポリマーのケイ素、銅、亜鉛のアルキルエステルまたはアルコキシエステル;
(b):塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂等に、ロジン、ポリエーテルシリコーン等の親水性樹脂を配合したもの;
(c):シリコーン樹脂、シリコーンオイル、パラフィン、ワックス等のような表面自由エネルギーの低い樹脂等が挙げられる。
【0004】
しかしながら、これらの防汚剤組成物では、満足できる防汚性が得られていない。例えば、加水分解性樹脂(a)の1種である上記有機錫ポリマーでは、毒性が強く、環境への悪影響の恐れがあり、有機錫ポリマー以外の上記加水分解性樹脂(a)、塩化ビニル樹脂等に親水性樹脂を配合したもの(b)では、防汚塗料として単独で使用するには、防汚性に劣り、そのためかなりの量の防汚剤をこれらの展色剤に配合して使用する必要がある。またシリコーン樹脂等の上記低表面エネルギー性樹脂(c)では、船底塗料として用いるには、防汚性、基材表面への付着性の点で不十分であるとの問題点がある。
【0005】
例えば、▲1▼:特公平7−64985号公報には、少なくとも1つの側鎖の末端部に-X-[O-M-R]x(式中、Xは=C=O、=S(=O)2、=P(=O)OH、≡P=O、MはZn、Cu、Te、xは1〜2、Rは−S−C(=S)R1、−O−C(=O)R1、−O−R1等、R1は1価の有機酸残基)で表される基を少なくとも1個有するアクリル樹脂あるいはポリエステル樹脂と、該樹脂が可溶な有機溶剤とからなる金属含有樹脂組成物が開示され、該組成物からなる防汚塗料を塗布すれば、長期間優れた防汚効果等を有する旨記載されている。
【0006】
▲2▼:特公平7−108927号公報には、少なくとも1つの側鎖の末端部に金属エステル結合を介し、生物活性能を有する有機酸が組み込まれたビニル樹脂と該ビニル樹脂の溶剤とからなる生物活性物質徐放性塗膜を得るための塗料用樹脂組成物が開示されている。
▲3▼:特開昭63−128084号公報には、酸基を有する基体樹脂と低沸点有機塩基酸の金属塩(但し、該金属は、アルカリ金属よりイオン化傾向の低い2価以上の金属)、及び高沸点有機一塩基酸とを、低沸点有機塩基酸を系外に除去しつつ加熱反応させて得られる金属含有樹脂組成物をビヒクルとして含む防汚塗料が開示され、高分子トリアルキル錫系塗料と同程度の塗膜消耗度を有し、公衆衛生上も優れる塗膜が得られる旨記載されている。
【0007】
▲4▼:特開平4−80205号公報には、(a)式:「−C(R1)(A−M−(L)m)−CH(R2)−」(R1はH、CH3、アルコキシカルボニル基、R2はH、アルコキシカルボニル基、Aは末端が酸イオンであるペンダント基、Mは遷移金属元素、Lは有機配位子、mは2≦m≦n−1の整数、nはMの配位数。)で表される繰り返し単位と、(b)他のエチレン性不飽和単量体に相当する繰り返し単位を含む共重合体よりなるフィルム形成性高分子金属錯体樹脂が開示され、該樹脂は、配位子の選択により塗膜消耗速度を任意にコントロールでき、防汚塗料用樹脂として有用である旨記載されている。
【0008】
▲5▼:特開平4−80269号公報には、(a)上記特開平4−80205号公報に記載の樹脂(共重合体金属塩)と、(b)該共重合体金属塩へ配位結合し得るアミン、有機酸またはアルコールと、(c)亜酸化銅、ロダン銅等とを含む防汚塗料組成物が開示され、該組成物では、アミン等の(b)成分の反応性が制御され、塗料としての貯蔵安定性が高い旨記載されている。
【0009】
▲6▼:特開平4−80270号公報には、上記▲5▼特開平4−80269号公報に記載のアミン等の(b)成分を、芳香族ニトロ化合物、尿素化合物、有機イオウ化合物などに置換した点以外は上記▲5▼の防汚塗料組成物と同様の防汚塗料組成物が開示され、該組成物においても、この芳香族ニトロ化合物等((b)成分)の反応性が制御され、塗料としての貯蔵安定性が高い旨記載されている。
【0010】
▲7▼:特開平10−298454号公報には、(i)側鎖に-X-[O-Cu-Y](式中、Xは=C=O、=S(=O)2、=P(=O)OH、≡P=O、Yは有機酸残基を示す。)で表される基を有する加水分解性自己研磨型樹脂と、(ii)亜酸化銅、及び(iii)ビス(2−ピリジンチオール-1-オキシド)金属塩(Zn,Cu)を含む防汚塗料組成物が開示されている。また、該樹脂の幹高分子(ベース樹脂)としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられている。また、該公報には、該組成物からなる防汚塗料を塗布すれば、持続的な海棲生物付着阻害性に優れ、また該塗料は貯蔵安定性が良好である旨記載されている。
【0011】
▲8▼:特開平10−298455号公報には、上記▲7▼特開平10−298454号公報に記載の加水分解性自己研磨型樹脂(i)において、Cuに代えてZnを用いた点以外は、上記公報▲7▼に記載の防汚塗料組成物と同様の防汚塗料組成物が開示され、上記公報▲7▼と同様の効果が得られる旨記載されている。
▲9▼:特開平11−29725号公報には、例えば、式「-COOMOCOR1」(MはZn、Cuであり、R1は脂肪族一塩基酸残基)で表される基を側鎖末端部に有する金属エステル含有アクリル樹脂等を含み、特定条件下での塗膜膜厚変化量が10〜50μm/月である塗料組成物が開示され、該組成物からなる塗膜は、毒性が低く、大きな防汚効果が長期間持続でき、摩擦抵抗が低いなどと記載されている。
【0012】
(10):特開平5−171066号公報には、(a)二重結合を2〜3個有し、金属を含有する重合性単量体、(b)水酸基またはアミノ基を有するビニル単量体、(c)共重合可能な他の単量体からなるアクリル系共重合体をビヒクル成分とする防汚塗料組成物が開示され、該組成物からなる塗膜は、長期微水溶性を維持でき、防汚効果を発揮し、魚介類に悪影響を及ぼさない旨記載されている。
【0013】
(11):特開平10−101969号公報には、(a)式:「CH2=C(R1)COOMgR2(式中、R1はH、CH3、R2は有機酸残基)」で表される金属含有単量体と、(b)式:「CH2=C(R1)COOZnR2(式中、R1、R2は同上)」で表される金属含有単量体と、(c)共重合可能な不飽和単量体を重合してなる共重合体をビヒクルとする防汚塗料組成物が開示され、該組成物を用いれば、水中構築物等への海中生物、海藻類の付着を防止できる旨記載されている。
【0014】
(12):特開平10−158547号公報には、(a)二重結合を2個有し、金属を含有する重合性単量体、(b)式「CH2=C(R1)COOMR2(式中、R1はH、CH3、MはMg、Zn、Cu、R2は有機酸残基)」で表される金属含有単量体と、(c)共重合可能な不飽和単量体を重合してなる共重合体をビヒクルとする防汚性塗料組成物が開示され、該組成物を用いれば、水中構築物等への海中生物、海藻類の付着を防止できる旨記載されている。
【0015】
(13):特開昭63−168476号公報には、式「CH2=C(X)COOCnH2n-(Si(CH3)2O)n-Si(CH3)3」(式中、XはH、CH3、nは2〜4、mは平均重合度で0〜70)で示される単量体(a)の1種又は2種以上の重合体、および/または該単量体(a)と共重合しうる他のビニル重合性単量体(b)との共重合体と、防汚剤とを含有する水中防汚被覆剤が開示され、側鎖にこのようなポリジメチルシロキサン基、トリメチルシリ基を有する重合体を含む水中防汚被覆剤は、膜表面の滑り角が非常に小さく、表面張力が低く、強力な表面滑り性を有する塗膜を形成でき、海中生物の付着を物理的に防止できる旨記載されている。
【0016】
(14):特開昭64−4665号公報には、上記(13)特開昭63−168476号公報に記載の単量体(a)において、平均重合度mが70を超える点以外は、上記公報と同様のものが開示され、上記公報(13)と同様の効果が得られる旨記載されている。
(15):特開平4−142373号公報(対応する特許:特許第2140275号)には、高分子中のポリオキシエチレン量(重量%)に基づく親水性親油性バランス(HLB)が2〜10のシリコーンオイルであるオキシアルキレン基含有鎖状オルガノポリシロキサンを含有する防汚塗料が開示され、該公報には、このHLBが2以下では塗膜そのものが撥水性を示し防汚耐久性に劣ると記載されている。しかしながら該公報に記載の防汚塗料を用いると、海草の付着防止効果を有する塗膜を得ることができるが、ヒドロ虫等の腔腸動物の付着防止効果には劣る。
【0017】
かかる問題点を解決するべく鋭意研究して、本願出願人は、(16):特開平9−176576号公報において、高分子中のポリオキシエチレンに基づく親水性親油性バランス(HLB)が2〜7のオキシアルキレン基含有鎖状オルガノポリシロキサンと、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメートとを特定量比で含有する水中防汚剤組成物を提案しており、該組成物からなる塗膜は、漁網、水中構造物等に対するヒドロ虫等の腔腸動物の付着を有効に防止できる。
【0018】
また、本願出願人は、(17):特開平9−176577号において、上記特開平9−176576号公報に記載のオキシアルキレン基含有鎖状オルガノポリシロキサンと、亜酸化銅とを特定量比で含有する水中防汚剤組成物を提案しており、該組成物からなる塗膜は、漁網、水中構造物等に対する貝類、ヒドロ虫、藻類等の水中生物の付着防汚性に優れている。
【0019】
しかしながら、本願出願人が提案したこれら公報に記載の防汚塗料においても、漁網、水中構造物等に対する貝類、ヒドロ虫、藻類等の水中生物の付着防汚性の点でさらなる改良の余地があった。
そこで本発明者らはさらに鋭意研究したところ、ポリマー鎖中にポリシロキサンブロックとアクリル樹脂ブロックとを有し、これらブロックが「-M-OCO-(M:Cu、Zn等の金属原子)」結合を介して結合しているポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体を含む防汚剤組成物を用いるか、あるいは
ポリマー鎖中にポリシロキサンブロックと、「-M-OCO-(M:Cu、Zn等の金属原子)」結合を含有しているアクリル樹脂ブロックとから形成されたポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体を含む防汚剤組成物を用いると、上記問題点を一挙に解決でき、シリコーンのもつ低表面自由エネルギーによる海中生物付着防止効果と、金属エステルの加水分解による研掃性の両特性を有する、優れた防汚性能の塗膜を得ることができることなどを見出して本発明を完成するに至った。
【0020】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、塗布すれば塗膜の表面エネルギーが低いため海中生物が塗膜表面に付着しにくく(低表面付着性)、しかも塗膜が適度の加水分解性を有し表面研掃性をも兼備し、ヒドロ虫等の腔腸動物や海草などの水中生物に対して優れた防汚性を発揮しうる防汚塗膜を形成できる防汚剤組成物を提供することを目的としている。
【0021】
また本発明は、上記のように各種の水中生物に対して優れた防汚性を発揮しうる防汚塗膜を有する漁網、船舶、水中構造物などの防汚処理基材、並びに基材の防汚処理方法を提供することを目的としている。
【0022】
【発明の概要】
本発明に係る第1のポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体組成物は、ポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体[A]と、該ポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体[A]を溶解可能な溶媒[B]とを含有し、上記ポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体[A]は、ポリシロキサンブロックと、アクリル樹脂ブロックと、式[II]:−M−OCO−(GCOO)r−(CH2)p− ・・・・・[II]
(式[II]中、MはCu、Zn、Mgから選択される2価の金属原子を示し、Gは二価の炭化水素基を示し、rは0または1を示し、pは0〜5の整数を示す。)で表される金属含有結合(iii)とを有し、上記金属含有結合が、上記ポリシロキサンブロックとアクリル樹脂ブロックとの間に存在しているか、あるいは上記アクリル樹脂ブロックに存在しているブロック共重合体であって、
(イ)上記金属含有結合(iii)が、上記ポリシロキサンブロックとアクリル樹脂ブロックとの間に存在している場合には、
金属含有結合(iii)中の一方端のMは、上記アクリル樹脂ブロック中のカルボキシル基を介してアクリル樹脂ブロックと結合し、また、この金属含有結合(iii)中の他端は、カルボキシル基を介して上記ポリシロキサンブロック中のSi原子と結合し、
また、(ロ)上記金属含有結合(iii)が、上記アクリル樹脂ブロックに存在している場合には、該アクリル樹脂ブロック中のカルボキシル基を介して金属含有結合中の一方端のMと結合し、また、この金属含有結合(iii)中の他端は、一価の有機基と結合しており、
該ブロック共重合体の極限粘度[η](キシレン/n−ブタノールの重量比が4/1の混合溶媒中で測定)が0.002〜1.5dl/gである。
【0023】
このような第1のポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体組成物中のポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体[A]としては、下記の第2〜第3のポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体組成物中のポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体[A-1]、[A-2]が好ましい。
本発明に係る第2のポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体組成物は、
[A-1]
式[I]:
【0024】
【化5】
【0025】
(式[I]中、R1、R2は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル基を示し、m1は5〜7000の数を示し、n1は0〜50の数を示す。)で表されるポリシロキサンブロック(i)と、アクリル樹脂ブロック(ii)とが、
式[II]:−M−OCO−(GCOO)r−(CH2)p− ・・・・・[II]
(式[II]中、Mは2価の金属原子を示し、Gは二価の炭化水素基を示し、rは0または1を示し、pは0〜5の整数を示す。)
で表される金属含有結合(iii)を介して結合したブロック共重合体であって、
該ブロック共重合体の極限粘度[η](キシレン/n−ブタノールの重量比が4/1の混合溶媒中で測定)が0.002〜1.5dl/gであるポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体、及び
[B]該ポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体[A-1]を溶解可能な溶媒
を含むことを特徴としている。
【0026】
本発明に係る上記ポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体組成物は、上記ポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体[A]あるいは[A-1]が、
下記式[III-a]:
【0027】
【化6】
【0028】
(式[III-a]中、R3は、水素原子またはメチル基を示し、R4は、ヒドロキシ基、炭素数1〜5のアルコキシ基またはアミノ基で置換されていてもよい炭素数1〜18の炭化水素基を示し、m2は1〜1000の数を示し、kは1〜10の数を示し、R1、R2は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル基を示し、m1は5〜7000の数を示し、n1は0〜50の数を示し、Mは2価の金属原子を示し、pは0〜5の整数を示す。
)
で表され、
該ブロック共重合体の極限粘度[η](キシレン/n−ブタノールの重量比が4/1の混合溶媒中で測定)が0.005〜1.5dl/gであることが好ましい。
【0029】
本発明に係る上記ポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体組成物は、上記ポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体[A]あるいは[A-1]が、
下記式[III-b]:
【0030】
【化7】
【0031】
(式[III-b]中、R3は、水素原子またはメチル基を示し、R4は、ヒドロキシ基、炭素数1〜5のアルコキシ基またはアミノ基で置換されていてもよい炭素数1〜18の炭化水素基を示し、m2は1〜1000の数を示し、kは1〜10の数を示し、R1、R2は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル基を示し、m1は5〜7000の数を示し、n1は0〜50の数を示し、Mは2価の金属原子を示し、Gは2価の炭化水素基を示し、pは0〜5の整数を示す。)
で表され、
該ブロック共重合体の極限粘度[η](キシレン/n−ブタノールの重量比が4/1の混合溶媒中で測定)が0.005〜1.5dl/gであることが好ましい。
【0032】
本発明に係る第3のポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体組成物は、
[A-2]
下記式[IV]:
【0033】
【化8】
【0034】
(式[IV]中、R3は、水素原子またはメチル基を示し、R4は、ヒドロキシ基、炭素数1〜5のアルコキシ基またはアミノ基で置換されていてもよい炭素数1〜18の炭化水素基を示し、Mは2価の金属原子を示し、R5は1価の有機基を示し、kは1〜50の数を示し、m2は1〜1000の数を示し、n2は1〜10の数を示し、
R1、R2は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル基を示し、m1は5〜7000の数を示し、n1は0〜50の数を示し、pは0〜5の整数を示す。)
で表されるブロック共重合体であって、
該ブロック共重合体の極限粘度[η](キシレン/n−ブタノールの重量比が4/1の混合溶媒中で測定)が0.002〜1.5dl/gであるポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体、及び
[B]該ポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体[A-2]を溶解可能な溶媒
を含むことを特徴としている。
【0035】
本発明に係る第1〜第3のポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体組成物(以下、これらをまとめて、単にポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体組成物、ブロック共重合体組成物、共重合体組成物などとも言う。)においては、上記式[I]、[III-a]、[III-b]、[IV]中、R1、R2が同一の基であることが望ましい。
【0036】
本発明においては、上記式[I]、[III-a]、[III-b]、[IV]中、R2がメチル基であることが望ましい。
本発明に係る防汚剤組成物は、上記何れかに記載のポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体[A]、[A-1]、[A-2]を含有し、これらブロック共重合体を、通常、10重量%以上、好ましくは、20〜50重量%の量で含有することを特徴としている。
【0037】
また、本発明においては、さらに、(b)銅および/または無機銅化合物を含有することが好ましく、特にこの銅および/または無機銅化合物(b)は、亜酸化銅またはロダン銅であることが望ましい。本発明においては、このような銅および/または無機銅化合物(b)を、組成物中に1〜50重量%の量で含有することが好ましい。
【0038】
本発明においては、上記何れの態様においても、さらに、(c)有機防汚剤を含有することが好ましい。
本発明においては、上記有機防汚剤(c)が、金属ピリチオン塩系化合物、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメイト、トリフェニルボランのアミン錯体、テトラエチルチウラムジスルフィド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、アルキルフェニルジクロロマレイミド、クロロメチル−n−オクチルジスルフィッド、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルSトリアジン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルからなる群から選択される1種または2種以上であることが望ましい。
【0039】
また、上記金属ピリチオン塩系化合物は、銅ピリチオンおよび/またはジンクピリチオンであることが望ましい。また、上記トリフェニルボランのアミン錯体は、トリフェニルボランピリジン錯体および/またはトリフェニルボランアルキルアミン錯体であることが好ましい。
本発明においては、上記有機防汚剤(c)を、該組成物中に1〜20重量%の量で含有することが好ましい。
【0040】
本発明に係る防汚塗膜は、上記の何れかに記載の防汚剤組成物から形成されたことを特徴としている。
本発明に係る防汚処理基材は、海水または真水と接触する漁網、漁具、船舶または水中構造物に代表される基材の表面が、上記の何れかに記載の防汚剤組成物からなる塗膜、すなわち、該防汚剤組成物を塗布あるいは含浸し、硬化してなる被膜にて被覆されていることを特徴としている。
【0041】
本発明に係る基材の防汚方法は、海水または真水と接触する基材の表面に、上記の何れか記載の防汚剤組成物を塗布あるいは含浸させ、該基材の表面に防汚塗膜を形成させることを特徴としている。
本発明によれば、漁網、漁具、船舶または水中構造物など、海水または真水と接触する基材に含浸・塗布すれば、ヒドロ虫等の腔腸動物や海草などの各種海中生物に対し優れた防汚性を示す防汚塗膜を形成できる防汚剤組成物が提供される。
【0042】
本発明に係る防汚処理基材は上記のような防汚塗膜で被覆されており、上記防汚性能を発揮できる。本発明によれば、環境への安全性に優れ、効率的に上記防汚塗膜付き基材を得ることのできる、基材の防汚処理方法が提供される。
【0043】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係るポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体組成物、防汚剤組成物、防汚処理基材、並びに基材の防汚処理方法について具体的に説明する。
<ポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体組成物>
本発明に係るポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体組成物には、下記のポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体(ブロック共重合体とも言う。)[A](好ましくは下記のポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体[A-1]または[A-2])と、これらのブロック共重合体を溶解可能な溶媒[B]とが含有されている。
【0044】
<ブロック共重合体 [ A ] 、[A -1 ]、[A -2 ]>
このブロック共重合体[A]は、ポリシロキサンブロックと、アクリル樹脂ブロックとを有し、
式[II]:−M−OCO−(GCOO)r−(CH2)p− ・・・・・[II]
(式[II]中、Mは2価の金属原子を示し、Gは二価の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜36、特に炭素数4〜27の二価炭化水素基を示し、rは0または1を示し、pは0〜5の整数を示す。)
で表される金属含有結合(iii)が、(イ)上記ポリシロキサンブロックとアクリル樹脂ブロックとの間に存在しているか、あるいは(ロ)上記アクリル樹脂ブロックに存在している。
【0045】
上記式[II]で表される金属含有結合(iii)として、より具体的には、(a)「−M−OCO−GCOO−(CH2)p−」、(b)「−M−OCO−(CH2)p−」、(c)「−M−OCO−GCOO−」、(d)「−M−OCO−」(但し、M、G、pの意味は上記に同じ。)等が挙げられる。
またこのような金属含有結合(iii)がポリシロキサンブロックとアクリル樹脂ブロックとの間に存在するもの(イ)としては、例えば、式[III-a]で示すように、上記アクリル樹脂ブロックのカルボキシル基(COO基)を介して(b)「−M−OCO−(CH2)p−」が結合し、さらに式[I]で示すようなポリシロキサンブロックが結合したもの;
式[III-b]で示すように、上記アクリル樹脂ブロックのカルボキシル基(COO基)を介して(a)「−M−OCO−GCOO−(CH2)p−」が結合し、さらに「−O(CH2)p−」が結合し、これに式[I]で示すようなポリシロキサンブロックが結合したもの;
等が挙げられる。
【0046】
また、金属含有結合(iii)が上記アクリル樹脂ブロックに存在しているもの(ロ)としては、式[IV]で示すように、上記アクリル樹脂ブロックに存在するカルボキシル基(COO基)の一部を介して(d)「−M−OCO−」が結合し、これにバーサチック酸等の有機酸残基(有機基)が結合すると共に、また上記アクリル樹脂ブロックの他のカルボキシル基に「−(CH2)p−」を介して式[I]で示すようなポリシロキサンブロックが結合したもの;
等が挙げられる。
【0047】
すなわち、本発明で好ましく用いられる上記ブロック共重合体[A-1]は、
式[I]:
【0048】
【化9】
【0049】
(式[I]中、R1、R2は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル基を示し、m1は5〜7000の数を示し、n1は0〜50の数を示す。)で表されるポリシロキサンブロック(i)と、アクリル樹脂ブロック(ii)とが、
式[II]:−M−OCO−(GCOO)r−(CH2)p− ・・・・・[II]
(式[II]中、Mは2価の金属原子を示し、Gは二価の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜36、特に炭素数4〜27の二価炭化水素基を示し、rは0または1を示し、pは0〜5の整数を示す。)
で表される金属含有結合(iii)を介して結合したブロック共重合体[A-1]である。
【0050】
本発明においては、上記ブロック共重合体[A-1]としては、より具体的には、下記式[III-a]または[III-b]の何れかで表されるものであることが望ましい。
式[III-a]:
【0051】
【化10】
【0052】
式[III-a]中、R3は、水素原子またはメチル基を示し、R4は、ヒドロキシ基、炭素数1〜5のアルコキシ基またはアミノ基で置換されていてもよい炭素数1〜18の炭化水素基を示す。
このような炭化水素基としては、具体的には、炭素数が1〜18のアルキル基、アリール基好ましくは炭素数が6〜15のアリール(aryl)基、アラルキル基好ましくは炭素数が7〜15のアラルキル基(アリールアルキル基)等が挙げられる。
【0053】
上記炭素数1〜18のアルキル基としては、直鎖状、分岐状の何れでもよく、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、t-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、ペンタデシル基、ステアリル基などの炭素数1〜18のアルキル基が挙げられる。
これらのアルキル基のうちでは、炭素数が1〜8のものが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n-ブチル基が望ましい。
【0054】
炭素数が6〜15のアリール(aryl)基としては、未置換の芳香族基の他、その水素原子の一部が炭素数1〜3程度のアルキル基で置換されていても良い芳香族基が挙げられ、具体的には、例えば、フェニル基、トリル基(CH3C6H4−)、キシリル基(CH3)2C6H3−)、ビフェニリル基(C6H5C6H4−)、ナフチル基(C10H7−)、アントリル基(C14H9−)、フェナントリル基(C14H9−)等が挙げられる。これらのアリール基のうちでは、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、フェニル基が望ましい。
【0055】
炭素数が7〜15のアラルキル基(アリールアルキル基)としては、具体的には、例えば、ベンジル基(C6H5CH2−)、フェネチル基(C6H5CH2CH2−)等が挙げられる。
m2は1〜1000の数を示し、kは1〜10の数を示す。
上記R1、R2は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜5の上記アルキル基またはフェニル基を示す。m1は5〜7000の数を示し、n1は0〜50の数を示す。
【0056】
Mは2価の金属原子を示し、例えば、Zn、Cu、Mg等が挙げられ、中でもZn、Cuが好ましい。
pは0〜5の整数を示す。
このようなブロック共重合体[III-a]として、具体的には、例えば、
式[III-a-1]:
【0057】
【化11】
【0058】
(なお、各符号の意味は[III-a]に同じ。)などが挙げられる。
またこのようなブロック共重合体[III-a]を得るには、例えば、下記のようにすればよい。
すなわち、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとを触媒および/または溶剤の存在下に、通常、60〜100℃の温度で4〜8時間保持して共重合させ、アクリル樹脂ブロック(ポリマー)を形成させる。
【0059】
このアクリル樹脂ブロックに亜鉛、銅等の2価金属を介してエステル結合(金属塩結合)により、カルボン酸基(カルボキシル基)を有するシリコーン(シリコーンマクロモノマー)などを結合させればよい。
なお、この際には該2価金属は、通常、酸化物、水酸化物、有機酸化物として用いることができ、例えば、亜鉛華、水酸化亜鉛、酢酸第2銅、水酸化第2銅等が挙げられる。
【0060】
また、上記アクリル樹脂ブロックを形成する際には、(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸エステルとして、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル等が挙げられる。
上記触媒としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、等通常のアクリル用重合触媒が挙げられる。
【0061】
溶剤としては、例えば、n−ブタノール等のアルコール類とそれ以外の溶剤例えば、キシレン等とを併用することが好ましい。このような溶剤としては、後述する溶剤[B]が挙げられる。
上記カルボキシル基を有するシリコーンのカルボキシル基の当量数は、通常500〜10000g/モル、好ましくは、1000〜5000g/モルである。
【0062】
上記のようなブロック共重合体[A]、好ましくは[A-1]の極限粘度[η](キシレン/n−ブタノールの重量比が4/1の混合溶媒中で測定)は、通常、0.002〜1.5dl/g、好ましくは0.005〜1.5dl/g、さらに好ましくは0.01〜1.5dl/g、特に好ましくは0.05〜0.5dl/gであることが望ましい。
【0063】
また、本発明においては、上記ブロック共重合体[A]好ましくは[A-1]の数平均分子量(Mn)は、通常、2000〜500000、好ましくは、3000〜50000であることが望ましい。このような数平均分子量のブロック共重合体[A]、好ましくは[A-1]を用いると、得られる防汚剤組成物(水中防汚剤組成物)を塗布硬化してなる塗膜では、適度の加水分解性と、低表面自由エネルギー性を示すため、この塗膜は、長期に亘って優れた防汚性を示す。
【0064】
また、本発明のポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体においては、主鎖となるアクリル樹脂ブロックの分子量は通常、1500〜500000、好ましくは、2000〜50000程度であり、その酸価は通常70〜190、好ましくは、90〜150である。この酸価が70より小さいと加水分解による溶出が少なく、190より大きいと溶出過多となる。
【0065】
この主鎖となるアクリル樹脂ブロック対し、側鎖となるシリコーンモノマー(ポリシロキサン、ポリシロキサンブロック)の分子量は、通常約1000〜10000、好ましくは、1500〜5000程度である。
本発明で好ましく用いられる上記ブロック共重合体[III-b]は、下記式で示される。
【0066】
式[III-b]:
【0067】
【化12】
【0068】
(式[III-b]中、R3は、水素原子またはメチル基を示し、R4は、ヒドロキシ基、炭素数1〜5のアルコキシ基またはアミノ基で置換されていてもよい炭素数1〜18の炭化水素基を示し、m2は1〜1000の数を示し、kは1〜10の数を示し、R1、R2は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル基を示し、m1は5〜7000の数を示し、n1は0〜50の数を示し、Mは2価の金属原子を示し、Gは2価の炭化水素基を示し、pは0〜5の整数を示す。)。
【0069】
上記のようなブロック共重合体[III-b])の各略号の具体的内容、極限粘度[η]、数平均分子量(Mn)は、上記ブロック共重合体[III-a]と同様である。
このようなブロック共重合体[III-b]として、具体的には、例えば、
式[III-b-1]:
【0070】
【化13】
【0071】
(但し、Gは二価炭化水素基であり、2塩基酸残基ともいう。)
などが挙げられる。
またこのようなブロック共重合体[III-b]を得るには、例えば、下記のようにすればよい。
すなわち、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとを、上記触媒および/または溶剤の存在下に上記と同様な温度及び時間保持して共重合させ、アクリル樹脂ブロック(ポリマー)▲1▼を形成させる。
【0072】
一方2塩基酸(例:リノール酸−アクリル酸付加物)と、ヒドロキシアルコキシアルキルポリジメチルシロキサン(例:ヒドロキシエトキシプロピルポリジメチルシロキサン)とを理論的には等モル量、通常、2塩基酸/該ポリジメチルシロキサン(モル比)=0.8〜1.2で反応させ、エステル▲2▼を形成させる。
次いで、これらポリマー▲1▼のカルボン酸基(カルボキシル基)と、エステル▲2▼のカルボン酸基とを、エステル交換又はエステル化反応により、亜鉛、銅などの二価金属原子を介してエステル結合(カルボン酸の金属塩結合)させればよい。
【0073】
なお、ヒドロキシアルコキシアルキルポリジメチルシロキサンとしては、例えば、ヒドロキシエトキシプロピルポリジメチルシロキサン、ヒドロキシプロポキシプロピルポリジメチルシロキサン等が挙げられる。これらのヒドロキシアルキル基含有アルコキシポリジメチルシロキサンの分子量は、約1000〜10000、好ましくは、2000〜5000程度である。
【0074】
また本発明においては、上記ブロック共重合体[A-2]は、下記式[IV]で表されるものであっても良い。
式[IV]:
【0075】
【化14】
【0076】
(式[IV]中、R3は、水素原子またはメチル基を示し、R4は、ヒドロキシ基、炭素数1〜5のアルコキシ基またはアミノ基で置換されていてもよい前記と同様の炭素数1〜18の炭化水素基を示し、Mは前記と同様の2価の金属原子を示し、R5は1価の有機基を示し、kは1〜50の数を示し、m2は1〜1000の数を示し、n2は1〜10の数を示し、
R1、R2は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル基を示し、m1は5〜7000の数を示し、n1は0〜50の数を示し、pは0〜5の整数を示す。)。
【0077】
なお、本発明においては、上記各式[I]、[III-a]、[III-b]、[IV]中に存在する各成分単位の結合順序は任意であり、例えば、各構成単位が任意の順序で結合して、その合計個数がそれぞれ所定の値となるように存在していてもよい。
本発明においては、該ブロック共重合体[A-2]の各略号の具体的内容は上記に同じであり、極限粘度[η](キシレン/n−ブタノールの重量比が4/1の混合溶媒中で測定)は、通常、0.002〜1.5dl/g、好ましくは0.05〜1.5dl/g、さらに好ましくは0.01〜1.5dl/g、特に好ましくは、0.02〜0.5dl/gであることが望ましい。
【0078】
このようなブロック共重合体[A-2]の数平均分子量(Mn)は、通常、2000〜500000、好ましくは、3000〜50000である。このような数平均分子量のブロック共重合体[A-2]を用いると、得られる防汚剤組成物(水中防汚剤組成物)を塗布硬化してなる塗膜では、適度の加水分解性と低表面自由エネルギー性を示すため、この塗膜は、長期に亘って優れた防汚性を示す。
【0079】
このようなブロック共重合体[A-2]として、具体的には、例えば、
式[IV-1]:
【0080】
【化15】
【0081】
等が挙げられる。
またこのようなブロック共重合体[A-2]を得るには、例えば、下記のようにすればよい。
すなわち、例えば、上記したような(メタ)アクリル酸と、(メタ)アクリル酸エステル(例:(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル)と、(メタ)アクリロキシ基(または(メタ)アクリロキシアルキル基)を有するシリコーンマクロモノマー[IV−aa]:
【0082】
【化16】
【0083】
(式[IV-aa]中、R2、m1、n1は式[IV-1]に同じであり、m1は5〜7000の整数を示し、n1は0〜50の数を示し、R2はメチル基等を示す。R8は(メタ)アクリロキシアルキル基を示す。)
とを、上記触媒(例:アゾビスイソブチロニトリル)および/または溶剤(例:キシレン、n−ブタノール)等の存在下に、通常、60〜100℃の温度で4〜10時間程度反応させ、下記のような共重合体を得る。
式(共重合体)[IV-bb]:
【0084】
【化17】
【0085】
(式[IV-bb]中、各符号は上記に同じ。)
次いで、該共重合体[IV-bb]と、例えば金属酸化物(例:亜鉛華)とを、80〜120℃の温度で3〜8時間保持し、該共重合体のカルボキシル基(COOH部位)に、Zn、Cu等の二価金属のエステル結合(カルボン酸の金属塩結合)を形成させればよい。なお、該金属は、通常、上記のように酸化物、水酸化物、有機酸化物の形で用いられる。
【0086】
上記(メタ)アクリロキシ基(または(メタ)アクリロキシアルキル基)を有するシリコーン(マクロ)モノマーとしては、例えば、上記式[III-aa]で示すようにポリジメチルシロキサンの片末端に(メタ)アクリロイルオキシ基を有していてもよく、またポリジメチルシロキサンの両末端あるいは側鎖に(メタ)アクリロイルオキシ基を有していてもよい。
【0087】
本発明のポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体においては、主鎖となるアクリル樹脂ブロックの分子量は通常、2000〜500000、好ましくは、3000〜50000程度であり、その酸価は通常70〜190、好ましくは、90〜150である。この酸価が70より小さいと加水分解による溶出が少なく、190より大きいと溶出過多となる。
【0088】
この主鎖となるアクリル樹脂ブロック対し、側鎖となるシリコーンモノマー(ポリシロキサン、ポリシロキサンブロック)の分子量は、通常約800〜20000、好ましくは、1000〜5000程度である。
<ブロック共重合体を溶解可能な溶媒[B]>
溶剤[B]としては、上記ブロック共重合体[A]、[A-1]、[A-2]を溶解可能な溶媒である限り、特に制限されず使用できる。なお、本発明において、「上記ブロック共重合体を溶解可能」とは、該溶媒100ml中に、20℃の温度で、該共重合体(固形分)を300g以上溶解しうることを意味する。
【0089】
このような溶剤[B]としては、キシレン、トルエン等の芳香族系有機溶剤;
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;
エタノール、イソプロピルアルコール,n−ブタノール、イソブタノール等の脂肪族(炭素数1〜10、好ましくは2〜5程度)の1価アルコール類;
酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;
等が挙げられる。
【0090】
これらの溶剤[B]は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
特に、本発明においては、上記のアルコール系溶剤と、非アルコール系溶剤(例:芳香族系有機溶剤、ケトン類等)とを組み合わせて用いることが望ましい。
このようにアルコール系溶剤と、非アルコール系溶剤とを組み合わせて用いると、溶解性がいっそう向上する傾向がある。
【0091】
これらの溶剤[B]は、本発明のポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体組成物中に、通常、20〜80重量%、好ましくは、30〜70重量%の量で含まれている。また、上記ブロック共重合体の合計([A]、[A-1]及び[A-2])100重量部に対して、この溶剤[B]は、通常、特に制限されないが、好ましくは20〜80重量部、より好ましくは30〜70重量部の量で含まれている。
【0092】
このようなポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体組成物は、シリコーンのもつ低表面自由エネルギーによる海中生物付着防止能と金属エステルの加水分解性に由来する研掃性能との両特性を備えたポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体を含有しているため、防汚剤を添加することなくそのまま防汚剤組成物として用いても十分に優れた防汚性能を発揮しうる。本発明においては、さらなる性能向上のために、該ブロック共重合体組成物に、所望により、さらに後述する防汚剤、体質顔料、着色顔料、タレ止め剤、その他の展色剤(被膜形成成分)、吸水性樹脂、可塑剤(例:塩素化パラフィンなど)等を配合して防汚剤組成物として用いてもよい。
【0093】
<防汚剤組成物>
本発明に係る防汚剤組成物は、上記記載のポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体[A]、好ましくは[A-1]または[A-2]を含有し、その他、必要により下記の防汚剤など種々の成分を含有でき、また上記溶剤などを含有し得るが、本発明の防汚剤組成物では、該ブロック共重合体[A]、好ましくは[A-1]または[A-2]を通常、20重量%以上、好ましくは、30〜80重量%の量で、換言すればこれらのブロック共重合体を固形分として10〜80重量%、好ましくは、20〜50重量%の量で含有している。
【0094】
本発明に係る防汚剤組成物には、上記したように防汚剤が含まれていても良い。
<防汚剤>
防汚剤としては、(b)銅および/または無機銅化合物、(c)有機防汚剤等が挙げられる。
【0095】
上記「銅および/または無機銅化合物」(b)のうちで無機銅化合物(単に銅化合物とも言う。)としては、無機系の銅化合物の何れであってもよく、例えば、亜酸化銅、チオシアン化銅(チオシアン酸第一銅、ロダン銅)、塩基性硫酸銅、塩基性酢酸銅、塩基性炭酸銅、水酸化第二銅などが挙げられ、好ましくは亜酸化銅、ロダン銅が用いられる。このような銅化合物は、特に白色塗料以外の着色塗料に好ましく用いられる。
【0096】
このような無機銅化合物は、銅に代えて、あるいは銅と共に1種または2種以上組合わせて用いることができる。
このような銅および/または無機銅化合物(b)は、本発明の防汚剤組成物中のポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体(塗膜形成性固形分)100重量部に対して、通常、50〜5000重量部、好ましくは200〜2000重量部の量で含まれていることが望ましい。また防汚剤組成物(塗料組成物)100重量%中に、該銅および/または無機銅化合物(b)は、合計で通常、1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%の量で含まれていることが望ましい。
【0097】
この銅および/または無機銅化合物(b)の含有量が上記の範囲にあると、得られる防汚塗膜は防汚性に優れる傾向がある。
上記有機防汚剤(c)としては、金属ピリチオン塩系化合物、カーバメイト系の化合物、トリフェニルボランのアミン錯体、テトラメチルチウラムスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、アルキルフェニルジクロロマレイミド、クロロメチル−n−オクチルジスルフィッド、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルSトリアジン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル等が挙げられる。
【0098】
このうち上記金属ピリチオン塩系化合物としては、より具体的には、下記式[w]で示される金属−ピリチオン類[式中R1 〜R4は、それぞれ独立に水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基を示し、Mは、Cu、Zn、Na、Mg、Ca、Ba、Pb、Fe、Al等の金属を示し、nは価数を示す]:
【0099】
【化18】
【0100】
が挙げられる。
これらのうちでは、銅ピリチオン、ジンクピリチオンが好ましい。
カーバメート系の化合物としては、例えば、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメイト、ジンクジメチルジチオカーバメート、マンガン-2-エチレンビスジチオカーバメート等が挙げられ、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメイトが好ましく用いられる。
【0101】
上記トリフェニルボランのアミン錯体としては、具体的には、例えば、トリフェニルボランピリジン錯体、トリフェニルボランアルキルアミン錯体(アルキル基の炭素数:通常3〜30)、が挙げられ、なかでも、トリフェニルボランピリジン錯体、上記トリフェニルボランアルキルアミン錯体が好ましい。
これらの有機防汚剤(c)のうちでは、金属ピリチオン塩系化合物、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメイト、トリフェニルボランのアミン錯体、テトラエチルチウラムジスルフィド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、アルキルフェニルジクロロマレイミド(アルキル基の炭素数:通常1〜5)、クロロメチル−n−オクチルジスルフィッド、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルSトリアジン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルが好ましい。
【0102】
これらの有機防汚剤(c)は、1種または2種以上組み合わせて用いられる。
このような有機防汚剤(c)を含む防汚剤組成物においては、銅および/または無機銅化合物(b)と共に、あるいは銅および/または無機銅化合物(b)に代えて、上記有機防汚剤(c)が通常、1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%の量で含まれていることが望ましい。またこの有機防汚剤(c)は、本発明の防汚剤組成物中のポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体(塗膜形成性固形分)100重量部に対して、通常、10〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部の量で含まれていることが望ましい。このような量で、銅および/または無機銅化合物(b)と共に上記有機防汚剤(c)が防汚剤組成物中に含まれていると、得られる防汚塗膜は、広範な船舶付着生物に対していっそう優れた防汚性能を長期継続的に発揮できる傾向がある。
【0103】
<その他の成分>
本発明に係る防汚剤組成物中に、上述したポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体(ブロック共重合体)、さらには前記防汚剤の他に、展色剤を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。この展色剤としては、例えば、アクリル樹脂、ビニル樹脂、変性ビニル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられ、好ましくはアクリル樹脂が用いられる。これらの展色剤用の樹脂は、防汚剤組成物(水中防汚剤組成物)の塗膜に強度を与えるとともに防汚剤の溶出を抑制する効果がある。したがって、これらの樹脂は、防汚剤組成物の塗膜に長期に亘って防汚性を発揮させる場合などに有効である。
【0104】
また、本発明に係る防汚剤組成物中に、液状ないし固形であって、何れも撥水性を有するポリオレフィン類、パラフィン類およびロジンから選ばれる少なくとも1種の成分を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
上記液状ないし固形の撥水性を有するポリオレフィン類としては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどが挙げられる。中でも、数平均分子量が200〜1000のポリブテンが好ましい。このようなポリブテンは、たとえば日本石油株式会社よりLV−5、LV−10、LV−25、LV−50、LV−100等の商品名で市販されている。このようなポリオレフィン類は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0105】
また、上記撥水性のパラフィン類としては、具体的には、流動パラフィン、パラフィンワックス、塩化パラフィンなどが挙げられる。これらのパラフィン類は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
上記のようなポリオレフィン類、パラフィン類およびロジンの少なくとも1種の成分を、本発明に係る防汚剤組成物中に配合すると、防汚剤と上記ブロック共重合体のみからなる防汚剤組成物からなる塗膜が発揮する優れた防汚性能を維持でき、しかも防汚剤組成物のコストダウンを図ることができる。
【0106】
また、本発明に係る防汚剤組成物には、必要に応じて、一般の防汚塗料に配合される体質顔料、着色顔料、タレ止め剤、溶剤、可塑剤等を配合してもよい。
防汚剤組成物の調製
本発明に係る防汚剤組成物は、常法に従って調製することができる。例えば、本発明に係る防汚剤組成物は、上記ブロック共重合体[A-1]または[A-2]、必要に応じて防汚剤、有機溶剤、アクリル樹脂、ビニル樹脂、変性ビニル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合樹脂、ポリエステル樹脂、液状ないし固形の撥水性を有するポリオレフィン類(例:ポリブテン、ポリイソブチレン)、可塑剤(例:塩素化されていても良いパラフィン類、リン酸トリクレジル、フタル酸ジアルキル)、ワックス、ロジン、体質顔料、着色顔料、タレ止め剤などを、ボールミル等を用いて混合分散することにより得ることができる。
【0107】
漁具、漁 網
本発明に係る防汚剤組成物は、上述したように、フジツボ等の蔓脚類、イガイ等の貝類および腔腸動物の1種であるヒドロ虫類等に対して優れた防汚性を発揮する塗膜を形成することができるため、釣り糸等の漁具、漁網に対する防汚処理に適している。
【0108】
漁具、漁網の防汚処理は、例えば、本発明に係る防汚剤組成物中に漁具、漁網などを浸漬したり、漁具、漁網に防汚剤組成物を塗布することにより行なわれる。このような防汚処理を行うと、防汚剤組成物を漁具、漁網内部に含浸させることができるとともに漁具、漁網表面に付着させることができる。
船体および水中構造物
本発明に係る防汚剤組成物は、フジツボ等の蔓脚類、イガイ等の貝類、および腔腸動物例えばヒドロ虫類等に対して優れた防汚性を発揮する塗膜を形成することができるため、船体および水中構造物に対する防汚処理への利用も期待できる。
【0109】
船体および水中構造物の防汚処理は、船体または水中構造物表面に、本発明に係る防汚剤組成物を塗布することにより行なわれる。
【0110】
【発明の効果】
本発明に係るポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体組成物(ブロック共重合体組成物)、及び防汚剤組成物には、ポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体が配合されており、このブロック共重合体はシリコーンの持つ低表面自由エネルギーによる海中生物付着防止効果と、金属エステルの加水分解による研掃性との両特性を併有しているため、この本発明に係るポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体組成物、防汚剤組成物を用いれば、藻類、フジツボ、貝類(例:イガイ等)および腔腸動物(例:ヒドロ虫類)などの水中生物に対して優れた防汚性を示す塗膜を基材例えば、漁具、漁網、船体、水中構造物などの表面に形成することができる。上記のような効果を有する、本発明に係る防汚剤組成物は、漁具、漁網の防汚処理に好適であり、船体、水中構造物などの防汚処理への利用も期待できる。
【0111】
本発明に係る基材の防汚処理方法によれば、海水または真水と接触する基材の表面、例えば、漁具、漁網、水中構造物などの表面に、上記防汚剤組成物を含浸、塗布させて、環境汚染を引き起こすことなく効率的かつ経済的に被膜を形成させることができ、藻類、フジツボ、イガイに代表される貝類、および、ヒドロ虫類に代表される腔腸動物などの水中生物の付着を有効に防止することができる。
【0112】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により何ら制限されるものではない。なお、以下の合成例、実施例において、「部」とは、特にその趣旨に反しない限り、「重量部」の意味である。
【0113】
【ポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体の合成例1】
攪拌機、還流冷却器、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、キシレン120部、n−ブタノール30部を仕込み90℃に昇温した。
次いで、このフラスコ内にアクリル酸16部、メタクリロキシプロピルポリジメチルシロキサン(数均分子量約5000)を43部、エチルアクリレート8.3部、ブチルアクリレート30部、アゾビスイソブチロニトリル3部の混合液を1.5時間かけて滴下し、滴下後、約4時間この温度(90℃)を保持して、固形分39.7%、粘度2ポイズ、固形分酸価110のワニスA1を得た。
【0114】
上記と同様の装置に、このワニスA1を250部、ナフテン酸60部、亜鉛華16.1部、水3.5部を仕込み、90℃の温度で3時間保持した後、110〜120℃の温度に1時間かけて昇温して、3時間この温度で保持するとともに、生ずる反応水を分離し、固形分53.5%、粘度3ポイズ(極限粘度[η]:0.060dl/g)のワニスAを得た。
【0115】
【ポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体の合成例2】
攪拌機、還流冷却器、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、キシレン120部、n−ブタノール30部を仕込み90℃に昇温した。
次いで、このフラスコ内にアクリル酸19部、メタクリロキシプロピルポリジメチルシロキサン(数平均分子量約1000)を52部、エチルアクリレート26部、アゾビスイソブチロニトリル3部の混合液を1.5時間かけて滴下し、滴下後、約4時間この温度(90℃)を保持して、固形分39.8%、粘度1ポイズ、固形分酸価133のワニスB1を得た。
【0116】
上記と同様の装置に、このワニスB1を250部、ナフテン酸71部、亜鉛華19.1部、水4.2部を仕込み、90℃の温度で3時間保持した後、110〜120℃の温度に1時間かけて昇温して、3時間この温度で保持するとともに、生ずる反応水を分離し、固形分55.2%、粘度1ポイズ(極限粘度[η]:0.035dl/g)のワニスBを得た。
【0117】
【ポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体の合成例3】
攪拌機、還流冷却器、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、キシレン120部、n−ブタノール30部を仕込み90℃に昇温した。
次いで、このフラスコ内にメタクリル酸15.6部、エチルアクリレート72部、アゾイソブチロニトリル4部の混合液を1.5時間かけて滴下し、滴下後、約4時間この温度(90℃)を保持して、固形分38.0%、粘度2ポイズ、固形分酸価111のワニスC1を得た。
【0118】
上記と同様の装置に、このワニスC1を241部、カルボキシル基を有しその当量(g/モル)が1250のポリジメチルシロキサンを34.2部、亜鉛華15.5部、分子量176のバーサチック酸30部、水3.4部を仕込み、90℃の温度で3時間保持した後、110〜120℃の温度に1時間かけて昇温して、3時間この温度で保持するとともに、生ずる反応水を分離し、固形分52.5%、粘度4ポイズ(極限粘度[η]:0.105dl/g)のワニスCを得た。
【0119】
【ポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体の合成例4】
攪拌機、還流冷却器、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、キシレン120部、n−ブタノール30部を仕込み90℃に1時間保持した。
次いで、このフラスコ内にメタクリル酸13.5部、エチルアクリレート82.5部、アゾビスイソブチロニトリル2部の混合液を1.5時間かけて滴下し、滴下後、約4時間この温度(90℃)を保持して、固形分39.5%、粘度3.0ポイズ、固形分酸価90のワニスD1を得た。
【0120】
上記と同様の装置に、リノール酸−アクリル酸付加物である2塩基酸(酸価272)を41.3部、ヒドロキシエトキシプロピルポリジメチルシロキサン(数平均分子量約1000)を111部仕込み、110℃の温度で1時間保持した後、170〜180℃の温度に昇温して、3時間この温度で保持し、淡褐色で透明なワニスD2を得た。
【0121】
上記と同様の装置にワニスD1を248部、ワニスD2を62.7部、バーサチック酸20部、亜鉛華12.8部、水2.8部、キシレン60部、n−ブタノール23部を仕込み、90℃で3時間保持した後、110〜120℃の温度に1時間かけて昇温し、この温度で3時間保持するとともに、生ずる反応水を分離し、固形分45.0%、粘度5ポイズ(極限粘度[η]:0.045dl/g)のワニスDを得た。
【0122】
【ポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体の合成例5】
攪拌機、還流冷却器、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、キシレン120部、n−ブタノール30部を仕込み90℃に昇温した。
次いで、このフラスコ内にアクリル酸17.3部、メタクリロキシキプロピルポリジメチルシロキサン(分子量約5000)を50部、エチルアクリレート10部、ブチルアクリレート20部、アゾイソブチロニトリル3部の混合液を1.5時間かけて滴下し、滴下後、約4時間この温度(90℃)を保持して、固形分39.7%、粘度2ポイズ、固形分酸価120のワニスE1を得た。
【0123】
上記と同様の装置に、このワニスE1を250部、分子量176のバーサチック酸31.5部、オレイン酸10部、酢酸第2銅1水塩42.8部、キシレン70部を仕込み、90℃の温度で4時間保持した後、120〜140℃の温度に1時間かけて昇温して、4時間この温度で保持するとともに、酢酸25.7部及び溶剤61部を分離し、固形分50.2%、粘度2ポイズ(極限粘度[η]:0.060dl/g)のワニスEを得た。
【0124】
【比較用ワニスの合成例1】
攪拌機、還流冷却器、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、上記ポリマー合成例3で得たワニスC1を241部、亜鉛華14.7部、分子量176のバーサチック酸31.9部、水3.3部を仕込み、90℃の温度で3時間保持した後、110〜120℃の温度に昇温して反応水を分離して、固形分47.2%、粘度5ポイズ(極限粘度[η]0.008dl/g)のワニスFを得た。
【0125】
【比較用ワニスの合成例2】
上記と同様の装置に、キシレン120部、n−ブタノール30部を仕込み、90℃の温度に保持した。これにアクリル酸18部、エチルアクリレート39部、ブチルアクリレート30部、アゾイソブチロニトリル4部の混合液を1.5時間かけて滴下し、滴下後、約4時間この温度(90℃)を保持して、固形分37.7%、粘度2.5ポイズ、固形分酸価138のワニスG1を得た。
【0126】
同様の装置にこのワニスG1を241部、分子量176のバーサチック酸39部、酢酸第2銅1水塩44.4部、キシレン168部を仕込み、120〜140℃の温度に1時間かけて昇温し、酢酸26.6部、溶剤(種類:キシレン、n−ブタノール混合物)を171部分離して、固形分50.2%、粘度4ポイズ(極限粘度[η]:0.018)のワニスGを得た。
【0127】
【比較用ワニスの合成例3】
プリオラトS5B(スチレン−ブタジエン共重合樹脂、米国グッドイヤー社製)40部、中京ロジン30部、燐酸トリクレジル60部をキシレン195部に溶解してワニスHを得た。
【0128】
【比較用ワニスの合成例4】
アクリル樹脂(アクリル酸ブチル含量60モル%、メタクリル酸メチル含量40モル%、重合度500、固形分50%)240部、シリコンKF−6016(ポリエーテルシリコーン、信越化学工業製)30部をキシレン330部に溶解し、ワニスIを得た。
【0129】
【防汚組成物の実施例】
以下、本発明に係る防汚組成物について実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は係る実施例により何ら限定されるものではない。
【0130】
【実施例1】
ポリマー合成例A〜E、比較例用ワニスF〜Iを100×300×3mm(厚)の塩化ビニール板にその乾燥膜厚が100±10μmになるように塗布して乾燥させた後、海中に浸漬して、海中生物の付着状況を調査した。
結果を表2に示す。なお表中の防汚性評価は生物付着面積%で示し、膜厚の変化は減少膜厚μmで示す。以下同様。
【0131】
【実施例2】
上記と同様にこれらのワニスに溶剤(種類:A〜Gについてはキシレン/n−ブタノール=3/1、H〜Iについてはキシレン)を適量加え、これにポリエチレン製無結節網(7節400デニール50本)を浸漬塗布し、付着した乾燥塗膜重量の網に対する割合が12±1%になるようにした後、海中に浸漬し、海中生物の付着状況を調査した。
【0132】
結果を表2に示す。
【0133】
【実施例3】
上記各ワニスA〜Iを用い、表1に示す防汚剤組成物を得た。
なお、キシレン配合量は、防汚剤組成物の粘度が25℃でKU値85になるように調整した。
この防汚剤組成物を実施例1と同様の塩化ビニール板の表面にその乾燥膜厚が200±20μmとなるように塗布した後、海中に浸漬し、海中生物の付着状況を調査した。
【0134】
また、この防汚剤組成物▲1▼、▲2▼を、それぞれDSP K5005C鋼船船底用塩化ビニール樹脂塗料1号が塗布された板の上に、その乾燥膜厚が200±20μmになるように塗布し、ロータリー試験すなわち、海中で周速10ノットで回転するドラムに取り付け、2ヶ月後及び5ヶ月後の膜厚変化(減少膜厚μm)を測定した。
【0135】
さらに、ロータリー試験5ヶ月後の試験板を海中に静置試験し、防汚性を評価した。
結果を表2に示す。
【0136】
【表1】
【0137】
【表2】
【0138】
注1:防汚性評価は、生物付着面積%で評価した。
注2:膜厚の変化は、減少膜厚μmで示す。
表2によれば、本発明のポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体組成物及び防汚剤組成物は、ポリシロキサン(シリコーンとも言う。)のもつ低表面自由エネルギーによる海中生物付着防止効果と、金属エステルの加水分解による研掃性との両特性を有するポリマーであり、従来の金属含有樹脂組成物、親水性樹脂、あるいは撥水性樹脂を配合した組成物に比べて、防汚剤を配合しなくとも優れた防汚性を有し、また防汚剤を配合すればいっそう長期に亘り、その防汚効果が発揮され、適度の膜厚消耗度を有し、且つ塗膜消耗途中での防汚性にも優れていることが判る。
Claims (26)
- [A] 分子量が1000〜10000であるポリシロキサンブロックと、酸価が70〜190であり、分子量が2000〜50000であるアクリル樹脂ブロックと、
式[II]:−M−OCO−(GCOO)r−(CH2)p− ・・・・・[II]
(式[II]中、MはCu、Zn、Mgから選択される2価の金属原子を示し、Gは二価の炭化水素基を示し、rは0または1を示し、pは0〜5の整数を示す。)で表される金属含有結合(iii)とを有し、上記金属含有結合が、上記ポリシロキサンブロックとアクリル樹脂ブロックとの間に存在しているか、あるいは上記アクリル樹脂ブロックに存在しているブロック共重合体であって、
(イ)上記金属含有結合(iii)が、上記ポリシロキサンブロックとアクリル樹脂ブロックとの間に存在している場合には、
金属含有結合(iii)中の一方端(Mの−OCO−(GCOO)r−(CH2)pが結合していない側)は、上記アクリル樹脂ブロック中のカルボキシル基を介してアクリル樹脂ブロックと結合し、また、この金属含有結合(iii)中の他端((CH2)pのM−OCO−(GCOO)r−が結合していない側)は、カルボキシル基を介して上記ポリシロキサンブロック中のSi原子と結合し、
また、(ロ)上記金属含有結合(iii)が、上記アクリル樹脂ブロックに存在している場合には、該アクリル樹脂ブロック中のカルボキシル基を介して金属含有結合中の一方端(Mの−OCO−(GCOO)r−(CH2)pが結合していない側)と結合し、また、この金属含有結合(iii)中の他端((CH2)pのM−OCO−(GCOO)r−が結合していない側)は、一価の有機酸残基と結合しており、
該ブロック共重合体の極限粘度[η](キシレン/n−ブタノールの重量比が4/1の混合溶媒中で測定)が0.002〜1.5dl/gであるポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体、及び
[B]該ポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体[A]を溶媒100ml中に、20℃の温度で、該共重合体(固形分)を300g以上溶解しうる溶媒を含むことを特徴とするポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体組成物。 - [A-1]式[I]:
式[II]:−M−OCO−(GCOO)r−(CH2)p− ・・・・・[II]
(式[II]中、MはCu、Zn、Mgから選択される2価の金属原子を示し、Gは二価の炭化水素基を示し、rは0または1を示し、pは0〜5の整数を示す。)で表される金属含有結合(iii)を介して結合したブロック共重合体であって、
金属含有結合(iii)中の一方端(Mの−OCO−(GCOO)r−(CH2)pが結合していない側)は、上記アクリル樹脂ブロック(ii)中のカルボキシル基を介してアクリル樹脂ブロック(ii)と結合し、また、この金属含有結合(iii)中の他端((CH2)pのM−OCO−(GCOO)r−が結合していない側)は、カルボキシル基を介して上記ポリシロキサンブロック(i)中のSi原子と結合し、
該ブロック共重合体の極限粘度[η](キシレン/n−ブタノールの重量比が4/1の混合溶媒中で測定)が0.002〜1.5dl/gであるポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体、及び
[B]該ポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体[A-1]を溶媒100ml中に、20℃の温度で、該共重合体(固形分)を300g以上溶解しうる溶媒を含むことを特徴とするポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体組成物。 - 上記ポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体[A-1]が、下記式[III-a]:
- 上記ポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体[A-1]が、下記式[III-b]:
- [A-2]下記式[IV]:
[B]該ポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体[A-2]を溶媒100ml中に、20℃の温度で、該共重合体(固形分)を300g以上溶解しうる溶媒を含むことを特徴とするポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体組成物。 - 上記式[I]、[III-a]、[III-b]、[IV]中、R1、R2が同一の基である請求項2〜5の何れかに記載のポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体組成物。
- 上記式[I]、[III-a]、[III-b]、[IV]中、R2がメチル基である請求項2〜6の何れかに記載のポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体組成物。
- ポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体[A]を溶媒100ml中に、20℃の温度で、該共重合体(固形分)を300g以上溶解しうる溶媒[B]が、芳香族系有機溶剤(ケトン類、脂肪族の1価アルコール類、エステル系溶剤を除く。);ケトン類;脂肪族の1価アルコール類;エステル系溶剤;のうちから選択される請求項1〜7の何れかに記載のポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体組成物。
- (a)[A-1]式[I]:
式[II]:−M−OCO−(GCOO)r−(CH2)p− ・・・・・[II]
(式[II]中、MはCu、Zn、Mgから選択される2価の金属原子を示し、Gは二価の炭化水素基を示し、rは0または1を示し、pは0〜5の整数を示す。)で表される金属含有結合(iii)を介して結合したブロック共重合体であって、
金属含有結合(iii)中の一方端(Mの−OCO−(GCOO)r−(CH2)pが結合していない側)は、上記アクリル樹脂ブロック(ii)中のカルボキシル基を介してアクリル樹脂ブロック(ii)と結合し、また、この金属含有結合(iii)中の他端((CH2)pのM−OCO−(GCOO)r−が結合していない側)は、カルボキシル基を介して上記ポリシロキサンブロック(i)中のSi原子と結合し、
該ブロック共重合体の極限粘度[η](キシレン/n−ブタノールの重量比が4/1の混合溶媒中で測定)が0.002〜1.5dl/gであるポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体を含有する防汚剤組成物。 - (a)上記ポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体[A-1]が、下記式[III-a]:
- (a)上記ポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体[A-1]が、下記式[III-b]:
- (a)[A-2]下記式[IV]:
- (a)上記式[I]、[III-a]、[III-b]、[IV]中、R1、R2が同一の基であるポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体を含有することを特徴とする請求項9〜12の何れかに記載の防汚剤組成物。
- (a)上記式[I]、[III-a]、[III-b]、[IV]中、R2がメチル基であるポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体を含有することを特徴とする請求項9〜13の何れかに記載の防汚剤組成物。
- さらに(b)銅および/または無機銅化合物を含有する請求項9〜14の何れかに記載の防汚剤組成物。
- 上記銅および/または無機銅化合物(b)が、亜酸化銅またはロダン銅である請求項15に記載の防汚剤組成物。
- 上記銅および/または無機銅化合物(b)を、組成物中に1〜50重量%の量で含有する請求項15〜16の何れかに記載の防汚剤組成物。
- さらに、(c)有機防汚剤を含有する請求項9〜17の何れかに記載の防汚剤組成物。
- 上記有機防汚剤(c)が、金属ピリチオン塩系化合物、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメイト、トリフェニルボランのアミン錯体、テトラエチルチウラムジスルフィド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、アルキルフェニルジクロロマレイミド、クロロメチル−n−オクチルジスルフィッド、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルSトリアジン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルからなる群から選択される1種または2種以上である請求項18に記載の防汚剤組成物。
- 上記金属ピリチオン塩系化合物が、銅ピリチオンおよび/またはジンクピリチオンである請求項19に記載の防汚剤組成物。
- 上記トリフェニルボランのアミン錯体が、トリフェニルボランピリジン錯体および/またはトリフェニルボランアルキルアミン錯体である請求項19〜20の何れかに記載の防汚剤組成物。
- 上記有機防汚剤(c)を、組成物中に1〜20重量%の量で含有する請求項18〜21の何れかに記載の防汚剤組成物。
- 請求項9〜21の何れかに記載の防汚剤組成物から形成されたことを特徴とする防汚被膜。
- 海水または真水と接触する基材の表面が、請求項9〜23の何れかに記載の防汚剤組成物からなる被膜にて被覆されていることを特徴とする防汚処理基材。
- 上記基材が、漁網、漁具、船舶または水中構造物である請求項24に記載の防汚処理基材。
- 海水または真水と接触する基材の表面に、請求項9〜22の何れかに記載の防汚剤組成物を塗布あるいは含浸させ、防汚塗膜を形成させることを特徴とする、基材の防汚方法。
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