JP5466347B2 - 防汚塗料組成物、その塗膜、該塗膜で被覆された船舶または水中構造物及び防汚方法 - Google Patents
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Description
これに代わる防汚剤として、最近では無機系の亜酸化銅、チオシアン化銅を主成分とし、これに有機錫不含の各種防汚剤すなわち非有機錫系防汚剤を配合することにより、亜酸化銅等を主成分とする防汚剤の防汚性能の向上を図った防汚塗料が検討されてきた。
アミノ基を含有するビニル単量体2〜30重量%および(c)共重合可能な他の単量体40
〜96重量%からなる加水分解性の共重合体をビヒクル成分とする防汚性塗料組成物が開示され、これに防汚剤として亜酸化銅、亜鉛華、ビス(ジメチルジチオカルバミン酸)亜鉛を配合したものがあげられ、長期間防汚性が持続される旨記載されている。
式中、Rpは基体樹脂を示し、Mは2価の金属原子を示す。)で表される分子内に金属カルボキシレートを有する樹脂を有効成分とする防汚性樹脂組成物が開示され、Mとしては、2価の金属原子の銅、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、鉄があげられている。この樹脂は、優れた防汚作用を有し、防汚塗料に使用できる旨記載されている。
中、Rpは基体樹脂を示し、Mは2価の金属原子を示す。)で表される分子内に金属カルボキシレートを有する樹脂(A)及び亜酸化銅等の防汚剤(B)を有効成分とする防汚塗料組成物が開示され、Mとしては、同上の2価の金属原子があげられ、また上記樹脂(A)と併用
可能な樹脂成分として、ロジン(c)があげられている。該公報には、この組成物は優れた
防汚効果を発揮できる旨記載されている。
言う。)から安定した適度な塗膜消耗速度を有し、船底等への付着生物に対して優れた防汚性能を長期継続的に発揮し得るような塗膜を形成できる非錫系防汚塗料組成物の出現が求められていた。
て先に提案している。
低減された防汚剤不含〜低減された系では、水中静置構造物、船速の遅い船舶、あるいは稼働率の低い(すなわち、同一箇所に長期間停泊することの多い)船舶において、防汚性能、特に長期防汚性の点でさらなる改良の余地があった。
[A]下記(A1)〜(A3)からなる群から選ばれた少なくとも1種のポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体と、
[B]シリコーンオイル
とを含んでなることを特徴としている。
式:CH2=C(R3)−COO−M−O−CO−R4
(Mは2価の金属原子を示し、R3は水素原子またはメチル基を示し、R4はラジカル反応性を有しない有機基を示す。)で表される重合性不飽和カルボン酸金属塩から誘導される成分単位(a12)と、
重合性不飽和カルボン酸またはそのエステルから誘導される成分単位(a13)と、
から形成されるポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体、
(A2):ポリシロキサンブロック含有重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(a21)と、2価金属ジ(メタ)アクリレートから誘導される成分単位(a22)と、重合性不飽和カルボン酸またはそのエステルから誘導される成分単位(a23)と、
から形成されるポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体、
(A3):ポリシロキサンブロック(a31)と、アクリル樹脂ブロック(a32)とが、
式:[−M−O−CO−(G−CO−O−)r−(CH2)p−](式中、Mは2価の金
属原子を示し、Gは2価の炭化水素基を示し、rは0または1を示し、pは0〜5の整数を示す。)
で表される金属含有結合(a33)で結合されたポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体。
上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A1)が、ポリシロキサンブロック含有重合性(メタ)アクリレートから誘導される成分単位(a11)と、
式:[CH2=C(R3)−COO−M−O−CO−R4](Mは2価の金属原子を示し
、R3は水素原子またはメチル基を示し、R4はラジカル反応性を有しない有機基を示す。)で表される(メタ)アクリル酸金属塩から誘導される成分単位(a12)と、
(メタ)アクリル酸またはそのエステルから誘導される成分単位(a13)と、から形成されるポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体であることが望ましい。
上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A1)中の重合性不飽和カルボン酸金属塩から誘導される成分単位(a12)中の金属Mの含有量が0.5〜16重量%、好ましくは3〜12重量%(但し、該共重合体(A1)中の全成分単位の合計を100重量%とする。)であることが望ましい。
上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A1)中のポリシロキサンブロック含有重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(a11)の含有量が5〜80重量%、好ましくは10〜50重量%(但し、該共重合体(A1)中の全成分単位の合計を100重量%とする。)であることが望ましい。
上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A2)中の2価金属ジ(メタ)アクリレートから誘導される成分単位(a22)中の金属Mの含有量が0.5〜10重量%、好ましくは2〜8重量%(但し、該共重合体(A2)中の全成分単位の合計を100重量%とする。)であることが望ましい。
上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A2)中のポリシロキサンブロック含有重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(a21)の含有量が5〜80重量%、好ましくは10〜60重量%(但し、該共重合体(A2)中の全成分単位の合計を100重量%とする。)であることが望ましい。
上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A2)の数平均分子量Mn[測定条件:同上]が1,000〜50,000(5万)、好ましくは1000〜1万であることが望ましい。
上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A3)は、
ポリシロキサンブロック(a31)と、アクリル樹脂ブロック(a32)とが、アクリル樹脂ブロック中の(メタ)アクリル酸由来のカルボキシル基を介して、
式:[−M−O−CO−(G−CO−O−)r−(CH2)p−]
(式中、Mは2価の金属原子を示し、Gは2価の炭化水素基を示し、rは0または1を示し、pは0〜5の整数を示す。)で表される金属含有結合(a33)のMと結合することにより、結合されたものであることが望ましい。
ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A3)中の
式:[−M−O−CO−(G−CO−O−)r−(CH2)p−]
(式中、Mは2価の金属原子を示し、Gは2価の炭化水素基を示し、rは0または1を示し、pは0〜5の整数を示す。)
で表される金属含有結合(a33)中の金属Mの含有量が0.5〜16重量%、好ましくは2〜14重量%(但し、該共重合体(A3)中の金属含有結合を含む成分単位の合計を100重量%とする。)であることが望ましい。
ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A3)中のポリシロキサンブロック含有重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(a31)の含有量が5〜80重量%、好ましくは10〜60重量%(但し、該共重合体(A3)中の全成分単位の合計を100重量%とする。)であることが望ましい。
ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A3)の数平均分子量Mn[測定条件:同上]が1,000〜50,000(5万)、好ましくは1500〜1万であることが望ましい。
上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体[A]を塗料中の固形分換算で5〜99重量%、好ましくは20〜95重量%(但し、該塗料中の固形分換算量の合計を100重量%とする。)の量で含有することが望ましい。
上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体[A](固形分)100重量部に対して、シリコーンオイル[B]を1〜50重量部、好ましくは10〜30重量部の量で含有することが望ましい。
本発明に係る防汚塗膜は、上記の何れかに記載の防汚塗料組成物から形成されたことを特徴としている。
本発明に係る防汚塗膜は、この防汚塗料組成物から形成されており環境汚染のおそれが少なく、適度な塗膜消耗速度を有し、長期防汚性に優れている。また本発明によれば、該防汚塗膜で被覆された上記塗膜特性を有する船舶または水中構造物ならびに上記塗料組成物を用いた船舶外板または水中構造物表面の効率的かつ安全な防汚方法が提供される。
[防汚塗料組成物]
本発明に係る防汚塗料組成物は、
[A]下記(A1)〜(A3)からなる群から選ばれた少なくとも1種のポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(成分[A])と、
[B]シリコーンオイル(成分[B])
とを含んでなることを特徴としている。特に、成分[A]として共重合体(A3)を含む
場合には、共重合体(A1)又は(A2)をも含むことが好ましい。
ここで、[A]成分と[B]成分とが「完全に相溶している」とは、ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体[A]の固形分40重量部、シリコーンオイル[B]の固形分(オイルが液状物の場合は、乾燥させた際の不揮発分を意味する。)10重量部、キシレン40重量部、n−ブタノールまたはプロピレングリコールモノメチルエーテル10重量部の混合液を、温度20℃で24時間静置した場合、層分離が無いか、あるいは、
この混合液を十分攪拌し、ガラス板に10〜1000μmの厚みで塗布し、温度20℃で24時間乾燥した場合、肉眼で析出や分離が認められないものをいう。
<ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A1)>
ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A1)(単に、「共重合体(A1)」などとも言う。)は、ポリシロキサンブロック含有重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(a11)と、
式:CH2=C(R3)−COO−M−O−CO−R4
(Mは2価の金属原子を示し、R3は水素原子またはメチル基を示し、R4はラジカル重合反応性を有しない有機基を示す。)で表される重合性不飽和カルボン酸金属塩から誘導される成分単位(a12)と、
重合性不飽和カルボン酸またはそのエステルから誘導される成分単位(a13)と、
から形成されている。
成分単位(a12)中の金属Mが通常、0.5〜16重量%、好ましくは3〜12重量%、特に好ましくは3.5〜10重量%の量で含有され、
成分単位(a13)が通常、15〜80重量%、好ましくは25〜50重量%(但し、該共重合体(A1)中の全成分単位の合計を100重量%とする。)の量で含有されていることが得られる塗膜の防汚性能の点から望ましい。
2)の含有量が上記範囲より少ないと共重合体(A1)の溶出が少なく防汚性が劣る傾向
があり、また、上記範囲より多いと共重合体(A1)の過溶出となり長期防汚性が劣る傾向がある。
また、上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A1)の数平均分子量Mn[測定条件:同上]は、通常、1,000〜50,000(5万)、好ましくは1000〜10,000(1万)、特に好ましくは2,000〜5,000であることが、得られる共重合体溶液の粘度が高くなり過ぎず、共重合体樹脂内での金属架橋等による樹脂のゲル化を防止でき、しかも、塗膜を形成した際に防汚性が良好であるなどの点から望ましい。<成分単位(a11)>
上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A1)中における成分単位(a11)は、ポリシロキサンブロック含有重合性(メタ)アクリレートから誘導される。
」(p:0〜5、好ましくは1〜5の整数)を介して結合したもの;等が挙げられる。
=CR3(COO)−、R3:H又はCH3]がアルキレン鎖(―CnH2n―、n:2〜4、好ましくは3の整数)を介して結合した構造のものが好ましい。
000)、商品名「FM0725」(数平均分子量Mn=約10,000(1万))、何れもチッソ(株)製}等が挙げられる。
上記ポリシロキサンブロック含有重合性(メタ)アクリレートあるいは該化合物から誘導される成分単位(a11)の数平均分子量Mn[測定条件:同上]は、通常、1,000〜50,000(5万)、好ましくは1,000〜10,000(1万)、特に好ましくは2,000〜5,000であることが上記共重合体(A1)の場合と同様の理由から望ましい。
<成分単位(a12)>
上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A1)中における成分単位(a12)は、下記式で表される共重合用モノマー:(メタ)アクリル酸金属塩(a12)などから誘導される。
この式(a12)中、Mは2価の金属原子、例えば、Zn、Cu、Mg等が挙げられ、中でもZn、Cuが塗膜溶出性の点で好ましい。R3は水素原子またはメチル基を示す。
上記式(a12)中の[−O−CO−R4]部分としては、用いられる原料に由来し、
例えば、直鎖状でも分岐を有していてもよい飽和脂肪族カルボン酸残基であるプロピオン酸残基(C2H5COO−)、吉草酸残基[CH3(CH2)3COO−]、パルミチン酸残
基[CH3(CH2)14COO−]、ミリスチン酸残基[CH3(CH2)12COO−]、ラウリン酸残基[CH3(CH2)10COO−]、ステアリン酸残基[C17H35COO−]、バーサチック酸残基[(C3H7)3C−COO−]など;
飽和脂環式カルボン酸残基であるナフテン酸残基[C5H9(CH2)nCOO−]など;
芳香環式カルボン酸残基である安息香酸残基など;
が挙げられる。
−R4]部分の総炭素数が3〜20個程度のものが好ましく、例えば、バーサチック酸残
基、ナフテン酸残基、ロジン系樹脂酸残基が塗膜物性、塗膜溶出性の点で望ましい。
ロジン系樹脂酸亜鉛(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの内では、バーサチック酸亜鉛(メタ)アクリレート、ナフテン酸亜鉛(メタ)アクリレート、ロジン系樹脂酸亜鉛(メタ)アクリレートが好ましい。
本発明では、上記(メタ)アクリル酸金属塩成分単位(a12)は、上記のように、ラジカル重合性のモノマーである(メタ)アクリル酸金属塩例えば、バーサチック酸亜鉛(メタ)アクリレートをそのまま共重合体製造用原料(モノマー)として用いることにより導入・形成してもよいが、例えば、共重合体製造時に(メタ)アクリル酸を用い、一旦(メタ)アクリル酸成分単位を前駆共重合体(A’)に導入しておき、次いで、得られた(メタ)アクリル酸成分単位含有共重合体(A1’)に、例えば、ZnO等の2価金属酸化物(MO)と、ナフテン酸等の飽和脂肪族(または飽和脂環族)カルボン酸(R4COO
H)と、水とを添加して反応させることにより、共重合体(A1’)及びカルボン酸(R4COOH)中の各カルボキシル基(−COOH)部位で、2価金属酸化物由来の2価金
属M(Znなど)を介してエステル結合(金属塩結合)を形成させて、最終的に、側鎖末端「R4COO−」が非ラジカル重合性基のナフテン酸残基[C5H9(CH2)nCOO−
]等である(メタ)アクリル酸金属塩成分単位(a12):
この(メタ)アクリル酸金属塩成分単位(a12)は、後述する共重合体(A2)中の成分単位(a22)、すなわち2価金属ジ(メタ)アクリレート成分単位(a22)と比して、成分単位(a12)調製用に用いられる(メタ)アクリル酸金属塩中の側鎖末端基R4がラジカル反応性を有しておらず、成分単位(a22)調製用に用いられる2価金属
ジ(メタ)アクリレート中に存在するラジカル反応性の2個の(メタ)アクリル基等と異なり、共重合体中にあって架橋点とならず非架橋性である点で相違する。
<成分単位(a13)>
上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A1)中における成分単位(a13)は、好ましくは重合性不飽和カルボン酸またはそのエステルから誘導される。
無水マレイン酸等の酸無水物;
スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;
アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸のアミド類;
等が挙げられる。
本発明で好ましく用いられる成分単位(a13)形成用のモノマーは、下記式(a13)で表される。
{式(a13)中、R3は水素原子またはメチル基を示す。
R8は、H(水素原子)あるいは、有機基特に炭素数1〜40程度のアルキル基、同様
の総炭素数のヒドロキシアルキル基、同様の総炭素数のアルコキシアルキル基等が挙げられ、中でも、H(水素原子)と、上記アルキル基が好ましい。これらの有機基中のアルキル基あるいはアルキレン鎖は、直鎖状、分岐鎖状の何れでもよく、またシクロヘキシル環等の脂環構造、ベンゼン環等の芳香環構造を有していてもよい。}
上記式(a13)で表される重合性不飽和カルボン酸またはそのエステルとしては、式(a13)中で、R8がH(水素原子)の(メタ)アクリル酸の他に、R8が炭素数(C)1以上、好ましくはC1〜40、さらに好ましくはC1〜20のアルキル基である(メタ
)アクリレートが挙げられる。このような(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
は、R8が炭素数(C)1以上、好ましくはC1〜40、さらに好ましくはC1〜20のヒドロキシアルキル基である(メタ)アクリレートが望ましい。R8がヒドロキシアルキル
基である(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
としては、R8が炭素数(C)が1以上、好ましくはC1〜40、さらに好ましくはC1〜20のアルコキシアルキル基である(メタ)アクリレートが望ましい。R8がアルコキシ
アルキル基である(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エチルヘキサオキシ)エチル(メタ)アクリレート、1−メチル−2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−メトキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
いは炭素数1以上のアルキル基である少なくとも一種の(メタ)アクリレートから導かれる成分単位、すなわち、上記のような(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸アルキルエステルから誘導される成分単位であることが好ましい。
<ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A2)>
ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A2)(単に、「共重合体(A2)」などとも言う。)は、ポリシロキサンブロック含有重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(a21)と、2価金属ジ(メタ)アクリレートから誘導される成分単位(a22)と、重合性不飽和カルボン酸またはそのエステルから誘導される成分単位(a23)と、から形成されている。
成分単位(a22)中の金属元素M含有量が通常、0.5〜10重量%、好ましくは2〜8重量%、特に好ましくは3〜6重量%の量で含有され、
成分単位(a23)が通常、15〜80重量%、好ましくは25〜70重量%(但し、該共重合体(A2)中の全成分単位の合計を100重量%とする。)の量で含有されていることが前記共重合体(A1)中の各成分単位(a11)〜(a13)と同様の理由:防汚性能、塗膜物性の点から望ましい。
また、上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A2)の数平均分子量Mnも上記共重合体(A1)と同様に、通常、1000〜50,000(5万)、好ましくは1000〜10,000(1万)、特に好ましくは2,000〜5,000であることが望ましい。
<成分単位(a22)>
上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A2)中における成分単位(a22)すなわち2価金属ジ(メタ)アクリレート成分単位(a22)は、下記式で表される2価金属ジ(メタ)アクリレート(a22)などから誘導される。
この式(a22)中、Mは同上の2価の金属原子、例えば、Zn、Cu、Mg等が挙げられ、中でもZn、Cu、Mgが好ましく、特にZn、Cuが防汚性の点で好ましい。R3は水素原子またはメチル基を示す。
(CH2=C(CH3)COO)2Zn、アクリル酸銅:(CH2=CHCOO)2Cu、メ
タクリル酸銅:(CH2=C(CH3)COO)2Cu 等を挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上を組合わせて用いることができる。
<ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A3)>
ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A3)[共重合体(A3)]は、ポリシロキサンブロック(a31)と、アクリル樹脂ブロック(a32)とが、
式:[−M−O−CO−(G−CO−O−)r−(CH2)p−]・・・・・(a33)
{式(a33)中、Mは上記と同様に2価の金属原子を示し、Gは2価の炭化水素基を示し、rは0または1を示し、pは0〜5の整数を示す。}
で表される金属含有結合(a33)にて結合された構造を有している。
このポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A3)は、本願出願人が先に提案した特開2001−72869号公報(特願平11−252320号)、特にその[0022]〜[0034]欄あるいは、[0044]〜[0087]欄等に記載のポリシロキサン−アクリル樹脂ブロック共重合体と同様のものである。
]に対応している。
シ基、炭素数1〜5のアルコキシ基またはアミノ基で置換されていてもよい炭素数1〜18の炭化水素基を示し、m2は1〜1000の数を示し、kは1〜100の数を示す。
、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル基を示し、m1は5〜7000の数を示し、n1は0〜50の数を示し、Mは2価の金属原子を示し、pは0〜5の整数を示す。}
このようなブロック共重合体(A3)における主鎖となるアクリル樹脂ブロックの分子量は、通常1500〜50,000(5万)程度であり、その酸価は、通常40〜150mgKOH/g程度であり、酸価がこのような範囲では防汚塗膜用成分として用いた場合に、加水分解による溶出量が好適である。また側鎖となるポリシロキサンブロック(I)の分子量は、通常、1000〜10,000程度である。
例えば、まず、上記(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとを触媒および/または溶剤の存在下に共重合させ、カルボキシル基(−COOH)を有するアクリル樹脂ブロック(ポリマー)を形成させる。
溶剤としては、例えば、n−ブタノール等のアルコール類とそれ以外の溶剤例えば、キシレン、トルエン、アセトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレンカーボネート等とを併用することが好ましい。
アクリル樹脂ブロック(a32)の含有量が15〜70重量%、好ましくは30〜60重量%であり、
金属含有結合(a33)中の金属Mの含有量が通常、0.5〜16重量%、好ましくは2〜14重量%、特に好ましくは4〜10重量%であり、(但し、該共重合体(A3)中の金属含有結合を含む成分単位の合計を100重量%とする。)であることが望ましい。<シリコーンオイル[B]>
シリコーンオイルとしては、具体的には、例えば、「シリコーンハンドブック、伊藤邦
雄編、日刊工業新聞社発行、1990年8月31日」の112〜113頁に記載のジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、等のストレートシリコーンオイル;
変性基が上記「シリコーンハンドブック」の160頁の表6.1に記載の下記の基である変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
メチルスチレン基[−CH2CH(CH3)C6H5]、
長鎖アルキル基[−(CH2)nCH3(n:1以上の繰り返し数)]、
ポリエーテル基[−C3H6O(CH2CH2O)nR(R:アルキル基など、n:1以上の繰り返し数)]、
カルビノール基[−C3H6O(CH2CH2O)nR(C3H6O)mR(R:アルキル基など、n,m:1以上の繰り返し数)]又は[−C3H6OCH2CH2OH]、
アミノ基[−C3H6NH2]又は[−C3H6NHC2H4NH2]、
エポキシ基[−C3H6OCH2CHCH2O]、
カルボキシル基[−(CH2)nCOOH(n:1以上の繰り返し数)]、
高級脂肪酸由来の基[−OCO(CH2)nCH3(n:1以上の繰り返し数)]、
メルカプト基[−C3H6SH]、
メタクリル基[−C3H6OCOC(CH3)=CH2]、
などが挙げられる。
株)製)、「SH510、SH550、SH710」(トーレ・シリコーン社製)、などが挙げられる。
メチルハイドロジェンシリコーンオイルとしては、例えば、「KF99」(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
これらのシリコーンオイルのうちでは、ポリエーテル(変性)シリコーンが好ましく、本願出願人が先に提案した特開2002−80778号公報の[0027]〜[0033]欄に記載のポリエーテル変性シリコーンオイル:
〜23の数、bは0〜30、好ましくは0〜9の数。)で示されるオキシアルキレン基であり、異なるオキシアルキレン基の結合順序は特に限定されない。mは、1〜7,000、好ましくは50〜150の数であり、nは、1〜50、好ましくは3〜10の数である。}
が挙げられる。
<防汚塗料組成物の組成、物性等>
本発明に係る防汚塗料組成物には、上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体[A]は、塗料中の固形分換算で1〜99重量%、好ましくは30〜95重量%(但し、該塗料中の固形分換算量の合計を100重量%とする。)の量で含有されていることが望ましい。この共重合体[A]の含有量が上記範囲より少ないと塗膜の防汚性が低下する傾向があり、またこの共重合体[A]の含有量が上記範囲より多いとシリコーンオイル[B]量が相対的に少なくなり、防汚性が低下する傾向がある。なお、固形分、固形分換算値とは、防汚塗料組成物を基材表面に塗布し含まれる溶剤等を揮散除去させることなどにより、乾燥・硬化させて得られた塗膜中の固形分、あるいはそれに換算した量をいう。
<任意成分等>
本発明の防汚塗料組成物には、上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体[A]とシリコーンオイル[B]の他に、本発明の目的に反しない範囲で、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物[C]、防汚剤[D]、体質顔料、着色顔料、タレ止め・沈降防止剤、吸水性樹脂、溶剤(有機溶剤)、可塑剤(例:塩素化パラフィンなど)、撥水剤、展色剤(被膜形成成分)、消泡剤等を含んでいてもよい。
(酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物[C])
酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物は、本発明の防汚塗膜中にあって、防汚効果を高め、しかも塗膜強度を高める効果がある。
よい。
ZnO)の他に、酸化バナジウム(V2O5)、酸化タングステン(WO3)、酸化ルビジ
ウム(RuO2)等が挙げられる。
い。
(防汚剤[D])
本発明に係る防汚塗料組成物には、上記したように、必要により防汚剤が含まれていてもよい。
上記「銅および/または無機銅化合物」(b)のうちで無機銅化合物(単に銅化合物とも
言う。)としては、無機系の銅化合物の何れであってもよく、例えば、亜酸化銅、チオシアン化銅(チオシアン酸第一銅、ロダン銅)、塩基性硫酸銅、塩基性酢酸銅、塩基性炭酸銅、水酸化第二銅などが挙げられ、好ましくは亜酸化銅、ロダン銅が用いられる。このような銅化合物は、特に白色塗料以外の着色塗料に好ましく用いられる。
このような銅および/または無機銅化合物(b)を含む場合には、銅および/または無機
銅化合物は、本発明の防汚塗料組成物中の共重合体(塗膜形成性固形分)[A]100重量部に対して、通常、50〜5000重量部、好ましくは200〜2000重量部の量で含まれていることが望ましい。また防汚塗料組成物(塗料組成物)100重量%中に、該銅および/または無機銅化合物(b)は、合計で通常、1〜50重量%、好ましくは5〜4
0重量%の量で含まれていることが望ましい。
塗膜は防汚性に優れる傾向がある。
上記有機防汚剤(c)としては、金属ピリチオン塩系化合物、カーバメイト系の化合物、トリフェニルボランのアミン錯体、テトラメチルチウラムスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、アルキルフェニルジクロロマレイミド、クロロメチル−n−オクチルジスルフィッド、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルSトリアジン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル等が挙げられる。
コキシ基、ハロゲン化アルキル基を示し、Mは、Cu、Zn、Na、Mg、Ca、Ba、Pb、Fe、Al等の金属を示し、nは価数を示す]:
これらのうちでは、銅ピリチオン、ジンクピリチオンが好ましい。
カーバメート系の化合物としては、例えば、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメイト、ジンクジメチルジチオカーバメート、マンガン-2-エチレンビスジチオカーバメート等が挙げられ、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメイトが好ましく用いられる。
カルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメイト、トリフェニルボランのアミン錯体、テトラエチルチウラムジスルフィド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、アルキルフェニルジクロロマレイミド(アルキル基の炭素数:通常1〜5)、クロロメチル−n−オクチルジスルフィッド、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルSトリアジン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルが好ましい。
このような有機防汚剤(c)を含む防汚塗料組成物においては、銅および/または無機銅
化合物(b)と共に、あるいは銅および/または無機銅化合物(b)に代えて、上記有機防汚剤(c)が通常、1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%の量で含まれていることが望
ましい。またこの有機防汚剤(c)は、本発明の防汚塗料組成物中の共重合体(塗膜形成性
固形分)[A]100重量部に対して、通常、10〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部の量で含まれていることが望ましい。このような量で、銅および/または無機銅化合物(b)と共に上記有機防汚剤(c)が防汚塗料組成物中に含まれていると、得
られる防汚塗膜は、広範な船舶付着生物に対していっそう優れた防汚性能を長期継続的に発揮できる傾向がある。
(展色剤)
展色剤としては、例えば、アクリル樹脂、ビニル樹脂、変性ビニル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられ、好ましくはアクリル樹脂が用いられる。これらの展色剤用の樹脂は、防汚塗膜に強度を与えるとともに防汚剤の溶出を抑制する効果がある。したがって、これらの樹脂は、防汚塗膜に長期に亘って防汚性を発揮させる場合などに有効である。
(撥水剤)
また、本発明に係る防汚塗料組成物に、液状ないし固形であって、何れも撥水性を有す
るポリオレフィン類、パラフィン類およびロジンから選ばれる少なくとも1種の成分(撥水剤)を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
上記のようなポリオレフィン類、パラフィン類およびロジンの少なくとも1種の成分を、本発明に係る防汚塗料組成物中に配合すると、優れた防汚性能を維持でき、しかも防汚塗料組成物のコストダウンを図ることができる。
(有機溶剤)
有機溶剤(溶剤)としては、キシレン、トルエン等の芳香族系有機溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;エタノール、イソプロピルアルコール,n−ブタノール、イソブタノール等の脂肪族(炭素数1〜10、好ましくは2〜5程度)の1価アルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;等が挙げられる。
これらの溶剤は、本発明の防汚塗料組成物中に、通常、20〜80重量%、好ましくは、30〜70重量%の量で含まれていることが多い。
<防汚塗料組成物の調製>
本発明に係る防汚塗料組成物は、常法に従って調製することができる。
船体および水中構造物の防汚処理
本発明に係る防汚塗料組成物は、フジツボ等の蔓脚類、イガイ等の貝類、および腔腸動物例えばヒドロ虫類等に対して優れた防汚性を発揮する塗膜を形成することができるため、船体および水中構造物に対する防汚処理への利用も期待できる。
漁具、漁 網の防汚処理
本発明に係る防汚塗料組成物は、上述したように、フジツボ等の蔓脚類、イガイ等の貝類および腔腸動物の1種であるヒドロ虫類等に対して優れた防汚性を発揮する塗膜を形成することができるため、釣り糸等の漁具、漁網に対する防汚処理に適している。
浸漬したり、漁具、漁網に防汚塗料組成物を塗布することにより行なわれる。このような防汚処理を行うと、防汚塗料組成物を漁具、漁網内部に含浸させることができるとともに漁具、漁網表面に付着させることができる。
[発明の効果]
本発明に係る防汚塗料組成物には、ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体[A]とシリコーンオイル[B]とが配合されており、このうちで共重合体[A]は、シリコーンの持つ低表面自由エネルギーによる海中生物付着防止効果と、金属エステルの加水分解による研掃性との両特性を併有しており、また、シリコーンオイル[B]は、徐々に防汚塗膜表面に滲出してくるため、塗膜の低表面エネルギー化が良好に確保できる。
本発明に係る基材の防汚処理方法によれば、海水または真水と接触する基材の表面、例えば、漁具、漁網、水中構造物などの表面に、上記防汚塗料組成物を含浸、塗布させて、環境汚染を引き起こすことなく効率的かつ経済的に被膜を形成させることができ、藻類、フジツボ、イガイに代表される貝類、および、ヒドロ虫類に代表される腔腸動物などの水中生物の付着を有効に防止することができる。
[実施例]
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により何ら制限されるものではない。なお、以下の合成例、実施例において、「部」とは、特にその趣旨に反しない限り、「重量部」の意味である。
(イ)ワニスの固形分:「JISK5407の4」に準拠して測定。
(ロ)ワニスの数平均分子量Mn:[条件:液体クロマトグラフィー「Waters 2695」、検出器「Shodex RI−104」、カラム「東ソーSuper H4000+H2000」(6mm(ID)×15cm)、カラム温度40℃、溶離液:THF、流速:0.6ml/min.下で測定。]
(ハ-1)ワニスの固形分酸価:「JISK5407の11」に準拠して測定。(ここで記述する酸価と亜鉛量はかならずしも関係がない。)
例えば、ポリマー(A1)、(A2)の酸価=「2価金属(Zn)含有量(%)×561×2/65.4」で示され、
ポリマー(A3)の酸価=「{2価金属(Zn)含有量(%)×561×2/65.4}+{2塩基酸酸価/2}」で示される。
[合成例1]
<ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A2)の合成>
攪拌機、還流冷却器、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル20部、キシレン87部を仕込み90℃に昇温し、その温度で保持した。
亜鉛ジアクリレート7部、
メチルメタクリレート20部、
エチルアクリレート40部、
純水0.5部、
プロピレングリコールモノメチルエーテル12部、
メタクリロキシプロピルポリジメチルシロキサン(商品名「FM0711」、チッソ(株)製、数均分子量Mn約1000)を30部、重合用触媒としてアゾビスイソブチロニトリル3部の混合液を2時間かけて滴下し、滴下後、約4時間この温度(90℃)を保持して、仕込み量に基いて算出されるメタクリロキシプロピルポリジメチルシロキサン成分単位(a21)が30重量%であり、亜鉛ジ(メタ)アクリレート単位(a22)中の金属Znの含有量が3重量%であり、メチルメタクリレート、エチルアクリレートから誘導される成分単位(a23)の含有量が60重量%のポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A2)を含むワニス(但し、共重合体(A2)中の全成分単位の合計を100重量%とする。)であって、固形分44.5%、数平均分子量Mn2520、粘度3ポイズ、固形分酸価52mgKOH/gのワニス(α-1)を得た。
[合成例2]
<ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A2)の合成>
攪拌機、還流冷却器、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル20部、キシレン82部を仕込み90℃に昇温し、その温度で保持した。
亜鉛ジアクリレート7部、
メチルメタクリレート6部、
エチルアクリレート45部、
純水0.5部、
プロピレングリコールモノメチルエーテル16部、
メタクリロキシプロピルポリジメチルシロキサン(商品名「FM0711」、チッソ(株)製、数均分子量約1000)を35部、重合用触媒としてアゾビスイソブチロニトリル3部の混合液を2時間かけて滴下し、滴下後、約4時間この温度(90℃)を保持して、仕込み量に基いて算出されるメタクリロキシプロピルポリジメチルシロキサン成分単位(a21)が35重量%であり、亜鉛ジ(メタ)アクリレート単位(a22)中の金属Znの含有量が4.2重量%であり、メチルメタクリレート、エチルアクリレートから誘導される成分単位(a23)の含有量が51重量%のポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A2)を含むワニス(但し、共重合体(A2)中の全成分単位の合計を100重量%とする。)であって、固形分45.2%、数平均分子量Mn2380、粘度12ポイズ、固形分酸価71mgKOH/gのワニス(α-2)を得た。
[合成例3]
<ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A1)の合成>
攪拌機、還流冷却器、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、n−ブタノール60部、キシレン60部、酢酸ブチル30部を仕込み90℃に昇温し、その温度で保持した。
エチルアクリレート30部、
メチルメタクリレート9部、
ブチルアクリレート10部、
メタクリロキシプロピルポリジメチルシロキサン(商品名「FM0721」、チッソ(株)製、数平均分子量Mn約5000)を38部、重合用触媒としてアゾビスイソブチロニトリル2.5部の混合液を2時間かけて滴下し、滴下後、約4時間この温度(90℃)を保持して、固形分40.2%、数平均分子量Mnが6,500、粘度4ポイズ、固形分酸
価77のワニス(β−1)を得た。
酸化亜鉛11.2部、ナフテン酸40部、純水5部を仕込み、90℃の温度で3時間保持した後、110〜120℃の温度に2時間かけて昇温して、3時間この温度で保持するとともに、生ずる反応水を分離し、
仕込み量に基いて算出されるメタクリロキシプロピルポリジメチルシロキサン成分単位(a11)が25重量%であり、ナフテン酸亜鉛(メタ)アクリレート単位(a12)中の金属Znの含有量が5.9重量%であり、アクリル酸、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートから誘導される成分単位(a13)の含有量が32重量%のポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A1)を含むワニス(但し、共重合体(A1)中の全成分単位の合計を100重量%とする。)であって、固形分42.5%、粘度66ポイズのワニス(α−3)を得た。
[合成例4]
<ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A2)の合成>
攪拌機、還流冷却器、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、n−ブタノール40部、キシレン110部を仕込み90℃に昇温し、その温度で保持した。
エチルアクリレート60部、
メタクリロキシプロピルポリジメチルシロキサン(商品名「FM0711」、チッソ(株)製、数平均分子量約1000)を26部、アゾビスイソブチロニトリル2部、アゾビス−2−メチルブチロニトリル2部の混合液を2時間かけて滴下し、滴下後、約4時間この温度(90℃)を保持して、固形分40.1%、数平均分子量Mnが2,900、粘度12ポイズ、固形分酸価88のワニス(β−2)を得た。
仕込み量に基いて算出されるメタクリロキシプロピルポリジメチルシロキサン成分単位(a21)が24重量%であり、メタクリル酸亜鉛アクリレート単位(a22)中の金属Znの含有量が4.7重量%であり、メタクリル酸、エチルアクリレートから誘導される成分単位(a23)の含有量が56重量%のポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A2)を含むワニス(但し、共重合体(A2)中の全成分単位の合計を100重量%とす
る。)であって、
固形分42.1%、粘度7ポイズのワニス(α−4)を得た。
[合成例5]
<ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A1)の合成>
攪拌機、還流冷却器、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル30部、キシレン68部を仕込み90℃に昇温し、保持した。
バーサチック酸亜鉛メタクリレート6部、
メチルメタクリレート20部、
エチルアクリレート27部、
純水0.5部、プロピレングリコールモノメチルエーテル20部、
メタクリロキシプロピルポリジメチルシロキサン(商品名「FM0711」、チッソ(株)製、数平均分子量約1000)を40部、アゾビスイソブチロニトリル3.5部の混合液を2時間かけて滴下し、滴下後、約4時間この温度(90℃)を保持して、
仕込み量に基いて算出されるメタクリロキシプロピルポリジメチルシロキサン成分単位
(a11)が40重量%であり、亜鉛ジアクリレート及びバーサチック酸亜鉛メタクリレート由来の成分単位(a12)中の金属Znの含有量が3.9重量%であり、メチルメタクリレート、エチルアクリレートから誘導される成分単位(a13)の含有量が47重量%のポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A1)を含むワニス(但し、共重合体(
A1)中の全成分単位の合計を100重量%とする。)であって、固形分44.2%、数平均分子量Mnが2800、粘度6ポイズ、固形分酸価67mgKOH/gのワニス(α−5)を得た。
[合成例6]
<ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A3)の合成>
攪拌機、還流冷却器、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、n−ブタノール40部、キシレン110部を仕込み90℃に昇温し、その温度で保持した。
エチルアクリレート50部、メチルメタクリレート15部、
メタクリロキシプロピルポリジメチルシロキサン(商品名「FM0721」、チッソ(株)製、数平均分子量Mn約5000)を20部、重合用触媒としてアゾビスイソブチロニトリル2部、アゾビス−2−メチルブチロニトリル2部の混合液を2時間かけて滴下し、滴下後、約4時間この温度(90℃)を保持して、固形分40.4%、数平均分子量Mnが3,500、粘度4ポイズ、固形分酸価90mgKOH/gのワニス(β−2)を得た。
ヒドロキシエトキシプロピルポリジメチルシロキサン((チッソ(株)製、商品名「FM-0411」、分子量約1100)を111部仕込み110℃で1時間保温した後、
170〜180℃に昇温して、3時間この温度で保持し淡褐色で
透明なワニス(β−3)を得た。
仕込み量に基いて算出される(メタクリロキシプロピルポリジメチルシロキサン及びヒドロキシエトキシプロピルポリジメチルシロキサンの)成分単位(a31)が28重量%であり、(バーサチック酸亜鉛アクリレート成分)単位(a32)及び2塩基酸亜鉛アクリレートポリジメチルシロキサンプロピルオキシエチルエステルから誘導される成分単位(a33)中の金属亜鉛含有量合計が6.1重量%のポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A3)を含むワニス(但し、共重合体(A3)中の全成分単位の合計を100重量%とする。)であって、
固形分52.5%、粘度5ポイズのワニス(α−6)を得た。
<ポリシロキサンブロックを含有しない金属塩共重合体の合成>
攪拌機、還流冷却器、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル20部、キシレン58部を仕込み90℃に昇温し、その温度で保持した。
バーサチック酸亜鉛メタクリレート8部、
メチルメタクリレート30部、
エチルアクリレート52部、
純水0.5部、
プロピレングリコールモノメチルエーテル40部、
アゾビスイソブチロニトリル4部の混合液を2時間かけて滴下し、滴下後、約4時間この温度(90℃)を保持して、固形分44.7%、数平均分子量Mnが2200、粘度5ポイズ、固形分酸価93のワニス(γ−1)1を得た。
[比較合成例2]
<ポリシロキサンブロックを含有しない金属塩共重合体の合成>
攪拌機、還流冷却器、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル20部、キシレン67部を仕込み90℃に昇温し、その温度で保持した。
亜鉛ジアクリレート10部、
メチルメタクリレート20部、
エチルアクリレート65部、
純水0.5部、
プロピレングリコールモノメチルエーテル32部、
アゾビスイソブチロニトリル3.5部の混合液を2時間かけて滴下し、滴下後、約4時間この温度(90℃)を保持して、固形分44.4%、数平均分子量Mnが2900、粘度5ポイズ、固形分酸価78のワニス(γ―2)を得た。
[実施例1〜11、比較例1〜10]
<防汚塗料組成物の製造>
上記合成例1〜6、比較合成例1〜2で合成したワニスを用いて表2に示す実施例1〜11、比較例1〜10の防汚塗料組成物(防汚塗料)を製造し、各々の防汚塗料を防衛庁
の塗料規格番号:「DSP K5005C」鋼船船底用塩化ビニール樹脂塗料1号が塗布された板の上に、その乾燥膜厚が200±20μmになるように塗布して室内にて乾燥させて、得られた試験板を海中(広島湾の宮島沖、水深1m)に浸漬して、海中生物の付着状況を調査した。
なお、防汚性評価は、生物付着面積(%)で評価した。
金属塩(金属エステル)の加水分解により古い塗膜表面が消失し、新しい塗膜表面が現われて更新される現象である自己研磨性(自己研創性)の発現と、含まれるシリコーンオイル(ポリシロキサン)の塗膜表面への移行・滲出により低表面自由エネルギー化が促進されることによる海中生物の付着防止効果との両機能により、防汚剤が実質上含まれていなくとも優れた防汚性を発揮し、また防汚剤が含まれていると一層長期に亘り優れた防汚効果を発揮することが分かる。
Claims (19)
- [A]下記(A1)〜(A3)からなる群から選ばれた少なくとも1種のポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体と、
[B]シリコーンオイル
とを含んでなることを特徴とする防汚塗料組成物;
(A1):ポリシロキサンブロック含有重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(a11)と、
式:CH2=C(R3)−COO−M−O−CO−R4
(Mは2価の金属原子を示し、R3は水素原子またはメチル基を示し、R4はラジカル反応性を有しない有機基を示す。)で表される重合性不飽和カルボン酸金属塩から誘導される成分単位(a12)と、
重合性不飽和カルボン酸またはそのエステルから誘導される成分単位(a13)と、から形成されるポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体、
(A2):ポリシロキサンブロック含有重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(a21)と、2価金属ジ(メタ)アクリレートから誘導される成分単位(a22)と、重合性不飽和カルボン酸またはそのエステルから誘導される成分単位(a23)と、
から形成されるポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体、
(A3):ポリシロキサンブロック(a31)と、アクリル樹脂ブロック(a32)とが、
式:[−M−O−CO−(G−CO−O−)r−(CH2)p−]
(式中、Mは2価の金属原子を示し、Gは2価の炭化水素基を示し、rは0または1を示し、pは0〜5の整数を示す。)
で表される金属含有結合(a33)で結合されたポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体。 - 上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体[A]と、シリコーンオイル[B]とが完全に相溶していることを特徴とする請求項1に記載の防汚塗料組成物。
- 上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A1)が、ポリシロキサンブロック含有重合性(メタ)アクリレートから誘導される成分単位(a11)と、
式:[CH2=C(R3)−COO−M−O−CO−R4]
(Mは2価の金属原子を示し、R3は水素原子またはメチル基を示し、R4はラジカル反応性を有しない有機基を示す。)で表される(メタ)アクリル酸金属塩から誘導される成分単位(a12)と、
(メタ)アクリル酸またはそのエステルから誘導される成分単位(a13)と、から形成されるポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体である請求項1または2に記載された防汚塗料組成物。 - 上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A1)中の重合性不飽和カルボン酸金属塩から誘導される成分単位(a12)中の金属Mの含有量が0.5〜16重量%(但し、該共重合体(A1)中の全成分単位の合計を100重量%とする。)である請求項1〜3の何れかに記載された防汚塗料組成物。
- 上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A1)中のポリシロキサンブロック含有重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(a11)の含有量が5〜80重量%(但し、該共重合体(A1)中の全成分単位の合計を100重量%とする。)である請求項1〜3の何れかに記載された防汚塗料組成物。
- 上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A1)の数平均分子量Mn[条件:液体クロマトグラフィー「Waters 2695」、検出器「Shodex RI−104」、カラム「東ソーSuper H4000+H2000」(6mm(ID)×15cm)、カラム温度40℃、溶離液:THF、流速:0.6ml/min.下で測定]が1,000〜50,000(5万)である請求項1〜5の何れかに記載された防汚塗料組成物。
- 上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A2)が、ポリシロキサンブロック含有(メタ)アクリレートから誘導される成分単位(a21)と、2価金属ジ(メタ)アクリレートから誘導される成分単位(a22)と、(メタ)アクリル酸またはそのエステルから誘導される成分単位(a23)と、から形成されるポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体である請求項1〜6の何れかに記載された防汚塗料組成物。
- 上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A2)中の2価金属ジ(メタ)アクリレートから誘導される成分単位(a22)中の金属Mの含有量が0.5〜10重量%(但し、該共重合体(A2)中の全成分単位の合計を100重量%とする。)である請求項1〜7の何れかに記載された防汚塗料組成物。
- 上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A2)中のポリシロキサンブロック含有重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(a21)の含有量が5〜80重量%(但し、該共重合体(A2)中の全成分単位の合計を100重量%とする。)である請求項1〜8の何れかに記載された防汚塗料組成物。
- 上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A2)の数平均分子量Mn[測定条件:請求項6の場合と同様]が1,000〜50,000(5万)である請求項1〜9の何れかに記載された防汚塗料組成物。
- 上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A3)が、
ポリシロキサンブロック(a31)と、アクリル樹脂ブロック(a32)とが、アクリル樹脂ブロック中の(メタ)アクリル酸由来のカルボキシル基を介して、
式:[−M−O−CO−(G−CO−O−)r−(CH2)p−]
(式中、Mは2価の金属原子を示し、Gは2価の炭化水素基を示し、rは0または1を示し、pは0〜5の整数を示す。)で表される金属含有結合(a33)の金属Mと結合することにより、結合されたポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体である請求項1〜10の何れかに記載された防汚塗料組成物。 - ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A3)中の
式:[−M−O−CO−(G−CO−O−)r−(CH2)p−]
(式中、Mは2価の金属原子を示し、Gは2価の炭化水素基を示し、rは0または1を示し、pは0〜5の整数を示す。)
で表される金属含有結合(a33)中の金属Mの含有量が0.5〜16重量%(但し、該共重合体(A3)中の金属含有結合を含む成分単位の合計を100重量%とする。)である請求項1〜11の何れかに記載された防汚塗料組成物。 - ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A3)中のポリシロキサンブロック含有重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(a31)の含有量が5〜80重量%(但し、該共重合体(A3)中の全成分単位の合計を100重量%とする。)である請求項1〜12の何れかに記載された防汚塗料組成物。
- ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体(A3)の数平均分子量Mn[測定条件:請求項6の場合と同様]が1,000〜50,000(5万)である請求項1〜13の何れかに記載された防汚塗料組成物。
- 上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体[A]を塗料中の固形分換算で5〜99重量%(但し、該塗料中の固形分換算量の合計を100重量%とする。)の量で含有する請求項1〜14の何れかに記載された防汚塗料組成物。
- 上記ポリシロキサンブロック含有金属塩共重合体[A](固形分)100重量部に対して、シリコーンオイル[B]を1〜50重量部の量で含有する請求項1〜15の何れかに記載された防汚塗料組成物。
- 実質的に亜酸化銅を含まない請求項1〜16の何れかに記載された防汚塗料組成物。
- 海水と接触する船舶外板または水中構造物の表面が、請求項1〜17の何れかに記載の防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜で被覆されていることを特徴とする船舶または水中構造物。
- 海水と接触する船舶外板または水中構造物の表面に、請求項1〜17の何れかに記載の防汚塗料組成物を塗付し、防汚塗膜を形成させることを特徴とする船舶または水中構造物の防汚方法。
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