JP5424575B2 - 塗料組成物及び共重合体 - Google Patents

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Description

本発明は、塗料組成物及びそれに含まれる金属含有共重合体に関するものであり、より詳しくは、水中構築物、漁網、船底への海中生物および海藻類の付着を防止する塗膜を形成させることができる塗料組成物に関するものである。
従来、船舶や海洋構造物の浸水部分には、フジツボ、フナクイムシ、藻類など海中生物の付着による腐食防止や船舶の航行速度低下の防止を目的として、防汚塗料が塗装されている。また養殖用の網においても、海中生物の付着による魚介類の致死防止等の目的で同様に防汚塗料が塗装されている。
防汚塗料から形成される塗膜は、これに含まれる防汚薬剤成分が海中に溶出することによって防汚効果を発揮するものである。ロジン系化合物を使用した崩壊型防汚塗料塗膜は、長時間にわたって海中に浸漬されていると、徐々に溶出分が少なくなって不溶出分が多くなり、それと共に塗膜面が凹凸状となり、そのため海中生物の付着防止効果が著しく低下してしまう。一方、加水分解型塗料から形成される塗膜は、塗膜表面が徐々に溶解して表面が更新される。多量の防汚薬剤成分を使用することによって、塗膜表面に常に防汚成分が露出し、長期の防汚効果が発揮されるものである。
加水分解型防汚塗料として、例えば特許文献1には、側鎖の末端部に金属原子含有基を有する共重合体、特許文献2及び特許文献3には、金属原子を含有する単量体を構成成分とする共重合体をビヒクル成分とし、防汚成分を含んだ自己研磨型被覆材組成物が提案されている。
一方、特許文献4にはフッ素系(メタ)アクリレートを用いて、微水溶性を長期維持することにより、毒性の低い防汚剤を使用した際にも従来以上の防汚性能を発現する塗料組成物が提案されている。
特許文献5にはシリコーン含有重合系単量体と2価の金属原子を含有する単量体を共重合させた共重合体が防汚薬剤を使用しない場合でも、防汚性能を発現する共重合体として提案されている。
特開平11−140376号公報 特開平11−35877号公報 特開2002−012630号公報 特開平5−186715号公報 特開2004−300410号公報
しかし、特許文献1〜3に記載されているような金属含有共重合体を用いた防汚塗料は、防汚効果を発現させるために、別途防汚薬剤を多量に使用する必要がある。また、特許文献4でも少量ではあるが防汚薬剤の使用が必要となる。特許文献5ではシリコーンを含有することによって塗膜強度が著しく低下する。
本発明の目的は、防汚薬剤成分を含有しない場合においても、長期に亘って塗膜強度を保ったまま海水中で防汚効果を発現することができ、密着性とリコート性に優れる防汚塗料となる塗料組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の共重合体を成分とする防汚性塗料組成物が優れた性能を示し、上記の目的を達成できることを見出した。
すなわち本発明の第1の要旨は、
下記式(2)で示されるフッ素含有単量体(a1)と、2個の不飽和基を有し、かつMg、ZnまたはCuの金属原子を含有する金属原子含有単量体(b1)および/または、下記式(1)記載の金属原子含有単量体(b2)を含むその他の単量体(b)を共重合してなる金属含有共重合体をビヒクルとして含有する防汚塗料用組成物。
CH 2 =C(R 3 )COO(CH 2 )mRf (2)
(式中R 3 はH又はCH 3 、mは1又は2、Rfはフッ素原子を3〜25個有するフロロアルキル基又はパ−フロロアルキル基である。)
CH 2 =C(R 1 )COO-M-R 2 (1)
(式中、R 1 は水素原子またはメチル基、MはMg、ZnまたはCu、R 2 は有機酸残基またはアルコール残基を示す)、である。
本発明の第の要旨は、
フッ素含有単量体(a1)を1〜50質量%、かつ金属含有量が全単量体に対し1〜25質量%である請求項1に記載の金属含有共重合体をビヒクルとして含有する防汚塗料用組成物、である。
本発明の塗料組成物及びそれを形成するのに好適な共重合体を用いた塗料組成物は、防汚薬剤成分を含有しない場合においても、優れた防汚効果を長期に亘り維持することができるものである。また下地との密着性及びリコート性に優れ、強固な塗膜を長期保持したまま防汚性が良好であることから、工業上非常に有益なものである。
本発明において、フッ素含有単量体(a)は、表面自由エネルギー制御により、防汚薬剤を含有しない場合においても生物を付着しにくい塗膜表面を形成する効果を共重合体に、付与するものである。
フッ素含有単量体(a)としては、例えば、前記式(2)で示される単量体(a1)を使用することができる。
単量体(a1)としては、例えば以下に列記するような化合物である。
CH2=CHCOOCH2CF3
CH2=C(CH3)COOCH2CF3
CH2=CHCOOCH225
CH 2 =C(CH 3 )COOCH 2 2 5
CH 2 =CHCOOCH 2 (CF 2 4
CH 2 =C(CH 3 )COOCH2(CF 2 4
CH 2 =CHCOO(CH 2 2 (CF 2 4
CH 2 =C(CH 3 )COO(CH 2 2 (CF 2 4
CH 2 =CHCOO(CH 2 2 8 17
CH 2 =C(CH 3 )COO(CH 2 2 8 17
CH 2 =CHCOO(CH 2 2 12 25
CH 2 =C(CH 3 )COO(CH 2 2 12 25
これらは単独あるいは複数組み合わせて使用される。汎用の溶剤に対する溶解性の点からフッ素原子の数は25以下にする必要があり、また該フッ素系(メタ)アクリレ−トの使用量は使用される単量体の総量に対し1〜50質量%の範囲である。フッ素含有単量体(a)が、単量体の総量に対し1質量%未満では表面自由エネルギ−の低下が十分でないため生物が付着し易くなり、50%を越えると汎用溶剤に対する溶解性、付着性、発泡等の作業等の作業性が低下すると共に、コストも高くなり、いずれも好ましくない。より好ましくは5〜50質量%の範囲であり、特に好ましくは、10〜40質量%の範囲である。
単量体(a1)の具体例としては、例えば、三菱レイヨン社製のアクリエステル 3FE、同8FSや同17FE(以上、商品名)、大阪有機化学工業社製のビスコート3F、同4Fや同8F(以上、商品名)、共栄社化学社製のライトエステル FM−108(商品名)などが挙げられる。
本発明の共重合体はフッ素含有単量体(a)以外の単量体(b)として、2価の金属原子を含む。共重合体中に含まれる金属原子の含有量は1〜25質量%であることが好ましく、3〜20質量%がより好ましく、5〜15質量%が特に好ましい。
2価の金属原子を含有する共重合体の製造方法としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等の2価の金属原子を導入可能な単量体を共重合成分として用いて共重合した高酸価樹脂に2価の金属原子を付加する方法や、2価の金属原子を導入可能な単量体と金属化合物とを反応させて2価の金属原子含有単量体を製造し、それを含む単量体混合物を共重合して得る方法がある。このような方法で得られた共重合体は、有機酸の金属エステルとして2価の金属原子を含有する。防汚塗膜の長期にわたる安定的な自己研磨性の維持のためには、2価の金属原子含有単量体を含む単量体混合物を共重合して製造するのが好ましい。また、2価の金属原子としては、Mg、ZnまたはCuが好ましい。このように、2価の金属原子を配位させた共重合体は、海水中では金属がイオン化して可溶化する。そのため、塗膜の平滑性を保ちながら徐々に塗膜が溶解する。
2価の金属原子含有単量体は、下地との密着性を向上させる成分であり、また得られる塗膜に高い自己研磨性を長期間付与し、優れた防汚効果を発揮させるための成分である。好ましくは、2個の不飽和基を有する金属原子含有単量体(b1)(以下、単に「単量体(b1)」ともいう) 及び前記式(1) で示される金属原子含有単量体(b2)(以下、単に「単量体(b2)」ともいう)の少なくとも一方を含むものである。
単量体(b1)は、形成される塗膜の自己研磨性を長期間維持させることができるものである。共重合体を形成するための単量体混合物に含まれる単量体(b1)の含有量は、特に限定されるものではないが、単量体の総量に対し1〜50質量%の範囲であることが好ましい。これは、1質量%以上とすることによって、下地との密着性が向上し、また形成される塗膜の自己研磨性がより長期間維持される傾向にあり、50質量%以下とすることによって、海水浸漬後の耐クラック性や密着性とのバランスを向上させる効果が顕著となり、長期の自己研磨性を維持し、塗膜物性が向上する傾向にあるためである。より好ましくは、5〜30質量%の範囲である。
単量体(b1)としては、例えば、ジアクリル酸マグネシウム[(CH=CHCOO)Mg]、ジメタクリル酸マグネシウム[(CH=C(CH)COO)2Mg]、ジアクリル酸亜鉛[(CH=CHCOO)Zn]、ジメタクリル酸亜鉛[(CH2=C(CH)COO)Zn]、ジアクリル酸銅[(CH=CHCOO)Cu]、ジメタクリル酸銅[(CH=C(CH)COO)Cu]等を挙げることができる。これらは、1種または2種以上を必要に応じて適宜選択して用いることができる。中でも(メタ)アクリル酸亜鉛を使用すると、得られる重合生成物の透明性が高いため塗装された塗膜の色調が美しくなる傾向にあり、また一般的に使用される有機溶剤への溶解性が高いため作業性が良好となる傾向にあり、好ましい。なお、「(メタ)アクリル」とは、アクリルまたはメタクリルのことを意味する(以下、類似の表現を含めて同じ)。
これら単量体(b1)の製造方法としては、無機金属化合物と、(メタ)アクリル酸のようなカルボキシル基含有ラジカル単量体とをアルコール系化合物を含有する有機溶剤中で水とともに反応させる方法が好ましい。これは、この方法で得られる単量体(b1)を含有する反応物は、有機溶剤や共重合体を形成するための他の成分(フッ素含有単量体や後述する他の共重合可能な不飽和単量体)との相溶性に優れ、これを用いると共重合が容易になる傾向にあるためである。この場合、反応物中の水の含有量を0.01〜30質量%の範囲となるように製造するのが好ましい。
単量体(b2)は、これを使用することによって、形成される塗膜に充分でかつ長期の加水分解性が付与されるとともに、塗膜の耐クラック性と耐剥離性に優れる傾向がある。
単量体(b2)の含有量は、特に限定されるものではないが、単量体総量に対し1〜50質量%の範囲であることが好ましい。これは、1質量%以上とすることによって、塗膜の耐クラック性や剥離性に優れる傾向にあり、50質量%以下とすることによって、塗膜の自己研磨性や防汚効果に優れる傾向にあるためである。より好ましくは、5〜40質量%の範囲である。
単量体(b2)の具体例としては、例えば、酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、酢酸銅(メタ)アクリレート、モノクロル酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、モノクロル酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、モノクロル酢酸銅(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸銅(メタ)アクリレート、プロピオン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、プロピオン酸亜鉛(メタ)アクリレート、プロピオン酸銅(メタ)アクリレート、カプロン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、カプロン酸亜鉛(メタ)アクリレート、カプロン酸銅(メタ)アクリレート、カプリル酸マグネシウム(メタ)アクリレート、カプリル酸亜鉛(メタ)アクリレート、カプリル酸銅(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル酸マグネシウム(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル酸亜鉛(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル酸銅(メタ)アクリレート、カプリン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、カプリン酸亜鉛(メタ)アクリレート、カプリン酸銅(メタ)アクリレート、バーサチック酸マグネシウム(メタ)アクリレート、バーサチック酸亜鉛(メタ)アクリレート、バーサチック酸銅(メタ)アクリレート、イソステアリン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、イソステアリン酸亜鉛(メタ)アクリレート、イソステアリン酸銅(メタ)アクリレート、パルミチン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、パルミチン酸亜鉛(メタ)アクリレート、パルミチン酸銅(メタ)アクリレート、クレソチン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、クレソチン酸亜鉛(メタ)アクリレート、クレソチン酸銅(メタ)アクリレート、オレイン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、オレイン酸亜鉛(メタ)アクリレート、オレイン酸銅(メタ)アクリレート、エライジン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、エライジン酸亜鉛(メタ)アクリレート、エライジン酸銅(メタ)アクリレート、リノール酸マグネシウム(メタ)アクリレート、リノール酸亜鉛(メタ)アクリレート、リノール酸銅(メタ)アクリレート、リノレン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、リノレン酸亜鉛(メタ)アクリレート、リノレン酸銅(メタ)アクリレート、ステアロールマグネシウム(メタ)アクリレート、ステアロール酸亜鉛(メタ)アクリレート、ステアロール酸銅(メタ)アクリレート、リシノール酸マグネシウム(メタ)アクリレート、リシノール酸亜鉛(メタ)アクリレート、リシノール酸銅(メタ)アクリレート、リシノエライジン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、リシノエライジン酸亜鉛(メタ)アクリレート、リシノエライジン酸銅(メタ)アクリレート、ブラシジン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、ブラシジン酸亜鉛(メタ)アクリレート、ブラシジン酸銅(メタ)アクリレート、エルカ酸マグネシウム(メタ)アクリレート、エルカ酸亜鉛(メタ)アクリレート、エルカ酸銅(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸マグネシウム(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸亜鉛(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸銅(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸マグネシウム(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸亜鉛(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸銅(メタ)アクリレート、安息香酸マグネシウム(メタ)アクリレート、安息香酸亜鉛(メタ)アクリレート、安息香酸銅(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸銅(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸銅(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸亜鉛(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸銅(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸マグネシウム(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸亜鉛(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸銅(メタ)アクリレート、ニトロナフタレンカルボン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、ニトロナフタレンカルボン酸亜鉛(メタ)アクリレート、ニトロナフタレンカルボン酸銅(メタ)アクリレート、プルビン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、プルビン酸亜鉛(メタ)アクリレート、プルビン酸銅(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を必要に応じて適宜選択して使用することができる。中でも、有機酸残基が脂肪酸系のものを使用すると、長期にわたりクラックや剥離のない塗膜を維持することができる傾向にあり好ましい。亜鉛を含有するものを使用すると、得られる重合生成物の透明性が高いため塗装された塗膜の色調が美しくなる傾向にあり、また一般的に使用される有機溶剤への溶解性が高いため作業性が良好となる傾向にあり好ましい。特に、可塑性の高いオレイン酸亜鉛(メタ)アクリレートやバーサチック酸亜鉛(メタ)アクリレートの単量体が好ましい。
単量体(b2)の製造方法としては、例えば、無機金属化合物と、(メタ)アクリル酸のようなカルボキシル基含有ラジカル単量体と、非重合性有機酸を、アルコール系化合物を含有する有機溶剤中で反応させる方法を挙げることができる。
また、金属含有単量体として、単量体(b1)と単量体(b2)を併用すると、形成される塗膜に充分でかつ長期の加水分解性が付与されるとともに、塗膜の耐クラック性と耐剥離性とのバランスが良好となり、さらに好ましい。特に、単量体(b1) としてジ(メタ)アクリル酸亜鉛を使用し、単量体(b2)としてオレイン酸亜鉛(メタ)アクリレートやバーサチック酸亜鉛(メタ)アクリレートを使用すると、上述の効果に特に優れる傾向にあり、非常に好ましい。
また、単量体(b1)と単量体(b2)の含有量の合計としては、単量体総量に対し1〜50質量%の範囲であることが好ましい。これは、1質量%以上とすることによって、下地との密着性が向上し、また形成される塗膜の自己研磨性がより長期間安定的に維持される傾向にあり、50質量%以下とすることによって、海水浸漬後の耐クラック性や密着性とのバランスを向上させる効果が顕著となり、長期の自己研磨性を維持し、塗膜物性が向上する傾向にあるためである。より好ましくは、5〜30質量%の範囲である。
更に、本発明の共重合体中、フッ素含有単量体(a)以外の単量体(b)として、これらと共重合可能であり、金属を含有していない単量体(b3)を使用することができる。単量体(b3)は、必要に応じて適宜使用することができるものであり、必ずしも使用する必要はないが、共重合体を形成するための単量体混合物に含まれる樹脂成分に対する共重合可能な単量体(b3)の含有量は、0.1〜89質量%の範囲であることが好ましい。これは、0.1質量%以上とすることによって、得られる被覆材組成物の諸特性のバランスを整えることができる傾向にあり、89質量%以下とすることによって、形成される塗膜に長期に亘る良好な加水分解性が付与され、防汚薬剤を使用しない場合でも優れた防汚性を発現し、塗膜の密着性とのバランスが良好となる傾向にあるためである。より好ましくは、7〜75質量%の範囲であり、さらに好ましくは、10〜70質量%の範囲である。
このような単量体(b3)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エチルヘキサオキシ)エチル(メタ)アクリレート、1−メチル−2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、m−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、p−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、o−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート、m−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート、p−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、γ−ブチロラクトンまたはε−カプロラクトン等との付加物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の二量体または三量体;グリセロール(メタ)アクリレート等の水酸基を複数有する単量体;ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等の第一級および第二級アミノ基含有ビニル単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の第三級アミノ基含有単量体;ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール等の複素環族系塩基性単量体等;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の単量体を挙げることができる。
上記の共重合体の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、上記した単量体を混合した単量体混合物をラジカル開始剤の存在下に60〜180℃の反応温度で5〜14時間反応させることによって製造することができる。ラジカル開始剤としては、例えば、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、ラウリルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルパーオキ−2−エチルヘキサノエート等が使用できる。
また、ハイソリッド化や生産性の向上、特に重合時のカレットの生成を抑制するために連鎖移動剤を使用することができる。金属原子含有単量体との相溶性の点からは、メルカプタン以外の連鎖移動剤が好ましく、スチレンダイマー等が好ましい。重合方法は、有機溶剤中で行う溶液重合法のほかに、乳化重合法、懸濁重合法等が採用できるが、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、酢酸n−ブチル等の一般の有機溶剤を用いる溶液重合方法を採用するのが生産性、性能の点で有利である。
本発明の被覆材組成物は、上記の共重合体をビヒクル成分として含有することによって、形成される塗膜に優れた防汚性能を保持させることができる。
本発明で使用する共重合体は重量平均分子量1000〜30000の範囲のものである。1000未満では長期の防汚性能が劣り、30000を越えると防汚剤が溶出しにくくなると共に塗装作業しにくくなりいずれも好ましくない。また、本発明で使用する共重合体のガラス転移温度は−20〜50℃の範囲のものである。−20℃未満では塗膜に粘着性を生じ50℃を越えると塗膜がもろくなるためいずれも好ましくない。
本発明の被覆材組成物中で、顔料成分等を使用する場合におけるビヒクルとしての共重合体の割合は、塗料組成物中、樹脂成分として通常20〜30質量%(固形分)の範囲で使用するのが好ましい。(樹脂固形成分)/(顔料等の固形成分)との比率が0.3以上であることが好ましい。これは樹脂成分を適度に含有させることによって、耐クラック性等の塗膜性能が良好になり、過度に含有させないことによって、良好な防汚能力の保持と耐クラック性とのバランス化が良好となる傾向にあるためである。
防汚性能をさらに向上させるために、本発明の被覆材組成物で使用される防汚薬剤としては、要求性能に応じて適宜選択して使用することができる。例えば、亜酸化銅、チオシアン銅、銅粉末等の銅系防汚剤を始め、鉛、亜鉛、ニッケル等その他の金属化合物、ジフェニルアミン等のアミン誘導体、ニトリル化合物、ベンゾチアゾール系化合物、マレイミド系化合物、ピリジン系化合物等が挙げられる。これらは、単独あるいは複数で使用することができる。特に(社)日本造船工業会等によって、調査研究の対象とされ選定されたものが好ましく、例えば、マンガニーズエチレンビスジチオカーバメイト、ジンクジメチルジチオカーバメート、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、2,4,5,6,テトラクロロイソフタロニトリル、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、ジンクエチレンビスジチオカーバメイ−ト、ロダン銅、4,5−ジクロロ−2−nオクチル−3(2H)イソチアゾロン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、N,N’−ジメチル−N’−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩、テトラメチルチウラムジサルファイド、Cu−10%Ni個溶合金、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、3−ヨード−2−プロピニールブチルカーバメイ−ト、ジヨードメチルパラトリスルホン、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート、フェニル(ビスピリジル)ビスマスジクロライド、2−(4−チアゾリル)−ベンツイミダゾール、ピリジン−トリフェニルボランを挙げることができる。
本発明の防汚性塗料組成物には、その他、塗膜表面に潤滑性を付与し、生物の付着を防止する目的でジメチルポリシロキサン、シリコーンオイル等のシリコーン化合物やフッ化炭素等の含フッ素化合物等も配合することができる。さらに、本発明の防汚性塗料組成物は、体質顔料、着色顔料、可塑剤、各種塗料用添加剤、その他の樹脂等を必要に応じて配合することができる。
本発明の被覆材組成物に用いる溶剤としては、キシレン、プロピレングリコールメチルエーテル、トルエン、メチルイソブチルケトン、酢酸n−ブチル、n−ブタノールなどを挙げることができる。有機溶剤は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の被覆材組成物を用いて塗膜を形成するには、上記した被覆材組成物を、船舶、各種漁網、港湾施設、オイルフェンス、橋梁、海底基地等の水中構造物等の基材表面に直接に、もしくは基材にウオッシュプライマー、塩化ゴム系、エポキシ系等のプライマー、中塗り塗料等を塗布した塗膜の上に刷毛塗り、吹き付け塗り、ローラー塗り、沈漬塗り等の手段で塗布する。塗布量は、一般的には乾燥塗膜として50〜400μmの厚さになるような量である。塗膜の乾燥は一般的には室温で行われるが、加熱乾燥を行っても差し支えない。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、例中の部は質量部を表す。
[製造例M1:金属原子含有単量体M1の製造]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)85.4部および酸化亜鉛40.7部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメタクリル酸43.1部、アクリル酸36.1部、水5部からなる混合物を3時間で等速滴下した。さらに2時間撹拌した後PGMを36部添加して透明な金属原子含有単量体混合物M1を得た。固形分は42.8質量%であった。
[製造例M2:金属原子含有単量体M2の製造]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにn−BuOH(ノルマルブタノール)72.4部および酸化亜鉛40.7部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメタクリル酸30.1部、アクリル酸25.2部、バーサチック酸51.6部からなる混合物を3時間で等速滴下した。さらに2時間撹拌した後PGMを11部添加して透明な金属原子含有単量体混合物M2を得た。M2は(b1)と(b2)の混合物であり、固形分は59.6質量%であった。
[製造例M3:金属原子含有単量体M3の製造]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにキシレン60部、PGM(プロピレングリコールメチルエーテル)13部および酸化亜鉛40.7部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメタクリル酸32.3部、アクリル酸27部、オレイン酸37.7部、酢酸2.3部、プロピオン酸5.8部からなる混合物を3時間で等速滴下した。さらに2時間撹拌した後キシレン77部、PGMを46部添加して透明な金属原子含有単量体混合物M3を得た。M3は(b1)と(b2)の混合物であり、固形分は39.6質量%であった。
[製造例P1:金属含有共重合体P1の製造]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部およびキシレン59部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート26部、エチルアクリレート36部、17FM(ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、三菱レイヨン社製)20部、製造例M1記載の金属原子含有単量体(M1)33部、キシレン10部、連鎖移動剤としてノフマーMSD(α−メチルスチレンダイマー、日本油脂社製)1.5部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2.5部、アゾビスメチルブチロニトリル(AMBN)4部からなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了後にt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン10部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを10部添加して、加熱残分45.7質量%、ガードナー粘度+Z1を有する淡黄色透明な金属含有共重合体P1を得た。
得られた金属含有共重合体P1をGPC(東ソー社製HLC−8120GPC(商品名)、溶離液:ジメチルホルムアミド)にて分析したところ、金属含有共重合体P1に含まれる共重合体の重量平均分子量は5800であった。また、得られた金属含有共重合体P1からメタノール再沈殿により単離した共重合体を白金るつぼに採取し、硫酸を加えた後、加圧分解容器に入れ加熱した。硫酸を揮発させた後、共重合体を完全に灰化させた。また、この共重合体を原子吸光分光光度計(島津製作所社製AA6800(商品名))により分析したところ、Zn原子由来のシグナルが確認された。
[製造例P2:金属含有共重合体P2の製造]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにn−BuOH(ノルマルブタノール)15部およびキシレン65部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート18部、エチルアクリレート20部、ブレンマー 70PEP−350B(ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、日本油脂社製)10部、8FS(オクタフルオロペンチルメタクリレート、三菱レイヨン社製)30部、製造例M2記載の金属原子含有単量体混合物(M2)30部、キシレン10部、連鎖移動剤としてノフマーMSD(α−メチルスチレンダイマー、日本油脂社製)1.5部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2.5部、アゾビスメチルブチロニトリル(AMBN)3部からなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了後にt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン10部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを10部添加して、加熱残分46.0質量%、ガードナー粘度+Vを有する淡黄色透明な金属含有共重合体P2を得た。
[製造例P3:金属含有共重合体P3の製造]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部およびキシレン57部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート14部、エチルアクリレート49部、2−メトキシエチルメタクリレート(2−MTA)10部、3FM(トリフルオロエチルメタクリレート、三菱レイヨン社製)10部、製造例M3記載の金属原子含有単量体混合物(M3)33部、キシレン10部、連鎖移動剤としてノフマーMSD(α−メチルスチレンダイマー、日本油脂社製)1.5部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2.5部、アゾビスメチルブチロニトリル(AMBN)2部からなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了後にt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン10部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを10部添加して、加熱残分45.7質量%、ガードナー粘度−Uを有する淡黄色透明な金属含有共重合体P3を得た。
[製造例P4:金属含有共重合体P4の製造]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部およびキシレン65部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート37部、エチルアクリレート29部、3FM(トリフルオロエチルメタクリレート、三菱レイヨン社製)10部、17FM(ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、三菱レイヨン社製)10部、製造例M1記載の金属原子含有単量体混合物(M1)23部、キシレン10部、連鎖移動剤としてノフマーMSD(α−メチルスチレンダイマー、日本油脂社製)1.5部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2.5部、アゾビスメチルブチロニトリル(AMBN)3部からなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了後にt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン10部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを10部添加して、加熱残分46.0質量%、ガードナー粘度Sを有する淡黄色透明な金属含有共重合体P4を得た。
[製造例P5:金属含有共重合体P5の製造]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部およびキシレン59部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート26部、エチルアクリレート22部、17FM(ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、三菱レイヨン社製)26部、サイラプレーン FM−0711(メタクリロプロピルトリコサメチルウンデカシロキサン、チッソ社製)7部、製造例M1記載の金属原子含有単量体混合物(M1)33部、キシレン10部、連鎖移動剤としてノフマーMSD(α−メチルスチレンダイマー、日本油脂社製)1.5部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2.5部、アゾビスメチルブチロニトリル(AMBN)4部からなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了後にt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン10部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを10部添加して、加熱残分45.2質量%、ガードナー粘度+Uを有する淡黄色透明な金属含有共重合体P5を得た。
[製造例P6:金属含有共重合体P6の製造]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部およびキシレン50部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート30部、エチルアクリレート40部、2−メトキシエチルメタクリレート(2−MTA)5部、製造例M1記載の金属原子含有単量体混合物(M1)49部、キシレン10部、連鎖移動剤としてノフマーMSD(α−メチルスチレンダイマー、日本油脂社製)1.5部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2.5部、アゾビスメチルブチロニトリル(AMBN)7部からなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了後にt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン10部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを10部添加して、加熱残分46.1質量%、ガードナー粘度−Pを有する淡黄色透明な金属含有共重合体P6を得た。
[製造例P7:金属含有共重合体P7の製造]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部およびキシレン77部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート20部、エチルアクリレート21部、3FM(トリフルオロエチルメタクリレート、三菱レイヨン社製)55部、キシレン10部、連鎖移動剤としてノフマーMSD(α−メチルスチレンダイマー、日本油脂社製)1.5部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2.5部、アゾビスメチルブチロニトリル(AMBN)2部からなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了後にt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン10部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを10部添加して、加熱残分44.7質量%、ガードナー粘度−Cを有する淡黄色透明な金属含有共重合体P7を得た。
[製造例P8:金属含有共重合体P8の製造]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部およびキシレン64部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート32部、エチルアクリレート14部、サイラプレーン FM−0711(メタクリロプロピルトリコサメチルウンデカシロキサン、チッソ社製)40部、製造例M1記載の金属原子含有単量体混合物(M1)23部、キシレン10部、連鎖移動剤としてノフマーMSD(α−メチルスチレンダイマー、日本油脂社製)1.5部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2.5部、アゾビスメチルブチロニトリル(AMBN)1部からなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了後にt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン10部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを10部添加して、加熱残分45.3質量%、ガードナー粘度−Uを有する淡黄色透明な金属含有共重合体P8を得た。
Figure 0005424575
表2に製造例P1〜P8の金属含有共重合体、並びに、得られた金属含有共重合体の粘度(ガードナー)及び固形分(質量%)を記載した。
Figure 0005424575
次いで、このようにして得られた金属含有共重合体P1〜P5を用いて、表3に示す配合割合により本発明の塗料組成物(実施例1〜7)を調整した。また、樹脂組成物P6〜P8を用いて、表3に示す配合割合により、比較例1〜4の塗料組成物を調整した。
Figure 0005424575
次いで、上記調整の各塗料組成物を用いて、下記の要領で塗膜の消耗度試験、防汚性試験、および鉛筆硬度試験を行った。
(1) 塗膜の消耗度試験
各被覆材組成物をそれぞれ50×50×2mm(厚さ)の硬質塩化ビニル板に、乾燥塗膜200μmになるようにアプリケーターで塗布し、人工海水中に設置した回転ドラムに取り付け、周速20ノットで回転させて3ケ月毎の消耗膜厚を24ヶ月測定した。その結果を表4に示した。
(2) 防汚性試験
各被覆材組成物を、あらかじめ防錆塗料を塗布してあるサンドブラスト鋼板に、乾燥膜厚が400μmになるように刷毛で塗布し、神奈川県横浜市東京湾沿岸で24ヶ月間静置浸漬し、6ヶ月毎に付着生物の付着面積(%)を調べた。その結果を表4に示した。
(3) 鉛筆硬度試験
JIS K5400に準じて測定した。
Figure 0005424575
金属原子を含まない、フッ素含有単量体の共重合体を含む樹脂組成物P7を使用した塗膜(比較例4)については、塗膜の消耗試験において自己研磨性は見られず、防汚性が低位であり、また密着性も不良であった。フッ素を含まない金属含有単量体の共重合体を含む金属含有共重合体P6を使用した塗膜(比較例1及び3)は、自己研磨性が見られるものの防汚性は極めて低位であった。また、シリコーン含有単量体の共重合体を含む樹脂組成物P8を使用した塗膜(比較例2)は自己研磨性が見られ、初期の防汚性は確認できるが、水流のある実践に塗装すると塗膜が軟らかいために外部からの衝撃によって塗膜が傷つき塗膜の平滑性が損なわれている箇所が確認された。その破損箇所を基点にフジツボなどの海中生物が付着するため、長期の防汚性が低下した。
一方、2個の不飽和基を有し、かつ金属原子を含有する金属原子含有単量体とフッ素含有単量体を使用した共重合体を含む金属含有共重合体P1〜P5を使用した塗膜(実施例1〜7)については、防汚薬剤を使用しない場合においても、長期に亘り防汚性が良好であり、自己研磨性が見られると共に、下地との密着性が良好であった。また、2個の不飽和基を有し、かつ金属原子を含有する金属原子含有単量体とフッ素含有単量体を使用した共重合体を含む金属含有共重合体P1およびP5に顔料を配合した塗料組成物(実施例6〜7)において塗膜の強度は向上し、また防汚性は良好であった。
本発明の塗料組成物及びそれを形成するのに好適な共重合体を用いた塗料組成物は、防汚薬剤成分を含有しない場合においても、優れた防汚効果を長期に亘り維持することができるものである。また下地との密着性及びリコート性に優れていることから、工業上非常に有益なものである。

Claims (2)

  1. 下記式(2)で示されるフッ素含有単量体(a1)と、2個の不飽和基を有し、かつMg、ZnまたはCuの金属原子を含有する金属原子含有単量体(b1)および/または、下記式(1)記載の金属原子含有単量体(b2)を含むその他の単量体(b)を共重合してなる金属含有共重合体をビヒクルとして含有する防汚塗料用組成物。
    CH2=C(R3)COO(CH2)mRf (2)
    (式中R3はH又はCH3、mは1又は2、Rfはフッ素原子を3〜25個有するフロロアルキル基又はパ−フロロアルキル基である。)
    CH 2 =C(R 1 )COO-M-R 2 (1)
    (式中、R 1 は水素原子またはメチル基、MはMg、ZnまたはCu、R 2 は有機酸残基またはアルコール残基を示す)
  2. フッ素含有単量体(a1)を1〜50質量%、かつ金属含有量が全単量体に対し1〜25質量%である請求項1に記載の金属含有共重合体をビヒクルとして含有する防汚塗料用組成物。
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