JPH10168350A - 防汚性塗料組成物 - Google Patents

防汚性塗料組成物

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JPH10168350A
JPH10168350A JP34445796A JP34445796A JPH10168350A JP H10168350 A JPH10168350 A JP H10168350A JP 34445796 A JP34445796 A JP 34445796A JP 34445796 A JP34445796 A JP 34445796A JP H10168350 A JPH10168350 A JP H10168350A
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JP
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acrylate
meth
antifouling
metal
copolymer
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JP34445796A
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Mitsunori Sugihara
光律 杉原
Masamitsu Ito
正光 伊藤
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間にわたって海中で防汚効果を発揮でき
る自己研磨型防汚性塗料組成物の提供。 【解決手段】 (a)下記一般式(I) 【化1】 で表わされる有機ケイ素含有重合性単量体5〜90重量
%、(b)二重結合を2個有し、かつ金属を含有する重
合性単量体及び下記一般式(II) 【化2】 で表わされる金属含有単量体よりなる群から選ばれた少
なくとも一種の単量体2〜40重量%、及び(c)共重
合性単量体8〜93重量%からなる共重合体をビヒクル
として防汚性塗料組成物を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防汚性塗料組成物
に関し、より詳しくは水中構築物、漁網、船底への海中
生物および海藻類の付着を防止することができる防汚性
塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、船舶や海洋構造物の浸水部分に
は、フジツボ、フナクイムシ、藻類など海中生物の付着
による腐食防止や船舶の航行速度低下の防止を目的とし
て、ロジンや有機錫を含有する防汚塗料が塗装されてい
る。また、養殖用の網においても、海中生物の付着によ
る魚介類の致死防止等の目的でロジンや有機錫を含有す
る防汚塗料が塗装されている。
【0003】この防汚塗料においては、その塗膜に含ま
れるロジンおよび防汚成分が海中に溶出することによっ
て防汚効果を発揮するものであるが、この塗膜は長時間
にわたって海中に浸漬されていると、徐々に溶出分が少
なくなり、それと共に塗膜面が凹凸状となり、そのため
海中生物等の付着防止効果が著しく低下してくる。ま
た、自己研磨型有機錫含有塗料は、毒性が強いことから
魚介類に対して悪影響を及ぼす。そのために、毒性が少
なく、かつ長期にわたり海中で防汚機能を発揮する自己
研磨型防汚性塗料組成物の開発に対する要請はきわめて
強くなっている。自己研磨型塗料の一つとして、有機ケ
イ素エステルが側鎖に導入された有機ケイ素含有共重合
体を用いた防汚塗料が米国特許第4,593,055号
明細書に開示されている。
【0004】しかしながら、上記の有機ケイ素含有共重
合体を用いた塗料においては、 (1)海中に浸漬された塗膜は自己研磨性(塗膜の消耗
度)を示すものの、時間がたつと共に自己研磨性が見ら
れなくなり長期にわたり防汚効果が発揮されない。 (2)長期にわたり自己研磨性を維持するために分子量
あたりのケイ素含有量を多くすると、塗膜が硬く脆くな
って、塗膜にクラックが発生し、遂には剥離が起こる。
等の問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、長期間にわ
たって海中で防汚効果を発揮する自己研磨型防汚性塗料
組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の目
的を達成できる塗料組成物について鋭意研究を重ねた結
果、特定の共重合体樹脂をビヒクル成分とする防汚性塗
料組成物が優れた性能を有することを見出し本発明を完
成した。
【0007】すなわち本発明は、(a)下記一般式
(I)
【0008】
【化3】 で表わされる有機ケイ素含有重合性単量体5〜90重量
%、(b)二重結合を2個有し、かつ金属を含有する重
合性単量体および下記一般式(II)
【0009】
【化4】 で表わされる金属含有単量体より選ばれる少なくとも一
種の単量体2〜40重量%、および(c)共重合可能な
単量体8〜93重量%、からなる共重合体をビヒクルと
して含有することを特徴とする防汚性塗料組成物にあ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において、ビヒクル成分で
ある共重合体を得るのに用いられる有機ケイ素含有重合
性単量体(a)(以下、有機ケイ素含有単量体(a)と
略記する。)は、上記一般式(I)で表わされる構造を
有するものである。この有機ケイ素含有単量体(a)
は、塗布して形成された塗膜が海水中において常に新鮮
な塗膜を露出し、長期間にわたって自己研磨性を維持し
防汚機能を発揮させるための成分の一つである。
【0011】上記一般式(I)において、R1 は水素原
子またはメチル基、R2 ,R3 およびR4 は1〜18の
アルキル基、シクロアルキル基およびフェニル基の中か
ら選ばれた同一または異なる基を表わす。
【0012】このような有機ケイ素含有単量体(a)と
しては、例えばトリメチルシリル(メタ)アクリレート
((メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタク
リレートの意、以下同じ。)、トリエチルシリル(メ
タ)アクリレート、トリ−n−プロピルシリル(メタ)
アクリレート、トリ−i−プロピルシリル(メタ)アク
リレート、トリ−n−ブチルシリル(メタ)アクリレー
ト、トリ−i−ブチルシリル(メタ)アクリレート、ト
リフェニルシリル(メタ)アクリレート、ジメチルブチ
ルシリル(メタ)アクリレート、ジメチルヘキシル(メ
タ)アクリレート、ジメチルオクチルシリル(メタ)ア
クリレート、ジメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ
ート、ジメチルフェニルシリル(メタ)アクリレート、
メチルジブチルシリル(メタ)アクリレート、エチルジ
ブチルシリル(メタ)アクリレート、ジブチルシクロヘ
キシル(メタ)アクリレート、ジブチルフェニルシリル
(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのう
ち、長期にわたる均一な加水分解を制御するには、上記
一般式(I)において、R2 ,R3 ,R4 の炭素数が同
一のものが好ましく、その中でもトリ−n−ブチルシリ
ル(メタ)アクリレートが適度な加水分解速度を持つの
で好ましい。有機ケイ素含有単量体は、一種でまたは二
種以上を併用して用いることができる。
【0013】本発明において、ビヒクル成分である共重
合体を得るのに用いられる金属含有単量体(b)は、上
記の二重結合を2個有し、かつ金属を含有する重合性単
量体(以下、金属含有単量体(b−1)と略記する。)
と上記一般式(II)で表わされる金属含有単量体(以
下、金属含有単量体(b−2)と略記する。)から選ば
れる少なくとも一種の単量体である。この金属含有単量
体(b)は、塗膜にクラックや剥離がなく、塗膜が適切
な速度で、かつ均一に海中へ溶解し、長期にわたって自
己研磨性を維持し防汚機能を発揮するための成分であ
る。
【0014】本発明において使用される金属含有単量体
(b−1)としては、例えばアクリル酸マグネシウム
[Mg(CH2 =CHCOO)2 ]、メタクリル酸マグ
ネシウム[Mg(CH2 =C(CH3 )COO)2 ]、
アクリル酸亜鉛[Zn(CH2=CHCOO)2 ]、メ
タクリル酸亜鉛[Zn(CH2 =C(CH3 )COO)
2 ]、アクリル酸銅[Cu(CH2 =CHCOO)
2 ]、メタクリル酸銅[Cu(CH2 =C(CH3 )C
OO)2 ]等が挙げられる。
【0015】また、本発明において使用される金属含有
単量体(b−2)は、上記一般式(II)で表わされるも
のである。上記式一般式(II)において、R5 は水素原
子またはメチル基、MはMg,ZnまたはCuの金属を
表わし、R6 は有機酸残基を示す。有機酸残基として
は、モノクロル酢酸、モノフルオロ酢酸、プロピオン
酸、オクチル酸、バーサチック酸、パルミチン酸、クレ
ソチン酸、α−ナフトエ酸、β−ナフトエ酸、安息香
酸、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸、2,4−
ジクロロフェノキシ酢酸、キノリンカルボン酸、ニトロ
安息香酸、ニトロナフタレンカルボン酸、プルビン酸等
の一価の有機酸から誘導されるものが例示される。これ
らの有機酸残基の中でも防汚性塗料としては脂肪酸系の
ものが特に好ましく、長期にわたりクラックや剥離のな
い塗膜を維持することができる。
【0016】上記一般式(II)で表わされる金属含有単
量体(b−2)の具体例としては、モノクロル酢酸マグ
ネシウム(メタ)アクリレート、モノクロル酢酸亜鉛
(メタ)アクリレート、モノクロル酢酸銅(メタ)アク
リレート、モノフルオロ酢酸マグネシウム(メタ)アク
リレート、モノフルオロ酢酸亜鉛(メタ)アクリレー
ト、モノフルオロ酢酸銅(メタ)アクリレート、プロピ
オン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、プロピオン
酸亜鉛(メタ)アクリレート、プロピオン酸銅(メタ)
アクリレート、オクチル酸マグネシウム(メタ)アクリ
レート、オクチル酸亜鉛(メタ)アクリレート、オクチ
ル酸銅(メタ)アクリレート、バーサチック酸マグネシ
ウム(メタ)アクリレート、バーサチック酸亜鉛(メ
タ)アクリレート、バーサチック酸銅(メタ)アクリレ
ート、パルミチン酸マグネシウム(メタ)アクリレー
ト、パルミチン酸亜鉛(メタ)アクリレート、パルミチ
ン酸銅(メタ)アクリレート、クレソチン酸マグネシウ
ム(メタ)アクリレート、クレソチン酸亜鉛(メタ)ア
クリレート、クレソチン酸銅(メタ)アクリレート、α
−ナフトエ酸マグネシウム(メタ)アクリレート、α−
ナフトエ酸亜鉛(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸
銅(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸マグネシウム
(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸亜鉛(メタ)ア
クリレート、β−ナフトエ酸銅(メタ)アクリレート、
安息香酸マグネシウム(メタ)アクリレート、安息香酸
亜鉛(メタ)アクリレート、安息香酸銅(メタ)アクリ
レート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸マグネ
シウム(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロ
フェノキシ酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、2,4,5
−トリクロロフェノキシ酢酸銅(メタ)アクリレート、
2,4−ジクロロフェノキシ酢酸マグネシウム(メタ)
アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸亜鉛
(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢
酸銅(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸マグネ
シウム(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸亜鉛
(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸銅(メタ)
アクリレート、ニトロ安息香酸マグネシウム(メタ)ア
クリレート、ニトロ安息香酸亜鉛(メタ)アクリレー
ト、ニトロ安息香酸銅(メタ)アクリレート、ニトロナ
フタレンカルボン酸マグネシウム(メタ)アクリレー
ト、ニトロナフタレンカルボン酸亜鉛(メタ)アクリレ
ート、ニトロナフタレンカルボン酸銅(メタ)アクリレ
ート、プルビン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、
プルビン酸亜鉛(メタ)アクリレート、プルビン酸銅
(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0017】また、本発明において用いられる共重合可
能な不飽和単量体(c)(以下、共重合単量体(c)と
略記する。)としては、例えばメチル(メタ)アクリレ
ート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メ
タ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メ
タ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、
2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル
(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレー
ト、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)
アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シ
クロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メ
タ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル単量
体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブ
チル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メ
タ)アクリレート等の水酸基含有単量体;2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレートとエチレンオキサイド、
プロピレンオキサイド、γ−ブチロラクトンまたはε−
カプロラクトン等との付加物;2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート等の二量体または三量体;グリセロー
ル(メタ)アクリレート等の水酸基を複数有する単量
体;ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メ
タ)アクリルアミド等の第一級および第二級アミノ基含
有ビニル単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、
ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチ
ルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノ
エチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メ
タ)アクリルアミド等の第三級アミノ基含有ビニル単量
体;ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバ
ゾール等の複素環族系塩基性単量体等;スチレン、ビニ
ルトルエン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニ
トリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、2−メトキ
シエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル
(メタ)クリレート等のビニル系単量体が挙げられる。
これらの単量体は一種または二種以上を組み合わせて使
用することができる。
【0018】本発明においてビヒクルを構成する共重合
体は、上記の有機ケイ素含有単量体(a)、金属含有単
量体(b)および共重合単量体(c)からなる単量体混
合物を重合することにより得られる。重合に際しては、
共重合体において有機ケイ素含有単量体(a)が5〜9
0重量%、金属含有単量体(b)が2〜40重量%およ
び共重合単量体(c)が8〜93重量%となる割合で重
合する。好ましくは有機ケイ素含有単量体(a)10〜
60重量%、金属含有単量体(b)5〜30重量%およ
び共重合単量体(c)10〜85重量%である。
【0019】これは、 (1)有機ケイ素含有単量体(a)の割合が5重量%未
満では塗膜の溶出速度が遅くなりすぎて、加水分解性を
付与するという所期の目的を達成できなくなり、一方、
90重量%を超えると塗膜の溶出速度が速くなりすぎ、
塗膜が持つべき恒久的な防汚性を維持することができな
くなる。 (2)金属含有単量体(b)の割合が2重量%未満では
塗膜にクラックや剥離が生じて長期にわたって自己研磨
性を維持することが出来なくなり、一方、40重量%を
超える場合には、塗膜の溶出速度が速くなりすぎ、塗膜
が持つべき本来の恒久的な防汚性を維持することができ
なくなる。 (3)共重合単量体(c)の割合が8重量%未満では塗
膜の溶出速度が遅くなりすぎ塗膜が持つべき本来の恒久
的な防汚性を維持することができなくなり、一方、93
重量%を超えると加水分解性を付与するという初期の目
的を達成できなくなる。等の理由によるものである。
【0020】本発明で用いる共重合体は、公知の方法に
従って製造される。すなわち、上記した単量体を混合
し、この混合物をラジカル重合開始剤の存在下に60〜
180℃の反応温度において5〜14時間反応を続けて
重合させる。重合方法は、有機溶剤中で行う溶液重合法
のほかに乳化重合法、懸濁重合法等が採用できるが、ト
ルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、酢酸n−
ブチル等の一般の有機溶剤を用いる溶液重合方法を採用
するのが生産性、性能の点で有利である。
【0021】本発明の防汚性塗料組成物は、上記の共重
合体をビヒクル成分として含有して構成され、これに従
来公知の防汚剤が配合される。防汚性塗料組成物におけ
るビヒクルとしての共重合体の割合は、防汚性塗料組成
物中、樹脂成分として通常20〜25重量%(固形分)
の範囲で使用するのが好ましい。これは樹脂成分が多く
なると防汚剤が少なくなり、防汚能力が低下する傾向に
あり、また、樹脂成分が少なくなると塗膜物性が悪くな
り(クラック等が生じる)、塗膜の形成が困難となる傾
向にあるためである。
【0022】防汚剤としては、要求性能に応じて従来使
用されている公知の防汚剤、例えば亜酸化銅、チオシア
ン銅、銅粉末等の銅系防汚剤を始め、鉛、亜鉛、ニッケ
ル等その他の金属化合物、ジフェニルアミン等のアミン
誘導体、ニトリル化合物、ベンゾチアゾール系化合物、
マレイミド系化合物、ピリジン系化合物等が単独あるい
は複数で使用される。
【0023】その他、防汚剤ではないが、塗膜表面に潤
滑性を付与し、生物の付着を防止する目的でジメチルポ
リシロキサン、シリコーンオイル等のシリコン化合物や
フッ化炭素等の含フッ素化合物等も使用することができ
る。さらに本発明の防汚性塗料組成物は、前記した防汚
剤以外にも体質顔料、着色顔料、可塑剤、各種塗料用添
加剤、その他の樹脂等を必要に応じて配合することがで
きる。
【0024】本発明の防汚性塗料組成物を用いて塗膜を
形成するには、上記した防汚性塗料組成物を、船舶、各
種漁網、港湾施設、オイルフェンス、橋梁、海底基地等
の水中構造物等の基材表面に直接に、もしくは基材にウ
オッシュプライマー、塩化ゴム系、エポキシ系等のプラ
イマー、中塗り塗料等を塗布した塗膜の上に刷毛塗り、
吹き付け塗り、ローラー塗り、沈漬塗り等の手段で塗布
する。塗布量は、一般的には乾燥塗膜として50〜40
0μmの厚さの範囲である。塗膜の乾燥は一般的には室
温で行われるが、加熱乾燥を行っても差し支えない。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例によりさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によってな
んら限定されるものではない。なお、例中の部は重量部
を表わす。
【0026】[実施例1〜11、比較例1〜4]冷却
器、温度計、滴下ロートおよび撹拌機を備えた四つ口フ
ラスコに、PGM(プロピレングリコールメチルエーテ
ル)30部およびキシレン40部を仕込み、撹拌しなが
ら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートから表1に
示す単量体および重合開始剤からなる混合物を3時間で
等速滴下した。滴下終了後にt−ブチルパーオクトエー
ト1部とキシレン10部を2時間で滴下し、さらに2時
間撹拌した後キシレンを20部添加して表1に示す特性
値を有するビヒクル用重合体溶液A1〜A11およびB
1〜B4を得た。なお、ガードナー粘度は、ホルト泡粘
度計で25℃で測定した。また、加熱残分(重量%)
は、1gのレジンをアルミニウム皿の上にサンプリング
し、150℃で1時間乾燥させた時の残分比率の値で示
した。
【0027】
【表1】
【0028】次いで、このようにして得られた共重合体
溶液A1〜A11を用いて表2に示す配合割合により本
発明の防汚性塗料(実施例1〜11)を調製した。ま
た、共重合体溶液B1〜B4を用いて、表2に示す配合
割合により比較例1〜4の防汚性塗料を調製した。
【0029】
【表2】
【0030】次いで、上記調製の各防汚性塗料を用い
て、下記の要領で塗膜の消耗度試験、防汚性試験、クラ
ック・剥離性試験を行った。
【0031】(1)塗膜の消耗度試験 各防汚性塗料を、それぞれ50mm×50mm×2mm
(厚さ)の硬質塩化ビニル樹脂板に、乾燥膜厚が240
μmになるようにアプリケーターで塗布した後、海水に
設置した回転ドラムに取り付け、周速15ノットで回転
させて、3カ月間毎の消耗膜厚を測定した。その結果を
表3に示した。
【0032】(2)防汚性試験 各防汚性塗料を、あらかじめ防錆塗料を塗布してあるサ
ンドブラスト鋼板に、乾燥膜厚が240μmになるよう
に塗布して試験板を作製し、広島県の広島湾内で36カ
月間浸漬し、6カ月毎に付着性物の付着面積(%)を調
べた。その結果を表4に示した。
【0033】(3)クラック・剥離性試験 防汚性試験に用いたものと同様の試験板を作製し、滅菌
濾過海水中に24カ月間浸漬し、6カ月毎に海水中から
取り出した試験板を温度20℃の室温で1週間乾燥し、
塗膜のクラック・剥離状況を観察した。クラックおよび
剥離のないものを○、クラックだけのものを×、クラッ
クおよび剥離のあるものを××と表示した。その結果を
表5に示した。
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】表3〜5の結果から明らかなように、共重
合体溶液B1〜B4を用いた防汚性塗料組成物(比較例
1〜4)では、長期にわたる自己研磨性が見られず、ま
た、クラック・剥離性試験、防汚性能試験においても満
足の行く防汚性能が得られなかった。これに対し、共重
合体溶液A1〜A11を用いた本発明の防汚性塗料組成
物(実施例1〜11)は、長期間の自己研磨性を示し、
さらにクラック・剥離性試験、防汚性能試験においても
良好な結果を示した。
【0038】
【発明の効果】本発明の防汚性塗料組成物は、塗膜にク
ラックや剥離が少なく、塗膜が適切な速度で、かつ均一
に海中へ溶解し、長期にわたって自己研磨性を維持する
ことができるという優れた防汚効果を発揮することがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08F 230/04 C08F 230/04 230/08 230/08

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)下記一般式(I) 【化1】 で表わされる有機ケイ素含有重合性単量体5〜90重量
    %、 (b)二重結合を2個有し、かつ金属を含有する重合性
    単量体および下記一般式(II) 【化2】 で表わされる金属含有単量体よりなる群から選ばれた少
    なくとも一種の単量体2〜40重量%、および (c)共重合可能な単量体8〜93重量%、からなる共
    重合体をビヒクルとして含有することを特徴とする防汚
    性塗料組成物。
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