JP2004256689A - 防汚性塗料組成物 - Google Patents

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Mitsunori Sugihara
光律 杉原
Hiroyuki Kumaoka
宏之 熊岡
Yukihiro Ikegami
幸弘 池上
Kunio Iwase
国男 岩瀬
Junichi Nakamura
淳一 中村
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Abstract

【課題】形成される塗膜は、比較的高温の海水中においても、自己研磨性が低下することなく、優れた防汚効果を長期間維持するものであり、しかも、環境上好ましい防汚性塗料組成物を提供する。
【解決手段】本発明の防汚性塗料組成物は、亜鉛、銅、マグネシウムおよびカルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含有する金属含有樹脂(A)と、下記一般式(I)で示される化合物(B)と、亜酸化銅(C)とを含む。
【化1】
Figure 2004256689

(一般式(I)中、R〜Rはそれぞれアルキル基またはアルコキシ基を表し、Rはアルキル基を表し、nは1〜15の整数を表す。)
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防汚性塗料組成物に関するものであり、より詳しくは、水中構築物、漁網、船底への海中生物および海藻類の付着を防止する塗膜を形成することができる防汚性塗料組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、船舶や海洋構造物の浸水部分には、フジツボ、フナクイムシ、藻類などの海中生物の付着による腐食や船舶の航行速度低下の防止を目的として、防汚塗料が塗装されている。また、養殖用の網においても、海中生物の付着による魚介類の致死の防止等を目的として、防汚塗料が塗装されている。防汚塗料から形成される塗膜は、これに含まれる防汚薬剤成分が海中に溶出することによって防汚効果を発揮する。
【0003】
防汚塗料としては、例えば、ロジン系化合物を使用した崩壊型防汚塗料や、有機錫を使用した加水分解型防汚塗料が用いられている。しかし、ロジン系化合物を使用した崩壊型防汚塗料から形成される塗膜は、長時間にわたって海中に浸漬されていると、徐々に溶出分が少なくなって不溶出分が多くなり、それと共に塗膜面が凹凸状となり、海中生物等の付着防止効果が著しく低下する。
【0004】
一方、有機錫を使用した加水分解型防汚塗料から形成される塗膜は、塗膜表面が徐々に溶解して表面更新し(自己研磨)、塗膜表面に常に防汚成分が露出することにより、長期の防汚効果が発揮されるものである。しかしながら、この防汚塗料に含まれる有機錫が魚介類に対して悪影響を及ぼすことが懸念されている。そのため、環境上好ましく、かつ、海中で長期間にわたり防汚機能を発揮する塗膜を形成する塗料の開発が行われている。
【0005】
有機錫を使用しない防汚塗料の検討は種々行われている。例えば、特許文献1には、反応硬化型シリコーン樹脂組成物および水酸基含有シリコーン樹脂を含有する無毒性防汚塗料組成物が開示されている。特許文献2には、化学反応硬化型シリコーンゴムと、ペトロラタムまたはペトロラタム・流動パラフィン混合物と、低粘度シリコーンオイルとを混合してなる無毒性防汚塗料組成物が開示されている。特許文献3には、反応硬化型シリコーンゴム中に、反応硬化型シリコーンゴムに対して反応性を有するシラノール基を分子中に一つだけ含むポリシロキサンを含有する塗料組成物が開示されている。特許文献4には、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物、砂、無機質充填剤、前記室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物と相溶性のない有機系オイル、シラノール基およびケイ素原子結合加水分解性基を含有しないオルガノポリシロキサンオイル、および、水からなる水中生物防汚性モルタル組成物が開示されている。しかしながら、特許文献1、2、3および4に記載されている防汚性塗料組成物は、十分に長期間にわたり防汚機能を発揮する塗膜を形成するものとは必ずしもいえない。
【0006】
また、特許文献5には、少なくとも1つの側鎖の末端部に、亜鉛、銅あるいはテルル原子を含有する基を少なくとも1つ有する樹脂と、該樹脂が可溶な有機溶剤とからなる金属含有樹脂組成物をビヒクルとして含むポリシング型防汚塗料組成物が開示されている。特許文献6には、少なくとも1つの側鎖の末端部に、原子価が2以上の金属原子(ただし、亜鉛、銅、テルルを除く)を含有する基を少なくとも1つ有する樹脂からなる金属含有樹脂組成物をビヒクルとして含むポリシング型防汚塗料組成物が開示されている。特許文献7には、側鎖末端部に、−CO−O−M−O−Si(R)(ただし、式中、Mは、亜鉛または銅原子を示し;Rは、同一あるいは異なる基であって、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、有機基、オルガノ(ポリ)シロキサン基、シリル基、メルカプト基、または、これらの置換体を示す。)で示される基を有する樹脂を結合剤とする防汚塗料組成物が開示されている。特許文献8には、2個の不飽和基を有する金属含有重合性単量体と、Mg、ZnまたはCuを含有する金属含有重合性単量体とを含む単量体混合物の共重合体をビヒクルとして含有する防汚性塗料組成物が開示されている。特許文献9には、無機金属化合物とカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体の反応物と、少なくともアルコール系溶剤を含む有機溶剤と、水とからなる金属含有モノマー混合物と、その他のラジカル重合性不飽和単量体とを共重合して得られる金属含有樹脂組成物を用いた防汚性塗料組成物が開示されている。しかしながら、特許文献5、6、7、8および9に記載されている防汚性塗料組成物は、海水が低温時には自己研磨性が長期間維持されるが、海水が高温になると塗膜の自己研磨性が低下しやすくなる傾向にある。その結果、特に東南アジアや中東といった高温海域を運行する船にこれらの防汚性塗料組成物を使用すると、十分に長期間にわたって防汚効果が得られるとは必ずしもいえない。また、特許文献7に記載の防汚塗料組成物は、樹脂の貯蔵安定性の点でも必ずしも十分とはいえない。
【0007】
【特許文献1】
特開昭62−252480号公報
【特許文献2】
特公昭63−2995号公報
【特許文献3】
特開平5−78617号公報
【特許文献4】
特開平5−287203号公報
【特許文献5】
特開昭62−57464号公報
【特許文献6】
特開昭62−84168号公報
【特許文献7】
特開平8−3484号公報
【特許文献8】
特開平11−35877号公報
【特許文献9】
特開2002−012630号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、形成される塗膜は、比較的高温の海水中においても、自己研磨性が低下することなく、優れた防汚効果を長期間維持するものであり、しかも、環境上好ましい防汚性塗料組成物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、防汚性塗料組成物に特定の化合物を含有させることによって上記課題が解決することを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、上記目的は、以下の本発明により達成できる。
【0011】
(1)亜鉛、銅、マグネシウムおよびカルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含有する金属含有樹脂(A)と、下記一般式(I)で示される化合物(B)と、亜酸化銅(C)とを含む防汚性塗料組成物。
【0012】
【化3】
Figure 2004256689
【0013】
(一般式(I)中、R〜Rはそれぞれアルキル基またはアルコキシ基を表し、Rはアルキル基を表し、nは1〜15の整数を表す。)
(2)前記金属含有樹脂(A)が、亜鉛、銅、マグネシウムおよびカルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含有し、2個の不飽和基を有する金属含有重合性単量体(a)および/または下記一般式(II)で示される金属含有重合性単量体(a)を含む単量体組成物を(共)重合して得られるものである前記(1)の防汚性塗料組成物。
【0014】
【化4】
Figure 2004256689
【0015】
(一般式(II)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは(メタ)アクリロイル基以外の有機酸残基を表し、MはZn、Cu、MgまたはCaを表す。)
(3)前記金属含有樹脂(A)中の金属の含有量が3〜25質量%である前記(1)または(2)の防汚性塗料組成物。
【0016】
(4)前記金属含有樹脂(A)の含有量が10〜30質量%である前記(1)〜(3)のいずれかの防汚性塗料組成物。
【0017】
(5)前記化合物(B)の含有量が、前記金属含有樹脂(A)100質量部に対して、1〜100質量部である前記(1)〜(4)のいずれかの防汚性塗料組成物。
【0018】
(6)前記亜酸化銅(C)の含有量が、前記金属含有樹脂(A)100質量部に対して、25〜500質量部である前記(1)〜(5)のいずれかの防汚性塗料組成物。
【0019】
本発明の防汚性塗料組成物は、ビヒクル成分として、亜鉛、銅、マグネシウムおよびカルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含有する金属含有樹脂(A)を含む。本発明の防汚性塗料組成物から形成される塗膜は、海水中で徐々に溶解して自己研磨するものである。
【0020】
本発明の防汚性塗料組成物は、さらに、上記一般式(I)で示される化合物(B)と、防汚剤として亜酸化銅(C)とを含む。化合物(B)を配合することにより、海中での優れた防汚効果を長期間持続させることができる。しかも、化合物(B)と亜酸化銅(C)とを組み合わせて配合することにより、比較的高温の海水中においても、形成される塗膜の自己研磨性の低下が十分に抑制される。そのため、本発明の防汚性塗料組成物から形成される塗膜は、従来の金属含有樹脂を用いた防汚性塗料組成物から形成される塗膜と比べて、比較的高温の海水中においても優れた防汚効果が長期間維持される。
【0021】
また、本発明の防汚性塗料組成物は有機錫を使用しないため、環境上好ましいものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0023】
〔金属含有樹脂(A)〕
金属含有樹脂(A)は、有機溶剤への溶解性の点から、亜鉛、銅、マグネシウムおよびカルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含有する。樹脂(A)中に含有される金属の種類は、必要に応じて適宜選択することができるが、中でも、得られる樹脂の透明性に優れ、形成される塗膜の色調が美しくなる点から、亜鉛が好ましい。
【0024】
金属含有樹脂(A)中の金属の含有量は、形成される塗膜に優れた自己研磨性が付与される点から、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。また、金属含有樹脂(A)中の金属の含有量は、耐クラック性と加水分解性とのバランスに優れるとともに、長期にわたり自己研磨性が維持され、防汚効果が向上する点から、25質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
【0025】
金属含有樹脂(A)の製造方法としては、例えば、カルボキシル基含有樹脂等の高酸価樹脂に金属を付加する方法や、金属を含有する重合性単量体(金属含有重合性単量体)を(共)重合する方法が挙げられる。形成される塗膜の長期にわたる安定的な自己研磨性の維持の点から、樹脂(A)は金属含有重合性単量体を(共)重合して製造することが好ましい。
【0026】
高酸価樹脂に金属を付加する方法としては、例えば、有機溶媒中で、側鎖にカルボキシル基を含む樹脂と、金属の水酸化物などの金属化合物とを、所望の金属含有樹脂の分解温度以下で反応させる方法が挙げられる。
【0027】
金属含有重合性単量体を(共)重合する方法としては、亜鉛、銅、マグネシウムおよびカルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含有する金属含有重合性単量体(a)と、その他のラジカル重合性不飽和単量体(b)とを共重合する方法が挙げられる。金属含有重合性単量体(a)は、得られる塗膜に高い自己研磨性を長期間付与し、優れた防汚効果を発揮させるための成分である。
【0028】
樹脂(A)中における金属含有重合性単量体(a)の単位量は特に限定されないが、形成される塗膜に適度な自己研磨性が付与される点から、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。また、樹脂(A)中における金属含有重合性単量体(a)の単位量は、形成される塗膜の防汚性が長期間維持される点から、80質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
【0029】
金属含有重合性単量体(a)としては、亜鉛、銅、マグネシウムおよびカルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含有し、2個の(メタ)アクリロイル基などの不飽和基を有する金属含有重合性単量体(a)および/または下記一般式(II)で示される金属含有重合性単量体(a)が好ましい。金属含有重合性単量体(a)は適宜選択して用いればよく、また、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
【化5】
Figure 2004256689
【0031】
(一般式(II)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは(メタ)アクリロイル基以外の有機酸残基を表し、MはZn、Cu、MgまたはCaを表す。)なお、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」または「メタクリロイル基」のことを意味する。
【0032】
金属含有重合性単量体(a)としては、例えば、アクリル酸マグネシウム[(CH=CHCOO)Mg]、メタクリル酸マグネシウム[(CH=C(CH)COO)Mg]、アクリル酸亜鉛[(CH=CHCOO)Zn]、メタクリル酸亜鉛[(CH=C(CH)COO)Zn]、アクリル酸銅[(CH=CHCOO)Cu]、メタクリル酸銅[(CH=C(CH)COO)Cu]、アクリル酸カルシウム[(CH=CHCOO)Ca]、メタクリル酸カルシウム[(CH=C(CH)COO)Ca]等が挙げられる。金属含有重合性単量体(a)は、1種または2種以上を必要に応じて適宜選択して用いることができるが、中でも、得られる樹脂の透明性が高いために形成される塗膜の色調が美しく、また、一般的に使用される有機溶剤への溶解性が高いために作業性が良好となる点から、(メタ)アクリル酸亜鉛が好ましい。なお、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」または「メタクリル酸」のことを意味する。
【0033】
金属含有重合性単量体(a)の製造方法としては、無機金属化合物とカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体とを、アルコール系化合物を含有する有機溶剤中で水とともに反応させる方法が好ましい。この方法で得られる金属含有重合性単量体(a)を含有する反応物は、有機溶剤や他の構成成分(アクリル系単量体等)との相溶性に優れ、これを用いると金属含有樹脂(A)の重合が容易になる。この場合、反応物中の水の含有量が0.01〜30質量%となるように製造することが好ましい。
【0034】
金属含有重合性単量体(a)は、上記一般式(II)で表されるものである。
【0035】
一般式(II)中のMとしては、得られる樹脂の透明性が高いために形成される塗膜の色調が美しい点から、Znが好ましい。
【0036】
一般式(II)中のRとしては、例えば、モノクロル酢酸、モノフルオロ酢酸、プロピオン酸、オクチル酸、バーサチック酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、クレソチン酸、α−ナフトエ酸、β−ナフトエ酸、安息香酸、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、キノリンカルボン酸、ニトロ安息香酸、ニトロナフタレンカルボン酸、プルビン酸等の一価の有機酸から誘導されるものが挙げられる。中でも、形成される塗膜が長期にわたりクラックや剥離が発生しない点から、脂肪酸系残基が好ましい。
【0037】
金属含有重合性単量体(a)としては、例えば、モノクロル酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、モノクロル酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、モノクロル酢酸銅(メタ)アクリレート、モノクロル酢酸カルシウム(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸銅(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸カルシウム(メタ)アクリレート、プロピオン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、プロピオン酸亜鉛(メタ)アクリレート、プロピオン酸銅(メタ)アクリレート、プロピオン酸カルシウム(メタ)アクリレート、オクチル酸マグネシウム(メタ)アクリレート、オクチル酸亜鉛(メタ)アクリレート、オクチル酸銅(メタ)アクリレート、オクチル酸カルシウム(メタ)アクリレート、バーサチック酸マグネシウム(メタ)アクリレート、バーサチック酸亜鉛(メタ)アクリレート、バーサチック酸銅(メタ)アクリレート、バーサチック酸カルシウム(メタ)アクリレート、イソステアリン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、イソステアリン酸亜鉛(メタ)アクリレート、イソステアリン酸銅(メタ)アクリレート、イソステアリン酸カルシウム(メタ)アクリレート、パルミチン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、パルミチン酸亜鉛(メタ)アクリレート、パルミチン酸銅(メタ)アクリレート、パルミチン酸カルシウム(メタ)アクリレート、クレソチン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、クレソチン酸亜鉛(メタ)アクリレート、クレソチン酸銅(メタ)アクリレート、クレソチン酸カルシウム(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸マグネシウム(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸亜鉛(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸銅(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸カルシウム(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸マグネシウム(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸亜鉛(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸銅(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸カルシウム(メタ)アクリレート、安息香酸マグネシウム(メタ)アクリレート、安息香酸亜鉛(メタ)アクリレート、安息香酸銅(メタ)アクリレート、安息香酸カルシウム(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸銅(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸カルシウム(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸銅(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸カルシウム(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸亜鉛(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸銅(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸カルシウム(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸マグネシウム(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸亜鉛(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸銅(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸カルシウム(メタ)アクリレート、ニトロナフタレンカルボン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、ニトロナフタレンカルボン酸亜鉛(メタ)アクリレート、ニトロナフタレンカルボン酸銅(メタ)アクリレート、ニトロナフタレンカルボン酸カルシウム(メタ)アクリレート、プルビン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、プルビン酸亜鉛(メタ)アクリレート、プルビン酸銅(メタ)アクリレート、プルビン酸カルシウム(メタ)アクリレート等が挙げられる。金属含有重合性単量体(a)は、1種または2種以上を必要に応じて適宜選択して用いることができるが、中でも、得られる樹脂の透明性が高いために形成される塗膜の色調が美しく、また、一般的に使用される有機溶剤への溶解性が高いために作業性が良好となる点から、亜鉛含有重合性単量体が好ましい。なお、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」または「メタクリレート」のことを意味する。
【0038】
金属含有重合性単量体(a)の製造方法としては、例えば、無機金属化合物とカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体とRの有機酸残基に対応する非重合性有機酸とを、アルコール系化合物を含有する有機溶剤中で反応させる方法が挙げられる。
【0039】
金属含有重合性単量体(a)としては、形成される塗膜の自己研磨性と塗膜物性とのバランス化が長期にわたって維持され、かつ、十分な塗膜の消耗度が発現する点から、金属含有重合性単量体(a)と金属含有重合性単量体(a)とを併用することが好ましい。中でも、(メタ)アクリル酸亜鉛と脂肪酸系亜鉛(メタ)アクリレートとの組み合わせが好ましい。
【0040】
金属含有重合性単量体(a)として金属含有重合性単量体(a)と金属含有重合性単量体(a)とを併用する場合、形成される塗膜が十分な自己研磨性を長期間維持する点から、樹脂(A)中の金属含有重合性単量体(a)に由来する構成単位と金属含有重合性単量体(a)に由来する構成単位とのモル比(a/a)が20/80以上となるようにすることが好ましく、30/70以上となるようにすることがより好ましい。また、形成される塗膜が耐クラック性や密着性に優れる点から、樹脂(A)中の金属含有重合性単量体(a)に由来する構成単位と金属含有重合性単量体(a)に由来する構成単位とのモル比(a/a)が80/20以下となるようにすることが好ましく、70/30以下となるようにすることがより好ましい。
【0041】
金属含有重合性単量体(a)として、金属含有重合性単量体(a)と金属含有重合性単量体(a)とを併用する場合、無機金属化合物、カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体および非重合性有機酸を有機溶剤中で反応させることによって得られる、金属含有重合性単量体(a)と金属含有重合性単量体(a)とを含有するモノマー混合物を用いることができる。
【0042】
このモノマー混合物を製造する場合、非重合性有機酸の使用量は、その他のラジカル重合性不飽和単量体(b)と共重合しにくい固体の反応物の生成が抑制されるとともに、形成される塗膜が長期にわたって自己研磨性や耐クラック性に優れる点から、無機金属化合物に対して0.01倍モル以上が好ましく、0.2倍モル以上がより好ましい。また、非重合性有機酸の使用量は、形成される塗膜が長期にわたって防汚性に優れる点から、無機金属化合物に対して0.95倍モル以下が好ましく、0.7倍モル以下がより好ましい。
【0043】
また、用いる有機溶剤は、金属含有重合性単量体(a)を安定に製造することができる点から、アルコール系化合物を含むことが好ましい。有機溶剤としてアルコール系化合物を含まないものを用いると、金属含有重合性単量体(a)の製造中に溶液が流動性を失い、固化しやすくなることがある。
【0044】
有機溶剤中のアルコール系化合物の含有量は、反応生成物の溶剤への溶解性が向上し、金属含有重合性単量体(a)を安定に製造することができるとともに、得られる金属含有重合性単量体(a)溶液の貯蔵安定性が良好となる点から、5質量%以上が好ましく、15質量%以上(100質量%も含む)がより好ましい。
【0045】
アルコール系化合物としては、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
【0046】
樹脂(A)中におけるラジカル重合性不飽和単量体(b)の単位量は特に限定されないが、形成される塗膜の可撓性や耐クラック性、剥離性が良好となる点から、20質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。また、樹脂(A)中におけるラジカル重合性不飽和単量体(b)の単位量は、形成される塗膜の耐クラック性、剥離性と長期の自己研磨性とのバランスが良好となる点から、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。
【0047】
ラジカル重合性不飽和単量体(b)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エチルヘキサオキシ)エチル(メタ)アクリレート、1−メチル−2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、m−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、p−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、o−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート、m−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート、p−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル単量体;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、γ−ブチロラクトンまたはε−カプロラクトン等との付加物;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の二量体または三量体;
グリセロール(メタ)アクリレート等の水酸基を複数有する単量体;
ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等の第一級および第二級アミノ基含有ビニル単量体;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の第三級アミノ基含有ビニル単量体;
ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール等の複素環族系塩基性単量体等;
スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系単量体;
が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」または「メタクリル」のことを意味する。
【0048】
金属含有樹脂(A)は、例えば、上記の単量体(金属含有重合性単量体(a)と、その他のラジカル重合性不飽和単量体(b))を混合し、この混合物をラジカル開始剤の存在下、60〜180℃の反応温度で5〜14時間反応させることによって製造することができる。重合方法としては、乳化重合、懸濁重合などを採用することができるが、生産性、塗装性能の点から、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、酢酸n−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、n−ブタノール等の有機溶剤中で行う溶液重合を採用することが好ましい。
【0049】
このようにして得られる金属含有樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は特に限定されず、適宜決めればよいが、通常、1000〜20000であることが好ましい。
【0050】
溶液重合により金属含有樹脂(A)を製造した場合、通常、用いた有機溶剤をそのまま本発明の防汚性塗料組成物に含有させるが、重合工程終了後、必要に応じて有機溶剤を留去し、本発明の防汚性塗料組成物中の有機溶剤の含有量を調整することもできる。
【0051】
〔化合物(B)〕
化合物(B)は、前述の通り、下記の一般式(I)で示される。
【0052】
【化6】
Figure 2004256689
【0053】
(一般式(I)中、R〜Rはそれぞれアルキル基またはアルコキシ基を表し、Rはアルキル基を表し、nは1〜15の整数を表す。)
一般式(I)において、アルキル基の炭素数は1〜3が好ましい。また、アルキル基は直鎖のアルキル基であっても、分岐鎖のアルキル基であってもよい。このようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基などが挙げられる。
【0054】
アルコキシ基の炭素数は1〜3が好ましい。また、アルコキシ基は直鎖状であっても、分岐状であってもよい。このようなアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
【0055】
なお、一般式(I)中、R、R、Rは同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、nが2以上である場合、RおよびRは、それぞれ、全て同じである必要はなく、2種以上が混在するものであってもよい。
【0056】
一般式(I)中のR、R、Rとしては、アルコキシ基が好ましく、エトキシ基がより好ましい。また、一般式(I)中のRとしては、アルキル基が好ましく、エチル基がより好ましい。
【0057】
nは、比較的高温の海水中においても形成される塗膜の自己研磨性と塗膜物性とのバランス化がより長期にわたって維持され、かつ、塗膜の溶解性がより向上する点から、2以上が好ましい。
【0058】
化合物(B)は、好ましくはテトラアルコキシシランまたはその加水分解脱水重縮合物である。テトラアルコキシシランの加水分解脱水縮合反応は、テトラアルコキシシランに酸性、中性あるいはアルカリ性の水を必要量加え、加水分解反応の進行に伴って生じるアルコールを除去することによって得られる。
【0059】
テトラアルコキシシランまたはその加水分解脱水重縮合物のすべてのアルコキシ基が分解したものを加水分解率100%、半分のアルコキシ基が分解したものを加水分解率50%として表すと、本発明においては、加水分解率0%であるテトラアルコキシシランまたはその加水分解脱水重縮合物から、加水分解率100%であるテトラアルコキシシランまたはその加水分解脱水重縮合物まで使用することができる。
【0060】
化合物(B)としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリブチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリブチルエトキシシラン等、また、上記モノマーの加水分解脱水縮合物が挙げられる。このような化合物は市販されており、例えば、日本コルコート化学社製のメチルシリケート47、同社製のエチルシリケート40、同社製のHAS1、同社製のHAS6、信越化学社製のAFP−1、同社製のAFP−2、東芝シリコーン社製のTSR−165、日本ユニカー社製のY−1587、同社製のFZ−3701、多摩化学工業社製のES−40、同社製のES−45、同社製のMTMS−Aなどが挙げられる。化合物(B)は、1種または2種以上を必要に応じて適宜選択して用いることができるが、中でも、比較的高温の海水中においても形成される塗膜の自己研磨性と塗膜物性とのバランス化がより長期にわたって維持され、塗膜の溶解性もより向上する点から、nが2以上のテトラアルコキシシランの加水分解脱水重縮合物が好ましい。
【0061】
〔防汚性塗料組成物〕
本発明の防汚性塗料組成物は、上記の金属含有樹脂(A)と、上記の一般式(I)で示される化合物(B)と、亜酸化銅(C)とを含む。なお、亜酸化銅とはCuOのことを言う。
【0062】
本発明の防汚性塗料組成物中の金属含有樹脂(A)の含有量は、10〜30質量%が好ましい。金属含有樹脂(A)の含有量をこの範囲にすることにより、耐クラック性などの塗膜性能が保持されるとともに、優れた防汚能力を保持させるのに十分な量の防汚剤(亜酸化銅など)を防汚塗料中に配合させることが容易になる。
【0063】
本発明の防汚性塗料組成物中の上記一般式(I)で示される化合物(B)の含有量は、金属含有樹脂(A)100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。化合物(B)の含有量をこの範囲にすることにより、防汚剤として亜酸化銅を配合した場合、比較的高温の海水中においても形成される塗膜の自己研磨性がより長期にわたって保持させることができるとともに、塗膜の溶解性をより向上させることができる。また、本発明の防汚性塗料組成物中の上記一般式(I)で示される化合物(B)の含有量は、金属含有樹脂(A)100質量部に対して、100質量部以下が好ましい。化合物(B)の含有量をこの範囲にすることにより、金属含有樹脂(A)本来の、形成される塗膜表面が徐々に溶解して表面更新する(自己研磨)機能をより十分に発現することができ、より良好な耐クラック性が得られる。また、化合物(B)として加水分解率0%であるテトラアルコキシシランまたはその加水分解脱水重縮合物を使用する場合、本発明の防汚性塗料組成物中の化合物(B)の含有量は、金属含有樹脂(A)100質量部に対して、50質量部以下がより好ましく、30質量部以下が特に好ましい。化合物(B)の含有量をこの範囲にすることにより、塗料の貯蔵安定性がより良好となる。
【0064】
本発明の防汚性塗料組成物中の亜酸化銅(C)の含有量は、金属含有樹脂(A)100質量部に対して、25質量部以上が好ましく、150質量部以上がより好ましい。亜酸化銅(C)の含有量をこの範囲にすることにより、形成される塗膜のより優れた長期の防汚性が得られる。また、本発明の防汚性塗料組成物中の亜酸化銅(C)の含有量は、金属含有樹脂(A)100質量部に対して、500質量部以下が好ましく、400質量部以下がより好ましい。亜酸化銅(C)の含有量をこの範囲にすることにより、形成される塗膜の耐クラック性がより良好となる。
【0065】
本発明の防汚性塗料組成物は、さらに、有機溶剤を含有する。この有機溶剤は、金属含有重合性単量体(a)または金属含有樹脂(A)を製造する際に使用する有機溶剤をそのまま用いることができる。また、必要に応じて、脱溶剤してもよく、また、有機溶剤をさらに添加してもよい。
【0066】
有機溶剤としては、例えば、キシレン、プロピレングリコールメチルエーテル、トルエン、メチルイソブチルケトン、酢酸n−ブチル、n−ブタノールなどが挙げられる。有機溶剤は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
【0067】
本発明の防汚性塗料組成物は、さらに、防汚剤として亜酸化銅(C)以外の化合物を含んでいてもよい。このような化合物としては、例えば、チオシアン銅、銅粉末等の銅系防汚剤を始め、鉛、亜鉛、ニッケル等その他の金属化合物、ジフェニルアミン等のアミン誘導体、ニトリル化合物、ベンゾチアゾール系化合物、マレイミド系化合物、ピリジン系化合物などが挙げられる。これらの化合物は適宜選択して使用することができ、また、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、(社)日本造船工業会等によって調査研究の対象とされ選定されたものが好ましく、例えば、マンガニーズエチレンビスジチオカーバメイト、ジンクジメチルジチオカーバメート、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−sec−トリアジン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、ジンクエチレンビスジチオカーバメイート、ロダン銅、4,5−ジクロロ−2−nオクチル−3(2H)イソチアゾロン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、N,N’−ジメチル−N’−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩、2−ピリジンチオール−1−オキシド銅塩、テトラメチルチウラムジサルファイド、Cu−10%Ni固溶合金、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、3−ヨード−2−プロピニールブチルカーバメイート、ジヨードメチルパラトリスルホン、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート、フェニル(ビスピリジル)ビスマスジクロライド、2−(4−チアゾリル)−ベンツイミダゾール、ピリジン−トリフェニルボランなどが挙げられる。
【0068】
本発明の防汚性塗料組成物は、その他に、塗膜表面に潤滑性を付与し、生物の付着を防止する目的で、ジメチルポリシロキサン、シリコーンオイル等のシリコン化合物や、フッ化炭素等の含フッ素化合物などを含んでいてもよい。さらに、本発明の防汚性塗料組成物は、必要に応じて、体質顔料、着色顔料、可塑剤、消泡剤、各種塗料用添加剤、その他の樹脂などを含んでいてもよい。
【0069】
本発明の防汚性塗料組成物は、船舶、各種漁網、港湾施設、オイルフェンス、橋梁、海底基地等の水中構造物などの基材表面に直接に、あるいは、基材にウオッシュプライマー、塩化ゴム系またはエポキシ系等のプライマー、中塗り塗料などを塗布した塗膜の上に、刷毛塗り、吹き付け塗り、ローラー塗り、沈漬塗り等の手段で塗布されるものである。塗布量は適宜決めればよいが、一般的には、乾燥塗膜として50〜400μmの厚さになるような量である。塗膜の乾燥は一般的には室温で行われるが、加熱乾燥を行ってもかまわない。
【0070】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の部は質量部を表す。
【0071】
[製造例M1]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)85.4部および酸化亜鉛40.7部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメタクリル酸(MAA)43.1部、アクリル酸(AA)36.1部および水5部からなる混合物を3時間で等速滴下した。さらに2時間撹拌した後PGM36部を添加して透明な金属含有モノマー混合物M1を得た。金属含有重合性単量体の含有量は44.8%であった。
【0072】
[製造例M2]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)72.4部および酸化亜鉛40.7部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメタクリル酸30.1部、アクリル酸25.2部およびバーサチック酸51.6部からなる混合物を3時間で等速滴下した。さらに2時間撹拌した後PGM11部を添加して透明な金属含有モノマー混合物M2を得た。金属含有重合性単量体の含有量は59.6%であった。
【0073】
[製造例M3]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにキシレン60部、PGM(プロピレングリコールメチルエーテル)13部および酸化亜鉛40.7部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメタクリル酸32.3部、アクリル酸27部、オレイン酸37.7部、酢酸2.3部およびプロピオン酸5.8部からなる混合物を3時間で等速滴下した。さらに2時間撹拌した後キシレン77部およびPGM46部を添加して透明な金属含有モノマー混合物M3を得た。金属含有重合性単量体の含有量は39.6%であった。
【0074】
[実施例P1]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部、キシレン60部およびエチルアクリレート(EA)4部を仕込み、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート(MMA)15部、エチルアクリレート48部、n−ブチルアクリレート(n−BA)15部、製造例M1で得た金属含有モノマー混合物(M1)40部、キシレン10部、連鎖移動剤(日本油脂社製、ノフマーMSD)1.2部、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)2.5部およびAMBN(アゾビスメチルブチロニトリル)6.5部からなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了後にtert−ブチルパーオクトエート0.5部およびキシレン7部を30分かけて滴下し、さらに1時間30分撹拌した後、キシレン8部を添加して、加熱残分(固形分)46.1%、ガードナー粘度−Vを有する淡黄色透明な金属含有樹脂組成物P1を得た。
【0075】
[製造例P2]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部、キシレン57部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート14.6部、エチルアクリレート52.6部、n−ブチルアクリレート7.5部、製造例M1で得た金属含有モノマー混合物(M1)47.4部、キシレン10部、連鎖移動剤(日本油脂社製、ノフマーMSD)1部、AIBN2.5部およびAMBN8.5部からなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了後にtert−ブチルパーオクトエート0.5部およびキシレン7部を30分かけて滴下し、さらに1時間30分撹拌した後、キシレン6.9部を添加して、加熱残分45.8%、ガードナー粘度−Z2を有する淡黄色透明な金属含有樹脂組成物P2を得た。
【0076】
[製造例P3]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部、キシレン61部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート18部、エチルアクリレート61部、製造例M1で得た金属含有モノマー混合物(M1)37.8部、キシレン10部、連鎖移動剤(日本油脂社製、ノフマーMSD)1部、AIBN2.5部およびAMBN7部からなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了後にtert−ブチルパーオクトエート0.5部およびキシレン7部を30分かけて滴下し、さらに1時間30分撹拌した後、キシレン8.2部を添加して、加熱残分46.0%、ガードナー粘度+Tを有する淡黄色透明な金属含有樹脂組成物P3を得た。
【0077】
[製造例P4]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部、キシレン65部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート28.2部、エチルアクリレート55部、製造例M1で得た金属含有モノマー混合物(M1)28.4部、キシレン10部、連鎖移動剤(日本油脂社製、ノフマーMSD)1.2部、AIBN2.5部およびAMBN4部からなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了後にtert−ブチルパーオクトエート0.5部およびキシレン7部を30分かけて滴下し、さらに1時間30分撹拌した後、キシレン9.4部を添加して、加熱残分45.8%、ガードナー粘度+Yを有する淡黄色透明な金属含有樹脂組成物P4を得た。
【0078】
[製造例P5]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)10部、キシレン63部およびエチルアクリレート3部を仕込み、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート9部、エチルアクリレート58部、製造例M2で得た金属含有モノマー混合物(M2)50部、PGM10部およびAMBN5部からなる透明な混合物を4時間で等速滴下した。滴下終了後にtert−ブチルパーオクトエート0.5部およびキシレン7部を30分かけて滴下し、さらに1時間30分撹拌した後、キシレン12部を添加して、加熱残分44.9%、ガードナー粘度+Tを有する淡黄色透明な金属含有樹脂P5を得た。
【0079】
[製造例P6]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)27.3部、キシレン44.9部およびエチルアクリレート2部を仕込み、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート16.2部、エチルアクリレート58.6部、製造例M2で得た金属含有モノマー混合物(M3)58部、AIBN2.5部およびAMBN1.5部からなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了後にtert−ブチルパーオクトエート0.5部およびキシレン7部を30分かけて滴下し、さらに1時間30分撹拌した後、キシレン8部を添加して、加熱残分45.4%、ガードナー粘度+Rを有する淡黄色透明な金属含有樹脂P6を得た。
【0080】
[製造例P7]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにキシレン120部およびn−ブタノール30部を仕込み、撹拌しながら110℃に昇温した。続いて、滴下ロートからアクリル酸エチル60部、アクリル酸2−エチルヘキシル25部、アクリル酸15部およびAIBN2部からなる混合物を3時間で等速滴下した。滴下終了後2時間撹拌して、加熱残分39.7%、ガードナー粘度+Jの特性値を有するワニスを得た。
【0081】
次に、冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコに、得られたワニス100部、ナフテン酸20部および水酸化銅7部を仕込み、120℃に昇温して2時間撹拌し、この間に生成する水(2.6g)を脱水して、加熱残分51.9%、ガードナー粘度+Hを有する金属含有樹脂P7を得た。金属含有樹脂の重量平均分子量(Mw)は9000であった。
【0082】
[製造例P8]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部、キシレン70部、エチルアクリレート4部およびエチルシリケート40(日本コルコート社製)40部を仕込み、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート15部、エチルアクリレート48部、n−ブチルアクリレート15部、製造例M1で得た金属含有モノマー混合物(M1)40部、キシレン10部、連鎖移動剤(日本油脂社製、ノフマーMSD)1.2部、AIBN2.5部およびAMBN6.5部からなる透明な混合物を6時間で等速滴下しようとしたところ、その途中、滴下3時間の時点で急激に増粘し、ゲル化した。
【0083】
[製造例P9]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部、キシレン70部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート15部、エチルアクリレート53部、n−ブチルアクリレート15部、製造例M1で得た金属含有モノマー混合物(M1)40部、HAS6(日本コルコート社製)10部、キシレン10部、連鎖移動剤(日本油脂社製、ノフマーMSD)1.2部、AIBN2.5部およびAMBN6.5部からなる透明な混合物を6時間で等速滴下しようとしたところ、その途中、滴下5時間の時点で急激に増粘し、ゲル化した。
【0084】
[製造例P10]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部、キシレン70部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート15部、エチルアクリレート48部、n−ブチルアクリレート15部、製造例M1で得た金属含有モノマー混合物(M1)40部、HAS6(日本コルコート社製)4部、キシレン10部、連鎖移動剤(日本油脂社製、ノフマーMSD)1.2部、AIBN2.5部およびAMBN6.5部からなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了後にtert−ブチルパーオクトエート0.5部およびキシレン7部を30分かけて滴下し、さらに1時間30分撹拌した後、キシレン9.4部を添加して、加熱残分45.4%、ガードナー粘度+Z1を有する淡黄色透明な金属含有樹脂組成物P10を得た。
【0085】
得られた金属含有樹脂組成物P10を室温(25℃)で1週間保存したところ、ゲル化した。
【0086】
表1に、製造例M1〜M3の金属含有モノマー混合物(M1〜M3)の仕込み量(モル比)、金属含有モノマー混合物中の溶剤量(揮発成分含有量)、金属の含有量および金属含有重合性単量体の含有量(質量%)を示す。
【0087】
【表1】
Figure 2004256689
【0088】
表2に、製造例P1〜P6の金属含有樹脂組成物(P1〜P6)の仕込み量(質量比)、得られた樹脂組成物の粘度(ガードナー)、固形分(ポリマー)の量(質量%)、樹脂の重量平均分子量(Mw)および樹脂中の金属量(質量%)を示す。
【0089】
分子量は、HLC−8120GPCにより、金属含有樹脂の分子量を、東ソー製カラムTSK−gel αタイプ(α−M)2本を用いて20mM LiBrを添加したDMF溶離液で測定した。重量平均分子量は、ポリスチレン換算として求めた。
【0090】
【表2】
Figure 2004256689
【0091】
[実施例1〜7、比較例1〜3]
このようにして得られた金属含有樹脂組成物P1〜P7を用いて、表3に示す配合割合により各成分を添加、攪拌し、本発明の防汚性塗料組成物(実施例1〜7)を調製した。
【0092】
また、金属含有樹脂組成物P1、P5、P7を用いて、表3に示す配合割合により各成分を添加、攪拌し、比較例1〜3の防汚性塗料組成物を調製した。
【0093】
ここで、表3中の「ディスパロン4200」は、楠本化成(株)製、タレ防止剤である。
【0094】
【表3】
Figure 2004256689
【0095】
なお、実施例1の防汚性塗料組成物中の金属含有樹脂(A)の含有量は17質量%、一般式(I)で示される化合物(B)の含有量は4.6質量%、亜酸化銅(C)の含有量は46質量%である。
【0096】
実施例2の防汚性塗料組成物中の金属含有樹脂(A)の含有量は17質量%、一般式(I)で示される化合物(B)の含有量は1.9質量%、亜酸化銅(C)の含有量は47質量%である。
【0097】
実施例3の防汚性塗料組成物中の金属含有樹脂(A)の含有量は17質量%、一般式(I)で示される化合物(B)の含有量は2.8質量%、亜酸化銅(C)の含有量は47質量%である。
【0098】
実施例4の防汚性塗料組成物中の金属含有樹脂(A)の含有量は17質量%、一般式(I)で示される化合物(B)の含有量は2.5質量%、亜酸化銅(C)の含有量は46質量%である。
【0099】
実施例5の防汚性塗料組成物中の金属含有樹脂(A)の含有量は17質量%、一般式(I)で示される化合物(B)の含有量は1.9質量%、亜酸化銅(C)の含有量は47質量%である。
【0100】
実施例6の防汚性塗料組成物中の金属含有樹脂(A)の含有量は14質量%、一般式(I)で示される化合物(B)の含有量は14質量%、亜酸化銅(C)の含有量は39質量%である。
【0101】
実施例7の防汚性塗料組成物中の金属含有樹脂(A)の含有量は14質量%、一般式(I)で示される化合物(B)の含有量は1.8質量%、亜酸化銅(C)の含有量は49質量%である。
【0102】
また、日本コルコート社製、HAS1は、105℃、2時間の加熱算分が33.6%である。日本コルコート社製、HAS6は、105℃、2時間の加熱算分が26.8%である。
【0103】
次いで、調製した各防汚性塗料組成物を用い、下記のようにして塗料の貯蔵安定性試験、塗膜の消耗度試験、防汚性試験を行った。
【0104】
(1)塗料の貯蔵安定性試験
各防汚性塗料組成物について、塗料作成直後の塗料粘度と、40℃で1ヶ月間恒温水槽中で保管後の塗料粘度とを測定した。その結果を表4に示す。
【0105】
【表4】
Figure 2004256689
【0106】
(2)塗膜の消耗度試験
各防汚性塗料組成物を、それぞれ、50mm×50mm×2mm(厚さ)の硬質塩化ビニル板に、乾燥膜厚240μmになるようにアプリケーターで塗布し、室温で乾燥させて塗膜を形成した。そして、この塗膜を形成した硬質塩化ビニル板を海水中に設置した回転ドラムに取り付け、水温15℃と水温30℃とで周速15ノットで回転させて3ヶ月間毎の消耗膜厚を測定した。水温15℃で試験した結果を表5に、水温30℃で試験した結果を表6に示す。なお、実施例3については、水温30℃の試験において、21ヶ月後には約240μmの塗膜は全て消耗した。
【0107】
【表5】
Figure 2004256689
【0108】
【表6】
Figure 2004256689
【0109】
(3)防汚性試験
各防汚性塗料組成物を、それぞれ、あらかじめ防錆塗料を塗布してあるサンドブラスト鋼板に、乾燥膜厚が240μmになるようにアプリケーターで塗布し、室温で乾燥させて塗膜を形成した。そして、この試験板を広島県広島湾内で36ヶ月間静置浸漬し、6ヶ月毎に付着性物の付着面積(%)を調べた。その結果を表7に示す。なお、広島湾内の水温は11〜28℃程度である。
【0110】
【表7】
Figure 2004256689
【0111】
化合物(B)の存在下で金属含有樹脂を製造した製造例P8〜P9では、製造時にゲル化した。また、化合物(B)の存在下で金属含有樹脂を製造した製造例P10の金属含有樹脂組成物は貯蔵安定性に劣っていた。
【0112】
化合物(B)を添加していない比較例1〜3の防汚性塗料組成物は、得られる塗膜の消耗試験において、水温15℃では安定した塗膜の自己研磨性を持つものもあるが、水温30℃では塗膜の自己研磨性が大幅に低下し、長期にわたる安定的な防汚効果は見られなかった。
【0113】
一方、化合物(B)を添加した実施例1〜7の防汚性塗料組成物は、水温15℃の塗膜消耗度試験および水温30℃の塗膜消耗度試験において、安定した塗膜の自己研磨性が見られ、長期にわたって優れた防汚効果が見られた。また、実施例1〜5、7の防汚性塗料組成物は、貯蔵安定性が良好であった。加水分解縮合をしていない化合物(B)を多く使用した実施例6の防汚性塗料組成物は、実施例1〜5、7の防汚性塗料組成物と比べて貯蔵安定性が低かった。
【0114】
【発明の効果】
本発明の防汚性塗料組成物から形成される塗膜は、低温の海水中だけではなく、比較的高温の海水中においても自己研磨性が大幅に低下することなく、優れた防汚効果を長期間維持するものである。そのため、海水温度が異なる海域で運行する船において好適に適用され、工業上非常に有益なものである。しかも、本発明の防汚性塗料組成物は有機錫などを使用しておらず、環境上好ましいものである。

Claims (6)

  1. 亜鉛、銅、マグネシウムおよびカルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含有する金属含有樹脂(A)と、下記一般式(I)で示される化合物(B)と、亜酸化銅(C)とを含む防汚性塗料組成物。
    Figure 2004256689
    (一般式(I)中、R〜Rはそれぞれアルキル基またはアルコキシ基を表し、Rはアルキル基を表し、nは1〜15の整数を表す。)
  2. 前記金属含有樹脂(A)が、亜鉛、銅、マグネシウムおよびカルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含有し、2個の不飽和基を有する金属含有重合性単量体(a)および/または下記一般式(II)で示される金属含有重合性単量体(a)を含む単量体組成物を(共)重合して得られるものである請求項1に記載の防汚性塗料組成物。
    Figure 2004256689
    (一般式(II)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは(メタ)アクリロイル基以外の有機酸残基を表し、MはZn、Cu、MgまたはCaを表す。)
  3. 前記金属含有樹脂(A)中の金属の含有量が3〜25質量%である請求項1または2に記載の防汚性塗料組成物。
  4. 前記金属含有樹脂(A)の含有量が10〜30質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の防汚性塗料組成物。
  5. 前記化合物(B)の含有量が、前記金属含有樹脂(A)100質量部に対して、1〜100質量部である請求項1〜4のいずれかに記載の防汚性塗料組成物。
  6. 前記亜酸化銅(C)の含有量が、前記金属含有樹脂(A)100質量部に対して、25〜500質量部である請求項1〜5のいずれかに記載の防汚性塗料組成物。
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