JP2775861B2 - 生物付着防止塗料組成物 - Google Patents

生物付着防止塗料組成物

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JP2775861B2 JP1164507A JP16450789A JP2775861B2 JP 2775861 B2 JP2775861 B2 JP 2775861B2 JP 1164507 A JP1164507 A JP 1164507A JP 16450789 A JP16450789 A JP 16450789A JP 2775861 B2 JP2775861 B2 JP 2775861B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は側鎖にオルガノシリル基またはオルガノシロ
キサン基を有する重合体を含む生物付着防止塗料組成物
に関する。
〔従来の技術〕
海水に浸漬されている船底、ブイ、魚網(ハマチやホ
タテ貝などの養殖網、サケの定置網など)、海中汚濁防
止シート、冷却のための各種吸排水管などの水中物体の
表面には、フジツボ、セルプラ、イガイ、藻類などの付
着によつて種々の支障が起こる。それらの生物による汚
損を防止するために、水中浸漬物の表面に生物付着防止
塗料が塗布されることはよく知られている。この種の塗
料には大別して下記イ,ロのふたつの型がある。
イ)生物に対して付着防止効果を持つ有機錫共重合体、
亜酸化銅などの防汚剤を用いたもの。
たとえば、有機錫化合物を防汚剤として使用した生物
付着防止塗料については、特公昭40−21426号公報、特
公昭44−9579号公報、特公昭46−13392号公報、特公昭4
9−20491号公報、特公昭51−11647号公報、特公昭52−4
8170号公報などに開示されている。
ロ)防汚剤を用いず、かつ水中へ溶解しない生物付着防
止塗料であつて、触媒,水分などの作用で加硫して三次
元架橋し、膜形成するシリコーンゴムを使つたもの。
たとえば、特公昭53−35974号公報には、加硫シリコ
ーンゴムを生物付着防止塗料の樹脂分として用いている
ものが開示されており、また特開昭51−96830号公報に
は、ヒドロキシル末端基を有するオリゴマー状シリコー
ンゴムとシリコーン油との混合物を使つたものが示され
ている。さらに、特開昭53−79980号公報には、加硫シ
リコーンゴムと金属を含まずかつシリコンを含まない流
動性の有機化合物との混合物が示されている。さらにま
た、特公昭60−3433号公報には、オリゴマー状常温硬化
形シリコーンゴム〔たとえば信越化学工業(株)の商品
名KE45TS、KE44RTVなど〕と、流動パラフインまたはペ
トロラタムとを混合した生物付着防止塗料が示されてい
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
これら従来公知の生物付着防止塗料は、その型に応じ
て使い分けられているが、いずれも以下に記述する如き
欠点を有しており、これらの改良が強く望まれていた。
まず、前記のイの生物付着防止塗料にはさらにふたつ
の型がある。ひとつは、塗膜を形成する樹脂は水中へは
溶解せず、防汚剤だけが水中へ溶解することによつて水
中生物の付着を防止する型の生物付着防止塗料である。
この型の防汚塗膜は初期の防汚効果は良い。しかし、塗
膜表面の防汚剤が溶出して失われたのちには、次第に塗
膜深部の防汚剤が溶出することになるが、防汚剤の溶出
速度として塗膜深部になるにつれて遅いため、長期には
防汚効果が不足していく欠点があつた。
いまひとつは、塗膜を形成する樹脂および防汚剤のい
ずれもが水中に溶解する型の生物付着防止塗料である。
この塗料の防汚効果は防汚剤のみによる場合と防汚剤お
よび樹脂成分(有機錫共重合体など)の双方による場合
とがあるが、いずれにおいても塗膜表面が溶出するた
め、常に活性な防汚塗膜表面が維持されることになり、
前者よりも防汚効果の持続性は認められる。しかしなが
ら、この場合でも、塗膜の消耗などに限界があつたり、
逆に消耗しすぎたりして、充分に満足できる効果は得ら
れていないのが現状である。
また、前記ロの生物付着防止塗料は、いずれもシリコ
ーンゴム塗膜表面の滑り性を利用して、上記表面への水
中生物の付着を防止するようにしたものであつて、前記
イの生物付着防止塗料のように水質汚染をきたすおそれ
のある溶出成分がないといつた利点を備えているもの
の、上記塗膜を形成するためのシリコーンゴムは使用時
に三次元架橋して膜形成を行う点で以下の如き問題を有
している。
第一には、塗装後の硬化性の問題がある。たとえば、
特公昭60−3433号公報に示されている空気中の湿分の作
用で硬化し塗膜を形成するオリゴマー状常温硬化形シリ
コーンゴムなどを用いた生物付着防止塗料を被塗面に塗
布したとき、シリコーンゴムの硬化縮合反応を左右する
架橋剤が大気中の水分や温度によつて活性化され、その
ために、塗膜表面の硬化が速く、それがかえつて塗膜
深部の硬化を妨げて硬化不充分となり、その結果塗膜の
被塗面からの剥離,ふくれが起こる危険性が大きい。ま
た、水分の内部への浸透が遅いため硬化に要する時間も
長くなる。また、高温,高湿な場所でこのような生物
付着防止塗料が使用されたときは、架橋剤の加水分解だ
けが優先し、架橋密度があがらず、物性の低下をきたす
ことになる。さらに、乾燥地では大気中の水分が少な
いため架橋剤の加水分解が起こりにくく膜の硬化が非常
に遅くなる。それを防ぐために硬化促進剤として錫化合
物、白金などの触媒が用いられる場合があるが、低温地
ではそれらの触媒作用も不充分になりやすい。
第二に、上塗り性の問題がある。通常上塗りされる塗
料の溶剤が下塗り塗面を若干侵して界面で相混じること
により層間密着性が良くなるが、シリコーンゴムへの上
塗り性は下地のシリコーンゴムが三次元架橋して硬化す
るため、再塗装された上塗り塗料がシリコーンゴム表面
を侵すことがなく、そのため密着性が劣る。
第三に、可使時間の問題が挙げられる。実際の塗装作
業は、被塗物の大きさや構造の複雑さによつて作業時間
が予定より長くなつたり、時には塗装開始後に雨が降つ
て被塗面が濡れたり、大気が高湿度になつて塗装が中断
され、既に開缶されて攪拌された塗料を予定より長時間
置かなければならないような状況になつてくる場合があ
る。このような場合に可使時間のある塗料は塗装作業上
はなはだ不便である。
第四に、貯蔵安定性の問題がある。生物付着防止塗料
は製造されてから使用されるまで長期保存されることが
あるが、湿気などで硬化するものは製造時に乾燥窒素ガ
スを封入しなければ貯蔵安定性が短いものとなる。ま
た、一度缶の蓋を開けると大気中の湿気が入つて塗料表
面の硬化や増粘を起こし再使用することが難しくなると
いうような問題があつた。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、以上の点につき鋭意研究した結果、シ
リコーンゴム単独もしくはシリコーンゴムとシリコーン
オイルやパラフインなどとを併用した前記ロの従来公知
の生物付着防止塗料が有する種々の問題点がなく、その
うえ良好な防汚性を期待できる、特に前記イの従来公知
の防汚剤含有の有機錫共重合体を用いた生物付着防止塗
料に較べてもよりすぐれた防汚性を期待できる溶剤揮発
型の特定の重合体を用い、これと防汚剤、表面滑性剤お
よび水結合剤とを組み合わせた新規タイプの生物付着防
止塗料組成物を得ることに成功した。
すなわち、本発明は、つぎの一般式(I); {ただし、式中、X1,X2は水素原子またはメチル基であ
つて、両基はシス型またはトランス型のいずれであつて
もよい。Y1,Y2はその一方がつぎの式(a); 〔ただし、式中、nは0または1の整数、mは0以上の
実数であり、R1〜R3はいずれもアルキル基、アルコキシ
ル基、フエニル基、置換フエニル基、フエノキシル基ま
たは置換フエノキシル基の中から選ばれた基であつて、
互いに同一の基であつても異なる基であつてもよい。
R4,R5は上記のR1〜R3と同様の基またはつぎの式
(b); (ただし、式中、R6〜R8はいずれもアルキル基、アルコ
キシル基、フエニル基、置換フエニル基、フエノキシル
基、置換フエノキシル基または式(b)で表されるオル
ガノシロキサン基の中から選ばれた基であつて、互いに
同一の基であつても異なる基であつてもよい) で表されるオルガノシロキサン基の中から選ばれた基で
あつて、m個のR4,R5は互いに同一の基であつても異な
る基であつてもよい〕 で表される有機基であり、他方が水素原子、アルキル
基、フエニル基、置換フエニル基または上記の式(a)
で表される有機基である。} で示される単量体Aの一種または二種以上の重合体、お
よび/または上記単量体Aの一種または二種以上とこれ
と共重合しうるビニル重合性単量体Bの一種または二種
以上とからなる共重合体と、防汚剤、表面滑性剤および
水結合剤とを必須成分として含有することを特徴とする
生物付着防止塗料組成物に係るものである。
ところで、本出願人は、本発明の完成に先立つて、上
記の一般式(I)で示されるオルガノシリル基ないしオ
ルガノシロキサン基を有する構造の単量体を用いた重合
体ないし共重合体を必須成分とし、これに防汚剤を加え
てなる水中防汚被覆剤を、特願昭63−160383号(特開平
2−675号)として、既に提案している。
この水中防汚被覆剤は、上記の重合体ないし共重合体
より形成される塗膜が水中で表面から徐々に加水分解を
起こすセルフポリツシング性を持つ、つまり樹脂が塗膜
表層から徐々に加水分解して溶解し、これと同時に樹脂
に分散された防汚剤が水中へ溶解していく機構を取るこ
とにより、非常にすぐれた防汚効果を発揮するものであ
る。
本発明者らは、この先行発明に引き続く研究におい
て、これらの重合体ないし共重合体と防汚剤とからなる
成分にさらに表面滑性剤および水結合剤を併用したとき
に、樹脂塗膜の加水分解性が適宜に抑制されて、塗膜お
よび防汚剤の溶解性が適正に維持され、結果として防汚
効果が向上すると同時に、この表面滑性剤自体も防汚効
果を有すること、さらに貯蔵安定性も向上することを見
い出し、本発明を完成するに至つたものである。
〔発明の構成〕
本発明の生物付着防止塗料組成物においては、必須成
分のひとつとして、上記の一般式(I)で示される単量
体Aの一種または二種以上の重合体つまり単独重合体ま
たは共重合体(以下、これを重合体Aという)を用いる
か、あるいは上記単量体Aの一種または二種以上とこれ
と共重合可能なビニル重合性単量体Bの一種または二種
以上との共重合体(以下、これを共重合体ABという)を
使用する。また、上記の重合体Aと共重合体ABを必要に
応じて併用してもよい。
このような重合体Aおよび共重合体ABは、いずれも側
鎖に単量体Aに由来するオルガノシリル基またはオルガ
ノシロキサン基を有するため、これと防汚剤および表面
滑性剤を含む塗膜はオルガノシリル基やオルガノシロキ
サン基が適宜加水分解し、残存樹脂が溶解すると同時に
防汚剤や表面滑性剤も水中に徐々に放出されることによ
つて水中物体表面への生物付着を効果的にかつ持続的に
防止する。本発明者らは、このような付着防止効果が後
述する実施例にて示されるように前記従来の生物付着防
止塗料よりもより顕著に発現されるものであることを知
つた。
また、上記の重合体Aおよび共重合体ABは、有機溶剤
に易溶解性であるため、これと防汚剤および表面滑性剤
を含む生物付着防止塗料組成物の溶剤溶液を水中に浸漬
されるべき物体の表面に塗布し乾燥することによつて、
容易に均一に塗膜化することができる。しかも、上記の
重合体Aおよび共重合体ABは、前記従来の如き反応硬化
型のものとは異なつて、本質的に非反応性のものである
ため、上記の塗膜化が大気中の湿気や温度によつて左右
されることはなく、また溶液としての可使時間や貯蔵安
定性にもすぐれている。さらに、この塗膜上に同種ない
し他の塗膜を上塗りする際には、上記塗膜が上塗り剤の
溶剤によつて侵されるため、上塗り塗膜との層間密着性
にすぐれたものとなる。すなわち、前記従来の生物付着
防止塗料の欠点が上記重合体Aおよび/または共重合体
ABを用いることによつてことごとく解消されるのであ
る。
このような効果を発揮する重合体Aおよび共重合ABを
得るための単量体Aは、前記の一般式(I)で示される
ように、分子内にオルガノシリル基またはオルガノシロ
キサン基を有するものであつて、この式(I)中、X1
X2は水素原子またはメチル基で、両基は幾何異性として
のシス型またはトランス型のいずれをもとることができ
る。また、式(I)中、Y1,Y2はその一方がつぎの式
(a); で表される有機基であり、他方が水素原子、アルキル
基、フエニル基、置換フエニル基または上記式(a)で
表される有機基である。上記のアルキル基の炭素数とし
ては通常5程度迄であるのがよく、また上記の置換フエ
ニル基の置換基としてはハロゲン、炭素数が5程度迄の
アルキル基、アルコキシル基、アシル基などがある。
上記の式(a)において、nは0または1の整数であ
り、mはオルガノシロキサン基の繰り返し数であつて、
0以上の実数をとりうるが、通常は10,000程度迄である
のがよい。なお、オルガノシロキサン基は脱水縮合や付
加反応によつて導入されるため、単量体Aとしては、通
常オルガノシロキサン基の繰り返し数の異なる混合物と
なつている。したがつて、上記m値はこれらの平均値
()として表されるべきであり、前記実数と表現して
いるのもこの理由によるものである。また、この観点か
ら、後記の実施例では上記ので表わしている。
また、式(a)中、R1〜R3はいずれもアルキル基、ア
ルコキシル基、フエニル基、置換フエニル基、フエノキ
シル基または置換フエノキシル基の中から選ばれた基で
ある。上記のアルキル基およびアルコキシル基の炭素数
は通常30程度迄、好ましくは18程度迄であるのがよい。
また、上記の置換フエニル基および置換フエノキシル基
の置換基としてはハロゲン、炭素数が5程度迄のアルキ
ル基、アルコキシル基、アシル基などが挙げられる。こ
れらR1〜R3は互いに同一の基であつても異なる基であつ
てもよい。
さらに、式(a)中、R4,R5は、上記のR1〜R3と同様
の基またはつぎの式(b); で表されるオルガノシロキサン基の中から選ばれた基で
あつて、m個のR4,R5は互いに同一の基であつても異な
る基であつてもよい。なお、このR4,R5が前記のR1〜R3
と同様の基である場合に、これらの基とR1〜R3の基とが
同一の基であつても異なる基であつてもよいことはもち
ろんである。
上記の式(b)において、R6〜R8は、いずれもアルキ
ル基、アルコキシル基、フエニル基、置換フエニル基、
フエノキシル基、置換フエノキシル基または式(b)で
表されるオルガノシロキサン基の中から選ばれた基であ
る。上記のアルキル基およびアルコキシル基の炭素数と
しては通常5程度迄であるのがよい。また、上記の置換
フエニル基および置換フエノキシル基の置換基として
は、ハロゲン、炭素数が5程度迄のアルキル基、アルコ
キシル基、アシル基などが挙げられる。これらR6〜R8
互いに同一の基であつても異なる基であつてもよい。
このような単量体Aは、市販品として容易に入手可能
である。合成例としては、たとえば、マレイン酸、マレ
イン酸モノエステル、フマール酸、フマール酸モノエス
テル〔いずれも前記の一般式(I)におけるX1,X2が共
に水素原子である不飽和酸〕、またはこれらのα−メチ
ル置換体〔前記の一般式(I)におけるX1,X2の一方が
水素原子、他方がメチル基である不飽和酸〕、これらの
α・α′−ジメチル置換体〔前記の一般式(I)におけ
るX1,X2が共にメチル基である不飽和酸〕などの各種の
不飽和酸に、分子内に前記のR1〜R3を有するオルガノシ
リル化合物または分子内に前記のR1〜R5を有するオルガ
ノシロキサン化合物を脱水縮合させる方法、あるいは上
記同様の不飽和酸とオルガノシリルメチルアルコールま
たはオルガノシロキサンメチルアルコールなどとのエス
テルを得る方法や、上記の不飽和酸と対応するクロロシ
ラン類とを塩基(たとえば、トリエチルアミン、イミダ
ゾールなど)の存在下で脱塩化水素反応させる方法など
がある。
また、共重合体ABを得るために上記の単量体Aととも
に用いられるビニル重合性単量体Bとしては、たとえば
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル
酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリ
ル酸2−ヒドロキシエチルなどのメタクリル酸エステル
類、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸
2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル
などのアクリル酸エステル類、マレイン酸ジメチル、マ
レイン酸ジエチルなどのマレイン酸エステル類、フマー
ル酸ジメチル、フマール酸ジエチルなどのフマール酸エ
ステル類、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチ
レン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ブタジエン、アクリル
アミド、アクリロニトリル、メタクリル酸、アクリル
酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、クロトン酸
エステル、イタコン酸、イタコン酸エステルなどが挙げ
られる。
このようなビニル重合性単量体Bは、防汚塗膜に用途
目的に応じた種々の性能を付与するための改質成分とし
て作用し、また単量体A単独に比しより高分子量の重合
体を得るのにも好都合な成分である。この単量体Bの使
用量は、上記性能と単量体Aに基づく防汚効果とを勘案
して、適宜の範囲に設定される。一般的には、単量体A
との合計量中に占める単量体Bの割合が95重量%以下、
好ましくは90重量%以下であるのがよい。すなわち、共
重合体ABを構成する単量体Aの割合が少なくとも5重量
%、好ましくは少なくとも10重量%であれば、この単量
体Aに基づく防汚効果を充分に発揮できるから、上記範
囲内で単量体Bの使用量を適宜設定すればよい。
重合体Aおよび共重合体ABは、上述の如き単量体Aま
たはこれと単量体Bとを、ビニル重合開始剤の存在下、
常法に準じて溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合
などの各種方法で重合させることにより、得ることがで
きる。上記のビニル重合開始剤としては、アゾビスイソ
ブチロニトリル、トリフエニルメチルアゾベンゼンのよ
うなアゾ化合物、ベンゾイルパーオキサイド、ジtert−
ブチルパーオキサイドなどの過酸化物などが挙げられ
る。
上記の方法にて得られる重合体Aおよび共重合体ABの
重量平均分子量は、一般に1,000〜1,500,000の範囲にあ
るのが望ましい。分子量が低すぎては、使用に耐える塗
膜の形成が難しく、またあまり高くなりすぎると塗料と
したときの粘度が高く、樹脂固型分が低いため1回の塗
装によつて薄い塗膜しか得られず、一定以上の乾燥塗膜
厚を得るには数回の塗装を要するという不具合が出てく
る。
本発明において必須成分の他のひとつとして使用する
防汚剤には、金属を含む有機化合物、金属を含まない有
機化合物および無機化合物などからなる従来公知のもの
が広く包含される。
金属を含む有機化合物には、有機錫系化合物、有機銅
系化合物、有機ニツケル系化合物および有機亜鉛系化合
物などがあり、その他マンネブ、マンセブ、プロピネブ
なども挙げられる。また、金属を含まない有機化合物に
は、N−トリハロメチルチオフタルイミド、ジチオカル
バミン酸、N−アリールマレイミド、3−置換アミノ−
1・3−チアゾリジン−2・4−ジオン、ジチオシアノ
系化合物、トリアジン系化合物などがある。さらに、無
機化合物としては、亜酸化銅、銅粉、チオシアン酸銅、
炭酸銅、塩化銅、硫酸銅などの銅化合物、硫酸亜鉛、酸
化亜鉛、硫酸ニツケルなどが挙げられる。
なお、上記の金属を含む有機化合物のうちの有機錫系
化合物としては、トリフエニル錫クロリド、トリフエニ
ル錫フルオリドなどのトリフエニル錫ハライド、トリシ
クロヘキシル錫クロリド、トリシクロヘキシル錫フルオ
リドなどのトリシクロヘキシル錫ハライド、トリブチル
錫クロリド、トリブチル錫フルオリドなどのトリブチル
錫ハライド、トリフエニル錫ヒドロオキシド、トリシク
ロヘキシル錫ヒドロオキシド、ビス(トリフエニル錫)
−α・α′−ジブロモサクシネート、ビス(トリシクロ
ヘキシル錫)−α・α′−ジブロモサクシネート、ビス
(トリブチル錫)−α・α′−ジブロモサクシネート、
ビス−(トリフエニル錫)オキシド、ビス−(トリシク
ロヘキシル錫)オキシド、ビス−(トリブチル錫)オキ
シド、トリフエニル錫アセテート、トリシクロヘキシル
錫アセテート、トリブチル錫アセテート、トリフエニル
錫モノクロロアセテート、トリフエニル錫バーサチツク
酸エステル、トリフエニル錫ジメチルジチオカーバメー
ト、トリフエニル錫ニコチン酸エステルなどがある。
また、有機銅系化合物としては、オキシン銅、ノニル
フエノールスルホン酸銅、カツパービス(エチレンジア
ミン)−ビス(ドデシルベンゼンスルホネート)、酢酸
銅、ナフテン酸銅、ビス(ペンタクロロフエノール酸)
銅などがある。さらに、有機ニツケル系化合物として
は、酢酸ニツケル、ジメチルジチオカルバミン酸ニツケ
ルなどが、有機亜鉛系化合物としては、酢酸亜鉛、カル
バジン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛などが
ある。
なおまた、上記の金属を含まない有機化合物のうちの
N−トリハロメチルチオフタルイミドとしては、N−ト
リクロロメチルチオフタルイミド、N−フルオロジクロ
ロメチルチオフタルイミドなどが、ジチオカルバミン酸
としては、ビス(ジメチルチオカルバモイル)ジスルフ
イド、N−メチルジチオカルバミン酸アンモニウム、エ
チレンビス(ジチオカルバミン酸)アンモニウム、ミル
ネブなどが、N−アリールマレイミドとしては、N−
(2・4・6−トリクロロフエニル)マレイミド、N−
4−トリルマレイミド、N−3−クロロフエニルマレイ
ミド、N−(4−n−ブチルフエニル)マレイミド、N
−(アニリノフエニル)マレイミド、N−(2・3−キ
シリル)マレイミドなどが、それぞれ挙げられる。
また、3−置換アミノ−1・3−チアゾリジン−2・
4−ジオンとしては、3−ベンジリデンアミノ−1・3
−チアゾリジン−2・4−ジオン、3−(4−メチルベ
ンジリデンアミノ)−1・3−チアゾリジン−2・4−
ジオン、3−(2−ヒドロキシベンジリデンアミノ)−
1・3−チアゾリジン−2・4−ジオン、3−(4−ジ
メチルアミノベンジリデンアミノ)−1・3−チアゾリ
ン−2・4−ジオン、3−(2・4−ジクロロベンジリ
デンアミノ)−1・3−チアゾリジン−2・4−ジオン
などが、ジチオシアノ系化合物としては、ジチオシアノ
メタン、ジチオシアノエタン、2・5−ジチオシアノチ
オフエンなどが、トリアジン系化合物としては、2−メ
チルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピル
アミノ−s−トリアジンなどが、それぞれ挙げられる。
金属を含まない有機化合物としては、その他に2−ア
ミノ−3−クロロ−1・4−ナフトキノン、2・3−ジ
クロロ−1・4−ナフトキノン、5・10−ジヒドロ−5
・10−ジオキサナフト〔2・3−b〕−1・4−ジチイ
ン−2・3−ジカルボニトリルなどがある。
本発明においては、上述の如き各種の防汚剤の中から
その一種または二種以上を選択使用するが、その使用量
は、重合体Aおよび/または共重合体ABの塗膜が有する
加水分解性による防汚効果と防汚剤の化学的な防汚効果
との相乗効果を勘案して適宜の範囲に設定される。一般
的には、重合体Aおよび/または共重合体ABとの合計量
中に占める防汚剤の割合が0.1〜80重量%であるのが望
ましい。防汚剤が過少では前記の相乗効果を期待でき
ず、過多では形成される水中防汚塗膜にクラツク,剥離
などの塗膜欠陥が生じやすくなり、効果的な防汚性が得
られにくくなる。
本発明において必須成分のもうひとつとして使用する
表面滑性剤には、塗膜表面に滑り性を付与するものとし
て知られる種々の物質が広く包含される。代表的な例を
挙げれば、JISK2235に規定される石油ワツクス、JI
SK2231で規定される流動パラフイン、25℃において5
5,000センチストークス以下の動粘度を有するシリコー
ンオイル、−5℃以上の融点を有する炭素数8以上の
脂肪酸およびそのエステル、炭素数12〜20のアルキル
基またはアルケニル基を有する有機アミン、25℃にお
いて60,000センチストークス以下の動粘度を有するポリ
ブテンなどがある。
上記の具体例としては、パラフインワツクス、マイ
クロクリスタリンワツクス、ペトロラタムなどが、上記
の具体例としては、ISOVG10、ISOVG15、ISOVG32、ISO
VG68、ISOVG100の各相当品が、上記の具体例として
は、信越化学工業(株)製の商品名KF96L−0.65、KF96L
−2.0、KF96−30、KF96H−50,000、KF965、KF50、KF5
4、KF69、東芝シリコーン(株)製の商品名TSF440、TSF
410、TSF4440、TSF431、TSF433、TSF404、TFA4200、YF3
860、YF3818、YF3841、YF3953、TSF451、東レシリコー
ン(株)製の商品名SH200、SH510、SH3531、SH230、FS1
265などが挙げられる。
上記のシリコーンオイルは、ジメチルシリコーンオ
イルが最も一般的であるが、その他メチルフエニルシリ
コーンオイル、ポリエーテルシリコーンオイル、環状ポ
リシロキサンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、
メチル塩素化フエニルシリコーンオイル、高級脂肪酸変
性シリコーンオイル、フロロシリコーンオイルなどの他
のものであつてもよい。
また、上記の具体例としては、カプリル酸、カプリ
ン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステ
アリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラウ
ロレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、
鯨油酸、鮫油酸、ジユニペリン酸などが挙げられる。ま
た、これらカルボン酸のエステルとしては、ステアリル
ステアレート、ブチルラウレート、オクチルパルミテー
ト、ブチルステアレート、イソプロピルステアレート、
セチルパルミテート、セリルセロテート、ミリシルパル
ミテート、メリシルメリセート、鯨ろう、密ろう、カル
ナウバろう、モンタンろう、蟲ろう、トリステアリン、
トルパルミチン、トリオレイン、ミリストジラウリン、
カプリロラウロミリスチン、ステアロパルミトオレイ
ン、モノステアリン、モノパルミチン、ジステアリン、
ジパルミチン、牛脂、豚脂、馬脂、羊脂、鱈脂油、ヤシ
油、パーム油、木ろう、カポツク油、カカオ脂、支那
脂、イリツペ脂などが挙げられる。
さらに、上記の具体例としては、ドデシルアミン、
テトラドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデ
シルアミン、オレイルアミン、牛脂アルキルアミン、コ
コアルキルアミン、大豆油アルキルアミン、ジドデシル
アミン、ジ牛脂水素化アルキルアミン、ドデシルジメチ
ルアミン、ココアルキルジメチルアミン、テトラデシル
ジメチルアミン、ヘキサメチルジメチルアミン、オクタ
デシルジメチルアミンなどが、上記の具体例として
は、日本油脂(株)製の商品名ニツサンポリブテン0N、
06N、015N、3N、5N、10N、30N、200N、0SH、06SH、015S
H、3SH、5SH、10SH、30SH、200SHなどが挙げられる。
本発明においては、上述の如き各種の表面滑性剤の中
からその一種または二種以上を選択使用するが、その使
用量としては、前記の重合体Aおよび/または共重合体
ABと防汚剤とに基づく乾燥性,密着性などの性能とさら
に防汚性能とを勘案して、適宜の範囲に設定される。一
般的には、重合体Aおよび/または共重合体ABと表面滑
性剤との合計量中に占める表面滑性剤の割合が0.1〜70
重量%、好ましくは0.5〜50重量%であるのがよい。
本発明の生物付着防止塗料組成物は、既述のとおり、
前記の重合体Aおよび/または共重合体ABと防汚剤とさ
らに上記の表面滑性剤とを必須成分として含ませてなる
ものであり、通常は有機溶剤にて希釈して用いられる。
このため、重合体Aおよび/または共重合体ABを得るに
あたつての重合法としては、特に溶液重合法または塊状
重合法を採用するのが望ましい。溶液重合法では重合後
の反応溶液をそのままあるいは溶剤て希釈して使用に供
することができるし、塊状重合法では重合後の反応物に
溶剤を加えて使用に供しうる。
上記目的で使用する有機溶剤としては、キシレン、ト
ルエンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、ヘプタ
ンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチ
ルなどのエステル系溶剤、イソプロピルアルコール、ブ
チルアルコールなどのアルコール系溶剤、ジオキサン、
ジエチルエーテルなどのエーテル系溶剤、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤の
単独もしくはこれらの混合溶剤が挙げられる。
有機溶剤の使用量は、溶液中の重合体Aおよび/また
は共重合体ABの濃度が通常5〜90重量%、好ましくは15
〜85重量%の範囲となるようにするのがよい。このとき
の溶液の粘度は、塗膜化が容易となる一般に150ポイズ
以下/25℃であるのがよい。
このように構成される本発明の生物付着防止塗料組成
物には、必要に応じて弁柄、二酸化チタンなどの顔料や
染料などの着色剤を配合してもよい。また、通常のタレ
止め剤、色分れ防止剤、沈降防止剤、消泡剤などを加え
てもよい。
さらに、本発明で用いる重合体Aおよび/または共重
合体ABは、水の存在によつて加水分解するので、塗料化
する際、防汚剤や顔料中に含まれる水分を捕捉するため
の、いわゆる水結合剤を系中に添加することが望まし
い。このような水結合剤の例としては、オルトギ酸トリ
メチル、オルトギ酸トリエチル、オルトギ酸トリブチル
などのオルトギ酸トリアルキル類、オルト酢酸トリメチ
ル、オルト酢酸トリエチル、オルト酢酸トリブチルなど
のオルト酢酸トリアルキル類、オルトほう酸トリメチ
ル、オルトほう酸トリエチル、オルトほう酸トリブチル
などのオルトほう酸トリアルキル類、テトラメチルシリ
ケート、テトラエチルシリケート、テトラブチルシリケ
ート、テトラ(2−メトキシエチル)シリケート、テト
ラ(2−クロロエチル)シリケートなどのテトラ(置
換)アルキルシリケート類、テトラフエニルシリケー
ト、テトラベンジルシリケートなどのテトラ(置換)ア
リールシリケート類、また上記のテトラ(置換)アルキ
ルシリケート類やテトラ(置換)アリールシリケート類
の縮合物(ダイマー、トリマー、テトラマー、ヘキサマ
ーなど)などの加水分解性エステル化合物類、フエニル
イソシアネート、ベンゼンスルフオニルイソシアネート
などのイソシアネート基を有する化合物などがある。
本発明の生物付着防止塗料組成物を用いて水中に浸漬
されるべき物体の表面に防汚塗膜を形成するには、たと
えば溶液としての上記組成物を上記物体の表面に適宜の
手段で塗布したのち、常温下ないし加熱下で乾燥して溶
剤を揮散除去するだけでよい。
〔作用〕
本発明に用いられる前記の重合体Aおよび/または共
重合体ABは、いずれも単量体Aに由来するオルガノシリ
ル基またはオルガノシロキサン基を有するため、形成さ
れる塗膜に加水分解性を付与するものである。また、ビ
ニル重合性単量体Bは、共重合体ABの塗膜に必要により
適度の加水分解性を付与するため、また単量体A単独に
比較してより高分子量の重合体を得るための好都合な調
節成分として作用するものである。
本発明に用いられる防汚剤は、水中生物の付着を化学
的に防止するものであつて、重合体Aおよび/または共
重合体ABから得られる塗膜が適宜加水分解し、溶解する
と同時に、防汚剤や表面滑性剤の水中に徐々に溶出され
ることによつて防汚効果を長時間持続させることができ
る。また、本発明に用いられる表面滑性剤は、塗膜の加
水分解調整機能および物理的防汚機能としての作用を有
しており、防汚性の向上に大きな役割を果たしている。
また、本発明に用いられる水結合剤は、塗料組成物中の
前記重合体Aおよび/または共重合体ABが水の存在によ
つて加水分解するのを防ぐことにより、貯蔵安定性の向
上に大きな役割を果たしている。
上記の如く、本発明における重合体Aおよび/または
共重合体ABと防汚剤と表面滑性剤と水結合剤との併用系
によれば、重合体Aおよび/または共重合体ABが防汚剤
の過度の溶出および溶出不足を適度に調節する機能を持
ち、塗膜の防汚性能は長期にわたつて安定に維持されて
いると考えられる。
〔発明の効果〕
本発明に用いられる前記した特定の重合体は、それ自
体が反応硬化する型ではなく、溶剤揮発型の乾燥性を有
していることにより熱可塑性の塗膜を形成するため、本
発明の生物付着防止塗料組成物は、従来の生物付着防止
塗料と比較して、以下の如き利点を備えている。
まず、生物付着防止塗料の製造時に、防汚剤による変
質の危険性がなく安定である。缶詰時に不活性ガスの封
入を必要とせず、可使時間の制限がない。速乾性であ
り、塗膜深部の硬化不良や乾燥時の湿度や温度により左
右されることがないため、ふくれや剥離が起こりにく
い。塗膜上に同種または他の塗膜を塗り重ねたときの層
間密着性にすぐれている。塗膜が水に接した状態でも塗
膜の過度な消耗がないため、長期にわたつて防汚性能を
維持することができる。
このため、水中生物汚損の防止が必要な船底部、魚網
や冷却水管などの水中構造物、さらには海洋土木工事の
汚泥拡散防止に用いられる海洋汚濁防止膜などにおい
て、本発明によつて得られる塗膜は著しい防汚効果を示
し、水中没水基材の生物付着汚損を防止することができ
る。
〔実施例〕
つぎに、本発明を重合体の製造例、実施例、参考例お
よび比較例によつて具体的に説明する。例中の部は重量
部、粘度は25℃における泡粘度測定値、分子量はGPCに
よる重量平均分子量を表す。
製造例1〜7 攪拌機付きのフラスコに、第2表(の1,2)の配合に
準じて溶剤aを仕込み、所定の反応温度に昇温させ、攪
拌しながら単量体A、単量体Bおよび重合触媒aの混合
液をフラスコの中へ6時間で滴下し、滴下終了後同温度
で30分間保持した。ついで、溶剤bと重合触媒bとの混
合物を20分間で滴下し、さらに同温度で5時間攪拌を続
けて重合反応を完結させた。最後に、希釈溶剤を加えて
希釈し、各重合体溶液I〜VIIを得た。
製造例8,9 耐熱耐圧の容器中に、第2表(の1,2)の配合に準じ
て単量体A、単量体Bおよび重合触媒aを仕込み、完全
に密封して振蘯しながら所定の反応温度に昇温させ、さ
らに同温度で8時間振蘯を続けて反応を完結させた。つ
ぎに、希釈溶剤を加えて3時間振蘯して溶解し、重合体
溶液VIII,IXを得た。
製造例10 攪拌機付きのフラスコに、第2表(の1,2)の配合に
準じて溶剤a、単量体Aおよび重合触媒aを仕込み、攪
拌しながら所定の反応温度に昇温させ、この温度で6時
間攪拌を続けて、重合体溶液Xを得た。
なお、上記の製造例1〜10で用いた単量体A(A1〜A
10)は、前記の一般式(I)中のX1,X2,これらのシス
−トランス幾何異性,Y1,Y2〔これらの一方または両方
が式(a)で表される有機基であるときのn,m(),R
1〜R5〕が下記の第1表に示されるとおりの構造を有す
るものである。
実施例1〜5および参考例1〜51 重合体溶液I〜Xを用いて、つぎの第3〜5表に示す
配合組成(表中の数値は重量%)により、2,000rpmのホ
モミキサーで混合分散して、56種の生物付着防止塗料組
成物を調製した。
なお、配合成分中、パラフインワツクス120Pおよびペ
トロラタム1号はJIS K2235の石油ワツクス、ISOVG−10
はJIS K2231の流動パラフインである。また、商品名がK
F−69であるシリコーンオイルは信越化学工業(株)製
であり、商品名がTSF433のシリコーンオイルは東芝シリ
コーン(株)製である。さらに、ニツサンポリブテン06
Nは日本油脂(株)製のポリブテンである。これらはい
ずれも表面滑性剤の1種として用いたものである。
なおまた、オイルブルー2N〔オリエント化学(株)製
の商品名〕は染料、デイスパロン6900−20X〔楠本化成
(株)製の商品名〕およびアエロジール300〔日本アエ
ロジール(株)製の商品名〕はいずれもタレ止め用添加
剤である。
比較例1〜4 重合体溶液I〜Xの代わりに、KE45TS〔信越化学工業
(株)製の商品名;オリゴマー状常温硬化形シリコーン
ゴム50重量%トルエン溶液〕を用いた以外は、実施例1
〜5および参考例1〜51と同様にして、つぎの第6表に
示す配合組成からなる4種の生物付着防止塗料組成物を
調製した。
比較例5〜9 重合体溶液I〜Xの代わりに有機錫共重合体溶液を用
いた以外は、実施例1〜5および参考例1〜51と同様に
して、つぎの第6表に示す配合組成からなる5種の生物
付着防止塗料組成物を調製した。
なお、上記の有機錫共重合体溶液とは、メタクリル酸
メチル40部、アクリル酸オクチル20部、メタクリル酸ト
リブチル錫40部を用いて重合した共重合体溶液で、共重
合体の重量平均分子量が90,000の透明なキシレン50重量
%溶液である。
以上の実施例1〜5および参考例1〜51および比較例
1〜9の各生物付着防止塗料組成物につき、以下の試験
を行つた。結果は、後記の第7,8表に示されるとおりで
あつた。
<性能試験> 各生物付着防止塗料組成物の貯蔵安定性、乾燥性およ
び密着性を下記方法にて測定した。
A)貯蔵安定性 各生物付着防止塗料組成物を容量250ccのマヨネーズ
ビンに200cc入れ、蓋をして密封した。これを温度70
℃,湿度75%の恒温恒湿器中に保存して、2週間後の各
試料の増粘度により、貯蔵安定性を判定した。初期粘度
(KU:約70)より増加率が10%未満のときを○、10%以
上100%未満のときを△、100%以上のときを×と評価し
た。
B)乾燥性 JIS K5400.5.8の方法に準じて行つた。すなわち、各
生物付着防止塗料組成物をフイルムアプリケーターにて
ウエツト膜厚100μmの厚さでガラス板に塗布したもの
について測定を行つた。半硬化乾燥時間が1時間未満を
○、1時間以上3時間未満を△、3時間以上を×と評価
した。なお、各試験板は温度20℃,湿度75%の恒温恒湿
室にて乾燥を行つた。
C)密着性 各生物付着防止塗料組成物をフイルムアプリケーター
にてウエツト膜厚100μmの厚さで磨き鋼板(150×70×
1mm)に塗布し、1週間、温度20℃,湿度75%の恒温恒
湿室にて乾燥させた塗膜に、カツターナイフで20mmの長
さに×字型に下地まで達する切り傷をつけた。その中心
を試験板裏面よりエリクセン試験機にて10mmの押し出し
を行つた。その際、塗膜表面の×字型切り傷部の中心よ
り剥離した長さによつて密着性を判定した。剥離のない
ときを○、5mm未満のときを△、5mm以上のときを×と評
価した。
<防汚性能試験> 各生物付着防止塗料組成物を、サンドブラスト処理鋼
板に予めタールビニル系防錆塗料を塗布してなる塗装板
(100×200×1mm)の両面に、乾燥膜厚が片面120μmと
なるようにスプレー塗りにより2回塗装し、20℃,75%
相対湿度の恒温恒湿室にて1週間乾燥させて、試験板を
作製した。
この試験板につき、生物付着の激しい海域である兵庫
県相生市相生湾にて、24ケ月の海水浸漬を行い、試験塗
膜上の付着生物の占有面積(付着面積)の割合を経時的
に測定した。
上記の第7,8表の結果から明らかなように、実施例1
〜5の本発明の生物付着防止塗料組成物は、貯蔵安定
性、乾燥性、密着性のいずれも良好であり、防汚性能試
験における生物の付着は24ケ月経過後まで全く認められ
なかつた。なお、参考例1〜51の生物付着防止塗料組成
物でも上記とほぼ同じ結果となつているが、水結合剤を
用いた実施例1〜5の生物付着防止塗料組成物は、塗料
中に存在する水で加水分解するおそれがないため、貯蔵
安定性によりすぐれ、そのために密着性、防汚性能試験
においても格別の効果を期待できるものであつた。
これに対し、比較例1〜4はシリコーンゴム系の生物
付着防止塗料組成物であるが、貯蔵安定性、乾燥性およ
び密着性に欠点があり、防汚性も不満足であつた。ま
た、比較例5〜9は有機錫共重合体系の生物付着防止塗
料組成物であるが、貯蔵安定性および防汚性においてや
や劣つていた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09D 5/14 - 5/16 C09D 143/04 C09D 155/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】つぎの一般式(I); {ただし、式中、X1,X2は水素原子またはメチル基であ
    つて、両基はシス型またはトランス型のいずれであつて
    もよい。Y1,Y2はその一方がつぎの式(a); 〔ただし、式中、nは0または1の整数、mは0以上の
    実数であり、R1〜R3はいずれもアルキル基、アルコキシ
    ル基、フエニル基、置換フエニル基、フエノキシル基ま
    たは置換フエノキシル基の中から選ばれた基であつて、
    互いに同一の基であつても異なる基であつてもよい。
    R4,R5は上記のR1〜R3と同様の基またはつぎの式
    (b); (ただし、式中、R6〜R8はいずれもアルキル基、アルコ
    キシル基、フエニル基、置換フエニル基、フエノキシル
    基、置換フエノキシル基または式(b)で表されるオル
    ガノシロキサン基の中から選ばれた基であつて、互いに
    同一の基であつても異なる基であつてもよい) で表されるオルガノシロキサン基の中から選ばれた基で
    あつて、m個のR4,R5は互いに同一の基であつても異な
    る基であつてもよい〕 で表される有機基であり、他方が水素原子、アルキル
    基、フエニル基、置換フエニル基または上記の式(a)
    で表される有機基である。} で示される単量体Aの一種または二種以上の重合体、お
    よび/または上記単量体Aの一種または二種以上とこれ
    と共重合しうるビニル重合性単量体Bの一種または二種
    以上とからなる共重合体と、防汚剤、表面滑性剤および
    水結合剤とを必須成分として含有する生物付着防止塗料
    組成物。
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