JP4567254B2 - バナジウムレドックスフロー電池用電解液の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バナジウムレドックスフロー電池用電解液の製造方法に関する。さらに詳しくは、バナジウムレドックスフロー電池の正極および負極のスタート用電解液として好適に使用しうるバナジウムレドックスフロー電池用電解液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のバナジウムレドックスフロー電池では、正極区画室には5価〜4価のレドックス系電解液が使用され、また負極区画室には3〜2価のレドックス系電解液が使用されているので、正極室には4価のバナジウム電解液、負極には3価のバナジウム電解液がチャージされている。しかし、最近では、スタート時に正極室および負極室に使用される電解液を共通化することにより、合理化を図ることが考えられている。このような電解液としては、4価バナジウムと3価バナジウムとを等モル含有する電解液が提案されている。この電解液に使用されている3価バナジウムの原料として、酸化バナジウム(III) が使用されている。
【0003】
III価のバナジウム化合物の製造方法としては、液相法が知られている(Inorg. Sy nth. 7,p.92) 。この方法によれば、V2 O5 を化学量論量の7.67倍、すなわち12.4重量倍という多量の硫酸中で、化学量論量の1.5倍の硫黄とともに170〜200℃で16時間加熱して還元した後、濾過・水洗し、得られた物質を50%エタノール水溶液中に懸濁し、これに二硫化炭素を注ぎ、過剰量の硫黄を層状にして分離することにより、固体のV2(SO4)3 が得られる。このV2(SO4)3 を電解液の原料とした場合、該V2(SO4)3 1モルを硫酸1モル/Lの水溶液1L中で120〜150℃に加熱溶解させることにより、V3+濃度が2モル/L、SO4 2- 濃度が4モル/LのIII 価のバナジウム電解液が得られる。
【0004】
しかしながら、これら固体のV2(SO4)3 の製造方法およびそれを用いた電解液の製造方法には、種々の欠点がある。特に、固体のV2(SO4)3 の製造方法には、以下の4つの大きな欠点がある。
【0005】
▲1▼ 攪拌を可能にするために、非常に多量の硫酸を要する点
▲2▼ 固体のV2(SO4)3 を取得するために、多量の濃厚な硫酸溶液の濾過を必要とする点
▲3▼ 多量の硫酸廃液が発生する点
▲4▼ 過剰量で使用された硫黄の除去を要する点
【0006】
これらの欠点のうち、前記▲4▼の欠点は、固体のV2(SO4)3 および硫黄を含む溶液を次の硫酸による溶解工程に使用し、例えば、 III価バナジウム化合物の硫酸4モル/L溶液を調製した後、この溶液から硫黄を濾過により除去する方法を採用することにより、回避することができる。しかしながら、前記▲1▼〜▲3▼の欠点は、未だ充分に回避されていない。
【0007】
また、電解液中に夾雑金属が存在している場合、電池の性能に悪影響を及ぼすおそれがある。したがって、例えば、化石燃料を燃焼させる際に発生した燃焼煤を原料とする場合、この燃焼煤の処理工程で得られる不純物を含有するメタバナジン酸アンモニウムを再度、溶解・析出させる方法で精製し、これを高温に加熱して脱水・脱アンモニア化を行なうという煩雑な工程を要するという欠点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、化石燃料の燃焼の際に発生した燃焼煤の最も簡単な処理方法で得られる不純物含量が少ないバナジウム化合物を使用し、極めて有利な方法で4価バナジウムと3価バナジウムを等モルで含有する電解液を製造しうる方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の要旨は、
(a)化石燃料の燃焼の際に発生した燃焼煤をpHを1〜3に調整した水中に懸濁した状態で還元剤を作用させた後、濾過して不溶性残渣を除去し、4価のバナジウムを含有する水溶液を得る工程、
(b)前記工程(a)で得られた4価のバナジウムを含有する水溶液に、アンモニアまたはアンモニア水を添加し、該水溶液のpHを4.2〜4.8に調整し、オキシ水酸化バナジウム水和物を析出させる工程、
(c)前記工程(b)で析出したオキシ水酸化バナジウム水和物を濾過し、取得する工程、
(d)目的とする電解液中のバナジウムのモル数がAであるとき、前記工程(c)で得られたオキシ水酸化バナジウム水和物Aモルと、硫黄5A〜30Aモルとを混合し、得られた混合物を攪拌下に380〜445℃に加熱して還元する工程、
【0010】
(e)前記工程(d)で得られた反応混合物に濃度4〜10モル/Lの硫酸1.7A〜3.5Aモルを添加し、110〜140℃に加熱して析出しているバナジウム化合物を溶解させ、必要により硫黄を濾過により除去する工程、
(f)前記工程(e)で得られた溶液に、前記工程(c)で取得したオキシ水酸化バナジウム水和物を添加し、3価バナジウムと4価バナジウムとの割合を等モルに調整し、必要により硫黄を濾過により除去する工程、および
(g)前記工程(f)で得られた溶液に、硫酸および水を添加し、バナジウムおよびSO4 2- の濃度を所望の値に調整し、得られた水溶液を必要により濾過して残渣を除去する工程
からなる3価バナジウムと4価バナジウムとの割合を等モルで含有するバナジウムレドックスフロー電池用電解液の製造方法
に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
各工程について、以下に説明する。
まず、工程(a)について説明する。
本発明に使用される化石燃料としては、例えば、瀝青質鉱物、重油、タール、アスファルトなどをはじめ、これらをエマルジョン化した燃料などが挙げられる。また、燃焼煤は、これらの化石燃料を燃焼することによって発生したものであればよく、特に限定がない。この燃焼煤を水中に懸濁すると、4価のバナジウムイオンおよび5価のバナジウムイオン、Fe、Ni、Cr、Mg、Naなどの金属イオン、ならびに珪酸イオンとを含有し、水不溶性物質を懸濁した水溶液が得られる。使用する水の量は燃焼煤中の水可溶性物質を溶解し、水不溶性物質を懸濁・攪拌するに足りる量であれば良い。該水溶液のpHは、4価のバナジウムを高濃度でかつ安定して得ることができるようにするために、1〜3とされる。
【0012】
次に、燃焼煤を水中に懸濁させる際には、還元剤が使用される。かかる還元剤としては、例えば、SO2 およびその塩類、ヒドラジン、その水和物およびその塩類、ならびにヒドロキシルアミンおよびその塩類からなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられる。還元剤の具体例としては、亜硫酸ガスおよび亜硫酸アンモニウムなどの亜硫酸の塩類、ヒドラジンまたはヒドラジンの水和物、あるいは硫酸ヒドラジンなどのヒドラジンの塩類、ヒドロキシルアミンまたは硫酸ヒドロキシルアミン、塩酸ヒドロキシルアミンなどのヒドロキシルアミンの塩類などが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。その選択は、還元を達成するのに必要な量と還元剤の入手可能な単価との積から経済性を判断して定めることが望ましい。その際、還元剤として金属を含有しないものを選ぶことが重要である。
【0013】
還元剤の量は、操作中に大気に含まれている酸素による酸化や消耗を考慮して、懸濁液中に存在している5価のバナジウム化合物の還元に必要な化学量論量の1.1〜1.2倍とすることが好ましい。
【0014】
懸濁液に還元剤を添加すると、懸濁液中に含まれている5価のバナジウム化合物が迅速に4価のバナジウムイオンに還元され、不溶性物質に含まれている殆どのバナジウムがこの懸濁液中に溶解する。
【0015】
この懸濁液を濾過することにより、還元後に残存している不溶性残渣を濾別し、除去することができる。
【0016】
この濾過によって得られた4価のバナジウムを含有する水溶液は、次に、工程(b)で使用される。
【0017】
工程(b)では、4価のバナジウムを含有する水溶液に、アンモニアまたはアンモニア水を添加し、該水溶液のpHを4.2〜4.8に調整し、オキシ水酸化バナジウム水和物を析出させる。
【0018】
本発明においては、このpHを4.2〜4.8に調整する点に1つの大きな特徴がある。このようにpHを調整した場合には、水溶液中のバナジウムイオンをオキシ水酸化バナジウム水和物として効率よく、例えば、70〜80%の収率で析出させることができるという、格別顕著に優れた効果が発現される。
【0019】
前記水溶液のpHを4.0に調整した場合、オキシ水酸化バナジウム水和物を析出させることができる。しかし、オキシ水酸化バナジウム水和物を濾過し、取得したときのの収率は、バナジウムに対して高々30%程度である。
【0020】
他方、例えば、前記水溶液のpHを5.0に調整した場合、バナジウムに対する収率が90%程度と高くなる。しかし、析出したオキシ水酸化バナジウム水和物におけるFe、Niなどの金属の含量が著しく増加するようになる。さらに、前記水溶液のpHが6.0を超えると、該水溶液中に含有されているバナジウムに対する収率が殆ど定量的になるが、析出したオキシ水酸化バナジウム水和物におけるFe、Niなどの金属の含量がより一層著しくなる。
【0021】
これに対して、本発明においては、pHが4.2〜4.8とされているので、驚くべきことに、これらの欠点が解消され、不純物たるFe、Ni、Cr、Mg、Naなどの金属イオンや、珪酸イオンからの析出物などの含量の低減が図られ、しかも高収率でオキシ水酸化バナジウム水和物を得ることができるという、格別顕著に優れた効果が奏される。
【0022】
かくして析出した「オキシ水酸化バナジウム水和物」は、一説によれば、酸化バナジウム(IV)の含水物VO2 ・2H2 Oであるとされている。しかし、GMELINS HANDBUCH DER ANORG. CHEMIE. V[B].S.65 〜72に記載されている赤外吸収スペクトルにおける−OH吸収帯の現れ方を根拠とする学説に則り、本発明者らは、前記「オキシ水酸化バナジウム水和物」は、式:
VO(OH)2 ・nH2 O
(式中、nは約1を示す)
で表される化合物であると推定する。以下、本明細書においては、この化合物をオキシ水酸化バナジウム水和物と称する。
【0023】
前記工程(b)で析出させて得られたオキシ水酸化バナジウム水和物は、次に、工程(c)で使用される。
【0024】
工程(c)では、前記工程(b)で析出したオキシ水酸化バナジウム水和物を濾過することにより、取得する。
【0025】
オキシ水酸化バナジウム水和物の濾過は、例えば、吸引濾過などの通常の濾過方法によって行なうことができる。
【0026】
得られたオキシ水酸化バナジウム水和物は、必要により、洗浄水で洗浄してもよい。なお、洗浄の際に、pHが高い水を使用した場合、取得したケーキ状のオキシ水酸化バナジウム水和物に含まれている夾雑金属イオンから析出物が生じるおそれがある。他方、pHが低い水を使用した場合、析出物の一部が溶解するようになる。これらのことから、洗浄の際に使用する洗浄水のpHは、前記濾過時におけるpHの範囲内にあることが好ましい。
【0027】
以上のようにして、オキシ水酸化バナジウム水和物を濾過し、洗浄した場合には、ケーキ状のオキシ水酸化バナジウム水和物を高純度で得ることができる。
【0028】
次に、前記工程(c)で取得したオキシ水酸化バナジウム水和物は、工程(d)で使用される。
【0029】
工程(d)では、目的とする電解液中のバナジウムのモル数がAであるとき、前記工程(c)で得られたオキシ水酸化バナジウム水和物Aモルと、硫黄5A〜30Aモルとを混合し、得られた混合物を攪拌下に380〜445℃に加熱して還元する。
【0030】
この還元反応は、次式にしたがって進行するものと考えられる。
4VO(OH)2・H2 O+S → 2V2 O3 +8H2 O+SO2
【0031】
この式にしたがえば、化学量論的には、オキシ水酸化バナジウム水和物〔VO(OH)2・H2 O〕1モルあたり、硫黄1/4モルを使用することにより、該オキシ水酸化バナジウム水和物を酸化バナジウム(III) 〔V2 O3 〕に還元することができる。
【0032】
オキシ水酸化バナジウム水和物の還元は、例えば、ロータリー・キルン型の反応機を用いて行なうことができる。しかし、かかる反応機を用いた場合には、操作中に発生する水およびSO2 によって反応混合物が発泡するのに対し、反応混合物の攪拌は、転動で行なわれるだけであるので、これに対処できないため、操作が困難となる。
【0033】
オキシ水酸化バナジウム水和物および硫黄を、例えば、攪拌機付きの反応器などの反応器に仕込み、攪拌・混合する。硫黄には、いくつかの変態が存在するが、いずれの変態の硫黄をも溶融させために、反応器には、130〜150℃の温度に保持した硫黄用の還流冷却器を兼ねた排気管を設置することが好ましい。かかる排気管は、発生する水蒸気およびSO2 の排出に利用することができる。
【0034】
硫黄は、還元剤として機能するばかりでなく、攪拌を容易にする溶剤としても機能する。
【0035】
オキシ水酸化バナジウム水和物を酸化バナジウム(III) 〔V2 O3 〕に還元するのに要する硫黄の量は、理論的には、オキシ水酸化バナジウム水和物Aモルあたり、0.25Aモルである。しかし、攪拌性、ならびに生産性および硫黄のリサイクル性の観点から、硫黄の量は、5A〜30Aモル、好ましくは10A〜20Aモルとなるように調整される。
【0036】
この反応の出発原料であるオキシ水酸化バナジウム水和物は空気中で酸化しやすいので、乾燥品は若干の5価バナジウムを含有する。しかし、5価バナジウム化合物も以下の硫黄による還元を容易に受けるので、支障はない。
【0037】
一方、非常に付着水分の多い状態にあるオキシ水酸化バナジウム水和物をこの反応に使用することは硫酸の濃度を著しく引き下げることになるため好ましくない。
【0038】
オキシ水酸化バナジウム水和物と硫黄とを混合・攪拌しながら、徐々に昇温すると、110℃付近の温度で水蒸気が発生し、また140℃付近の温度でSO2 ガスが顕著に発生するようになる。したがって、かかる気体による発泡に注意を要する。SO2 ガスの発生速度は、温度が高いほど大となるが、硫黄の沸点は、常圧では444.7℃であるので、その温度よりも高い温度にまで加熱する場合には、加圧が必要である。
【0039】
また、3価バナジウムと4価バナジウムの比率は、オキシ水酸化バナジウム水和物と硫黄との混合物を加熱する際の加熱温度によって左右される。
【0040】
一般に、加熱温度が高くなるにしたがって、3価バナジウムの比率が高くなる。加熱温度が380℃未満である場合には、3価バナジウムの比率が小さくなり、4価バナジウムの比率が高くなる。
【0041】
本発明においては、3価バナジウムと4価バナジウムとを等モルで含有する電解液を得ることを目的としていることから、3価バナジウムと4価バナジウムとを等モルとするために、3価バナジウムの比率が4価バナジウムのそれより低い場合には、別途、調製したV2(SO4)3 またはV2 O3 を添加しなければならなくなる。
【0042】
一方、加熱温度を444.7℃以上とするには、加圧が必要となるので、設備費が大となる。
【0043】
これに対して、380〜444.7℃で本発明の目的とする電解液用の中間体として充分に使用しうる3価バナジウム/4価バナジウムの値が1以上、例えば、0.55/0.45=1.22である酸化バナジウムを得ることができる。
【0044】
以上のことから、加熱温度は、380〜445℃、好ましくは420〜445℃に調整される。
【0045】
オキシ水酸化バナジウム水和物と硫黄との混合物を加熱することにより、オキシ水酸化バナジウム水和物の還元が進行し、還元開始から4〜5時間経過後にはSO2 ガスの発生が殆ど停止する。この時点を還元反応の終点とすることができる。より精密には、120〜130℃の温度で反応混合物を40〜60%H2 SO4 中に加熱溶解した溶液を吸光スペクトル法などで分析し、3価バナジウムと4価バナジウムとの割合(モル比)が約55:45となった時点を終点とすることができる。なお、還元反応の時間をかかる終点よりも延長したとしても、それ以上には還元反応が進行しがたい。
【0046】
前記工程(d)で得られた反応混合物には、還元反応によって生成したV2 O3 、還元までには至らず、オキシ水酸化バナジウム水和物が脱水して生成したVO2 などのバナジウム化合物および過剰量の硫黄が存在している。したがって、次の工程(e)において、硫酸水溶液を添加して反応混合物中で析出しているバナジウム化合物などを溶解させる。
【0047】
工程(e)では、使用すべき硫酸水溶液の濃度およびその量は、目的とする電解液中のバナジウムおよびSO4 2- の濃度に支配され、さらには工程(g)における濃度調整が可能な範囲内としなくてはならない。
【0048】
これに対して、バナジウムレドックスフロー電池の電解液の組成については、次のようなことが知られている。
【0049】
すなわち、この電解液においては、電解液中に溶解している成分の析出に対する抵抗値(析出し難いことを意味する)、電解液の蓄電能力などの性能を色々な角度から検討が行われた。それによると、電解液中のバナジウムの濃度をAモル/L、SO4 2- の濃度をBモル/Lとするとき、Aが1.8〜3.5であり、Bが3.6〜7.0であり、かつB/Aが1.8〜3.5、好ましくは2.0〜3.0である組成が適当である。さらに、これらの値の中で最も屡用いられるのは、Aが2.0であり、Bが4.0であるものである。
【0050】
前記工程(d)で得られた反応混合物に濃度4〜10モル/Lの硫酸1.7A〜3.5Aモルを添加し、110〜140℃に加熱して析出しているバナジウム化合物を溶解させ、必要により硫黄を濾過により除去する。反応混合物に硫酸を添加する前には、反応混合物に含まれている硫黄が固化するのを回避し、また硫酸が沸騰するのを回避するために、硫黄の固化温度(120℃)以上の温度で、かつ前記硫酸水溶液の沸点以下の温度、すなわち130〜150℃の温度に、反応混合物を冷却することが好ましい。
【0051】
反応混合物に添加する硫酸の濃度は、工程(g)において、硫酸および水を添加することにより、SO4 2- の濃度を所望の値に調整することを考慮して、目的とする電解液のSO4 2- の濃度よりやや高い値とする。しかし、硫酸の濃度が高すぎる場合、例えば、硫酸の濃度が12モル/L以上である場合には、反応混合物に含まれているV2 O3 が固体のV2(SO4)3 となって溶解しなくなる。
【0052】
一方、硫酸の濃度が低すぎる場合には、後の工程(g)において、前記目的とする電解液におけるAおよびBに達成しえない事態も発生する。これらの事情を考慮して、硫酸の濃度は、4〜10モル/L、好ましくは4.5〜6.5モル/Lである。
【0053】
加熱温度は、110℃未満である場合には、V2 O3 の溶解に極めて長時間を要する。一方、加熱温度が140℃を超える場合には、硫酸の濃度によっては硫酸の常圧での沸点を越えることがあり、また沸点を超えないにしても、V2 O3 から固体のV2(SO4)3 を生成して、却って溶解が困難となるので好ましくない。
【0054】
また、加熱時間は、特に限定がなく、析出しているバナジウム化合物が溶解するまでであればよい。
【0055】
かくして得られた溶液には、硫黄を主とする未溶解残渣が存在する。したがって、この溶液から、濾過などの方法により、必要に応じて、未溶解残渣を除去してもよい。なお、この濾過は、この段階で行なうのではなく、工程(f)および/または工程(g)で行なってもよい。また、濾過をこの段階で行なうとともに、工程(f)および/または工程(g)で行なってもよい。
【0056】
この段階で得られた溶液における3価バナジウムと4価バナジウムのモル比は、0.55:0.45程度である。このモル比は、オキシ水酸化バナジウム水和物と硫黄との比率、温度範囲およびその温度における保持時間によって大きな変動は認められない。また、この段階で得られた溶液中の3価バナジウムの量をX0 モル、4価バナジウムの量をY0 モルとすると、工程(d)で仕込んだオキシ硫酸バナジウム水和物Aモルのこの段階までの損失は、工程(e)で硫黄を濾過除去した場合の損失、通常、約1%だけであるので、その説明を簡単にするためにその損失の計算を省略すると、
X0 +Y0 =A
となる。
【0057】
本発明の電解液は、バナジウムレドックスフロー電池の正極室および負極室の双方のスタート用電解液として使用することを目的としているので、かかるモル比は、1:1とすることが蓄電容量を充分に発揮させるために不可欠である。
【0058】
また、X0 −Y0 =αとすると、工程(f)において、この溶液に添加して3価バナジウムの量X1 と4価バナジウムの量Y1 とを一致させる、すなわちX1 =Y1 とするのに必要なオキシ水酸化バナジウムのモル数は、αモルとなる。該オキシ水酸化バナジウム水和物を溶液に溶解させることは、比較的容易であるが、迅速に溶解させるためには、60〜120℃に加熱することが好ましい。通常、100〜110℃の温度では、2時間以内に該オキシ水酸化バナジウム水和物の溶解が完了する。
【0059】
一方、該オキシ水酸化水和物に若干含有されている5価バナジウム化合物は、3価バナジウム化合物と容易に反応して4価バナジウム化合物となるので、それを考慮した量のオキシ水酸化バナジウム水和物を使用すればよい。
【0060】
また、該オキシ水酸化バナジウム水和物が遊離の水分を有している場合には、後の水などの添加による溶液濃度の調整工程で添加する水分を前記水分に相当するだけ減らすようにすれば、目的が達せられる。したがって、該オキシ水酸化バナジウム水和物の乾燥は、省略することができる。
【0061】
工程(f)において、オキシ水酸化バナジウムαモルを添加・溶解した後のバナジウムの総モル数をZとすると、
Z=A+α
となる。また、工程(f)で得られた溶液には、工程(e)で使用した目的の電解液におけるよりも量的には少なく、濃度的には濃厚である硫酸がもたらされている。
【0062】
したがって、工程(g)においては、目的の電解液において必要とされる量のバナジウムを含有する量の工程(f)で得られた溶液を採取し、水および硫酸を添加し、バナジウムおよび硫酸の濃度を調整する。そのためには、例えば、次のようにして行なう。
【0063】
▲1▼ 工程(f)で得られた溶液中の硫酸量がB×〔(A+α)/A〕モルとなるように硫酸の計算量を追加添加する。
▲2▼ この硫酸を添加して得られた溶液には、バナジウム(A+α)モル、硫酸B×〔(A+α)/A〕モルが含まれているので、この溶液の中から、全バナジウムAモルおよび硫酸Bモルを含有している分、すなわち(全溶液量)×A/(A+α)に相当する量を採取し、これに水を添加して、当初予定していた液量とする。
【0064】
なお、前記工程(e)および/または工程(f)での濾過を省略した場合には、この工程(g)で合成繊維製濾過布、メンブレンフィルターなどを用いて濾過して、存在している硫黄などからなる析出物を除去する必要がある。
【0065】
また、前記工程(e)および/または工程(f)で濾過を行なった場合であっても、電解液の品質を向上させる観点から、再度、濾過することが望ましい。この濾過の際には、メンブレンフィルターを用いることが好ましい。
【0066】
かくして、本発明で目的とするバナジウムレドックスフロー電池用電解液が得られる。
【0067】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0068】
実施例1〔バナジウム濃度:2mol/L、SO4 2- 濃度:4mol/L、3価バナジウム濃度:4価バナジウム濃度の比=1:1の電解液の調製〕
【0069】
▲1▼ オキシ水酸化バナジウム水和物の調製
瀝青質混合物(ベネズエラ産)の燃焼の際に得られた集塵機灰〔湿潤重量:5031g〕(水分:19.00%、乾燥品の重量:4075g、乾燥品の分析値:V2.50%、N15.75%、S22.60%、C0.35%、Fe0.12%、Ni0.43%、Cr0.01%、Mg6.15%)〔バナジウム含有量:101.88g(2.00mol)〕を40℃の水20Lに添加し、攪拌して懸濁させた。得られた懸濁液のpHは2.25であり、溶液中のV5+/総V(モル比)は0.413であった。
【0070】
この懸濁液にSO2 ガス11.13Lを室温で20分間で吹き込み、微量の酸、アルカリでpHを2〜2.3に調整し、30分間保持した。
【0071】
濾過した後、濾過残渣(主成分:カーボン)を水125mLで2回洗浄した。
残渣の乾燥重量は、16.6gであった。
【0072】
次に、濾液に水を加えて25500gとし、この溶液を窒素ガス置換した容器中に保存した。この溶液を分析すると、バナジウム含有率が0.376%、すなわち95.88gであり、原料灰からのバナジウムの収率は94.1%であり、溶液の色は4価バナジウムの存在を示す青色であった。
【0073】
この溶液からサンプリングした残りの23936g(バナジウム含有量:90g)を窒素ガス置換した装置の中の容器に入れ、50±3℃でアンモニア水を徐々に添加し、pH4.7で30分間保持した。
【0074】
析出したオキシ水酸化バナジウム水和物を窒素ガス置換した装置の中で減圧濾過し、SO2 ガスをバブリングし、pH4.2〜4.8に調整した水2500mLで3回洗浄し、減圧下に乾燥した。
【0075】
得られたオキシ水酸化バナジウム水和物の一部を湿潤状態のまま、窒素置換した容器中に残して保存し、その他を乾燥した。
【0076】
乾燥重量(全量乾燥した場合に換算):182.26g、バナジウム含有率43.70%、バナジウム含有量:79.65g、溶液からのバナジウム収率:88.5%
【0077】
乾燥品における夾雑金属の分析値は、以下のとおりである。
Fe:0.012%、Ni:0.016%、Cr:0.010%
【0078】
空気酸化による酸化の程度は、V5+/(V4++V5+)=0.045で示された。
【0079】
湿潤品のバナジウム含有率の分析値は17.33%であった。
【0080】
空気酸化による酸化の程度は、V5+/(V4++V5+)=0.011で示された。
【0081】
▲2▼ オキシ水酸化バナジウム水和物の硫黄による還元
前記▲1▼で得られたオキシ水酸化バナジウム水和物の硫黄による還元を行なった。
【0082】
100mL容の4つ口フラスコに、攪拌機、温度計、130〜150℃に保温したガラス製の硫黄用還流冷却器兼水蒸気およびSO2 の排出管ならびにN2 ガス吹き込み管を取付け、これに、オキシ水酸化バナジウム水和物(バナジウム43.70%)11.65g〔バナジウムとして5.09g(0.1当量)〕および硫黄(粉末)32.10g(1.0モル)を仕込み、窒素ガス0.3L/minをフラスコ内に流しながら、攪拌下に430〜440℃まで2時間で昇温した。この間、135〜260℃で水蒸気の発生に伴う泡立ちが認められた。
【0083】
また、150℃付近からは、排気中にSO2 ガスが含まれていることが認められ、300℃以上ではその量が著しくなった。
【0084】
フラスコの内温が430〜440℃に達してから、4時間その温度範囲に保ったところ、排出されたN2 ガス中のSO2 ガスの濃度は、20ppmとなった。
この時点を還元反応の終点とした。
【0085】
▲3▼ 還元反応後のバナジウム化合物の溶解
還元反応終了後、フラスコの内容物を125〜135℃に冷却し、これに濃度5モル/L(490g/L、比重1.290、重量濃度38%)の硫酸40mL(H2 SO4 として0.2モル)を添加し、110〜115℃に6時間加熱し、反応混合物中のバナジウム酸化物を溶解した。
【0086】
▲4▼ バナジウム化合物溶解後の未溶解残渣の除去
前記工程▲3▼で得られた溶液には、硫黄を主とする未溶解残渣が存在していた。
したがって、この溶液を吸引濾過し、硫黄を主体とする残渣を除去した。また、生成したケーキを水2mLで洗浄した残渣のケーキの量は30.6gであった。
この残渣のケーキは、次回の還元にリサイクル使用することができた。
【0087】
▲5▼ 3価バナジウム濃度および4価バナジウム濃度の調整
前記工程▲4▼で得られた濾液中の3価バナジウム4価バナジウムのモル比を分析によって調べたところ、その値は0.549:0.451であった。
【0088】
上記の分析値に基づいて、3価バナジウムと4価バナジウムとが等モルとなるように、オキシ水酸化バナジウム水和物〔湿潤品、バナジウム分析値17.33%〕〔空気酸化による酸化の程度:V5+/(V4++V5+)=0.011〕2.8g(バナジウムとして0.0095モル)を添加し、これを溶解させた。
【0089】
再度、溶液中の3価バナジウムと4価バナジウムとのモル比を分析によって調べたところ、その値は1.000:1.003であり、電解液として適当であった。
【0090】
▲6▼ 電解液の濃度調整
前記工程▲5▼で得られた溶液には、バナジウム0.1095モル(0.1+0.0095モル)および硫酸約0.2モルが含まれている。この溶液から、バナジウム濃度:2mol/L、SO4 2- 濃度:4mol/L、3価バナジウム:4価バナジウム(モル比)=1:1の電解液を正確に調製するために、次の操作を行なった。
【0091】
硫酸を前記溶液に追加添加し、その含有量を2×(0.1+0.0095)モルとした。
【0092】
次に得られた溶液から0.1/(0.1+0.0095)に相当する部分を採り、メスフラスコを用いて50mLとした。
【0093】
▲7▼ 電解液の清澄濾過
前記工程▲6▼で得られた溶液は、そのままの状態で電解液として使用することもできる。しかし、更に品質を向上させるために、メンブレンフィルターでこの溶液を濾過して製品とした。
【0094】
実施例2
▲1▼ オキシ水酸化バナジウム水和物の調製
重油燃焼の際の集塵機灰4400g(湿潤重量)〔水分:45.5%、バナジウム含有量:30.0g(0.589mol)〕(乾燥品の重量:2400g、乾燥品の分析値:V1.25%、N9.5%、S11.9%、C46.5%、Fe0.13%、Ni0.22%、Cr<0.01%、Mg0.11%)を40℃の水10000mLに仕込み、攪拌して懸濁させた。得られた懸濁液のpHは2.8を呈し、溶液中のV5+含有量/総V含有量(モル比)は0.310であった。
【0095】
この懸濁液にSO2 ガス2500mLを20分間で吹き込み、40±2℃の温度に30分間保持した。
【0096】
この懸濁液を濾過した後、濾過残渣(主成分:カーボン)を水1500mLずつで2回洗浄した。残渣の乾燥重量は1150gであった。
【0097】
次に濾液に水を添加し、総量を14000gとし、得られた溶液を窒素ガス置換した容器中に保存した。この溶液を分析すると、バナジウム含有率が0.199重量%、バナジウム含有量が27.86gであり、原料灰からのバナジウム収率は92.9%であり、溶液は4価バナジウムの存在を示す青色であった。
【0098】
この溶液を窒素ガス置換した4つ口フラスコ内に仕込み、これに攪拌下に40±3℃でアンモニア水を徐々に添加して、pHを4.6±0.1に保持し、30分間経過後、析出したオキシ水酸化バナジウム水和物を濾過し、得られたケーキを濾過時と同じpH4.6±0.1に調整した水250mLずつで3回洗浄し、減圧下に乾燥した。
【0099】
乾燥重量:50.0g、バナジウム含有率:43.50重量%、バナジウム含有量:21.73g、溶液からのバナジウム収率:78.0%であった。
【0100】
乾燥品における夾雑金属の分析値は、以下のとおりであった。
Fe:0.006重量%、Ni:0.006重量%、Cr:0.001重量%
【0101】
空気酸化による酸化の程度は、V5+/(V4++V5+)=0.06で示された。
【0102】
▲2▼ オキシ水酸化バナジウム水和物の硫黄による還元
前記▲1▼で得られたオキシ水酸化バナジウム水和物の硫黄による還元を行なった。
【0103】
100mL容の4つ口フラスコに攪拌機、温度計、130〜150℃に保温したガラス製の硫黄用還流冷却器兼水蒸気およびSO2 の排出管ならびにN2 ガス吹き込み管を取付け、これに前記工程▲1▼で得られたオキシ水酸化バナジウム水和物〔バナジウム含有率43.50重量%)11.70g〔バナジウムとして5.09g(0.1当量)〕および硫黄(粉末)25.6g(0.8モル)を仕込み、窒素ガス0.3L/minをフラスコ内に流しながら、攪拌下に430〜440℃まで3時間で昇温した。
【0104】
この間、135〜260℃で水蒸気の発生に伴う泡立ちが認められた。また、150℃付近からは、排気中にSO2 ガスが含まれていることが認められ、300℃以上ではその量が著しくなった。
【0105】
フラスコの内温が430〜440℃に達した後、その温度範囲に6時間保ったところ、排出されたN2 ガス中のSO2 ガスの濃度は20ppmとなった。この時点を還元反応の終点とした。
【0106】
▲3▼ 還元反応終了後のバナジウム化合物の溶解
還元反応終了後、フラスコの内容物を125〜135℃に冷却し、これに濃度5モル/L(490g/L、比重1.290、重量濃度38%)の硫酸40mL(H2 SO4 として0.2モル)を添加し、110〜115℃に6時間加熱し、反応混合物中のバナジウム酸化物を溶解した。
【0107】
▲4▼ バナジウム化合物の未溶解残渣の除去
前記工程▲3▼で得られた溶液には、硫黄を主とする未溶解残渣が存在していた。
従って、この溶液を吸引濾過し、硫黄を主体とする残渣を除去した。また、この残渣ケーキを水2mLで洗浄した。残渣のケーキの量は乾燥後、23.2gであった。この残渣ケーキは、次回の還元にリサイクル使用することができた。
【0108】
▲5▼ 3価バナジウム濃度および4価バナジウム濃度の調整
前記工程▲4▼で得られた濾液中の3価バナジウムと4価バナジウムのモル比を分析によって調べたところ、その値は0.560:0.440であった。
【0109】
上記の分析値に基づいて、3価バナジウムと4価バナジウムとが等モルとなるように、前記工程▲1▼で得られたオキシ水酸化バナジウム水和物(バナジウム含有率43.50%)〔空気酸化による酸化の程度:V5+/(V4++V5+)=0.06〕1.17g(バナジウムとして0.01モル)を添加し、100〜120℃に1時間保持して、これを溶解させた。
【0110】
再度、溶液中の3価バナジウムと4価バナジウムのモル比を分析によって調べたところ、その値は1.000:1.001であった。
【0111】
▲6▼ 電解液の濃度調整
前記工程▲5▼で得られた溶液には、バナジウム0.1+0.01=0.11モルおよび硫酸約0.2モルが含まれている。この溶液からバナジウム濃度:2モル/L、SO4 2- 濃度:4モル/L、3価バナジウム:4価バナジウム(モル比)=1:1の電解液をできるだけ正確に調製するために、次の操作を行なった。
【0112】
硫酸を前記溶液に追加添加し、その含有量を2×0.11モルとした。次に、得られた溶液の一部をバナジウムが0.1モル含まれるように採り、これに水を加えて全量を50mLとした。
【0113】
▲7▼ 電解液の清澄濾過
前記工程▲6▼で得られた溶液は、そのままの状態で電解液として使用することもできる。しかし、更に品質を向上させるために、メンブランフィルターでこの溶液を濾過して製品とした。
【0114】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、化石燃料の燃焼の際に発生した燃焼煤の最も簡単な処理方法で得られる不純物含量が少ないバナジウム化合物を使用し、極めて有利な方法で4価バナジウムと3価バナジウムを等モルで含有する電解液を製造することができる。
Claims (1)
- (a)化石燃料の燃焼の際に発生した燃焼煤をpHを1〜3に調整した水中に懸濁した状態で還元剤を作用させた後、濾過して不溶性残渣を除去し、4価のバナジウムを含有する水溶液を得る工程、
(b)前記工程(a)で得られた4価のバナジウムを含有する水溶液に、アンモニアまたはアンモニア水を添加し、該水溶液のpHを4.2〜4.8に調整し、オキシ水酸化バナジウム水和物を析出させる工程、
(c)前記工程(b)で析出したオキシ水酸化バナジウム水和物を濾過し、取得する工程、
(d)目的とする電解液中のバナジウムのモル数がAであるとき、前記工程(c)で得られたオキシ水酸化バナジウム水和物Aモルと、硫黄5A〜30Aモルとを混合し、得られた混合物を攪拌下に380〜445℃に加熱して還元する工程、
(e)前記工程(d)で得られた反応混合物に濃度4〜10モル/Lの硫酸1.7A〜3.5Aモルを添加し、110〜140℃に加熱して析出しているバナジウム化合物を溶解させ、必要により硫黄を濾過により除去する工程、
(f)前記工程(e)で得られた溶液に、前記工程(c)で取得したオキシ水酸化バナジウム水和物を添加し、3価バナジウムと4価バナジウムとの割合を等モルに調整し、必要により硫黄を濾過により除去する工程、および
(g)前記工程(f)で得られた溶液に、硫酸および水を添加し、バナジウムおよびSO4 2- の濃度を所望の値に調整し、得られた水溶液を必要により濾過して残渣を除去する工程
からなる3価バナジウムと4価バナジウムとの割合を等モルで含有するバナジウムレドックスフロー電池用電解液の製造方法。
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