JP4561439B2 - 撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明は、CMOS型の撮像素子をマトリックス状に配置して構成される撮像素子群を備えた撮像装置に関するものである。
従来より、撮像素子をマトリックス状に配置して構成される撮像素子群を備えた撮像装置として、例えば、下記特許文献1に開示される「撮像装置及び選択回路」がある。この種の撮像装置では、マトリックス状に配置されてセンサ部(撮像素子群)を構成する画素部(撮像素子)を各列ごとに選択可能な水平シフトレジスタ部および各行ごとに選択可能な垂直シフトレジスタ部により順番に走査することで、各画素部から画素信号を取り出し得るように構成している。そして、撮像素子数、つまり画素数の増加に伴って生じる周辺回路の規模の増大や走査時間の長期化の問題を解決する構成として、センサ部を複数の選択ブロックに分割し当該選択ブロック単位で走査し得るものが提案されている。
また、撮像素子として、CMOS型のもの(CMOSイメージセンサ)を用いた撮像装置もあり、例えば、下記特許文献2に開示される「固体撮像装置」がある。この撮像装置においても、取り込み速度や消費電流等の問題点を課題とし、必要な範囲をブロック読み出しすることによってこれらの課題を解決し得る構成が提案されている。
これら特許文献1,2に開示される技術は、複数の撮像素子を所定範囲でブロック化し当該ブロック単位で走査したり読み飛ばしを行うことにより、解像度を低くしても高速に読み出すことを可能にするものである。
特開2001−45383号公報(第2頁〜第5頁、図1〜11) 特開平11−196332号公報(第2頁〜第6頁、図1〜9)
しかしながら、上記特許文献1に開示される「撮像装置及び選択回路」によると、選択ブロックの単位で画素部を走査可能に構成しているものの(特許文献1;図2、3)、各選択ブロック内の画素信号を順次読み出して外部に出力している(特許文献1;図4)。そのため、これらの画素信号を処理するためには、A/D変換した後、一旦、メモリ装置等に記憶させてから、任意の画素の出力値を合計して処理する必要があるので、信号処理が煩雑になるばかりでなく、このようなメモリ装置やその周辺回路も必須となる。なお、特許文献1では、画像処理する際の一時的な記憶領域としてDRAMのメモリを用い、これに記憶されたデータをMPUやカメラDSPにより処理している。したがって、当該装置の出力処理が簡素になりにくく、また処理速度の向上を妨げ得るという課題がある。さらに当該装置の外部にメモリ装置等を必要とするため、システム全体としての大型化につながりしかも製品コストの上昇をも招くという課題がある。
また、上記特許文献2に開示される「固体撮像装置」には具体的な構成例は開示されていないが、特許文献1のものと同様に、一般に、A/D変換した後、ディジタル信号処理する前に、画素データをメモリ装置等に記憶させる必要がある。そのため、この開示技術にも、このようなメモリ装置やその周辺回路が必須となると考えられ、前述同様の課題が存在する。また、たとえ、これらのメモリ装置等とCMOS型の撮像素子とを、CMOS製造プロセスによって同一の半導体基板に形成できたとしても、当該メモリ装置等を組み込む面積が当該半導体基板上に必要になるため、記憶容量の増大に伴いチップサイズの大型化を招き得るし、メモリ装置やその周辺回路の規模によっては、さらなる製造コストの上昇をも招き得る。
その一方で、このようなメモリ装置を用いることなく各撮像素子から出力されたA/D変換後の画素信号を、すべてMPUやDSPによって信号処理する構成を採った場合には、例えば、まず各撮像素子による全体の画素信号を読み出した後、その信号処理結果に基づいて必要な範囲をブロック読み出して再び信号処理を行うことになる。このため、メモリ装置に対し2回以上の読み出し動作を強いられることから、MPU等における処理速度の低下を招く。また、高速動作を要求される場合には、撮像素子に対する読み出し回数が増加することから、処理時間の増大を招き当該要求に応え難いという課題がある。これに対し、メモリアクセス時間を短縮可能な半導体デバイスをメモリ装置やMPU等に利用することでこのような課題を解決し得るが、高速化に伴う消費電力や発熱量の増大といった新たな課題が発生する。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、外部における信号処理を簡素にし得る撮像装置を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、外部における信号処理の速度を向上し得る撮像装置を提供することである。
さらに、本発明の別の目的は、当該装置や当該装置を含めたシステム全体を小型化し得る撮像装置を提供することである。
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の撮像装置[20]では、CMOS型の撮像素子[22]をマトリックス状に配置して構成される撮像素子群[21]を複数の領域[W11〜WNM]に分割し各領域[W11〜WNM]ごとに画像信号[Dw]を出力する撮像装置であって、前記複数の領域[W11〜WNM]ごとに設けられ、当該領域[W11〜WNM]内に配置される複数の撮像素子[22]から出力される電荷を集め集約電荷として出力可能な複数の電荷集約手段[23]と、前記複数の電荷集約手段[23]からそれぞれ出力される前記複数の集約電荷の中から1以上の任意の集約電荷を選択し出力可能な集約電荷選択手段[26,27]と、前記集約電荷選択手段[26,27]から出力される1以上の任意の集約電荷を合成電荷として蓄積可能かつ合成可能な電荷蓄積手段[EC]と、前記電荷蓄積手段[EC]に蓄えられた前記合成電荷を画像信号[Dw]に変換して出力可能な画像信号出力手段[ADC]と、を備えることを技術的特徴とする。なお、[ ]内の数字等は、[発明を実施するための最良の形態]の欄で説明する符号に対応し得るものである(以下同じ)。また、W11やWNM等、Wの添字は正の整数を示す。
特許請求の範囲に記載の請求項2の撮像装置[20]では、請求項1に記載の撮像装置[20]において、前記集約電荷選択手段[36,37]は、前記複数の電荷集約手段[23]から出力される前記複数の集約電荷を所定の順番で繰り返し選択し前記電荷蓄積手段[EC]に出力することを技術的特徴とする。
特許請求の範囲に記載の請求項3の撮像装置[20]では、請求項1または2に記載の撮像装置[20]において、前記複数の領域[W11〜WNM]のうち、1以上の任意の領域[WIJ〜WKL]を選択可能な領域選択手段[37]と、前記領域選択手段[37]に選択された領域[W11〜WNM]内に配置される複数の撮像素子[22]から所定の順番に電荷を出力可能に当該複数の撮像素子[22]を制御し得る領域内画素電荷出力制御手段[38]と、を備えることを技術的特徴とする。
特許請求の範囲に記載の請求項4の撮像装置[20]では、前記複数の領域[W11〜WNM]にかかわりなく、所定の順番に電荷を出力可能に前記複数の撮像素子[22]を制御し得る画素電荷出力制御手段[32h,32v]を備えた請求項3に記載の撮像装置であって、前記領域内画素電荷出力制御手段[39]は、前記画素電荷出力制御手段[32h,32v]の一部または全部を構成することを技術的特徴とする。
特許請求の範囲に記載の請求項5の撮像装置[20]では、請求項1〜4のいずれか一項に記載の撮像装置[20]において、前記電荷集約手段[23]、前記集約電荷選択手段[26,27]、前記電荷蓄積手段[EC]および前記画像信号出力手段[ADC]の少なくとも1つは、前記撮像素子群[21]を形成する半導体基板に形成されることを技術的特徴とする。
また、上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項6の撮像装置[20’]では、CMOS型の撮像素子[22]をマトリックス状に配置して構成される撮像素子群[21]を複数の領域[W11〜WNM]に分割し各領域[W11〜WNM]ごとに画像信号[Dw]を出力する撮像装置であって、前記複数の領域[W11〜WNM]のそれぞれに設けられ、または前記複数の領域[W11〜WNM]の2以上に共通に設けられ、当該領域[W11〜WNM]内に配置される複数の撮像素子[22]から出力される電荷を合成電荷として蓄積可能かつ合成可能な複数の電荷蓄積手段[EC]と、前記複数の電荷蓄積手段[EC]ごとに設けられ、前記電荷蓄積手段[EC]に蓄えられた合成電荷を画像信号[dw]に変換して出力可能な複数の画像信号出力手段[ADC]と、前記複数の画像信号出力手段[ADC]から出力される複数の画像信号[dw]の中から任意の画像信号[Dw]を選択し出力可能な出力信号選択手段[34,35]と、を備えることを技術的特徴とする。
特許請求の範囲に記載の請求項7の撮像装置[20’]では、請求項6に記載の撮像装置[20’]において、前記出力信号選択手段[34,35]は、前記複数の画像信号出力手段[ADC]から出力される複数の画像信号[dw]を所定の順番で繰り返し選択して出力することを技術的特徴とする。
特許請求の範囲に記載の請求項8の撮像装置[20’]では、請求項6または7に記載の撮像装置[20’]において、前記複数の領域[W11〜WNM]のうち、1以上の任意の領域[WIJ〜WKL]を選択可能な領域選択手段[37]と、前記領域選択手段[37]に選択された領域[W11〜WNM]内に配置される複数の撮像素子[22]から所定の順番に電荷を出力可能に当該複数の撮像素子[22]を制御し得る領域内画素電荷出力制御手段[38]と、を備えることを技術的特徴とする。
特許請求の範囲に記載の請求項9の撮像装置[20’]では、前記複数の領域[W11〜WNM]にかかわりなく、所定の順番に電荷を出力可能に前記複数の撮像素子[22]を制御し得る画素電荷出力制御手段[32h,32v]を備えた請求項8に記載の撮像装置であって、前記領域内画素電荷出力制御手段[39]は、前記画素電荷出力制御手段[32h,32v]の一部または全部を構成することを技術的特徴とする。
特許請求の範囲に記載の請求項10の撮像装置[20’]では、請求項6〜9のいずれか一項に記載の撮像装置[20’]において、前記電荷蓄積手段[EC]、前記画像信号出力手段[ADC]および前記出力信号選択手段[34,35]の少なくとも1つは、前記撮像素子群[21]を形成する半導体基板に形成されることを技術的特徴とする。
請求項1の発明では、複数の電荷集約手段[23]により、複数の領域[W11〜WNM]ごとに当該領域[W11〜WNM]内に配置される複数の撮像素子[22]から出力される電荷を集約電荷として集めて出力し、このそれぞれ出力される複数の集約電荷の中から1以上の任意の集約電荷を集約電荷選択手段[26,27]により選択して出力する。そして、集約電荷選択手段[26,27]から出力される1以上の任意の集約電荷を、電荷蓄積手段[EC]により合成電荷として蓄積かつ合成し、さらにこの電荷蓄積手段[EC]に蓄えられた合成電荷を画像信号出力手段[ADC]により画像信号[Dw]に変換して出力する。
これにより、当該各領域[W11〜WNM]ごとに集約された電荷、つまり各領域[W11〜WNM]ごとの集約電荷のうち、任意のものを画像信号として出力することや、複数の任意の集約電荷を合成して画像信号として出力することできるので、別途画素信号(電荷)を合成する回路や処理を設けることなく、解像度の低い画像を容易に得ることができる。したがって、外部における信号処理回路等を簡素に構成することができ、また外部において画素信号(電荷)を合成する処理を必要としなくなるため、外部における信号処理の速度を向上させることができる。さらに、従来、画素信号(電荷)を合成するために必要であったメモリ装置やその周辺回路等が不要になるので、当該装置を含めたシステム全体を小型化することができる。またそのぶん、低コストにシステムを構成することができる。
請求項2の発明では、集約電荷選択手段[36,37]は、複数の電荷集約手段[23]から出力される複数の集約電荷を所定の順番で繰り返し選択し電荷蓄積手段[EC]に出力する。これにより、当該複数の集約電荷を出力する任意の領域[WIJ〜WKL]においては、解像度が低いながらも繰り返し画像信号が得られる。このため、例えば、特定の範囲について目標とする対象物を追跡して画像信号を取得したい場合に、そのための回路や制御処理を外部に設けることなく、容易かつ速やかに所望の画像信号を得ることができる。したがって、外部における信号処理をより簡素にしたり、処理速度を向上させることができる。また、さらに、当該装置を含めたシステム全体を小型化にすることができる。
請求項3の発明では、領域選択手段[37]により、複数の領域[W11〜WNM]のうち1以上の任意の領域[WIJ〜WKL]を選択し、領域内画素電荷出力制御手段[38]により、領域選択手段[37]に選択された領域[W11〜WNM]内に配置される複数の撮像素子[22]から所定の順番に電荷を出力可能に当該複数の撮像素子[22]を制御する。これにより、複数の領域[W11〜WNM]のうち、任意の領域[WIJ〜WKL]内に配置される複数の撮像素子[22]から所定の順番に電荷が出力されるので、当該任意の領域[WIJ〜WKL]内において解像度の高い画像信号を取得することができる。このため、例えば、各領域[W11〜WNM]ごとの集約電荷による低解像度の画像信号によって目標の対象物を認識した場合、当該対象物の存在範囲を当該任意の領域[WIJ〜WKL]に設定することで、高解像度の画像信号により当該対象物を認識することができる。つまり、別途高解像度の画像信号を得るための回路や処理を外部に設けることなく、低解像度および高解像度の画像信号をいずれも出力することができる。したがって、外部における信号処理をより一層簡素にしたり、処理速度を一層向上させることができる。また、当該装置を含めたシステム全体をより小型化にすることができる。
請求項4の発明では、複数の領域[W11〜WNM]にかかわりなく、所定の順番に電荷を出力可能に複数の撮像素子[22]を制御し得る画素電荷出力制御手段[32h,32v]を備えた請求項3に記載の撮像装置であって、領域内画素電荷出力制御手段[39]は、画素電荷出力制御手段[32h,32v]の一部または全部を構成する。これにより、通常、備えている画素電荷出力制御手段[32h,32v]を構成する回路素子の一部または全部を用いて領域内画素電荷出力制御手段[39]を構成できるので、これらを用いない場合に比べて回路規模を小さくすることができる。したがって、当該装置を含めたシステム全体をより一層小型化にすることができる。
請求項5の発明では、電荷集約手段[23]、集約電荷選択手段[26,27]、電荷蓄積手段[EC]および画像信号出力手段[ADC]の少なくとも1つは、撮像素子群[21]を形成する半導体基板に形成される。これにより、これらを撮像素子群[21]と同一の半導体チップに構成することができる。したがって、撮像素子群[21]を形成する半導体基板とは別個に、電荷集約手段[23]、集約電荷選択手段[26,27]、電荷蓄積手段[EC]および画像信号出力手段[ADC]を設ける場合に比べ、当該装置を小型化にすることができる。
請求項6の発明では、複数の電荷蓄積手段[EC]により、複数の領域[W11〜WNM]内に配置される複数の撮像素子[22]から出力される電荷を合成電荷として蓄積し合成し、複数の画像信号出力手段[ADC]によりこの合成電荷を画像信号[dw]に変換して出力する。そして、出力信号選択手段[34,35]により、複数の画像信号出力手段[ADC]から出力される複数の画像信号[dw]の中から任意の画像信号[Dw]を選択し出力する。
これにより、当該各領域[W11〜WNM]ごとに合成された合成電荷や2以上の領域[W11,W12,…]に共通に合成された合成電荷を画像信号[dw]に変換したものを任意に選択して出力することができるので、別途画素信号(電荷)を合成する回路や処理を設けることなく、解像度の低い画像を容易に得ることができる。したがって、外部における信号処理回路等を簡素に構成することができ、また外部において画素信号(電荷)を合成する処理を必要としなくなるため、外部における信号処理の速度を向上させることができる。さらに、従来、画素信号(電荷)を合成するために必要であったメモリ装置やその周辺回路等が不要になるので、当該装置を含めたシステム全体を小型化することができる。またそのぶん、低コストにシステムを構成することができる。なお、請求項1の発明に比べると電荷蓄積手段[EC]を複数設ける必要があるものの、各領域[W11〜WNM]ごと等に電荷蓄積手段[EC]を設けるため、請求項1の発明に比べると1つの電荷蓄積手段[EC]を蓄積容量の小さなものにすることができる。したがって、大容量の電荷蓄積手段[EC]を構成することが困難な場合にも、構成し得る点で請求項1の発明に比べ有利となる。
請求項7の発明では、出力信号選択手段[34,35]は、複数の画像信号出力手段[ADC]から出力される複数の画像信号[dw]を所定の順番で繰り返し選択して出力する。これにより、当該複数の画像信号[dw]に対応する任意の領域[WIJ〜WKL]においては、解像度が低いながらも繰り返し画像信号が得られる。このため、例えば、特定の範囲について目標とする対象物を追跡して画像信号を取得したい場合に、そのための回路や制御処理を外部に設けることなく、容易かつ速やかに所望の画像信号を得ることができる。したがって、外部における信号処理をより簡素にしたり、処理速度を向上させることができる。また、さらに、当該装置を含めたシステム全体を小型化にすることができる。
請求項8の発明では、領域選択手段[37]により、複数の領域[W11〜WNM]のうち1以上の任意の領域[WIJ〜WKL]を選択し、領域内画素電荷出力制御手段[38]により、領域選択手段[37]に選択された領域[W11〜WNM]内に配置される複数の撮像素子[22]から所定の順番に電荷を出力可能に当該複数の撮像素子[22]を制御する。これにより、複数の領域[W11〜WNM]のうち、任意の領域[WIJ〜WKL]内に配置される複数の撮像素子[22]から所定の順番に電荷が出力されるので、当該任意の領域[WIJ〜WKL]内において解像度の高い画像信号を取得することができる。このため、例えば、各領域[W11〜WNM]ごとの合成電荷による低解像度の画像信号によって目標の対象物を認識した場合、当該対象物の存在範囲を当該任意の領域[WIJ〜WKL]に設定することで、高解像度の画像信号により当該対象物を認識することができる。つまり、別途高解像度の画像信号を得るための回路や処理を外部に設けることなく、低解像度および高解像度の画像信号をいずれも出力することができる。したがって、外部における信号処理をより一層簡素にしたり、処理速度を一層向上させることができる。また、当該装置を含めたシステム全体をより小型化にすることができる。
請求項9の発明では、複数の領域[W11〜WNM]にかかわりなく、所定の順番に電荷を出力可能に複数の撮像素子[22]を制御し得る画素電荷出力制御手段[32h,32v]を備えた請求項8に記載の撮像装置であって、領域内画素電荷出力制御手段[39]は、画素電荷出力制御手段[32h,32v]の一部または全部を構成する。これにより、通常、備えている画素電荷出力制御手段[32h,32v]を構成する回路素子の一部または全部を用いて領域内画素電荷出力制御手段[39]を構成できるので、これらを用いない場合に比べて回路規模を小さくすることができる。したがって、当該装置を含めたシステム全体をより一層小型化にすることができる。
請求項10の発明では、電荷蓄積手段[EC]、画像信号出力手段[ADC]および出力信号選択手段[34,35]の少なくとも1つは、撮像素子群[21]を形成する半導体基板に形成される。これにより、これらを撮像素子群[21]と同一の半導体チップに構成することができる。したがって、撮像素子群[21]を形成する半導体基板とは別個に、電荷蓄積手段[EC]、画像信号出力手段[ADC]および出力信号選択手段[34,35]を設ける場合に比べ、当該装置を小型化にすることができる。
以下、本発明の撮像装置の実施形態について図を参照して説明する。まず、本発明の一実施形態に係るイメージャ20の基本構成を図1および図4に基づいて説明する。図1に示すように、イメージャ20は、主に、イメージャフォトアレイ21、画素信号出力回路31、水平シフトレジスタ32h、垂直シフトレジスタ32v、出力バッファBff等により構成されている。
イメージャフォトアレイ21は、マトリックス状に配置された複数のイメージャ単位画素(以下「単位画素」という)22を備えている。即ち、イメージャフォトアレイ21では、各行に設けられた制御線Lvと各列に設けられた出力線Loとにより形成される各格子点において、単位画素22をそれぞれ制御線Lvおよび出力線Loに接続することで、水平シフトレジスタ32hおよび垂直シフトレジスタ32vにより各単位画素22を任意に選択可能に構成されている。
また、本実施形態に係るイメージャ20では、これら複数の単位画素22からなるイメージャフォトアレイ21を所定の領域(以下「サブウィンドウ」という)に分割可能に構成している。例えば、9個の単位画素22を3行3列に配置したサブウィンドウW11,W12,…,W1M,W21,W22,…,WN1,…,WNM(添字のN,Mは正の整数、以下「サブウィンドウW11〜WNM」という)を設定することで、後述するように、イメージャ20は、サブウィンドウW11〜WNMごとにサブウィンドウ内の単位画素22をまとめて選択し得るように構成されている。なお、イメージャフォトアレイ21は、特許請求の範囲に記載の「撮像素子群」に相当し得るもので、またサブウィンドウW11〜WNMは、特許請求の範囲に記載の「複数の領域」に相当し得るものである。
単位画素22は、CMOS製造プロセスにより形成される半導体デバイスで、例えば、CMOS型のフォトダイオードPDとMOSトランジスタMTとにより構成されている。即ち、図4(A) に示すように、フォトダイオードPDのカソード端子にMOSトランジスタMTのドレイン端子を接続し、フォトダイオードPDのアノード端子にアースを接続する。またMOSトランジスタMTのゲート端子に制御線Lvを接続し、さらにMOSトランジスタMTのソース端子に出力線Loを接続する。これにより、制御線Lvを介してMOSトランジスタMTのゲート端子に選択信号を印加すると、MOSトランジスタMTをオン状態にできるので、フォトダイオードPDに蓄積された電荷を画素信号として出力線Loに出力することが可能となる。なお、単位画素22は、特許請求の範囲に記載の「撮像素子」に相当し得るものである。
画素信号出力回路31は、各出力線Loを介して各単位画素22から出力される画素信号(電荷)を選択する回路で、各出力線Loに対応した複数のスイッチングトランジスタTrを備えている。即ち、出力線LoにMOSトランジスタTrのドレイン端子を接続し、MOSトランジスタMTのソース端子に共通出力線Lcを接続し、MOSトランジスタMTのゲート端子に制御線Lhを接続する。なお、本実施形態では、MOSトランジスタTrのドレイン端子と出力線Loとの間には、二重相関サンプリング(CDS)法によるノイズ除去回路Nrを介在させているため、画素信号(電荷)に含まれるノイズ成分を効果的に除去可能にしている。これにより、制御線Lhを介してMOSトランジスタTrのゲート端子に選択信号を印加すると、MOSトランジスタMTをオン状態にできるので、出力線Loから入力される画素信号(電荷)を共通出力線Lcに出力することが可能となる。
水平シフトレジスタ32hは、シリアル入力された水平選択データSLhを水平クロックCKhのタイミングに従って各制御線Lhにパラレル出力可能なロジック回路で、例えばDフリップフロップを多段に接続して構成されている。即ち、この水平シフトレジスタ32hからは、クロックタイミングに従って各列ごとに選択可能に各制御線Lhに選択信号を順次出力するため、当該選択信号により画素信号出力回路31の各MOSトランジスタTrを各列ごとに順番にオンオフする。これにより、出力線Loを介して単位画素22から画素信号(電荷)を取り出すことが可能となる。なお、水平シフトレジスタ32hは、特許請求の範囲に記載の「画素電荷出力制御手段」に相当し得るものである。
垂直シフトレジスタ32vも、水平シフトレジスタ32hと同様に、シリアル入力のデータをパラレル出力し得るロジック回路(例えばDフリップフロップを多段に接続して構成)で、垂直選択データSLvを垂直クロックCKvのタイミングに従って各制御線Lvにパラレル出力する。即ち、この垂直シフトレジスタ32vからは、クロックタイミングに従って各行ごとに選択可能に各制御線Lvに選択信号を順次出力するため、当該選択信号により各単位画素22のMOSトランジスタMTを各行ごとに順番にオンオフする。これにより、当該単位画素22のフォトダイオードPDに蓄積された電荷を画素信号として出力線Loに出力可能にする。なお、垂直シフトレジスタ32vは、特許請求の範囲に記載の「画素電荷出力制御手段」に相当し得るものである。
出力バッファBffは、外部回路に対して必要な出力電流を確保したり、インピーダンス整合等をとるための緩衝増幅器で、画素信号出力回路31の共通出力線Lcを入力することにより、各単位画素22から出力された画素信号(電荷)をイメージャ信号Dpとして外部出力可能にしている。
このような基本構成をイメージャ20において構成することにより、垂直シフトレジスタ32vから出力される選択信号がマトリックス状に配置される各単位画素22の行ごとに順番に印加、つまり垂直方向に走査されるため、当該選択信号の印加により選択された行ごとの各単位画素22では、MOSトランジスタMTがオン状態になるとともに、フォトダイオードPDに蓄積されていた電荷が当該オン状態のMOSトランジスタMTを介して各出力線Loに出力される。一方、水平シフトレジスタ32hから出力される選択信号は、マトリックスの各列に対応する画素信号出力回路31の各MOSトランジスタTrに順番に印加、つまり水平方向に走査されるため、当該選択信号の印加により順次選択されてオン状態になったMOSトランジスタTrを介して各出力線Loが順番に共通出力線Lcに接続される。
これにより、垂直シフトレジスタ32vに選択された行の各単位画素22から出力される画素信号(電荷)のうち、水平シフトレジスタ32hに選択された列に対応した出力線Loに出力されたものが共通出力線Lcを介して出力バッファBffに入力される。このため、垂直シフトレジスタ32vによる行の選択タイミングと水平シフトレジスタ32hによる列の選択タイミングとの組み合わせにより、マトリックス状に配置された複数の単位画素22を水平方向および垂直方向に順番に走査してそれぞれ単位画素22について画素信号(電荷)を得ることができる。したがって、各単位画素22から得られる画素信号(電荷)を出力バッファBffからイメージャ信号Dpとして得ることが可能となる。
次に、上述した基本構成を成すイメージャ20に、マトリックス状に配置された複数の単位画素22をサブウィンドウW11〜WNMごとに分割し得る構成を付加したものを、図2および図4に基づいて説明する。
前述したように、本実施形態に係るイメージャ20は、マトリックス状に配置された複数の単位画素22を例えば9個(3行3列)づつの単位画素22に分割したサブウィンドウの概念を形成し、当該サブウィンドウごとに集められた電荷(集約電荷)を取り出し得るように構成されている。以下、図2を参照してサブウィンドウW31を例に説明するが、他のサブウィンドウW11,W12,W13,W21,W22,W23,W32,W33,…,WNMについても同様に説明できる。
即ち、サブウィンドウW31を構成する9個の単位画素22(Pa,Pb,Pc,Pd,Pe,Pf,Pg,Ph,Pi)は、それぞれの出力が結合回路23によって束ねられるように接続されることで、それぞれ出力される画素信号(電荷)を集約電荷として集め、水平SBW出力選択スイッチアレイ26のMOSスイッチ26aに出力可能に構成されている。
水平SBW出力選択スイッチアレイ26は、水平方向に並ぶ各サブウィンドウW11〜WNMを選択し得る半導体スイッチ群で、例えば、MOSスイッチ(MOSトランジスタ)26a,26b,26cにより構成されている。ここからは、サブウィンドウW31に接続される水平SBW出力選択スイッチアレイ26を例に説明する。
当該水平SBW出力選択スイッチアレイ26は、サブウィンドウW31の出力を制御するMOSスイッチ26a、サブウィンドウW32の出力を制御するMOSスイッチ26bおよびサブウィンドウW33の出力を制御するMOSスイッチ26cからなり、各MOSスイッチのドレイン端子を入力端子に設定し、各MOSスイッチのソース端子を共通の出力端子に設定する。これにより、各MOSスイッチの各ゲート端子に入力される電圧状態(Hレベルの場合にオン、Lレベルの場合にオフ)により各スイッチをオンオフ制御して水平方向に並ぶそれぞれのサブウィンドウW31,W32,W33の出力の可否を制御している。つまり、集約電荷の取り出し得るサブウィンドウW31,W32,W33を水平方向に選択可能にしている。
また、同様に構成される水平SBW出力選択スイッチアレイ26を各行ごとに設け、各MOSスイッチのゲート端子を垂直方向(例えば、サブウィンドウW11のゲート端子、サブウィンドウW21のゲート端子およびサブウィンドウW31のゲート端子)に接続することで、サブウィンドウW11,W12,W13やサブウィンドウW21,W22,W23についても水平方向の選択を可能にしている。
このように各行ごとに設けられる水平SBW出力選択スイッチアレイ26は、それぞれの出力端子が垂直SBW出力選択スイッチアレイ27に入力されている。即ち、水平SBW出力選択スイッチアレイ26と同様に構成される垂直SBW出力選択スイッチアレイ27の各入力端子に、各行ごとの水平SBW出力選択スイッチアレイ26の出力端子を接続する。これにより、水平SBW出力選択スイッチアレイ26により水平方向に束ねられた3つのサブウィンドウ(例えばサブウィンドウW11,W12,W13、サブウィンドウW21,W22,W23、サブウィンドウW31,W32,W33)の垂直方向の選択を可能にしている。
水平SBW出力選択スイッチアレイ26および垂直SBW出力選択スイッチアレイ27をこのように構成し各サブウィンドウW11〜WNMに接続することにより、SBW選択回路35から出力される制御信号によって、サブウィンドウW11〜WNMを選択することができる。即ち、集約電荷を取り出すべきサブウィンドウW11〜WNMを2次元座標(NM行列)により選択し得る制御信号を、水平SBW出力選択スイッチアレイ26および垂直SBW出力選択スイッチアレイ27にそれぞれ入力することによって集約電荷の出力を許容するサブウィンドウを特定する。
図2には、水平SBW出力選択スイッチアレイ26に入力する水平方向の制御信号φSW01,φSW02,φSW03を出力可能なSBW選択回路35の構成例が示されている。即ち、このSBW選択回路35は、3行3列に配置された9個のサブウィンドウW11,W12,W13,W21,W22,W23,W31,W32,W33(以下「W11〜W33」という)に対し水平方向の選択を可能にする制御信号φSW01,φSW02,φSW03を出力可能なデコーダ回路により構成されており、AND回路35a,35b,35c、インバータ回路35d,35eからなる。そして、例えば、サブウィンドウ水平選択信号として「SWh0=0,SWh1=0」が入力されると、制御信号φSW01=1,φSW02=0,φSW03=0を出力し、「SWh0=1,SWh1=0」が入力されると、制御信号φSW01=0,φSW02=1,φSW03=0を出力し、「SWh0=0,SWh1=1」が入力されると、制御信号φSW01=0,φSW02=0,φSW03=1を出力し、「SWh0=1,SWh1=1」が入力されると、制御信号φSW01=0,φSW02=0,φSW03=0を出力し得る構成を採っている。
なお、垂直SBW出力選択スイッチアレイ27に入力する垂直方向の制御信号φSW10,φSW20,φSW30を出力可能なSBW選択回路は図示されていないが、SBW選択回路35と同様に、デコーダ回路により構成されている。そして、SBW選択回路35と同様に、サブウィンドウ垂直選択信号として「SWv0=0,SWv1=0」が入力されると、制御信号φSW10=1,φSW20=0,φSW30=0を出力し、「SWv0=1,SWv1=0」が入力されると、制御信号φSW10=0,φSW20=1,φSW30=0を出力し、「SWv0=0,SWv1=1」が入力されると、制御信号φSW10=0,φSW20=0,φSW30=1を出力し、「SWv0=1,SWv1=1」が入力されると、制御信号φSW10=0,φSW20=0,φSW30=0を出力し得る構成を採っている。
このように水平SBW出力選択スイッチアレイ26および垂直SBW出力選択スイッチアレイ27によって選択されたサブウィンドウW11〜WNMから出力される集約電荷は、垂直SBW出力選択スイッチアレイ27の出力側に接続されるSBW画像信号出力部24に入力される。ここで、SBW画像信号出力部24の構成を図4(B) を参照して説明する。
図4(B) に示すように、SBW画像信号出力部24は、入力端子Pi1,Pi2から入力された電荷を蓄積可能な電荷蓄積素子ECと、電荷蓄積素子ECに蓄積された電荷をディジタル信号に変換し出力端子Poから出力可能なAD変換器ADCとにより構成されている。なお、電荷蓄積素子ECは、特許請求の範囲に記載の「電荷蓄積手段」に相当し得るもので、またAD変換器ADCは、特許請求の範囲に記載の「画像信号出力手段」に相当し得るものである。
電荷蓄積素子ECは、例えば、CMOSプロセスにより形成可能な半導体キャパシタで、垂直SBW出力選択スイッチアレイ27から出力される集約電荷を蓄積可能に構成されている。この電荷蓄積素子ECは、垂直SBW出力選択スイッチアレイ27から出力される集約電荷が複数のサブウィンドウW11〜WNMから出力されるものである場合には、それらを全て入力することにより1以上の任意の集約電荷を合成電荷として蓄積かつ合成することができる。なお、図4(B) に示すSBW画像信号出力部24には、入力端子が2端子存在するのは、他の実施形態として後述するイメージャ20’では(図3)、便宜上2入力構成を採っているからである。
このAD変換器ADCは、アナログ信号をディジタル信号に変換し得る機能を有するもので、電荷蓄積素子ECに蓄積された合成電荷を所定のタイミングで取り出して、ディジタル信号に変換可能にしている。AD変換器ADCから出力されるディジタル信号は、サブウィンドウ信号Dwとして出力される画像信号で、アナログ量としての合成電荷量を2値表現したものである。なお、このAD変換器ADCも、電荷蓄積素子ECと同様、例えば、CMOSプロセスにより形成可能なものである。
このように本実施形態に係るイメージャ20では、図1を参照して説明した基本構成に加えて、サブウィンドウW11〜WNMごとに設けられる複数の結合回路23により、サブウィンドウW11〜WNMごとに当該サブウィンドウW11〜WNM内に配置される複数の単位画素22から出力される電荷を集約電荷として集めて出力し、それぞれ出力される複数の集約電荷の中から1以上の任意の集約電荷を水平SBW出力選択スイッチアレイ26および垂直SBW出力選択スイッチアレイ27により選択して出力する。そして、水平SBW出力選択スイッチアレイ26および垂直SBW出力選択スイッチアレイ27から出力される1以上の任意の集約電荷を、電荷蓄積素子ECにより合成電荷として蓄積かつ合成し、さらにこの電荷蓄積素子ECに蓄えられた合成電荷をAD変換器ADCによりサブウィンドウ信号Dwに変換して出力する。
これにより、当該各サブウィンドウW11〜WNMごとに集約された電荷、つまり各サブウィンドウW11〜WNMごとの集約電荷のうち、任意のものをサブウィンドウ信号Dwとして出力することや、複数の任意の集約電荷を合成してサブウィンドウ信号Dwとして出力することできる。このため、各単位画素22から得られる画素信号(電荷)をイメージャ信号Dpとして得る場合に比べ、別途外部にイメージャ信号Dp(電荷)を合成する回路や処理を設けることなく、解像度の低い画像を容易に得ることができる。したがって、本実施形態に係るイメージャ20では、外部における信号処理回路等を簡素に構成することができ、また外部において画素信号(電荷)を合成する処理を必要としなくなるため、外部における信号処理の速度を向上させることができる。さらに、従来、画素信号(電荷)を合成するために必要であったメモリ装置やその周辺回路等が不要になるので、当該イメージャ20を含めたシステム全体を小型化することができる。またそのぶん、低コストにシステムを構成することができる。
なお、イメージャ20は、イメージャフォトアレイ21を形成する半導体基板(CMOSプロセスによるもの)に、前述した、結合回路23、SBW画像信号出力部24、水平SBW出力選択スイッチアレイ26、垂直SBW出力選択スイッチアレイ27、画素信号出力回路31、水平シフトレジスタ32h、垂直シフトレジスタ32v、SBW選択回路35、出力バッファBff等を形成することで、イメージャ20の回路全体を同一の半導体チップに構成することができる。したがって、イメージャフォトアレイ21を形成する半導体基板とは別個に、これらを構成した場合に比べ、当該イメージャ20を小型化にすることができる。
次に、本実施形態の他の例を図3および図4に基づいて説明する。この他の例に係るイメージャ20’は、図1を参照して説明した基本構成に加えて、各サブウィンドウW11〜WNMごとにSBW画像信号出力部24を設けた例である。そのため、図2を参照して説明したイメージャ20と実質的に同一の構成部分には、図3において同一符号を付して説明を省略する。
図3に示すように、当該他の例に係るイメージャ20’では、各サブウィンドウW11〜WNMごとに、当該サブウィンドウ内に配置される複数の単位画素22から出力される電荷を蓄積可能なSBW画像信号出力部24を、各サブウィンドウW11〜WNMごとに備える。例えば、図3に示す構成例では、サブウィンドウW11を構成する9個(3行3列)の単位画素22(Pa,Pb,Pc,Pd,Pe,Pf,Pg,Ph,Pi)からそれぞれ電荷が出力されてSBW画像信号出力部24に蓄えられる。これにより、SBW画像信号出力部24では、それぞれの単位画素22から出力された電荷を合成した合成電荷に対応して2値化された画像信号dwをSBW信号出力回路34に出力する。なお、この他の例では、SBW画像信号出力部24から出力されるディジタル信号は、画像信号dwと称する。
なお、図3に示す例では、各サブウィンドウW11〜WNMごとにSBW画像信号出力部24を設けているが、例えば、隣接する2以上のサブウィンドウW11,W12,W13で1つのSBW画像信号出力部24を共通に用いる共有構成を採っても良い。これにより、必要とするSBW画像信号出力部24の数を減少させることが可能となる。
SBW信号出力回路34は、各サブウィンドウW11〜WNMのSBW画像信号出力部24から出力される画像信号dwを、SBW選択回路35から出力される制御信号φSW01,φSW02,φSW03に従った出力を行うマルチプレクサ回路である。図3には、水平方向の出力制御を行うSBW信号出力回路34の構成例が示されている。
図3に示すSBW信号出力回路34は、3行3列に配置された9個のサブウィンドウW11〜W33のSBW画像信号出力部24に対し水平方向の選択を可能にするものである。そのため、垂直方向に配置される各サブウィンドウごとのSBW画像信号出力部24の出力端子を接続したものをSBW信号出力回路34を構成するAND回路の一入力端子に接続するとともに、同AND回路の他入力端子にSBW選択回路35から出力される制御信号を入力可能にSBW選択回路35を接続する。
これにより、例えば、サブウィンドウW11,W21,W31にそれぞれ対応するSBW画像信号出力部24の出力(画像信号dw)は、AND回路34aの一入力端子に入力され、AND回路34aの他入力端子にはSBW選択回路35から出力される制御信号φSW01が入力される。同様にサブウィンドウW12,W22,W32にそれぞれ対応するSBW画像信号出力部24の出力(画像信号dw)は、AND回路34bの一入力端子に入力され、AND回路34bの他入力端子にはSBW選択回路35から出力される制御信号φSW02が入力される。またサブウィンドウW13,W23,W33にそれぞれ対応するSBW画像信号出力部24の出力(画像信号dw)は、AND回路34cの一入力端子に入力され、AND回路34cの他入力端子には、SBW選択回路35から出力される制御信号φSW03が入力される。そして、各AND回路34a,34b,34cの出力をOR回路34dにそれぞれ入力することにより、これらの出力の論理和をOR回路34dの出力と得る。つまり、マルチプレクサ出力としてサブウィンドウ信号Dwが得られる。
なお、図3では、サブウィンドウW11〜W33のSBW画像信号出力部24に対し水平方向の選択を可能にするものとしてSBW信号出力回路34およびSBW選択回路35が図示されているが、サブウィンドウW11〜W33のSBW画像信号出力部24に対し垂直方向の選択を可能にするものとしてSBW信号出力回路34およびSBW選択回路35と同様に構成されるものが必要となることに留意されたい。また、SBW信号出力回路34およびSBW選択回路35は、特許請求の範囲に記載の「出力信号選択手段」に相当し得るものである。
このように本実施形態の他の例として、図3に示すイメージャ20’の構成を採ることによって、複数の電荷蓄積素子EC(SBW画像信号出力部24)により、複数のサブウィンドウW11〜WNM内に配置される複数の単位画素22から出力される電荷を合成電荷として蓄積し合成し、複数のAD変換器ADC(SBW画像信号出力部24)によりこの合成電荷を画像信号dwに変換して出力する。そして、SBW信号出力回路34およびSBW選択回路35により、複数のAD変換器ADC(SBW画像信号出力部24)から出力される複数の画像信号dwの中から任意の画像信号Dwを選択し出力する。
これにより、当該各サブウィンドウW11〜WNMごとに合成された合成電荷を画像信号dwに変換したものを任意に選択して出力することができるので、別途画素信号(電荷)を合成する回路や処理を設けることなく、解像度の低い画像を容易に得ることができる。また、2以上のサブウィンドウW11,W12,W13…に共通したSBW画像信号出力部24を設ける共有構成を採ることにより、これらのサブウィンドウW11,W12,W13…に共通に合成された合成電荷を画像信号dwに変換したものを任意に選択して出力することができる。したがって、前述したイメージャ20と同様に、イメージャ20’では、外部における信号処理回路等を簡素に構成することができ、また外部において画素信号(電荷)を合成する処理を必要としなくなるため、外部における信号処理の速度を向上させることができる。さらに、従来、画素信号(電荷)を合成するために必要であったメモリ装置やその周辺回路等が不要になるので、当該イメージャ20’を含めたシステム全体を小型化することができる。またそのぶん、低コストにシステムを構成することができる。
なお、イメージャ20’は、イメージャフォトアレイ21を形成する半導体基板(CMOSプロセスによるもの)に、前記した、SBW画像信号出力部24、水平SBW出力選択スイッチアレイ26、垂直SBW出力選択スイッチアレイ27、画素信号出力回路31、水平シフトレジスタ32h、垂直シフトレジスタ32v、SBW信号出力回路34、SBW選択回路35、出力バッファBff等を形成することで、イメージャ20’の回路全体を同一の半導体チップに構成することができる。したがって、イメージャフォトアレイ21を形成する半導体基板とは別個に、これらを構成した場合に比べ、当該イメージャ20’を小型化にすることができる。
続いて、上述した実施形態に係るイメージャ20やイメージャ20’の改変例として改変例1〜3を図5〜図7に基づいて説明する。これらの改変例は、図1〜図3を参照した説明したイメージャ20、20’の構成にリングカウンタ回路を付加することにより所定範囲で繰り返しサブウィンドウ信号Dw等を出力可能にするものである。なお、図5〜図7では、リングカウンタ回路およびその周辺回路を主に図示し、イメージャ20、20’の構成を省略していることに留意されたい。また、図2を参照して説明したイメージャ20や図3を参照して説明したイメージャ20’と実質的に同一の構成部分には、図5〜図7において同一符号を付して説明を省略する。
<改変例1>
図5に示すように、改変例1は、複数の結合回路23から出力される複数の集約電荷から出力される複数の画像信号dwを所定の順番で繰り返し選択して電荷蓄積素子ECに出力させる機能を、リングカウンタ回路36により構成し付加したものである。
即ち、改変例1では、図2に示すSBW選択回路35の代わりにリングカウンタ回路36を設ける。リングカウンタ回路36は、シフトレジスタを環状に接続したカウンタのことで、図5に示す例では、3列に配置されたサブウィンドウW11,W12,W13に対して、3つのJKフリップフロップ36a,36b,36cにより制御信号φSW01,φSW02,φSW03を循環的に出力可能に構成している。なお、リングカウンタ回路36は、特許請求の範囲(請求項2)に記載の「集約電荷選択手段」に相当し得るものである。
具体的には、前段のJKフリップフロップ36aの出力Q1,¬Q1(「¬Q」はQの負論理値を意味する)を中段のJKフリップフロップ36bの入力端子J,Kに入力し、さらにそのJKフリップフロップ36bの出力Q2、¬Q2を後段のJKフリップフロップ36cの入力端子J,Kに入力し、そのJKフリップフロップ36cの出力Q3、¬Q3を前段のJKフリップフロップ36aの入力端子J,Kに入力続し得るように3つのJKフリップフロップ36a,36b,36cをそれぞれ接続する。さらに、各JKフリップフロップ36a,36b,36cのクロック入力CKには、それぞれ同一のクロック信号CKLを入力し得るように構成する。
これにより、リングカウンタ回路36に入力されるクロック信号CLKに同期して、「Q1=1,Q2=0,Q3=0」→「Q1=0,Q2=1,Q3=0」→「Q1=0,Q2=0,Q3=1」→「Q1=1,Q2=0,Q3=0」→…というように各段の出力パルスがつぎつぎと隣の出力に移動させる動作を繰り返し行い得る。つまり、サブウィンドウW11,W12,W13に対して出力される制御信号φSW01,φSW02,φSW03の値を「100」→「010」→「001」→「100」→「010」→…のように循環可能にすることで、水平SBW出力選択スイッチアレイ26のMOSスイッチ26a,26b,26cのオンオフ制御を可能にするので、サブウィンドウW11〜WNMを水平方向に3列の幅(「W11,W12,W13」、「W21,W22,W23」、「W31,W32,W33」…)で繰り返し走査することが可能となる。図5には、水平SBW出力選択スイッチアレイ26を制御する構成を示したが、垂直SBW出力選択スイッチアレイ27を制御するリングカウンタ回路も、リングカウンタ回路36と同様に構成することができ、例えばMOSスイッチ27a,27b,27cをオンオフ制御することによってサブウィンドウW11〜WNMを垂直方向に3行の幅(「W11,W21,W31」、「W12,W22,W32」、「W13,W23,W33」…)で繰り返し走査することが可能となる。したがって、サブウィンドウW11,W12,W13等においては、解像度が低いながらも繰り返し出力されるサブウィンドウ信号Dwを得ることが可能となる。
なお、図5に示す構成例では、リングカウンタ回路36の環状接続(JKフリップフロップ36cの出力Q3をJKフリップフロップ36aの入力Jに接続する配線)中にAND回路36dを介在させることにより、当該AND回路36dにHレベルの信号が入力されない限り、リングカウンタ回路36による制御信号φSW01,φSW02,φSW03の循環出力を許容しない回路構成になっている。つまり、リングカウンタ起動信号として「SBh0=1,SBh1=1」が入力された場合にのみ、当該AND回路36dにHレベルの信号を出力し得る選択回路37をAND回路37a、INV回路37b、37cにより構成しリングカウンタ回路36の動作制御を可能にしている。
また、図5では、複数の結合回路23から出力される複数の集約電荷から出力される複数の画像信号dwを所定の順番で繰り返し選択して電荷蓄積素子ECに出力させる機能をリングカウンタ回路36により実現する構成例を示したが、複数のSBW画像信号出力部24のAD変換器ADCから出力される複数の画像信号dwを所定の順番で繰り返し選択して出力させる機能をリングカウンタ回路36により実現することもできる。この場合、図3に示すSBW選択回路35に代えてリングカウンタ回路36を設け、リングカウンタ回路36から出力される制御信号φSW01,φSW02,φSW03をSBW信号出力回路34に入力する。これにより、SBW信号出力回路34に入力される制御信号φSW01,φSW02,φSW03の値が「100」→「010」→「001」→「100」→「010」→…のように循環可能にするので、サブウィンドウW11〜WNMを水平方向に3列の幅(「W11,W12,W13」、「W21,W22,W23」、「W31,W32,W33」…)で繰り返し走査することが可能となる。なお、この場合のリングカウンタ回路36は、特許請求の範囲(請求項7)に記載の「出力信号選択手段」に相当し得るものである。
このように改変例1では、リングカウンタ回路36は、複数の結合回路23から出力される複数の集約電荷を所定の順番で繰り返し選択し電荷蓄積素子ECに出力する。これにより、当該複数の集約電荷を出力する任意のサブウィンドウWIJ〜WKLにおいては、解像度が低いながらも繰り返しサブウィンドウ信号Dwが得られる。このため、例えば、特定の範囲について目標とする対象物を追跡してサブウィンドウ信号Dwを取得したい場合に、そのための回路や制御処理を外部に設けることなく、容易かつ速やかに所望の画像信号を得ることができる。したがって、外部における信号処理をより簡素にしたり、処理速度を向上させることができる。また、さらに、当該イメージャ20,20’装置を含めたシステム全体を小型化にすることができる。
<改変例2>
図6に示すように、改変例2は、サブウィンドウW11〜WNMのうち、選択された1以上の任意のサブウィンドウWIJ〜WKL内に配置される複数の単位画素22から所定の順番に電荷を出力可能に当該複数の単位画素22を制御させる機能を、リングカウンタ回路38により構成し付加したものである。
即ち、改変例2では、図1に示す水平シフトレジスタ32hの代わりにリングカウンタ回路38を設ける。リングカウンタ回路38は、先の改変例1で説明したリングカウンタ回路36と同様に、複数のJKフリップフロップにより構成されるものであるので、ここでは回路構成の説明は省略する。なお、リングカウンタ回路38も、JKフリップフロップ36aと同様に、3つのJKフリップフロップ38a,38b,38cにより構成され、制御信号としてφSP01,φSP02,φSP03を循環的に出力可能に構成されている。なお、リングカウンタ回路38は、特許請求の範囲(請求項3、7)に記載の「領域内画素電荷出力制御手段」に相当し得るものである。
リングカウンタ回路38でも、リングカウンタ回路38に入力されるクロック信号CLKに同期して、「Q1=1,Q2=0,Q3=0」→「Q1=0,Q2=1,Q3=0」→「Q1=0,Q2=0,Q3=1」→「Q1=1,Q2=0,Q3=0」→…というように各段の出力パルスがつぎつぎと隣の出力に移動させる動作を繰り返し行い、その結果、例えばサブウィンドウW11内の水平方向の3つの単位画素22(Pa,Pb,Pc)に対して「100」→「010」→「001」→「100」→「010」→…のように循環的変化する制御信号φSP01,φSP02,φSP03を出力する。これにより、Pa,Pb,Pcの単位画素22を順番にオンオフ制御するので、単位画素22を水平方向に3列の幅(「Pa,Pb,Pc」、「Pd,Pe,Pf」、「Pg,Ph,Pi」)で繰り返し走査することが可能となる。つまり、所定範囲において、各単位画素22ごとのイメージャ信号Dpを繰り返し得ることができる。なお、サブウィンドウ内に配置される複数の単位画素22のうちの所定範囲について各単位画素22ごとのイメージャ信号Dpを出力し得る処理のことをサブブロック処理という(以下同じ)。
なお、図6には、複数の単位画素22を水平方向に制御する構成を示したが、複数の単位画素22を垂直方向に制御するリングカウンタ回路も、リングカウンタ回路38と同様に構成することができる。また、サブウィンドウW11内に配置される複数の単位画素22に限られず、2以上のサブウィンドウW11〜WNMにまたがった範囲内に配置される複数の単位画素22についても、リングカウンタ回路38から出力される制御信号φSP01,φSP02,φSP03等によって同様に所定範囲で繰り返し走査することができる。なお、図6に示す選択回路37は、先の改変例1で説明したリングカウンタ回路36を制御する選択回路37と同様に構成されるもので、特許請求の範囲(請求項3、7)に記載の「領域選択手段」に相当し得るものである。
このように改変例2では、選択回路37により、サブウィンドウW11〜WNMのうち1以上の任意のサブウィンドウWIJ〜WKLを選択し、リングカウンタ回路38により、選択回路37に選択されたサブウィンドウWIJ〜WKL内に配置される複数の単位画素22から所定の順番に電荷を出力可能に当該複数の単位画素22を制御する。これにより、複数のサブウィンドウW11〜WNMのうち、任意のサブウィンドウWIJ〜WKL内に配置される複数の単位画素22から所定の順番に電荷が出力されるので(サブブロック処理)、当該任意のサブウィンドウWIJ〜WKL内において解像度の高い画像信号を取得することができる。
このため、例えば、各サブウィンドウW11〜WNMごとの集約電荷や画像信号dwによる低解像度のサブウィンドウ信号Dwによって目標の対象物を認識した場合、当該対象物の存在範囲を当該任意のサブウィンドウWIJ〜WKLに設定することで、高解像度のイメージャ信号Dpにより当該対象物を認識することができる。つまり、別途高解像度のイメージャ信号Dpを得るためのサブブロック化回路やサブブロック処理を外部に設けることなく、低解像度のサブウィンドウ信号Dwおよび高解像度のイメージャ信号Dpをいずれも出力することができる。したがって、外部における信号処理をより一層簡素にしたり、処理速度を一層向上させることができる。また、当該イメージャ20,20’を含めたシステム全体をより小型化にすることができる。
<改変例3>
図7に示すように、改変例3は、サブウィンドウW11〜WNMにかかわりなく、所定の順番に電荷を出力可能に複数の単位画素22を制御し得る水平シフトレジスタ32hの一部でリングカウンタ回路38を構成した水平シフトレジスタ/リングカウンタ回路39を備えるものである。即ち、改変例3では、図1に示す水平シフトレジスタ32hを構成する複数のJKフリップフロップ32ha,32hb,32hc…の一部に(JKフリップフロップ32ha,32hb,32hc)に切替回路39a1やサブブロック選択回路39a2等を付加することによって、図6に示すリングカウンタ回路38の機能を可能にする。
具体的には、機能切替回路39aによって、各JKフリップフロップの入力端子J,K間にインバータ回路を介在し得るように構成する。これにより、当該インバータ回路が介在している場合には、入力端子Jに入力される論理値の負論理値が入力端子Kに入力されるので、当該JKフリップフロップはDフリップフロップとして機能する。なお、インバータ回路を介在させるか否かは、各インバータ回路に直列に接続されるMOSスイッチにより制御する。
また、サブブロック選択回路39bによって、リングカウンタ回路の環状接続(後段のJKフリップフロップの出力端子¬Qを前段のJKフリップフロップの入力端子Kに接続する配線)の有無と接続位置を複数のMOSスイッチにより制御する制御する。さらに同様の環状接続である、最後段のJKフリップフロップの出力端子Qを最前段のJKフリップフロップの入力端子Jに接続する配線途中に、AND回路を介在させることによって、当該AND回路にHレベルの信号が入力されない限り、リングカウンタ回路として機能しない回路構成を採る。なお、このHレベルの信号は、前述の改変例1、2と同様に、選択回路37により制御される。また、図7には、水平方向の構成例を示しているが、垂直方向についても垂直シフトレジスタ32vにおいて同様に構成することができる。
前述の改変例2と同様の機能を水平シフトレジスタ32hに付与する場合には、例えば図7に示すように、JKフリップフロップ32ha,32hb,32hcのそれぞれの入力端子J,K間にインバータ回路とMOSスイッチ39a1,39a2,39a3とを接続することによって、機能切替回路39aを構成する。そして、後段のJKフリップフロップ32hcの出力端子¬Q3を前段のJKフリップフロップ32haの入力端子Kに接続する配線39L1を設け、さらに各JKフリップフロップ32ha,32hb,32hcの出力端子¬Q1,¬Q2,¬Q3とこの配線39L1との間にMOSスイッチ39b1,39b2,39b3を介在させる。また、後段のJKフリップフロップ32hcの出力端子Q3を前段のJKフリップフロップ32haの入力端子Jに接続する配線39L2の途中に、一方の入力端子が選択回路37の出力端子に接続されているAND回路39cを介在させる。
このように水平シフトレジスタ32hの一部に機能切替回路39a、サブブロック選択回路39b、AND回路39c等を付加することにより、例えば、切替信号として、MOSスイッチ39a1,39a2,39a3のゲート端子のいずれにもHレベルの信号が入力され、またサブブロック選択信号として、MOSスイッチ39b1,39b2,39b3のゲート端子のいずれにもLレベルの信号が入力され、さらに選択回路37によってAND回路39cにLレベルの信号が入力されている場合には、水平シフトレジスタ32hである水平シフトレジスタ/リングカウンタ回路39は、水平シフトレジスタとして機能する。
これに対して、MOSスイッチ39a1,39a2,39a3のゲート端子のいずれにもLレベルの切替信号が入力され、またMOSスイッチ39b1,39b2,39b3のいずれかのゲート端子にHレベルのサブブロック選択信号が入力され、さらに選択回路37によってAND回路39cにHレベルの信号が入力されている場合には、水平シフトレジスタ/リングカウンタ回路39はリングカウンタとして機能する。
なお、サブブロック選択回路39bのMOSスイッチ39b1,39b2,39b3は、例えば、切替信号により、MOSスイッチ39b1をオフ、MOSスイッチ39b2をオフ、MOSスイッチ39b2をオンにそれぞれ設定することにより、3行3列の9個の単位画素22(Pa,Pb,Pc,Pd,Pe,Pf,Pg,Ph,Pi)をサブブロック処理することが可能になる。また、切替信号により、MOSスイッチ39b1をオフ、MOSスイッチ39b2をオン、MOSスイッチ39b2をオフにそれぞれ設定することにより、2行2列の4個の単位画素22(Pa,Pb,Pd,Pf)をサブブロック処理することが可能になる。図7に示す構成例の場合、これ以外のオンオフ状態にMOSスイッチ39b1,39b2,39b2を設定しても有効ではない。
なお、水平シフトレジスタ32hおよび垂直シフトレジスタ32vは、特許請求の範囲(請求項4、9)に記載の「画素電荷出力制御手段」に相当し得るものである。また、水平シフトレジスタ/リングカウンタ回路39は、特許請求の範囲(請求項4、9)に記載の「画素電荷出力制御手段」および「領域内画素電荷出力制御手段」に相当し得るものである。
このように改変例3では、水平シフトレジスタ/リングカウンタ回路39は、水平シフトレジスタ32hや垂直シフトレジスタ32vの一部または全部を構成する。これにより、通常、備えている水平シフトレジスタ32hや垂直シフトレジスタ32vを構成する回路素子の一部または全部を用いて水平シフトレジスタ/リングカウンタ回路39を構成できるので、これらを用いない場合に比べて回路規模を小さくすることができる。したがって、イメージャ20,20’を含めたシステム全体をより一層小型化にすることができる。
次に、イメージャ20,20’(以下「イメージャ20等」という)による画像信号出力制御処理の例を図8〜図11に基づいて説明する。この処理は、イメージャ20等に接続される図略のマイクロコンピュータ(Digital Signal Processorでも良い)によって行われるもので、当該マイクロコンピュータが「外部」に相当する。なお、図示していないが、画像信号出力制御処理は、当該マイクロコンピュータを構成する半導体メモリ装置等に記憶されている所定のプログラムを、当該マイクロコンピュータを構成するCPUが実行することにより行われる。なお、図8には、画像信号出力制御処理による状態遷移図が示されているので、図9のフローチャートを説明する際に処理状態の遷移についても併せて説明する。
図8に示すように、イメージャ20等では、出力される画像信号の解像度を処理速度よりも優先させる場合には、図1に示す基本構成により目標となる対象物が認識されるまで通常処理を継続し(R11)、当該対象物を認識した場合には画素信号出力回路31から各単位画素22ごとのイメージャ信号Dpを出力する(R12)。これに対し、画像信号を出力する処理速度を解像度よりもを優先させる場合には、サブブロック処理に移行する(R21)。図9に示すフローチャートでは、通常処理のステップを省略し、サブブロック処理に移行したところから開始している点に留意されたい。なお、サブウィンドウ処理に移行する前に、必要とするサブウィンドウのサイズを決めるパラメータを図略のメインルーチンからサブウィンドウ処理に渡される。
図9に示すように、ステップS101によりサブウィンドウ処理が呼び出されると、図10に示すステップS201によりサブウィンドウ化設定処理が行われる。この処理は、パラメータとして渡されたサブウィンドウのサイズ等を図2や図3に示すハードウェアに設定するものである。図2や図3ではサブウィンドウサイズを3行3列に設定している。
続くステップS203では、サブウィンドウ出力信号読出処理が行われる。図2に示すSBW画像信号出力部24や図3に示すSBW信号出力回路34から出力されるサブウィンドウ信号Dwが当該マイクロコンピュータに入力されるので、それを読み込む処理が本ステップによるものである。
ステップS205では、ステップS203により読み込んだサブウィンドウ信号Dwに基づいて、所定の画像処理を施したり認識処理をしたりするものである。ステップS205による画像処理・認識処理が終了すると、本サブウィンドウ処理を終了するので、図9に示すステップS103に処理を移行する。
図9に示すステップS103では、動きベクトル算出処理が行われる。この処理は、動きベクトルを検出するもので、この結果により次のステップS105により追跡すべき対象物があるか否かの判断、つまり追跡要否判定処理を行う。
ステップS105により追跡すべき対象物が確認されると(S105:要)、ステップS101に処理を移行して再度、サブウィンドウ処理を行う。つまり、解像度よりも処理速度を優先した処理に移行する。なお、この場合は、図8に示すようにサブウィンドウ処理を繰り返す状態にある(R22)。
一方、ステップS105により追跡すべき対象物が確認されないときには(S105:否)、続くステップS107に処理を移行して解像度が十分であるか否かを判定する処理、つまり解像度判定処理を行う。
ステップS107により解像度が十分であると判断された場合には(S107:十分)、ステップS115に移行してこれまでに読み込んだサブウィンドウ信号Dwを出力する処理を行う。この場合は、図8に示すように出力処理に状態遷移する(R26)。
これに対し、ステップS107により解像度が十分ではないと判断された場合には(S107:不十分)、必要なサブブロックを求めパラメータにセットした後、ステップS109によるサブブロック処理に移行する。なお、この場合は、図8に示すようにサブブロック処理に状態遷移する(R23)。
ステップS109によりサブブロック処理が呼び出されると、図11に示すステップS301によりサブブロック範囲設定処理が行われる。この処理は、ステップS107からパラメータとして渡されたサブブロックのサイズ等を図2や図3に示すハードウェアに設定するものである。図6や図7では、サブブロックサイズを3行3列に設定している。
続くステップS303では、サブブロック出力信号読出処理が行われる。図1に示す画素信号出力回路31から出力されるサブブロック範囲内のイメージャ信号Dpが当該マイクロコンピュータに入力されるので、それを読み込む。
ステップS305では、ステップS303により読み込んだイメージャ信号Dpに基づいて、所定の画像処理を施したり認識処理をしたりするものである。ステップS305による画像処理・認識処理が終了すると、本サブブロック処理を終了するので、図9に示すステップS111に処理を移行する。
図9に示すステップS111では、動きベクトル算出処理が行われる。この処理は、前述したステップS103と同様に、動きベクトルを検出するもので、この結果により次のステップS113により追跡すべき対象物があるか否かの判断、つまり追跡要否判定処理を行う。
ステップS111により追跡すべき対象物が確認されると(S113:要)、ステップS109に処理を移行して再度、サブブロック処理を行う。なお、この場合は、図8に示すようにサブブロック処理を繰り返す状態にある(R25)。
一方、ステップS111により追跡すべき対象物が確認されないときには(S113:否)、続くステップS115に処理を移行してこれまでに読み込んだサブブロック範囲内のイメージャ信号Dpを出力する処理を行う。この場合は、図8に示すように出力処理に状態遷移する(R26)。これにより、一連の画像信号出力制御処理が終了する。
以上説明した画像信号出力制御処理を行うことにより、マイクロコンピュータによる画像処理の負荷を減少させることが可能になる。例えば、図12(A) に示すように、9行9列からなるイメージャフォトアレイ21を3行3列のサブウィンドウに分割した場合において、「J」のサブウィンドウを処理するときの負荷を図12(B) に示す処理概要のフローチャートに基づいて検討する。
まずステップS501によるサブウィンドウ出力読出処理では、3行3列の9個のサブウィンドウから出力されるサブウィンドウ信号Dwを読み出す(信号数:9)。ステップS503による画素信号処理では、ステップS501により読み出した9個分のサブウィンドウ信号Dwを処理する(信号処理数:9)。ステップS505による特徴抽出・画像認識処理でも同様に9個分のサブウィンドウ信号Dwに対する処理する(対象信号数:9)。そして、ステップS507による情報有用性有無の判断処理で、有用性「無」と判断された場合には(S507:無)、ステップS515により出力処理が行われる。つまり、この場合は最短処理となり信号処理数の合計は、9(S501)+9(S503)+9(S505)=27となる。
ステップS507による情報有用性有無の判断処理で、有用性「有」と判断された場合には(S507:有)、続くステップS509によりサブブロック出力読出処理が行われる。サブブロックは、3行3列に設定しているので、9個の単位画素から出力されるイメージャ信号Dpを読み出す(信号数:9)。ステップS511による画素信号処理では、ステップS509により読み出した9個分のイメージャ信号Dpを処理する(信号処理数:9)。ステップS513による特徴抽出・画像認識処理でも同様に9個分のイメージャ信号Dpに対する処理する(対象信号数:9)。そして、ステップS515により出力処理が行われる。つまり、この場合は最長処理となり信号処理数の合計は、9(S501)+9(S503)+9(S505)+9(S509)+9(S511)+9(S513)=54となる。
これに対し、9行9列からなるイメージャフォトアレイ21をサブウィンドウに分割することなく、そのまま81個分の単位画素のイメージャ信号Dpを処理するときの負荷を図13(B) に示す処理概要のフローチャートに基づいて検討する。
まずステップS601による全画素出力読出処理では、9行9列の81個の単位画素から出力されるイメージャ信号Dpを読み出す(信号数:81)。ステップS603による画素信号処理では、ステップS601により読み出した81個分のイメージャ信号Dpを処理する(信号処理数:81)。ステップS605による特徴抽出・画像認識処理でも同様に81個分のイメージャ信号Dpに対する処理する(対象信号数:81)。そして、ステップS515により出力処理が行われる。この場合の信号処理数の合計は、81(S601)+81(S603)+81(S605)=243となる。
このように9行9列のイメージャフォトアレイの場合、サブウィンドウ処理およびサブブロック処理を行うものでは、信号処理数が最小で27、最大で54となるのに対し、これらの処理を行わないものでは、信号処理数が243になることからわかるように、以上説明した画像信号出力制御処理を行うことにより、マイクロコンピュータによる画像処理の負荷を大幅に減少(上述例の場合には80%前後の削減)させることができる。
また、本実施形態では、前述したように、例えば9個(Pa、Pb、Pc、Pd、Pe、Pf、Pg、Ph、Piの単位画素22を3行3列のマトリックス状に配置することで、1つのサブウィンドウW11〜WNMを構成しているが、これに限られることはなく、6行6列、9行9列、12行12列等の正方行列状あるいは6行9列や6行12列といった非正方行列状に単位画素22を配置してサブウィンドウW11〜WNMを構成しても良い。
さらに、上述した実施形態では、各論理回路を正論理で構成したが、MOSトランジスタやMOSスイッチの極性を逆にして負論理で構成しても、上述と同様の作用および効果を得ることができる。
本発明の一実施形態に係るイメージャの基本構成の概要を示すブロック図である。 図1に示す基本構成に加えられるサブウィンドウ回路の構成例を示す回路図である。 図1に示す基本構成に加えられるサブウィンドウ回路の他の構成例を示す回路図である。 図4(A) は、単位画素の構成例を示す回路図で、図4(B) は、SBW画像信号出力部の構成例を示すブロック図である。 本実施形態に係るイメージャを構成するリングカウンタ回路(集約電荷選択手段、出力信号選択手段)の構成例を示す回路図である。 本実施形態に係るイメージャを構成するリングカウンタ回路(領域内画素電荷出力制御手段)の構成例を示す回路図である。 本実施形態に係るイメージャを構成する水平シフトレジスタ/リングカウンタ回路の構成例を示す回路図である。 本実施形態に係るイメージャの画像信号出力制御処理の移行順序を示す状態遷移図である。 本実施形態に係るイメージャの画像信号出力制御処理の流れを示すフローチャートである。 本実施形態に係るイメージャの画像信号出力制御処理によるサブウィンドウ処理の流れを示すフローチャートである。 本実施形態に係るイメージャの画像信号出力制御処理によるサブブロック処理の流れを示すフローチャートである。 図12(A) は9行9列のイメージャフォトアレイにおいてサブウィンドウを3行3列に設定した場合の模式図で、図12(B) はサブウィンドウ処理およびサブブロック処理を行う場合の御処理の概要を示すフローチャートである。 図13(A) は9行9列のイメージャフォトアレイにおいてサブウィンドウを設定しない場合の模式図で、図13(B) はサブウィンドウ処理サブブロック処理を行わない場合の制御処理の概要を示すフローチャートである。
符号の説明
20、20’…イメージャ(撮像装置)
21…イメージャフォトアレイ(撮像素子群)
22…単位画素(撮像素子)
23…結合回路(電荷集約手段)
24…SBW画像信号出力部
26…水平SBW出力選択スイッチアレイ(集約電荷選択手段)
27…垂直SBW出力選択スイッチアレイ(集約電荷選択手段)
31…画素信号出力回路
32h…水平シフトレジスタ(画素電荷出力制御手段)
32v…垂直シフトレジスタ(画素電荷出力制御手段)
34…SBW信号出力回路(出力信号選択手段)
35…SBW選択回路(出力信号選択手段)
36…リングカウンタ回路(集約電荷選択手段、出力信号選択手段)
37…選択回路(領域選択手段、出力信号選択手段)
38…リングカウンタ回路(領域内画素電荷出力制御手段)
39…水平シフトレジスタ/リングカウンタ回路(画素電荷出力制御手段、領域内画素電荷出力制御手段)
EC…電荷蓄積素子(電荷蓄積手段)
ADC…AD変換器(画像信号出力手段)
PD…フォトダイオード
W11〜WNM…サブウィンドウ(複数の領域、領域)
WIJ〜WKL…任意のサブウィンドウ(任意の領域)

Claims (10)

  1. CMOS型の撮像素子をマトリックス状に配置して構成される撮像素子群を複数の領域に分割し各領域ごとに画像信号を出力する撮像装置であって、
    前記複数の領域ごとに設けられ、当該領域内に配置される複数の撮像素子から出力される電荷を集め集約電荷として出力可能な複数の電荷集約手段と、
    前記複数の電荷集約手段からそれぞれ出力される前記複数の集約電荷の中から1以上の任意の集約電荷を選択し出力可能な集約電荷選択手段と、
    前記集約電荷選択手段から出力される1以上の任意の集約電荷を合成電荷として蓄積可能かつ合成可能な電荷蓄積手段と、
    前記電荷蓄積手段に蓄えられた前記合成電荷を画像信号に変換して出力可能な画像信号出力手段と、
    を備えることを特徴とする撮像装置。
  2. 前記集約電荷選択手段は、前記複数の電荷集約手段から出力される前記複数の集約電荷を所定の順番で繰り返し選択し前記電荷蓄積手段に出力することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
  3. 前記複数の領域のうち、1以上の任意の領域を選択可能な領域選択手段と、
    前記領域選択手段に選択された領域内に配置される複数の撮像素子から所定の順番に電荷を出力可能に当該複数の撮像素子を制御し得る領域内画素電荷出力制御手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
  4. 前記複数の領域にかかわりなく、所定の順番に電荷を出力可能に前記複数の撮像素子を制御し得る画素電荷出力制御手段を備えた請求項3に記載の撮像装置であって、
    前記領域内画素電荷出力制御手段は、前記画素電荷出力制御手段の一部または全部を構成することを特徴とする撮像装置。
  5. 前記電荷集約手段、前記集約電荷選択手段、前記電荷蓄積手段および前記画像信号出力手段の少なくとも1つは、前記撮像素子群を形成する半導体基板に形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の撮像装置。
  6. CMOS型の撮像素子をマトリックス状に配置して構成される撮像素子群を複数の領域に分割し各領域ごとに画像信号を出力する撮像装置であって、
    前記複数の領域のそれぞれに設けられ、または前記複数の領域の2以上に共通に設けられ、当該領域内に配置される複数の撮像素子から出力される電荷を合成電荷として蓄積可能かつ合成可能な複数の電荷蓄積手段と、
    前記複数の電荷蓄積手段ごとに設けられ、前記電荷蓄積手段に蓄えられた前記合成電荷を画像信号に変換して出力可能な複数の画像信号出力手段と、
    前記複数の画像信号出力手段から出力される複数の画像信号の中から任意の画像信号を選択し出力可能な出力信号選択手段と、
    を備えることを特徴とする撮像装置。
  7. 前記出力信号選択手段は、前記複数の画像信号出力手段から出力される複数の画像信号を所定の順番で繰り返し選択して出力することを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
  8. 前記複数の領域のうち、1以上の任意の領域を選択可能な領域選択手段と、
    前記領域選択手段に選択された領域内に配置される複数の撮像素子から所定の順番に電荷を出力可能に当該複数の撮像素子を制御し得る領域内画素電荷出力制御手段と、
    を備えることを特徴とする請求項6または7に記載の撮像装置。
  9. 前記複数の領域にかかわりなく、所定の順番に電荷を出力可能に前記複数の撮像素子を制御し得る画素電荷出力制御手段を備えた請求項8に記載の撮像装置であって、
    前記領域内画素電荷出力制御手段は、前記画素電荷出力制御手段の一部または全部を構成することを特徴とする撮像装置。
  10. 前記電荷蓄積手段、前記画像信号出力手段および前記出力信号選択手段の少なくとも1つは、前記撮像素子群を形成する半導体基板に形成されることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の撮像装置。
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