JP4537065B2 - プロトン伝導性電解質膜、その製造方法および燃料電池における使用 - Google Patents
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Description
を有する塩基性ポリマーが特に好ましい。
本発明による、次の式
無機酸と反応する有機化合物は、直鎖状または分枝状で、随意的に置換された、5〜20個の炭素原子を有する、好ましくは6〜16個の炭素原子を有する、より好ましくは7〜12個の炭素原子を有する、最も好ましくは8〜10個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、随意的に置換された芳香族アルコール、直鎖状または分枝状で、随意的に置換された、5〜20個の炭素原子を有する、好ましくは6〜16個の炭素原子を有する、より好ましくは7〜12個の炭素原子を有する、最も好ましくは8〜10個の炭素原子を有する脂肪族アミン、および芳香族アミン、を含む群から選択される。
少なくとも二塩基性無機酸と有機化合物との反応は、無機酸の酸性のOH基、すなわち、ヒドロキシル基が未反応のまま残るような様式で行われる。リン酸などの三塩基性酸の場合は、酸性のOH基のうち2個は、2個の官能基を有する有機化合物により、例えばジオールにより架橋されてもよく、すなわち、例えばエステル化によって環を形成する。
1種または2種以上の多孔質平面構造体(porous planar structure)(または平面材料または平面形成体)の形態を有し、例えば、1種もしくは2種以上のポリマーおよび/または1種もしくは2種以上のセラミック材料または、1種もしくは2種以上のポリマーと1種もしくは2種以上のセラミック材料の混合物からなる基材を、ドーパントで処理し、それを含浸剤としての前記多孔質平面構造体(または平面材料または平面形成体)により吸収する。好ましい態様においては、粉体のセラミック材料を基材の一つとして液体中に分散させ、分散物を、付加的な基材としての1種または2種以上のポリマーと混合する。次に、ポリマーは随意的に温度を上げて溶解し、ドーパントを加える。この液体が同時にポリマーの溶媒であることが、有利である。溶解したポリマーおよびドーパントと共に得られた分散物は、平らな基板上に導入するか、または機械引抜き加工を行ってフィルム形状に変換し、溶媒を除去し、得られた膜は温度を上げて随意的に乾燥させる。
例
ドーピングされた高分子膜の製造
0.4dL/gの固有粘度*を有するポリベンズイミダゾール(PBI)15gを、35gのN,N−ジメチルアセトアミド(Sigma Aldrich製)に170℃で2時間、還流で沸騰させることにより溶解する。溶液は、攪拌しながら5gのブタンジオール・ジグリシジルエーテルと混合し、次に5gのジ−(2−エチルヘキシル)リン酸エステルと混合する。次に、溶液を80℃で15分間熱し、均一な溶液を得る。溶液のろ過およびガス抜きの後、ドクターブレード(doctor blade)を用いてガラスシート上に膜を製造し、80℃、120℃および150℃で1時間乾燥させる。得られた膜はガラスシートから容易に取りはずすことができ、膜電極接合体(MEA)の構成に用いられる。
*粘度は、N,N−ジメチルアセトアミド中の1wt%PBI溶液を用いて決定した。この固有粘度から、PBIの平均分子量16,000g/molがマーク・ホウインク(Mark-Houwink)の式を用いて計算できる。
膜特性の決定:
例1に従って製造された膜は、図1に示す温度範囲において完全に非晶質である。サーモグラム(図1)は、Perkin Elmer DSC(示差走査熱量計)を用いて記録した。加熱速度は20K/分であった。
膜の熱的安定性は、Netzsch TG−209を用いたTG計測(熱重量計測)により決定した。加熱速度は10K/分であった。熱重量計測の結果を図2に示す。大幅な重量損失は、250℃を超える温度範囲においてのみ観測できる。膜の機械的安定性は、Satorius社内で設計された機器を用いて破壊圧力測定(rupture pressure measurement)により決定した。試験した膜の破壊圧力は、>1.5barであった。
膜電極接合体(MEA)の製造:
膜電極接合体(MEA)の製造のために、例1に従って製造した膜を約61cm2の正方形の片に切りわける。市場で入手可能な、2.0mg/cm2でPt被覆された面積10cm2のE−TEK社製ELAT電極に、真空中室温で濃縮リン酸を含浸させ、次に本発明による膜を、従来の配置の通りFuel Cell Technologies, Inc.の試験燃料電池内に設置する。セルは30MPaの接触圧力により封印する。160℃および3barの水素圧力および大気圧において、0.6W/cm2の最大電力密度および約1.7A/cm2の電流密度を得る。非湿潤ガスを用いる。
160℃における電力パラメータ:
図3は、例3に従って製造したMEAの160℃における電流−電圧曲線である。H2ガス流量は170mL/分であり、大気流量は570mL/分であった。電力パラメータは、カナダのHydrogenics Corporation製のFCATS Advanced Screenerで決定した。
膜のH2透過性は、Draeger Safety AG & Co. KGaA製のH2センサーを用いて測定し、160℃において0.036m3 N/(m2・h・bar)であった。
60℃における電力パラメータ:
図4は、例3に従って製造したMEAの60℃における電流−電圧曲線である。H2ガス流量は170mL/分であり、大気流量は570mL/分であった。電力パラメータは、カナダのHydrogenics Corporation製のFCATS Advanced Screenerで決定した。
膜のH2透過性は、Draeger Safety AG & Co. KGaA製のH2センサーを用いて測定し、60℃において0.0054m3 N/(m2・h・bar)であった。
ドーピングされた膜の製造:
0.86dL/gの固有粘度**を有するポリベンズイミダゾール(PBI)47.8gを、191gのN,N−ジメチルアセトアミド(Sigma Aldrich製)に、加圧反応装置内にて、200℃の温度で3時間沸騰させることにより溶解する。冷却した溶液は、室温で攪拌しながら2.5gのブタンジオール・ジグリシジルエーテルと混合し、次に10.4gのジ−(2−エチルヘキシル)リン酸エステルと混合する。次に溶液を攪拌しながら100℃で1時間熱し、均一な溶液を得る。溶液のろ過およびガス抜きの後、技術的機械引抜き加工により膜を得、200℃で4時間乾燥させる。
例6による膜を用いた膜電極接合体(MEA)の製造:
膜電極接合体(MEA)の製造のために、例1[sic;6]に従って製造した膜を約104cm2の正方形の片に切りわける。市場で入手可能な、2.0mg/cm2でPt被覆された面積50cm2のE−TEK社製ELAT電極に、真空中室温で濃縮リン酸を含浸させ、次に本発明による膜を、従来の配置の通りFuel Cell Technologies, Inc.の試験燃料電池内に設置する。セルは6MPaの接触圧力により封印する。160℃および3.5barの水素圧力および大気圧において、0.6W/cm2の最大電力密度および約1.6A/cm2の電流密度を得る。非湿潤ガスを用いる。
例7によるMEAの160℃における電力パラメータ:
図5は、例7に従って製造したMEAの160℃における電流−電圧曲線である。H2ガス流量は1400mL/分であり、大気流量は4580mL/分であった。電力パラメータは、カナダのHydrogenics Corporation製のFCATS Advanced Screenerで決定した。
例7によるMEAの60℃における電力パラメータ:
図6は、例7に従って製造したMEAの60℃における電流−電圧曲線である。H2ガス流量は910mL/分であり、大気流量は2900mL/分であった。電力パラメータは、カナダのHydrogenics Corporation製のFCATS Advanced Screenerで決定した。
Claims (30)
- 少なくとも1種の基材および少なくとも1種のドーパントを含み、該基材が、ポリベンズイミダゾール、ポリピリジン、ポリピリミジン、ポリイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンズオキサゾール、ポリオキサジアゾール、ポリキノキサリン、ポリチアジアゾールおよびポリ(テトラザピレン)またはこれらの2種以上の組み合わせを含む群から選択される塩基性ポリマーであり、該ドーパントが、少なくとも二塩基性の無機酸と有機化合物の反応生成物であって、該有機化合物が、5〜20個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状、置換または無置換の脂肪族アルコール、置換または無置換の芳香族アルコール、5〜20個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状、置換または無置換の脂肪族アミン、および芳香族アミンを含む群から選択され、該反応生成物が1個の酸性ヒドロキシル基を有するか、または前記化合物と多塩基性酸の縮合生成物である、プロトン伝導性電解質膜であり、該乾燥ドープ膜の総重量に基づき10重量%から30重量%未満の濃度で前記ドーパントを含む、前記膜。
- 塩基性ポリマーが、ポリベンズイミダゾールである、請求項1に記載の膜。
- ドーパント製造のための少なくとも二塩基性の無機酸が、リン酸および硫酸からなる群から選択される、請求項1または2に記載の膜。
- 少なくとも二塩基性の無機酸が、リン酸である、請求項1〜3のいずれかに記載の膜。
- ドーパント製造のための有機化合物が、直鎖状または分枝状の脂肪族アルコールまたは芳香族アルコールである、請求項1〜4のいずれかに記載の膜。
- 有機化合物が、2−エチルヘキサノールまたはフェノールである、請求項1〜5のいずれかに記載の膜。
- ドーパントが、ジ−(2−エチルヘキシル)リン酸エステルまたはジフェニルリン酸エステルである、請求項1〜6のいずれかに記載の膜。
- 塩基性ポリマーが架橋されている、請求項1〜7のいずれかに記載の膜。
- ドーパントが水に不溶性である、請求項1〜8のいずれかに記載の膜。
- 電解質膜が、10〜200μmの厚さを有する、請求項1〜9のいずれかに記載の膜。
- 乾燥ドープ膜の総重量に基づき10重量%から30重量%未満の濃度でドーパントを含むプロトン伝導性電解質膜の製造方法であって、
−1種の基材または複数基材の混合物およびドーパントを溶媒中に溶解させること、ここで該ドーパントが、少なくとも二塩基性の無機酸と有機化合物の反応生成物であり、該反応生成物が、酸性ヒドロキシル基を有すること、該基材がポリベンズイミダゾール、ポリピリジン、ポリピリミジン、ポリイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンズオキサゾール、ポリオキサジアゾール、ポリキノキサリン、ポリチアジアゾールおよびポリ(テトラザピレン)またはこれらの2種以上の組み合わせを含む群から選択される1種の塩基性ポリマーまたは複数塩基性ポリマーの混合物であること、および該溶媒が、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドおよびこれらの任意の混合物を含む群から選択されること、
−得られた溶液をフィルム形状に変換すること、ここで上記溶液が、塩基性ポリマーまたは複数塩基性ポリマーの混合物を、溶液の総重量に基づき10〜50重量%の濃度で含むこと、そして
−前記溶媒を除去すること、
による、前記方法。 - 塩基性ポリマーが、ポリベンズイミダゾールである、請求項11に記載の方法。
- 少なくとも二塩基性の無機酸が、リン酸および硫酸を含む群から選択される、請求項11〜12のいずれかに記載の方法。
- 少なくとも二塩基性の無機酸が、リン酸である、請求項11〜13のいずれかに記載の方法。
- 有機化合物が、5〜20個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状、置換または無置換の脂肪族アルコール、置換または無置換の芳香族アルコール、5〜20個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状、置換または無置換の脂肪族アミン、および芳香族アミンを含む群から選択される、請求項11〜14のいずれかに記載の方法。
- 有機化合物が、直鎖状または分枝状の脂肪族アルコールまたは芳香族アルコールである、請求項11〜15のいずれかに記載の方法。
- 有機化合物が、2−エチルヘキサノールまたはフェノールである、請求項11〜16のいずれかに記載の方法。
- ドーパントが、ジ−(2−エチルヘキシル)リン酸エステルまたはジフェニルリン酸エステルである、請求項11〜17のいずれかに記載の方法。
- 溶媒が、ジメチルアセトアミドである、請求項11〜18のいずれかに記載の方法。
- ドーパントが、ジ−(2−エチルヘキシル)リン酸エステルである、請求項11〜19のいずれかに記載の方法。
- 溶液が、溶液の総重量に基づき1重量%〜20重量%の濃度でドーパントを含む、請求項11〜20のいずれかに記載の方法。
- 溶液が、少なくとも2個の官能基を含む少なくとも1種の架橋剤を、ポリマーと架橋剤の総重量に基づき1〜30重量%の濃度で含む、請求項11〜21のいずれかに記載の方法。
- 架橋剤が、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を含む、請求項22に記載の方法。
- 架橋剤が、1,4−ブタンジオール・ジグリシジルエーテルである、請求項22または23に記載の方法。
- ドーパントが、水に不溶性である、請求項11〜24のいずれかに記載の方法。
- 溶液が、機械引抜き加工によりフィルム形状に変換される、請求項11〜25のいずれかに記載の方法。
- 燃料電池における膜電極接合体の形態における、少なくとも1個のプロトン伝導性電解質膜の使用であって、各膜電極接合体が請求項1〜10のいずれかに記載の1個のプロトン伝導性電解質膜を有し、該膜は、2個の電極に接触し該電極が互いに離れているようにそれらの間に配置されている、前記使用。
- 燃料電池が20℃〜200℃の温度範囲で用いることができる、請求項27に記載の使用。
- 燃料電池が50℃〜200℃の温度範囲で用いることができる、請求項28に記載の使用。
- 燃料電池が140℃〜180℃の温度範囲で用いることができる、請求項29に記載の使用。
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