以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る遊技機枠ユニットを備えるパチンコ機2の正面図である。このパチンコ機2は、遊技機枠3、遊技盤ユニット5、ガラス10、発射ユニット(不図示)、球皿14を有している。発射ユニットは、1個ずつ遊技球23を遊技盤ユニット5に構成される遊技領域16に向けて発射可能である。
パチンコ機2は、遊技者が後述する発射装置ハンドル15を操作することによって、遊技領域16に向けて遊技球23が発射ユニットによって発射され、遊技球23の流下による遊技が実現される。なお、遊技機は、パチンコ機2の他にパチンコ式スロットマシン機、コインゲーム機等のアーケードマシン、各種ゲーム機を概念することができ、要するに、遊技媒体の流下による遊技を実現する遊技領域を有するあらゆる遊技機が含まれる。なお、パチンコ機においても、アレンジボール機、雀球機等の組合せ式パチンコ機、いわゆるデジパチタイプ(1種タイプ)やハネモノタイプ(2種タイプ)のパチンコ機等のあらゆるパチンコ機が概念できるが、本実施の形態においては、デジパチ遊技(1種遊技、図柄変動遊技ともいう。)を実現するいわゆる1種タイプのパチンコ機について例示説明する。なお、図柄変動遊技については後述する。
パチンコ機2の遊技機枠3は、後述する遊技盤ユニット5を保持するためのもので、このパチンコ機2の周囲側面及び前方又はそれに加えて後方を囲むように構成される。遊技機枠3の内部側には、遊技盤ユニット5の他にも後述する各種制御基板や遊技媒体用の経路等各種機構部品が配置され、遊技機枠3によって周囲側面及び前方又はそれに加えて後方からのパチンコ機2内部側への不正アクセスが防止されるようになっている。
パチンコ機2の周囲を囲む外枠4、その内側にヒンジ22によって前方開閉可能に揺動支持されて遊技盤ユニット5を保持する前枠9、前枠9の前方にヒンジ22によって前方開閉可能に揺動支持されガラス10及びその周囲を装飾する装飾部材32を保持するガラス枠12、を有して遊技機枠3が構成される。なお、ガラス10は、遊技機枠3内部側に保持された遊技盤6を前方から遊技者が視認することができるようにするための透明部材である。遊技機枠ユニットは、遊技盤ユニット5を保持する前枠9と、後述する賞球払出ユニット100と、によって構成されている。
ガラス10は、遊技盤6に対して一定距離以上離間して配置された透明板である。ガラス10は、2枚の透明平板ガラスで形成されてガラス枠12の裏面側に保持され、遊技盤6との間に遊技球23が流下する流下空間を形成する機能、遊技者がガラス10を通して遊技盤6を視認できるように視認性を確保する機能、遊技者が遊技盤6に不正にアクセス(接触)できないように不正アクセスを防止する機能、を発揮する。
球皿14は、遊技者の持ち球を貯留するためにパチンコ機2の前面に配置された皿部材であって、本実施の形態においては上球皿14aと下球皿14bとを有している。上球皿14aは、球抜き部材14cを有して遊技盤6の下方、すなわちガラス枠12の下方部分に配置され、下球皿14bは、その上球皿14aの更に下方に配置されている。
発射ユニットは、球送り装置(不図示)によって球皿14の一部としての上球皿14aから発射位置に送り出された遊技球23を遊技領域16の上部に向けて発射(弾球)するためのものである。発射ユニットは、例えば発射位置の遊技球23を弾球する発射杆、その発射杆を駆動する発射モータ、発射杆を付勢して弾球力を発生させる発射バネ等を有してユニット構成され、前枠9に取り付けられている。その発射ユニットによる球発射のため、遊技者の操作に基づいて球発射のオンオフ及びその発射強度調整を実現する発射装置ハンドル15がパチンコ機2の前面下方に設けられている。
遊技盤ユニット5は、遊技盤面6a側の略中央に遊技役物としてのセンター役物7が配置された遊技盤6を有しており、その遊技盤面6aには多数の遊技釘27も配置されている。センター役物7の中央部には、画像表示手段としての演出表示装置7aが配置されると共に、この演出表示装置7aの表示部7bを露出させるための表示開口部7dが形成されている。
遊技盤6は、その表面側に遊技球23の流下による遊技を実現するための遊技領域16を構成するための盤状部材であり、遊技盤6を前方から遊技者にとって視認可能となるように遊技機枠3(本実施の形態においては、遊技機枠3の一部としての前枠9。)に保持されている。その遊技盤6の表面には略円形状に周囲を囲むようにレール飾り26が取り付けられており、レール飾り26の外レール26aが遊技盤に対して立設するように配置されている。そして、レール飾り26の外レール26aによって画定され、外レール26aに面した略円形状の領域が遊技領域16となっている。
遊技釘27は、遊技領域16を流下する遊技球23と衝突してその流下方向を変更させる流下変更部材であり、多数が遊技領域16内に配置されている。また、遊技領域16には、普通入賞口28、始動入賞口29、大入賞口31等の入球部材及びアウト口30が配置されている。更に、遊技領域16には、ゲート33、風車34等が配置されており、流下する遊技球23が各入球部材に流入したり、ゲート33を通過したり、風車34を回転させたりすることによって、遊技球23による流下遊技を楽しむことができるようになっている。
センター役物7は、演出表示装置7aの周囲を覆うように構成されており、図柄変動遊技(1種遊技)を実現するものである。センター役物7の上部には、図柄表示手段としての第1図柄(特別図柄)表示装置17が配置されると共に、センター役物7の中央部には、演出表示装置7aが配置されている。
第1図柄表示装置17には、抽選手段の抽選結果である第1図柄17aの変動が表示される。第1図柄は、始動入賞口29への遊技球23の入球を契機として実行される抽選の結果に対応した図柄である。第1図柄の変動表示が所定の当選態様で停止することにより第1特別遊技としての大当りが発生する。
演出表示装置7aは、例えば、液晶表示装置・有機ELディスプレイ・LED等により構成されて遊技者が遊技盤面6a側から視認可能となるように配置され、その表示部7b上に映像表示を行うものである。この演出表示装置7aの表示部7bには、第1図柄に連動する表示図柄(第1装飾図柄)7cの表示がなされる。表示図柄は、第1抽選手段の抽選結果を視覚的に演出するための図柄であり、第1の遊技に対応する。また、例えば、キャラクター等によるストーリー仕立ての映像としての演出映像も表示部7b上に表示されるようになっている。演出表示装置7aには、遊技制御手段としての演出制御基板が中継基板を介して電気的に接続されており、演出制御基板によって画像表示が制御される。
遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の全体の制御を行う主制御手段(主制御基板)200を収容した主制御基板ケース35と、演出表示装置7aの画像表示等の演出制御を行う演出制御手段(演出制御基板)220を収容した演出制御基板ケース36と、後述する賞球払出ユニット100による賞球の払出しを制御する払出制御手段(払出制御基板)230を収容した払出制御基板ケース37と、電源手段(図示せず)を収容した電源基板ケース38と、が配置されている。この各制御基板ケースに収容された各制御手段によって遊技が実現される。主制御基板ケース35と演出制御基板ケース36とは、遊技盤ユニット5の後面に装着されており、遊技盤ユニット5と共に前枠9に対して着脱自在に構成されている。また、主制御手段200及び払出制御手段230は、本発明に係る制御手段、の機能を備えている。
更に、遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の遊技状態等の遊技情報を外部に出力するための外部出力端子板39が設けられている。また、パチンコ機2の背面側には、演出制御基板ケース36及び賞球払出ユニット100の一部を覆うカバー部材42が設けられている。
また、図2に示すように、パチンコ機2の背面には、パチンコ機2が設置されるホールの設備から供給された遊技球23を一時的に貯留するための遊技球貯留装置としての球貯留タンク40と、球貯留タンク40からの遊技球23が流入し、この遊技球23を1球ずつ通過させる賞球払出ユニット100と、賞球払出ユニット100を通過した遊技球23を球皿14に向かって導く賞球供給通路41と、を備えている。
賞球払出ユニット100は、後述する払出制御手段230によって駆動制御されるように構成されており、各種入賞口への遊技球23の入球や、遊技者からの遊技球23の貸出し要求に応じて、遊技者に遊技球23を供給するように構成されている。本実施の形態では、各種入賞口への遊技球23の入球に基づく賞球の払出処理について例示説明する。この賞球払出ユニット100については後述する。
図示しない球発射装置により遊技球23が発射されると、遊技球23はレール飾り26の外レール26aに沿いつつ進行して遊技領域16内の上部に至る。その後、遊技球23は、複数の通過軌跡に沿って移動し、あるものはレール飾り26の外レール26aに沿って右側に移動し、あるものは遊技釘27に衝突しつつ遊技領域16内を下方に流下し、あるものは普通入賞口28に流入して一定賞球数の払出しの契機となり、あるものはいずれの入球装置にも流入せずに遊技領域16内最下部に位置するアウト口30に流入してアウト球としてパチンコ機2の外部側へと排出される。
図柄変動遊技中に遊技球23が始動入賞口29に流入すると、その流入に起因して演出表示装置7aの表示図柄7cが回転表示(第1の特別遊技の抽選)を開始し、その表示図柄7cが所定の図柄(例えば、「7・7・7」。)で停止表示すれば、図柄変動遊技における大当り(第1の特別遊技。以下、図柄変動大当りという。)が発生する。そして、大入賞口31が開放して多量の入賞球を受け入れ、多量の賞球が球皿14へと払い出されるようになっている。
次いで、図3から図14に基づいて実施の形態に係る賞球払出ユニット100について詳細に説明する。図3は、図2に示すパチンコ機2から背面を覆うカバー部材42と遊技盤ユニット5とを外した状態の背面図である。図4及び図5は、図3に示すパチンコ機2の賞球払出ユニット100部分を右後方から視認した拡大斜視図である。図6は、賞球払出ユニット100を右後方から視認した斜視図である。
賞球払出ユニット100は、遊技盤6を内包する前枠9に対して着脱自在に装着されている。図4は、前枠9に装着された状態を示しており、図5は、前枠9から取り外した状態を示している。賞球払出ユニット100は、正面視における右側部分を構成する右構成部材101、左側部分を構成する左構成部材102、及び右構成部材101と左構成部材102とに内包され、後述する第1右供給通路(第1供給通路)106及び第1左供給通路(第1供給通路)107を構成する中央構成部材103によって構成されている。尚、右構成部材及び左構成部材は、賞球払出ユニット100の外形を成す樹脂製であり、以下で説明する通路や賞球払出に関連したパーツの大部分は、これら構成部材内に形成・配置されている。尚、以下の図7及び図8等は、賞球払出ユニットの縦断面図であり、左右両側にスプロケット141が存在する。しかしながら、本例の賞球払出ユニット100の製造に際しては、略すべてのパーツ(スプロケット141、各種センサ、中央構成部材103、ステッピングモータ等)は右構成部材101及び左構成部材102のいずれか一方の構成部材側に取り付けられており、他方の構成部材は前記一方の構成部材の蓋部材としての役割を担うこととなる。
図7は、右構成部材101を外した状態の賞球払出ユニット100の右側面図である。図8は、左構成部材102を外した状態の賞球払出ユニット100の左側面図である。賞球払出ユニット100の上面100cには、球貯留タンク40から供給された遊技球23が流入する2つの流入口104、105が形成されており、各流入口104、105の下流には各々供給通路が配置している。
流入口は、右側に位置する右流入口104と、左側に位置する左流入口105と、を有する。右流入口104から流入した遊技球23は、右側に配置された第1右供給通路106に流入し、左流入口105から流入した遊技球23は、左側に配置された第1左供給通路107に流入する。
第1右供給通路106と第1左供給通路107は、左右方向に隣接した2列の球通路であり、第1右供給通路106と第1左供給通路107との間には、中央構成部材103が配置されている。中央構成部材103は、第1右供給通路106と第1左供給通路107との間に配置される仕切り部103aと、仕切り部103aの右側面及び左側面から突設した突起壁部と、を有する。
突起壁部は、仕切り部103aから右方(右構成部材101側)に向かって突出した右突起壁部103bと、仕切り部103aから左方(左構成部材102側)に向かって突出した左突起壁部103cと、を有する。右突起壁部103bの右端部(図示せず)は、右構成部材101の内壁面(図示せず)と当接しており、右突起壁部103bと右構成部材101とによって囲まれた空間が第1右供給通路106となる。また、左突起壁部103cの左端部(図示せず)は、左構成部材102の内壁面(図示せず)と当接しており、左突起壁部103cと左構成部材102とによって囲まれた空間が第1左供給通路107となる。
また、賞球払出ユニット100は、第1右供給通路106又は第1左供給通路107に遊技球23が有ることを検出する球有り検出手段108を備えている。図9は、図8に示す球有り検出手段108の拡大図である。球有り検出手段108は、回転軸を中心に回転方向(図9に示すX方向及び−X方向)に移動する球有り検出片108aと、球有り検出片108aの位置を検出する球有りセンサ108bと、を備える。
球有り検出片108aは、図9(a)に示す第1位置と、(b)に示す第2位置と、の間を移動する。球有り検出片108aは、第1右供給通路106内の遊技球23及び第1左供給通路107内の遊技球23と干渉するように構成されており、第1右供給通路106又は第1左供給通路107内に遊技球23が有ると遊技球23に押圧されて第1位置となり、第1右供給通路106又は第1左供給通路107内に遊技球23が無いと第2位置となる。
球有りセンサ108bは、球有り検出片108aが第1位置にあること、すなわち第1右供給通路106又は第1左供給通路107に遊技球が有ることを検出する。エラー判定手段211は、球有りセンサ108bの検出情報に基づいて、賞球払出ユニット100の異常の有無を判定するエラー判定処理を行う。このエラー判定処理については後述する。
第1右供給通路106及び第1左供給通路107を通過した遊技球23は、回転体(スプロケット)141に導かれる。回転体141は、遊技球23を1球ずつ保持可能な保持部141bが外周に形成された回転盤141aと、回転盤141aを回転駆動する駆動手段としてのモータ141d(図6参照)と、を有する。図10は、回転体141部分を拡大した斜視図である。
回転盤141aは、左右方向に隣接して2枚配置されており、モータ141dによって回転軸141cを中心に同期して図示するY方向に向けて回転される。2枚の回転盤141aの間には、仕切り部103aが配置されている。また、仕切り部103aを挟んで第1回転体通路(球通路)141eと、第2回転体通路(球通路)141fと、が配置されている。
各回転盤141aには、2つの保持部141bが形成されており、180度回転する毎に第1右供給通路106を通過した遊技球23又は第1左供給通路107を通過した遊技球23を保持する。また、2枚の回転盤141aの保持部141bは、略90度ずつずれて形成されている。したがって、回転体141が90度回転する毎に、第1右供給通路106を通過した遊技球23と第1左供給通路107を通過した遊技球23とが交互に回転体141に保持される。
保持部141bに保持された遊技球23は、回転盤141aの回転に伴って図示するY方向に移動し、第1回転体通路141e又は第2回転体通路141f(第3供給通路)を通過して、回転体141の下流に設けられた第2供給通路120に向けて流下する。第1回転体通路141e及び第2回転体通路141f(第3供給通路)は、回転体141の保持部141bに保持された遊技球23が通過する球通路である。また、遊技球23の通過を検出するカウントセンサ(球検出部材)143が設けられており、カウントセンサ143の検出に基づいて賞球払出ユニット100によって払い出す賞球数を計数することができる。
図11は、カウントセンサ143と回転体141とを模式的に示した図である。(a)は、正面図であり、(b)は、右側面図である。カウントセンサ143は、一対の測定部143aを有しており、測定部143a間の物体を光の投受光により検出するフォトセンサである。一対の測定部143aは、光を投光する投光部と、投光部からの光を受光する受光部であり、回転体141及び仕切り部103aを挟んで配置されている。仕切り部103aには、測定部143aにおいて投受光される光を通過させるための光孔部(穴部)103eが形成されている。カウントセンサ143は、一方の測定部143aから投光した光を他方の測定部143aによって受光しており、回転体141に保持された遊技球23が通過すると、測定部143a間が遮光され、遊技球23の通過を検出することができる。
このように構成されたカウントセンサ143によれば、仕切り部103aを挟んで配置された2つの回転盤141aを介した遊技球23の通過を1つのカウントセンサ143で計測することが可能となる。なお、カウントセンサ143によって遊技球23の通過が検出されると、後述するエラー判定手段によって遊技球が正常に払い出されたと判定される。
また、回転体141の前方には、第1右供給通路106内の遊技球23及び第1左供給通路107の遊技球23をパチンコ機2外部に排出するための排出通路117が設けられている。また、回転体141の上方には、遊技球23の流路を切り替える切替弁118が設けられている。図12は、図8に示す切替弁118の拡大図である。
切替弁118は、上部に位置する回転軸118aを中心に回転方向(図12に示すZ方向)へ移動可能に構成されている。切替弁118は、第1右供給通路106及び第1左供給通路107の一部を構成し、第1右供給通路106及び第1左供給通路107の他部に対して離間するように移動し、第1右供給通路106内の遊技球23及び第1左供給通路107内の遊技球23を排出通路117に導く状態と回転体141に導く状態とを実現する。
切替弁118の前面は、前方に配置された操作部材119と当接している。操作部材119は、賞球払出ユニット100の右構成部材101に形成された操作穴部101aを貫通し、賞球払出ユニット100の右側面100aから突出して配置されている(例えば、図6参照)。操作部材119は、賞球払出ユニット100の外側から操作可能であり、操作穴部101a内において前後方向にスライド移動する。操作部材119は、(a)に示す第1位置と、(b)に示す第2位置と、の間を移動する。
(a)に示すように操作部材119が第1位置の状態では、操作部材119が切替弁118のZ方向への移動を規制している。第1右供給通路106及び第1左供給通路107の下部は前方に向かって曲がっており、切替弁118は、内部を通過する遊技球23によって前方に押圧される。しかし、操作部材119が第1位置の状態では、操作部材119によって切替弁118のZ方向への移動が規制されており、切替弁118は第1右供給通路106及び第1左供給通路107の他部に対して離間するように移動しない。よって、第1右供給通路106を通過した遊技球23及び第1左供給通路107を通過した遊技球23は、回転体141に導かれる。
一方、操作部材119を第2位置に移動すると、操作部材119による切替弁118のZ方向への移動規制が解除される。したがって、切替弁118は、第1右供給通路106内の遊技球23及び第1左供給通路107内の遊技球23の自重によって押圧され、Z方向に移動する。第1右供給通路106内の遊技球23及び第1左供給通路107内の遊技球23は、排出通路117に流入する。排出通路117に流入した遊技球23は、図示しない排出経路を通過してパチンコ機2の外部に排出される。
また、回転体141の保持部141bは、回転に伴ってその位置が変化し、保持部141bが第1右供給通路106に対向した状態で第1右供給通路106内の遊技球23を保持し、第1左供給通路107に対向した状態で第1左供給通路107内の遊技球23を保持する(例えば、図12(b)及び(d)参照。)。また、保持部141bが第1右供給通路106又は第1左供給通路107と対向していない状態では、回転盤141aの外周面が保持部141bへの遊技球23の流入を阻止している。(例えば、図12(a)及び(c)参照)。
切替弁118は、回転体141の直上に配置されており、操作部材119が第2位置に移動することにより、回転盤141aの外周面と接している遊技球23を含めた回転体141の上方に位置する遊技球23を排出通路117に導く。したがって、回転体141の保持部141bに保持された遊技球23よりも上流の遊技球23を排出通路117に導くことができ、球抜き処理後に賞球払出ユニット100に残留する遊技球数を低減することができる。
回転体141を通過した遊技球23は、第2供給通路120に流入する。第2供給通路120は、1列の球通路である。第2供給通路120には、回転体141を通過した全ての遊技球23が導かれており、第1右供給通路106からの遊技球23と第1左供給通路107からの遊技球23とが共に流入する。第2供給通路120の遊技球23の通過方向と直交する断面における断面積は、第1右供給通路106の遊技球23の通過方向と直交する断面における断面積と、第1左供給通路107の遊技球23の通過方向と直交する断面における断面積と、を合わせた断面積よりも広くなるように構成されている。
第2供給通路120内には、遊技球の滞留状態を検出する滞留検出手段が設けられている。滞留検出手段130は、第2供給通路120を構成する壁面の一部を構成し、壁面の他部に対して移動する揺動部材130aと、揺動部材130aの位置を検出する揺動センサ130bと、を備える。
図13は、図7に示す滞留検出手段130の拡大図である。揺動部材130aは、第2供給通路120の後面を構成する後壁部120aの一部を構成しており、上端に配置された回転軸を中心に回転方向に移動する(図示するT方向)。揺動部材130aは、後壁部120aと対向する前壁部120bに近接して第2供給通路120の通路幅を狭める第1位置と、前壁部120bから離間して第2供給通路120の通路幅を広げる第2位置と、の間を移動する。また、揺動部材130aの後方には、揺動部材130aが第2位置にあることを検出する揺動センサ130bが設けられている。
揺動部材130aは、外力が作用しない状態では第1位置となり、第2供給通路120内に複数の遊技球23が滞留した状態では遊技球23によって押圧されて第2位置となる。また、揺動部材130aが第2位置にあることを揺動センサ130bが検出すると、後述するエラー判定手段211によって異常の有無が判定されるように構成されている。更に、エラー判定手段211の判定結果に応じて、後述するエラー処理手段212によって、回転体の駆動停止処理や、遊技者に対して球皿14から遊技球23を抜く球抜き操作を促す処理が実行されるように構成されている。
第2供給通路120を通過した遊技球23は、賞球供給通路41に流入し、賞球供給通路41を介して球皿14に導かれる。しかし、球皿14が満杯状態となると、遊技球23を球皿14に供給できず、賞球供給通路41内に遊技球23が貯留される。そして、賞球供給通路41が満杯状態となると、賞球払出ユニット100から遊技球23を排出することができず、回転体141を通過した遊技球23は、第2供給通路120内に溜まる。
そして、第2供給通路120内の遊技球23が増えると、第2供給通路120に滞留した遊技球23が揺動部材130aを押圧し、揺動部材130aが第2位置に移動する。揺動部材130aの位置の検出に基づいて、球皿14の満タン状態を検出することができる。また、第2供給通路120内への遊技球23の滞留状態に応じて、揺動部材130aが第2位置に移動して、第2供給通路120の容積を増やし、第2供給通路内に収容可能な遊技球数を増やすことができる。
また、第2供給通路120は、内部を通過する遊技球を上下方向に沿って通過させるように構成されており、その通路形状は複数の屈曲部を有している。複数の屈曲部を設けることにより、第2供給通路120を通過する過程で遊技球23の通過方向を適宜変更することができ、遊技球23を減速させることができる。更に、球出口120dから上方に向けて長尺部材が挿入された場合であっても、球出口120dの上方に第2供給通路120を構成する内壁面を配置することができ、異物の挿入による不正行為を防止することができる。
また、揺動部材130a及び揺動センサ130bによって賞球払出ユニット100に対する不正行為を検出することができる。図14は、図7に示す第2供給通路120の拡大図である。ここでいう賞球払出ユニット100に対する不正行為とは、針金等の長尺部材を球皿14から賞球払出ユニット100に挿入し、回転体141を不正に回転させ、遊技球23を不正に受け取る行為である。
回転体141を通過した遊技球23が流入する第2供給通路120の球入口120cと、第2供給通路の球出口120dと、の位置関係は、一部分のみ重なるように前後方向にずれている。球入口120cと球出口120dとが重なった部分には、揺動部材130aが配置されている。したがって、球出口120dから上方に向けて長尺部材が挿入された場合であっても、その長尺部材が球入口120cに直接接触できないため、長尺部材を用いた不正行為を防止することができる。
具体的には、球入口120cの下方から上方に向かって長尺部材が挿入された場合には、長尺部材は、揺動部材130aと干渉して、球入口120cまで到達することができない(図14に示すL1)。また、揺動部材130aの前面に沿う位置となるように上方に向かって長尺部材が挿入された場合には、その延長線上に球入口120cが配置されていないため、長尺部材は球入口120cに到達しない(図14に示すL2)。更に、揺動部材130aよりも前方の位置となるように長尺部材が挿入された場合には、その延長線上に球入口120cが配置されていないため、長尺部材は球入口120cに到達しない(図14に示すL3)。
以上のように、球入口120cと球出口120dとを前後方向にずらして配置することにより、長尺部材等の挿入による回転体141に対する不正行為を防ぐことができ、不正に賞球を得ようとする不正行為を防止することができる。また、揺動部材130aは、外力が作用しない状態において第2供給通路120の通路幅を狭める第1位置となるため、長尺部材の挿入口を狭めて、長尺部材による不正行為を効果的に抑制することができる。
また、回転体141と第2供給通路120の位置関係は、変形例を概念することができる。図15は、変形例に係る回転体141と第2供給通路120を示している。なお、同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。図15に示す変形例は、球出口120dの上方に回転体141と第2供給通路120が配置されており、球出口120dから回転体141の側方に向かう鉛直方向の直線上(鉛直線上)に揺動部材130aが配置されている。
具体的には、球入口120cの下方から回転体141の前方(側方)に向かって長尺部材が挿入された場合には、長尺部材は、揺動部材130aと干渉して、回転体141の前方まで到達することができない(図15に示すL4)。また、揺動部材130aの前面に沿う位置となるように上方に向かって長尺部材が挿入された場合には、その延長線上に球入口120cが配置されており、回転体141まで到達することができる。しかし、長尺部材は、回転体141の下方に接触できるが、回転体141の側方や回転体141の上流に接触できないため、長尺部材によって回転体141を動かして、不正に賞球を得ることは難しい。
仮に、長尺部材が回転体141の側方に到達した場合には、側方から回転体の保持部141bに側方からアクセスし、長尺部材等を保持部141bに引っ掛けた状態で下方に長尺部材を引くことにより、回転体141を回転させて、不正に賞球を得る可能性がある。しかし、回転体141の下面にアクセスするのみでは、回転体141を不正に回転させることは難しいため、不正行為を防止することができる。
更に、揺動部材130aよりも前方の位置となるように長尺部材が挿入された場合には、その延長線上に回転体141が配置されておらず、第2供給通路120の内壁面が配置されているため、長尺部材によって回転体141を回転させることはできない(図15に示すL6)。以上のように、球出口120dと回転体141の側方とを前後方向にずらして配置することにより、長尺部材等の挿入による回転体141に対する不正行為を防ぐことができ、不正に賞球を得ようとする不正行為を防止することができる。また、揺動部材130aは、外力が作用しない状態において第2供給通路120の通路幅を狭める第1位置となるため、長尺部材の挿入口を狭めて、長尺部材による不正行為を効果的に抑制することができる。
更に、球出口130dと対向して配置される揺動部材130aの下端部130cは、曲線形状に形成されている。また、揺動部材130aの下面130dと、その下方に配置された金属板121と、の間には、隙間kが形成されている。揺動部材130aの下端部130cが曲線形状であり、その下方に隙間kが設けられていることにより、異物が挿入された際に、隙間kを介して第2供給通路120の内部から外部に異物を移動させることができる。第2供給通路120の内部から外部に異物を移動させることにより、第2供給通路120の上流に配置された回転体141に対する不正行為を防止することができる。
また、揺動部材130aが通路幅を狭める位置にある状態では、揺動部材130aと、この揺動部材130aと対向する後壁面120aと、の間の通路幅が球入口120cと略同幅となるように構成してもよい。このように、通路幅を狭める位置にある揺動部材130aと、この揺動部材130aと対向する後壁面120aと、の間の通路幅を球入口120cと略同幅となるように構成することにより、揺動部材130aが通路幅を狭めた状態においても、球入口120cから流入した遊技球23を滞らせることなく、下流へ通過させることができる。
更に、また、揺動部材130aが通路幅を広げる位置にある状態では、揺動部材130aと、この揺動部材130aと対向する前壁面120bと、の間の通路幅が球出口120dと略同幅となるように構成してもよい。このように、通路幅を広げる位置にある揺動部材130aと、この揺動部材130aと対向する前壁面120bと、の間の通路幅を球出口120dと略同幅となるように構成することにより、揺動部材130aが通路幅を広げた状態において、第2供給通路120に収容されている遊技球23を滞らせることなく、球出口120dから排出することができる。
また、第2供給通路120は、後壁部120a及び前壁部120bに沿った保護板としての金属板121を備えている(図13及び図14に示す斜線部)。金属板121を備えることにより、第2供給通路120の強度を高めることができる。特に、遊技球23が衝突し易い部分に金属板121を配置することが望ましく、具体的には、球入口120cの直下に配置された傾斜面120eの延長線上に金属板121を設けている。このような部分に金属板121を配置することにより、遊技球23が衝突する部分の強度を高め、遊技球23の衝突による破損を効果的に防止することができる。
また、第2供給通路120の下方から長尺部材が挿入される不正行為がなされると、第2供給通路の内壁面(後壁部120a及び前壁部120b)が損傷し、この内壁面の損傷により遊技球23の円滑な通過に影響を及ぼすおそれがある。特に、第2供給通路120が樹脂製の場合には損傷が顕著となり、遊技球23の通過速度の低下等の不具合が発生するおそれがある。しかし、比較的強度が高く、損傷を受け難い金属板121によって内壁面を覆うことにより、第2供給通路120の内壁面を保護することが可能となる。更に、金属板121は、内壁面に対して着脱自在に構成されており、適宜交換することが可能である。
更に、金属板121は、放電板としての機能を備えており、金属板121を介して遊技球23の静電気を除去することが可能である。遊技球23に静電気が帯電していると、電気部品の異常等の不具合が発生するおそれがあり、遊技球23の静電気を適宜除去することが望ましい。例えば、金属板121をアース接続することにより、金属板121を介して遊技球23に帯電した静電気を除去することができる。
金属板121は、後壁部120aの一部と前壁部120bの一部とに設けられており、前壁部120bに沿って流下した遊技球23の静電気は、前壁部120bに装着された金属板121を介して除去することができる。一方、後壁部120bに沿って流下した遊技球23や、前壁部120bと後壁部120aとの間を流下した遊技球23は、金属板121と直接接触しないことがある。しかし、金属板121と直接接触しない遊技球23であっても、第2供給通路120内に遊技球23が滞留した状態において静電気を除去できるように構成されている。
例えば、図13(b)に示す遊技球23が滞留した状態では、揺動部材130aが第2位置にあり、揺動部材130aと接する遊技球B1は、金属板121と直接接していない。しかし、遊技球B1は、他の遊技球(例えば、遊技球B2)と接しており、この遊技球B2と遊技球B2と接する遊技球B3とを介して金属板121と電気的に接続されている。したがって、遊技球B1の静電気を、他の遊技球(B2及びB3)を介して除去することができる。
また、賞球払出ユニットの後面100fには、着脱可能な着脱壁部150が設けられている。着脱壁部150は、賞球払出ユニット100の後面100fに形成された後面穴部100gに対して着脱自在に構成されている。着脱壁部150は、後面穴部100gの内壁面に沿った外形を有するプレート部150aと、プレート部150aから後方に向かって突出した把持部150bと、を有する。把持部150bは、着脱壁部150を賞球払出ユニット100に装着した状態において、賞球払出ユニット100の後面100fから後方に突出しており、操作者は把持部150bを持って着脱操作を容易に行うことができる。
第1右供給通路106と第1左供給通路107の後面には、後面穴部100gと対向する位置に供給通路穴部106aが形成されている。賞球払出ユニット100から着脱壁部150が取り外されると、後面穴部100g及び供給通路穴部106aを介して外部から第1右供給通路106と第1左供給通路107にアクセスできるように構成されている。よって、後面穴部100g及び供給通路穴部106aから棒等を挿入することにより、第1右供給通路106及び第1左供給通路107の球詰まりを解消することができる。
また、供給通路穴部106aの幅と後面穴部100gの幅とは、いずれも遊技球23の直径(例えば、11mm)未満である。よって、第1右供給通路106及び第1左供給通路107に遊技球23が有る状態において着脱壁部150が外れた場合であっても、第1右供給通路106及び第1左供給通路107から遊技球23がこぼれることを防ぐことができる。
次に、第2の例示的課題と関係する、回転体(スプロケット)141及びその周辺構造について詳述する。まず、図16に示すように、本最良形態に係るスプロケット141は、一体成型された樹脂からなるスプロケット本体141α(円盤部141a)と、支軸141γ(右構成部材101と左構成部材102とを合体させた際に、これらの内壁間に介在し、スプロケット本体141αを回転可能に固定支持する支軸)と、支軸141γを受け入れるための支軸保持部材141βと、から構成される。ここで、図16(1)は、左構成部材102側のスプロケット141の正面図であり、図16(2)は、右構成部材101側のスプロケット141の正面図であり、図16(3)は、左構成部材102側のスプロケット141を眺めた斜視図であり、図16(4)は、右構成部材101側のスプロケット141を眺めた斜視図であり、図16(5)は、スプロケット141の分解図である。これらの図から分かるように、まず、スプロケット141は、右構成部材101側の第1右供給通路106と左構成部材102側の第1左供給通路107とを遮断する円盤状壁部材141α−1と、当該壁部材の第1左供給通路107側に一体形成された第一遊技球保持部材141α−2−1と、当該壁部材の第1右供給通路106側に一体形成された第二遊技球保持部材141α−2−2と、を有しており、前述のようにこれら部材は樹脂で一体成型されている。そして、第一遊技球保持部材141α−2−1及び第二遊技球保持部材α−2−2共、凸状の曲面部{図16(2)のAで示した部分}と凹状の曲面部{図16(2)のBで示した部分}が交互に周期性をもって形成されており、この凹状の曲面部が遊技球保持部141bとして機能することとなる。尚、本例では、第1右供給通路106及び第1左供給通路107側のそれぞれに2箇所の遊技球保持部が設けられており、且つ、凹凸の曲面位相が90°ずれている。したがって、スプロケット141が1周すると、4球の遊技球が払い出されることになる。更に、当該スプロケット141は、左構成部材102側の略中央に、支軸保持部材141βを受け入れるための鍵穴141α−2−3{図16(5)参照}を有している。そして、図16(5)に示すように、右構成部材101に左構成部材102(右構成部材101の蓋として機能)を被せた際には、スプロケット141の鍵穴141α−2−3に、当該鍵穴141α−2−3の形状に対応した鍵状の支軸保持部材141βを挿入し、更に当該支軸保持部材141β中央に設けられた貫通孔に支軸141γが挿入される。ところで、図16(2)に示すように、当該スプロケット141は、右構成部材101側にも、左構成部材102側と同形状の鍵穴141α−2−4を有している。ここで、図17は、図8{賞球払出ユニットから蓋(左構成部材102)を外した状態の図}の状態からスプロケット141を外した状態の図である。また、図18は、スプロケット141を外した状態での、図17のスプロケット収納部付近の拡大斜視図である。当該図に示されるように、右構成部材101の外側に取り付けられたステッピングモータ141dの回転軸と直結しているスプロケット保持部G4−1が、右構成部材101を貫通して設けられている。そして、当該スプロケット保持部G4−1は、支軸141γを固定すると共に、スプロケット141に対してステッピングモータの駆動を伝達するよう機能する。ここで、スプロケット保持部G4−1の外形は、前述した鍵穴141α−2−4の内側形状と対応している。そして、当該鍵穴141α−2−4にスプロケット保持部G4−1が挿入されることで、右構成部材101にスプロケットが保持される。ところで、図16から分かるように、スプロケット141の左構成部材102側に形成された鍵穴141α−2−3と、スプロケット141の右構成部材101側に形成された鍵穴141α−2−4とは、相互に同一形状を成している。このため、スプロケット141を組み込んで賞球払出ユニットを製造する際、スプロケットの表裏を気にする必要が無くなる。
次に、図20を参照しながら、スプロケット141周辺の部材構造について説明する。尚、本最良形態では、正常払出時にスプロケット141が図中の反時計回り(図10のY方向)に回転することを前提として各部材の位置や構造を説明するが、スプロケット141の回転方向は時計回りでもよく、この場合には下記で説明する各部材の位置等もこれに伴って逆位置となる。
まず、遊技球が正常に払い出される際のルート、即ち、第1右供給経路106及び第1左供給経路107からスプロケット141に遊技球が供給される位置(略12時の位置)からスプロケット141に保持された遊技球が第2供給通路120に排出される位置(略3時〜略6時の位置)における、スプロケット141周辺の部材構成から説明する。尚、以下の説明では、第1右供給経路106についてのみ説明することとするが、第1左供給経路107についても同様である。ここで、図20に示すように、スプロケット141左側には、スプロケット141と協働して第2供給通路120に通じる経路(第3供給通路)を構築する、スプロケット左横部材180が存在する。ここで、スプロケット左横部材180は、遊技球がスプロケット141に保持された状態で反時計回りに回転した場合にも当該回転に支障が出ないような位置関係及び形状で配置されている。具体的には、図21に示すように、スプロケット141の遊技球保持部141bに保持されている遊技球が当該保持部141bの最下点に接触した状態でスプロケット141が反時計回りに回転した場合であっても、保持されている遊技球の最先端部と当該遊技球と対向した位置におけるスプロケット左横部材180の曲面部との間には常にスペース(図中の矢印)が存在するような位置関係及び形状にて、スプロケット左横部材180は配置されている。このように、スプロケット141が遊技球を保持した状況で反時計回りに円滑に回転することの支障が出ない(干渉しない)よう、遊技球がスプロケット141に保持される略12時〜略3時の位置においては、スプロケット左横部材180は、スプロケット141の回転に沿った曲面を成している。そして、この位置から下方においては、スプロケット左横部材180は、放出された遊技球が第2供給通路120に円滑に落下することを妨げることが無いように垂直方向に形成されている。
次に、不正行為時又はモータ故障時の異常時に払い出されることが想定される際のルート、即ち、通常時では想定されない、遊技球が保持された状態でスプロケット141が時計回りに回転してしまい賞球が払い出されてしまうことを想定した、スプロケット周囲に設置された各部材(遊技球保持時逆回転防止壁として機能し得る部材)を詳述する。ここで、これら部材は、第1右供給通路106からスプロケット141に遊技球が供給される位置(略12時の位置)からスプロケット141に保持された遊技球が第2供給通路120に排出されてしまう位置(略6時の位置)にかけて配置されている。以下、時計回りの順で各部材を詳述することとする。
まず、前述したように、図20に示すように、スプロケット上部の、略12時半の位置には、切替弁(球抜き弁)118が設けられている。ここで、図8に示すように、当該切替弁118は、軸支されていることに加え、操作部材(切替弁固定部材)119で揺動不能に固定されている。そして、この操作部材119を所定位置まで変位させると、切替弁118の固定が解除され、右方向への移動が可能となる。その結果、第1右供給通路106が賞球払出経路とは別の排出通路117と連絡し、第1右供給通路106に存在する遊技球が当該排出通路117に導かれて排出される。ここで、前述のように、スプロケット141に遊技球が保持された状態で時計回りに回転させて球を排出することは、正常動作時では想定されない。したがって、切替弁118は、第1右供給通路106に貯留された可能な限り多くの、特にスプロケット141に近接した遊技球までもが排出可能なように、スプロケット141の回転を妨害しない程度の、スプロケット141にできるだけ近接した位置に配置されている。ところで、この切替弁118は、前述のように切替弁118の固定を解除することにより変位可能となるが、右構成部材101と一体化して形成されている部材ではなく、変位可能を前提としている別体部材であるため、多少の力の印加で比較的容易に変形する。特に軸支されている箇所(図8の回転軸118a)と反対側の下端においては、多少の力であっても大きな回転モーメントが発生する結果、当該下端の真横から力が印加された場合には容易に右側に変位(反時計回りに回転)してしまう。したがって、図22(1)〜(2)に示すように、スプロケットが遊技球を保持した状態で時計回りに回転した場合、遊技球は切替弁118の下端を容易にすり抜けてしまうことになる。
次に、図20の略1時〜略2時付近には、右構成部材101と一体成型されており右構成部材101内壁から垂直に突出した爪部材185が配置されている。ここで、当該爪部材185は、剛性をある程度弱めるため、材質、大きさ、形状及び位置を適宜設定している。以下、これらを順に説明することとする。
まず、爪部材185の材質は、右構成部材101と一体成型されていることから右構成部材と同一素材である(左構成部材102についても同様)。ここで、後述するように、当該爪部材185は、当該爪部材185に横方向或いは押圧方向(スプロケット141から離隔する方向)からある程度の力(不正行為等で時計回りにスプロケット141を無理矢理に回転させた際に、スプロケット141に保持された遊技球が爪部材に対して与える力)が印加された場合、折壊する必要がある。そこで、この観点からは、適度な剛性、硬度、耐衝撃性及び曲げ疲労性等の機械的特性を有するABS樹脂(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレンの共重合体)や改質ABS樹脂等の樹脂が好適である。
次に、当該爪部材185の大きさの内、当該爪部材185の高さは、当該爪部材185が折壊されていない状況下にも拘わらずスプロケット141に保持されている遊技球が排出通路117に移行することを許容しないような高さであることが好適である(換言すれば、爪部材185が余りに低いと爪部材185の上部から遊技球が排出通路117にすり抜けてしまい、爪部材185に対して有効な押圧力が印加されずに折壊せず、不正行為が継続して実行されてしまう危険性が生じる)。ここで、本例では、右構成部材101と左構成部材102とを合わせてユニットを構築した際、それぞれの構成部材の内側から突出した爪部材は略当接する高さにそれぞれ設定されている。但し、一方の構成部材における爪部材と他方の構成部材における爪部材の高さは必ずしも同一である必要は無く、例えば、右構成部材101側の爪部材を左構成部材102側の爪部材よりも僅かながら高く構成してもよい。
次に、当該爪部材185の大きさの内、当該爪部材185の幅は、当該爪部材185の真下に形成されたスリット幅S(図23の実線矢印)との関係で決定される。具体的には、当該爪部材185が折壊した際に形成されるスペース幅K(図23の点線矢印)と当該爪部材185の真下に形成されたスリット幅Sとの合計が、遊技球の直径以上(又は超)である必要がある。当該合計値が遊技球の直径未満であると、爪部材185が折壊した際にも遊技球が排出通路117に移行せずスプロケット141を時計回りで実施することによる、不正な遊技球払出が引き続き実行されてしまうことになる。尚、当該爪部材185の下に存在するスリット幅Sは、遊技球の直径未満であっても直径以上であってもよい。スリット幅Sが遊技球の直径以上である場合には、遊技球を保持した状態でスプロケット141が時計回りに回転した際、当該爪部材185が折壊せずに当該爪部材185を超えてしまったとしても、当該遊技球を排出通路117に移行させることができ、賞球として払い出されることを防止することができる。また、スリット幅Sが遊技球の直径未満である場合には、遊技球を保持した状態でスプロケット141が時計回りに回転した際、当該爪部材185が折壊せずに当該爪部材185を超えてしまったとしても、排出通路117を構成する左仕切り部材190(図20参照)の上端に当該遊技球は当接する。この際、この左仕切り部材190も爪部材185と同様に右構成部材101と一体成型されているが、スリットSが設けられている爪部材185と異なり、剛性が非常に高いため、余程強い力でスプロケット141を回転させない限り、遊技球は当該左仕切り部材190とスプロケット141の間に侵入せずに、爪部材185とスプロケット141の間で挟まった状態を維持する。この結果、図23に示すように、爪部材185に継続的に押圧力が印加されることとなり、爪部材185の折壊が促される。尚、本最良形態では、このスリット幅は遊技球の直径よりも小さく設定されている。
次に、爪部材の形状を説明する。ここで、図24(1)は、爪部材185の拡大斜視図であり、図24(2)は、爪部材185の上面図である。当該図から分かるように、本最良形態に係る爪部材185の形状は、断面が曲線状である柱体であり、好適にはスプロケット141と対向して凹状の曲線を成す断面である柱体であり、より好適には断面が後述する円弧状である柱体である。ここで、より好適な断面形状である当該円弧は、スプロケット141の中心軸と同一中心軸であり且つスプロケットの円盤状部材141αよりも大きい径を有する円の一部である。このように円弧状に構成することで、図25(1)に示すように、遊技球を保持したスプロケットが時計回りに回転し、爪部材が折壊しないままに遊技球がスプロケットと爪部材との間に挟まってしまい更に回転をし続けたとしても、スプロケットの中心軸と爪部材との距離(R)が一定に保たれている結果、遊技球が挟まっている間は遊技球がどのような円弧位置に存在していたとしても常に十分な押圧力が爪部材に対して印加される。他方、図25(2)に示すように、断面が方形である柱体の場合には、スプロケットの中心軸と爪部材との距離が最も小さい箇所{図25(2)の中央図における距離Rmin}では十分な押圧力が爪部材に対して印加されるが、それ以外の場所では十分な押圧力が爪部材に印加されない恐れがある(例えば、図25(2)の左右図における距離Rmax)。このような場合、スプロケットの中心軸と爪部材との距離が最も小さい箇所を遊技球が乗り越えてしまうと、当該遊技球が排出通路に移行せずに賞球として払い出されてしまうことになる。
次に、不正行為によりスプロケット141を強制的に回転させた場合、具体的には、正常な賞球払出と同じ回転方向である反時計回りに回転させた場合と正常な賞球払出とは逆回転方向である時計回りに回転させた場合に分けて、第2の例示的課題と関係する、本最良形態に係るパチンコ遊技機の作用を説明することとする。
はじめに、スプロケット141を反時計回りに強制的に回転させた場合を説明する。この場合、スプロケット141とスプロケット近傍部材(本例ではスプロケット左横部材180)との間には遊技球の直径よりも大きいスペースが形成されているため、スプロケットに保持された遊技球がスプロケット近傍の部材(本例ではスプロケット左横部材180)に対して押圧力を印加する状況とはならず、遊技球が賞球として排出される。この際、当該排出された遊技球は、カウントセンサ143により検知され、当該検知信号は賞球払出制御部に出力される。ここで、正常な賞球払出の際には主制御部から賞球払出制御部に賞球払出コマンドが送信されているが、不正払出の際には当該賞球払出コマンドが送信されていない。したがって、賞球払出コマンドを受信していない状況下で遊技球検知信号を賞球払出制御部が受信した場合、主制御部やホールコンピュータにエラー情報が送信される結果、ただちに不正行為が発覚する。
次に、スプロケット141を時計回りに強制的に回転させた場合を説明する。ここで、この場合は、スプロケット141を反時計回りに強制的に回転させた場合とは異なり、スプロケット141とスプロケット近傍部材(本例では、切替弁118、爪部材185、左仕切り部材190等)との間には遊技球の直径よりも小さいスペースしか形成されておらず、スプロケット141に保持された遊技球がスプロケット近傍部材に対して押圧力を印加する状況となる(即ち、これら部材は遊技球保持時逆回転防止壁部材として機能)。以下、スプロケット141に保持された遊技球がこれらスプロケット近傍部材に到達した際の作用を時計回りの順に説明する。まず、はじめに、スプロケットに保持された遊技球が切替弁118の下端部を押圧する。前述のように、この切替弁118は多少の力が印加されても容易に変形する。したがって、スプロケット141の回転による遊技球の移動に伴い遊技球から印加される押圧力によって切替弁118の下端部が右に変形する結果、遊技球は切替弁118の下端部をすり抜けて切替弁118の右に移動する。次に、スプロケット141の更なる回転による遊技球の移動に伴い、当該遊技球が爪部材185の左側に当接する。そして、この状態から更に遊技球が時計回りに移動すると、当該遊技球は爪部材内側とスプロケット141の保持部141bとの間に挟まれる状況となる{図26(1)}。ここで、スプロケット141の保持部141bの最下点と爪部材185内側との距離は、遊技球よりも小さく且つ遊技球は樹脂よりも遥かに剛性が高い材質であるため、爪部材185はスプロケット141とは反対方向に撓る(押される)。この結果、ユニット枠本体101と一体成型されている爪部材185は、最も大きいモーメントが加わる爪部材185の根元付近で折壊し、爪部材185はスプロケット141とは反対側に倒れるか或いはユニット枠本体101から切断されて排出通路117に移行しそのまま排出通路117内を落下する。このように爪部材185が折壊してしまうことで、爪部材185が存在していたスペースKと当該爪部材の真下のスリットSとが合わさり(図20参照)、遊技球の直径よりも大きいスペース幅が構築される。この結果、図26(2)に示すように、以後、遊技球を保持したスプロケット141を時計回りに強制的に回転させて遊技球を不正に払い出させようとしても、略3時付近で当該スペース(K+S)を介して遊技球が排出通路117側に落下する。また、高速回転させると略3時を超えたところまで保持され続けることも想定されるが、この場合であっても、排出通路117を構成する左仕切り部材190の最上部に当該遊技球が当接して当該遊技球の移動が妨害される一方、当該妨害された状況で更にスプロケット141が回転することで遊技球が当該スペース(K+S)を介して排出通路117側に押し出される。このように、本最良形態では、スプロケット141を正常払出時とは逆向きに回転させた際、スプロケット141に保持された遊技球が爪部材185を折壊させることで不正賞球払出を防止しているが、爪部材が折壊したとしても通常の遊技には何ら影響しない。
次いで、このように構成された賞球払出ユニット100の前枠9に対する着脱操作について説明する。賞球供給通路41の上面には、賞球払出ユニット100の第2供給通路120を通過した遊技球23が流入する穴部と、後端部から上方に突出した後壁部41gと、左側端部から上方に突出した左壁部41hと、が形成されている。
賞球払出ユニット100を前枠9に装着する際には、賞球払出ユニット100の下方を前方に傾斜させた状態で、賞球供給通路41の上方から賞球払出ユニット100の底面100dを賞球供給通路41の上面41cに載置する。そして、賞球払出ユニット100の底面100dを軸として、賞球払出ユニット100の上部を前方に移動させ、賞球払出ユニット100の流入口104及び105を球貯留タンク40の流出口(図示せず)と連通させる。
一方、賞球払出ユニット100を前枠9から取り外す際には、賞球払出ユニット100の上部を後方に移動した後に、賞球払出ユニット全体を後上方に移動することにより、賞球払出ユニット100を前枠9に対して着脱することができ、賞球払出ユニット100のメンテナンスを容易に行うことができる。
次いで、このパチンコ機2のシステム構成について詳細に説明する。図27は、パチンコ機2の機能ブロックを示した図である。パチンコ機2は、主制御手段200、演出制御手段220、及び払出制御手段230を有する制御手段(第1制御手段、第2制御手段、及びエラー判定手段)がパチンコ機2の動作制御、表示装置等の演出制御、遊技の進行制御、賞球の払出制御を行う。制御手段には、入賞口としての普通入賞口28、始動入賞口29、大入賞口31、第1図柄表示装置17、演出表示装置7a、球有り検出手段108、滞留検出手段130、及びカウントセンサ143等の各部品が電気的に接続されている。
主制御手段200は、抽選手段201と、図柄決定手段203と、保留記憶手段204と、図柄表示制御手段205と、賞球決定手段206と、パターン記憶手段207と、入球判定手段208と、特別遊技制御手段209と、エラー判定手段211と、エラー処理手段212と、を備える。演出制御手段220は、演出決定手段221と、演出制御手段222と、演出パターン記憶手段223と、を備える。
払出制御手段230は、賞球払出制御手段231を備える。なお、主制御手段200に含まれる各機能は、演出制御手段220又は払出制御手段230に搭載されるように構成してもよいし、演出制御手段220又は払出制御手段230に含まれる機能は、主制御手段200に搭載されるように構成してもよい。
抽選手段201は、始動入賞口29への遊技球23の入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための乱数値を取得する。抽選手段201は、乱数値に基づいて特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定で参照する当否判定テーブルを複数保持する。複数の当否判定テーブルには、当り又は外れという抽選結果と乱数値とが対応付けられており、当りと対応付けられた乱数値の範囲設定に応じて当否確率が定まる。抽選手段は、乱数値に基づいて抽選結果を取得する。取得した抽選結果は、保留記憶手段204において一時的に記憶される。
抽選手段201は、通常時には通常確率の当否判定テーブルを参照し、通常より当選確率が高い確率変動時には通常確率より当りの確率が高い当否判定テーブルを参照する。抽選手段201は、複数の当否判定テーブルのうちいずれかの当否判定テーブルを適宜選択して参照し、乱数値が当りであるか否かを判定する。
乱数値は、例えば、「0」から「65535」までの範囲の値から取得されるように構成できる。なお、乱数は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。
保留記憶手段204は、抽選手段201の抽選結果を記憶する。保留手段における保留数は上限があり、抽選結果は、保留手段における保留数が所定の上限に達するまで記憶される。本実施の形態では、保留手段の保留数の上限を4とする。保留手段により保留された保留数は、ランプ等で表示して、遊技者が保留数を確認できるように構成されている。
抽選手段201の抽選結果は、第1図柄表示装置17において第1図柄17aとして表示される。また、第1図柄17aに連動して、演出表示装置7aにおいて表示図柄7cを含む演出表示がなされる。図柄決定手段203は、第1図柄表示装置17、演出表示装置7aに表示する第1図柄17a及び表示図柄7cの停止図柄や、図柄の変動表示パターンを抽選手段201の抽選結果に応じて決定する。
パターン記憶手段207は、第1図柄の停止図柄パターンを決定するために参照すべき図柄パターンテーブル207aと、図柄変動表示パターンを決定するために参照すべき図柄変動表示パターンテーブル207dと、を備える。図柄パターンテーブル207aは、第1図柄17aと抽選結果とを関連付けて記憶しており、図柄変動表示パターンテーブル207dは、図柄変動表示パターンと抽選結果とを関連付けて記憶している。
図柄変動表示パターンは、図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動態様が定められた変動表示パターンである。変動態様は、図柄変動の態様と変動時間を含んでいる。変動時間は、図柄が変動を開始してから図柄が停止するまでの時間であり、図柄変動の終了条件として定められている。変動時間の経過時に図柄の変動が停止される。図柄変動表示パターン毎に変動時間は異なるように設定されている。
図柄決定手段203は、抽選手段201の抽選結果を取得し、図柄パターンテーブル207aを参照し、第1図柄17aの停止図柄を決定する。また、本実施の形態における図柄決定手段203は、変動表示パターン選択手段の機能も備えており、図柄変動表示パターンテーブル207dを参照し、いずれかの図柄変動表示パターンを選択する。図柄決定手段203は、決定した停止図柄及び図柄変動表示パターンを示す情報を図柄表示制御手段205及び演出制御手段222に送る。
入球判定手段208は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段208は、始動入賞口センサ29aの入球検出情報を受け取ると、始動入賞口29に入賞したと判定する。入球判定手段208は、大入賞口31内に設けられた大入賞口センサ31aの入球検出情報を受け取ると、大入賞口31に入賞したと判定する。入球判定手段208は、判定した入賞情報を賞球決定手段206及び抽選手段201に送る。
賞球決定手段206は、入球判定手段208により判定された入賞情報に基づいて、賞球払出ユニット100によって遊技者に払出す賞球数を決定する。賞球決定手段206は、賞球数を決定するための賞球数記憶手段206aを備えている。賞球数記憶手段206aには、各入賞口情報と賞球数とが関連付けられて記憶されている。具体的には、普通入賞口28に対して賞球数3が関連付けられ、大入賞口31に対して賞球数15が関連付けられて記憶されて、賞球数記憶手段206aに記憶されている。
賞球決定手段206は、入球判定手段208から普通入賞口28の入賞情報を受け取ると、賞球数記憶手段206aに基づいて賞球数3を決定する。賞球決定手段206は、決定した賞球数を払出制御手段230の賞球払出制御手段231に送る。賞球払出制御手段231は、賞球決定手段206により決定した賞球数に基づいて、賞球払出ユニット100によって遊技球の払出制御を行う。具体的には、賞球払出ユニット100の回転体141を駆動制御し、所定賞球数の遊技球23を球皿14に向けて供給する。
また、エラー判定手段211は、賞球払出ユニット100による払出処理や、払い出された賞球が供給される球皿14の状態等に基づいて、賞球の払出し等のエラーの有無を判定すると共に、賞球払出ユニット100に対する不正行為の有無を判定する。エラー処理手段212は、エラー判定手段211によってエラーが有ると判定された場合に、エラーを解消する処理を実行する。エラー判定手段211によるエラー判定処理及びエラー解消手段によるエラー解消処理については、後述にて説明する。
図柄表示制御手段205は、図柄決定手段203により決定された変動表示パターンに基づいて第1図柄表示装置17に第1図柄17aを変動表示させる。図柄表示制御手段205は、第1図柄17aの変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにおいて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出制御手段222に送信する。このコマンドを送ることにより、図柄表示制御手段205及び演出制御手段222による変動表示が同期して、連動を保つことが可能となる。
特別遊技制御手段209は、抽選手段201による抽選結果が当りである場合に、大入賞口31を開放させることにより特別遊技を実行する。特別遊技は、大入賞口31の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした1回又は複数回の単位遊技で構成される。単位遊技は例えば15回を上限として繰り返され、1回の単位遊技において大入賞口31を約30秒間開放させる。特別遊技制御手段209は、所定回数単位遊技を消化したときに特別遊技を終了させる。
演出決定手段221は、表示図柄7cの停止図柄と表示図柄変動表示パターンを、第1図柄17aと第1図柄17aの図柄変動表示パターンとに基づいて決定する。
演出パターン記憶手段223は、装飾図柄変動表示パターンを決定するために参照すべき装飾図柄変動表示パターンテーブル223aを備える。装飾図柄変動表示パターンテーブル223aは、表示図柄7cの停止図柄を決定するための表示図柄変動表示パターンを有しており、この装飾図柄変動表示パターンは、第1図柄17a及び第1図柄17aの図柄変動表示パターンと関連付けられている。
装飾図柄変動表示パターンは、装飾図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動態様が定められた変動表示パターンである。変動態様は、図柄変動の態様、変動時間、及び演出表示の各領域における演出表示態様を含んでいる。演出決定手段221は、図柄決定手段によって決定された図柄変動表示パターンに応じて、図柄変動表示パターンと等しい変動時間が設定された装飾図柄変動表示パターンを選択する。例えば、固定時間パターンから図柄変動表示パターンが選択された場合は、同じ変動時間の装飾変動表示パターンが選択される。演出決定手段は、決定した装飾図柄変動表示パターンの情報を演出制御手段222に送る。
演出制御手段222は、抽選手段201による抽選結果を、選択された装飾図柄変動表示パターンに基づいて演出表示装置7aに変動表示させる。
次いで、このように構成されたパチンコ機におけるエラー判定処理及びエラー解消処理について、図28及び図29に示すフローチャートに基づいて説明する。図28は、賞球払出ユニット100による賞球払出処理の一例であり、図29は、球皿14の満タンエラーを検出した場合のエラー解消処理の一例である。
賞球払出制御手段231は、賞球決定手段206から賞球数情報を取得すると(S1)、賞球払出ユニット100の第1右供給通路106又は第1左供給通路107内に遊技球23が有るか否かを判定する(S2)。具体的には、球有りセンサ108bによって球有り検出片108aが第1位置に有るか否かを判定する。
S2において第1右供給通路106又は第1左供給通路107内に遊技球23が有ると判定した場合には、S1にて取得した所定賞球数の遊技球23の払出処理を実行する(S3)。具体的には、賞球払出ユニット100の回転体141をモータ141dによって回転駆動する。一方、S2において第1右供給通路106又は第1左供給通路107に遊技球23が無いと判定した場合には、賞球の払出処理を実行できないため、第1エラー処理を行う(S4)。
第1右供給通路106及び第1左供給通路107は、球貯留タンク40からの遊技球23が供給されるが、球貯留タンク40に遊技球23が無い場合や球詰まりが生じた場合には遊技球23が流入しない。第1右供給通路106及び第1左供給通路107内に遊技球23が無い場合には、ホールの係員等によって球詰まり等の不具合を解消することが必要となる。
したがって、第1エラー処理として、遊技者に対してホールの係員等を呼ぶ処理を促すメッセージを流すと共に、外部出力端子板39を介してホールのコンピュータにエラー情報を送信する。遊技者に対するメッセージ表示としては、例えば演出表示装置7aの表示画面に「係員を呼んでください」とのメッセージを表示することを例示できる。
次いで、S3の払出処理を実行した後、所定賞球数の遊技球23の払出しが完了したか否かを判定する(S5)。具体的には、カウントセンサ143によって検出した賞球数を計数し、この計数数が所定賞球数であるかを判定することによって行う。
S5において所定賞球数の遊技球23の払出処理が完了した判定した場合には、第2供給通路120内に遊技球23が滞留していないかを判定する(S6)。具体的には、揺動センサ130bによって揺動部材130aが第1位置にあるか否かを検出する。S6において第2供給通路120内に遊技球23が滞留していないと判定された場合には、処理を終了する。一方、S6において第2供給通路120内に遊技球23が滞留していると判定された場合には、球皿14が満タン状態であると考えられるため、満タンエラー解消処理(S20)を実行する。
また、S5において、所定賞球数の払出処理が完了していないと判定された場合には、所定時間が経過したか否かを判定する(S7)。この所定時間とは、払出処理を実行してからの経過時間であり、賞球の払出し(回転体141の回転)のタイミングと、カウントセンサ143の検出タイミングと、のタイムラグを考慮した時間である。そして、所定時間が経過を待って、再度払出処理が完了したか否かを判定する(S5)。
一方、S7において、所定時間が経過していると判定した場合には、回転体141の不具合や球詰まり等の不具合が発生している可能性が高く、遊技の継続が不可能であるとして、第1エラー処理を実行する(S4)。
次いで、S6において第2供給通路120内に遊技球23が滞留していると判定された場合に実行される満タンエラー解消処理について図29に基づいて説明する。まず、第2エラー処理を実行する(S21)。第2エラー処理は、満タン状態を解消するために、球皿14から遊技球23を抜く球抜き操作を遊技者に対して促す処理である。具体的には、演出表示装置aの表示画面に「球を抜いてください」とのメッセージを表示すると共に、遊技機枠に装着されているスピーカ(図示せず)を介して球抜きを促すメッセージを出力する。
S21の第2エラー処理を実行した後、一定時間の経過を待って(S22)、再度第2供給通路120内に遊技球23が滞留しているかを判定する(S23)。S22の一定時間とは、遊技者が球抜き操作を行うのに必要な時間である。S23で第2供給通路120内に遊技球23が滞留していないと判定された場合には、遊技者の球抜き操作によって球皿14の満タン状態が解消されたと判定されるため、満タンエラー解消処理を終了する。
一方、S23の判定の結果、第2供給通路120内に遊技球23が滞留していると判定された場合には、賞球の払出処理を停止する(S24)。賞球の払出処理を継続すると、球詰まり等の不具合が更に発生してしまうおそれがあるためである。賞球の払出処理を停止した後、再度第2供給通路120内に遊技球が滞留しているか否かを判定する(S25)。
S25の判定の結果、第2供給通路120内に遊技球が滞留していないと判定された場合には、賞球払出処理を再開して(S27)、処理を終了する。一方、S25の判定の結果、第2供給通路120内に遊技球が滞留していると判定された場合には、遊技停止処理を実行して(S26)、処理を終了する。遊技停止処理とは、例えば、遊技球23の発射停止処理であり、更なる不具合の発生を抑制するために一旦遊技を停止する処理を行う。
このように本実施の形態に係る賞球払出ユニット100によれば、第2供給通路120内の遊技球23の滞留状態に基づいて球皿14の満タン状態を検出することができる。また、揺動部材130aによって第2供給通路の容積を変えて、滞留状態となった際の遊技球の収容数を増やすことができる。更に、第2供給通路120を構成する壁面に金属板121が設けられているため、壁面の強度を高めることができると共に、第2供給通路120を通過する遊技球の静電気を除去することができる。
更に、回転体141より上流にある第1右供給通路106及び第1左供給通路107内の遊技球23の貯留状態や、第2供給通路内の遊技球の滞留状態に応じて、回転体141による遊技球23の払出処理や遊技の中断処理を制御するように構成しており、遊技球23の球詰まり等の不具合の発生を早期に発見して、その解消処理を実行することにより、遊技の中断頻度を低減して円滑な遊技の実行に寄与することが可能となる。
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。例えば、本実施の形態では、回転体141と、この回転体141を駆動させる駆動手段としてのモータ141dと、を同軸で連結しているが、複数のギアを介してモータの駆動力を回転体に伝達するように構成してもよい。図19は、複数のギアを介してモータと回転体とを接続した変形例を模式的に示した図である。なお、実施の形態と同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。
ギアG1は、モータと接続されたギアであり、大径のギアG2及びG3を介してギアG4にモータの駆動力を伝達している。ギアG4は、回転体141に接続されたギアである。ギアG1の駆動力(P1)は、G1のトルク(τ1)×ギアG1の角速度(w1)であり、駆動力P1がギアG2及びギアG3を介してギアG4に伝達される。また、ギアG4の半径r4は、ギアG1の半径r1よりも大径である。
したがって、ギアG4の角速度(w4)は、ギアG1の角速度(w1)よりも小さくなる。しかし、ギアG1の駆動力(P1)と、ギアG4に伝達される力(P4)は、略同一である。したがって、ギアG1のトルク(τ1)と、ギアG4のトルク(τ4)と、を比較すると、ギアG4のトルクが大きくなる。ギアG4のトルクが大きいため、回転体141のロバスト性を高めることができる。したがって、回転体141に対して外部から不正に回転させようとしても、外部からの不正な外力に対抗することができ、回転体141に対する不正行為を防止することができる。
更に、ギアG2及びギアG3を設けることにより、モータと回転体とを離間して配置することができる。回転体は、第2供給通路120の近傍に配置されており、回転体141とモータ141dとを近接して配置すると、第2供給通路140近傍のスペースが狭くなり、第2供給通路120内の収容球数が少なくなるおそれがある。しかし、モータ141dを回転体141と離間して配置することにより、第2供給通路120内の遊技球23の収容スペースを確保することが可能となる。