以下、図面を参照しながら、本発明に係る回胴式遊技機の実施形態について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
本実施形態における回胴式遊技機は、図1に示すように、前面側が開放された矩形状の筐体1と、その筐体1の前面側を覆う矩形状の前扉2とを備えている。
<筐体1>
筐体1は木製で、左側板3および右側板4の上端同士および下端同士を上板5及び底板6で連結し、裏面側を背板7で覆うことにより、前側が開放された箱形に形成されている。
筐体1内には、図2に示すように、左右の側板3、4の間に金属製の中間棚8を渡してあり、この中間棚8上に横並びに3個の回胴9を並置した構造の回胴装置ユニット10が、着脱可能に取り付けてある。
各回胴9は、その外周に複数種類の図柄が表示された図柄配列帯を有しており、各回胴9の停止時の上記図柄の組み合せによって遊技結果を表示する。この各回胴9は、それぞれ図示してないパルスモータにより回転駆動され、上記図柄が変動表示可能となっている。
また筐体1の底板6には、投入されたメダルを貯留すると共に、メダル受け皿35(図1参照)にメダルを払い出し可能なメダル払出装置11が取り付けられている。このメダル払出装置11は、払い出し用のメダルを貯留するメダルホッパー12、このメダルホッパー12内のメダルを払い出すメダル払出装置本体13、メダルホッパー12から溢れたメダルをメダル補助収納庫14側に排出する余剰メダル排出口15等を備え、底板6上に着脱自在に装着されている。
さらに筐体1内には、電源基板16が格納された電源基板ケース、遊技に関する制御を司る主制御基板17、出玉率に変化をもたらす回胴設定基板18(操作基板18)、メダル払出装置11を駆動制御するメダル払出制御基板58等が配設されている。そしてメダル払出装置の背面側の筐体1の内壁には、主制御基板17からの指示情報を中継するための払出中継基板59が取り付けられている。
上記メダル払出装置11のメダルホッパー12は、メダル投入口25(図1参照)から投入されたメダル、または前扉2を開放して外部から投入されたメダルを貯留する。またメダル払出装置本体13は、メダル払出制御基板58による制御の下でホッパーモータ60により回転駆動される排出ディスク13a(図6参照)を有しており、この排出ディスク13aからメダルを排出し、メダルホッパー12に貯留されたメダルを所定枚数ずつ払い出す。このメダル払出装置11から払い出されるメダルはメダル払出センサ63により検出される。
また、メダルホッパー12がメダルで満杯状態となり、貯留不能となった場合、溢れたメダルが余剰メダル排出口15から排出され落下してメダル補助収納庫14へ収納される。メダル補助収納庫14の内部には所定レベルに満杯検知金具からなる満杯検出センサ14aが設けてあり、この満杯検出センサ14aによりメダルが所定レベルまで満杯になったことが検出される。
<前扉2>
図1に示すように、前扉2には、遊技機のほぼ中央部に回胴視認部19を、またその上方に液晶画面視認部20を設けてある。
回胴視認部19内には、上記した回胴装置ユニット10の3個の回胴9が位置しており、遊技者側から視認し得るようになっている。また図面には示してないが、回胴視認部19には、ここを横および斜めに横断する形で計5本の入賞ラインが施されている。これらの入賞ラインは、単位遊技(1ゲーム)に対するメダルの投入枚数(賭け数)に応じてそれぞれ有効になる。この有効となった入賞ライン上で、3つの回胴9が停止した際の停止図柄の組み合わせが、当選した入賞役と一致した場合に入賞が確定し、上記停止図柄の組み合わせに応じた遊技価値が遊技者に付与される。
また、液晶画面視認部20内には液晶表示装置22(LCDユニット22)が位置しており、遊技者はこの液晶画面視認部20を介して液晶表示装置22の表示画面23を前側から視認可能となっている。この液晶表示装置22の表示画面23には、遊技に伴う演出が画像表示されると共に、過去の遊技の履歴、クレジット数、メダルの投入枚数、入賞による払い出し枚数等の遊技情報も表示される。
回胴視認部19の左右側には、LEDを内蔵し、光の装飾により遊技に伴う演出を現出する装飾ランプ部24が設けられている。
また液晶画面視認部20の下方の段部には、遊技に供する遊技媒体としてのメダルを投入するためのメダル投入口25と、メダル貯留装置(遊技機に投入されたメダル、または入賞によって獲得したメダルを貯留して、その貯留数を電磁的方法よって記憶可能とする機能を備えた装置)に貯留された範囲、すなわちクレジットされた範囲内で、メダルを最大枚数賭けで一度に擬似投入し得るMAXBETボタン27と、押した回数に応じて最大賭け枚数まで加算的に擬似投入し得る貯留メダル投入ボタン28と、クレジットされたメダルの精算を行う貯留メダル精算ボタン29とが設けられている。
さらにまた、回胴視認部19の下側に横長状に設けられた操作パネル部30には、メダル投入口25内に詰まったメダルを返却させるための返却ボタン26、回胴9の回転を一斉に開始させるための回胴回転始動レバー31、および各回胴9の回転を個別に停止させるための3個の回胴回転停止ボタン32等が設けられている。また操作パネル部30の右側には、鍵穴33が設けられている。この鍵穴33は前扉2を解錠するためのものであり、この穴に所定の鍵を差し込んで回すと、前扉2の錠装置における施錠機構のロックが解除される。
また操作パネル部30の下方には、遊技機をアピールするための装飾が施された装飾パネル部34が設けられている。装飾パネル部34の下方には、前扉2と一体的に装着された横長状のメダル受け皿35が設けられ、このメダル受け皿35には、上記メダル払出装置11から払い出されたメダルや返却されたメダルを前側に排出するためのメダル払出口36が開口している。また、前扉2の前面上部両側および前面下部両側には、遊技に伴う演出効果音を外部に出力する音響出力部としてのスピーカ37が設けられている。
次に、前扉2の背面側の構成について説明する。図3に示すように、前扉2の背面側の上部には、スピーカ37や装飾ランプ部24(図1参照)などの演出手段を制御する演出制御基板38、液晶表示装置22を駆動制御する液晶制御基板39などの基板が防護用ケース40に収納されて取り付けられている。
回胴視認部19の下方には、回胴回転停止ボタン32が操作された旨を検出したり、回胴回転停止ボタン32の内部のLED(図示せず)を発光させたりする回胴停止スイッチ基板41が配置されている。
回胴停止スイッチ基板41の下方には、貯留メダル精算ボタン29、貯留メダル投入ボタン28、MAXBETボタン27、回胴回転始動レバー31、回胴回転停止ボタン32などの各種遊技部品が操作されたときに生成される検出情報を主制御基板17に送信するための遊技中継基板42が配置されている。
そして、図4に示すように、前扉2の裏面側のメダル投入口25に対応する位置には、メダル投入口25に投入されたメダルが正規か否かを選別して、正規のメダルをメダルホッパー12に導くメダルセレクタ43が配設されている。
メダルセレクタ43によって選別されたメダルが正規のメダルである場合、メダルはメダルセレクタ43の内部通路52とスロープ樋48からなるメダル受入通路61を通ってメダルホッパー12に誘導され、それ以外のメダルである場合には、キャンセルシュータ44とメダル返却樋45からなるメダル返却通路71を通ってメダル払出口36に誘導されるようになっている。すなわち、このメダルセレクタ43は、メダル投入口25から投入されたメダルの案内経路(内部通路52)を、遊技機内部に受け入れるメダル受入通路61側とメダル返却通路71側とに切り換える通路切換機構47(図6参照)を備えている。また、メダル返却樋45の下部(共用通路部分73)は、メダルホッパー12のメダル排出口57から払い出されたメダルをメダル受け皿35に誘導する機能も有している。
ここで上記通路切換機構47の駆動源として、電磁ソレノイドによる電磁的駆動手段を用いているが、ピエゾ圧電素子のような電気的駆動手段を用いてもよい。
<メダルセレクタ、図5>
図5は、メダルセレクタ43の一構成例を示す。前扉2の内部フレームに装着されたブラケット46には、メダルセレクタ43によって選別された正規のメダルMを、メダルホッパー12に案内する案内路48aを具備したスロープ樋48が一体形成されている。
また、メダルセレクタ43の矩形状のベース49の上面部には、側部がサブプレート50によって覆われ、メダル投入口25から落下するメダルを受け入れるメダル入口51が設けられており、このメダル入口51から入り込むメダルは、ベース49に形成されたメダルレール52aによる内部通路52に沿って案内されるようになっている。このメダルレール52aのメダル流下方向の中間部には、通路領域の上部にセレクトプレート53が配置されており、メダルレール52aを設けたベース49の壁と共働して、正規の大きさのメダルのみをガイドする高さ位置と溝幅のガイド溝を形成するようになっている。
このセレクトプレート53は、投入されたメダルが規格寸法よりも小さいメダルである場合、そのメダルが自重で後方に倒れてセレクトプレート53が形成する上記ガイド溝から外れ、メダルセレクタ43の直下に位置するキャンセルシュータ44に落下させる機能を有する。また、投入されたメダルが適正なものである場合は、そのメダルを、セレクトプレート53が形成する上記ガイド溝に沿ってメダルレール52aの下流側に案内し、下端の正メダル出口55(図4参照)からスロープ樋48へと排出する機能を有する。
さらにセレクトプレート53はベース49の前面側(図5の背面側)に設けられた回動軸(図示せず)を中心として揺動可能であり、上記ガイド溝を形成して適正メダルをガイドする「メダルガイド位置」と、上記ガイド溝より大きな間隔をあけて適正でないメダルの排出を行なう「メダル排出位置」とに、切り換わることができる。ベース49の前面側に取り付けられたブロッカーソレノイド54がON状態にあるときは、その磁気的吸引力によりセレクトプレート53がメダルガイド位置に位置付けされ、また、ブロッカーソレノイド54がOFF状態にあるときは、セレクトプレート53が図示していない復帰バネの力でメダル排出位置に位置付けされる。
またセレクトプレート53の上記回転軸より下方の部分には、内部通路52の案内面(メダルレール52aの表面)に突出して、通過するメダルを阻止する突起部53aが形成されている。この突出部は、セレクトプレート53がメダルガイド位置のとき、メダルレール52aの表面から没してメダルの流下を許す後退位置をとり、またセレクトプレート53がメダル排出位置のときは、メダルレール52aの表面から突出してメダルの流下を阻止する突出位置をとる。
そこで、セレクトプレート53がメダルガイド位置にあって上記ガイド溝が形成されているときは、メダルセレクタ43内の内部通路52が開成され、結果としてメダル投入口25からメダルホッパー12に至るメダル受入通路61の全体が開成状態となる。これは図6に示す通路切換機構47により、メダル投入口25から投入されたメダルの案内経路(内部通路52)が、遊技機内部に受け入れるメダル受入通路61の側に切り換えられたことを意味する。また、セレクトプレート53がメダル排出位置になり、したがって突起部53aが突出位置になって上記ガイド溝の形成が解除されたときは、メダルセレクタ43内の内部通路52が閉成され、結果としてメダル投入口25からメダルホッパー12に至るメダル受入通路61の全体が閉成状態となる。これは通路切換機構47により、メダル投入口25から投入されたメダルの案内経路(内部通路52)が、メダル返却通路71側に切り換えられたことを意味する。
投入されたメダルの受付可否については、ブロッカーソレノイドがON状態の場合、メダルセレクタ43はセレクトプレート53がメダルガイド位置でかつ突起部53aが後退位置である「メダル受付可能状態」になる。また、ブロッカーソレノイドがOFF状態の場合、セレクトプレート53はメダル排出位置でかつ突起部53aが突出位置である「メダル受付不可能状態」になる。遊技が開始されている期間中であるなどの遊技状況下では、メダルセレクタ43が上記のメダル受付不可能状態となり、メダル投入口25から投入されるメダルを強制的にキャンセルシュータ44から遊技者に返却する。
さらに、上記サブプレート50は、ベース49に設けた軸50aを中心として回動自在に装着され、通常はバネ50bによってベース49にサブプレート50の一部が当接するように付勢されている。またサブプレート50には、これをベース49に装着したとき、メダルレール52aの中間領域(内部通路52の傾斜路)に対応する部分に、開口部50cが形成されており、この開口部50c内にメダルレール52aが現出するようになっている。操作者が上記バネ50bに抗して返却ボタン26を押すと、サブプレート50がベール49から押し広げられて軸50aを中心に回動し、ベース49の通路面との間隔が大きく開くので、詰まったメダルや異物を下方に落下させることができる。
上記メダルレール52aの下流側には、メダルが流れる方向に沿って2つのフォトセンサ(ダブル反射型フォトセンサ)からなるメダル検出センサ56が配設されており、メダルがこれらのメダル検出センサ56を通過すると、所定時間、タイミングをずらした検知信号を、遊技中継基板42を介してスロットマシンの筐体1側の主制御基板17に出力する。このように2つのメダル検出センサ56を配置することで、メダルセレクタ43を通過するメダルの適正な数がカウントできると共に、メダルの詰まりや不正操作等の異常動作を確実に検出することが可能となる。そして、この2つのメダル検出センサ56を通過したメダルは、ブラケット46に設けられてメダルセレクタ43から後方に延在するスロープ樋48を介して、筐体1側に設置されたメダルホッパー12に案内される。
<メダル経路、図6>
図6は、上述したメダルの移動経路をメダル経路A〜Dとして概略的に示したものである。メダル経路Aは、メダルセレクタ43がメダル受付可能状態のときに形成されるメダル受入経路で、メダル投入口25からメダルセレクタ43を経てメダル排出装置11のメダルホッパー12に至るメダル受入通路61からなる。このメダル受入経路Aはメダル受入通路61が開成されること、すなわち通路切換機構47がメダル受入通路61側に切り換わることで出現する。
メダル経路Bは、遊技の結果に応じてメダル排出装置11からメダルを払い出すときに用いられるメダル払出経路で、メダル排出装置11の排出ディスク13aからメダル排出口57を出てメダル返却樋45に合流し、この合流点からメダル払出口36に至るメダル払出通路62からなる。なお、この実施形態の場合、メダル払出通路62のうち、上記合流点からメダル払出口36に至る通路部分は、メダル返却通路71の共用通路部分73により構成されている。
メダル経路Cは、メダル受付不可能状態のときにメダルセレクタ43内およびその直下に形成されるメダル落下経路で、メダルセレクタ43の通路切換機構47からメダル返却通路71の上部分であるキャンセルシュータ44に至るまでの経路からなる。このメダル経路Cはメダル受入通路61が閉成されること、すなわち通路切換機構47がメダル返却通路71側(メダル返却経路D側)側に切り換わることで出現する。
メダル経路Dは、キャンセルシュータ44を経てメダル返却樋45を流下するメダルをメダル払出口36に案内するメダル返却経路で、メダル返却通路71からなる。このメダル返却通路71は、メダル受入通路61が合流する上記合流点より上流側である上流通路部分72と上記共用通路部分73とで構成される。
したがってメダル払出口36にメダルが払い出されるメダル経路には二系統がある。その第1の系統は、メダル排出装置11の排出ディスク13aからメダル排出口57を出てメダル返却樋45に合流しメダル払出口36に至るメダル払出通路62による経路(メダル払出経路B)であり、第2の系統は、メダルセレクタ43の下端開口からメダル払出口36までに至るメダル返却通路71の全長に亘る経路(メダル返却経路D)である。
ここで、仮にメダル払出経路B上に2つのメダル検出センサをメダルの間隔以上に離して配置した構成にしておくと、両メダル検出センサが共にONした場合には、メダル払出経路B上にメダル払出口36およびメダル排出口57を通して不正に細長い部材等の異物が挿入された、と判断することが可能である。
しかし最近、細長い部材等の異物をメダル払出口やメダル投入口より挿入し或いは前扉を開けて取り付け、これをガイドとすることにより、メダル投入口25より投入されて本来はメダルホッパー12に導かれるべきメダルを、メダル返却通路71の上部入口(キャンセルシュータ44上)に導いて落下させ、メダル返却通路71を通してメダル払出口36にメダルを不正に戻してしまう、という不正行為(メダル返却ゴトと称される)が報告された。この不正行為がなされた場合、メダルは上記メダル返却経路Dを通過することとなるため、メダル払出経路Bに配置しているメダル検出センサでは、この新たな不正行為を検出することができない。
そこで、メダル返却経路Dを構成する上記メダル返却通路71のメダル排出口57より上流側の部位、本実施形態では上記メダル返却樋45のメダル排出口57より上流側の部位に、メダルの通過を検出するメダル検出センサ74を設けている。この実施形態の場合、メダル検出センサ74は、反射型の光センサをメダル返却樋45の幅方向(メダルの流下する方向と直交する方向)に3個並置してものから構成している。これはメダル返却樋45内を流下するメダルを、メダル返却樋45の幅方向の全域にわたり、全て正しく検出できるようにするためである。
このようにメダル返却経路Dのメダル排出口57より上流側の部位にメダル検出センサ74を配設しておくと、メダル返却経路Dを流れるメダルだけを、メダル払出経路Bを流れるメダルと区別して検出することができる。このメダル返却経路Dにメダルが流れる遊技状況時は、メダル受付不可能状態のときであり、仮にメダル受付可能状態のときにメダル検出センサ74でメダルが検出されたとすると、メダル詰まり解除作業のときを除いてあり得ない異常な状態である。
メダルセレクタ43がメダル受付不可能状態となる遊技状況時は、例えば、(a)メダル貯留装置にメダルが上限の50枚まで貯留(クレジット)されている場合、(b)遊技が開始されている場合、(c)動作異常(エラー発生中)の場合、(d)再遊技作動中の場合、(e)メダル貯留装置の貯留メダルを払い出している場合、(f)打ち止め状態の場合、(g)6段階の設定値の設定中及び6段階設定値確認中の場合、などである。このようなメダル受付不可能状態であれば、メダルがメダル返却経路Dを通して投入メダルが遊技者に返却されることは正常な事象の生起であり、正しい遊技状況であると把握される。
しかし、メダルセレクタ43がメダル受付可能状態となっているとき、すなわちメダルを投入して遊技を開始できる状態となっている状態下であるにも拘わらず、メダル返却通路71を流れるメダルがメダル検出センサ74により検出されたときは、メダル詰まり解除時を除けば、通常ではあり得ない遊技状況であり、上記のメダル返却ゴトの不正が行われていると判断することが可能である。そこで本実施形態では、上記主制御基板17のCPUにより、この判断を行い、不正行為があったとみなされる場合は、異常である旨の報知信号を発生させる。
<制御装置、図7>
図7に示すように、本実施形態に係る回胴式遊技機の制御装置は、遊技動作全般の制御を司る主制御基板17と、演出手段を制御するための演出制御基板38および液晶制御基板39と、外部電源から遊技機に必要な電源を生成し供給する電源基板16とを中心に構成されている。
主制御基板17は、図示はしていないが、各種遊技動作を制御するための制御プログラムを記憶するROM、作業領域として一時的にデータを記憶するRAM、上記制御プログラムにしたがって遊技動作に係る処理を実行するCPUを備え、1チップマイクロコンピュータとして構成されている。また主制御基板17には、基本回路として、図示はしていないが、回胴中継基板64、払出中継基板59、または遊技中継基板42からの各種情報が入力される入力ドライバ回路、回胴駆動モータなどを制御するための駆動回路、ハードウェア的に乱数値を生成するカウンタ回路、CTC(Counter Timer Circuit)、割り込みコントローラなどが形成されている。
主制御基板17には、遊技中継基板42を介して遊技機本体に配置された各種スイッチやセンサ類等が接続されている。具体的には、主制御基板17には、遊技中継基板42を介して、メダル投入口25からの遊技メダルを検出するメダル検出センサ56と、MAXBETボタン27の操作を検出するMAXBETスイッチ27aと、貯留メダル投入ボタン28の操作を検出する貯留メダル投入スイッチ28aと、貯留メダル精算ボタン29の操作を検出する貯留メダル精算スイッチ29aと、回胴回転始動レバー31の操作を検出する回胴回転始動スイッチ31aと、回動停止スイッチ基板41と、が接続されており、これらからの信号が入力される。また、回動停止スイッチ基板41には、3個の回胴回転停止ボタン32の操作を検出する回胴回転停止スイッチ32aや各回胴回転停止ボタン32の内部に設けられるLEDが搭載されている。
また、主制御基板17には、遊技中継基板42を介して、メダルセレクタ43をメダル受付可能状態とメダル受付不可能状態とに切り換える駆動手段であるブロッカーソレノイドが接続されていると共に、上記メダル返却通路71(メダル返却経路D)を通過するメダルを検出するメダル検出センサ74(図6参照)が接続されている。
また、主制御基板17には、回胴中継基板64を介して回胴装置ユニット10の回胴9を回転駆動するための回胴駆動モータ65および回胴位置検出センサ66が接続され、回胴駆動モータ65を制御して、各回胴9の回転動作および目的とする位置への各回胴の停止動作を実現している。
また、主制御基板17には、払出中継基板59を介してメダル払出装置11が接続されている。メダル払出装置11には、メダル払出制御基板58、メダル払出センサ63およびホッパーモータ60が配置されており、メダル払出制御基板58は、主制御基板17から送信された遊技メダルの払い出しに関する払出制御コマンドに基づき、ホッパーモータ60を駆動制御して、目的とする枚数の遊技メダルを払い出す。払い出された遊技メダルは、メダル払出センサ63によって検出される。
さらに、主制御基板17には外部集中端子基板67が接続されていて、ホール全体の遊技機を統括的に管理するホールコンピュータHCに所定の遊技情報を送信可能となっている。また、さらに主制御基板17には、回胴設定基板18が接続されている。回胴設定基板18は、ホール関係者が所持する設定鍵を挿入するための設定キースイッチ、上記設定鍵が挿入されることを条件に遊技の出玉率に変化をもたらす「設定」を変更したり遊技動作に異常状態が発生した場合にこれを解除したりするためのリセットスイッチ等が設けられている。
主制御基板17には、演出I/F基板68を介して演出制御基板38と液晶制御基板39とが接続されている。
演出制御基板38は、主制御基板17からの演出制御コマンドを受けて、スピーカ37や装飾ランプ部24やLED(LED基板24a)の制御を中心的に司る制御基板である。また演出制御基板38は、主制御基板17から送信される演出制御コマンドを受けて、これに関連付けられた液晶コマンドを液晶制御基板39に送信する。
液晶制御基板39は、演出制御基板38からの液晶コマンドを受けて、液晶表示装置22を駆動制御し、演出内容に沿った画像を表示して画像による演出を実現している。この液晶制御基板39には、図示はしていないが、液晶制御CPU、液晶制御RAM、液晶制御ROM、画像ROM、ビデオRAM、画像IC等を備えている。液晶制御CPUは、液晶コマンドに基づいて、液晶制御ROMに記憶された画像制御プログラムに従い、液晶表示装置22に表示する演出内容を決定する。液晶制御RAMは、液晶制御CPUによる画像制御プログラムの実行の際、データ(プログラムで使用されるフラグや変数の値)を一時的に記憶する作業領域として利用される。画像ICは、液晶制御CPUで決定された演出に沿った画像データを画像ROMから読み出し画像を形成し、液晶表示装置22に出力する。ビデオRAMは、画像ICが画像を形成する際に発生するデータを一時的に記憶する作業領域として利用される。
<主制御側のメイン処理:図8〜図11>
次に、図8〜図11を参照して、上記回胴式遊技機の遊技動作制御について説明する。図8は、遊技動作制御プログラムに従い主制御基板17(メインCPU)が実行する主制御側のメイン処理を示すフローチャートである。
電源が投入されると、主制御基板17は、遊技動作開始前における必要な初期設定処理を行う(ステップS101)。この初期設定処理では、各種基板や遊技部品(各スイッチ類やセンサ類)の接続状態の確認、CTCを含む内蔵レジスタやI/Oの初期化、メインRAMのワーク領域を書き込み許可にする等、遊技動作開始前における必要な初期設定を実行する(電源遮断前の遊技状態に復帰可能であれば、遊技復帰処理を実行する)。
そして、上記初期設定処理(ステップS101)が正常に終了した場合、処理状態に応じて以下に説明するステップS102〜ステップS119の処理を実行する。
主制御基板17は、所定のワーク領域をクリアし、次回の遊技を開始させるために必要なワーク領域を確保するRAM初期化処理を実行する(ステップS102)。
次に、主制御基板17は、満杯検知金具からなる満杯検出センサ14aのON、OFF状態を監視し、満杯状態であれば所定のエラー処理を実行する(ステップS103)。
次に主制御基板17は、遊技メダル投入処理を実行する(ステップS104)。この遊技メダル投入処理の具体的内容を図9に示す。
この遊技メダル投入処理では、まず、メダル受入経路Aに関し、メダル投入口25から投入されたメダルを検出するメダル投入検出処理(ステップS121)と、電磁的方法よってメダル貯留装置に記憶した貯留数(クレジット)からの擬似的投入であるクレジット投入を検出するクレジット投入検出処理(ステップS122)とが行われる。そして、投入されたメダルの枚数の計数やクレジットされたメダルの精算に関する精算処理が行われる(ステップS123)。
次いで、主制御基板17はメダル返却通路71(メダル返却経路D)を通過する異常なメダルを検出するための異常検出処理を実行する(ステップS124)。この異常検出処理は、メダルを受け付けて遊技を開始し得る条件が整っている期間中にも関わらず遊技者にメダルが返却されるという異常な状態の監視、つまりメダル受付可能状態のときにメダル返却経路D中にメダルが通過するという事象の発生を監視する処理である。
図10はこの異常検出処理の内容を示したものである。主制御基板17のメインCPUは、メダル返却通路71に設けたメダル検出センサ74がメダルを検出したか否かをチェックする(ステップS131)。
メダル検出センサ74がメダルを検出した場合(ステップS131:YES)、次いでブロッカーソレノイド54がON状態にあるか否か、つまりメダルセレクタ43がメダル受付可能状態にあるか否かを判断する(ステップS132)。ブロッカーソレノイド54がOFF状態(メダル受付不可能状態)にある場合(ステップS132:NO)、メダル投入口25から投入したメダルはメダル返却経路Dを通してメダル払出口36に返却されるので、メダル返却経路Dを流下するコインが検出されても何ら異常ではなく正常な事象であると捉えられる。したがって、ブロッカーソレノイド54がOFF状態の場合は何もしないで、この異常検出処理を抜ける。
しかし、ブロッカーソレノイド54がONしている状態、つまりメダルセレクタ43がメダル受付可能状態であるにも拘わらず、メダル返却経路Dに流下するメダルがメダル検出センサ74により検出された場合は(ステップS132:YES)、その原因としていわゆる返却ゴトなどの不正行為に基づくことが考えられる。そこで、主制御基板17のCPUは、内部の返却カウンタ(H)を1加算して(ステップS133)、その返却カウンタ(H)の値Hが、単位遊技の開始に必要な最大投入枚数(ここでは3枚とする)以上(H≧3)となったか否かを判断する(ステップS134)。
このようにメダル受付可能状態下でメダルが検出された場合でも、直ちに遊技状況が異常であると判断せず、返却カウンタ(H)が単位遊技の開始に必要な最大投入枚数に対応する値までカウントアップするのを待つ理由は、メダルセレクタ43でメダル詰まりが発生した場合、2枚のメダルが詰まりを生じさせているため、そのメダル詰まりを解除したときには、その2枚のメダル(単位遊技に必要な3枚未満)がメダル返却経路Dに流れ落ちる、と考えられるからである。
そこでメダルがメダル返却経路Dで検出されたメダルが3枚未満(通常2枚)の場合は(ステップS134:NO)、異常である旨の報知信号を発することなく、この異常検出処理を抜ける。
一方、返却カウンタ(H)の値がH≧3となった場合(ステップS134:YES)、メインCPUは遊技状況が異常であるとみなし、その旨の異常報知信号を発生する(ステップS135)。この異常報知信号は、外部集中端子基板67を介してホール全体の遊技機を統括的に管理するホールコンピュータHCに送信される。かくして異常検出処理を終える。
図9に戻り、ステップS124からステップS125に進み、上記メダル投入検出処理、上記クレジット投入検出処理および上記精算処理を経た結果から、メダルが規定枚数だけ投入されたか否かを判断する(ステップS125)。まだ規定枚数(ここでは3枚)の投入がなされていないときは(ステップS125:NO)、ステップS121に戻り、ステップS121〜S124を繰り返し、次のメダルが投入されるのを待つ。投入されたメダル数が規定枚数(3枚)に達して遊技開始条件が満たされた場合は(ステップS125:YES)、ステップS126に進み、遊技者により回胴回転始動レバー31が操作されたか否か、つまり回胴回転始動スイッチ31aがONされたか否かをチェックする(ステップS126)。回胴回転始動スイッチ31aがONされていなければ(ステップS126:NO)、ステップS121に戻り、ステップS121〜S124を繰り返すことで、回胴回転始動スイッチ31aがONされるのを待つ。その後、遊技者により回胴回転始動レバー31が操作されると、回胴回転始動スイッチ31aがONされるので(ステップS126:YES)、これにより遊技メダル投入処理を終了し、ステップS104(図8)に戻る。
上記のように、この遊技メダル投入処理(図9)においては、メダルの投入(クレジットによる擬似的投入も含む)により遊技開始条件が満たされた際、遊技者により回胴回転始動レバー31が操作されたか否か、具体的には、回胴回転始動スイッチ31aからの回胴回転開始信号を受信したか否かを監視しており、回胴回転開始信号を受信しない限り、次のステップS105の処理には移行されないようにしている。
したがって、本実施形態の回胴式遊技機における「遊技」は、遊技者によるメダル投入により遊技開始の条件が整い、回胴回転始動レバー31を操作して回胴を回転開始させてから、回胴回転停止ボタン32を操作して回胴を停止させることで、各回胴の停止位置により定まる図柄の組み合せによって遊技結果が得られるまで(ここでいう遊技結果とは、有効入賞ライン上に入賞役が揃い、これに応じた遊技価値が付与されることを意味する)の一連の工程を1回の遊技(単位遊技:1ゲーム)として、繰り返される遊技である。
図8のステップS104に戻り、次に、主制御基板17は、カウンタ回路のカウンタ値に基づいて内部抽選用乱数値を抽出する(ステップS105)。上記内部抽選用乱数値を抽出するタイミングは、回胴回転始動レバー31が操作された際、回胴回転始動スイッチ31aからの回胴回転開始信号を主制御基板17が受信したタイミングで行われる。上記抽選用乱数は主制御基板17のカウンタ回路によって生成されが、ハードウェア乱数に限られることはなく、CPUに所定のプログラムを実行させることによって生成するソフトウェア乱数を用いても良い。
次に、主制御基板17は、ステップS105の処理で抽出した内部抽選用乱数値に基づき、入賞役に関する抽選を行う図柄抽選処理を実行する(ステップS106)。この図柄抽選処理は、上記内部抽選用乱数値と抽選テーブルとに基づき、入賞役の当否を決定し、抽選結果に基づく抽選結果情報(どの入賞役に当選したのかを示す情報をいい、例えば内部当選フラグが該当する)を生成する処理である。抽選結果情報は、メインRAMの所定の領域に格納される。この抽選結果情報は毎遊技ごとにクリアされるが、BB(ビックボーナス)役の当選情報に限り、これらの入賞が確定するまで、その情報は次回以降の遊技に持ち越される。
ステップS107では、各回胴9の回転を開始させるための回胴回転始動時の設定を行う回胴回転開始設定処理を実行する(ステップS107)。また、ここでは回胴回転始動レバー31の操作時に、入賞役の当選情報や遊技状態情報を含む「回転開始コマンド」の送信を行う。
その後、回胴回転停止ボタン32が操作された場合、各回胴回転停止ボタンに対応する回胴を停止させる回胴停止処理を実行する(ステップS108)。この回胴停止処理では、上記抽選結果情報と回胴回転停止ボタン32の操作タイミングとに基づいて、停止制御用テーブル(以下単に「停止テーブル」という)が参照され、当選した入賞役に対応する図柄を停止させるための停止制御データ(引き込みコマ数等)が生成される。この生成されたデータに基づいて、回胴の停止制御が行われる。
次に、主制御基板17は、入賞判定処理を実行する(ステップS109)。この入賞判定処理では、当選した入賞役が有効入賞ライン上で成立したか否かの判定をする停止図柄判定処理や、入賞確定時における遊技メダルの払い出しの枚数を設定する払出設定処理を行う。
次に、主制御基板17は、上記入賞判定処理(ステップS109)で設定された払い出し枚数に基づき、クレジットを加算したり、メダル払出装置11を駆動制御して遊技メダルを払い出すための遊技メダル払出処理を実行する(ステップS110)。
次に、遊技状態の移行を管理制御するための遊技状態移行管理処理を実行する(ステップS111)。
次に、主制御基板17は、有効入賞ライン上に成立した入賞役の図柄が、リプレイ(再遊技)役なのか、BB(ビッグボーナス)役なのか、あるいはBB遊技中であるのかを、順に見て行く(ステップS112〜S114)。
まず、主制御基板17は、リプレイ役が有効入賞ライン上に成立したか否かを判定する(ステップS112)。リプレイ役が成立している場合(ステップS112:YES)、再遊技を行うために必要な処理(再遊技作動開始処理)を実行する(ステップS118)。そして、再遊技作動開始処理(ステップS118)を実行した後、RAM初期化処理(ステップS102)に移行する。一方、リプレイ役が成立していない場合(ステップS112:NO)、次に主制御基板17は、BB役が有効入賞ライン上に成立したか否かを判定する(ステップS113)。
BB役が成立している場合(ステップS113:YES)、BB遊技を開始するために必要な設定処理(BB作動開始処理:ステップS119)を行った後、RAM初期化処理(ステップS102)に移行する。一方、BB役が成立していない場合(ステップS113:NO)、次に主制御基板17は、BB作動中であるか否かを判定する(ステップS114)。
BB作動中でない場合(ステップS114:NO)、そのままRAM初期化処理(ステップS102)に移行する。一方、BB作動中である場合(ステップS114:YES)、次に主制御基板17は、BB遊技を進行する上で必要な処理(BB遊技管理処理:ステップS115)を実行した後、BB遊技の終了条件を満たしたか否かを判定する(ステップS116)。
BB遊技の終了条件を満たしていない場合(ステップS116:NO)、そのままRAM初期化処理(ステップS102)に移行する。一方、BB遊技の終了条件を満たした場合(ステップS116:YES)、BB作動中に使用したメインRAMのワーク領域をクリアして(ステップS117)、ステップS103の処理へ移行する。なお、BB遊技終了後には、通常遊技に移行するようになっている。
<主制御側のタイマ割り込み処理:図11>
次に、図11を参照して、上記主制御側のメイン処理において1.5ms程度ごとに実行される主制御側のタイマ割り込み処理について説明する。このタイマ割り込み処理は、CTC内部からのマスク可能(maskableinterrupt)な割り込み信号に基づいて実行される。
タイマ割り込みが発生した場合、主制御基板17は、まずレジスタを所定のスタック領域に退避させ(ステップS201)、ポート入力処理を実行する(ステップS202)。このポート入力処理は、回胴式遊技機の総てに配置された各種スイッチや各種センサから入力された信号を確認して、入力された信号を管理するデータの作成を行い、作成した入力データを割り込みごとに記憶更新する処理である。
次に、主制御基板17は、各回胴9の回転制御および停止制御を行うための回胴回転制御処理を実行する(ステップS203)。この回胴回転制御処理では、回胴位置検出センサ66の検出信号の検出タイミングと各回胴駆動モータ65に供給した出力相パターンの出力回数とにより、各回胴9の現在位置を把握する。また、各回胴の回転開始後に各回胴がそれぞれ一定の回転速度になったか否かの検出も行われる。
次に、各種遊技動作に必要なタイマの更新を割り込みごとに行い、ウォッチドッグタイマを定期的にクリアする(定期更新処理:ステップS204)。これによりプログラムの暴走が監視される。
次に、遊技の進行に伴う処理状態に応じて、上記演出制御コマンドを演出制御基板38に送信する(コマンド出力処理:ステップS205)。演出制御基板38は、この演出制御コマンドを受信して、所定の演出処理を実行する。
次に、メダル情報出力処理を実行する(ステップS206)。このメダル情報出力処理は、遊技メダルが投入された旨のメダル投入信号や遊技メダルが払い出された旨のメダル払出信号等を出力する処理である。上記各信号は、外部集中端子基板67を介して、ホールコンピュータHCに送信される。ホールコンピュータHCは、上記メダル投入信号や上記メダル払出信号等に基づき、遊技島に設置されている各遊技機に投入された遊技メダルの枚数や払い出された遊技メダルの枚数を管理する。
次に、主制御基板17は、遊技機の装飾ランプ部24などに配設されたLEDの発光を制御するための発光制御信号を出力する(表示出力処理:ステップS207)。
そして、上記の処理(ステップS201〜ステップS207)を実行した後、退避したレジスタの内容を復帰させ(ステップS208)、メインCPUを割り込み許可状態に設定して(ステップS209)、タイマ割り込み処理を終了する。
[第2の実施形態、図12]
上記実施形態では、メダル払出経路Bとメダル返却経路Dとを途中で合流させた構成としたが、図12に第2の実施形態として示すように、メダル払出経路Bのメダル払出通路62とメダル返却経路Dのメダル返却通路71とが共通部分を有しない独立の系統である構成としてもよい。この第2の実施形態の場合、メダル返却経路Dのメダル返却通路71は独立にメダル払出口36まで達しており、またメダル払出経路Bのメダル払出通路62も独立に専用の第2のメダル払出口36aまで達している。
このようにメダル払出経路Bとメダル返却経路Dが独立している構成の場合、メダル検出センサ74をメダル返却経路D中のいずれの場所に配設するかは自由である。この第2の実施形態の場合、メダル検出センサ74はメダル返却通路71においてメダル排出口57より距離ΔLだけ下流側の位置に設けてある。このようにメダル検出センサ74をメダル排出口57より下方に配設しても、メダル払出経路Bを流れるメダルと区別して、メダル返却経路Dに流れるメダルを正しく検出することができる。
[第3の実施形態、図13]
図13に第3の実施形態を示す。この第3の実施形態は、メダル払出経路Bのメダル払出通路62とメダル返却経路Dのメダル返却通路71とを途中で合流させ、それより下流側を共通の通路部分として構成している点で上記第1の実施形態と同じである。しかし、図13から判るように、メダル払出装置11のメダル排出口57は、メダル払出経路Bのメダル払出通路62の合流点より上流側にあり、メダル排出口57の位置が、メダル払出経路Bとメダル返却経路Dの合流点より距離ΔLだけ上方に離れている。そして、メダル検出センサ74はメダル返却経路Dのメダル返却通路71において上記合流点の近傍に設けられている。この結果、メダル検出センサ74はメダル返却通路71においてメダル排出口57より距離ΔLだけ下流側に位置している。この点で上記した第1の実施形態(図6)と異なる。
このようにメダル検出センサ74をメダル排出口57より下方に配設しても、第1の実施形態の場合と同様に、メダル払出経路Bを流れるメダルと区別して、メダル返却経路Dに流れるメダルを正確に検出することができる。
[第4の実施形態、図14]
図14に第4の実施形態を示す。これは図10のフローからステップS133とステップS134を省き、メダル返却経路Dを流下するメダルが検出された場合(ステップS131:YES)、それがメダル受付可能状態であったときは(ステップS132:YES)、直ちに異常報知信号を発生(ステップS135)させる構成としたものである。ここで異常報知信号に基づく異常報知は、ホールコンピュータHCの側または遊技機側であまり大きくない警告音を出力する程度にとどめる。
上記第1の実施形態では、メダル受付可能状態でメダル返却経路Dを流下するメダルが検出された場合でも、その検出されるメダルの枚数が、単位遊技の開始に必要な最大投入枚数に達するまで(3枚未満)は異常と判断しない構成とした。その理由は、メダルセレクタ43で発生したメダル詰まりを解除した際に、その解除したメダルがメダル返却経路Dに流れ落ちても異常報知信号が生起されないようにするためであった。
しかし、この第3の実施形態のように、メダル受付可能状態でメダル返却経路Dを流下するメダルが検出された場合、直ちに異常報知信号を発生させる構成とすることもできる。その理由として、上記のようなメダル詰まり解除により異常報知信号が発生したとしても、その発生頻度は、返却ゴトの不正行為が行われている場合に比べて低いと考えられる。たとえば返却ゴトの不正行為が行われている場合は単位遊技が1回行われる度に毎回3枚が検知されるのに対し、メダル詰まり解除の頻度は単位遊技が数十回行われたときに1回といった程度の低い割合で発生すると考えられる。しかも、異常報知といっても警告音を小さく出力する程度にとどめておくことにより、異常報知信号は不正行為の可能性をそれとなく示唆する程度のものとなる上に、この程度の異常報知信号の発生が何度も繰り返されるならば不正行為の存在を疑う、という段階的な判断を行うことが可能であるからである。
[第5の実施形態、図15]
図15は、第5の実施形態として、上記のような段階的な判断を行うようにした異常検出処理を例示したものである。
図15において、ステップS141〜S144は第1の実施形態(図10)のステップS131〜S134と同じである。まず、メダル受付可能状態であるにも拘わらず、メダル検出センサ74によりメダルが検出された場合、そのメダルの数を返却カウンタ(H)により計数し、その返却カウンタ(H)の値Hにより、単位遊技の開始に必要な最大投入枚数(3枚)以上の数が検出されたのか否かを判断する(ステップS141〜S144)。
ステップS144において、返却カウンタ(H)の値Hが、単位遊技の開始に必要な最大投入枚数(3枚)以上(H≧3)になったと判断した場合(ステップS144:YES)、主制御基板17のCPUは、内部の警告カウンタ(K)を1加算して(ステップS145)、その警告カウンタの値Kが、予め定めた限界値(ここではK≧3とする)に達したか否かを判断する(ステップS146)。そして警告カウンタ(K)の値が3以上(K≧3)となった場合(ステップS146:YES)、メインCPUは不正行為があったとみなし、異常である旨の報知信号を発生する(ステップS305)。この異常報知信号は、外部集中端子基板67を介してホール全体の遊技機を統括的に管理するホールコンピュータHCに送信される。
このように、単位遊技の開始に必要な最大投入枚数(3枚)以上の数のメダルが検出された場合でも、その事象が1回発生しただけでは異常の報知を行わず、その事象の発生回数が限界値のK回(K≧3)以上行われた場合に、遊技状態が異常である旨の異常報知信号を出力する構成とすることで、不正行為の有無について判断する精度を高めることができる。
[第6の実施形態、図16]
上記実施形態では、メダル受付可能状態であるか否かを、異常な遊技状態と判断する条件の一つとした。しかし、メダル受付可能状態であるか否かを判断条件としないで、遊技状態が異常であるか否かを判断することもできる。
図16に、第6の実施形態として、メダル受付可能状態であるか否かを判断条件としない異常検出処理の例を示す。
この異常検出処理の場合、まずメダル返却経路D中に設けたメダル検出センサ74がメダルを検出したか否かをチェックする(ステップS151)。メダル検出センサ74がメダルを検出した場合(ステップS151:YES)、主制御基板17(メインCPU)は、内部の返却カウンタ(H)を1加算して(ステップS152)、その返却カウンタ(H)の値Hが、単位遊技の開始に必要な最大投入枚数(ここでは3枚とする)以上(H≧3)となったか否かを判断する(ステップS153)。
主制御基板17のCPUは、一方において返却カウンタ(H)の値Hが最大投入枚数(3枚)未満であれば(ステップS153:NO)、メダル詰まりと判断されるので、何もしないでこの処理を終了する。しかし他方において、返却カウンタ(H)の値Hが、単位遊技の開始に必要な最大投入枚数(3枚)以上(H≧3)であれば(ステップS153:YES)、内部の警告カウンタ(K)を1加算し(ステップS154)、その警告カウンタの値Kが、予め定めた限界値(ここではK≧3とする)に達したか否かを判断する(ステップS155)。そして警告カウンタ(K)の値Kが3以上(K≧3)となった場合(ステップS155:YES)、異常な遊技状態であるとみなし、異常である旨の報知信号を発生する(ステップS156)。この異常報知信号は、外部集中端子基板67を介してホール全体の遊技機を統括的に管理するホールコンピュータHCに送信される。
このように遊技媒体受付可能状態であるか否かを判断条件としなくても、最大投入枚数(3枚)以上のメダルが検出された事象の発生回数を、警告カウンタで限界値まで計数することにより、通常時の返却メダルに直ぐに反応することを避けて、メダル返却通路71に流下するメダルを検出したことに基づいて、遊技状況が異常か否かを判断することができる。たとえば、再遊技中のような受付不可能状態にある遊技状況時において、遊技者が誤ってメダルを投入した場合でも、これを異常な遊技状態と判断しないように処理することができ、結果として異常なメダルの返却のみを検出することができる。
また、上記実施形態の場合、メダル検出センサ74は、反射型の光センサをメダル返却樋45の幅方向(メダルの流下する方向と直交する方向)に3個並置して無接触式のセンサとして構成したが、透過式の光センサを用いてもよいし、接触式のセンサを用いてメダル検出センサ74を構成することもできる。またメダル検出センサ74を構成するセンサ要素の数にも制限はない。
またメダル返却樋45内の通路幅を途中で狭めて、そこを直列にメダルが流下するように整流し、その整流部を通過するメダルを1つまたは複数の光センサまたは接触式センサからなるメダル検出センサ74で検出する構成とすることもできる。