JP4524744B2 - 有機マスクの形成方法及び該有機マスクを利用したパターン形成方法 - Google Patents

有機マスクの形成方法及び該有機マスクを利用したパターン形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機マスクの形成方法及び該有機マスクを利用したパターン形成方法に関する。
本発明に関する現時点での技術水準をより十分に説明する目的で、本願で引用され或いは特定される特許、特許出願、特許公報、科学論文等の全てを、参照することでそれらの全ての説明を組入れる。
レジストパターンをマスクとして使用し下地膜をエッチングする工程は、半導体装置を形成する際に必須の工程である。エッチングとしては、ウエットエッチングに代表される等方性エッチングと、ドライエッチングに代表される異方性エッチングとがある。本願明細書で言う等方性エッチングとは、エッチングの方向が、上下のみならず左右方向にもエッチングが進行する場合を示しており、必ずしも上下左右が同一エッチング速度で進行しない場合も含むものとする。更に本願明細書で言う異方性エッチングとは、有機マスクの下部には、エッチングがほとんど進行しないほど上下と左右方向のエッチング速度が異なる場合を言うものとする。但し、ドライエッチングの中でも、プラズマ放電の方式、処理圧力、エッチング対象材料、処理ガスの種類によりその性質が異なり、比較的に等方性の傾向が強く見られる場合(以下、等方性ドライエッチングと呼ぶ)と、異方性の傾向が強い場合(以下、異方性ドライエッチングと呼ぶ)がある。これら異なる性質のエッチングは、エッチングを行う際の条件を考慮してより適当な方が選択される。レジストパターンをマスクとして使用しエッチングした下地膜の側面が垂直或いは逆テーパー形状を呈している場合、レジストマスク除去後に上層膜を形成した際ステップカバレージが悪く絶縁不良や断線等の膜欠陥を誘発するという問題点があった。このため、前記いずれのエッチング方法であってもエッチングされた下地膜パターンがテーパー化されていることが強く求められる。
ウエットエッチングを使用してエッチングした際に下地膜のテーパー化を実現した従来技術が特許文献1(特許第3157634号)に開示されている。基板上に形成した下地膜としての被エッチング膜であるクロム膜上にレジストを塗布する。露光及びその後の現像によりレジストパターンを形成する。クロム膜とレジストの界面の親水性を高めるために液温と浸漬時間とを制御要素とする親水化処理飽和領域内の条件を処理条件として高親水化処理を行う。クロム膜をウェットエッチングして該クロム膜をテーパーを有するパターンにパターンニングする。この従来技術によれば、レジストとクロム膜との親水性を高める高親水化処理を行うことで、クロム膜のエッチング端面をテーパー形状にする。
更に、被エッチング膜としてのクロム膜のウエットエッチング端面をテーパー化する別の従来技術が特許文献2(特公平7−7757号)に開示されている。基板上に形成した下地膜としての被エッチング膜であるクロム膜上にフェノールノボラック樹脂を主鎖とするレジストを所定のパターンに形成し、硝酸を2モル/リットル以上含むエッチング液にてクロム膜をウエットエッチングすることで、クロム膜のエッチング端面をテーパー形状にする。エッチング液中の硝酸濃度を高くすることで、基板をエッチング液に浸漬することで、該エッチング液中の高濃度の硝酸によりレジストパターンが剥されはじめると共に、該エッチング液中の酸化剤によりクロム膜が酸化され、エッチング液中にイオンとなり溶出しエッチングが進行する結果、クロム膜のエッチング端面がテーパー形状となる。即ち、この従来技術によれば、エッチング液中の硝酸濃度を高くすることで、クロム膜のエッチング端面をテーパー形状にする。
被エッチング膜としてのクロム膜のドライエッチング端面をテーパー化する従来技術が特許文献3(特開平8−195505号)に開示されている。GaP基板上にp型GaP層とn型GaPとからなるpn接合層を形成し、更にpn接合層上にレジストを塗布した後、露光及び現像によりレジストパターンを形成する。その後、レジストパターンの熱リフローを利用しレジストパターンを半球形状に変形する。変形したレジストパターンをマスクとして使用してドライエッチングすることで、レジストが後退すると共に被エッチング膜にレジストの半球形状パターンが転写される。
被エッチング膜としてのクロム膜のドライエッチング端面をテーパー化する別の従来技術が特許文献4(特開2003−86493号)に開示されている。順テーパー形状のパターンをマスクパターンとして、基材をドライエッチングする際、パターンと基材とのエッチング選択性が不充分であれば、基材のエッチングの際に、パターン自体が減少する。パターンの減少によってパターンの裾部分でパターンの層厚が序々に薄くなるため、形成される基材パターンは部分的に厚さの減少を生じるものの、基材パターンのエッジ部分での形状不良が発生し、所望する長さの基材パターンが得られないという問題があることが開示されている。
特許文献1乃至特許文献4に開示の前述した従来技術はいずれも被エッチング膜のエッチング面のテーパー化を実現するが、エッチングされた下地膜パターンのテーパー角は、レジストマスクやエッチングの条件により決定され、このテーパー角を広範囲で自由に且つ高い精度で制御及び調整することは難しかった。
更に、特許文献1及び特許文献2に開示の前述した従来技術はいずれも特許文献1、2の技術の処理前にレジストマスクが有する下地膜との密着力が弱い場合には、レジストマスクを使用して行うウエットエッチング工程で、特許文献1、2の技術では、テーパー角度が大き過ぎたり、レジストマスクが剥離する可能性があり、下地膜と密着力が強い場合には、その特許文献1、2の技術では、テーパーが小さ過ぎたり、テーパー化しない可能性があった。
従って、上記従来技術が抱えていた欠点及び問題が生じることのない、有機マスクの形成方法及び該有機マスクを利用したエッチング方法を提供することが望まれていた。
特許第3157634号公報(段落番号0013、段落番号0014及び図4) 特公平7−7757号公報(第4欄第1行目乃至第15行目及び図1) 特開平8−195505号公報(段落番号0019、段落番号0020及び図1) 特開2003−86493号公報(段落番号0011及び図8)
従って、本発明の目的は、上記従来技術が抱えていた欠点及び問題が生じることのない有機膜により形成されたマスク(以下、有機マスクと呼ぶ)の形成方法を提供することにある。
更に、本発明の目的は、上記従来技術が抱えていた欠点及び問題が生じることのない有機マスクを利用したエッチング方法を提供することにある。
本発明の更なる目的は、本発明に関する処理工程前の有機マスクが有する下地膜との密着力に依存せず、本発明に関する処理工程後の有機マスクの中心領域においては十分高い下地膜との密着力を有すると共に周囲領域においては下地膜との密着性が低く調整された等方性エッチング用の有機マスクを形成する新規な方法を提供することにある。
本発明の更なる目的は、中心領域においては十分高い下地膜との密着力を有すると共に周囲領域においては下地膜との密着性が低く調整された等方性エッチング用の有機マスクを使用し下地膜を等方性エッチングすることで、有機マスクの剥離を防止すると共にエッチングされた下地膜パターンのテーパー角を広範囲で自由に且つ高い精度で制御及び調整することを可能にする新規な等方性エッチングの方法を提供することにある。
本発明の更なる目的は、テーパー化された周囲領域のテーパー角が調整された異方性エッチング用の有機マスクを形成する新規な方法を提供することにある。
本発明の更なる目的は、テーパー化された周囲領域のテーパー角が調整された異方性エッチング用の有機マスクを使用し下地膜を異方性エッチングすることで、エッチングされた下地膜パターンのテーパー角を広範囲で自由に且つ高い精度で制御及び調整することを可能にする新規な異方性エッチングの方法を提供することにある。
本発明の更なる目的は、有機膜の表面の変質層を処理又は除去することで該有機溶剤が有機パターン中に浸透しやすくするための薬液並びに該薬液の使用方法を提供する。
[ウエットエッチング又は等方性ドライエッチングを利用したパターン形成方法]
更に、本発明の第二の側面によれば、下地膜上に形成した少なくとも1種類の有機物質を含む有機パターンを有機溶剤に接触させて前記有機パターンに前記有機溶剤を浸透させ、前記下地膜と前記有機パターンの密着力の一部、又は全部を低下させた有機マスクを形成する工程と、前記有機マスクを使用して前記下地膜をウェットエッチング、又は等方性ドライエッチングを行う工程とを含むパターン形成方法を提供する。
より詳細には、前記有機パターンの表面から内部に向かって前記有機溶剤を浸透させ、前記有機溶剤が浸透した前記有機パターンの浸透領域の体積膨張を引起こすと共に、前記有機溶剤が浸透していない非浸透領域の底部と前記下地膜との密着力を維持する一方で、前記浸透領域の底部と前記下地膜との密着力を低下させることで、少なくとも前記非浸透領域の底部の密着力より前記浸透領域の底部の密着力を低下させる。更に、前記非浸透領域の底部が有していた密着力より低い範囲で、前記浸透領域の底部の一旦低下した密着力を増加するよう密着力調整のための熱処理を、有機溶剤への接触工程後であって等方性エッチング工程前に行うことが重要である。
本発明の第一及び第二の側面は、有機マスクの周囲領域が有する下地膜との密着力の低下の程度を調整することで、等方性エッチングされた下地膜のテーパー角を調整することが可能であることに基づくものである。即ち、ウエットエッチングに代表される等方性エッチングのマスクとして該有機マスクを用いる場合、等方性エッチングされた下地膜のテーパー化には、該有機マスクの周囲領域が有する下地膜との密着力の低下の程度が重要となる。換言すれば、該有機マスクの周囲領域が有する下地膜との密着力の低下の程度を調整することで、等方性エッチングされた下地膜のテーパー角を調整することが可能である。該有機マスクの周囲領域が有する下地膜との密着力の低下により、下地膜の上部領域における等方性エッチングの水平方向エッチング速度が増加し、等方性エッチングされた下地膜のテーパー化が増大即ちテーパー角が小さくなる。逆に、該有機マスクの周囲領域が有する下地膜との密着力の増加により、下地膜の上部領域における等方性エッチングの水平方向エッチング速度が減少し、等方性エッチングされた下地膜のテーパー化が減少即ちテーパー角が大きくなる。従って、該有機マスクの周囲領域が有する下地膜との密着力の低下の程度を密着力調整のための熱処理で調整することで、下地膜の上部領域における等方性エッチングの水平方向エッチング速度を調整することが可能となり、如いては、等方性エッチングされた下地膜のテーパー化の程度即ちテーパー角を調整することが可能となる。
従って、前記下地膜の上部領域の予め定められた最終エッチング予定位置の内側まで前記有機溶剤が前記有機パターンの底部に浸透するよう前記有機パターンの前記有機溶剤への接触工程を継続する必要がある。換言すれば、等方性エッチングは、前記下地膜の上部領域の水平方向におけるエッチング位置が前記浸透領域の底部と前記非浸透領域の底部との境界を越えない前に中止することが望ましい。
更に、前記有機溶剤の浸透量は、溶解リフローを引起こすよう多くする場合もあるし、溶解リフローを引起こさないよう少なくする場合もある。溶解リフローを引起こすか否かは、密着力が低下した前記浸透領域の底部の水平方向における必要寸法を考慮して決定する。前記浸透領域の底部の水平方向における必要寸法が大きく溶解リフローが必要な場合、溶解リフローを引起こすよう前記有機溶剤の浸透量を多くする。前記浸透領域の底部の水平方向における必要寸法が小さい場合、溶解リフローは必須ではないため、前記有機溶剤の浸透量を溶解リフローを引起こすほど多くする必要はない。即ち、溶解リフローを引起こしても引起こさなくてもよい。溶解リフローを引起こすことで有機マスクのテーパー化を図ることが可能であるが、有機マスクをウエットエッチングに代表される等方性エッチングのマスクとして使用する限り、等方性エッチングされた下地膜のテーパー角は、有機マスクの周囲領域の底部が有する下地膜との密着力により影響を受けるが、有機マスクのテーパー形状に影響されるものではない。
[異方性エッチング用有機マスクの形成方法]
本発明の第三の側面によれば、下地膜上に形成した少なくとも1種類の有機物質を含む有機パターンを有機溶剤に接触させて前記有機パターンの表面から内部に向かって前記有機溶剤を浸透させ、前記有機溶剤が浸透した前記有機パターンの浸透領域の体積膨張及び溶解リフローを引起こすことで、周囲領域がテーパー化した有機マスクを形成する工程を含む異方性エッチングに用いる有機マスクの形成方法を提供する。更に、溶解リフローした有機パターンのテーパー角が所望の有機マスクのテーパー角より小さい場合、溶解リフロー後のテーパー角調整のための熱処理により有機パターンのテーパー角を増加させ所望のテーパー角になるよう調整することが重要である。
[異方性エッチングを利用したパターン形成方法]
更に、本発明の第四の側面によれば、下地膜上に形成した少なくとも1種類の有機物質を含む有機パターンを有機溶剤に接触させて前記有機パターンの表面から内部に向かって前記有機溶剤を浸透させ、前記有機溶剤が浸透した前記有機パターンの浸透領域の体積膨張及び溶解リフローを引起こすことで、周囲領域がテーパー化した有機マスクを形成する工程と、前記有機マスクを使用して前記下地膜を異方性エッチングする工程とを含むエッチング方法を提供する。更に、溶解リフローした有機パターンのテーパー角が所望の有機マスクのテーパー角より小さい場合、溶解リフロー後のテーパー角調整のための熱処理により有機パターンのテーパー角を増加させ所望のテーパー角になるよう調整することが重要である。
本発明の第三及び第四の側面は、有機マスクの周囲領域が有するテーパー角を調整することで、異方性エッチングされた下地膜のテーパー角を調整することが可能であることに基づくものである。即ち、異方性エッチングの条件が同じ場合、有機マスクのテーパー化した周囲領域のテーパー角の減少は、異方性エッチングにおけるテーパー化した周囲領域の後退速度の増加に寄与する。そして、後退速度の増加は、異方性エッチングされた下地膜のテーパー角の減少に寄与する。換言すると、有機マスクのテーパー化した周囲領域のテーパー角を小さくすることが、異方性エッチングされた下地膜のテーパー角を小さくすることを容易にする。
前述したように有機マスクをウエットエッチングに代表される等方性エッチングに使用する場合、該有機マスクの周囲領域が有する下地膜との密着力の低下の程度を調整することで、等方性エッチングされた下地膜のテーパー角を調整することが可能である。一方、有機マスクをドライエッチングに代表される異方性エッチングに使用する場合、有機マスクの周囲領域が有するテーパー角を調整することで、異方性エッチングされた下地膜のテーパー角を調整することが可能である。
本発明の第一及び第二の側面によれば、中心領域においては十分高い下地膜との密着力を有すると共に周囲領域においては下地膜との密着性が低く調整された等方性エッチング用の有機マスクを使用し下地膜を等方性エッチングすることで、有機マスクの剥離を防止すると共にエッチングされた下地膜パターンのテーパー角を広範囲で自由に且つ高い精度で制御及び調整することが可能になった。
本発明の第三及び第四の側面によれば、テーパー化された周囲領域のテーパー角が調整された異方性エッチング用の有機マスクを使用し下地膜を異方性エッチングすることで、エッチングされた下地膜パターンのテーパー角を広範囲で自由に且つ高い精度で制御及び調整することが可能になった。
本発明の第五の側面によれば、少なくとも1種類のアミン類を0.05〜10wt%の範囲で含有する薬液を使用して有機膜の表面の変質層を処理又は除去することで、有機溶剤浸透工程において、有機溶剤が有機パターン中に浸透することを変質層により妨げられるのを回避することが可能となる。
[ウエットエッチング又は等方性ドライエッチング用有機マスクの形成及び該マスクを使用したパターン形成方法]
本発明の第一及び第二の側面によれば、有機パターンを有機溶剤に接触させることで、有機溶剤が有機パターンの表面から内部に向かって時間経過と共に浸透していく。即ち、有機溶剤浸透領域は時間経過と共に表面から内部に向かって広がっていく。そして、有機溶剤浸透領域は体積膨張を示す。その結果として、有機溶剤に接触させ体積膨張させた後の有機パターンの側端部の膨張位置は、有機溶剤に接触させる前の有機パターンの側端部の最初の位置より外側に位置する。従って、側端部の最初の位置より外側に膨張して張出した底部浸透拡張領域は下地膜との非常に低い密着力を有する。ここで、底部浸透拡張領域は有機溶剤浸透領域の底部の一部に相当する。
有機溶剤浸透領域は時間経過と共に表面から内部に向かって広がっていくため、有機溶剤浸透領域の底部は、有機溶剤に接触させる前の有機パターンの側端部の最初の位置より外側に位置する前述の底部浸透拡張領域と該最初の位置より内側に位置する底部浸透内側領域とからなる。この底部浸透内側領域も有機溶剤が浸透し体積膨張しているため下地膜との密着力が低下している。即ち、底部浸透拡張領域ほどではないが、底部浸透内側領域も下地膜との低い密着力を有する。有機パターンの底部は、前述した底部浸透拡張領域及び底部浸透内側領域と、有機溶剤が浸透していない非浸透領域の底部である底部非浸透領域とからなる。有機溶剤が浸透していない非浸透領域は体積膨張も起きていないため、底部非浸透領域の下地膜との密着力は低下せず、従って、有機パターンの有機溶剤への接触前の密着力を維持している。このため、前記有機溶剤に接触させ体積膨張した状態での前記有機パターンの底部は、前記下地膜との密着力が低下していない底部非浸透領域と、前記下地膜との密着力が低下した底部浸透領域とからなる。そして、前記底部浸透領域は、前記有機溶剤に接触させる前の有機パターンの側端部の最初の位置より外側に位置する底部浸透拡張領域と、前記最初の位置より内側に位置する底部浸透内側領域とからなる。
有機溶剤への接触を停止した後、前記非浸透領域の底部の密着力より低い範囲で、前記浸透領域の底部の一旦低下した密着力を増加するよう密着力調整のための熱処理を行う。即ち、前述したように、有機溶剤が浸透した前記浸透領域の底部が有する下地膜との密着力の低下は、ウエットエッチングに代表される等方性エッチングによりエッチングされた下地膜パターンのテーパー角の減少に寄与する。有機溶剤の浸透による下地膜との密着力の低下の結果、実際に得られる下地膜パターンのテーパー角の減少が過剰となり、本来目的とする角度より小さくなる場合が殆どである。この場合、前記有機パターンの前記浸透領域の底部の一旦低下した密着力を増加するよう密着力調整のための熱処理を行う。該密着力の増加は、等方性エッチングによりエッチングされた下地膜パターンのテーパー角の増加に寄与する。即ち、有機溶剤への接触工程における前記有機パターンの前記浸透領域の底部が有する下地膜との密着力の低下により、下地膜の上部領域における等方性エッチングの水平方向エッチング速度が増加し、等方性エッチングされた下地膜のテーパー化が増大即ちテーパー角が小さくなる。しかしながら、有機溶剤への接触工程後に密着力調整のための熱処理を行うことで、前記有機パターンの前記浸透領域の底部が有する下地膜との密着力が増加し、下地膜の上部領域における等方性エッチングの水平方向エッチング速度が減少し、等方性エッチングされた下地膜のテーパー化が減少即ちテーパー角が大きくなる。
従って、該有機マスクの周囲領域が有する下地膜との密着力の低下の程度を密着力調整のための熱処理で調整することで、下地膜の上部領域における等方性エッチングの水平方向エッチング速度を調整することが可能となり、如いては、等方性エッチングされた下地膜のテーパー化の程度即ちテーパー角を調整することが可能となる。但し、前記非浸透領域の底部が有していた密着力より低い範囲で、前記浸透領域の底部の一旦低下した密着力を増加させる温度と時間で密着力調整のための熱処理を行うことが重要である。密着力調整のための熱処理を行う前の時点で前記非浸透領域の底部が有していた密着力より高い密着力にまで熱処理により増加させた場合、前述した下地膜のテーパー化のメカニズムを利用できなくなる。従って、前述した下地膜のテーパー化のメカニズムを利用するには、密着力調整のための熱処理を行い前記浸透領域の底部の一旦低下した密着力を増加させるが、この増加した密着力は依然として密着力調整のための熱処理を行う前の時点で前記非浸透領域の底部が有していた密着力より低いことが必要となる。
更に、前記浸透領域の底部の一旦低下した密着力の増加の程度は、密着力調整のための熱処理の温度と時間とに依存する。密着力調整のための熱処理の温度を一定にした場合、該熱処理の時間の増加は前記密着力の増加の程度を大きくし、逆に、該熱処理の時間の減少は前記密着力の増加の程度を小さくする。また、密着力調整のための熱処理の時間を一定にした場合、該熱処理の温度の増加は前記密着力の増加の程度を大きくし、逆に、該熱処理の温度の減少は前記密着力の増加の程度を小さくする。実際に密着力調整のための熱処理の温度と時間とを決定するに際し、該熱処理以外の条件を固定した上で該熱処理の時間と温度とをそれぞれ個別に変化させた場合における等方性エッチングによる下地膜パターンのテーパー角の変化を予め求めておくことで、最終的に要求される下地膜パターンのテーパー角に基づき、密着力調整のための熱処理の最適な温度と時間とを定量的に決定することが可能となる。
熱処理以外の前記条件としては、例えば、ウェットエッチングにおいては、(1)エッチング液組成、(2)エッチング液温度、(3)エッチング液の噴出条件(シャワー方式の場合:シャワー圧力、シャワー揺動動作等)、(4)エッチング処理時間、(5)水洗処理方法、(6)水洗処理時間、(7)乾燥方法(温度、時間)などであり、等方性ドライエッチングにおいては、(1)処理圧力(真空度)、(2)放電パワー、(3)処理ガスの種類とガス流量、(4)処理時間、(5)処理基板の温度(基板ステージの温度)などである。密着力調整のための熱処理の温度範囲は特に限定されるものではないが、例えば0℃乃至150℃程度の範囲であってもよいが、最適には、40℃乃至120℃程度の範囲で行うのがよい。即ち、この熱処理は、室温より高い温度への加熱処理のみならず、室温程度或いは室温以下の温度下に有機パターンを設置する工程も含む。
前述したように、密着力調整のための熱処理を行う目的は、有機溶剤の浸透による下地膜との密着力の低下の結果、実際に得られる下地膜パターンのテーパー角の減少が過剰となり、本来目的とする角度より小さくなる場合に、前記有機パターンの前記浸透領域の底部の一旦低下した密着力を増加するよう密着力調整を行うことにある。従って、有機溶剤の浸透による下地膜との密着力の低下の結果、実際に得られる下地膜パターンのテーパー角の減少により本来目的とする角度となる場合には、密着力調整のための熱処理を行う必要はない。
更に、この密着力調整のための熱処理工程で、有機パターン内に浸透した有機溶剤の蒸発が起き、その結果、一旦体積膨張した有機パターンの浸透領域の体積収縮が起きる。しかし、この体積収縮の量は先の体積膨張の量と略同一か或いはより少ないため、密着力調整のための熱処理工程後の有機パターンの水平方向寸法は、有機溶剤への接触工程前の有機パターンの水平方向寸法より小さくなることはない。一方、密着力調整のための熱処理工程を行わない場合でも有機パターン内に浸透した有機溶剤の自然蒸発が起き、その結果、一旦体積膨張した有機パターンの浸透領域の体積収縮が起きるが、熱処理を行う場合に比較して体積収縮の程度はより小さい。従って、有機溶剤の自然蒸発後の有機パターンの水平方向寸法は、有機溶剤への接触工程前の有機パターンの水平方向寸法より小さくなることはない。
よって、最終的に形成された有機マスクは少なくとも周囲領域の底部の密着力が中心領域の底部の密着力より低い。このことは、この有機マスクを使用して下地膜の等方性エッチングを行った際、エッチングされた下地膜のテーパー化に寄与する。例えば、等方性エッチング、取分け等方性がより強いウエットエッチングを行う場合、被エッチング膜としての下地膜は、該下地膜の直下のベース構造との密着力は高く、更に該下地膜の直上の有機マスクの中心領域の底部との密着力も高いが、一方、該下地膜の直上の有機マスクの周囲領域の底部との密着力は低い。このため、等方性エッチングにおけるオーバーエッチングを行った場合、密着力の低い下地膜の上部領域の方が、密着力の高い下地膜の下部領域より水平方向内側へのエッチング速度が大きい。このため下地膜の上部領域が下部領域より速く水平方向内側へエッチングされるため、結果としてエッチングされた下地膜はテーパー形状を有する。即ち、エッチングされた下地膜は、その幅が下から上に向かって次第に狭くなるよう順テーパー化される。
下地膜の上部領域の水平方向におけるエッチングの位置が有機マスクの有機溶剤浸透領域の底部の下にあるうちは、下地膜の水平方向内側へのエッチング速度は上部領域で速く下部領域で遅いためテーパー化が得られる。しかし、下地膜の上部領域の水平方向におけるエッチングの位置が有機溶剤非浸透領域の底部の下になると、下地膜の水平方向内側へのエッチング速度は上部領域で遅くなるためテーパー化が後退する。従って、有機溶剤浸透領域の底部と有機溶剤非浸透領域の底部との境界は、下地膜の上部領域の最終エッチング位置より更に内側に存在することが好ましい。換言すると、エッチングされた下地膜パターンの十分なテーパー化の効果を得るためには、前記下地膜の上部領域の予め定められた最終エッチング予定位置の更に内側まで前記有機溶剤が前記有機パターンの底部に浸透するよう前記有機パターンの前記有機溶剤への接触工程を継続することが好ましい。
前記有機パターンを前記有機溶剤へ接触させる工程は、前記有機溶剤を含む有機溶剤含有ガスに前記有機パターンを暴露する工程であってもよい。前記有機溶剤含有ガスは、前記有機溶剤の蒸気ガス或いは窒素ガス等の不活性ガスに有機溶剤を混合した混合ガスでもよい。また、前記有機パターンを前記有機溶剤へ接触させる工程は、前記有機溶剤を含む水溶液に浸漬する工程であってもよい。有機溶剤の有機パターンへの浸透深さ即ち浸透量は、有機パターンを構成する物質と、有機溶剤含有ガス中の有機溶剤の濃度或いは水溶液中の有機溶剤の濃度と、有機パターンを有機溶剤へ接触させる接触時間即ち処理時間とに依存する。有機パターンを構成する物質は、有機溶剤の有機パターンへの浸透の深さとは別の要因に従い決定される可能性が高い。従って、有機溶剤の有機パターンへの浸透深さ即ち浸透量の調整は、有機溶剤含有ガス中の有機溶剤の濃度或いは水溶液中の有機溶剤の濃度の調整と、有機パターンを有機溶剤へ接触させる接触時間即ち処理時間の調整とによって行うことが可能である。
有機溶剤の有機パターンへの浸透量が少ない場合には溶解リフローは起きない。一方、有機溶剤の有機パターンへの浸透量が多い場合に溶解リフローは起きる。溶解リフローが発生する浸透量の臨界値は、有機溶剤の物性及び濃度並びに有機パターンの物性を含む条件に依存する。いずれにしても、有機溶剤の有機パターンへの浸透量が臨界値未満の場合、溶解リフローは発生せず、浸透量が臨界値を超えた場合、溶解リフローが発生する。よって、下地膜との密着力が調整された有機溶剤浸透領域の底部の要求される水平方向寸法が有機溶剤浸透深さ程度であり、溶解リフローによる有機パターンの変形が必要ない場合、前記有機パターンの溶解リフローが起きる前に前記有機パターンの前記有機溶剤への接触工程を停止することで、テーパー化されておらず且つ有機溶剤浸透領域の底部の密着力より有機溶剤非浸透領域の底部の密着力が低い有機マスクを形成することも可能である。
例えば、有機パターンの底部の非中心領域における微小な領域即ち周囲領域のみ下地膜との密着力の低下が必要となることがある。このような場合、有機溶剤の有機パターンへの必要浸透量も僅かなため溶解リフローは発生しない。しかしながら、有機パターンの底部のうち周囲領域は下地膜との密着力が低下しているため、前述したように、ウエットエッチングされた下地膜は順テーパー形状を有する。
一方、下地膜との密着力が調整された有機溶剤浸透領域の底部の要求される水平方向寸法が有機溶剤浸透深さより大きく、溶解リフローによる有機パターンの変形が必要となる場合、前記有機パターンの溶解リフローが起きるまで前記有機パターンの前記有機溶剤への接触を継続することで、テーパー化され且つ有機溶剤浸透領域の底部の密着力より有機溶剤非浸透領域の底部の密着力が低い有機マスクを形成してもよい。
通常、有機膜のパターニングにより有機パターンを形成した後ポストベーク処理を行うことで前記有機パターンの底部と前記下地膜との十分な密着力を確保し、後のエッチング工程の際にマスクとして前記有機パターンが使用される際、下地膜から剥離するのを防止する。従って、本発明においても、前記有機パターンを前記有機溶剤に接触させる前に、前記有機パターンの底部と前記下地膜との密着力を熱処理を介して増加させる工程を更に含む。この熱処理は、前記有機パターンを形成する工程の前に行われるプリベーク処理及び前記有機パターンを形成する工程の後に行われるポストベーク処理の少なくともいずれか一方を含む。例えば、通常はポストベーク処理を行うが、これに加え或いはこれに代えプリベーク処理を行ってもよい。有機溶剤浸透工程前に行われるこの熱処理は、前記有機パターンの底部と前記下地膜との密着力が増加するのに必要な最低温度以上、且つ前記有機パターンが変質し前記有機溶剤の浸透が妨げられる温度範囲より低い温度で行われることが望ましい。更に前記熱処理は、有機パターンの熱リフローが引起こる温度範囲より低い温度で行われることが望ましい。この熱処理の温度範囲は特に限定させるものではないが、一典型例としては、100℃乃至150℃の範囲であってもよい。
前記有機パターンを前記有機溶剤に接触させる前に行われる熱処理工程は、あくまで有機パターンの底部と下地膜との密着力を増加させる目的で行われるものであり、有機パターンの熱リフローを引起こすことを目的とするものではない。即ち、この熱処理により有機パターンの底部と下地膜との密着力を増加させ、その後の工程で有機パターンが下地膜から剥離するのを防止することがその主たる目的である。
有機パターンの底部と下地膜との密着力が高い状態で下地膜の等方性エッチングを行っても、前述したように、有機パターンの底部と隣接する下地膜の上部領域の水平方向のエッチング速度は遅く、従って、下地膜の上部領域と下部領域とで水平方向のエッチング速度の大きな差は生じない。このため、等方性エッチングされた下地膜パターンのテーパー化は難しい。しかしながら、本発明によれば、前述したように、熱処理により下地膜との密着力が増加した有機パターンを有機溶剤に接触させて有機パターンの表面から内部に向かって有機溶剤を浸透させる。このことにより、有機溶剤が浸透した有機パターンの浸透領域の底部と下地膜との密着力が低下する。その後、等方性エッチングを行った場合、密着力の低い下地膜の上部領域の方が、密着力の高い下地膜の下部領域より水平方向内側へのエッチング速度が大きい。このため下地膜の上部領域が下部領域より速く水平方向内側へエッチングされるため、結果としてエッチングされた下地膜はテーパー形状を有する。即ち、エッチングされた下地膜は、その幅が下から上に向かって次第に狭くなるよう順テーパー化される。このテーパー化のメカニズムは前述した通りである。
前記熱処理を行わずに有機パターンの有機溶剤への接触を行った場合、この接触工程或いはその後のエッチング工程で、有機パターンの底部と下地膜との密着力が不充分なため有機パターンが下地膜から剥離する可能性がある。このため、有機パターンを有機溶剤へ接触させる前に、熱処理を行い有機パターンの底部と下地膜との密着力を十分高めておくことが望ましい。密着力が十分高くなっても、前述したように、有機パターンを有機溶剤へ接触させることで、有機溶剤が有機パターンの表面から内側に向かって浸透する。その結果、有機パターンの有機溶剤浸透領域の底部と下地膜との間の密着力は低下するが、有機溶剤が浸透していない有機パターンの非浸透領域の底部と下地膜との間の密着力は十分高いままである。このため、有機パターンの下地膜からの剥離を抑制すると共に、前述の理由により下地膜のテーパー化が実現できる。
前述したように有機マスクをウエットエッチングに代表される等方性エッチングに使用する場合、該有機マスクの周囲領域が有する下地膜との密着力の低下の程度を調整することで、等方性エッチングされた下地膜のテーパー角を調整することが可能である。一方、有機マスクをドライエッチングに代表される異方性エッチングに使用する場合、有機マスクの周囲領域が有するテーパー角を調整することで、異方性エッチングされた下地膜のテーパー角を調整することが可能である。以下、異方性エッチング用有機マスクの形成及び該マスクを使用した異方性エッチングにつき説明を行う。
[異方性エッチング用有機マスクの形成及び該マスクを使用した異方性エッチング]
異方性エッチングにより下地膜をエッチングする場合、有機マスクのテーパー形状がエッチングされた下地膜のテーパー化に大きく寄与する。ウエットエッチングに比較してドライエッチングは一般的に異方性が強い。例えば、異方性エッチングの代表例として反応性イオンエッチングを挙げることができる。エッチング工程では、被エッチング膜である下地膜だけでなく有機マスクもエッチングされる。即ち、有機マスクの露出表面がエッチング粒子によりエッチングされることで、結果として有機マスクのテーパー化した周囲部分が有機マスクの中心に向かって後退していく。そして、有機マスクのテーパー化した周囲部分における中心に向かっての後退に伴い、今まで有機マスクで覆われていた下地膜の部分も次第に露出する。そして、有機マスクのテーパー化した周囲部分の後退により露出した時から該下地膜露出部分はエッチング粒子に曝されエッチングが始まる。有機マスクのテーパー化した周囲部分の後退は時間経過と伴に外側から中心内側に向かって起きるので、該下地膜も時間経過と伴に外側から中心内側に向かって露出部分が拡大する。その結果、該下地膜の露出部分であっても、外側の露出部分の方が内側の露出部分よりエッチング粒子に曝されエッチングが開始されたタイミングが早い。このため、エッチング工程中のある時間で診ると、外側の露出部分の方が内側の露出部分より長くエッチング粒子に曝されているためより多く即ちより深くエッチングされていることになる。その結果、該下地膜のエッチング面は傾斜し、エッチングされた下地膜はテーパー形状となる。
更に、有機マスクの側壁の傾斜がなだらかなほど、即ち、有機マスクのテーパー角が小さいほど、有機マスクのテーパー化した周囲部分の異方性エッチングによる後退速度が速い傾向がある。ここで「後退速度」とは、有機マスクのテーパー化した非中心部分即ち周囲部分がその中心に向かって後退していく速度を意味する。この後退速度が速いと、下地膜である被エッチング膜のエッチング面の傾斜が緩やかとなり、その結果、エッチングされた下地膜はテーパー角が小さくなり、大きくテーパー化された下地膜パターンが形成される。
前述したように、有機パターンの溶解リフローを引起こすことで有機パターンをテーパー化させる。十分な量の溶解リフローにより、溶解リフローした有機パターンのテーパー角を非常に小さくすることが可能である。そして、溶解リフロー後、有機パターンのテーパー角調整のための熱処理を行うことで、有機パターンの有機溶剤浸透領域の体積収縮並びにテーパー角の増大を引起こすことも可能である。即ち、溶解リフローした有機パターンのテーパー角が所望の有機マスクのテーパー角より小さい場合、溶解リフロー後のテーパー角調整のための熱処理により有機パターンのテーパー角を増加させ所望のテーパー角になるよう調整することが重要である。溶解リフローした有機パターンのテーパー角は、一般的に、実際に要求される有機マスクのテーパー角より小さい場合が多い。このような場合、溶解リフロー後にテーパー角調整のための熱処理を行うことで実際に要求されるテーパー角になるよう調整する。
溶解リフロー量の調整は以下の様に行うことができる。有機溶剤を含む有機溶剤含有ガスに有機パターンを暴露する場合、溶解リフロー量の調整は、有機溶剤含有ガス中の有機溶剤濃度と有機溶剤含有ガスへ暴露する時間とを調整することにより行うことが可能である。一方、有機溶剤を含む水溶液に有機パターンを浸漬する場合、溶解リフロー量の調整は、水溶液中の有機溶剤濃度と有機溶剤を含む水溶液へ浸漬する時間とを調整することにより行うことが可能である。
更に、溶解リフロー後の有機マスクのテーパー角の増加の程度は、テーパー角調整のための熱処理の温度と時間とに依存する。有機マスクのテーパー角調整のための熱処理の温度を一定にした場合、該熱処理の時間の増加は前記溶解リフロー後の有機パターンのテーパー角の増加の程度を大きくし、逆に、該熱処理の時間の減少は前記テーパー角の増加の程度を小さくする。また、有機マスクのテーパー角調整のための熱処理の時間を一定にした場合、該熱処理の温度の増加は前記テーパー角の増加の程度を大きくし、逆に、該熱処理の温度の減少は前記テーパー角の増加の程度を小さくする。実際に有機マスクのテーパー角調整のための熱処理の温度と時間とを決定するに際し、該熱処理以外の条件を固定した上で該熱処理の時間と温度とをそれぞれ個別に変化させた場合における異方性エッチングによる下地膜パターンのテーパー角の変化を予め求めておくことで、最終的に要求される下地膜パターンのテーパー角に基づき、有機マスクのテーパー角調整のための熱処理の最適な温度と時間とを定量的に決定することが可能となる。
熱処理以外の前記条件としては、例えば、方性ドライエッチングにおいては、(1)処理圧力(真空度)、(2)放電パワー、(3)処理ガスの種類とガス流量、(4)処理時間、(5)処理基板の温度(基板ステージの温度)などである。有機マスクのテーパー角調整のための熱処理の温度範囲は特に限定されるものではないが、例えば0℃乃至150℃程度の範囲であってもよいが、最適には、50℃乃至150℃程度の範囲で行うのがよい。即ち、この熱処理は、室温より高い温度への加熱処理のみならず、室温程度或いは室温以下の温度下に有機パターンを設置する工程も含む。
前述したように、テーパー角調整のための熱処理を行う目的は、溶解リフローによりテーパー化した有機マスクのテーパー角が、本来目的とする角度より小さくなる場合に、前記溶解リフローした有機パターンのテーパー角を増加することにある。従って、溶解リフローによりテーパー化した有機マスクのテーパー角が、本来目的とする角度となる場合には、テーパー角調整のための熱処理を行う必要はない。
更に、このテーパー角調整のための熱処理工程で、有機パターン内に浸透した有機溶剤の蒸発が起き、その結果、一旦体積膨張し溶解リフローした有機パターンの有機溶剤浸透領域の体積収縮が起きる。しかし、水平方向において、この体積収縮の量は先の体積膨張の量と溶解リフローの量との和より少ないため、テーパー角調整のための熱処理工程後の有機パターンの水平方向寸法は、有機溶剤への接触工程前の有機パターンの水平方向寸法より小さくなることはない。一方、テーパー角調整のための熱処理工程を行わない場合でも有機パターン内に浸透した有機溶剤の自然蒸発が起き、その結果、一旦体積膨張し溶解リフローした有機パターンの有機溶剤浸透領域の体積収縮が起きるが、熱処理を行う場合に比較して体積収縮の程度はより小さい。従って、有機溶剤の自然蒸発後の有機パターンの水平方向寸法は、有機溶剤への接触工程前の有機パターンの水平方向寸法より小さくなることはない。
更に、本発明にとって、有機パターンのリフローは、有機溶剤を有機パターン中へ多く浸透させることで引起こす溶解リフローであることが重要である。有機パターンのリフローは、熱リフローと溶解リフローとがあるが、溶解リフローの方が熱リフローより以下の点で優れている。
特許文献4(特開2003−86493号公報)にも記載されるように、有機パターンの一例であるフォトレジストパターンは、熱リフローによるテーパー化は以下の3つの問題を引起こす。1)第一の問題は、熱リフローした後のリフロー部分の形状はフォトレジストパターンの幅に依存するため、フォトレジストパターンの幅が不均一だと、熱リフローした後のフォトレジストパターンのテーパー化の度合も不均一となることである。
2)第二の問題は、熱リフローによるテーパー化は、フォトレジストパターンの水平方向寸法の縮小を伴うことである。熱リフローは水平方向の寸法の増大を引起こす一方で、有機パターンの熱処理を行うと、前述したように、有機パターンの体積収縮が起きる。即ち、熱リフローは、流動化による水平方向の寸法の増大と同時に、熱による有機パターンの体積収縮を引起こすため、水平方向の寸法の増大は、溶解リフローほど大きくない。これに対し、溶解リフローは、高温加熱を特に必要とせず、逆に低温で流動化による水平方向の寸法の増大に加え、高温加熱を必要とせず、低温での処理の為、有機パターンの体積収縮は起きず、有機溶剤浸透による有機パターンの体積膨張のみを引き起す。このため、パターン間隔の縮小には熱リフローより溶解リフローの方が有利である。但し、溶解リフローの後の熱する場合があるが、それは浸透した溶剤の蒸発乾燥の為であり熱リフローさせるほど加熱を行わない。又は、溶解リフローと熱リフローとの組み合わせの効果を狙った場合であり、溶解リフロー処理そのものは、高温を必要としていない。
3)第三の問題は、有機パターンの幅が小さいほど熱リフローにより有機パターン側壁が垂直に近づくか或いは逆テーパー形状となり、このことが、エッチングされた下地膜のテーパー化を難しくする。
しかしながら、前述したように、本発明によれば、熱リフローを用いず溶解リフローにより有機マスクのテーパー化を図ることで、上記3つの問題全てが解消される。その理由につき以下説明する。
溶解リフロー後のリフロー部分の形状は有機パターンの幅に依存しないため、有機パターンの幅によらず、溶解リフロー後の有機マスクのテーパー化の度合が均一となる。このため溶解リフローを利用した場合前述の第一の問題は起きない。
前述したように溶解リフローによるテーパー化は、有機パターンの水平方向寸法の拡大を伴う。有機パターン中に有機溶剤が浸透すると、前述したように、有機パターンの有機溶剤浸透領域の体積膨張が起きる。有機パターンの溶解リフローが起きるまで有機溶剤を浸透させる工程を行う場合にも、有機パターンの体積膨張は起きる。このため、有機パターンの幅が溶解リフローにより拡大し、結果として、隣接する2つの有機パターンの間隔は、該2つの有機パターンの溶解リフローにより縮小する。溶解リフローによりテーパー化された該2つの有機パターンをマスクとして下地膜をエッチングした場合、エッチングされた下地膜パターンはテーパー化されるだけでなく、該エッチングされた下地膜パターンの幅は、溶解リフローを行わない有機パターンをマスクとして下地膜をエッチングした場合に比べてより狭くなる。このことは、有機パターンの溶解リフローを行うことが、該エッチングされた下地膜パターンの幅の最小化に寄与することを意味する。
例えば、該エッチングされた下地膜パターンを配線として使用する場合、有機パターンの溶解リフローを行うことが、配線幅の最小化に寄与する。また、溶解リフローにより有機パターンの幅が拡大し過ぎた場合でも、その後の有機溶剤浸透工程の中止することで或いはこれに加えて熱処理を行うことで、溶解リフローした有機パターンの体積収縮を起し、過度に拡大した有機パターンの幅を少し縮小即ち調整することが可能となる。このため溶解リフローを利用した場合前述の第二の問題は起きない。
有機パターンの幅が小さくても溶解リフローにより有機パターン側壁は僅かでもテーパー化され、垂直に近づいたり或いは逆テーパー形状となることはない。このことが、ウエットエッチングのみならずドライエッチングを使用する場合でも、エッチングされた下地膜のテーパー化を可能にする。このため溶解リフローを利用した場合前述の第三の問題は起きない。
[表面処理]
前述したように、有機パターンの幅によらず、溶解リフロー後の有機マスクのテーパー化の度合が均一となる。この均一性をより高めるには、有機パターンの溶解リフローされる部分により覆われる下地膜の領域を表面処理し濡れ性を高めた後、溶解リフローを行うことが好ましい。下地膜の濡れ性を高める表面処理は、酸素プラズマ処理、或いはUVオゾン処理であってもよい。これら処理は有機パターンで覆われていない下地膜表面の濡れ性を改善し、溶解リフローした有機パターンが下地膜表面をリフローし易くなる。また、これら酸素プラズマ処理、或いはUVオゾン処理は更に有機パターンの表面が変質している場合に、有機パターン表面の変質層を除去するのにも有用である。有機パターン表面の変質層は溶解リフローの妨げとなる可能性がある。しかし、酸素プラズマ処理、或いはUVオゾン処理等の表面処理を行うことで、下地膜の濡れ性を高めると共に有機パターン表面の変質層を除去することで、有機パターンの内部と表面部との差の少ない均一な溶解リフローを起すことが容易となる。
ここで示す溶解リフロー処理において、下地膜の領域を表面処理し濡れ性を高める為、薬液を用いて処理し、その下地の濡れ性を向上させることも可能である。
また、有機パターン表面の変質層を薬液で処理し、該変質層を部分的に或いは全部除去するか或いは、該変質層に亀裂を入れることで、前記有機溶剤が前記有機パターンに浸透しやすくすることも可能である。ここで重要な点は、有機膜の変質していない部分は残存させ、変質層のみを選択的に除去或いは変質層に亀裂を入れることで、有機膜を除去或いは剥離せずに該有機膜中に有機溶剤が浸透するのを容易にすることが可能な薬液を使用することである。
この有機パターンの変質層は、時間放置劣化、熱酸化、熱硬化、デポ膜の付着、酸系エッチング液、Oアッシング、その他ドライエッチングガス使用による化学変化によるものが想定され、前記薬液として、酸、アルカリ水溶液、又は有機溶剤の混合液を用いる。更に具体的にはアミン類の有機溶剤を混合した水溶液でアミン類として、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ヒドロキシルアミン、ジエチルエヒドロキシルアミン、無水ジエチルエヒドロキシルアミン、ピリジン、ピコリンなどを用いる。また、防食材の典型例として、D−グルコース(C12)、キレート剤、酸化防止剤などを添加している場合もある。更に、その水溶液に混合する前記アミン類の混合濃度は、0.05〜10wt%の範囲の混合で用いられる。その変質層除去の目的で変質層の程度が比較的軽い場合、すなわち時間放置劣化、酸系エッチング液、等方性Oアッシングなどの場合には、その濃度は、0.05〜3wt%で良い。
下地膜の濡れ性を高めることのみ要求される場合には、前述の酸素プラズマ処理及びUVオゾン処理に加え、下地膜表面をフッ酸溶液に接触させることで表面処理を行うことも有用である。更に、各種プラズマで下地膜表面を表面処理することも有用である。各種プラズマの典型例として、酸素ガスプラズマ(Oプラズマ)、フッ素系ガスプラズマ(SFガスプラズマ、CF4ガスプラズマ、CHFガスプラズマ等)又はフッ素系ガスと酸素ガスとの混合プラズマ(SF/Oプラズマ、CF/Oプラズマ、CHF/Oプラズマ等を含む。溶解リフロー工程前に行う表面処理の各種方法及び処理条件の選択は、溶解リフローする下地膜表面の濡れ性の改善率及び必要に応じ有機パターン表面の変質層の除去率の測定結果に基づき行うことが好ましい。例えば、酸素プラズマ処理は、O流量300sccm、100Pa、RFパワー1000Wのプラズマ中で、120秒間を行うことが可能である。又は、UVオゾン処理は、すなわち100℃乃至200℃の基板温度範囲にてオゾンガス雰囲気中でUV光を照射することで行うことも可能である。
[有機マスクを構成する有機膜]
前述の有機パターン即ち有機マスクを構成する有機膜は、少なくとも1種類の有機物質を含むものであればよく特に制限されるものではない。従って、有機パターン即ち有機マスクを構成する有機膜は、有機物質からなる有機膜及び有機溶媒を添加した膜の少なくともいずれか1つを含むものであればよい。例えば、前記有機パターンは、前記下地膜上に印刷法により形成されたものであってもよい。また、前記有機パターンは、前記下地膜上に露光・現像工程を介して形成されたレジストパターンであってもよい。レジストは、紫外線に感光するフォトレジストであってもよく、またX線に感光するX線レジストであってもよく、或いは電子線に感光する電子線レジストであってもよい。前記有機パターンの層構造も特に限定されない。即ち、前記有機パターンは、単層構造或いは複数の層を含む多層構造であってもよい。上記レジスト膜は、有機膜の単一層構造、有機膜の多層構造、有機溶媒を添加した膜の単一層構造、有機溶媒を添加した膜の多層構造、或いは有機膜と有機溶媒を添加した膜との多層構造のいずれで構成してもよい。ここで、有機膜は有機系材料と有機溶剤で主に構成され、一方、有機溶媒を添加した膜は無機系材料と有機溶剤で主に構成される。
有機系材料の典型例として、既知のレジストの材料、アクリル、ポリイミド、ポリアクリルアミド等の樹脂及び、高分子有機材料を挙げることができる。無機材料の典型例として、シロキサン又は、ポリシロキサン、ポリシラン、ポリシリーン、カルボシラン、シリコン、無機ガラス等を挙げることができる。有機溶剤の典型例として、以下に記載する有機溶剤薬液が全て使用可能である。有機溶剤(Rはアルキル基又は置換アルキル基、Arはフェニル基又はフェニル基以外の芳香環を示す):
・アルコール類(R−OH)
・アルコキシアルコール類
・エーテル類(R−O−R、Ar−O−R、Ar−O−Ar)
・エステル類
・ケトン類
・グリコール類
・アルキレングリコール類
・グリコールエーテル類
また有機膜は、水溶性材料で構成し得る。この場合、水溶性材料の典型例として、ポリアクリル酸、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、オキサゾリン基含有水溶性樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性尿素樹脂、アルキッド樹脂、スルホンアミドのうち1種類、又はこれらの2種類以上の混合物、或いは、これらの塩を主成分とする材料、または、以上に記載した材料に無機材料を混合した材料を挙げることができる。
有機膜が有機溶剤に溶解性の有る有機材料、又は無機材料で主に構成されている場合には、薬液として有機溶剤の溶液を用い、水に溶解性のある有機溶剤と有機材料、又は有機溶剤と無機材料で主に構成されている場合には、薬液として少なくとも水を含む水溶液を用いることで同様の処理効果を得ることも可能である。
レジストの種類の典型例として、紫外線に感光するフォトレジスト、X線に感光するX線レジスト及びエレクトロンビームに感光するエレクトロンビームレジストを挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。レジストの材料としては、次のような有機レジストが好ましい。例えば、高分子化合物と感光剤及びその他添加剤から形成されるものとして、有機材料のみからなるレジストや有機材料と無機材料との混合からなるレジストがある。
有機材料のみからなるレジストの典型例として、以下のものを含むが、必ずしもこれらに限定されるものではない。ポリビニル系レジストの例としてポリビニルケイ皮酸エステルが挙げられる。また、ゴム系レジストの例としては、環化ポリイソプレンや環化ポリブタジエンにビスアジド化合物とを混合した物質が挙げられる。ノボラック樹脂系レジストの例としては、クレゾールノボラック樹脂とナフトキノンジアジド−5−スルフォン酸エステルとを混合とを混合した物質が挙げられる。さらにアクリル酸の共重合樹脂系レジストの例としてポリアクリルアミドやポリアミド酸が挙げられる。その他のレジストの例としては、臭素或いはヨウ素を添加したレジスト、又は臭素或いはヨウ素を多く含むレジストが挙げられる。
一方、有機材料と無機材料の混合からなるレジストの例としては、金属含有レジストが挙げられる。この金属含有レジストの例として、シリコン含有レジストとして、シロキサン、ポリシロキサン、ポリシラン、ポリシリーン、又はカルボシランを含むレジストが挙げられる。また、シリコン以外の金属を含有するレジストの例としてゲルマニウムを含有するレジストが挙げられる。
また、レジストマスクは、ネガ型あるいはポジ型のいずれのレジストで形成されていてもよい。ポジ型としては、ノボラック樹脂系の、例えば、クレゾールノボラック樹脂とナフトキノンジアジド−5−スルフォン酸エステルを混合した物質が適している。ネガ型としては、ゴム系の、例えば、環化ポリイソプレンや環化ポリブタジエンにビスアジド化合物を混合した物質が適している。
[有機溶剤を含む薬液]
有機物質を含むレジスト膜の溶解リフローを引起こすためには、レジスト膜を有機溶剤に接触させる。この接触させる方法の典型例として、有機溶剤の蒸気にレジスト膜を暴露するか、有機溶剤の希釈溶液に浸漬することが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、有機溶剤をレジスト膜表面に接触させその内側まで浸透させることができればよい。実際には有機溶剤を含む薬液の蒸気にレジスト膜を暴露するか、該薬液の希釈溶液に浸漬してもよい。
薬液に含まれる有機溶剤の典型例として、以下に示す有機溶剤のうち少なくとも一つを含む。有機溶剤(Rはアルキル基又は置換アルキル基、Arはフェニル基又はフェニル基以外の芳香環を示す):
・アルコール類(R−OH)
・アルコキシアルコール類
・エーテル類(R−O−R、Ar−O−R、Ar−O−Ar)
・エステル類
・ケトン類
・グリコール類
・アルキレングリコール類
・グリコールエーテル類
[下地膜]
下地膜はエッチングによりテーパー形状を有するようパターニングされるものであれば特に限定されない。下地膜は絶縁性物質で構成されることを排除しないが、現実に必要とされる典型例として下地膜は導電性膜で構成され得る。導電性膜からなるテーパー化された下地膜のパターンの典型例として、各種電極や各種配線等が挙げられる。各種電極の典型例として、ゲート電極に代表される制御電極や、ソース電極或いはドレイン電極に代表される信号電極やバイアス電極等が挙げられる。配線は、基板表面上に延在する配線でもよく、また、多層配線構造における基板表面より高いレベルを有する配線でもよい。下地膜としての導電性膜の典型例として、以下に列挙する金属膜構造体を挙げることができる。
・ITO膜
・インジウムスズ合金
・アルミニウムまたはアルミニウム合金の1層構造
・クロムまたはクロム合金の1層構造
・1層がアルミニウムまたはアルミニウム合金で、他の層がクロムまたはクロム合金の2層構造
・1層がアルミニウムまたはアルミニウム合金で、他の層がチタンまたはチタン合金の2層構造
・1層がアルミニウムまたはアルミニウム合金で、他の層が窒化チタンまたは窒化チタン合金の2層構造
・1層がアルミニウムまたはアルミニウム合金で、他の層がモリブデンまたはモリブデン合金の2層構造
・1層がクロムまたはクロム合金で、他の層がモリブデンまたはモリブデン合金の2層構造
・1層目及び3層目がクロムまたはクロム合金で、2層目がアルミニウムまたはアルミニウム合金の3層構造
・1層目及び3層目がモリブデンまたはモリブデン合金で、2層目がアルミニウムまたはアルミニウム合金の3層構造
・アルミニウムまたはアルミニウム合金、モリブデンまたはモリブデン合金、クロムまたはクロム合金の3層構造
・アルミニウムまたはアルミニウム合金、モリブデンまたはモリブデン合金、チタンまたはチタン合金の3層構造
・アルミニウムまたはアルミニウム合金、窒化チタンまたは窒化チタン合金、チタンまたはチタン合金の3層構造
[ウエットエッチング液]
前述した等方性エッチングの一典型例としてエッチング液を用いたウエットエッチングが挙げられるが、エッチング液はエッチングの対象となる下地膜を構成する物質を考慮して選択することが望ましいが、下地膜を選択的にエッチングできるのであれば特に限定する必要はない。より具体的には、下地膜がクロムを主成分とする膜で構成される場合、硝酸及び酢酸の少なくともいずれかを含むエッチング液を用いることが可能であり、例えば、硝酸第二セリウムアンモニウムとの硝酸とを混合したエッチング液を用いることが好ましい。この場合の硝酸の含有量は、特許文献2(特公平7−7757号)で使用する硝酸を2モル/リットル以上含むエッチング液である必要はなく、硝酸が0.3モル/リットル以上を含むエッチング液であればよい。この硝酸濃度が低いエッチング液を用いても、本発明の溶解リフロー処理方法を用いることで、テーパー形状化が可能である。また、下地膜がアルミニウム或いはモリブデンを主成分とする膜で構成される場合、リン酸、硝酸及び酢酸の少なくともいずれかを含むエッチング液を用いることが可能である。また、下地膜が金属窒化物或いは金属酸化物を主成分とする膜で構成される場合、フッ酸を含むエッチング液を用いることが可能である。
[等方性ドライエッチング]
一方、前述した等方性ドライエッチングの一典型例としてアモルファスシリコンのエッチングを挙げることができる。例えば、下地膜であるアモルファスシリコン膜の等方性ドライエッチングを行う条件の例としては(1)高周波放電パワー:800W、(2)処理圧力:30から50Pa、(3)処理ガス種と流量 :SF/HCl/He=200/200/100(sccm)、(4)基板温度(基板ステージ温度)=25℃、(5)処理時間=120秒(アモルファスシリコン膜厚=200nm)で処理する場合がある。
[異方性ドライエッチング]
一方、前述した異方性エッチングの一典型例として反応性イオンエッチングを挙げることができる。例えば、下地膜であるクロム膜の異方性ドライエッチングを行う条件の例としては、(1)高周波放電パワー:1500W、(2)処理圧力:10から20Pa、(3)処理ガス種と流量 :Cl/O=300/200(sccm)、又はCl/He/O=300/100/200(sccm)、(4)基板温度(基板ステージ温度)=25℃、(5)処理時間=100〜200秒(クロム膜厚=100nm)で処理する場合がある。
[レジスト膜変質層処理又は除去]
さらに、レジストマスク表面が、ポストベークにより等の熱処理によりダメージを受け変質している場合、レジストマスク表面に形成された変質層を除去することが後の溶解リフローのためには望ましい。レジストマスクの表面の変質層を除去する工程は、典型的には、プラズマ処理、または、UVオゾン処理することにより行うことが可能である。プラズマ処理は、Oガスを含むプラズマ処理用ガス、フッ素系ガスを含むプラズマ処理用ガス、Oガスとフッ素系ガスの混合ガスを含むプラズマ処理用ガスのいずれかのプラズマ処理用ガスを用いて行うことが可能である。プラズマ処理用ガスがフッ素系ガスを含むプラズマ処理用ガスであるときは、SF、CF、CHFのいずれかを含むガスであり、プラズマ処理用ガスがOガスとフッ素系ガスの混合ガスを含むプラズマ処理用ガスであるときは、SF/O、CF/O、CHF/Oのいずれかのガスを含む。
また、プラズマ処理、または、UVオゾン処理に代えて、前述したように、有機パターン表面の変質層を薬液で処理し、該変質層を部分的に或いは全部除去するか或いは、該変質層に亀裂を入れることで、前記有機溶剤が前記有機パターンに浸透しやすくすることも可能である。ここで重要な点は、有機膜の変質していない部分は残存させ、変質層のみを選択的に除去或いは変質層に亀裂を入れることで、有機膜を除去或いは剥離せずに該有機膜中に有機溶剤が浸透するのを容易にすることが可能な薬液を使用することである。
この有機パターンの変質層は、時間放置劣化、熱酸化、熱硬化、デポ膜の付着、酸系エッチング液、Oアッシング、その他ドライエッチングガス使用による化学変化によるものが想定され、前記薬液として、酸、アルカリ水溶液、又は有機溶剤の混合液を用いる。更に具体的にはアミン類の有機溶剤を混合した水溶液でアミン類として、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ヒドロキシルアミン、ジエチルエヒドロキシルアミン、無水ジエチルエヒドロキシルアミン、ピリジン、ピコリンなどを用いる。また、防食材の典型例として、D−グルコース(C12)、キレート剤、酸化防止剤などを添加している場合もある。更に、その水溶液に混合する前記アミン類の混合濃度は、0.05〜10wt%の範囲の混合で用いられる。その変質層除去の目的で変質層の程度が比較的軽い場合、すなわち時間放置劣化、酸系エッチング液、等方性Oアッシングなどの場合には、その濃度は、0.05〜3wt%で良い。
前述した本発明の説明に加え、図面を参照して以下説明することにより、より具体的に本発明を理解することを可能にする。
[溶解リフローが生じない場合の有機溶剤浸透工程及びその後の有機溶剤の蒸発工程における有機パターンの形状及び寸法変化のメカニズム]
図1は、有機パターンを有機溶剤に接触させ、溶解リフローが生じない程度の少量の有機溶剤が有機パターン中に浸透する工程及びその後の有機溶剤の蒸発工程における有機パターンの形状及び寸法変化のメカニズムを説明する部分縦断面図である。まず図1を参照して、有機パターンを有機溶剤に接触させ、溶解リフローが生じない程度の少量の有機溶剤が有機パターン中に浸透する工程及びその後の有機溶剤の蒸発工程における有機パターンの形状及び寸法変化のメカニズムを説明する。基板11上にエッチングの対象となる下地膜12を形成する。その後、有機パターン13を既知の方法により下地膜12上に形成する。その後、有機パターン13の底部と下地膜12との密着力が増加するのに必要な最低温度以上、且つ有機パターン13が変質し有機溶剤の浸透が妨げられる温度範囲より低い温度でポストベーク処理を行う。これにより、有機パターン13の底部と下地膜12との密着力は増加するが、有機パターン13は変質せず且つ熱リフローも生じない。この温度は有機パターンの材料等を含む様々な条件に依存するが、有機パターンの材料が既知のフォトレジストである場合、一典型例としては150℃以下の温度、例えば100℃乃至140℃程度の範囲でポストベーク処理を行うことも可能である。
また、前述したように、有機パターン13の底部と下地膜12との密着力を増加させる視点では、ポストベーク処理に代え、或いはポストベーク処理に加えパターニング工程前のプリベーク処理で有機膜と下地膜12との密着力を増加させてもよい。有機膜のパターニングは、前述したように露光工程及び現像工程で行ってもよく、或いはこれに代え、印刷法により行ってもよい。この時点では、有機パターン13は有機溶剤を含む薬液に接触していないので体積膨張は起きていない。この有機溶剤処理前の有機パターン13の部分縦断面形状を有機パターン13−1として図1中に破線で示す。有機パターン13−1の底部の略全領域で下地膜12との密着力が増加している。
その後、有機パターン13−1を有機溶剤に接触させることで、有機溶剤が有機パターン13−1の外側表面からその内部に向かって時間経過と共に次第に浸透していく。そして、有機パターン13−1中に有機溶剤が浸透していく過程で、前述したように有機溶剤が浸透した領域において体積膨張が生じる。有機溶剤浸透膨張時の有機パターン13の部分縦断面形状を有機溶剤浸透膨張時の有機パターン13−2として図1中に破線で示す。即ち、有機パターン13−1は有機溶剤との接触により体積膨張して有機パターン13−2となる。ここで、体積膨張した有機パターン13−2は、有機溶剤が浸透した有機溶剤浸透領域13−4及びその内側に存在する有機溶剤非浸透領域13−5とからなる。有機溶剤浸透領域13−4と有機溶剤非浸透領域13−5との境界13−6を図1中に点線で示す。即ち、境界13−6まで有機溶剤の浸透が進み、境界13−6より外側の有機溶剤浸透領域13−4では体積膨張が生じる。一方、境界13−6より内側の有機溶剤非浸透領域13−5では体積膨張は生じない。
前述したように、有機溶剤が浸透することで有機パターン13の底部の下地膜12との密着力が低下する。具体的には、境界13−6より外側の有機溶剤浸透領域13−4の底部では下地膜12との密着力が低下しているのに対し、境界13−6より内側の有機溶剤非浸透領域13−5の底部では下地膜12との密着力は低下していない。また、有機溶剤は有機パターン13の内側に向かって浸透していくため、有機溶剤浸透領域13−4と有機溶剤非浸透領域13−5との境界13−6は、有機溶剤に接触させる前の有機パターン13−1の最表面より内側に位置する。一方、有機溶剤が浸透した有機溶剤浸透領域13−4では体積膨張が生じるため、体積膨張した有機パターン13−2の最表面は、有機溶剤に接触させる前の有機パターン13−1の最表面より外側に位置する。即ち、有機溶剤の浸透により体積膨張した有機パターン13−2の側端部13−8は、有機溶剤に接触させる前の有機パターン13−1の側端部13−7より外側に位置する。
有機パターン13への有機溶剤の浸透量が溶解リフローを引起こす臨界量に達する前に、有機パターン13を有機溶剤へ接触させる工程を停止する。そして有機溶剤への接触を停止した後、前記有機溶剤非浸透領域13−5の底部の密着力より低い範囲で、前記有機溶剤浸透領域13−4の底部の一旦低下した密着力を増加するよう密着力調整のための熱処理を行う。密着力調整のための熱処理の温度範囲は特に限定されるものではないが、例えば0℃乃至150℃程度の範囲であってもよいが、最適には、40℃乃至120℃程度の範囲で行うのがよい。しかし、密着力調整のための熱処理を行う目的は、有機溶剤の浸透による下地膜12との密着力の低下の結果、実際に得られる下地膜パターン12のテーパー角の減少が過剰となり、本来目的とする角度より小さくなる場合に、前記有機パターン13の前記有機溶剤浸透領域13−4の底部の一旦低下した密着力を増加するよう密着力調整を行うことにある。従って、有機溶剤の浸透による下地膜12との密着力の低下の結果、実際に得られる下地膜パターン12のテーパー角の減少により本来目的とする角度となる場合には、密着力調整のための熱処理を行う必要はない。
密着力調整のための熱処理により前記有機溶剤浸透領域13−4中の有機溶剤の蒸発が起きる。また、密着力調整のための熱処理を行わない場合であっても、前記有機溶剤浸透領域13−4中の有機溶剤の自然蒸発が起きる。該有機溶剤の蒸発により、一旦体積膨張した有機パターン13−2の有機溶剤浸透領域13−4は体積収縮を起す。該有機溶剤の蒸発による体積収縮の量は前述の体積膨張の量より少ない。このため、有機溶剤処理後の収縮した有機パターン13−3の最表面は、有機溶剤処理中の体積膨張した有機パターン13−2の最表面より内側に位置するが、有機溶剤処理前の有機パターン13−1の最表面より外側に位置する。一方、有機溶剤浸透領域13−4と有機溶剤非浸透領域13−5との境界13−6の位置は殆ど変化せず、有機溶剤処理前の有機パターン13−1の最表面より内側に位置する。よって、有機溶剤浸透領域13−4は有機溶剤の蒸発により多少体積収縮するが、有機パターン13−3中に最終的に残存する。尚、本願において、用語「有機溶剤浸透領域」の意味は、有機溶剤処理中の有機溶剤が浸透した領域、及び一旦浸透した有機溶剤が蒸発した領域の双方、即ち現在及び過去において有機溶剤が浸透した領域を包含する。
有機溶剤の蒸発後の最終的に得られる有機パターン13−3の側端部13−9は、有機溶剤処理工程中の体積膨張した有機パターン13−2の側端部13−8より内側に位置するが、有機溶剤処理工程前の有機パターン13−1の側端部13−7より依然として外側に位置する。従って、最終的に得られる有機パターン13−3は、有機溶剤蒸発後の有機溶剤浸透領域13−4と有機溶剤非浸透領域13−5とからなり、境界13−6より外側の有機溶剤浸透領域13−4の底部では下地膜12との密着力が低下しているのに対し、境界13−6より内側の有機溶剤非浸透領域13−5の底部では下地膜12との密着力は低下していない。本発明にとって、最終的に得られる有機パターン13−3を有機マスクとして使用して下地膜12を等方性エッチングすることで、エッチングされた下地膜のパターンの形状がテーパー化し且つエッチング工程中に有機マスクの剥離を防止するためには、最終的に得られる有機パターン13−3が、下地膜12との密着力が低下していない底部を有する有機溶剤非浸透領域13−5と、下地膜12との密着力が低下した底部を有する有機溶剤浸透領域13−4との双方を含んでいることが重要となる。この最終的に得られる有機パターン13−3を有機マスクとして使用し、下地膜12の等方性エッチングを行う。
[溶解リフローが生じる場合の有機溶剤浸透工程及びその後の有機溶剤の蒸発工程における有機パターンの形状及び寸法変化のメカニズム]
図2は、有機パターンを有機溶剤に接触させ、溶解リフローが生じる程度の多量の有機溶剤が有機パターン中に浸透する工程及びその後の有機溶剤の蒸発工程における有機パターンの形状及び寸法変化のメカニズムを説明する部分縦断面図である。次に、図2を参照して、有機パターンを有機溶剤に接触させ、溶解リフローが生じる程度の多量の有機溶剤が有機パターン中に浸透する工程及びその後の有機溶剤の蒸発工程における有機パターンの形状及び寸法変化のメカニズムを説明する。基板21上にエッチングの対象となる下地膜22を形成する。その後、有機パターン23を既知の方法により下地膜22上に形成する。その後、有機パターン23の底部と下地膜22との密着力が増加するのに必要な最低温度以上、且つ有機パターン23が変質し有機溶剤の浸透が妨げられる温度範囲より低い温度でポストベーク処理を行う。これにより、有機パターン23の底部と下地膜22との密着力は増加するが、有機パターン23は変質せず且つ熱リフローも生じない。この温度は有機パターンの材料等を含む様々な条件に依存するが、有機パターンの材料が既知のフォトレジストである場合、一典型例としては150℃以下の温度、例えば100℃乃至140℃程度の範囲でポストベーク処理を行うことも可能である。
また、前述したように、有機パターン23の底部と下地膜22との密着力が増加させる視点では、ポストベーク処理に代え、或いはポストベーク処理に加えパターニング工程前のプリベーク処理で有機膜と下地膜22との密着力を増加させてもよい。有機膜のパターニングは、前述したように露光工程及び現像工程で行ってもよく或いはこれに代え、印刷法により行ってもよい。この時点では、有機パターン23は有機溶剤即ち薬液に接触していないので体積膨張は起きていない。この有機溶剤処理前の有機パターン23の部分縦断面形状を有機パターン23−1として図2中に破線で示す。有機パターン23−1の底部の略全領域で下地膜22との密着力が増加している。
その後、有機パターン23−1を有機溶剤に接触させることで、有機溶剤が有機パターン23−1の外側表面からその内部に向かって時間経過と共に次第に浸透していく。そして、有機パターン23−1中に有機溶剤が浸透していく過程で、前述したように有機溶剤が浸透した領域において体積膨張が生じる。この有機溶剤への接触工程は、有機パターン23への有機溶剤の浸透量が溶解リフローを引起こす臨界量を超え、実際に有機パターン23の溶解リフローが起きるまで行う。有機パターン23への有機溶剤の浸透量が溶解リフローを引起こす臨界量に達するまでは、有機溶剤が浸透した領域において体積膨張のみが生じるが、有機溶剤の浸透量がこの臨界量を超えた後は有機溶剤が浸透した領域において体積膨張のみならず溶解リフローも生じる。
有機溶剤浸透による膨張及び溶解リフロー時の有機パターン23の部分縦断面形状を有機パターン23−2として図2中に破線で示す。即ち、有機パターン23−1は有機溶剤との接触により体積膨張及び溶解リフローしてテーパー化した有機パターン23−2となる。ここで、体積膨張及び溶解リフローした有機パターン23−2は、有機溶剤が浸透した有機溶剤浸透領域23−4及びその内側に存在する有機溶剤非浸透領域23−5とからなる。この有機溶剤浸透領域23−4の粘性が非常に低くなる結果その一部が溶解してリフローする。即ち、有機溶剤浸透領域23−4は、有機溶剤が浸透し体積膨張のみ生じ溶解リフローは生じない領域と、有機溶剤が浸透し体積膨張及び溶解リフローが生じる領域との双方を含む。一般的には、有機パターン23の表面から遠いより内側の有機溶剤浸透部分に比べて、有機パターン23の表面により近い有機溶剤浸透部分の方が粘性がより早く且つ大きく低下する傾向にあるため、表面により近い有機溶剤浸透部分から溶解リフローが始まる。
溶解リフローした有機物質は有機パターン23の傾斜した側壁に沿って外側へ流れるので、図2に示すように溶解リフローにより有機パターン23の厚さ即ち高さ寸法の増加より水平方向寸法の増加の方がより大きい。溶解リフローの量が多くなるにつれて、有機パターン23の厚さ即ち高さ寸法の増加量が小さくなり、一方、有機パターン23の水平方向寸法の増加量が大きくなる。更に、溶解リフローの量が多くなった場合、有機パターン23の厚さ即ち高さ寸法は殆ど増加しないか或いは少し減少し、一方、有機パターン23の水平方向寸法の増加量が非常に大きくなる。有機溶剤浸透領域23−4と有機溶剤非浸透領域23−5との境界23−6を図2中に点線で示す。即ち、境界23−6まで有機溶剤の浸透が進み、境界23−6より外側の有機溶剤浸透領域23−4では体積膨張及び溶解リフローが生じる。一方、境界23−6より内側の有機溶剤非浸透領域23−5では体積膨張も溶解リフローも生じない。
前述したように、有機溶剤が浸透することで有機パターン23の底部の下地膜22との密着力が低下する。前述したように、境界23−6より外側の有機溶剤浸透領域23−4は、有機溶剤が浸透し体積膨張のみ生じ溶解リフローは生じない領域と、有機溶剤が浸透し体積膨張及び溶解リフローが生じる領域との双方を含むが、この有機溶剤浸透領域23−4の底部では下地膜12との密着力が低下しているのに対し、境界23−6より内側の有機溶剤非浸透領域23−5の底部では下地膜22との密着力は低下していない。また、有機溶剤は有機パターン23の内側に向かって浸透していくため、有機溶剤浸透領域23−4と有機溶剤非浸透領域23−5との境界23−6は、有機溶剤に接触させる前の有機パターン23−1の最表面より内側に位置する。
一方、有機溶剤が浸透した有機溶剤浸透領域23−4は、有機溶剤が浸透し体積膨張のみ生じ溶解リフローは生じない領域と、有機溶剤が浸透し体積膨張及び溶解リフローが生じる領域との双方を含むため、有機溶剤の浸透により体積膨張及び溶解リフローした有機パターン23−2の側端部23−8は、有機溶剤に接触させる前の有機パターン23−1の側端部23−7より大きく外側に位置する。尚、前述したように溶解リフローが極端に多くない場合には、図2に示すように、体積膨張及び溶解リフローした有機パターン23−2の最表面は、有機溶剤に接触させる前の有機パターン23−1の最表面より外側に位置する。
その後、有機パターン23を有機溶剤へ接触させる工程を停止する。そして有機溶剤への接触を停止した後、前記有機溶剤非浸透領域23−5の底部の密着力より低い範囲で、前記有機溶剤浸透領域23−4の底部の一旦低下した密着力を増加するよう密着力調整のための熱処理を行う。密着力調整のための熱処理の温度範囲は特に限定されるものではないが、例えば0℃乃至150℃程度の範囲であってもよいが、最適には、40℃乃至120℃程度の範囲で行うのがよい。しかし、密着力調整のための熱処理を行う目的は、有機溶剤の浸透による下地膜22との密着力の低下の結果、実際に得られる下地膜パターン22のテーパー角の減少が過剰となり、本来目的とする角度より小さくなる場合に、前記有機パターン23の前記有機溶剤浸透領域23−4の底部の一旦低下した密着力を増加するよう密着力調整を行うことにある。従って、有機溶剤の浸透による下地膜22との密着力の低下の結果、実際に得られる下地膜パターン22のテーパー角の減少により本来目的とする角度となる場合には、密着力調整のための熱処理を行う必要はない。
密着力調整のための熱処理により前記有機溶剤浸透領域23−4中の有機溶剤の蒸発が起きる。また、密着力調整のための熱処理を行わない場合であっても、前記有機溶剤浸透領域23−4中の有機溶剤の自然蒸発が起きる。該有機溶剤の蒸発により、一旦体積膨張した有機パターン23−2の有機溶剤浸透領域23−4は体積収縮を起す。該有機溶剤の蒸発による体積収縮の量は前述の体積膨張の量より少ない。このため、有機溶剤処理後の収縮した有機パターン23−3の最表面は、有機溶剤処理中の体積膨張及び溶解リフローした有機パターン23−2の最表面より内側に位置するが、有機溶剤処理後の収縮した有機パターン23−3の側端部は、有機溶剤処理前の有機パターン23−1の側端部より外側に位置する。しかし、有機パターン23の上部領域は有機溶剤処理中の溶解リフローによりその傾斜側壁に沿ってその側端部へと流れ落ちているため、有機溶剤処理後の収縮した有機パターン23−3の高さ寸法は、図2に示すように、有機溶剤処理前の有機パターン23−1の高さ寸法より小さくなる場合がある。
溶解リフローの量が比較的少ない場合には、有機溶剤処理後の収縮した有機パターン23−3の高さ寸法は、有機溶剤処理前の有機パターン23−1の高さ寸法より僅かに大きくなる場合があるが、この場合であっても、有機溶剤処理後の収縮した有機パターン23−3と有機溶剤処理前の有機パターン23−1との水平方向寸法における差は、高さ寸法における差より大きいことに変わりはない。一方、有機溶剤浸透領域23−4と有機溶剤非浸透領域23−5との境界23−6の位置は殆ど変化せず、有機溶剤処理前の有機パターン23−1の最表面より内側に位置する。よって、有機溶剤浸透領域23−4は有機溶剤の自然蒸発により多少体積収縮するが、有機パターン23−3中に最終的に残存する。
有機溶剤の蒸発後の最終的に得られる有機パターン23−3の側端部23−9は、有機溶剤処理工程中の体積膨張した有機パターン23−2の側端部23−8より内側に位置するが、有機溶剤処理工程前の有機パターン23−1の側端部23−7より依然として外側に位置する。従って、最終的に得られる有機パターン23−3は、有機溶剤蒸発後の有機溶剤浸透領域23−4と有機溶剤非浸透領域23−5とからなる。ここで、有機溶剤浸透領域23−4は前述したように溶解リフローした領域を含む。境界23−6より外側の有機溶剤浸透領域23−4の底部では下地膜22との密着力が低下しているのに対し、境界23−6より内側の有機溶剤非浸透領域23−5の底部では下地膜22との密着力は低下していない。有機溶剤浸透領域23−4のうち溶融リフローにより有機パターン23の周囲に位置する下地膜22の露出表面上に流れ落ちた溶融リフロー部の底部は、該下地膜22との密着力は非常に低い。
本発明にとって、最終的に得られる有機パターン23−3を有機マスクとして使用して下地膜22を等方性エッチングすることで、エッチングされた下地膜のパターンの形状がテーパー化し且つエッチング工程中に有機マスクの剥離を防止するためには、最終的に得られる有機パターン23−3が、下地膜22との密着力が低下していない底部を有する有機溶剤非浸透領域23−5と、下地膜22との密着力が低下した底部を有する有機溶剤浸透領域23−4との双方を含んでいることが重要となる。この最終的に得られる有機パターン23−3を有機マスクとして使用し、下地膜22の等方性エッチングを行う。
更に、本発明にとって、最終的に得られる有機パターン23−3を有機マスクとして使用して下地膜22を異方性エッチングすることで、エッチングされた下地膜のパターンの形状がテーパー化するためには、最終的に得られる有機パターン23−3がテーパー形状を有することが重要となる。この場合、有機溶剤への接触を停止した後に行う熱処理の目的は、前記有機溶剤浸透領域23−4の底部の一旦低下した密着力の増加ではなく、前述したようにテーパー角の増加である。
また、前述したように、有機パターン23−1を有機溶剤へ接触させる前に、該有機パターン23−1の周囲に位置する下地膜22の露出表面に対し前述した表面処理を施すことで、該下地膜22の露出表面の濡れ性を高めることが、より均一な溶融リフローを実現するためには好ましい。表面処理については前述した通りなので、その重複説明はここでは行わない。
[テーパー化を伴った下地膜の等方性エッチングのメカニズム]
次に、図1及び図2を参照して説明した処理工程を経て最終的に得られた有機マスクを使用することでテーパー化を伴った下地膜のエッチングのメカニズムにつき以下図面を参照して説明する。図3は、図1で示した処理工程を経て最終的に得られた有機マスクを使用することでテーパー化を伴った下地膜の等方性エッチングのメカニズムを示す部分縦断面図である。前述したように、図1で示した処理工程を経て最終的に得られた有機パターン13−3は、有機溶剤蒸発後の有機溶剤浸透領域13−4と有機溶剤非浸透領域13−5とからなり、境界13−6より外側の有機溶剤浸透領域13−4の底部では下地膜12との密着力が低下しているのに対し、境界13−6より内側の有機溶剤非浸透領域13−5の底部では下地膜12との密着力は低下していない。この最終的に得られる有機パターン13−3を有機マスク13−3として使用し、下地膜12の等方性エッチングを行う。
等方性エッチング、取分け等方性がより強いウエットエッチングを例にとり、有機溶剤浸透領域13−4の底部の下地膜12との密着力が低下していることが、エッチングされた下地膜12のテーパー化へ寄与することを以下説明するが、等方性ドライエッチング等の他の等方性を示すエッチングの場合にも共通して説明できる。前述したように、被エッチング膜としての下地膜12は、該下地膜12の直下のベース構造としての基板11との密着力は高く、更に該下地膜12の直上の有機マスク13−3の有機溶剤非浸透領域13−5の底部との密着力も高いが、一方、該下地膜12の直上の有機マスク13−3の有機溶剤浸透領域13−4の底部との密着力は低い。このため、該下地膜12をエッチングするためのエッチング液に基板11を浸漬した際、下地膜12と基板11との密着力の高い界面に比較し、有機溶剤浸透領域13−4の底部と下地膜12との密着力の低い界面の方がエッチング液がより浸透し易い。このため、有機溶剤浸透領域13−4の底部と隣接する下地膜12の上部領域の方が、基板11と隣接する下地膜12の下部領域に比較して水平方向内側へのエッチング速度が大きい。従って、下地膜12の上部領域の水平方向におけるエッチングの位置が有機マスク13−3の有機溶剤浸透領域13−4の底部の下にあるうちは、前述の密着力の低い界面へのエッチング液の浸透が促進され、その結果、下地膜12の上部領域と下部領域とで水平方向内側へのエッチング速度に差が生じ、下地膜12のエッチング面が傾斜し順テーパー化が促進する。
下地膜12の上部領域の水平方向におけるエッチングの位置が有機マスク13−3の境界13−6より内側の有機溶剤非浸透領域13−5の底部の下になると、有機溶剤非浸透領域13−5の底部と下地膜12との密着力の高いため、前述の密着力の高い界面へのエッチング液の浸透が促進されず、その結果、下地膜12の上部領域と下部領域とで水平方向内側へのエッチング速度に殆ど差が生じなくなり、下地膜12のエッチング面の傾斜が次第に垂直に近づき、前記順テーパー化が後退する。よつて、下地膜12の上部領域の水平方向におけるエッチングの位置が有機マスク13−3の境界13−6より内側になる前にエッチング工程を停止することが、エッチングした下地膜12の順テーパー化を促進するには重要である。換言すれば、前記下地膜12の上部領域の予め定められた最終エッチング予定位置の更に内側まで前記有機溶剤が前記有機パターン13の底部に浸透するよう前記有機パターン13の前記有機溶剤への接触工程を継続することが好ましい。
尚、前述したように有機マスク13−3の有機溶剤浸透領域13−4の底部が有する下地膜12との密着力は、有機溶剤処理工程後に行われる熱処理により調整されているため、等方性エッチングにより最終的に得られる下地膜パターン12のテーパー角は所望の値となる。
図4は、図2で示した処理工程を経て最終的に得られた有機マスクを使用することでテーパー化を伴った下地膜の等方性エッチングのメカニズムを示す部分縦断面図である。前述したように、図2で示した処理工程を経て最終的に得られた有機パターン23−3は、有機溶剤蒸発後の有機溶剤浸透領域23−4と有機溶剤非浸透領域23−5とからなる。ここで、有機溶剤浸透領域23−4は前述したように溶解リフローした領域を含む。境界23−6より外側の有機溶剤浸透領域23−4の底部では下地膜22との密着力が低下しているのに対し、境界23−6より内側の有機溶剤非浸透領域23−5の底部では下地膜22との密着力は低下していない。有機溶剤浸透領域23−4のうち溶融リフローにより有機パターン23の周囲に位置する下地膜22の露出表面上に流れ落ちた溶融リフロー部の底部は、該下地膜22との密着力は非常に低い。この最終的に得られる有機パターン23−3を有機マスク23−3として使用し、下地膜22の等方性エッチングを行う。
等方性エッチング、取分け等方性がより強いウエットエッチングを例にとり、有機溶剤浸透領域23−4の底部の下地膜22との密着力が低下していることが、エッチングされた下地膜22のテーパー化へ寄与することを以下説明する。前述したように、被エッチング膜としての下地膜22は、該下地膜22の直下のベース構造としての基板21との密着力は高く、更に該下地膜22の直上の有機マスク23−3の有機溶剤非浸透領域23−5の底部との密着力も高いが、一方、該下地膜22の直上の有機マスク23−3の有機溶剤浸透領域23−4の底部との密着力は低い。このため、該下地膜22をエッチングするためのエッチング液に基板21を浸漬した際、下地膜22と基板21との密着力の高い界面に比較し、有機溶剤浸透領域23−4の底部と下地膜22との密着力の低い界面の方がエッチング液がより浸透し易い。このため、有機溶剤浸透領域23−4の底部と隣接する下地膜22の上部領域の方が、基板21と隣接する下地膜22の下部領域に比較して水平方向内側へのエッチング速度が大きい。従って、下地膜22の上部領域の水平方向におけるエッチングの位置が有機マスク23−3の有機溶剤浸透領域23−4の底部の下にあるうちは、前述の密着力の低い界面へのエッチング液の浸透が促進され、その結果、下地膜22の上部領域と下部領域とで水平方向内側へのエッチング速度に差が生じ、下地膜22のエッチング面が傾斜し順テーパー化が促進する。
下地膜22の上部領域の水平方向におけるエッチングの位置が有機マスク23−3の境界23−6より内側の有機溶剤非浸透領域23−5の底部の下になると、有機溶剤非浸透領域23−5の底部と下地膜22との密着力の高いため、前述の密着力の高い界面へのエッチング液の浸透が促進されず、その結果、下地膜22の上部領域と下部領域とで水平方向内側へのエッチング速度に殆ど差が生じなくなり、下地膜22のエッチング面の傾斜が次第に垂直に近づき、前記順テーパー化が後退する。よつて、下地膜22の上部領域の水平方向におけるエッチングの位置が有機マスク23−3の境界23−6より内側になる前にエッチング工程を停止することが、エッチングした下地膜22の順テーパー化を促進するには重要である。換言すれば、前記下地膜22の上部領域の予め定められた最終エッチング予定位置の更に内側まで前記有機溶剤が前記有機パターン23の底部に浸透するよう前記有機パターン23の前記有機溶剤への接触工程を継続することが好ましい。
尚、前述したように有機マスク23−3の有機溶剤浸透領域23−4の底部が有する下地膜22との密着力は、有機溶剤処理工程後に行われる熱処理により調整されているため、等方性エッチングにより最終的に得られる下地膜パターン22のテーパー角は所望の値となる。
図1で示した処理工程を経て最終的に得られた有機マスクはテーパー化されていないため等方性エッチングのみにしか使用できないが、図2で示した処理工程を経て最終的に得られた有機マスクはテーパー化されてるため等方性エッチングのみならず異方性エッチングにも使用できる。
[テーパー化を伴った下地膜の異方性エッチングのメカニズム]
図5は、図2で示した処理工程を経て最終的に得られた有機マスクを使用することでテーパー化を伴った下地膜の異方性エッチングのメカニズムを示す部分縦断面図である。前述したように、図2で示した処理工程を経て最終的に得られた有機パターン23−3は、有機溶剤蒸発後の有機溶剤浸透領域23−4と有機溶剤非浸透領域23−5とからなる。ここで、有機溶剤浸透領域23−4は前述したようにテーパー化した領域を含む。この最終的に得られるテーパー化した有機パターン23−3を有機マスク23−3として使用し、下地膜22の異方性エッチングを行う。
異方性エッチングにより下地膜をエッチングする場合、前述の等方性エッチングの場合と異なり、有機マスク23−3のテーパー形状がエッチングされた下地膜22のテーパー化に大きく寄与する。ウエットエッチングに比較してドライエッチングは一般的に異方性が強い。例えば、ドライエッチングの代表例として反応性イオンエッチングを挙げることができる。エッチング工程では、被エッチング膜である下地膜だけでなく有機マスクもエッチングされる。即ち、有機マスク23−3の露出表面がエッチング粒子によりエッチングされることで、結果として有機マスク23−3のテーパー化した周囲部分が有機マスクの中心に向かって後退していく。そして、有機マスク23−3のテーパー化した周囲部分における中心に向かっての後退に伴い、今まで有機マスク23−3で覆われていた下地膜22の部分も露出する。そして、有機マスク23−3のテーパー化した周囲部分の後退により露出した時から該下地膜22の露出部分はエッチング粒子に曝されエッチングが始まる。有機マスク23−3のテーパー化した周囲部分の後退は時間経過と伴に外側から中心内側に向かって起きるので、該下地膜22も時間経過と伴に外側から中心内側に向かって露出部分が拡大する。その結果、該下地膜22の露出部分であっても、外側の露出部分の方が内側の露出部分よりエッチング粒子に曝されエッチングが開始されたタイミングが早い。このため、エッチング工程中のある時間で診ると、外側の露出部分の方が内側の露出部分より長くエッチング粒子に曝されているためより多く即ちより深くエッチングされていることになる。その結果、該下地膜22のエッチング面は傾斜し、エッチングされた下地膜22はテーパー形状となる。
更に、有機マスク23−3の側壁の傾斜がなだらかなほど、即ち、有機マスク23−3のテーパー角が小さいほど、有機マスクのテーパー化した周囲部分の異方性エッチングによる後退速度が速い。この後退速度が速いと、下地膜22である被エッチング膜のエッチング面の傾斜が緩やかとなり、その結果、エッチングされた下地膜22はテーパー角が小さくなり、大きくテーパー化された下地膜22のパターンが形成される。従って、異方性エッチングを使用する場合で且つエッチングされた下地膜22のテーパー角を小さくすることが要求される場合には、有機マスク23−3のテーパー角を小さくする必要がある。一方、異方性エッチングを使用する場合で且つエッチングされた下地膜22のテーパー角を大きくすることが要求される場合には、有機マスク23−3のテーパー角を大きくする必要があり、このためには、一旦溶解リフローした後有機マスクのテーパー角調整のための熱処理を行うことで有機パターン23−3の体積収縮に伴うテーパー角の増大を引起こす必要がある。即ち、異方性エッチングを使用する場合で且つエッチングされた下地膜22のテーパー角を調整するには、溶解リフロー量を調整すると共に、必要に応じて溶解リフロー後の熱処理を行う必要がある。この熱処理については、テーパー角調整のための熱処理として先に説明した通りである。
図6は、本発明の比較例として、図1及び図2で示したいずれの処理工程も行わずに有機膜のパターニングのみにより得られたテーパー化されていない有機マスクを使用した際の下地膜の異方性エッチングのメカニズムを示す部分縦断面図である。有機マスク26の周囲部分はテーパー化されていないため、有機マスク26の露出表面がエッチング粒子によりエッチングされるが、該周囲部分が有機マスクの中心に向かって後退していく速度は、前述のテーパー化されている場合と比較して非常に遅くなる。このため、該下地膜25における時間経過に伴う外側から中心内側に向かっての露出部分の拡大する速度も非常に遅くなる。その結果、該下地膜25のエッチング面は垂直に近くなり、エッチングされた下地膜25はテーパー形状を有しない。
[有機パターン形成+ポストベーク+薬液処理(溶解リフロー有り)+密着力調整処理+ウエットエッチング]
本発明の実施例1につき以下説明する。図7A乃至図7Eは、本発明の実施例1に係るウエットエッチングの方法を示す部分縦断面図である。図8は、ウエットエッチング前に行われる再ベーク処理において時間を固定した場合の温度変化に対する下地膜パターンのテーパー角の変化を示す図である。
図7Aに示すように、絶縁基板31上にクロム膜32を形成した。ここで、クロム膜32の膜厚は1μm程度である。そして、このクロム膜32上の所定の領域に、公知のフォトリソグラフィ技術を使用してレジストパターン33を形成する。ここで、クロム膜32の下地構造を絶縁基板31としたが、この絶縁基板は液晶表示装置に用いられるガラス等の透明基板、アモルファスシリコン、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、半導体集積回路に用いられるシリコン酸化膜、シリコン窒化膜等の絶縁膜であっても良い。
図7Bに示すように、レジストパターン33とクロム膜32との密着力を増加させる目的でポストベーク処理を行った。ポストベーク処理の温度としては0℃乃至150℃の範囲が有効であるが、ここでは100℃乃至140℃程度の範囲の温度で行った。この温度でポストベーク処理を行ってもレジストパターン33の熱リフローは起きなかった。
図7Cに示すように、レジストパターン33を有機溶剤を含む薬液に接触させた。レジストパターン33を薬液の蒸気に暴露しても或いは極希薄な濃度の薬液中に浸漬してもよい。具体的には、蒸気密度の高いアセトンやプロピレングリコールモノエチルエーテルを用いて常温(20℃付近)で薬液の蒸気に暴露する場合、0.1分乃至3分程度の時間暴露する。一方、蒸気密度の低いトリプロピレングリコールモノエチルエーテルや、N−メチル−2−ピロリドンを用いて常温(20℃付近)で薬液の蒸気に暴露する場合、5分乃至20分の時間暴露する。尚、有機溶剤の温度と基板温度とが高い場合、溶解リフローを引起こすために必要な薬液蒸気への暴露時間は長くなる。一方、有機溶剤の温度と基板温度とが低い場合、溶解リフローを引起こすために必要な薬液蒸気への暴露時間は短くなる。後者の極希薄な濃度の有機溶剤溶液中への浸漬処理においては、有機溶剤濃度が高いと有機溶剤溶液中にレジストが溶解し剥離を起こす為、溶解剥離を起こさずに、しかもレジスト中に有機溶剤の一部が浸透するように溶液中の有機溶剤濃度を極希薄に調整する必要がある。
ここで、本実施形態においては、有機溶剤としてアセトン、プロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドンを用いたが、有機溶剤は、以下に示す有機溶剤のうち少なくとも一つを含むものであれば、本実施形態の変形例として適用可能であり、以下に述べる実施形態においても、同様のことが言える。以下には、有機溶剤を上位概念としての有機溶剤と、それを具体化した下位概念の有機溶剤とに分けて示している。(Rはアルキル基又は置換アルキル基、Arはフェニル基又はフェニル基以外の芳香環を示す)有機溶剤:
・アルコール類(R−OH)
・アルコキシアルコール類・エーテル類(R−O−R、Ar−O−R、Ar−O−Ar)
・エステル類・ケトン類・グリコール類・アルキレングリコール類・グリコールエーテル類上記有機溶剤の具体例:・CHOH、COH、CH(CH)XOH・イソプロピルアルコール(IPA)
・エトキシエタノール・メトキシアルコール・長鎖アルキルエステル・モノエタノールアミン(MEA)
・アセトン・アセチルアセトン・ジオキサン・酢酸エチル・酢酸ブチル・トルエン・メチルエチルケトン(MEK)
・ジエチルケトン・ジメチルスルホキシド(DMSO)
・メチルイソブチルケトン(MIBK)
・ブチルカルビトール・n−ブチルアセテート(nBA)
・ガンマーブチロラクトン・エチルセロソルブアセテート(ECA)
・乳酸エチル・ピルビン酸エチル・2−ヘプタノン(MAK)
・3−メトキシブチルアセテート・エチレングリコール・プロピレングリコール・ブチレングリコール・エチレングリコールモノエチルエーテル・ジエチレングリコールモノエチルエーテル・エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート・エチレングリコールモノメチルエーテル・エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート・エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル・ポリエチレングリコール・ポリプロレングリコール・ポリブチレングリコール・ポリエチレングリコールモノエチルエーテル・ポリジエチレングリコールモノエチルエーテル・ポリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート・ポリエチレングリコールモノメチルエーテル・ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート・ポリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル・メチル−3−メトキシプロピオネート(MMP)
・プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
・プロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGP)
・プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)
・エチル−3−エトキシプロピオネート(FEP)
・ジプロピレングリコールモノエチルエーテル・トリプロピレングリコールモノエチルエーテル・ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル・プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート・3−メトキシプロピオン酸メチル・3−エトキシプロピオン酸エチル・N−メチル−2−ピロリドン(NMP)
これ以降の薬液溶解リフローの為の処理として、主に有機溶剤の溶液の蒸気中に曝される方法を採用して説明する。本処理方法の具体例として、深さ20mmのステンレスバット容器に、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を5mm〜15mmの深さに入れ、処理面を裏返しにし、バット容器の上に被せ、さらに有機溶剤の蒸気雰囲気をステンレスバット容器と基板との間の空間に密閉するために基板の上に重りを載せる。基板と有機溶剤の温度は、常温(20℃付近)に保つようにする。こうして、有機溶剤の蒸気に処理基板をさらし、蒸気暴露処理する。ここで蒸気密度の高いアセトンやプロピレングリコールモノエチルエーテルを用いる場合には、0.1分〜3分の蒸気暴露処理だが、蒸気密度の低いトリプロピレングリコールモノエチルエーテルや、N−メチル−2−ピロリドンを用いる場合には、5分〜20分の処理を行なう。
レジストに上述した薬液すなわち有機溶剤の溶液が浸透している状態ではレジストパターン33が溶解してリフロー(薬液溶解リフロー)が起きる。薬液の供給を絶つと、有機溶剤の種類によって異なるが、薬液は数十秒〜数分以内にレジストパターン34中の有機溶剤が蒸発してレジストパターン34が固まる現象が見られた。また、溶解中は薬液が浸透しているのでレジストパターン34は膨張状態になるが、薬液が蒸発した後では体積が収縮することも確認した。この薬液リフローによるレジストパターン33がリフローし図7Cに示すように横方向に広がり、変形したレジストパターン34が形成される。この薬液リフローは前述の熱リフローに比較すると、リフロー時のレジスト粘度が低いので、リフロー距離をより大きくすることが可能となる。また、この薬液リフローは、常温(20℃付近)で、蒸気密度の高いアセトン、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の有機溶剤溶液の蒸気中に3分間暴露する処理条件の下で約10μm、5分間以上では、約20μm以上にも横方向にリフローすることを確認した。この場合の有機溶剤の温度及び基板の温度が高くなると、目標の溶解リフロー距離を達成するのに必要な処理時間は長くなる。一方、有機溶剤の温度及び基板の温度が低くなると、目標の溶解リフロー距離を達成するのに必要な処理時間は短くなる。
図7Dに示すように、変形レジストパターン34とクロム膜32との密着力を調整することを目的として再ベーク処理を行い、クロム膜32との調整された密着力を有するレジストマスク35を形成した。前述したメカニズムにより、密着力を調整することで、後に行われるウエットエッチングによりエッチングされたクロムパターンのテーパー角を調整することが可能となる。再ベーク処理の時間と温度に対するウエットエッチングされたクロムパターンのテーパー角の前述の関係を確認する目的で、再ベーク処理の時間を120秒に固定する一方でその温度を0℃乃至150℃の範囲、最適には、40℃乃至120℃程度の範囲で変化させた条件で再ベーク処理を行った。この温度範囲内で再ベーク処理を行ってもレジストパターン34の熱リフローは起きなかった。レジストマスク35とクロム膜32との密着力の変化は、後に行われるウエットエッチングによりエッチングされたクロムパターンのテーパー角の変化として現れる。
次に、図7Eに示すように、クロム膜32との密着力が調整されたレジストマスク35を使用して、クロム膜32のオーバーウエットエッチングを行って、順テーパー化したクロム膜パターン36を形成した。オーバーウエットエッチングの進行位置が前述の有機溶剤が浸透した領域内にある場合、前述の調整された密着力応じたテーパー角を維持しながら傾斜エッチング面が次第に内側に移動即ち水平方向のオーバーウエットエッチングが進行した。しかし、オーバーウエットエッチングの時間の進行位置が前述の有機溶剤が浸透していない領域に入ると、傾斜エッチング面の傾斜角即ちテーパー角が次第に増加した。従って、テーパー化のメカニズムに関し図4を参照して前述したように、前述のオーバーウエットエッチングの臨界時間で、クロム膜32の上部領域での水平方向のオーバーウエットエッチングの進行が、レジストマスク35の有機溶剤浸透領域と有機溶剤非浸透領域との境界に達したことを示している。即ち、オーバーウエットエッチングの臨界時間は、レジストマスク35の有機溶剤浸透領域と有機溶剤非浸透領域との境界に、クロム膜32の上部領域での水平方向のオーバーウエットエッチングの進行が到達する時間に依存することを示している。
クロム膜32の上部領域での水平方向のオーバーウエットエッチングの進行が、レジストマスク35の有機溶剤浸透領域と有機溶剤非浸透領域との境界に達する前、即ちオーバーウエットエッチングの臨界時間内でオーバーウエットエッチングを完了することで形成した順テーパー化したクロム膜パターン36につきテーパー角を測定した。テーパー角の測定は既知の方法で行った。すなわち、エッチング処理後、クロム膜パターン端部の断面をSEM(走査電子顕微鏡写真)撮影し、その断面写真よりテーパー角度を求めた。再ベーク処理の時間を120秒に固定し、その温度を0℃乃至150℃の範囲で変化させた異なる条件で再ベーク処理を行った異なるレジストマスクを使用してオーバーウエットエッチングを臨界時間内で行った際の順テーパー化したクロム膜パターン36の各々のテーパー角を測定した。その結果を図8に示す。図8は、レジストマスクの再ベーク処理の温度変化に対する順テーパー化したクロム膜パターンのテーパー角の変化を示す図である。ここで再ベーク処理の時間を120秒に固定してある。
図8に示すように、レジストパターン35の再ベーク処理の温度が高くなるほど、オーバーウエットエッチングで得られたクロム膜パターン36のテーパー角は大きくなる。再ベーク処理の温度範囲が50℃未満の場合、再ベーク処理の温度の違いによるテーパー角の違いは小さい。一方、再ベーク処理の温度範囲が50℃以上での温度上昇によるテーパー角の増加は顕著だった。50℃乃至150℃の再ベーク処理の温度範囲において、温度上昇によりテーパー角は単調に増加することが確認された。従って、要求されるテーパー角に従い再ベーク処理の温度を決定することで、例えば、角度5°未満の非常に小さなテーパー角から角度70°程度の大きなテーパー角までの範囲で所望のテーパー角を精度良く実現することが可能であることを確認した。尚、再ベーク処理の温度が常温(20℃)程度の場合、自然放置を結果的にみれば同じであるため、クロム膜パターン36の要求されるテーパー角が非常に小さい場合、図7Cの有機溶剤接触工程後、レジストパターン34の再ベーク処理を行わず自然放置してもよい。
更に、0℃乃至150℃の範囲の各々の温度に再ベーク処理の温度を固定して、再ベーク処理の時間を30秒乃至360秒の範囲で変化させ(120秒付近で時間を変化させた場合)、前述の同様の実験をした。その結果、再ベーク処理の各温度とも、再ベーク処理の時間を増加させることでクロム膜パターン36のテーパー角の増加が確認された。即ち、再ベーク処理の温度並びに時間の増加によりクロム膜パターン36のテーパー角が増加することが確認された。
本実施例により、以下のことが確認された。1)オーバーウエットエッチングの水平方向におけるエッチング速度は、非エッチング膜としてのクロム膜とレジストパターン底部との密着力に依存する。2)レジストパターンの有機溶剤への接触工程後に行う再ベーク処理の温度及び時間を調整し、レジストパターンの周囲領域底部とクロム膜との密着力を調整することで、このレジストパターンをマスクとして使用するオーバーウエットエッチングで得られたクロム膜パターンのテーパー角を非常に広範囲で正確に調整することが可能となる。但し、再ベーク処理の温度が常温の場合、レジストパターンの有機溶剤への接触工程後に行う再ベーク処理は、レジストパターンの自然放置であってもよい。
本実施例は以下のような変更が可能である。前述のウエットエッチングに代え、等方性ドライエッチングを使用してもよい。
また、図7Bに示したポストベーク処理後且つ図7Cに示したレジストパターンの有機溶剤への接触工程前に、レジストパターン33の溶解リフローを更に促進するために、レジストパターン33の表面の変質層を除去する工程を行ってもよい。この変質層除去工程は、例えば、酸素プラズマ処理、すなわちO流量300sccm、100Pa、RFパワー1000Wのプラズマ中で、120秒行われる処理であってもよい。或いは、UVオゾン処理、すなわち100℃〜200℃程度に基板を加熱し、オゾンガス雰囲気中で、UV光を照射してもよい。その処理により、変質化したレジスト表面層が除去され、内部と外部の差の少ない均一な溶解リフローが起こるようになる。これら処理方法及び処理条件の選択は、レジスト表面変質層の除去率を測定し必要に応じ使い分ける。
更に、変質層を薬液で処理し、該変質層を部分的に或いは全部除去するか或いは、該変質層に亀裂を入れることで、前記有機溶剤が前記有機パターンに浸透しやすくすることも可能である。ここで重要な点は、有機膜の変質していない部分は残存させ、変質層のみを選択的に除去或いは変質層に亀裂を入れることで、有機膜を除去或いは剥離せずに該有機膜中に有機溶剤が浸透するのを容易にすることが可能な薬液を使用することである。
この有機パターンの変質層は、時間放置劣化、熱酸化、熱硬化、デポ膜の付着、酸系エッチング液、Oアッシング、その他ドライエッチングガス使用による化学変化によるものが想定され、前記薬液として、酸、アルカリ水溶液、又は有機溶剤の混合液を用いる。更に具体的にはアミン類の有機溶剤を混合した水溶液でアミン類として、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ヒドロキシルアミン、ジエチルエヒドロキシルアミン、無水ジエチルエヒドロキシルアミン、ピリジン、ピコリンなどを用いる。また、防食材の典型例として、D−グルコース(C12)、キレート剤、酸化防止剤などを添加している場合もある。更に、その水溶液に混合する前記アミン類の混合濃度は、0.05〜10wt%の範囲の混合で用いられる。その変質層除去の目的で変質層の程度が比較的軽い場合、すなわち時間放置劣化、酸系エッチング液、等方性Oアッシングなどの場合には、その濃度は、0.05〜3wt%で良い。
更に、図7Bに示したポストベーク処理後且つ図7Cに示したレジストパターンの有機溶剤への接触工程前に、前述の変質層除去工程に加え或いはこれに代え、下地膜であるクロム膜の露出表面の濡れ性の改善処理を行ってもよい。この濡れ性の改善処理を行う方法は既知であり、以下の3つの方法が例示される。(1)基板をフッ酸溶液に浸漬する。(2)プラズマ(O、フッ素系ガス(SF、CF、CHF等)又はフッ素系ガスと酸素(SF/O、CF/O、CHF/O等))で表面処理する。(3)上層膜のエッチングをドライエッチングではなくウェットエッチングのみで行う等により、薬液リフロー前の膜表面を滑らか、或は親水性に濡れ性を改善する。これら処理方法及び処理条件の選択は、下地膜表面の濡れ性の改善率を測定し必要に応じ使い分ける。
[有機パターン形成+ポストベーク+薬液処理(溶解リフロー無し)+再ベーク+ウエットエッチング]
本発明の実施例2につき以下説明する。図9A乃至図9Eは、本発明の実施例2に係るウエットエッチングの方法を示す部分縦断面図である。図9A乃至図9Eに示す本実施例2のウエットエッチングの方法は、図7A乃至図7Eを参照して説明した実施例1のウエットエッチングの方法と比較した場合、レジストパターンの溶解リフローが起きない程度に有機溶剤のレジストパターン中への浸透を行う点が異なる。
図9Aに示すように、絶縁基板31上にクロム膜32を形成した。ここで、クロム膜32の膜厚は100nm程度である。そして、このクロム膜32上の所定の領域に、公知のフォトリソグラフィ技術を使用してレジストパターン33を形成する。ここで、クロム膜32の下地構造を絶縁基板31としたが、この絶縁基板は液晶表示装置に用いられるガラス等の透明基板、アモルファスシリコン、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、半導体集積回路に用いられるシリコン酸化膜、シリコン窒化膜等の絶縁膜であっても良い。
図9Bに示すように、レジストパターン33とクロム膜32との密着力を増加させる目的でポストベーク処理を行った。ポストベーク処理の温度としては0℃乃至150℃の範囲が有効であるが、ここでは140℃の温度で行った。この温度でポストベーク処理を行ってもレジストパターン33の熱リフローは起きなかった。
図9Cに示すように、レジストパターン33を有機溶剤を含む薬液に接触させて、有機溶剤が浸透したレジストパターン37を形成した。但し、前記実施例1と異なり溶解リフローを起さない程度に有機溶剤を含む薬液をレジストパターン37中に浸透させた。具体的には、レジストパターン33を薬液の蒸気に暴露しても或いは極希薄な濃度の薬液中に浸漬してもよい。例えば、蒸気密度の高いアセトンやプロピレングリコールモノエチルエーテルを用いて常温(20℃付近)で薬液の蒸気に暴露する場合、10秒乃至120秒程度の時間暴露する。一方、蒸気密度の低いトリプロピレングリコールモノエチルエーテルや、N−メチル−2−ピロリドンを用いて常温(20℃付近)で薬液の蒸気に暴露する場合、3分乃至7分の時間暴露する。レジストに上述した薬液すなわち有機溶剤の溶液が浸透している状態であってもその浸透量が少ない場合、レジストパターン33の溶解リフローは起きない。薬液の供給を絶つと、有機溶剤の種類によって異なるが、薬液は数十秒〜数分以内にレジストパターン37中の有機溶剤が蒸発した。また、薬液が浸透しているのでレジストパターン37は膨張状態になるが、薬液が蒸発した後では体積が収縮することも確認した。
図9Dに示すように、変形レジストパターン37とクロム膜32との密着力を調整することを目的として再ベーク処理を行い、クロム膜32との調整された密着力を有するレジストマスク38を形成した。前述したメカニズムにより、密着力を調整することで、後に行われるウエットエッチングによりエッチングされたクロムパターンのテーパー角を調整することが可能となる。再ベーク処理の時間と温度に対するウエットエッチングされたクロムパターンのテーパー角の前述の関係を確認する目的で、実施例1同様、再ベーク処理の時間を120秒に固定する一方でその温度を0℃乃至150℃の範囲、最適には、40℃乃至120℃程度の範囲で変化させた条件で再ベーク処理を行った。この温度範囲内で再ベーク処理を行ってもレジストパターン37の熱リフローは起きなかった。レジストマスク38とクロム膜32との密着力の変化は、後に行われるウエットエッチングによりエッチングされたクロムパターンのテーパー角の変化として現れる。
次に、図9Eに示すように、クロム膜32との密着力が調整されたレジストマスク38を使用して、クロム膜32のオーバーウエットエッチングを行って、順テーパー化したクロム膜パターン36を形成した。オーバーウエットエッチングの進行位置が前述の有機溶剤が浸透した領域内にある場合、前述の調整された密着力応じたテーパー角を維持しながら傾斜エッチング面が次第に内側に移動即ち水平方向のオーバーウエットエッチングが進行した。しかし、オーバーウエットエッチングの時間の進行位置が前述の有機溶剤が浸透していない領域に入ると、傾斜エッチング面の傾斜角即ちテーパー角が次第に増加した。従って、テーパー化のメカニズムに関し図3を参照して前述したように、前述のオーバーウエットエッチングの臨界時間で、クロム膜32の上部領域での水平方向のオーバーウエットエッチングの進行が、レジストマスク38の有機溶剤浸透領域と有機溶剤非浸透領域との境界に達したことを示している。即ち、オーバーウエットエッチングの臨界時間は、レジストマスク38の有機溶剤浸透領域と有機溶剤非浸透領域との境界に、クロム膜32の上部領域での水平方向のオーバーウエットエッチングの進行が到達する時間に依存することを示している。
クロム膜32の上部領域での水平方向のオーバーウエットエッチングの進行が、レジストマスク38の有機溶剤浸透領域と有機溶剤非浸透領域との境界に達する前、即ちオーバーウエットエッチングの臨界時間内でオーバーウエットエッチングを完了することで形成した順テーパー化したクロム膜パターン36につきテーパー角を測定した。テーパー角の測定は既知の方法で行った。すなわち、エッチング処理後、クロム膜パターン端部の断面をSEM(走査電子顕微鏡写真)撮影し、その断面写真よりテーパー角度を求めた。再ベーク処理の時間を120秒に固定し、その温度を0℃乃至150℃の範囲で変化させた異なる条件で再ベーク処理を行った異なるレジストマスクを使用してオーバーウエットエッチングを臨界時間内で行った際の順テーパー化したクロム膜パターン36の各々のテーパー角を測定した。ここで再ベーク処理の時間を120秒に固定してある。その結果は、前述の第一の実施例と同様であった。即ち、本実施例は、前述の第一の実施例と有機溶剤浸透領域と有機溶剤非浸透領域との境界位置、即ちオーバーウエットエッチングの臨界時間が異なるが、以下の点では共通していた。
図8に示す第一の実施例の結果と同様に、レジストパターン35の再ベーク処理の温度が高くなるほど、オーバーウエットエッチングで得られたクロム膜パターン36のテーパー角は大きくなる。再ベーク処理の温度範囲が50℃未満の場合、再ベーク処理の温度の違いによるテーパー角の違いは小さい。一方、再ベーク処理の温度範囲が50℃以上での温度上昇によるテーパー角の増加は顕著だった。50℃乃至150℃の再ベーク処理の温度範囲において、温度上昇によりテーパー角は単調に増加することが確認された。従って、要求されるテーパー角に従い再ベーク処理の温度を決定することで、例えば、角度5°未満の非常に小さなテーパー角から角度70°程度の大きなテーパー角までの範囲で所望のテーパー角を精度良く実現することが可能であることを確認した。尚、再ベーク処理の温度が常温(20℃)程度の場合、自然放置を結果的にみれば同じであるため、クロム膜パターン36の要求されるテーパー角が非常に小さい場合、図9Cの有機溶剤接触工程後、レジストパターン37の再ベーク処理を行わず自然放置してもよい。
更に、0℃乃至150℃の範囲の各々の温度に再ベーク処理の温度を固定して、再ベーク処理の時間を30秒乃至360秒の範囲で変化させ(120秒付近で時間を変化させた場合)、前述の同様の実験をした。その結果、再ベーク処理の各温度とも、再ベーク処理の時間を増加させることでクロム膜パターン36のテーパー角の増加が確認された。即ち、再ベーク処理の温度並びに時間の増加によりクロム膜パターン36のテーパー角が増加することが確認された。
本実施例も前述の第一の実施例と同様に、以下のことが確認された。1)オーバーウエットエッチングの水平方向におけるエッチング速度は、非エッチング膜としてのクロム膜とレジストパターン底部との密着力に依存する。2)レジストパターンの有機溶剤への接触工程後に行う再ベーク処理の温度及び時間を調整し、レジストパターンの周囲領域底部とクロム膜との密着力を調整することで、このレジストパターンをマスクとして使用するオーバーウエットエッチングで得られたクロム膜パターンのテーパー角を非常に広範囲で正確に調整することが可能となる。但し、再ベーク処理の温度が常温の場合、レジストパターンの有機溶剤への接触工程後に行う再ベーク処理は、レジストパターンの自然放置であってもよい。
本実施例と前述の第一の実施例とを比較することで、更に以下のことが確認された。3)オーバーウエットエッチングを使用する場合、マスクとして使用するレジストパターンの周辺部の断面形状即ちリフローしたレジストパターンかリフローしていないレジストパターンに関係無く、エッチング速度は、非エッチング膜としてのクロム膜とレジストパターン底部との密着力を調整することで、クロム膜パターンのテーパー角を調整することが可能となる。
[有機パターン形成+ポストベーク+薬液処理(溶解リフロー有り)+再ベーク+異方性ドライエッチング]
本発明の実施例3につき以下説明する。図10A乃至図10Eは、本発明の実施例3に係る異方性ドライエッチングの方法を示す部分縦断面図である。
図10Aに示すように、絶縁基板31上にクロム膜32を形成した。ここで、クロム膜32の膜厚は100nm程度である。そして、このクロム膜32上の所定の領域に、公知のフォトリソグラフィ技術を使用してレジストパターン33を形成する。ここで、クロム膜32の下地構造を絶縁基板31としたが、この絶縁基板は液晶表示装置に用いられるガラス等の透明基板、アモルファスシリコン、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、半導体集積回路に用いられるシリコン酸化膜、シリコン窒化膜等の絶縁膜であっても良い。
図10Bに示すように、レジストパターン33とクロム膜32との密着力を増加させる目的でポストベーク処理を行った。ポストベーク処理の温度としては0℃乃至150℃の範囲が有効であるが、ここでは140℃の温度で行った。この温度でポストベーク処理を行ってもレジストパターン33の熱リフローは起きなかった。
図10Cに示すように、レジストパターン33を有機溶剤を含む薬液に接触させた。レジストパターン33を薬液の蒸気に暴露しても或いは極希薄な濃度の薬液中に浸漬してもよい。具体的には、蒸気密度の高いアセトンやプロピレングリコールモノエチルエーテルを用いて常温(20℃付近)で薬液の蒸気に暴露する場合、0.1分乃至3分程度の時間暴露する。一方、蒸気密度の低いトリプロピレングリコールモノエチルエーテルや、N−メチル−2−ピロリドンを用いて常温(20℃付近)で薬液の蒸気に暴露する場合、5分乃至20分の時間暴露する。尚、有機溶剤の温度と基板温度とが高い場合、溶解リフローを引起こすために必要な薬液蒸気への暴露時間は長くなる。一方、有機溶剤の温度と基板温度とが低い場合、溶解リフローを引起こすために必要な薬液蒸気への暴露時間は短くなる。後者の極希薄な濃度の有機溶剤溶液中への浸漬処理においては、有機溶剤濃度が高いと有機溶剤溶液中にレジストが溶解し剥離を起こす為、溶解剥離を起こさずに、しかもレジスト中に有機溶剤の一部が浸透するように溶液中の有機溶剤濃度を極希薄に調整する必要がある。
レジストに上述した薬液すなわち有機溶剤の溶液が浸透している状態ではレジストパターン33が溶解してリフロー(薬液溶解リフロー)が起きる。溶解リフロー工程の時間が長くなるにつれ、溶解リフローにより変形したレジストパターン34の寸法が大きくなると共にテーパー角が小さくなる。薬液の供給を絶つと、有機溶剤の種類によって異なるが、薬液は数十秒〜数分以内にレジストパターン34中の有機溶剤が蒸発してレジストパターン34が固まる現象が見られた。また、溶解中は薬液が浸透しているのでレジストパターン34は膨張状態になるが、薬液が蒸発した後では体積が元に戻ることも確認した。この薬液リフローによるレジストパターン33がリフローし図10Cに示すように横方向に広がり、変形したレジストパターン34が形成される。変形したレジストパターン34は、その寸法及び形状において図10Bに示すものと異なる。この薬液リフローは前述の熱リフローに比較すると、リフロー時のレジスト粘度が低いので、リフロー距離をより大きくすることが可能となる。
熱リフローは水平方向の寸法の増大を引起こす一方で、有機パターンの熱処理を行うと、前述したように、有機パターンの体積収縮が起きる。即ち、熱リフローは、流動化による水平方向の寸法の増大と同時に、熱による有機パターンの体積収縮を引起こすため、水平方向の寸法の増大は、溶解リフローほど大きくない。これに対し、溶解リフローは、流動化による水平方向の寸法の増大に加え、有機溶剤浸透による有機パターンの体積膨張を引き起す。このため、パターン間隔の縮小には熱リフローより溶解リフローの方が有利である。
また、この薬液リフローは、常温(20℃付近)で、蒸気密度の高いアセトン、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の有機溶剤溶液の蒸気中に3分間暴露する処理条件の下で約10μm、5分間以上では、約20μm以上にも横方向にリフローすることを確認した。この場合の有機溶剤の温度及び基板の温度が高くなると、目標の溶解リフロー距離を達成するのに必要な処理時間は長くなる。一方、有機溶剤の温度及び基板の温度が低くなると、目標の溶解リフロー距離を達成するのに必要な処理時間は短くなる。
図10Dに示すように、一旦溶解リフローした変形レジストパターン34の形状及び寸法を調整することを目的として再ベーク処理を行い、調整された形状及び寸法を有するレジストマスク39を形成した。熱処理を行うことで、前述したメカニズムにより、一旦溶解リフローした変形レジストパターン34の周辺部の断面形状、取分けレジストパターン34のテーパー角を調整することで、後に行われるドライエッチングによりエッチングされたクロムパターンのテーパー角を調整することが可能となる。前述の溶解リフローにより得られた変形レジストパターン34のテーパー角が小さすぎる場合、即ち変形レジストパターン34の傾斜が小さすぎる場合、溶解リフロー工程の後に再ベーク処理を行い、変形レジストパターン34の寸法及びテーパー角を調整することで、所望の寸法及びテーパー角を有する変形レジストパターン39を形成する。溶解リフロー処理時間に対するウエットエッチングされたクロムパターンのテーパー角の関係を確認する目的で、再ベーク処理の温度及び時間をそれぞれ120℃及び120秒に固定させた条件で再ベーク処理を行った。この温度範囲及び時間で再ベーク処理を行ってもレジストパターン34の体積収縮は起きても、熱リフローは起きなかった。但し、再ベーク処理後のテーパー角は、溶解リフロー工程前のテーパー角より小さく、且つ溶解リフロー工程直後のテーパー角より大きい範囲とする。変形レジストパターン39のテーパー角の変化は、後に行われるドライエッチングによりエッチングされたクロムパターンのテーパー角の変化として現れる。
実際に、溶解リフローでレジストパターンの寸法及びテーパー角を所望の値に非常に高い精度で合わせることは容易ではない。また、溶解リフローでレジストパターンを変形させた場合、変形レジストパターン34のテーパー角が所望の角度より小さくなる場合がある。このような場合、熱処理として再ベーク処理を行うことで、前述したメカニズムにより、変形レジストパターン34の体積収縮が起こり、結果としてテーパー角が増加し所望の角度となるようにする。このことは、レジストパターンの溶解リフロー工程の後に該変形レジストパターンのテーパー角及び寸法の調整のための再ベーク処理を行うことで、溶解リフロー工程の条件が緩和されることを意味する。溶解リフロー工程直後の変形レジストパターンのテーパー角が所望の値か或いはそれより小さくなるように、レジストパターンの溶解リフロー工程を行えばよい。そして、溶解リフロー工程直後の変形レジストパターンのテーパー角が所望の値より小さい場合、溶解リフロー工程後に再ベーク処理を行うことでレジストパターンのテーパー角を所望の値となるよう増加即ち調整する。
次に、図10Eに示すように、テーパー角が調整されたレジストマスク39をマスクとして使用して、クロム膜32の異方性ドライエッチングを行って、順テーパー化したクロム膜パターン36を形成した。異方性ドライエッチングのテーパー化のメカニズムに関し図5及び図6を参照して前述したように、異方性ドライエッチングされたクロム膜パターン36のテーパー角は、マスクとして使用するレジストパターン39のテーパー角に依存する。
溶解リフロー処理時間とレジストパターン39のテーパー角との関係は前述の通りであるが、溶解リフロー処理時間とレジストパターン39をマスクとして使用して異方性ドライエッチングすることにより形成されたクロム膜パターン36のテーパー角との関係を以下の条件の下で確認した。溶解リフロー処理時間を0秒乃至300秒の範囲で変化させた異なる条件で行った。溶解リフロー後のレジストパターン34のテーパー角調整のための再ベーク処理の時間及び温度をそれぞれ120秒及び120℃に固定した。再ベーク処理後のテーパー角が調整されたクロム膜32を以下の条件でドライエッチングした。ドライエッチングガスとして、Cl/O=300/200(sccm)、又はCl/He/O=300/100/200(sccm)の流量で供給した。FRパワーを1500Wに設定した。圧力を10Paから20Paに設定した。この条件の下でドライエッチングを120秒行った。ここで、クロム膜32の膜厚は100nmである。溶解リフロー処理時間を0秒乃至300秒の範囲で変化させた際の順テーパー化したクロム膜パターン36の各々のテーパー角を測定した。
その結果を図11に示す。図11は、溶解リフロー処理時間の変化に対する異方性ドライエッチングしたクロム膜パターンのテーパー角の変化を示す図である。図11は、溶解リフロー処理時間が長くなるにつれ異方性ドライエッチングしたクロム膜パターンのテーパー角が小さくなることを直接的に示す。溶解リフロー処理時間が長くなるにつれ溶解リフロー直後のレジストパターン34のテーパー角は小さくなることは前述の通りであり、且つ再ベーク処理の条件及びドライエッチング処理の条件を共に固定しているので、図11は、マスクとして使用するレジストパターン39のテーパー角か小さくなるにつれ異方性ドライエッチングしたクロム膜パターン36のテーパー角も小さくなることを間接的に示す。即ち、異方性ドライエッチングしたクロム膜パターン36のテーパー角は、マスクとして使用するレジストパターン39のテーパー角に依存することを確認した。本発明では、マスクとして使用するレジストパターン39のテーパー角を調整するための熱処理工程を行うことで、異方性ドライエッチングしたクロム膜パターン36のテーパー角を高い精度で所望の値に調整することが可能となる。また、そのテーパー角を調整可能な範囲を広範囲とすることが可能となる。
図12A乃至図12Dは、マスクとして使用するレジストパターンのテーパー角と、該マスクを使用して異方性ドライエッチングされたクロム膜パターンのテーパー角との関係を示す図である。即ち図12Aは、溶解リフローしていないレジストパターンをマスクとして使用して異方性ドライエッチングを行うことで得られたクロム膜パターンのテーパー角を模式的に示す部分縦断面図である。図12Bは、小さく溶解リフローしたレジストパターンをマスクとして使用して異方性ドライエッチングを行うことで得られたクロム膜パターンのテーパー角を模式的に示す部分縦断面図である。図12Cは、図12Bより大きく溶解リフローしたレジストパターンをマスクとして使用して異方性ドライエッチングを行うことで得られたクロム膜パターンのテーパー角を模式的に示す部分縦断面図である。図12Dは、図12Cより更に大きく溶解リフローしたレジストパターンをマスクとして使用して異方性ドライエッチングを行うことで得られたクロム膜パターンのテーパー角を模式的に示す部分縦断面図である。図12A乃至図12Dより、マスクとして使用するレジストパターンのテーパー角が小さくなるにつれ、異方性ドライエッチングを行うことで得られたクロム膜パターンのテーパー角も小さくなることがわかる。
本実施例により、以下のことが確認された。1)異方性ドライエッチングしたクロム膜パターンのテーパー角は、マスクとして使用するレジストパターンのテーパー角に依存する。2)マスクとして使用するレジストパターンのテーパー角を調整するための熱処理工程を行うことで、異方性ドライエッチングしたクロム膜パターンのテーパー角を高い精度で所望の値に調整することが可能となる。また、そのテーパー角を調整可能な範囲を広範囲とすることが可能となる。
本発明は、有機マスクの形成方法及び該有機マスクを利用した等方性及び異方性エッチング方法に関するものであれば、あらゆるものに適用することが可能であり、その利用の可能性において何ら限定するものではない。
幾つかの好適な実施の形態及び実施例に関連付けして本発明を説明したが、これら実施の形態及び実施例は単に実例を挙げて発明を説明するためのものであって、限定することを意味するものではないことが理解できる。本明細書を読んだ後であれば、当業者にとって等価な構成要素や技術による数多くの変更および置換が容易であることが明白であるが、このような変更および置換は、添付の請求項の真の範囲及び精神に該当するものであることは明白である。
有機パターンを有機溶剤に接触させ、溶解リフローが生じない程度の少量の有機溶剤が有機パターン中に浸透する工程及びその後の有機溶剤の蒸発工程における有機パターンの形状及び寸法変化のメカニズムを説明する部分縦断面図である。 有機パターンを有機溶剤に接触させ、溶解リフローが生じる程度の多量の有機溶剤が有機パターン中に浸透する工程及びその後の有機溶剤の蒸発工程における有機パターンの形状及び寸法変化のメカニズムを説明する部分縦断面図である。 図1で示した処理工程を経て最終的に得られた有機マスクを使用することでテーパー化を伴った下地膜の等方性エッチングのメカニズムを示す部分縦断面図である。 図2で示した処理工程を経て最終的に得られた有機マスクを使用することでテーパー化を伴った下地膜の等方性エッチングのメカニズムを示す部分縦断面図である。 図2で示した処理工程を経て最終的に得られた有機マスクを使用することでテーパー化を伴った下地膜の異方性エッチングのメカニズムを示す部分縦断面図である。 本発明の比較例として、図1及び図2で示したいずれの処理工程も行わずに有機膜のパターニングのみにより得られたテーパー化されていない有機マスクを使用した際の下地膜の異方性エッチングのメカニズムを示す部分縦断面図である。 本発明の実施例1に係るウエットエッチングの方法における一工程を示す部分縦断面図である。 本発明の実施例1に係るウエットエッチングの方法における一工程を示す部分縦断面図である。 本発明の実施例1に係るウエットエッチングの方法における一工程を示す部分縦断面図である。 本発明の実施例1に係るウエットエッチングの方法における一工程を示す部分縦断面図である。 本発明の実施例1に係るウエットエッチングの方法における一工程を示す部分縦断面図である。 ウエットエッチング前に行われる再ベーク処理において時間を固定した場合の温度変化に対する下地膜パターンのテーパー角の変化を示す図である。 本発明の実施例2に係るウエットエッチングの方法における一工程を示す部分縦断面図である。 本発明の実施例2に係るウエットエッチングの方法における一工程を示す部分縦断面図である。 本発明の実施例2に係るウエットエッチングの方法における一工程を示す部分縦断面図である。 本発明の実施例2に係るウエットエッチングの方法における一工程を示す部分縦断面図である。 本発明の実施例2に係るウエットエッチングの方法における一工程を示す部分縦断面図である。 本発明の実施例3に係る異方性ドライエッチングの方法における一工程を示す部分縦断面図である。 本発明の実施例3に係る異方性ドライエッチングの方法における一工程を示す部分縦断面図である。 本発明の実施例3に係る異方性ドライエッチングの方法における一工程を示す部分縦断面図である。 本発明の実施例3に係る異方性ドライエッチングの方法における一工程を示す部分縦断面図である。 本発明の実施例3に係る異方性ドライエッチングの方法における一工程を示す部分縦断面図である。 溶解リフロー処理時間の変化に対する異方性ドライエッチングしたクロム膜パターンのテーパー角の変化を示す図である。 溶解リフローしていないレジストパターンをマスクとして使用して異方性ドライエッチングを行うことで得られたクロム膜パターンのテーパー角を模式的に示す部分縦断面図である。 小さく溶解リフローしたレジストパターンをマスクとして使用して異方性ドライエッチングを行うことで得られたクロム膜パターンのテーパー角を模式的に示す部分縦断面図である。 図12Bより大きく溶解リフローしたレジストパターンをマスクとして使用して異方性ドライエッチングを行うことで得られたクロム膜パターンのテーパー角を模式的に示す部分縦断面図である。 図12Cより更に大きく溶解リフローしたレジストパターンをマスクとして使用して異方性ドライエッチングを行うことで得られたクロム膜パターンのテーパー角を模式的に示す部分縦断面図である。
符号の説明
11、21、31 基板
12、22、25 下地膜
32、36 クロム膜
13、23 有機パターン
33、34、37、38、39 レジストパターン

Claims (20)

  1. 下地膜上に形成した少なくとも1種類の有機物質を含む有機パターンを有機溶剤に接触させて、前記有機パターンの表面から内部に向かって前記有機溶剤を浸透させ、前記有機溶剤が浸透した前記有機パターンの浸透領域の体積膨張を引起こすと共に、前記有機溶剤が浸透していない非浸透領域の底部と前記下地膜との密着力を維持する一方で、前記浸透領域の底部と前記下地膜との密着力を低下させることで、当初の前記下地膜と前記有機パターンの密着力の一部、又は全部を低下させた有機マスクを形成する工程と、
    一旦低下した前記密着力を増加するよう密着力調整のための熱処理を行う工程と、前記下地膜のウェットエッチング処理、又は等方性ドライエッチング処理を行う工程を含み、前記下地膜の断面形状のテーパー化を制御することを特徴とするパターン形成方法。
  2. 前記熱処理の温度が、40℃から120℃の範囲である請求項1に記載のパターン形成方法。
  3. 前記下地膜の上部領域の予め定められた最終エッチング予定位置の内側まで前記有機溶剤が前記有機パターンの底部に浸透するよう前記有機パターンの前記有機溶剤への接触工程を継続する請求項1または2に記載のパターン形成方法。
  4. 前記ウェットエッチング、又は前記等方性ドライエッチングは、前記下地膜の上部領域の水平方向におけるエッチング位置が前記浸透領域の底部と前記非浸透領域の底部との境界を越えない前に中止する請求項1乃至3のいずれかに記載のパターン形成方法。
  5. 前記有機パターンの溶解リフローが起きる前に前記有機パターンの前記有機溶剤への接触工程を停止することで、テーパー化されておらず且つ有機溶剤浸透領域の底部の密着力より有機溶剤非浸透領域の底部の密着力が低い有機マスクを形成する請求項3または4のいずれかに記載のパターン形成方法。
  6. 前記有機パターンの溶解リフローが起きるまで前記有機パターンの前記有機溶剤への接触を継続することで、テーパー化され且つ有機溶剤非浸透領域の底部の密着力より有機溶剤浸透領域の底部の密着力が低い有機マスクを形成する請求項乃至のいずれかに記載のパターン形成方法。
  7. 前記有機パターンを前記有機溶剤に接触させる前に、前記有機パターンの底部と前記下地膜との密着力を増加させるため、前記有機パターンの底部と前記下地膜との密着力が増加するのに必要な最低温度以上、且つ前記有機パターンが変質し前記有機溶剤の浸透が妨げられる温度範囲より低い温度で行われる熱処理工程を更に含む請求項乃至のいずれかに記載のパターン形成方法。
  8. 前記熱処理の温度が、100℃から150℃の範囲である請求項に記載のパターン形成方法。
  9. 下地膜上に形成した少なくとも1種類の有機物質を含む有機パターンを有機溶剤に接触させて前記有機パターンの表面から内部に向かって前記有機溶剤を浸透させ、前記有機溶剤が浸透した前記有機パターンの浸透領域の体積膨張及び溶解リフローした有機パターンのテーパー角が所望の有機マスクのテーパー角より小さい場合、溶解リフロー後のテーパー角調整のための熱処理により有機パターンのテーパー角を増減させ所望のテーパー角になるよう調整し、周囲領域がテーパー化した有機マスクを形成する工程と、前記有機マスクを使用して前記下地膜を異方性エッチングする工程とを含むパターン形成方法。
  10. 前記異方性エッチングは、異方性ドライエッチングである請求項に記載のパターン形成方法。
  11. 前記熱処理の温度が、50℃から150℃の範囲である請求項に記載のパターン形成方法。
  12. 前記有機パターンに有機溶剤を浸透させる前に、有機パターンの溶解リフローされる部分により覆われる下地膜の領域を表面処理し濡れ性を高める処理工程を更に含む請求項1乃至11のいずれかに記載のパターン形成方法。
  13. 前記濡れ性を高める処理工程は、酸素プラズマ処理、或いはUVオゾン処理工程である請求項12に記載のパターン形成方法。
  14. 前記有機パターンに有機溶剤を浸透させる前に、有機パターン表面の変質層を除去する工程を更に含む請求項1乃至11のいずれかに記載のパターン形成方法。
  15. 前記変質層を除去する工程は、酸素プラズマ処理、或いはUVオゾン処理工程である請求項14に記載のパターン形成方法。
  16. 前記有機パターンに有機溶剤を浸透させる前に、有機パターン表面の変質層のみを選択的に薬液で処理し、前記有機溶剤が前記有機パターンに浸透しやすくする工程を更に含む請求項1乃至11のいずれかに記載のパターン形成方法。
  17. 前記変質層を前記薬液で処理する工程は、前記有機パターンを残存させると共に前記変質層の少なくとも1部分を前記薬液で除去する工程である請求項16に記載のパターン形成方法。
  18. 前記変質層を前記薬液で処理する工程は、前記有機パターンを残存させると共に前記変質層の全部を前記薬液で除去する工程である請求項17に記載のパターン形成方法。
  19. 前記変質層を前記薬液で処理する工程は、前記変質層に亀裂を入れる工程である請求項16に記載のパターン形成方法。
  20. 前記薬液が、酸、アルカリ水溶液、又は有機溶剤の混合液である請求項16乃至19のいずれかに記載のパターン形成方法。
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