JP4512381B2 - 生分解性プラスチックを含む繊維製品 - Google Patents

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Description

本発明は、生分解性プラスチックを含む耐加水分解性に優れた繊維製品に関し、さらに詳しくは、生分解性プラスチックを用いた繊維に、カルボジイミド化合物からなる耐加水分解安定剤を配合することにより、耐加水分解性、耐アルカリ性、耐染色性に優れた繊維製品に関する。
酵素や微生物で分解される生分解性プラスチックとして、脂肪族ポリエステルが注目され、その生分解性の脂肪族ポリエステルとしては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシバリレート)、ポリカプロラクトン、あるいはエチレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのグリコールとコハク酸、アジピン酸などのカルボン酸よりなるポリエステルなどが知られている。
しかしながら、これらの脂肪族ポリエステルは、室温や高温の水中における加水分解性が非常に高く、さらには、空気中の水分によっても、分解されうるという性質を持っている。このように容易に加水分解される性質により、例えば、繊維として使用する場合では、染料の水分散溶液による高温での染色を行うと、布帛の引裂強度が急激に低下してしまうことから、比較的低温での染色しか行えず、濃色に染めることができない、あるいは漁網などの水産資材用として水中で使用する場合には、その使用可能期間がごく短期間に限定されてしまう、さらには経時安定性に乏しく、製造後長期間経た後では劣化のため、当初の性能が発揮できないといった種々の問題点があった。
このような問題点を解決する手段として、脂肪族ポリエステルの一種であるポリ乳酸のカルボキシル基末端を、脂肪族アルコールとの縮合反応により末端封鎖する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、この末端封鎖技術は、縮合反応であり、反応副産物を除去するために、ポリ乳酸を重合する際に脂肪族アルコールを共存させる必要があり、そのために重合速度が遅く、工業的な生産ができない、又は、残存低分子量未反応物が多く、これらが成形時に気化するため成形品の外観が劣る、あるいは成形品の耐熱性が低いなどの問題点や、さらには縮合反応により得られた末端封鎖ポリマー(チップ)を再溶融・成形する際に、再びカルボキシル基末端が生成してしまい、未封鎖末端が残存するために、成形品の耐加水分解性が依然として不十分であるといった問題点があった。
また、脂肪族アルコールによるカルボキシル基末端の封鎖に加えて、紡糸温度を低くすることにより、ポリ乳酸繊維のカルボキシル基末端濃度を下げる技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、ポリ乳酸に代表される脂肪族ポリエステルの溶融粘度は、温度依存性が比較的高いため、紡糸温度を下げるためにはポリマーの分子量を十分に下げる必要があり、汎用繊維などとして、十分な強度を有するポリ乳酸繊維を得ることができないといった問題点があった。
また一方、耐加水分解性向上を目的として、生分解性プラスチックにカルボジイミド化合物を配合する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、特許文献3に開示されているモノカルボジイミド化合物では、耐熱性が不足し、即ち、加工時に熱分解し易く、刺激臭成分の発生による環境汚染や、気化することによる添加効果の減少という問題点があった。
これを改善するため、ポリカルボジイミド化合物が用いられているが、加工時の着色(黄変)問題があり、色相を重視する用途(例えば、衣料用繊維用途)では、使用が困難であった。
さらに、生分解性プラスチックよりなる繊維を染色加工すると、生分解性プラスチックよりなる繊維の強度が著しく低下するという問題点があった。
このような事情から、生分解性プラスチック或いはそれからなる繊維の耐加水分解性向上に関する提案がいくつかなされており、例えば、TG−DTAにより測定した5%重量減少温度が170℃以上のモノカルボジイミド化合物により、脂肪族ポリエステルのカルボキシル基末端のうち一部または実質的に全部が封鎖されていること(例えば、カルボキシル基末端濃度が10当量/脂肪族ポリエステル10kg以下)を特徴とする、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル樹脂、及びそれからなる繊維またはフィルムなどの成形品(特許文献4参照。)や、ポリカルボジイミド化合物でカルボキシル基末端が封鎖されたポリ乳酸繊維であって、色調の指標であるb値が7以下であることを特徴とする耐加水分解性に優れたポリ乳酸繊維(特許文献5参照。)が提案されている。
しかしながら、特許文献4に開示されている芳香族モノカルボジイミド化合物では、日光等での耐候性に劣り、実用的ではなく、また、特許文献5に開示されているポリカルボジイミド化合物でカルボキシル基末端が封鎖されたポリ乳酸繊維では、繊維化する際の熱安定性(又は耐熱性)の課題を紡糸条件、ポリカルボジイミド化合物の添加量の調整で行っているが、この方法では、適正条件の範囲が狭く、その結果品質が安定せず、さらに、色相(例えば、黄変)安定性、耐加水分解性が不十分なレベルであり、上記の酸・アルカリ条件下で行う繊維製品の染色加工工程には、耐えられないという問題点があった。また、製品化後の耐久性が不十分という問題があった。
また、このような生分解性プラスチックとセルロース繊維等と組合せた繊維製品の場合、液体アンモニア加工、シルケット加工(又はマーセライズ加工)、染色加工及び漂白加工を施される機会が多くなることが予想される。しかしながら、これら加工では、アルカリ、酸、塩素、熱処理等の加工工程を通ることが多く、特に、アルカリ工程を通ることにより、生分解性プラスチックよりなる繊維の強度が著しく低下するという問題点が予想される。
以上のように、従来から、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステルのカルボキシル基末端濃度を下げることにより、耐加水分解性を向上させようとする試みはなされていたものの、実用的に十分な耐熱性および耐加水分解性を兼ね備えた脂肪族ポリエステルからなる繊維や繊維製品は、未だ達成されていないのが実状である。
特開平7−316273号公報(特許請求の範囲等) 特開平9−21017号公報(特許請求の範囲等) 特開平11−80522号公報(特許請求の範囲等) 特開2001−261797号公報(特許請求の範囲等) 特開2003−301327号公報(特許請求の範囲等)
したがって、本発明の目的は、生分解性プラスチックからなる繊維又は繊維製品の従来からの問題点であった耐加水分解性、耐熱性、強度の低下問題や、黄変による着色問題を解消し、特に、耐加水分解性、耐アルカリ性、耐染色性に優れた繊維製品を提供することにある。
本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究を重ねた結果、生分解性プラスチックの繊維を用いた繊維製品は、液体アンモニア加工やシルケット加工(又はマーセライズ加工)や染色加工などの加工処理により、著しく強度が低下するものの、生分解性プラスチックにカルボジイミド化合物を添加することにより、加工処理の強度低下の問題に対処でき、特定のカルボジイミド化合物からなる耐加水分解安定剤を用いると、極めて優れた色相安定性があり、即ち黄変が抑えられ、耐加水分解性も向上し、さらに、液体アンモニア加工、マーセライズ加工や染色加工などの加工処理に好適に用いることのできる繊維製品となることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、カルボジイミド化合物を耐加水分解安定剤として配合した生分解性プラスチックからなる繊維(A)10〜90重量%と、天然繊維、再生繊維、半合成繊維又は合成繊維から選ばれる少なくとも一つの繊維(B)90〜10重量%とから構成される繊維構造物に、精練加工、漂白加工、液体アンモニア加工、マーセライズ加工、バイオ加工、染色加工又は樹脂加工から選ばれる少なくとも一つの加工処理が施された繊維製品であって、該耐加水分解安定剤は、さらに酸化防止剤を含有するとともに黄色度(YI値)が10以下であり、該繊維製品中の繊維(A)由来のトータルカルボキシル基末端濃度は、繊維(A)に対して当量/ton以下であることを特徴とする耐加水分解性に優れた繊維製品が提供される。
本発明の第の発明によれば、第の発明において、カルボジイミド化合物は、脂肪族系ポリカルボジイミド化合物であることを特徴とする耐加水分解性に優れた繊維製品が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1の発明において、耐加水分解安定剤は、酸化防止剤がカルボジイミド化合物の合成時に混入されたものであることを特徴とする耐加水分解性に優れた繊維製品が提供される。
さらに、本発明の第の発明によれば、第の発明において、酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤又はリン系酸化防止剤の少なくとも1種を含むことを特徴とする耐加水分解性に優れた繊維製品が提供される。
本発明の第の発明によれば、第1の発明において、耐加水分解安定剤は、生分解性プラスチック100重量部に対して、0.01〜5重量部の割合で配合することを特徴とする耐加水分解性に優れた繊維製品が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1の発明において、生分解性プラスチックは、脂肪族ポリエステルであることを特徴とする耐加水分解性に優れた繊維製品が提供される。
本発明は、上記した如く、カルボジイミド化合物を耐加水分解安定剤として配合した生分解性プラスチックからなる繊維(A)と、天然繊維、再生繊維、半合成繊維又は合成繊維から選ばれる少なくとも一つの繊維(B)とから構成される繊維構造物に、精練加工などの加工処理が施された繊維製品であって、該耐加水分解安定剤は、さらに酸化防止剤を含有するとともに黄色度(YI値)が10以下であり、該繊維製品中の繊維(A)由来のトータルカルボキシル基末端濃度は、繊維(A)に対して当量/ton以下であることを特徴とする耐加水分解性に優れた繊維製品などに係わるものであるが、その好ましい態様としては、次のものが包含される。
(1)第の発明において、脂肪族系ポリカルボジイミド化合物は、重合度が5以上の脂肪族ポリカルボジイミド化合物であることを特徴とする耐加水分解性に優れた繊維製品。
)第の発明において、耐加水分解安定剤におけるカルボジイミド化合物と酸化防止剤の配合割合は、前者が100重量部に対して、後者が0.01〜20重量部であることを特徴とする耐加水分解性に優れた繊維製品。
)第の発明において、ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]であることを特徴とする耐加水分解性に優れた繊維製品。
)第の発明において、リン系酸化防止剤は、ペンタエリスリトール構造を有することを特徴とする耐加水分解性に優れた繊維製品。
)第の発明において、リン系酸化防止剤は、ペンタエリスリトール構造に加えて、さらに、t−ブチル基を有する芳香族炭化水素基を有することを特徴とする耐加水分解性に優れた繊維製品。
)第の発明又は上記()のいずれかの発明において、リン系酸化防止剤は、ビス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジフォスファイト又はビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジフォスファイトであることを特徴とする耐加水分解性に優れた繊維製品。
従来、生分解性プラスチックからなる繊維又は繊維製品は、耐加水分解性、耐熱性、強度の低下問題や黄変による着色問題があったが、本発明の生分解性プラスチックの繊維を用いた耐加水分解性に優れた繊維製品は、生分解性プラスチックに特定の耐加水分解安定剤を配合することにより、液体アンモニア加工やマーセライズ加工などの加工処理を施しても、従来の上記問題点を解消し、特に、耐加水分解性、耐アルカリ性、耐染色性に優れるという効果がある。
以下、本発明の耐加水分解性に優れた繊維製品などについて、各項目毎に詳細に説明する。
本発明の耐加水分解性に優れた繊維製品は、カルボジイミド化合物を耐加水分解安定剤として配合した生分解性プラスチックからなる繊維(A)10〜90重量%と、天然繊維、再生繊維、半合成繊維又は合成繊維から選ばれる少なくとも一つの繊維(B)90〜10重量%とから構成される繊維構造物に、精練加工、漂白加工、液体アンモニア加工、マーセライズ加工、バイオ加工、染色加工又は樹脂加工から選ばれる少なくとも一つの加工処理が施された繊維製品であって、該繊維製品中の繊維(A)由来のトータルカルボキシル基末端濃度は、繊維(A)に対して30当量/ton以下であることを特徴とするものである。
I.繊維(A)
1.耐加水分解安定剤
耐加水分解安定剤は、カルボジイミド化合物、好ましくは脂肪族系ポリカルボジイミドからななる。また、カルボジイミド化合物と酸化防止剤とのカルボジイミド組成物からなることが好ましく、さらに好ましくは、酸化防止剤を脂肪族系ポリカルボジイミド化合物の合成時に混入させることにより、分散、存在させることを特徴とするカルボジイミド組成物からなる。
1.1 カルボジイミド化合物
本発明において用いられる、分子中に1個以上のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物としては、一般的に良く知られた方法で合成されたものを使用することができ、例えば、触媒として有機リン系化合物又は有機金属化合物を用い、各種ポリイソシアネートを約70度以上の温度で、無溶媒又は不活性溶媒中で、脱炭酸縮合反応に付することより合成することができるものを挙げることができる。
本発明で使用することのできるモノカルボジイミド化合物としては、例えばN,N´−ジフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド等を例示することができる。
また、本発明ではポリカルボジイミド化合物も好適に用いることができる。ポリカルボジイミド化合物としては、種々の方法で製造したものを使用することができるが、基本的には、従来のポリカルボジイミド化合物の製造方法[例えば、米国特許第2941956号明細書、特公昭47−33279号公報、J.0rg.Chem.28,2069−2075(1963)、Chemical Review l981,Vol.81 No.4、p619−621]により、製造されたものを用いることができる。
本発明において用いられるポリカルボジイミド化合物の製造における合成原料である有機ジイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートやこれらの混合物を使用することができる。
芳香族系イソシアネートとしては、例えば、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロヒルベンゼン−2,4−ジイソシアネート等を例示することができる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、へキサメチレンジイソシアネート等を例示することができる。
脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等を例示することができる。
また、上記ポリカルボジイミド化合物の場合は、重合反応を冷却等により、途中で停止させ、適当な重合度に制御することができる。この場合、末端はイソシアネートとなる。更に、適当な重合度に制御するには、モノイソシアネート等の、ポリカルボジイミド化合物の末端イソシアネートと反応する化合物を用いて、残存する末端イソシアネートの全て、または、一部を封止する方法もある。重合度を制御することにより、ポリマーへの相溶性向上や保存安定性を高めたりすることなどができ、品質向上の点で好ましい。
このようなポリカルボジイミド化合物の末端を封止してその重合度を制御するためのモノイソシアネートとしては、例えば、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート等を例示することができる。
また、ポリカルボジイミド化合物の末端を封止してその重合度を制御する末端封止剤としては、上記モノイソシアネートに限定されることはなく、イソシアネートと反応し得る活性水素化合物、例えば、(i)脂肪族、芳香族又は脂環族化合物であって、−OH基を有するメタノール、エタノール、フェノール、シクロヘキサノール、N−メチルエタノールアミン、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル;(ii)=NH基を有するジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン;(iii)−NH基を有するブチルアミン、シクロヘキシルアミン;(iv)−COOH基を有するコハク酸、安息香酸、シクロヘキサン酸;(v)−SH基を有するエチルメルカプタン、アリルメルカプタン、チオフェノール;(vi)エポキシ基を有する化合物;(vii)無水酢酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等を例示することができるが、黄変が少ない構造のものとしては、−OH基を有するものが望ましい。
上記有機ジイソシアネートの脱炭酸縮合反応は、適当なカルボジイミド化触媒の存在下で行うものであり、使用し得るカルボジイミド化触媒としては、有機リン系化合物、有機金属化合物(一般式M−(OR)[Mは、チタン(Ti)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、鉛(Pb)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、カルシウム(Ca)やバリウム(Ba)等を、Rは、炭素数1〜20までのアルキル基又はアリール基を示す]で表されるもの)が好適であり、特に活性の面から、有機リン系化合物ではフォスフォレンオキシド類が、また、有機金属化合物ではチタン、ハフニウム、ジルコニウムのアルコキシド類が好ましい。
上記フォスフォレンオキシド類としては、具体的には、3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシド、3−メチル−1−エチル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1,3−ジメチル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1−エチル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1−メチル−2−フォスフォレン−1−オキシド又はこれらの二重結合異性体を例示することができ、中でも工業的に入手の容易な3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシドが特に好ましい。
本発明者らによれば、耐加水分解安定剤が生分解性プラスチックに配合される場合、カルボジイミド化合物の機能は、添加後初期の段階では、加水分解を促進させると考えられる生分解性プラスチック内に残存する水酸基・カルボキシル基と反応して加水分解を制御し、その後は、加水分解反応によって切断された生分解性プラスチックの結合に付加して、再結合させるものとして働くものである。
そのための、カルボジイミド化合物としては、耐候性、色相、安全性・安定性の点から4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド(重合度=2〜20)等の、分子中に1個以上のカルボジイミド基を有する脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネート、又はこれらの混合物を合成原料とする脂肪族系ポリカルボジイミド化合物が好ましい。また、耐熱性の点から、重合度は5以上が好ましい。さらに、脂肪族系ポリカルボジイミド化合物の末端にイソシアネート末端を有するものが、耐加水分解性の点から特に好ましい。
1.2 酸化防止剤
本発明に係るカルボジイミド化合物の、好ましくは合成時に併用して用いられる酸化防止剤は、リン系酸化防止剤単独、ヒンダードフェノール系酸化防止剤単独、或いは該リン系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤を含むものである。
本発明においては、好ましくは、カルボジイミド化合物の合成時に、酸化防止剤を添加すること、さらには、カルボジイミド化合物の原料中に、酸化防止剤を予め混入させることに特徴があり、このことにより、カルボジイミド化合物と酸化防止剤とを均一に分散、存在させることができる。
また、本発明においては、カルボジイミド化合物合成の際に酸化防止剤を添加すること以外に、合成後のカルボジイミド化合物と、特にリン系酸化防止剤とを、十分に混合又は混練することにより得られたカルボジイミド組成物を用いることにより、耐加水分解安定剤として、用いることもできる。
酸化防止剤と組み合わせるカルボジイミド化合物は、耐候性、安全性・安定性、特に色相の点から、脂肪族系ポリカルボジイミド化合物が好ましい。
リン系酸化防止剤は、例えば、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(チバスペシャルティケミカル社販売の商品名イルガフォス168、旭電化工業社販売の商品名アデカスタブ2112等)やビス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジフォスファイト(チバスペシャルティケミカル社販売の商品名イルガフォス126、旭電化工業社販売の商品名アデカスタブPEP−24G等)、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジフォスファイト(旭電化工業社販売の商品名アデカスタブPEP−36)、ジステアリル−ペンタエリスリトール−ジフォスファイト(旭電化工業社販売の商品名アデカスタブPEP−8、城北化学社販売の商品名JPP−2000等)などが挙げられるが、耐加水分解性向上の点でペンタエリスリトール構造を有するものが好ましく、ペンタエリスリトール構造に加えて、さらにt−ブチル基を有する芳香族炭化水素基を有するものが特に好ましい。
リン系酸化防止剤の特に好ましいものの例として、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジフォスファイト(旭電化工業社販売の商品名アデカスタブPEP−36)の化学構造式を次に示す。
Figure 0004512381
また、上記のリン系酸化防止剤と併用して用いることが好ましいヒンダードフェノール系酸化防止剤は、耐熱性の点から、分子量が400以上のものが好ましく、分子量が低いと、飛散や揮散したり、接触する物質に抽出されたりする現象が見られる場合がある。例えば、食品などと接触するプラスチックからの酸化防止剤の食品中への移行は、衛生上問題を起こす可能性があるために、本発明においては、分子量が400以上のものが好ましく用いられ、更に好ましくは分子量が500以上のものである。また、高分子量のものを選択することにより、耐熱性を向上させることができる効果も奏する。
このような分子量が400以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)(MW=420)や、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(MW=531)(チバスペシャルティケミカル社販売の商品名イルガノックス1076)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](MW=1178)(チバスペシャルティケミカル社販売の商品名イルガノックス1010)、3,9−ビス[2−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(MW=741)(住友化学社販売の商品名スミライザーGA−80)などが挙げられる。
本発明において、酸化防止剤は、前記したように、好ましくは、カルボジイミド化合物の合成時に添加することにより、カルボジイミド化合物の合成時の着色を抑え、また、生分解プラスチックに添加する時のカルボジイミド化合物の着色を抑えられることができ、そして、耐加水分解性と耐熱性の向上をみることができる量で使用される。
そのため、酸化防止剤の総配合量は、カルボジイミド化合物100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましく、0.1〜10重量部が特に好ましい。酸化防止剤の配合量が0.01重量部未満であると、カルボジイミド化合物合成時の着色防止、及び生分解プラスチックへの添加時の着色防止効果が弱い。一方、20重量部を超えると、カルボジイミド化合物合成時の反応速度を低下させたり、カルボジイミド化合物に相溶し難くなる問題がある。
また、酸化防止剤として、ヒンダードフェノール系とリン系酸化防止剤との混合系の場合では、フェノール:リンの重量比は、5:1〜1:5の範囲とすることが好ましい。
尚、プラスチック配合用の酸化防止剤としては、上記ヒンダードフェノール系やフォスファイト系(リン系)以外の酸化防止剤、例えば、ジフェニルアミンやフェニルαナフチルアミンなどの芳香族アミン系や、硫黄系の酸化防止剤なども挙げることができるが、これらは、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、上記ヒンダードフェノール系やフォスファイト系酸化防止剤に加えて、少量の芳香族アミン系酸化防止剤などを併用することもできる。但し、これら芳香族アミン系酸化防止剤などを配合すると、着色が悪くなるため、注意を要する。
1.3 カルボジイミド組成物
本発明に係るカルボジイミド組成物は、前述のように、カルボジイミド化合物と酸化防止剤とからなり、好ましくは、耐熱性の点から、熱重量測定(TG)法(熱天秤分析法)によるTG5%重量減少温度が250℃以上であり、かつ黄変を抑える点から、JIS K7103による黄色度(YI値)が10以下、好ましくは8以下であることが好ましい。これにより、衣料用途等の、色調が重要な用途にも好適に用いることができる。尚、本発明において、黄色度(YI値)は、JIS K7103の「プラスチックの黄色度及び黄変度試験方法」に準拠して、測定、評価している。
また、本発明において、酸化防止剤のカルボジイミド化合物への混合は、前述のように、カルボジイミド化合物の合成時、例えばカルボジイミド化合物合成における反応中、又はカルボジイミド化合物合成における原料仕込み段階が好ましいが、それ以外に、合成後のカルボジイミド化合物へ混合してもよい。
カルボジイミド組成物は、生分解性プラスチックへの耐加水分解安定剤として、好適に用いることができる。
また、例えば、リン系酸化防止剤をカルボジイミド化合物合成時に混合したカルボジイミド組成物に、所望により、さらにリン系酸化防止剤、或いはさらにフェノール系酸化防止剤を適宜配合することもできる。
その際に、カルボジイミド組成物と、さらに加えるリン系酸化防止剤などとの配合割合は、前述のように、カルボジイミド組成物中のカルボジイミド化合物100重量部に対して、酸化防止剤の総配合量が0.01〜20重量部であることが好ましく、0.1〜10重量部が特に好ましい。
尚、本発明においては、リン系酸化防止剤をカルボジイミド化合物合成時に混合したカルボジイミド組成物に、さらにリン系酸化防止剤などを配合したものも、カルボジイミド組成物と称する。
また、カルボジイミド組成物に、所望により、適宜配合することもできるリン系酸化防止剤は、前述のリン系酸化防止剤と同様に、例えば、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(チバスペシャルティケミカル社販売の商品名イルガフォス168、旭電化工業社販売の商品名アデカスタブ2112等)やビス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジフォスファイト(チバスペシャルティケミカル社販売の商品名イルガフォス126、旭電化工業社販売の商品名アデカスタブPEP−24G等)、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジフォスファイト(旭電化工業社販売の商品名アデカスタブPEP−36)、ジステアリル−ペンタエリスリトール−ジフォスファイト(旭電化工業社販売の商品名アデカスタブPEP−8、城北化学社販売の商品名JPP−2000等)などが挙げられるが、耐加水分解性向上の点でペンタエリスリトール構造を有するものが好ましく、ペンタエリスリトール構造に加えて、さらにt−ブチル基を有する芳香族炭化水素基を有するものが特に好ましい。
これらヒンダードフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤は、単独、又は組み合わせてカルボジイミド化合物に配合することができる。
2.生分解性プラスチック
本発明において、繊維(A)に用いられる生分解性プラスチックとしては、例えば微生物によって代謝されるポリエステル系のものを挙げることができ、中でも微生物によって代謝され易い脂肪族系ポリエステルが好ましい。
一般に、生分解性プラスチックは、次の過程で生分解が進行するといわれている。
すなわち、環境中に放出された高分子材料(生分解性プラスチック)の分解において、(i)先ず、高分子分解酵素がその高分子材料の表面に吸着する。この酵素は、ある種の微生物が菌体外に分泌したものである。(ii)次に、この酵素が高分子鎖のエステル結合やグリコシド結合、ペプチド結合などの化学結合を加水分解反応によって切断する。(iii)その結果、高分子材料は、低分子量化され、分解酵素によりモノマー単位まで分解される。(iv)そして、分解生成物は、さまざまな微生物により、代謝・資化され、二酸化炭素、水、菌体成分などに変換されていくというものである。
微生物によって代謝され易く、加水分解反応が起こる脂肪族系ポリエステルとしては、
(1)ポリ乳酸(ポリラクチド)系脂肪族ポリエステル、
(2)多価アルコール類と多塩基酸類との縮合反応物である脂肪族ポリエステル、
(3)ポリヒドロキシブチレート(PHB)等の微生物産生脂肪族ポリエステル、
(4)ポリカプロラクトン(PCL)系脂肪族ポリエステル、
等が挙げられ、本発明においては、生分解性プラスチックとして、上記のいずれをも、好ましく用いることができるが、バイオマス原料由来のプラスチックであるポリ乳酸(ポリラクチド)系脂肪族ポリエステルが特に好ましい。
また、本発明においては、生分解性プラスチックとして、上記の脂肪族ポリエステルに限定されずに、生分解性プラスチック中の高分子鎖が加水分解反応によって切断するエステル結合やグリコシド結合、ペプチド結合などの化学結合を有するものであれば用いることができる。そのようなものとして、例えば、脂肪族ポリエステルの分子鎖骨格にカーボネート構造をランダムに導入した脂肪族ポリエステルのカーボネート共重合体や、脂肪族ポリエステルの分子鎖骨格にナイロンを導入し、アミド結合を有する脂肪族ポリエステルとポリアミドの共重合体などが挙げられる。
次に、脂肪族系ポリエステルについて、さらに詳細に説明する。
(1)ポリ乳酸(ポリラクチド)系脂肪族ポリエステル
ポリ乳酸(ポリラクチド)系脂肪族ポリエステルとしては、ポリラクチド類が挙げられ、具体的には、乳酸、リンゴ酸、グリコール酸等のオキシ酸の重合体又はこれらの共重合体、例えば、ポリ乳酸、ポリ(α−リンゴ酸)、ポリグリコール酸、グリコール酸−乳酸共重合体などであり、特にポリ乳酸に代表されるヒドロキシカルボン酸系脂肪族ポリエステルを挙げることができる。
上記ポリ乳酸系脂肪族系ポリエステルは、通常、環状ジエステルであるラクチド及び対応するラクトン類の開環重合による方法、いわゆるラクチド法により、また、ラクチド法以外では、乳酸の通接脱水縮合法やホルマリンと炭酸ガスとの重縮合法により得ることができるものである。
また、上記ポリ乳酸系脂肪族系ポリエステルを製造するための触媒としては、錫、アンチモン、亜鉛、チタン、鉄、アルミニウム化合物を例示することができ、中でも錫系触媒、アルミニウム系触媒が好ましく、オクチル酸錫、アルミニウムアセチルアセトナートが特に好適である。
上記ポリ乳酸系脂肪族系ポリエステルの中でも、ラクチド開環重合により得られるポリL−乳酸が、加水分解されてL−乳酸になると共にその安全性も確認されているために好ましいが、本発明で使用するポリ乳酸系脂肪族系ポリエステルは、これに限定されることはなく、従ってその製造に使用するラクチドについても、L体に限定されない。L体、D体、メソ体が任意の割合の組成物でも何ら限定されないが、結晶性を有し融点を高め、機械的物性、耐熱性を上げる為には、各構造単位の割合が90%以上の組成物である必要がある。
(2)多価アルコール類と多塩基酸類との縮合反応物である脂肪族ポリエステル
多価アルコール類と多塩基酸類との縮合反応物である脂肪族ポリエステルとしては、脂肪族系グリコール類と脂肪族多塩基酸(又はその無水物)とを、触媒の存在下に反応させることにより得られる脂肪族系グリコール/多塩基酸ポリエステル、或いは、必要に応じ少量のカップリング剤を使用して反応させることにより得られる、高分子量の脂肪族系グリコール/多塩基酸ポリエステルを例示することができる。
本発明で使用される脂肪族系グリコール/多塩基酸ポリエステルを製造するための脂肪族系グリコール類としては、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−へキサンジオール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができ、エチレンオキシドを使用することもできる。尚、これらのグリコール類は、その2種以上を併用してもよい。
上記脂肪族系グリコール類と反応して脂肪族系グリコール/多塩基酸ポリエステルを形成する脂肪族多塩基酸及びその酸無水物としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン酸、無水コハク酸や無水アジピン酸等、一般的に市販されているものを使用することができる。尚、これら多塩基酸やその酸無水物は、その2種以上を併用してもよい。
上記グリコール類及び多塩基酸は、脂肪族系のものであるが、少量の他成分、例えば芳香族系グリコール類及び無水トリメリット酸や無水ピロメリット酸等の芳香族系多塩基酸を併用することもできる。但し、これら芳香族系成分を導入すると生分解性が悪くなるため、芳香族系グリコール類及び芳香族系多塩基酸の配合量は、脂肪族系グリコール100重量部に対して20重量部以下、好ましくは10重量部以下、更に好ましくは5重量部以下とする必要がある。
また、上記脂肪族系グリコール/多塩基酸ポリエステルを製造するための触媒としては、チタン、スズ、アンチモン、セリウム、亜鉛、コバルト、鉄、鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ゲルマニウム等の金属の有機酸塩、アルコキサイドや酸化物を例示することができ、これらのうち、スズ系又はアルミニウム系の化合物が好適である。
上記脂肪族系グリコール/多塩基酸ポリエステルを製造するには、当量の脂肪族系グリコール類及び脂肪族多塩基酸と触媒とを、必要であれば原料化合物に応じて適宜に選択した溶媒を使用し、加熱して反応させればよく、反応の進行程度を抑制することにより、重合度の低いプレポリマーを製造することができる。
上記のような脂肪族系グリコール/多塩基酸ポリエステルの製造においては、更に数平均分子量を高めるために、特に重合度の低いプレポリマーに対し、カップリング剤を使用することもでき、このカップリング剤としては、例えばジイソシアネート、オキサゾリン、ジエポキシ化合物、酸無水物等を挙げることができるが、特にジイソシアネートの使用が好適である。
上記カップリング剤としてのジイソシアネートは、その種類に特に制限はないが、例えば、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等を挙げることができ、特にへキサメチレンジイソシアネ−トが、得られる脂肪族系グリコール/多塩基酸ポリエステルの色相や、前記プレポリマーへの配合時の反応性等の点から好ましい。
上記カップリング剤の配合量は、例えば前記プレポリマー100重量部に対して0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜3重量部であり、0.1重量部未満ではカップリング反応が不十分であり、5重量部以上ではゲル化が起こり易くなる。
また、上記脂肪族系グリコール/多塩基酸ポリエステルは、二重結合やウレタン結合、尿素結合等を介して、他の化合物により末端のヒドロキシル基を封止したものや、変性された脂肪族系グリコール/多塩基酸ポリエステルであってもよい。
多価アルコール類と多塩基酸類との縮合反応物である脂肪族ポリエステルについて、具体的に市販されているものとしては、例えば、ポリブチレンサクシネート(PBS)やポリエチレンサクシネート(PES)等が挙げられる。
そのポリブチレンサクシネート(PBS)系脂肪族ポリエステルとしては、例えばブタンジオールとコハク酸からなるポリブチレンサクシネート(PBS)、又は生分解性を加速させるためにアジピン酸を共重合させたアジペート共重合体(PBSA)、さらにテレフタル酸を共重合させたアジペート/テレフタレート共重合体が挙げられ、市販品としては、例えば、昭和高分子株式会社販売の「ビオノーレ」(商品名)、イーレ・ケミカル製の「エンポール」(商品名)、BASF製の「エコフレックス」(商品名)、デュポン社製の「バイオマックス」(商品名)等がある。
また、ポリエチレンサクシネート(PES)も市販され、市販品としては、例えば、日本触媒株式会社販売の「ルナーレSE」(商品名)がある。
(3)微生物産生脂肪族系ポリエステル
ある種の微生物は、ポリエステルを菌体内に蓄積する。微生物産生ポリエステルは、生体由来の融点をもつ熱可塑性ポリマーである。また、このようなポリエステルは、自然界で微生物が菌体外に分泌する酵素により分解され、分解生成物が微生物によって資化されるため完全に消滅する。
このような微生物産生(脂肪族系)ポリエステルとしては、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリ(ヒドロキシ酪酸−ヒドロキシプロピオン酸)共重合体、ポリ(ヒドロキシ酪酸−ヒドロキシ吉草酸)共重合体などが挙げられる。
(4)ポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステル
脂肪族ポリエステルの一種であるポリカプロラクトンは、ε−カプロラクトンの開環重合により得ることができ、水不溶性高分子でありながら、多くの菌により分解される。
ポリカプロラクトンは、一般式:−(O(CHCO)−で表される脂肪族ポリエステルであり、このようなポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステルの市販品としては、例えば、日本ユニカー株式会社販売の「トーン」(商品名)がある。
繊維(A)に用いられる生分解性プラスチックとしては、上記のような生分解性プラスチックを1種で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合してもよい。
本発明に係る耐加水分解安定剤は、生分解性プラスチックの耐加水分解性改善効果を得ることができる量で使用される。また、耐加水分解安定剤として、カルボジイミド化合物又はカルボジイミド組成物を用いる場合は、耐加水分解性の改善効果を得ることのできる量で使用されることが好ましい。カルボジイミド化合物又はカルボジイミド組成物の配合量は、生分解性プラスチック100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、0.5〜3重量部が特に好ましい。
耐黄変性については、カルボジイミド化合物は、合成時の着色もあるが、生分解性プラスチックに添加する際にも、熱、熱酸化等により黄変が進行する。
また、繊維などになった後も、熱、NOx、日光等の影響により、カルボジイミド化合物が黄変することで、繊維などが黄変する。これらの黄変は、生分解性プラスチック中に含まれるカルボジイミド化合物の添加量が多い程、着色が強くなる。
本発明に係るカルボジイミド組成物を使用する場合は、耐黄変性の改善効果も得ることができる量で使用されることが好ましい。生分解性プラスチック100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、0.5〜3重量部が特に好ましい。
3.その他の添加剤等
本発明に係る生分解性プラスチックには、本発明に係る耐加水分解安定剤に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記耐加水分解安定剤以外の、通常合成繊維などに配合されるアミン系やフェノール系酸化防止剤、熱安定剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤等の他、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料、滑剤、結晶化促進剤、無機フィラー、着色剤等の添加剤を含有していても良い。また、生分解性プラスチック以外のポリマーや粒子、デンプンのような分解性を有する有機物等も、併用することができる。
4.繊維(A)及びその製造方法
本発明に係る繊維(A)は、繊維(A)中のトータルカルボキシル基末端濃度が繊維(A)に対して5当量/ton以下、好ましくは1当量/ton以下であると、本発明の繊維製品の耐加水分解性を飛躍的に向上することができ、好ましい。これは、前記の耐加水分解安定剤を生分解性プラスチックに配合することにより、得ることができる。
トータルカルボキシル基末端濃度は、繊維を所定量取り出し、クロロホルムを加えて溶解し、ベンジルアルコールを適量添加した後、0.005規定のKOHエタノール溶液で滴定し、カルボキシル基末端濃度を求めたものである。
繊維(A)は、工程通過性や製品の力学的強度を充分高く保つためには、強度が2.0cN/dtex以上とすることが好ましい。強度は、好ましくは3.5cN/dtex以上である。また、伸度は、15〜70%であると、繊維製品にする際の工程通過性が向上し、好ましい。伸度は、より好ましくは25〜50%である。
また、繊維(A)では、沸収が0〜20%であれば、繊維および繊維製品の寸法安定性が良く好ましい。沸収は、好ましくは3〜10%である。
また、繊維の断面形状については、丸断面、中空断面、三葉断面等の多葉断面、その他の異形断面についても自由に選択することが可能である。また、繊維の形状、形態は、長繊維、短繊維等、特に制限は無く、長繊維の場合は、マルチフィラメントでもモノフィラメントでも良い。
次に、本発明に係る繊維(A)の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば以下のような方法を採用することができる。
先ず、前記のカルボジイミド化合物などの耐加水分解安定剤を製造する。
また、生分解性プラスチック、例えば、ポリ乳酸(ポリラクチド)系脂肪族ポリエステルなどは公知の方法を用いて合成するが、生分解性プラスチックがポリ乳酸の場合で、説明する。ポリ乳酸自体の色調が良好で、しかもラクチド等の残存オリゴマーやモノマーを減じるようにすることが好ましい。具体的手法は、金属不活性化剤や酸化防止剤等を使用したり、重合温度の低温化、触媒添加率の抑制を行うことが好ましい。また、ポリマーを減圧処理したり、クロロホルム等で抽出することにより、残存オリゴマー、モノマー量を大幅に低減することもできる。
次に、ポリ乳酸と耐加水分解安定剤を混練するが、第1の混練方法は、乾燥したポリ乳酸と耐加水分解安定剤を、チッソシールされた押し出し混練機に供給し、押し出し混練機により混練されたポリ乳酸と耐加水分解安定剤の混練ポリマー融液を紡糸機に導き、紡糸パック内に設置された静止混練器によりさらに微細に混練し、口金から吐出し溶融紡糸をする方法である。
また、第2の混練方法は、ポリ乳酸と耐加水分解安定剤を別々に溶融し、融液を紡糸機に導き、紡糸パック内に設置された静止混練器により微細に混練し、口金から吐出し溶融紡糸をする方法である。
ところで、混練時、溶融紡糸時、及び紡糸機での耐加水分解安定剤の200〜250℃での滞留時間は、30分以内、好ましくは20分以内とすると、耐加水分解安定剤の熱劣化を抑制することができ、好ましい。ここで、200〜250℃での滞留時間とは、実質的に200〜250℃に加熱された部分を通過するための時間であるが、これは混練機や溶融部の温度設定および配管サイズ、紡糸パック内の寸法等から見積もることができる。このため、紡糸パック内は、極力スペースを小さくすることが好ましい。また、混練温度、紡糸温度は210〜250℃とすることが好ましく、より好ましくは210〜230℃である。
このため、耐加水分解安定剤の添加方法も工夫することが好ましく、予め耐加水分解安定剤添加ポリ乳酸チップを作製するよりも、溶融紡糸時に耐加水分解安定剤を直接添加することが好ましい。例えば、ポリ乳酸の溶融部で耐加水分解安定剤を添加したり、別々に溶融した耐加水分解安定剤とポリ乳酸を紡糸パック内で静止混練器等により混練する方法がある。
そして、チムニーにより糸条を冷却固化させた後、給油ガイドやオイリングローラーにより脂肪酸エステルや鉱物油等の平滑剤を主体とする繊維用油剤を付与する。その後、糸条をローラーで引き取る。
そして、長繊維の場合は、引き取った糸条を一旦チーズパッケージとして巻き取り、その後これを延伸、熱処理する。この時、第1引き取りローラーの周速である紡糸速度は、2500〜7000m/分とすると、糸斑が減少し好ましい。また、延伸温度は、80〜150℃とすると糸斑が減少し好ましい。延伸温度は、より好ましくは120〜150℃である。また、熱処理温度は、120〜160℃とするとポリ乳酸繊維の沸収が低下し熱的な寸法安定性が向上するため好ましい。熱処理温度は、より好ましくは130〜150℃である。なお、産業資材用途のように高強度が必要とされる場合は、多段延伸を行っても良い。また、必要に応じ、仮撚加工や押し込み加工、機械捲縮等により、ポリ乳酸繊維に捲縮を施しても良い。
一方、短繊維の場合は、引き取った糸条を合糸し、一旦バンカーに受けた後、さらにこれらを合糸しトウとした後、これに延伸、機械捲縮を施し、次工程に適した油剤を付与した後、カットする。延伸の際は、トウが太く熱伝達が悪いことを考慮し、スチーム延伸や液浴延伸を採用することが好ましい。この時の温度は、75〜100℃とすることが好ましい。
また、不織布とするときは、上記した短繊維を用いても良いし、いわゆるスパンボンドやメルトブロー等の紡糸と不織布形成工程が連続した方法を用いても良い。
本発明に係る繊維(A)は、織物、編物、不織布の他、カップ等の成形体のように様々な繊維製品の形態を採ることができる。
II.繊維(B)
本発明に係る繊維(B)は、天然繊維、再生繊維、半合成繊維又は合成繊維から選ばれる少なくとも一つの繊維である。その繊維材料(素材)は、本発明の耐加水分解性に優れた繊維製品の用途に応じて、適宜、選択される。
1.天然繊維
天然繊維としては、綿、麻、ケナフ、バナナ、パイナップル、羊毛、絹、アンゴラ、カシミアなどが例示される。
2.再生繊維
再生繊維としては、レーヨン、キュプラ、ポリノジック、ハイウエットモジュラスレーヨン、溶剤紡糸セルロース繊維などが例示される。
3.半合成繊維
半合成繊維としては、ビスコース、アセテート、プロミックス繊維などが例示される。
4.合成繊維
合成繊維としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリウレタン繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ベンゾエイト繊維などが例示される。
III.繊維構造物
本発明に係る繊維構造物は、前記の繊維(A)10〜90重量%と、上記の天然繊維、再生繊維、半合成繊維又は合成繊維から選ばれる少なくとも一つの繊維(B)90〜10重量%とからなる。例えば、布帛として混用する場合には、繊維(A)の混用比率を30重量%以上、好ましくは50重量%以上とすると繊維(A)の特徴が現れ、好ましい。
混用の態様としては、繊維(A)と、繊維(B)、例えば絹、綿等の天然繊維やレーヨンやアセテート等の再生繊維と、混繊したり、交織や交編、交絡したものが挙げられ、例えば、混繊糸、複合糸、複合仮撚糸、混紡糸、長短複合糸、流体加工糸、カバリングヤーン、合撚、交織、交編、パイル織編物、混綿、詰め綿、長繊維や短繊維の混合不織布、フェルトが例示される。尚、複合糸は、混繊糸、多層構造糸、交撚糸、交絡糸のいずれか1つ以上の手法で紡績した繊維を含んでいてもよい。なお、繊維(A)と繊維(B)は、それぞれ1種の繊維でもよいし、2種以上の繊維を任意の割合で混合してもよい。
また、繊維構造物は、形態などについて、縫い糸や刺繍糸、ひも類などの糸形態でもよく、織物、編物、ニット、不織布、フェルト等の布帛形態、あるいはコート、セーター、その他の外衣、下着、パンスト、靴下、裏地、芯地、スポーツ衣料などの衣料用製品、カーテン、カーペット、椅子貼り、カバン、家具貼り、壁材、各種のベルトやスリング等の生活資材用製品、帆布、ネット、ロープ、重布等の産業資材用製品、人工皮革製品など、各種の繊維製品形態をも含む。
IV.繊維製品
本発明の耐加水分解性に優れた繊維製品は、上記の繊維構造物に、精練加工、漂白加工、液体アンモニア加工、マーセライズ加工、バイオ加工、染色加工又は樹脂加工から選ばれる少なくとも一つの加工処理が施された繊維製品であって、該繊維製品中の繊維(A)由来のトータルカルボキシル基末端濃度が繊維(A)に対して30当量/ton以下であることを特徴とするものである。
通常、生分解性プラスチックを含む繊維構造物に、上記のいずれかの加工処理を施すと、繊維構造物が加水分解し、強度の低下により、繊維製品の耐久性に支障が生じるが、本発明の繊維製品は、繊維製品中の繊維(A)由来のトータルカルボキシル基末端濃度が繊維(A)に対して30当量/ton以下、好ましくは10当量/ton以下、さらに好ましくは1当量/ton以下とすることにより、これらの問題点を解消できるものである。
本発明において、耐加水分解性は、繊維の強度保持率で評価することが可能であり、本発明においては、緯抗張強力と洗濯耐久性(JIS L1042F−2法のタンブル乾燥)、即ち洗濯50回後の緯抗張強力保持率(%)で評価した。洗濯50回後の緯抗張強力保持率は、60%以上が好ましく、より好ましくは80%以上である。
上記加工処理の一つである精練は、例えば、綿繊維に含まれるコットンワックス、油脂類、ペクチン、たんぱく質、紡績油などの夾雑物を除去する工程である。糊抜後で精錬前の綿織物は、繊維表面にあるワックス等のために吸水性がなく、それらを除去する精錬の程度は、以後の加工に大きく影響を及ぼす。綿の精錬には、主剤としてアルカリ、助剤として界面活性剤が用いられる。綿はアルカリに強く、一般には熱苛性ソーダで処理される。苛性ソーダは、夾雑物を鹸化あるいは加水分解するが、それらの鹸化物、分解物を繊維から十分に除くために、界面活性剤の乳化分散力の助けが必要となる。
また、漂白は、糸、織編物に含まれる有機物質を分解除去する工程である。精錬を終わった綿布は、いわゆる生成り色であって、漂白によって、白度を高めることにより白物、鮮明色の染、捺染物が得ることができる。漂白剤には、酸化剤と還元剤があるが、綿の漂白には、過酸化水素、亜塩素酸ソーダ、次亜塩素酸ソーダなどの酸化剤が用いられる。
さらに、マーセライズ加工は、シルケット加工ともいい、綿製の生地(あるいは糸)を張力を加えながら、苛性ソーダ処理をする加工のことである。綿は、比較的低い温度で強いアルカリ(この場合は苛性ソーダ)にあうと、繊維が膨潤し、繊維のねじれがなくなり、表面は平滑化する。この時、もともと扁平な形状をした繊維1本1本の断面形状は、膨らむと同時に円形に近い形に変形するので、同時に生地(あるいは糸)に適度な張力を加えると、繊維表面の平滑性がまし、光沢が増える形になる。シルケットは、綿糸布を濃厚な苛性ソーダ溶液(例えば、20%以上)で緊張下に処理する工程で、絹様の光沢を与えることから、名付けられている。マーセライズ(シルケット)加工では、光沢だけでなく、繊維の微細構造に変化が起こって、染料や薬品の吸収量が増加して染色性を向上させ、繊維強度を増し、寸法安定性を与える作用がある。
また、液体アンモニア加工は、上記のシルケット加工における苛性ソーダ以外に、液体アンモニアによる処理であり、シルケット加工では得られないふくらみ感のある風合と防皺性が大幅に向上する。液体アンモニアは、水より粘度や表面張力が低いので綿繊維内部に容易に浸透し、数秒程度で反応が完結し、しかも反応は均一である。綿を液体アンモニアに浸漬すると、偏平でねじれた状態の綿は、瞬時に膨潤し、円形になると共にねじれもなくなる。液体アンモニア加工により、綿は、(i)縮み難くなる、(ii)皺になり難くなる、(iii)繊維一本一本の反発性が増す、(iv)やわらかくなる、(v)強くなる等の効果が得られ、樹脂加工と組合せると、優れた防縮性、防皺性が得られる。
一般に、シルケット加工や液体アンモニア加工によって、綿繊維を膨潤させると、光沢、手触り、強度、伸度が向上する。また、染料や加工剤との反応がよくなり、形態安定性が増す。通常、布の状態で加工するが、糸や原綿段階でも行うことができる。
バイオ加工は、酵素を用いた繊維の加工であり、例えば、セルラーゼ酵素により、綿、麻、レーヨン、テンセル等の天然素材を天然の力(バイオパワー)で美しく仕上げる繊維改質加工である。産業用に利用されている酵素のほとんどは、バクテリアやカビなどの天然の微生物を大量に培養して生産されたものであり、高温や強アルカリ、強酸、高圧下での化学処理をマイルドな反応に置き換えることができ、これらの加工を酵素に替えることにより、安全な作業環境と繊維および自然にやさしい加工へと変換することができる。例えば、精練用の苛性ソーダの代わりにペクチン分解酵素が、漂白には酸化酵素が利用されている。
染色は、染料を溶解、分散させた染液に繊維材料を浸して染料を吸収させた後、加熱や化学処理によって固着し、洗浄によって繊維表面に付いている過剰の染料を除去し、更に堅牢度を高めるための後処理を行って工程を完了する。染色の方法には、大別して非連続法(バッチ染法、吸尽法)と連続法(パディング法)があり、本発明においては、どちらでもよい。
樹脂加工は、織物などの仕上加工の一つで、例えば、綿は吸水性に富み、快適な肌触りをもっている反面、洗濯でしわが付きやすい欠点を持っている。この欠点を補うために樹脂加工が行われ、防しわ、防縮性が付与される。通常、樹脂加工機で処理され、その設備構成は、(i)加工剤を付与するパッダー、(ii)パッダーで付与された約60%の水分を30%程度まで乾燥する予備乾燥機、(iii)幅出しをしながら乾燥を行うテンター、(iv)熱処理のためのベーキング機、及び(v)ソービングのための水洗・乾燥機が基本となる。
本発明の耐加水分解性に優れ耐久性の高い繊維製品は、シャツやブルゾン、パンツといった衣料用途のみならず、カップやパッド等の衣料資材用途、カーテンやカーペット、マット、壁紙、家具等のインテリア用途や車両部材用途、ベルト、ネット、ロープ、重布、袋類、縫い糸の産業資材用途、フェルト、不織布、フィルター、人工芝等にも好適に用いることができる。
以下、本発明について実施例により更に詳細に説明する。なお、実施例中の物性は、次の方法で測定し、評価したものである。
[カルボキシル基末端濃度]
繊維製品に付着している仕上げ剤及び汚れを除くため、加工揚がりの繊維製品をJIS L1042 F−2法にて洗濯後、プレス乾燥した。この繊維製品から、生分解性プラスチックを含む繊維を所定量取り出し、クロロホルムを加えて溶解し、溶解分のみを取り出し、ベンジルアルコールを適量添加した後、0.005規定のKOHエタノール溶液で滴定し、カルボキシル基末端濃度を求めた。なお、混紡糸等は、混率を考慮して、カルボキシル基末端濃度を求めた。
[緯抗張強力]
JIS L1096 A法の引張強さに準拠して、緯抗張強力を算出した(緯糸方向を測定)。
[洗濯耐久性]
JIS L1042 F−2法のタンブル乾燥にて、洗濯耐久性を、下記の洗濯50回後の緯抗張強力保持率(%)として、評価した。
緯抗張強力保持率(%)=100×(50回洗濯乾燥後の緯抗張強力/加工揚がりの緯抗張強力)
[黄色度(YI)]
JIS K7103の測定条件に基づき、黄色度(YI)を測定した。なお、測色色差計は、日本電色工業(株)製のNF333を用いた。そして、参考として、色調の指標であるb値、b値も、算出した。
実施例、比較例の前に、先ず、カルボジイミド化合物を含むカルボジイミド組成物を合成した。
[カルボジイミド組成物の合成例1]
攪拌モーター、窒素ガスバブリング管および冷却管を付けたフラスコに、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート100重量部と3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド0.5重量部と、酸化防止剤として、ビス(2,4−ジーtert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト1重量部を加え、窒素ガスバブリングを行ないながら、185℃で24時間カルボジイミド化反応を行なった。得られたカルボジイミドのNCO%は、2.4であった。
[実施例1]
経糸に綿100%40S、緯糸に、日清紡(株)製のポリカルボジイミド化合物である「カルボジライトLA−1」を1%添加したポリ乳酸フィラメント150dを用いて、密度経131本/吋、緯67本/吋(経糸密度131本/インチ、緯糸密度67本/インチ)の平織物を作製した。
得られた平織物を、綿・ポリエステル混織物の常法に従い、連続精練漂白装置にて90℃でパッドスチーム処理をした。その後、常法に従い、シルケット加工、液体アンモニア加工を行った。さらにその後、液流染色機にて常法に従い110℃でポリ乳酸繊維を染色し、ついで綿を85℃で染色した。さらにその後、常法に従い、グリオキザール系樹脂で樹脂加工を行った。
得られた布帛は、衣料用として優れた風合いを有すると共に、鮮やかな発色を示した。組成と評価結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1の緯糸を、日清紡(株)製のポリカルボジイミド化合物である「カルボジライトLA−1」を3%添加したポリ乳酸フィラメント150dに変更したこと以外は、すべて実施例1と同様に行った。
得られた布帛は、衣料用として優れた風合いを有すると共に、鮮やかな発色を示した。組成と評価結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1の緯糸を、日清紡(株)製のポリカルボジイミド化合物である「カルボジライトLA−1」を1%添加したPLA/綿=65/35の40S混紡糸に替え、緯71本/吋の平織物に変更したこと以外は、すべて実施例1と同様に行った。
得られた布帛は、衣料用として優れた風合いを有すると共に、鮮やかな発色を示した。組成と評価結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1の経糸、緯糸を、日清紡(株)製のポリカルボジイミド化合物である「カルボジライトLA−1」を1%添加したPLA/綿=30/70の40S、2層構造糸に替え、密度経131本/吋、緯71本/吋の平織物に変更したこと以外は、すべて実施例と同様に行った。
得られた布帛は、衣料用として優れた風合いを有すると共に、鮮やかな発色を示した。組成と評価結果を表1に示す。
[比較例1]
緯糸に、カルボジイミド化合物を含まないポリ乳酸フィラメント150dを用いた以外は、すべて実施例1と同様に行った。
得られた布帛は、抗張強力がほとんどなく、実用衣料としては使えないものであった。組成と評価結果を表1に示す。
[比較例2]
緯糸に、日清紡(株)製のポリカルボジイミド化合物である「カルボジライトHMV−8CA」を0.5%添加したポリ乳酸フィラメント150dを用いた以外は、すべて実施例1と同様に行った。
得られた布帛は抗張強力がほとんどなく、実用衣料としては使えないものであった。組成と評価結果を表1に示す。
[実施例5]
経糸に綿100%40S、緯糸に、上記で合成したカルボジイミド化合物を含むカルボジイミド組成物である「合成例1」を1%添加したポリブチレンサクシネートフィラメント150dを用いて、密度経131本/吋、緯67本/吋(経糸密度131本/インチ、緯糸密度67本/インチ)の平織物を作製した。
得られた平織物を、綿・ポリエステル混織物の常法に従い、連続精練漂白装置にて90℃でパッドスチーム処理をした。その後、常法に従い、シルケット加工、液体アンモニア加工を行った。さらにその後、液流染色機にて常法に従い110℃でポリブチレンサクシネート繊維を染色し、ついで綿を85℃で染色した。さらにその後、常法に従い、グリオキザール系樹脂で樹脂加工を行った。
得られた布帛は、衣料用として優れた風合いを有すると共に、鮮やかな発色を示した。組成と評価結果を表2に示す。
[実施例6]
経糸にポリノジック100%30S、緯糸に、日清紡(株)製のポリカルボジイミド化合物である「カルボジライトLA−1」を1%添加したポリ乳酸フィラメント150dを用いて、密度経130本/吋、緯81本/吋(経糸密度130本/インチ、緯糸密度81本/インチ)の平織物を作製した。
得られた綾織物をポリノジック・ポリエステル混織物の常法に従い、連続糊抜き精練装置にて90℃でパッドスチーム処理をした。その後、常法に従い、液体アンモニア加工を行った。さらにその後、液流染色機にて常法に従いバイオ加工を55℃で行い、110℃でポリ乳酸繊維を染色し、ついでポリノジックを85℃で染色した。さらにその後、常法に従い、グリオキザール系樹脂で樹脂加工を行った。
得られた布帛は、衣料用として優れた風合いを有すると共に、鮮やかな発色を示した。組成と評価結果を表2に示す。
[実施例7]
経糸に綿/ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)=50/50の混紡糸40S、緯糸に、日清紡(株)製のポリカルボジイミド化合物である「カルボジライトLA−1」を1%添加したポリ乳酸フィラメント150dを用いて、密度経131本/吋、緯67本/吋(経糸密度131本/インチ、緯糸密度67本/インチ)の平織物を作製した。
得られた平織物を綿・ポリエステル混織物の常法に従い、連続精練漂白装置にて90℃でパッドスチーム処理をした。その後、常法に従い、シルケット加工、液体アンモニア加工を行った。さらにその後、液流染色機にて常法に従い110℃でポリ乳酸繊維を染色し、ついで綿/ポリトリメチレンテレフタレートを85℃で染色した。さらにその後、常法に従い、グリオキザール系樹脂で樹脂加工を行った。
得られた布帛は、衣料用として優れた風合いを有すると共に、鮮やかな発色を示した。組成と評価結果を表2に示す。
また、用いたカルボジイミド化合物を含むカルボジイミド組成物の黄色度(YI)などの評価結果を表3に示す。
Figure 0004512381
Figure 0004512381
Figure 0004512381
表1〜3に示される実施例、比較例の結果から明らかなように、カルボジイミド化合物を耐加水分解安定剤として配合した生分解性プラスチックからなる繊維(A)と、天然繊維、再生繊維、半合成繊維又は合成繊維から選ばれる少なくとも一つの繊維(B)とから構成される繊維構造物に、精練加工、漂白加工、液体アンモニア加工、マーセライズ加工、バイオ加工、染色加工又は樹脂加工から選ばれる少なくとも一つの加工処理が施された繊維製品であって、繊維製品中の繊維(A)由来のトータルカルボキシル基末端濃度が繊維(A)に対して30当量/ton以下、好ましくは1当量/ton以下である実施例1〜7では、繊維製品中の繊維(A)由来のトータルカルボキシル基末端濃度が繊維(A)に対して30当量/ton超である比較例1、2に比較して、その緯抗張強力と洗濯耐久性が著しく向上していることが判明した。
本発明の繊維製品、即ち生分解性プラスチックを用いた繊維に、カルボジイミド化合物からなる耐加水分解安定剤を配合することにより、耐加水分解性、耐アルカリ性、耐染色性に優れた繊維製品は、衣料用途のみならず、カップやパッド等の衣料資材用途、カーテンやカーペット、マット、壁紙、家具等のインテリア用途や車両部材用途、ベルト、ネット、ロープ、重布、袋類、縫い糸の産業資材用途、フェルト、不織布、フィルター、人工芝等にも好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. カルボジイミド化合物を耐加水分解安定剤として配合した生分解性プラスチックからなる繊維(A)10〜90重量%と、天然繊維、再生繊維、半合成繊維又は合成繊維から選ばれる少なくとも一つの繊維(B)90〜10重量%とから構成される繊維構造物に、精練加工、漂白加工、液体アンモニア加工、マーセライズ加工、バイオ加工、染色加工又は樹脂加工から選ばれる少なくとも一つの加工処理が施された繊維製品であって、
    該耐加水分解安定剤は、さらに酸化防止剤を含有するとともに黄色度(YI値)が10以下であり、
    該繊維製品中の繊維(A)由来のトータルカルボキシル基末端濃度は、繊維(A)に対して当量/ton以下であることを特徴とする耐加水分解性に優れた繊維製品。
  2. カルボジイミド化合物は、脂肪族系ポリカルボジイミド化合物であることを特徴とする請求項に記載の耐加水分解性に優れた繊維製品。
  3. 耐加水分解安定剤は、酸化防止剤がカルボジイミド化合物の合成時に混入されたものであることを特徴とする請求項1に記載の耐加水分解性に優れた繊維製品。
  4. 酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤又はリン系酸化防止剤の少なくとも1種であることを特徴とする請求項に記載の耐加水分解性に優れた繊維製品。
  5. 耐加水分解安定剤は、生分解性プラスチック100重量部に対して、0.01〜5重量部の割合で配合することを特徴とする請求項1に記載の耐加水分解性に優れた繊維製品。
  6. 生分解性プラスチックは、脂肪族ポリエステルであることを特徴とする請求項1に記載の耐加水分解性に優れた繊維製品。
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