JP5473703B2 - 耐湿熱性織編物 - Google Patents

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本発明は、ナイロン11糸条を用いてなり、耐湿熱性を有する織編物に関する。
通常、衣料分野や産業資材分野においては、ポリエステル糸条からなる織編物(ポリエステル織編物)が、汎用素材として幅広く用いられている。しかし、ポリエステル糸条はそのポリマー特性に起因して、湿熱後の強力保持率が低いという問題がある。この問題の直接の原因は、ポリエステルがジカルボン酸とジグリコールの重縮合反応により得られるものであるため、水分が介在する環境下で高温に晒されると、加水分解反応が進むことであるとされている。
したがって、病院内で使用される白衣、手術着、シーツ、あるいは汚れがひどい作業着等の用途にポリエステル糸条からなる織編物を用いた場合には、高温の洗濯あるいは蒸気滅菌処理が繰り返し施される際に、製品の破損が発生することが問題となっている。また、乾燥機能つき洗濯機に取り付けられているフィルターなどのフィルター用途にポリエステル糸条からなる織編物を用いた場合には、極度の摩耗と湿熱のため大きなダメージを受けることになり、その耐久性が問題になっている。
上記のようなポリエステル糸条において、湿熱に対する耐久性(耐湿熱性)に乏しいという問題を解決するために、種々の検討がなされている。例えば、特許文献1においては、ポリエステル糸条の代わりに、ジカルボン酸とジアミンの組成成分を規定したナイロン9Tを用いて、耐湿熱性を向上させる技術が提案されている。しかしながら、特許文献1においては、ナイロン9Tの融点は300℃を超えるものであるため、既存の設備での紡糸は難しく、設備導入によるコストアップや、高温での紡糸による消費電力のアップなどの問題が起こる場合があった。加えて、石油由来の原料を使用することから環境面への配慮がなされていないという問題があった。
さらに、特許文献2においては、ポリエステル糸条の代わりに、ジアミン化合物を過剰添加することによりアミノ末端基を増量したナイロン66糸条を用いて、耐湿熱性の低下を防ぐ方法が提案されている。しかしながら、この場合は、耐湿熱性の低下をある程度抑制できるものの、力学特性に劣るという問題がある。
特開2006−200059号公報 特開平07−310227号公報
本発明は、上記状況に鑑みて行われたものであり、耐湿熱性に優れた織編物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討の結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)ナイロン11糸条を30〜100質量%用いた耐湿熱性織編物であって、温度135℃における30時間経過後の引張強力保持率が70%以上であり、ナイロン11糸条はヒンダードフェノール系酸化防止剤およびリン系加工熱安定剤を含有することを特徴とする耐湿熱性織編物。
本発明によれば、ナイロン11糸条を用いているため、耐湿熱性に非常に優れた織編物を得ることが出来る。本発明の耐湿熱性織編物は、高温洗濯機(リネン用洗濯機、家庭用洗濯機)、または高温蒸気を用いる機械や装置のフィルターや、高温工業洗濯あるいは高温蒸気による滅菌処理が行われる衣料用繊維製品(手術着、シーツ、白衣など)、衣料資材、靴材、カーテンなどに好適に用いることができる。加えて、本発明の耐湿熱性織編物は環境保護の観点からも好ましいものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の耐湿熱性織編物(以下、単に「織編物」と称する場合がある)は、ナイロン11糸条を用いてなるものである。本発明においてナイロン11糸条とは、ナイロン11を主成分とする繊維から構成されるものである。
ナイロン11を主成分とする繊維の形態としては、特に限定されないが、防塵性の観点から、フィラメント状のものが好ましい。また、ナイロン11繊維の断面形状としては特に限定されるものではなく、例えば、略三角形、四角形、五角形等の多角形断面、楔形断面、矢方断面、あるいは略C型、H型、I型、W型等のアルファベット文字を象った断面が挙げられる。なお、異形断面を形成する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の各種の方法、例えば溶融紡糸時に直接に異型断面が得られる紡糸口金を使用する方法などが挙げられる。
本発明の耐湿熱性織編物に用いられるナイロン11糸条の形態は、特に限定されるものでなく、フラットヤーン、加工糸などが挙げられる。本発明の耐湿熱性織編物をユニフォームなどの衣料に用いる場合、ナイロン11糸条の形態は、吸水性、ソフト感、ドライ感を向上させる観点から繊維間に空隙を有する形態であることが好ましい。そのような糸条としては、異なる熱収縮率を有するマルチフィラメント糸からなる異収縮混繊糸条や、自己捲縮糸条、仮撚加工糸、ニットデニットなどの捲縮糸条、短繊維からなる紡績糸などが挙げられる。なかでも、適度な伸縮性、保温効果の観点から、DIN−53840法に従って測定したクリンプ伸長率(Crimp contraction)が50%以上である仮撚捲縮加工糸が好ましい。
本発明においては、得られる耐湿熱性織編物が実使用に耐えうる強度を有する観点から、最終的に得られる染色加工後の織編物を構成するナイロン11糸条の引張強度(強伸度)が2.0cN/dtex以上であることが好ましく、3.0cN/dtex以上であることがより好ましい。なお、強伸度の測定方法は、実施例の欄において詳述する。
本発明においては、得られる耐湿熱性織編物が実使用に耐えうる強度を有する観点から、最終的に得られる染色加工後の織編物を構成するナイロン11糸条の引張強度保持率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。なお、引張強度保持率の測定方法は、実施例の欄において詳述する。
本発明の織編物では、染色仕上げ後のナイロン11糸条が上記のような強伸度を有することにより、良好な耐湿熱特性が得られる。衣料に高圧の蒸気によって滅菌処理が施される場合の蒸気処理条件は、一般的には、処理温度が120〜135℃、処理時間が30秒〜5分程度である。しかしながら、ポリエステル等の糸条から得られる織編物は、80回程度の蒸気処理で加水分解反応が発現し、著しい強度低下が発生する。さらに、着用や使用に起因するダメージも加わることで、実際は、蒸気処理による織編物の強度低下はより著しい。このような強度低下を勘案すると、本発明の効果を発揮するためには、温度135℃における30時間経過後の引張強力保持率が70%以上であることが必要であり、さらに好ましくは80%以上である。
従って、本発明においては、織編物の温度135℃における30時間経過後の引張強力保持率が、70%以上であることが必要である。この範囲を外れると、織編物において良好な耐湿熱性を維持することができない。織編物を構成するナイロン11糸条の引張強度および引張強度保持率を上記の範囲に制御することで、織編物の耐湿熱性を発現することが可能である。
上述のようにナイロン11糸条は、ナイロン11繊維を主成分とするものである。ナイロン11以外のナイロンを用いた場合は、耐湿熱性に優れた織編物を得ることができない。ナイロン11糸条を用いることにより、織編物に耐湿熱性が付与される理由は定かではないが、糸条中の水分率が原因であると推測される。加えて、ナイロン11繊維は、ナイロン6繊維やナイロン66繊維などのナイロン11以外のナイロン繊維と比較すると、密度が小さく軽量であると共に、耐摩耗性、耐化学薬品性、耐屈曲疲労性などの点にも優れるという利点がある。なお、本発明において「ナイロン11繊維を主成分とする」とは、ナイロン11繊維の割合が糸条全体に対して70質量%以上であるものとする。
ナイロン11繊維は、ナイロン11ポリマーを主たる成分とするポリマーから構成される。ナイロン11ポリマーとは、11アミノウンデカン酸を主たる単量体として重縮合されたポリマーをいう。11アミノウンデカン酸は、ヒマ(トウゴマ)の種子から抽出されたヒマシ油から得られるものである。従って、得られるナイロン11ポリマーは植物由来成分を主たる原料とするポリマーであるため、環境保護に配慮した織編物を得ることが可能である。
ナイロン11中には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、ε−カプロラクタムやヘキサメチレンジアンモニウムアジペートといった他のポリアミド形成単量体を共重合していてもよい。この他、ナイロン11ポリマーにナイロン6ポリマー、ナイロン66ポリマー、ナイロン12ポリマー、ナイロン46ポリマーといった他のナイロンポリマーをブレンドして繊維を構成してもよい。ただし、ナイロン11ポリマー以外のポリマーの割合としては、繊維強度、環境面の観点から、全体に占める割合を30質量%以下とすることが好ましい。
また、必要に応じ、ナイロン11繊維の成分となるポリマー中に可塑剤、難燃剤、艶消剤、無機充填剤、補強剤、耐熱剤、抗菌剤、消臭剤、防炎剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、着色剤、顔料などの各種添加剤を含有させてもよい。特に、耐熱剤が含まれている場合には、繊維を紡糸する際、その紡糸温度を低くすることができると同時に粘度の増加を抑えることができ、結果として紡糸時に析出されるモノマーの量を少なくすることができる。これにより、後述の紡糸工程において、紡糸時の糸切れを減少させ、操業性よく紡糸することが可能となる。そして、後述の延伸工程においても性能の優れた未延伸糸を供給できるようになる。
上記の耐熱剤としては、特に限定されないが、汎用性の観点から、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いることが好ましい。具体的には、ヒンダードフェノール系酸化防止剤として、チバ・ジャパン社製、商品名「IRGANOX」シリーズが挙げられる。さらに耐熱剤として、リン系加工熱安定剤を併用するのも好ましい。具体的には、リン系加工熱安定剤として、チバ・ジャパン社製、商品名「IRGAFOS」シリーズが挙げられる。
耐熱剤の含有量は、ナイロン11糸条中、0.1〜1.0質量%であることが好ましく、0.2〜0.8質量%であることがより好ましく、0.2〜0.6質量%であることがさらに好ましい。耐熱剤の含有量が0.1質量%未満になると、上記した紡糸操業性の向上効果が乏しくなる場合がある。一方、1.0質量%を超えると、当該効果が飽和するのみならず、紡糸時に糸切れする場合がある。
ナイロン11糸条には、耐湿熱性をより向上させることを目的として、末端封鎖剤が添加されていてもよい。末端封鎖剤としてはポリアミド末端のアミノ基またはカルボキシル基と反応性を有する単官能性の化合物であればとくに制限はないが、反応性および封止末端の安定性等の点からモノカルボン酸、モノアミンが好ましい。なかでも、取扱性の容易さ、反応性、封止末端の安定性、価格等の点でモノカルボン酸が好ましい。
好適なモノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸などを挙げることができる。
ただし、上記のような末端封鎖剤を使用する場合、通常、紡糸時に添加するため、均一性に欠ける場合がある。従って、染色前の中間セットや、染色後仕上げセットの際、悪臭により作業環境が悪化することがあるので注意が必要である。
ナイロン11糸条の製法について、以下に説明する。
まず、ナイロン11ポリマーに、必要に応じて他のポリマーや各種添加剤を混合する。その後、該ポリマーを溶融紡糸する。その際の紡糸温度は、通常230〜270℃である。
その後、紡糸されたナイロン11糸条を、通常の方法で冷却した後、3000m/分以上の索引速度で、表面温度30〜80℃の第1ローラ(引取りローラ)にて引き取る。次いで、表面温度100〜180℃の第2ローラ(加熱ローラ)で引き取ることにより、1.1〜2.8倍に延伸されたナイロン11糸条を得ることができる。得られたナイロン11糸条は、巻取速度3400〜5000m/分で巻き取られる。なお、ナイロン11糸条には、必要に応じて、各種混繊処理が付されていてもよい。
本発明の耐湿熱性織編物を製造する方法について、以下に説明する。すなわち、上記のようにして得られたナイロン11糸条を、製編織した後、染色加工することにより、目的の織編物を得ることができる。
製編織にあたっては、各用途で最適な条件が異なるため、最終的に得られる織編物の風合い、物性などを考慮した上で最適な条件を選択すればよい。
本発明の織編物においては、目的とする効果を損なわない範囲において、ナイロン11糸条を、ナイロン11糸条以外の糸条と交編織してもよい。ここで、ナイロン11糸条以外の糸条としては、特に限定されず、例えば、ナイロン6糸条、ポリエステル糸条、ポリ乳酸糸条、アクリル糸条、綿、レーヨン糸などが挙げられる。なお、ポリ乳酸糸条を構成するポリマーとして、ポリ(D−乳酸)、ポリ(L−乳酸)が挙げられる。耐湿熱性の観点から、ステレオコンプレックスを使用してもよい。
なお、ナイロン11糸条を他の糸条と交織する場合、ナイロン11糸条の含有割合は、織編物全体に対して、30〜100質量%であることが好ましく、50〜100質量%であることが好ましい。含有割合をこの範囲とすることで、織編物の引張強力保持率を70%以上とすることができる。
生機を得た後、染色加工することで目的の織編物が得られる。具体的には、まず生機を精練し、必要に応じてプレセットした後、染色する。染色の際の温度は、100〜140℃であることが好ましく、特に120〜135℃の高圧染色を行うことで、織編物に優れた発色性を付与することができ、商品価値が向上するという利点があるため、より好ましい。染色温度が100℃以下ではじゅうぶんな染色性を得ることが出来ず、140℃以上では織編物が劣化する恐れがある。染色後は、必要に応じてソーピング、フィックス、ファイナルセットなどの処理を付することができる。
本発明の耐湿熱性織編物は、高温蒸気による滅菌処理が行われる衣料用繊維製品、すなわちユニフォーム、手術着、シーツ、白衣、衣料資材、靴材、カーテンなどに好適に用いられる。
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。
なお、実施例における評価は以下の測定方法により行った。
(1)織物の引張強力
JIS L1096法(定速伸長形)にしたがって測定した。
(2)編物の引張強力
JIS L1018法(定速伸長形)にしたがって測定した。
(3)織物および編物の引張強力保持率
下記式により、織物の引張強力保持率、編物の引張強力保持率を求めた。
引張強力保持率(%)=(湿熱処理後の引張強力/湿熱処理前の引張強力)×100
なお、湿熱処理は、高圧蒸気滅菌器 (平山製作所製「HV−50」)を用いて、135℃、圧力225kPaで30時間処理した。
(4)糸の引張強度(強伸度)
湿熱処理前の織物から緯糸を抜き取り、JIS L1013法(定速伸長形)に従って測定した。織物における糸の引張強度は、湿熱処理後の織物の密度の差を考慮し、緯糸のみ測定するものとする。なお、n数は10本とした。
また、編物の場合は解編して、織物と同様の評価に付した。
(5)糸の引張強度保持率
湿熱処理前の織物、および湿熱処理後の織物から緯糸を抜き取り、(4)と同様の方法で、引張強度を測定した。引張強度保持率を下記式により算出した。
引張強度保持率(%)=(湿熱処理後の引張強度/湿熱処理前の引張強度)×100
なお、湿熱処理は、高圧蒸気滅菌器 (平山製作所製「HV−50」)を用いて、135℃、圧力225kPaで30時間行った。
また、編物の場合は解編して、織物と同様の評価に付した。
(6)ナイロン11ポリマーの相対粘度
96%硫酸を触媒として、濃度1g/dl、温度25℃で、ウベローデ型粘度計を用いて測定した。
(実施例1)
相対粘度2.01のナイロン11チップに、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバ・ジャパン社製「IRGANOX1010」)を0.05質量%、リン系加工熱安定剤(チバ・ジャパン社製「IRGAFOS168」)を0.1質量%添加し、水分率を0.05質量%に調整した。その後、エクストルーダー型溶融押出機に供給し、紡糸温度250℃で溶融して、孔径が0.3mmの紡糸孔を34個有する紡糸口金より吐出して溶融紡糸してナイロン11糸条を得た。得られたナイロン11糸条に15℃の冷却風を吹付けて冷却し、油剤を付与した後、3000m/分の第1ローラ(表面温度:50℃)で引き取った。続いて、第一ローラで引き取ったナイロン11糸条を第2ローラ(表面温度:130℃)で引き取ることによって、ローラ間の延伸倍率1.5倍で延伸し、巻取速度4400m/分で巻き取り、78dtex/34フィラメントのナイロン11のみからなる糸条を得た。得られたナイロン11糸条の水分率は0.4%であった。
次に、得られたナイロン11糸条を経緯糸に用いて、経糸密度119本/2.54cm、緯糸密度80本/2.54cmで平組織の生機を製織した。製織後、精練剤(日華化学社製、「サンモールFL」)を1g/Lの濃度で使用し、生機を80℃で20分間精練した。次いで、160℃で1分間プレセットした後、黒系酸性染料を使用し、浴比1:50で130℃、30分間染色した。なお、黒系酸性染料としては、三井BASF社製、商品名「Mitsui Nylon Black GL」を5%omfの濃度で使用した。また、染色の際には、染色助剤(均染剤)として丸菱油化社製、商品名「レベランNKD」を2%omfの濃度で、及び酢酸(48%品)を0.2ml/Lの濃度で使用した。
その後、精練剤(日華化学社製、「サンモールFL」)を1g/Lの濃度で使用して、80℃で20分間ソーピングし、次いで、ナイロン用フィックス剤(日華化学社製、「サンライフE−37」)を1%omfの濃度で使用して80℃で20分間フィックスした。次いで、160℃で1分間ファイナルセットして、経糸密度123本/2.54cm、緯糸密度87本/2.54cmの耐湿熱性織物を得た。
(実施例2)
ナイロン11ポリマー中に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバ・ジャパン社製「IRGANOX1010」)を0.1質量%、及びリン系加工熱安定剤(チバ・ジャパン社製「IRGAFOS168」)を0.2質量%含有させた以外は、実施例1と同様に紡糸を行い、28Gトリコット編機にて編成して、編物を得た。得られた編物を実施例1と同様に染色工程に付した後、耐湿熱性織物を得た。
(実施例3)
相対粘度1.38のポリエチレンテレフタレート(PET)チップを、孔径が0.3mmの紡糸孔を36個有する紡糸口金を用いて、紡糸速度3250m/分、紡糸温度285℃で溶融紡糸した後、延伸して84dtex/36フィラメントのポリエチレンテレフタレート糸条を得た。得られたポリエチレンテレフタレート糸条と実施例1のナイロン11糸条とを用い、経糸および緯糸ともに、質量比で1:2(ナイロン11糸条:PET糸条)の構成比で(すなわち、ナイロン11糸条が33質量%となるように)、平織物を作成し、実施例1と同様に染色工程に付した後、経糸密度123本/2.54cm、緯糸密度87本/2.54cmの耐湿熱性織物を得た。
(比較例1)
ナイロン11チップに代えて、ナイロン6チップを使用する以外は、実施例1と同様にして、織物を作製した。該織物に精練、プレセットを行った後、染色温度を100℃とする以外は、実施例1と同様の染色工程を行い、経糸密度122本/2.54cm、緯糸密度84本/2.54cmの織物を得た。
(比較例2)
ナイロン11チップの代わりにナイロン6チップを用い、さらに安息香酸を添加した以外は、実施例1と同様に織物を作製し、精練、プレセットを行った。染色温度を100℃とする以外は、実施例1と同様の染色工程を行い、経糸密度122本/2.54cm、緯糸密度84本/2.54cmの織物を得た。
(比較例3)
実施例3のポリエステル糸条チップに末端基封鎖剤を添加した以外は実施例3と同様にして、ポリエステル糸条を得た。得られたポリエステル糸条を経緯糸として用い、経糸密度119本/2.54cm、緯糸密度87本/2.54cmの平織物を得た後、精練、130℃×30分の条件下にて黒系分散染料で染色した。その後、還元洗浄剤としてソーダ灰5g/L、ハイドロサルファイト1g/L、界面活性剤1g/Lを用いて、処理条件80℃×20分で還元洗浄を行い、ポリエステル織物を得た。
実施例及び比較例で得られた織編物の評価結果を表1に示す。
Figure 0005473703
表1より明らかなように、実施例1、2においては、得られたナイロン11糸条は湿熱処理後の強度に優れていた。加えて、得られた織物は耐湿熱性において優れていた。
実施例3はポリエステル糸条が交織されているものの、33質量%のナイロン11が入っているため、良好な耐湿熱性を示した。
比較例1はナイロン6糸条で構成されているものであったため、糸条の引張強度保持率、織物の引張強力保持率ともに劣るものであった。
比較例2は、ナイロン6糸条で構成されているものであったため、末端封鎖剤として安息香酸が含有されていても、糸条の引張強度保持率、織物の引張強力保持率ともに劣るものであった。
比較例3はポリエステル糸条で構成されているものであったため、糸条の引張強度保持率、織物の引張強力保持率ともに劣るものであった。

Claims (1)

  1. ナイロン11糸条を30〜100質量%用いた耐湿熱性織編物であって、温度135℃における30時間経過後の引張強力保持率が70%以上であり、ナイロン11糸条はヒンダードフェノール系酸化防止剤およびリン系加工熱安定剤を含有することを特徴とする耐湿熱性織編物。
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